JP2545501Y2 - コンクリート打設装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンクリート打設前の
スラブ配筋上を移動させ、コンクリートの噴射打設を行
うコンクリート打設装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ビルディング工事等において、広い床面
にコンクリートを打設する場合、コンクリートスラブ上
に鉄筋を配設し、その上にコンクリートを打設して均
し、コンクリート面を形成するようになされている。

【０００３】従来は、配筋後主に人力に依存してコンク
リートを打設し、そのあとを均し用機械あるいは人手に
より均して平坦なコンクリート面を形成しているが、コ
ンクリートを打設する作業を人手に頼ることは作業能率
が低いばかりでなく配筋上での作業となるため安全性の
面においても問題があった。

【０００４】そこで上記コンクリートの打設を機械的手
段により行うものとして、水平面内で折曲可能なように
複数のアームを関節により連結した折曲アームの基部を
基台に支持し、この折曲アームにそって可撓性のあるコ
ンクリート供給管を配し、床面の所要の箇所にコンクリ
ート供給管の先端が位置するように折曲アームを折曲さ
せてコンクリートの打設を行うようになされたものがあ
る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかるに上記従来技術
によれば、配筋された床上であっても配筋に災いされる
ことなく任意所望の箇所にコンクリートを打設すること
はできるが、折曲アームは片持ち支持となるのでその基
部の支持部には折曲アームの全重量およびこれに付帯す
るコンクリート供給管、この管内に存在するコンクリー
トの重量がすべて負荷されるため、その支持部の構造を
はじめ折曲アームの関節部の構造をきわめて強固にしな
ければならず、装置全体が大掛かりとなって大重量化す
るという難点がある。

【０００６】本考案はこれに鑑み、構成を簡素化するこ
とができながら配筋上であっても必要とする範囲にコン
クリートの打設を安定した状態で打設することができ、
かつその打設を高能率に広範囲にわたって行なうことが
できるコンクリート打設装置を提供することを目的とし
てなされたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記従来の技術が有する
問題点を解決するため、本考案は、配筋上に設置され移
動可能なレールと、このレールにそって移動可能とされ
た移動装置と、この移動装置の前方に旋回または伸縮自
在に取付けられた打設管と、コンクリート供給源に接続
される配管と前記打設管とを前記移動装置を経由して接
続する屈曲可能な自在管とを具備することを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】配筋上にレールを設置し、その上に移動装置を
載装して打設管を旋回または伸縮させてコンクリートの
打設を行ない、ついで移動装置をレール上で適当量移動
させ、同様に打設を行なう。これら打設管の旋回または
伸縮動と移動装置の移動とを適宜組合わせてレール全長
の領域への打設を終了したらレールを次の領域へ移動さ
せ、同様にして打設作業を行なうことにより配筋上全域
へのコンクリートの打設を高能率に行なうことができ
る。

【０００９】

【実施例】以下、本考案を図面に示す実施例を参照して
説明する。

【００１０】移動装置１は、床面等の表面に組まれた配
筋上に設置されるレール上を移動可能とされるもので、
図示の実施例では、下部に配筋上を一定値以上の力を加
えることにより滑動し得るそり２を有する平行２本のレ
ール３，３に跨がって載装される形態とした場合を示し
ており、各レール３，３に載装される２つの台座４，５
がパイプ６で結合されて一体とされた構成となってい
る。

【００１１】図２に全体の正面を、図３に一方の台座４
の断面を示しているように、下部に走行車輪７が軸受部
８，８により回転自在に支持して設けられ、この走行車
輪７は走行用モータ９により駆動されるようになってい
る。

【００１２】前記台座４の上部前方には、生コンクリー
トを吹出して配筋上に打設するための打設管１０の基部
の立上り部１０ａが縦方向に軸線を有する軸受１１によ
り旋回自在に取付けられ、この打設管１０の立上り部１
０ｃの上端は台座４，５間を継ぐパイプ６の下向きの端
部に回転継手１２を介して接続されている。

【００１３】上記打設管１０の立上り部１０ａにはスプ
ロケット１３が固着され、このスプロケット１３と、台
座４に搭載された旋回用モータ１４により駆動されるス
プロケット１５とにチエン１６が巻装され、旋回用モー
タ１４の駆動により打設管１０に旋回動が与えられるよ
うになっている。

【００１４】他方の台座５の下部には、前記の台座４と
同じく走行車輪１７が軸受部１８，１８により回転自在
に支持されて走行用モータ９により回転駆動されるよう
になっており、台座５の外端部には、複数本の略コ字形
をなすパイプ１９，１９，…が関節部を構成する回転継
手２０，２０，…により回転可能に接続された屈曲可能
な自在管２１の端部の立上り部１９ａが軸受２２を介し
て回転可能に支持され、この立上り部１９ａと前記装置
本体１のパイプ６の下向きの端部とが回転継手２３を介
して接続されている。

【００１５】前記自在管２１は側面よりみて各パイプ１
９，１９，…が上下交互配置となり、下位に位置するパ
イプ１９には、配筋上を滑動し得る支持脚２４により支
えられている。また自在管２１の他端は、コンクリート
供給源２５に接続されて配筋上に固定して置かれる受台
２６により多少の変位を許容するよう支持された配管２
７に回転継手２０を介して接続されている。なおこの自
在管２１は、関節部を有しない屈撓可能なホースであっ
てもよい。また前記装置本体１に搭載される各モータ
９，１４は、遠隔操作により駆動、停止が行なえるよう
にすることが好ましい。

【００１６】図１において符号Ａで示す斜線を付した領
域はコンクリート打設範囲を示す。

【００１７】つぎに上記実施例の作用を説明する。

【００１８】床面上に組まれた配筋上にレール３，３を
設置し、その上の一端寄りに移動装置１の台座４，５の
走行車輪７，１７を係合させる（図１における実線図示
の状態）。こうしてコンクリート供給源２５から生コン
クリートを供給すると、配管２７、自在管２１、パイプ
６を通じて打設管１０へ供給され、打設管１０の先端か
ら配筋上に生コンクリートを吹出して打設が行なわれ
る。この打設時に旋回用モータ１４を駆動させれば、ス
プロケット１５、チエン１６、スプロケット１３を通じ
て打設管１０が軸受１１を中心に水平面内で旋回動し、
打設方向を任意に選択して均一な打設を行なうことがで
きる。

【００１９】こうして配筋上にむらなく打設したのち走
行用モータ９を駆動して移動装置１をレール３，３上で
走行させて打設位置を変え（図１の鎖線図示）、前記と
同様にして生コンクリートの打設を行なう。レール３，
３の設置長さに対応する領域Ａへの生コンクリートの打
設が終了したら、配筋上でレール３，３をワイヤ、ウイ
ンチ等を利用して滑動させ、次の新たな領域への打設に
移行する。

【００２０】図５〜図９は本考案の他の実施例を示すも
ので、打設管１０を伸縮構造として打設範囲をさらに拡
大させるようにしたものである。

【００２１】すなわち前記実施例における打設管１０が
硬質な材料からなる外管１０ａと、この外管１０ａに摺
動自在に嵌挿される内管１０ｂとの２重管構造とされ、
その内管１０ｂの基端は前記実施例における自在管２１
に接続され、外管１０ａはレール３，３上に走行自在に
搭載された移動装置１′の台座３０，３１に跨がって支
持されており、この外管１０ａの先端は下端に配筋上を
滑動自在なそり３２を有する支持脚３３により支えられ
ている。

【００２２】台座３０，３１は概ね同じ構造を有する
が、台座３１を代表すると、図７に側面を、図８に平面
を、図９に正面を示すように、レール３，３に跨がって
載装される前後の車輪３４，３４が軸受部３５，３５に
より回転自在に支持され、この車輪３４，３４は走行用
モータ３６，３６により駆動されるようになっている。
この台座３１の上面には支柱３７を介して枠体３８が支
持され、この枠体３８の側枠３９，３９間の下部に外管
１０ａの下面を受ける２本のつづみ形の受ローラ４０，
４０が軸受４１，４１により回転自在に支持され、側枠
３９，３９間の上部にはテーパー状周面を有する左右一
対のローラ４２，４２が前後２組として軸受４３，４３
により回転自在に支持され、各組のローラ４２，４２は
軸方向に間隔を有し、このローラ４２，４２間の軸上に
はピニオン４４，４４が固着されており、このピニオン
４４，４４はそれぞれ打設管伸縮用モータ４５，４５に
より回転駆動されるようになっている。

【００２３】外管１０ａの上面軸方向には略全長にわた
ってラック４６が固設され、このラック４６に前記ピニ
オン４４，４４が噛合されている。他側の台座３０は前
記ピニオン４４およびそのモータ４５を有していない点
が異なる。

【００２４】したがってこの実施例によれば、移動装置
１′の走行用モータ３６，３６を駆動することにより打
設管１０全体を図５において矢印ａまたはｂ方向に移動
させることができ、打設管１０の先端からコンクリート
を噴射して打設することができる。

【００２５】また、打設管伸縮用モータ４５，４５を駆
動してピニオン４４，４４を回転すると、これに噛合う
ラック４６を介して外管１０ａが内管１０ｂに対し伸縮
し、図５においてｃで示す位置からｄで示す位置に打設
管１０の先端を位置させることができ、その範囲内での
コンクリートの打設ができる。そのためレール３，３を
設置した状態のまま広範囲へのコンクリートの打設が行
なえることになり、打設範囲の拡大を図ることができ
る。

【００２６】なお、図示の実施例ではレールを２本用い
た場合について示したが、装置の規模によっては１本と
してもよく、また各部の構成に関しても図示の実施例に
限定されるものではない。

【００２７】

【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、配
筋上に移動可能なレールを設置し、このレール上に移動
装置を移動可能に設け、この移動装置を中継点として自
在管および打設管を接続し、この打設管の旋回動または
伸縮動と移動装置の移動との複合動作により打設管から
配筋上へコンクリートを打設するようにしたので、供給
中のコンクリートの重量を含む装置全体の重量が移動装
置で支持され、したがって各部の構成部分の強度を小さ
くしても十分に目的を達成することができ、装置全体を
著しく軽量化することができる。また移動装置はレール
を介して配筋上に置かれるので、荷重により配筋を傷め
ることがなく、これらにより高能率にコンクリートの打
設ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるコンクリート打設装置の一実施例
の作動状況を示す平面図、

【図２】図１の正面図、

【図３】移動装置の片側（打設管側）を示す一部を断面
とした正面図、

【図４】図３の平面図、

【図５】本考案の他の実施例を示す図１相当図、

【図６】同正面図、

【図７】図５における移動装置の片側を示す一部を断面
とした正面図、

【図８】同平面図、

【図９】同側面図。

【符号の説明】

１，１′ 移動装置 ３ レール ４，５ 台座 ６ パイプ ７，１７ 車輪 ９ 走行用モータ １０ 打設管 １０ａ 外管 １０ｂ 内管 １４ 旋回用モータ ２１ 自在管 ２４ 支持脚 ２５ コンクリート供給源 ２６ 受台 ２７ 配管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 落 合 実 東京都中央区銀座８丁目21番１号 株式 会社竹中工務店 東京本店内 (72)考案者 山 崎 一 雄 千葉県千葉市天戸町1293 三和機材株式 会社 千葉工場内 (56)参考文献 特開 昭64−1863（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−33495（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−47422（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−18151（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−124557（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−78652（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】配筋上に設置され移動可能なレールと、こ
   のレールにそって移動可能とされた移動装置と、この移
   動装置の前方に旋回自在に取付けられた打設管と、コン
   クリート供給源に接続される配管と前記打設管とを前記
   移動装置を経由して接続する屈曲可能な自在管とを具備
   することを特徴とするコンクリート打設装置。
2. 【請求項２】配筋上に設置された移動可能なレールと、
   このレールにそって移動可能とされた移動装置と、この
   移動装置の前方に伸縮可能に取付けられた打設管と、コ
   ンクリート供給源に接続される配管と前記打設管とを接
   続する屈曲可能な自在管とを具備することを特徴とする
   コンクリート打設装置。