JP2544051B2 - 摺動性表面を有する電気回路接続用異方導電性接着膜 - Google Patents

摺動性表面を有する電気回路接続用異方導電性接着膜

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JP2544051B2 JP3355166A JP35516691A JP2544051B2 JP 2544051 B2 JP2544051 B2 JP 2544051B2 JP 3355166 A JP3355166 A JP 3355166A JP 35516691 A JP35516691 A JP 35516691A JP 2544051 B2 JP2544051 B2 JP 2544051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気回路間、特には液晶
ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PD
P)等の表示素子とフレキシブルプリント基板(FP
C)間、硬質配線板(PCB)とFPC間、FPC相互
間等の接続に用いられる電気回路接続用異方導電性接着
膜(以下、異方導電性接着膜という)、特には摺動性表
面を有する異方導電性接着膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】異方導電性接着膜は、対向する被接続電
気回路の各電極間に挟持され、電極同士が位置合せされ
た後、加熱、加圧等の方法により、接着及び電気的に接
続されるものであるが、特に電極のピッチが 0.4mm以下
であるような低ピッチのものでは、微妙な位置合せを要
するため、一方の電気回路の電極にタック性のない絶縁
性接着剤からなる膜(以下、「絶縁性接着剤からなる
膜」を「絶縁性接着剤膜」という)を用いて異方導電性
接着膜を形成した場合は、他方の電気回路の電極を向い
合せ、接続部を滑らせるようにして位置合せを行った
後、位置ズレを生じないように粘着テープ等で固定し、
加熱、加圧等の方法により接続を完了させる。しかしタ
ック性のある絶縁性接着剤を用いる場合は、治具等を
用いて他方の電気回路の電極を向かい合わせ、絶縁性接
着剤膜面が接触しないようにしながら位置合せを行った
後、加圧して位置ズレを生じないよう仮固定し、加熱、
加圧等の方法により接続していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の異方導電性接着膜を用いる場合、タック
性のない絶縁性接着剤を用いる場合は、粘着テープ等
による固定をしてもその後の移動等によって、位置合せ
後に位置ズレを生じ易く、また加熱、加圧する際高温、
高圧を要し、一方タック性のある場合では、滑りが悪く
位置合せが困難であり、このため特別な治具を用いなけ
ればならないという問題があった。
【0004】本発明は上記した従来の課題を解決するも
ので、電気回路の電極が低ピッチであっても、特別な治
具を用いることなく容易に位置合せ、仮固定をすること
ができ、しかも比較的低温、低圧で接続することができ
る摺動性表面を有する異方導電性接着膜を提供すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、異方導電性
接着膜の構成成分である導電性粒子に、導電性に加えて
摺動性の機能をもたせればよいことに着目し、導電性粒
子の大きさ、形状等のほか絶縁性接着剤成分のタック
性、異方導電性接着膜の厚さ等について種々検討を重ね
た結果本発明を完成させたのであって、これは絶縁性接
着剤に導電性粒子を分散させて予め成形された異方導
電性接着膜であって、前記絶縁性接着剤は常温でタック
性を備え、前記異方導電性接着膜の厚さは5〜40μm で
あり、導電性粒子は表面に複数の突起を備え、全粒子の
30wt%以上95wt%以下が前記絶縁性接着剤膜(絶縁性接
着剤からなる膜)の厚さより大きい粒径を有し、当該複
数の突起が前記絶縁性接着剤の面よりも突出している
ことを特徴とする摺動性表面を有する電気回路接続用異
方導電性接着膜である。
【0006】本発明に用いられる絶縁性接着剤は常温
でタック性を備えている必要があり、2枚の電気回路の
各電極同士の位置合せをした後仮固定が可能でなければ
ならないため、常温でガラスに30kg/cm2以上の圧力で圧
着した際の剥離強度が5g/cm以上、好ましくは10g/cm以
上で意図的に剥がそうとするときには剥がれるタック性
を有することを要する。
【0007】このような接着剤としては、スチレン−イ
ソプレン−スチレン−ブロック共重合体(SIS)、ス
チレン−ブタジエン−スチレン−ブロック共重合体(S
BS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン−ブ
ロック共重合体、クロロプレンゴム(CR)、アクリル
ゴム(AR)、ニトリルゴム(NBR)等の合成ゴム系
のものや天然ゴム系のもの、あるいはこれらの変性物の
1種あるいは2種以上からなるゴム成分 100重量部に対
し、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペン−
フェノール共重合体、石油樹脂、クマロン−インデン樹
脂、スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂、アルキル−フ
ェノール樹脂、フェノール樹脂等から選ばれた1種また
は2種以上の粘着付与剤(タック性付与剤)を 100〜 4
00重量部配合したものとされるが、中でもSIS 100重
量部に対し、アルキルフェノール系粘着付与剤 200〜 3
00重量部を加えたものが最も望ましい。これにはいずれ
の場合にも硬化剤、加硫剤、制御剤、劣化防止剤、耐熱
添加剤、熱伝導向上剤、金属不活性化剤、軟化剤、着色
剤等を適宜添加してもよい。
【0008】本発明に用いられる導電性粒子は、少なく
とも表面が導電性を有し、かつ複数の突起を有するもの
で、プラスチックボールに突起を形成した後金属メッキ
を施したもの、球状カーボン粒子にピッチ、タール等を
付着させた後焼成したもの、焼結性高分子を焼結させ黒
鉛化したものを粉砕しふるい分け(分級)したもの、N
i粒子、タングステンカーバイド粒子、あるいはこれら
に貴金属メッキを施したもの等が例示されるが、摺動性
を付与するのに最も適するものとしては突起を有するカ
ーボン粒子を選択することが好ましい。
【0009】なおこの導電性粒子の配合量は、少なすぎ
ると接続すべき電気回路の各電極上に導電性粒子が存在
しなくなって断線および高抵抗値化を生じ、多すぎると
確率的に平面方向に連なって異方性が損なわれ、また導
電性粒子の突起が、成形されて得られる絶縁性接着剤膜
の表面に突出する割合が少なくなって摺動性表面が得ら
れなくなるので、絶縁性接着剤成分 100容量部に対して
0.1〜30容量部の範囲、好ましくは1〜15容量部の範囲
とされる。
【0010】また、導電性粒子の粒径は上記した絶縁性
接着剤膜の厚さに対し、小さすぎると十分な摺動性を付
与することができないため、絶縁性接着剤膜の厚さより
大きい粒径を有する導電性粒子を全粒子に対して30wt%
以上、好ましくは50wt%以上配合するのがよい。しかし
粒径が大きすぎると仮固定が困難となるため、絶縁性接
着剤膜の厚さより大きい粒子は全粒子中95wt%以下とす
る必要があり、とくに粒径がこの膜の厚さより10μm 以
上大きいものは5wt%以下とするのがよい。
【0011】なお、導電性粒子の径、配合割合が上記し
た範囲内であっても突起のない球状の導電性粒子を用い
ると、異方導電性接着膜に摺動性を付与することができ
ない。すなわち図2に示すように、一方の電気回路基板
1の電極2上に絶縁性接着剤3に導電性粒子4を分散
して成形された異方導電性接着膜5を形成し、他方の電
気回路基板6上の電極7を電極2に向かい合わせた場
合、たとえ絶縁性接着剤3の厚さより導電性粒子4の粒
径を大きくしても、球形状であることに起因する導電性
粒子4の周囲の絶縁性接着剤3の盛り上がりにより、導
電性粒子4の粒径を縁性接着剤3の厚さより極端に大き
くしなければ、電極2または電極7に導電性粒子4を直
接触れさせるような状態での摺動性を付与することは難
しく、異方導電性を損ないやすいばかりでなく粒子が脱
落しやすく、またシール性(電極間を密に充填するこ
と)に劣るものになる。
【0012】また、この球状の導電性粒子は絶縁性接着
剤に対するぬれ性が良いので、粒径を絶縁性接着剤の厚
さ以上に設定しても絶縁性接着剤が導電性粒子表面に残
り十分な摺動性を発現しない。
【0013】本発明の異方導電性接着膜は、上記した絶
縁性接着剤を適当な溶剤に溶解し、これに上記導電性粒
子を分散させ、一方の電気回路の電極上に直接塗布して
厚さが 5〜40μmとなるように成形されるか、セパレー
タ上に従来公知の印刷、コーティング、ディッピング等
の方法により塗布、乾燥して所望の厚さとした後、電極
上に転写する方法により得ることができる。
【0014】本発明の異方導電性接着膜を用いて電気回
路を接続するには、図1(a)に示すように、一方の電
気回路の電極2上に、絶縁性接着剤8に突起のある導
電性粒子9をその突起が突出するように所定量分散させ
た摺動性表面を有する異方導電性接着膜10を形成し、
他方の電気回路の電極6を重ね、接続すべき各電極を相
対向する位置に合わせ、容易に塑性変形を起こさない微
少な先端をもった、例えばピンセットの先やペン先等
(図示しない)によって部分的に圧力を加えるか、ある
いは導電性粒子の突起による圧力を吸収し得る部材、例
えば硬度70°以下、厚さ 0.1mm以上のゴム等(図示しな
い)により全体あるいは部分的に柔らかく強く押圧して
仮固定し、しかるのち所定の条件にて加熱、加圧して本
固定すればよい。
【0015】
【作用】このような構成としたことによって、本発明の
異方導電性接着膜10を一方の電気回路の電極2上に形
成し、他方の電気回路の電極7をこれに対向させ、両電
気回路の各電極を接続するため位置合せをする際、初め
に接続部にほとんど圧力をかけない状態で、他方の電気
回路の電極7を前記一方の電気回路の電極2に接触させ
ると、導電性粒子9の突起部分で接触し、その作用によ
って表面は摺動性を示し、位置合わせが容易となる。こ
のとき導電性粒子9の突起部分によって電極7がタック
性を有する絶縁性接着剤8に直接触れるのを防ぎ、位
置が合ったならば、図1(b)に示すように、圧力を加
えることによってはじめて絶縁性接着剤8が電気回路
の基板6に触れて仮固定がなされる。その後絶縁性接着
8が有するタック性によって位置ズレを生じない。
絶縁性接着剤8のタック性で圧着されているため必要
とあらば剥がすこともできる。
【0016】
【実施例】(実施例1) SIS 100重量部、アルキルフェノール樹脂 150重量部
を芳香族ナフサ系溶剤に50wt%となるように溶解し、こ
の固型分量に対しカーボン粒子7容量%(粒径が31〜35
μm の範囲に50wt%、残りが30μm より小さい範囲の粒
度分布をなす多数の突起をもつもの)を加えて分散させ
た。この分散液を、厚さ25μm のポリエステルフィルム
上にAgペーストにて 0.3mmピッチの導電パターンを形
成したPCB上に、スクリーン印刷にて塗布、乾燥し、
厚さ30μm の摺動性表面を有する異方導電性接着膜を形
成した。
【0017】この異方導電性接着膜を導電パターン数 2
00本、導電パターンの長手方向の長さ30mmにサイジング
し、同じ接続用電極パターンを有するLCDに一方の端
部を重ね合せ、位置の合ったところで、先端部が半径
0.5mmの半球形をしたステンレス製の治具を用いて3箇
所押圧して仮固定した後、ヒートシール接続した。ま
た、もう一方の端部も 0.3mmピッチの接続用電極をもつ
PCBに同様の方法でヒートシール接続した。この作業
を 100個分行ったが、位置合せ時の摺動性は良好であ
り、またヒートシール品に位置ズレも生じなかった。
【0018】
【発明の効果】以上、明らかなように、本発明による異
方導電性接着膜を用いれば、低ピッチの電極をもつ電気
回路の接続作業にあたり、絶縁性接着剤膜の表面から突
出した導電性粒子の突起によって生じた摺動性によっ
て、容易に位置合わせ、仮固定を行うことができるので
作業効率が向上し、労力、コストの低減にいちじるしい
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は二つの電気回路の間に本発明の異方導
電性接着膜を挟持しようとするときの縦断面図、(b)
は(a)の構造物をヒートシールしたときの縦断面図。
【図2】二つの電気回路の間に球状の導電性粒子を分散
してなる異方導電性接着膜を挟持したときの縦断面図。
【符号の説明】
1…一方の電気回路の基板、2…一方の電気回路の電
極、3…絶縁性接着剤、4…球状の導電性粒子、5…球
状の導電性粒子を分散した異方導電性接着膜、6…他方
の電気回路の基板、7…他方の電気回路の電極8…タッ
ク性を備えた絶縁性接着剤、9…突起を備えた導電性
粒子、10…本発明の異方導電性接着膜。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性接着剤に導電性粒子を分散させ
    て予め成形された異方導電性接着膜であって、前記絶縁
    性接着剤は常温でタック性を備え、前記異方導電性接着
    膜の厚さは5〜40μm であり、導電性粒子は表面に複数
    の突起を備え、全粒子の30wt%以上95wt%以下が前記
    縁性接着剤からなる膜の厚さより大きい粒径を有し、当
    該複数の突起が前記絶縁性接着剤からなる膜の面よりも
    突出していることを特徴とする摺動性表面を有する電気
    回路接続用異方導電性接着膜。
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