JP4056772B2 - ヒートシールコネクタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCDやPDPとこれらの駆動回路を搭載した回路基板等とを電気的に接続するヒートシールコネクタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、異方導電接着剤は、図示しないLCD(液晶ディスプレイ)やPDP(プラズマディスプレイ)等からなる表示体と、PCB(プラズマディスプレイパネル)やFPC(フレキシブルプリント回路基板)等との電気的な接続、あるいはPCB(プリント基板)とFPC等との電気的な接続に利用されている。このような異方導電接着剤は、絶縁性接着剤中に導電粒子が分散されることにより製造され、上記した被接続基板間に挟まれ、その後、熱と圧力とが作用することにより、換言すれば、熱圧着されることにより、接着と電気的な接続とを同時に行う。
【0003】
ところで、近年における電子機器の高機能化や高精密化に伴い、表示体の接続ピッチが小さくなっている関係上、接続の信頼性に対する要求が非常に高くなってきている。この点に鑑み、異方導電接着剤の絶縁性接着剤は、熱可塑性のタイプではなく、耐熱性や接着強度に優れる熱硬化性のタイプが最も多く使用されている。特に、エポキシ樹脂は、ガラス、ポリイミド、ガラエポ等の基板に対する接着力が強く、しかも、耐熱性に優れるという理由から少なからず用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の異方導電接着剤は、以上のように耐熱性、接着性、信頼性という性能が求められるが、この他にも、熱圧着時間の短縮により工程能力を向上させるため、短時間で硬化すること、可能な限り低温で圧着すること、取扱が容易なこと等も求められる。
しかしながら、短時間で硬化したり、低温で硬化する熱硬化性樹脂は、常温での可使時間が短いという問題がある。そこで、これを回避するため、従来から硬化剤をマイクロカプセル化して可使時間を延長できる潜在性硬化剤を含有する異方導電接着剤が使用されているが、これも又、冷凍や冷凍保管が必須となり、しかも、一箇月から数箇月といった短期間しか保存できない等、管理や取扱が実に煩雑である。
【0005】
さらに、硬化剤のマイクロカプセルは、その製法上、壁材の耐溶剤性が弱く、特にケトン系やアルコール系の極性溶媒で容易に破壊されてしまうので、異方導電接着剤の調製に多くの制約がある。これは、硬化剤は短時間で硬化するため、可能な限り速硬化性のタイプを選択せざるを得ず、例えばアミン系やイミダゾール系のタイプが選択されるが、従来の界面反応法によるマイクロカプセル化では、耐溶剤性や耐熱性に優れるカプセル壁が形成できないという理由に基づく。特に、市販の潜在性硬化剤は、熱潜在性のタイプなので、異方導電接着剤を膜状に成形する場合には、硬化が開始しないよう低温で乾燥させなければならない。したがって、使用できる溶剤が低沸点溶剤(50〜80℃程度)に限定されるので、部分印刷が可能なスクリーン印刷法等の高沸点溶剤を必要とする製造方法を採用することができない。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたもので、短時間で低温圧着することができ、しかも、常温で保管することができる取扱の容易なヒートシールコネクタの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決する方法について種々検討した結果、エポキシ樹脂を包むマイクロカプセルを異方導電接着剤に分散して硬化剤と隔離し、その内包量、粒径、強度を調整することにより、熱圧着時まで安定した保存性を示すとともに、熱圧着時には低温、短時間で硬化する異方導電接着剤を得ることができるのを見出し、マイクロカプセル、硬化剤、導電粒子等の構成材料の種類、強度、厚み、溶剤耐性等について鋭意研究し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明においては上記課題を解決するため、可撓性の基材の少なくとも一面に複数の導電ラインを並べてスクリーン印刷し、この複数の導電ラインの両端の接続部に、加圧加熱により電気的接合物に圧着する異方導電接着剤をそれぞれ塗布し、複数の電気的接合物間を電気的に接続するヒートシールコネクタの製造方法であって、
異方導電接着剤は、エポキシ樹脂を包むマイクロカプセルと、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤と、導電粒子とを含み、マイクロカプセルのエポキシ樹脂内包率を30〜99wt%とし、マイクロカプセルの平均粒径を導電粒子の平均粒径よりも大きくすることを特徴としている。
【0008】
なお、異方導電接着剤は、製膜性の高分子化合物を含むことができる。
また、硬化剤をマイクロカプセル型とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における異方導電接着剤1は、図1ないし図3に示すように、少なくともエポキシ樹脂を包むマイクロカプセル2と、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤3と、導電粒子4とをそれぞれ複数含有し、電気的な接合物であるFPC基板10とLCD11とを接着して電気的に接続する。
【0010】
エポキシ樹脂を内包するマイクロカプセル2としては、例えば液状あるいは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を公知のカプセル化法により、カプセル化したものが用いられる。すなわち、界面重合法、in‐situ重合法等の化学的方法、コアセルベーション法、液中乾燥法等の物理化学的方法、メカノフュージョン、メカノケミカル等の機械的方法、その他、スプレードライ法、高速気流中衝撃法等により、カプセル化されたエポキシ樹脂マイクロカプセル2が用いられる。
【0011】
マイクロカプセル2のエポキシ樹脂内包率としては、30wt%以上であるのが好ましい。これは、30wt%未満の場合には、異方導電接着剤1としたときに、接着に関与しないマイクロカプセル2の壁材の割合が多くなって接着性に欠けるからである。また、マイクロカプセル2のエポキシ樹脂内包率は、99wt%以下であるのが好ましい。これは、99wt%を超える場合には、マイクロカプセル2の壁材強度が弱化し、異方導電接着剤1の調製時に損傷したり、保存安定性の悪いマイクロカプセル2になる可能性が大きいからである。
【0012】
内包率は、エポキシ樹脂を内包するマイクロカプセル2を乳鉢ですり潰し、これを秤量し、MEK等からなるエポキシ樹脂の良溶媒で洗浄後、乾燥して残存したカプセル壁の重量から求められる。
{1−(カプセル壁)/(エポキシ樹脂+カプセル壁)}×100(wt%)
【0013】
さらに、マイクロカプセル2の壁の厚み(T)は、以下の式の範囲であるのが好ましい。
0.001×φ≦T≦0.3×φ
(φ=エポキシ樹脂を内包するマイクロカプセル2の粒径)
これは、0.001×φ未満の場合には、マイクロカプセル2の壁材の強度が弱く、異方導電接着剤1の調製時に破壊したり、保存安定性の悪いマイクロカプセル2になるからである。また、0.3×φよりも大きい場合には、異方導電接着剤1としたときに接着に関与しないマイクロカプセル2の壁材の割合が多くなり、接着性に欠けるとともに、壁材の強度が必要以上に強くなり、熱圧着時に破壊されずに硬化が進行しないおそれがあるという理由に基づく。したがって、配合するエポキシ樹脂マイクロカプセル2の80%以上が係る範囲の壁厚であるのが望ましい。
【0014】
マイクロカプセル2における壁材の強度としては、上記理由と同様の理由から、マイクロカプセル2の平均破壊強度で1〜50MPaが好ましい。ここでいう平均破壊強度とは、微小圧縮試験機[株式会社島津製作所:商品名MCTM‐500]等を用いた場合の塑性変形点、あるいは破壊点での強度の平均をいう。また、マイクロカプセル2における壁材は、異方導電接着剤1の配合に溶剤を使用することがあることから、一般的な溶剤に対する耐性の強いものが好ましい。具体的には、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、シクロヘキサノン、酢酸カルビトール、石油スピリット等の汎用溶剤に溶解したり、膨潤しない壁材であるのが好ましい。
【0015】
また、これをヒートシールコネクタの接続部に直接スクリーン印刷により塗布する場合には、沸点の高い溶剤を乾燥させる関係上、耐熱性が必要なこともあるので、マイクロカプセル2における壁材も耐熱性に優れることが好ましい。この場合、可能であれば、100〜200℃程度の耐熱性を具備すると良い。
【0016】
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤3としては、エポキシ樹脂用の通常の硬化剤で良い。例えば、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、フェノール系化合物、メルカプト化合物、カルボン酸系化合物、水酸基含有化合物、イソシアネート類等があげられるが、特にアミン系、イミダゾール系、メルカプト化合物等は反応速度が速いので好ましい。さらに、促進剤として、各種の酸やアミン類等を混合することができる。
【0017】
これらの硬化剤3は、特に溶剤の影響がない異方導電接着剤1の配合に使用するのであれば、潜在性を付与するためにマイクロカプセル化することも可能である。例えば、市販の潜在性硬化剤であるノバキュア[味の素ファインテクノ株式会社]、アミキュア[味の素ファインテクノ株式会社]、フジキュア[藤化成工業株式会社]を使用することができる。これは、保存時の硬化剤3による吸湿を防止し、しかも、より高温の保存条件にも十分耐え得る異方導電接着剤1となるので有効であるが、硬化時間を遅延させるおそれもあるので、選択には注意を要する。また、溶剤の影響が多少あっても、製膜時におけるインクのポットライフを若干ながら向上させることができるので、異方導電接着剤膜やヒートシールコネクタの製造に有効である。
【0018】
エポキシ樹脂のマイクロカプセル2とその硬化剤3の配合量は、マイクロカプセル2のエポキシ樹脂内包率と、エポキシ樹脂のエポキシ当量とを考慮しながら決定される。通常、アミン系化合物(第3アミンを除く)、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物等の付加重合型の硬化剤3はエポキシ当量に見合う量を、イミダゾール系化合物等のような触媒型の硬化剤3はこれよりも少なめに配合する。例えば、エポキシ当量184〜194のエポキシ樹脂には、DETA(ジエチレントリアミン)を20〜60重量部程度配合するが、マイクロカプセル化したエポキシ樹脂には、この値にエポキシ樹脂の内包率、例えば90%をかけた値である18〜54重量部を配合すれば良いことになる。
【0019】
導電粒子4としては、公知の導電粒子が使用される。具体的には、金、銀、ニッケル、銅、パラジウム、ステンレス、真鍮、半田等の金属粒子、タングステンカーバイト、シリカカーバイト等のセラミック粒子、カーボン粒子、あるいは表面が金属で被覆されたプラスチック粒子、又はこれらの組み合わせ等が用いられる。
【0020】
エポキシ樹脂のマイクロカプセル2は、異方導電接着剤1の圧着時に圧力により破壊されることが好ましい。したがって、マイクロカプセル2の平均粒径Rは、導電粒子4の平均粒径rよりも大きいことが好ましい。また、表面が金属被覆されたプラスチック粒子、金、銀、半田等の柔らかい粒子は異方導電接着剤1の圧着時に潰れて変形し、圧着前後の圧着方向の粒子が変化することがあるが、この場合には、導電粒子4の圧縮率(D=圧着後の粒径/圧着前の粒径)を考慮して圧縮後の導電粒子4の平均粒径(r*D)よりも、マイクロカプセル2の平均粒径Rが大きければ良いこととなる。
【0021】
異方導電接着剤1を膜として製造する場合には、マイクロカプセル2、硬化剤3、導電粒子4の他、製膜性を有する高分子化合物を任意に用いることができる。この高分子化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン‐酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐イソブチルアクリレート共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、スチレン‐ブチレン‐スチレン(SBS)共重合体、カルボキシル変性SBS共重合体、スチレン‐イソプレン‐スチレン(SIS)共重合体、スチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン(SEBS)共重合体、マレイン酸変性SBES共重合体、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル変性CR、スチレン‐ブタジエンゴム、イソブチレン‐イソプレン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル変性NBR、アミン変性NBR、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーンゴム、アクリルゴム等から選択される1種又は2種以上の組み合わせにより得られるものがあげられる。
【0022】
異方導電接着剤1には、粘着付与剤としてのロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロン‐インデン樹脂、スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等の1種又は2種以上、反応性助剤、架橋剤としてのポリオール、イソシアネート類、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウトロピン類、アミン類、酸無水物、過酸化物、金属酸化物、トリフルオロ酢酸クロム塩等の有機金属塩、チタン、ジルコニア、アルミニウム等のアルコキシド、ジブチル錫ジオキサイド等の有機金属化合物、2,2‐ジエトキシアセトフェノン、ベンジル等の光開始剤、アミン類、燐化合物、塩素化合物等の増感剤等を添加するのは任意である。これにはまた、硬化剤、加硫剤、劣化防止剤、耐熱添加剤、熱伝導向上剤、軟化剤、着色剤、各種カップリング剤、金属不活性剤等を適宜添加することができる。
【0023】
異方導電接着剤1は絶縁性接着剤中に導電粒子4が常法にしたがって分散混合することにより調製されるが、配合量は絶縁性接着剤100容量部に対して0.01〜100容量部、好ましくは1〜10容量部の範囲である。これは、配合量が0.01容量部未満の場合には、導通不良を起こし易く、逆に100容量部を超える場合には、絶縁不良を招き易いからである。
【0024】
なお、異方導電接着剤1の接着・粘着成分が常温で固形、あるいは高粘度液体の場合には、これをエステル系、ケトン系、エーテルエステル系、エーテル系、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸エチルカルビトール、ジイソアミルエーテル、シクロヘキサノール、石油スピリット、トルエン等の溶剤に溶解して溶液とし、これを所定の印刷法・コート法により、接続すべき電極上の所定位置に塗布したり、セパレータ上に形成して所定の寸法にカットし、その後、これを接続すべき電極上に転写して用いることができる。また、接着・粘着成分が液体の場合、接続作業時にこれを接続すべき電極上に塗布して用いることもできる。
【0025】
上記において、FPC基板10とLCD11とを異方導電接着剤1により電気的に接続する場合には、先ず、FPC基板10の電極上に異方導電接着剤1を塗布してこれにLCD11の電極を接着し、LCD11の上方から1〜6MPa程度の圧力で加圧するとともに、同時に110〜200℃程度に加熱して異方導電接着剤1を活性化させた後、FPC基板10とLCD11とを異方導電接着剤1で固定すれば、FPC基板10とLCD11の電極間を異方導電接着剤1の導電粒子4で電気的に導通接続することができる。
【0026】
本実施形態によれば、カプセル壁の材質を選択し易く、カプセル壁の厚さや硬さの調整が可能なエポキシ樹脂のマイクロカプセル2を使用することができるので、長期に亘って保存することができる。また、硬化剤3を選ばず、速硬化が可能なタイプを選択することができるので、圧着時間を大幅に短縮することができる。さらに、従来から高温を加えられないため、不可能だったスクリーン印刷法での印刷も可能となるので、異方導電接着剤1が仮圧着不用でヒートシールコネクタとして製造することができる。
【0027】
次に、図4は本発明に係るヒートシールコネクタの実施形態を示すもので、この場合には、厚さ10〜100μmのポリエステルやポリイミド等からなる断面略帯形の可撓性の基材20を備え、この基材20の少なくとも表面長手方向に、複数本の導電ライン21を並設してこの複数本の導電ライン21の非接続部上には、絶縁レジスト層22を積層配置し、各導電ライン21の接続部である両端部23には、上記異方導電接着剤1を塗布してこれに電気的接合物30を圧着するようにしている。
【0028】
各導電ライン21としては、有機バインダに0.01〜10μm程度の粒径を有する銀粉、銅粉、カーボンブラック、グラファイト等の導電性付与剤を混合した導電ペーストがスクリーン印刷されたもの、金属箔をエッチングしてライン化したもの等があげられる。勿論、これ以外にも他の導電ライン21が適宜使用される。各導電ライン21の高さとしては、1〜40μm程度であり、導電ライン21が精細なほど、各導電ライン21の高さが低いほうが製造しやすい。
【0029】
絶縁レジスト層22としては、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリウレタン系、アクリル系等合成樹脂類、各種の合成ゴム類、又はその混合物をベースに、硬化剤、加硫剤、劣化防止剤等の添加物を必要に応じて添加して上記溶剤に溶解し、スクリーン印刷したもの、ポリイミド、ポリエステル、塩化ビニル等のフィルムにアクリル系樹脂等の粘着剤が塗布されてこれを貼着したもの等があげられる。また、電気的接合物30としては、FPC基板10、LCD11、表示パネル等のガラス、LSIチップ等があげられる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果が期待できるのは明らかである。
【0030】
【実施例】
以下、本発明に係る異方導電接着剤及びヒートシールコネクタの実施例について比較例と共に説明する。
実施例1
(1) エポキシマイクロカプセルの調製
先ず、ホルマリン溶液(37wt%)100重量部とトリエタノールアミン0.5重量部、尿素65重量部を70℃の温度で約2時間攪拌して反応させ、冷水800重量部で希釈し、尿素‐ホルムアルデヒドポリマーの溶液を調製した。こうして溶液を調製したら、この溶液のpHを約7に、温度を25℃にそれぞれ調整し、エポキシ当量184〜194の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製 商品名エピコート828)を添加して約1200rpmで攪拌するとともに、溶液を均一にし、3N塩酸で溶液をpH2.2に調整し、温度約40℃で12時間反応させた。
【0031】
反応終了後、pHを中性に戻し、得られたマイクロカプセルを水洗い・濾過してエポキシ樹脂内包マイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルは、平均粒径が42μm、内包率が70%、平均壁厚が1.1μm、平均破壊強度が11.6MPaであった。
【0032】
(2) 絶縁性接着剤溶液の調製
分子量30000の飽和共重合ポリエステル樹脂(株式会社ユニチカ製 商品名エリーテルUE‐3410)100重量部、変性アミン系硬化剤(JER製 商品名エポメートRX221)35重量部、上記マイクロカプセル150重量部に、MEK:トルエン=3:7溶剤300重量部を加え、絶縁性接着剤溶液を調製した。
【0033】
(3) 異方導電接着剤の調製
上記絶縁性接着剤溶液の固形分100重量部に、導電粒子として表面がAuメッキされたニッケル粒子(平均粒径6μm)を10重量部加え、異方導電接着剤を調製した。
(4) 異方導電接着膜の作製
上記異方導電接着剤を溶媒除去後の厚さが20μmとなるようコンマコーターで塗布して異方導電接着膜を作製し、これを所定の寸法に切断して異方導電接着膜を作製した。
【0034】
実施例2
(1) エポキシマイクロカプセルの調製
先ず、ホルマリン溶液(37wt%)100重量部とトリエタノールアミン0.5重量部、尿素65重量部を70℃の温度で約2時間攪拌して反応させ、冷水800重量部で希釈し、尿素‐ホルムアルデヒドポリマーの溶液を調製した。こうして溶液を調製したら、この溶液のpHを約7に、温度を25℃にそれぞれ調整し、エポキシ当量184〜194の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製 商品名エピコート828)を添加して約1220rpmの回転で攪拌するとともに、溶液を均一にし、3N塩酸で溶液をpH2.2に調整し、温度約40℃で15時間反応させた。
【0035】
反応終了後、pHを中性に戻し、得られたマイクロカプセルを水洗い・濾過してエポキシ樹脂内包マイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルは、平均粒径が40μm、内包率が70%、平均壁厚が1.2μm、平均破壊強度が13.4MPaであった。
【0036】
(2) 絶縁性接着剤溶液の調製
NBR30重量部、エポキシ当量2400〜3300の固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製 商品名エピコート1009)100重量部、2‐メタルイミダゾールl20重量部、上記マイクロカプセル50重量部に、シクロヘキサノン300重量部を加え、絶縁性接着剤溶液を調製した。
【0037】
(3) 異方導電接着剤の調製
上記絶縁性接着剤溶液の固形分100重量部に、導電粒子として表面がNi‐Auメッキされたスチレン樹脂粒子(平均粒径5μm)を10重量部加え、異方導電接着剤を調製した。
(4) ヒートシールコネクタの作製
厚さ25μmのポリイミドフィルムからなる可撓性の基材上に厚さ35μmの銅箔からなる0.15mmピッチの導電ラインを有するFPCの接続部に、上記異方導電接着剤を溶媒除去後の厚さが20μmとなるようスクリーン印刷法で印刷塗布して異方導電接着層を作製し、残る部分に絶縁レジスト層を設け、これを所定の寸法に切断してヒートシールコネクタを作製した。
【0038】
比較例1
(1) 絶縁性接着剤溶液の調製
分子量30000の飽和共重合ポリエステル樹脂(株式会社ユニチカ製 商品名エリーテルUE‐3410)100重量部、エポキシ当量184〜194の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製 商品名エピコート828)120重量部に、MEK:トルエン=3:7溶剤300重量部を加え、絶縁性接着剤溶液を調製した。
【0039】
(2) 異方導電接着剤の調製
上記絶縁性接着剤溶液の固形分100重量部に、導電粒子として表面がAuメッキされたニッケル粒子(平均粒径6μm)を10重量部加え、異方導電接着剤を調製した。
(3) 異方導電接着膜の作製
上記異方導電接着剤に変性アミン系硬化剤(JER製 商品名エポメートRX221)30重量部を加え、溶媒除去後の直後の厚さが20μmとなるようコンマコーターで塗布して異方導電接着膜を作製し、これを所定の寸法に切断して異方導電接着膜を作製した。
なお、異方導電接着剤のポットライフは5分程度しかなく、塗布の途中で粘度が増加して塗布が不可能となった。
【0040】
比較例2
(1) 絶縁性接着剤溶液の調製
分子量30000の飽和共重合ポリエステル樹脂(株式会社ユニチカ製 商品名エリーテルUE‐3410)100重量部、エポキシ当量184〜194の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製 商品名エピコート828)120重量部に、MEK:トルエン=3:7溶剤300重量部を加え、絶縁性接着剤溶液を調製した。
【0041】
(2) 異方導電接着剤の調製
上記絶縁性接着剤溶液の固形分100重量部に、導電粒子として表面がAuメッキされたニッケル粒子(平均粒径6μm)を10重量部加え、異方導電接着剤を調製した。
(3) 異方導電接着膜の作製
上記異方導電接着剤に潜在性硬化剤(味の素株式会社製 商品名PN‐23)30重量部を加え、溶媒除去後の直後の厚さが20μmとなるようコンマコーターで塗布して異方導電接着膜を作製し、これを所定の寸法に切断して異方導電接着膜を作製した。
なお、異方導電接着剤のポットライフは30分程度しかなく、塗布の途中で粘度が増加して塗布が困難になったが、形成した膜を用いて保存試験を行うことができた。
【0042】
保存試験
上記実施例1、実施例2、比較例2の異方導電接着膜、ヒートシールコネクタを40℃の恒温槽に1ヶ月、3ヶ月保存し、それぞれ面積抵抗率50Ω/□の透明導電酸化膜基板(ITO)とPCBの間に以下の条件で熱圧着し、ITOからの平均剥離強度を測定した。さらに、信頼性試験(85℃、85%、RH1000時間)前後の平均抵抗値の変化(1000時間後‐初期)を測定した。
【0043】
なお、異方導電接着剤については、厚さ25μmのポリイミドフィルムからなる可撓性の基材上に厚さ35μmの銅箔からなる0.15mmピッチの導電ラインを有するFPCの接続部に仮圧着し、残る部分に絶縁レジスト層を設け、ヒートシールコネクタと同様の形状にして試験した。熱圧着後における導電粒子の平均粒径は、実施例1が6μm、実施例2が3μm、比較例2が6μmであった。
【0044】
圧着条件
実施例1:180℃、3MPa、9sec
実施例2:180℃、3MPa、9sec
比較例2:180℃、3MPa、40sec(9secでは硬化が不完全)
【0045】
結 果
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、異方導電接着剤に、エポキシ樹脂を包むマイクロカプセルと、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤と、導電粒子とを含み、マイクロカプセルのエポキシ樹脂内包率を30〜99wt%とし、マイクロカプセルの平均粒径を導電粒子の平均粒径よりも大きくするので、短時間で低温圧着することができ、常温で保管することができるとともに、容易に取り扱うことができるという効果がある。
また、マイクロカプセルのエポキシ樹脂内包率が30wt%未満ではないので、異方導電接着剤としたときに、接着に関与しないマイクロカプセルの壁材の割合が多くなって接着性に欠けることが少ない。また、マイクロカプセルのエポキシ樹脂内包率が99wt%を超えることがないので、マイクロカプセルの壁材強度が弱化し、異方導電接着剤の調製時に損傷したり、保存安定性の悪いマイクロカプセルになる可能性が少ない。さらに、マイクロカプセルの平均粒径を導電粒子の平均粒径よりも大きくするので、エポキシ樹脂のマイクロカプセルを異方導電接着剤の圧着時に圧力により簡単に破壊することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る異方導電接着剤の実施形態を示す模式断面説明図である。
【図2】本発明に係る異方導電接着剤の実施形態における圧着前の状態を示す模式断面説明図である。
【図3】本発明に係る異方導電接着剤の実施形態における圧着後の状態を示す模式断面説明図である。
【図4】本発明に係るヒートシールコネクタの実施形態における使用状態を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
1 異方導電接着剤
2 マイクロカプセル
3 硬化剤
4 導電粒子
10 FPC基板
11 LCD
20 基材
21 導電ライン
23 両端部(接続部)
30 電気的接合物
Claims (3)
- 可撓性の基材の少なくとも一面に複数の導電ラインを並べてスクリーン印刷し、この複数の導電ラインの両端の接続部に、加圧加熱により電気的接合物に圧着する異方導電接着剤をそれぞれ塗布し、複数の電気的接合物間を電気的に接続するヒートシールコネクタの製造方法であって、
異方導電接着剤は、エポキシ樹脂を包むマイクロカプセルと、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤と、導電粒子とを含み、マイクロカプセルのエポキシ樹脂内包率を30〜99wt%とし、マイクロカプセルの平均粒径を導電粒子の平均粒径よりも大きくすることを特徴とするヒートシールコネクタの製造方法。 - 異方導電接着剤は、製膜性の高分子化合物を含んでなる請求項1記載のヒートシールコネクタの製造方法。
- 硬化剤をマイクロカプセル型とした請求項1又は2記載のヒートシールコネクタの製造方法。
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