JP2544448B2 - 射出成形機の可塑化装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、小容量の合成樹脂等を精度良く射出するこ
とを可能にした射出成形機の可塑化装置に関するもので
ある。

〔従来の技術〕 従来、スクリュ式射出成形機には、スクリュインライ
ン式射出成形機とスクリュプリプラ式射出成形機とがあ
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

スクリュインライン式射出成形機では、射出量はスク
リュの断面積とストロークの積で決定されるが、スクリ
ュの機械的強度或いは樹脂の噛込み等の条件からスクリ
ュの断面積を任意に小さくすることは不可能である。こ
のため、射出量が少ない場合、スクリュのストロークが
必然的に短くなり、かつ、短いストロークで射出精度を
上げるためには極めて高精度の制御が必要となる。ま
た、スクリュ先端等に、射出時、材料が材料貯蔵室内か
らスクリュ側に逆流するのを防止する逆流防止機構を設
けて材料通路を絞っているから、該通路で材料の滞留が
生じ、近年の高度化した材料では複合材が遊離してしま
い成形後一々分解清掃する必要がある等の不都合があっ
た。

また、従来の前記逆流防止機構では、樹脂が逆流する
のを完全に防止できず、そのために逆流する樹脂量を見
込んだ制御等を行っているが、この方法では樹脂の射出
量、スクリュの前進速度等が変化する度に各種装置の設
定を調整しなければならならず、操作が複雑であった。

スクリュプリプラ式射出成形機では、射出量は射出プ
ランジヤの断面積とストロークの積で決定されるため、
射出量が少ない場合、プランジヤ断面積を小さくするこ
とによりストロークを長くして射出精度をあげることは
可能であるが、供給管を介して加熱シリンダから射出シ
リンダ先端部の材料貯蔵室に材料が供給される際、材料
はノズル側からプランジヤの後退によりプランジヤ側に
供給されるので、射出シリンダに先に入った材料が後か
ら射出され易く、プランジヤ側に滞留が生じると共に、
供給管と射出シリンダとの接続部にも材料の流れ難いコ
ーナー部ができ、材料の滞留が起こり易い。このため、
長時間滞留すると材料の焼けの原因となるし、色替え、
材料替えもし難い。また、供給管を介して加熱シリンダ
と射出シリンダが接続されており、夫々の供給管接合部
が異形であったり、支持部があるため、熱バランスがと
りにくい等の不都合があった。

〔発明の目的〕

本発明は前記課題を解決するためになしたもので、ス
クリュプリプラ式射出成形機において樹脂材料の逆流を
防止すると共に、滞留を生じ難くし、かつ、スクリュ部
と射出プランジヤ部との熱バランスをとり易くすると共
に、計量精度及び射出精度の向上を図ることを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係る射出成形機の可塑化装置は、射出ノズル
が装着された可塑化シリンダ内に、スクリュ及び該スク
リュと並列で、かつ、前記射出ノズル内に形成された材
料貯蔵室と同芯の射出プランジヤを嵌入し、該射出プラ
ンジヤは材料貯蔵室側に進退可能となっており、射出プ
ランジヤの後退時にスクリュウ先端側を前記材料貯蔵室
に連通させる連通路を前記可塑化シリンダ内に設けたこ
とを特徴としており、かかる構成によって前記目的を達
成するものである。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面に沿って説明する。

可塑化シリンダ１は、シリンダ本体1Aと、該本体1Aの
一端にボルト２により一体的に連結されたシリンダ本体
1Aと同形状のアタッチメント1Bとから構成されている。

シリンダ本体1A内には基端から先端までスクリュ穴３
とプランジヤ穴４が上下２段平行に穿設されている。

シリンダ本体1Aの先端側下部には、前記プランジヤ穴
４を途中で開口させる切欠き凹部５と、該凹部５による
強度低下を抑えるための補強棒６が設けられている。

シリンダ本体1Aの基端部には冷却シリンダ７が設けら
れ、該シリンダ７上部には材料入口８を介してホッパー
９が設けられている。

アタッチメント1Bの先端には射出ノズル10が装着さ
れ、該ノズル後端部には、射出プランジヤ20より大き目
の内径を持った材料貯蔵室11がノズル穴12と連通して穿
設されている。

アタッチメント1B内には、前記プランジヤ穴４及び材
料貯蔵室11と同芯で、かつ、該材料貯蔵室11と同径のプ
ランジヤ穴13と、該穴先端部に前記スクリュ穴３の先端
部を連通させる連通路14とが穿設されている。

シリンダ本体1A及びアタッチメント1Bの外周には、夫
々に設けた温度センサー15、16（熱電対等）によって略
同じ温度に制御されるヒータ17、18が装着されている。

この可塑化シリンダ１のスクリュ穴３内にはスクリュ
19が嵌入され、プランジヤ穴４内には射出プランジヤ20
が嵌入され、プランジヤ穴13内及び材料貯蔵室11内には
射出プランジヤ先端部21が嵌入されている。射出プラン
ジヤ20は、前記シリンダ本体1Aの切欠き凹部５内におい
てねじ機構等着脱可能な連結機構22によって互いに同芯
に連結されている。切欠き凹部５は、射出プランジヤ20
の連結を解く作業スペースであると同時に、材料貯蔵室
11側からリークした材料を落下させる箇所でもある。

スクリュ19の後端部には可塑化シリンダ１の後方に設
けた可塑化駆動装置23（ベルト伝動機構の一部のみ図
示）が連結されており、該装置によってスクリュ19が回
転のみ可能となっている。

射出プランジヤ20の後端部には可塑化シリンダ１の後
方に設けた射出駆動装置24（油圧シリンダを図示）が連
結されており、該装置によって前記連通路14を開口させ
た図示想像線で示す一定の位置から、射出ノズル10に設
けた材料貯蔵室11に対して射出プランジヤ先端部21が前
後進可能で、かつ、該プランジヤ先端部21の後退により
連通路14の材料貯蔵室11側端が開閉可能となっている。

射出プランジヤ20には、その半径方向外方に突出する
センサ取付片25が設けられ、該取付片先端には、射出駆
動装置24等に付設した可塑化シリンダ長手方向に伸びる
リニヤスケール26からプランジヤ移動量を検出可能な位
置センサ27（実施例ではパルス発生器）が取り付けられ
ている。

連通路14から金型28に至る材料通路（実施例では連通
路14であるが、材料貯蔵室11等であっても良い。）に
は、材料貯蔵室11内の材料充填完了を材料圧で知るため
の圧力センサ29が設けられている。尚、材料貯蔵室11内
の材料充填完了を知るためには、前記手段にかかわら
ず、射出プランジヤ20の後退位置等を検出しても良い。

射出プランジヤ先端部21にはピストンリング30が二重
に装着されているが、これはなくても良いことは言うま
でもない。

〔作用〕 シリンダ本体1Aとアタッチメント1Bとを同形状として
夫々温度センサー15、16及びヒータ17、18によって略同
じ温度に制御することができるようにすると共に、アタ
ッチメント1Bに設けた単純な連通路14によりスクリュ穴
３の先端側を射出ノズル10内の材料貯蔵室11に連通させ
ている。このように、同一の可塑化シリンダ１内にスク
リュ19及び射出プランジヤ20を嵌入し、かつ、該射出プ
ランジヤ先端部21により材料貯蔵室11側端が開閉可能と
なっており、開口時にスクリュウ19先端側を材料貯蔵室
11に連通させる連通路14を前記可塑化シリンダ１内に設
けているから、可塑化シリンダ１における熱バランスは
とり易い。

射出成形時、先ず可塑化駆動装置23によりスクリュ19
が回転されると、材料は、熱バランスの良い可塑化シリ
ンダ１内においてスクリュ19により良好に可塑化されて
連通路14内に押し出され、次いで材料貯蔵室11内に溜ま
って行く。可塑化駆動装置23が停止するまで、射出駆動
装置24により、連通路14を開口させた図示想像線で示す
一定の位置に射出プランジヤ先端部21が配置されてお
り、前記連通路14は射出プランジヤ先端部21の前段近傍
に開口しているから、該連通路14から押し出された材料
は材料貯蔵室11内の奥から充填されてゆく。このため、
材料貯蔵室11内に先に入った材料が先に射出されること
になる。

可塑化駆動装置23によりスクリュ19の回転で材料貯蔵
室11内に材料が充填されてその材料圧が高くなると、圧
力センサ29により検出され、この検出信号によって可塑
化駆動装置23が停止され、射出駆動装置24が起動され
る。

射出駆動装置24により射出プランジヤ20が前進させら
れると、リニヤスケール26に沿い射出プランジヤ20と共
に移動する位置センサ27の発生するパルスがカウントさ
れて射出プランジヤ20の前進量（射出量）が算出され、
パルス数が設定値と一致したとき停止される。これによ
って、型締めした金型28内に所定量の材料が材料貯蔵室
11内からノズル穴12を経て射出充填され、保圧が行われ
る。

射出が完了すると、金型28側は冷却、離型し、また射
出駆動装置24により射出プランジヤ20は元の図示想像線
で示す一定の位置に戻された後、スクリュ19の回転が開
始され、射出ノズル10内の材料貯蔵室11に材料が供給さ
れ、その材料圧で射出プランジヤ20が計量後退して、前
記の作業が繰り返される。

射出プランジヤ20の後退時、一時負圧となり、射出ノ
ズル10先端に発生するいわゆる鼻垂れ現象が少なくな
る。また、材料貯蔵室11内に先に入った材料が先に射出
されるよう材料貯蔵室11内に材料が供給され、この材料
により、射出プランジヤ20の後退でノズル穴12を経て材
料貯蔵室11に流入したエヤが材料貯蔵室11の外部に押し
出されるから、従来のようなエヤの巻き込みはない。

射出毎に、材料貯蔵室11に対して射出プランジヤ先端
部21が進退するから、該プランジヤ先端部21が射出プラ
ンジヤ20等に比べて摩耗し易く、その交換が必要とな
る。この交換は次のように行われる。つまり、切欠き凹
部５を利用して射出プランジヤ20の連結機構22を外し、
かつ、シリンダ本体1Aからボルト２を抜いて前記射出プ
ランジヤ先端部21をアタッチメント1Bと共に取り外し、
前記とは逆の手順で、新たに射出プランジヤ先端部21を
取り付け直したアタッチメント1Bとシリンダ本体1Aに装
着し、かつ、射出プランジヤ20を連結する。射出プラン
ジヤ先端部21の先端部にピストンリング30が装着されて
いる場合、たとえば装着具合が悪く飛び出し気味になっ
ていても、射出プランジヤ先端部21の先端部を射出ノズ
ル10内の材料貯蔵室11先端部のテーパ面に押し当ててピ
ストンリング30を安定させれば良い。

〔発明の効果〕

以上の通り、本発明では、プランジヤ径を小さくして
微小量の射出量でもある程度の射出ストロークをとるこ
とができ、しかも樹脂の逆流がなく、かつ、射出プラン
ジヤの慣性も小さいスクリュプリプラ式射出成形機であ
るから、計量精度及び射出精度の向上が図れる。

また、可塑化・混練りを従来と同様に大径のスクリュ
により行えるから、可塑化率は高く、小径スクリュに比
べて成形効率も高い。

更に、スクリュプリプラ式射出成形機でありながら、
同一の可塑化シリンダ内にスクリュ及び射出プランジヤ
を嵌入し、かつ、該射出プランジヤにより材料貯蔵室側
端が開閉可能となっており、開口時にスクリュ先端側を
材料貯蔵室に連通させる連通路をも可塑化シリンダ内に
設けているから、可塑化シリンダにおける熱バランスは
とり易い。先入れ先出し方式で、射出プランジヤの後退
によるエヤの巻き込みを防いで材料を射出でき、かつ、
単純な連通路によって材料通路を広くして材料を流れ易
くできるから、焼けの原因となる材料の滞留が起こり難
く、またエヤの混入も微量となる。従って、成形品の大
小に容易に対応できると共に、成形品質の向上が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す正断面図、第２図は第
１図のＡ−Ａ線断面図である。 １……可塑化シリンダ、1A……シリンダ本体、1B……ア
タッチメント、２……ボルト、３……スクリュ穴、４、
13……プランジヤ穴、５……切欠き凹部、６……補強
棒、10……射出ノズル、11……材料貯蔵室、12……ノズ
ル穴、14……連通路、15、16……温度センサ、17、18…
…ヒータ、19……スクリュ、20……射出プランジヤ、21
……射出プランジヤ先端部、22……連結機構、23……可
塑化駆動装置、24……射出駆動装置、27……位置セン
サ、28……金型、29……圧力センサ．

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】射出ノズルが装着された可塑化シリンダ内
   に、スクリュ及び該スクリュと並列で、かつ、前記射出
   ノズル内に形成された材料貯蔵室と同芯の射出プランジ
   ヤを嵌入し、該射出プランジヤは材料貯蔵室側に進退可
   能となっており、射出プランジヤの後退時にスクリュウ
   先端側を前記材料貯蔵室に連通させる連通路を前記可塑
   化シリンダ内に設けたことを特徴とする射出成形機の可
   塑化装置。