JP2543748Y2 - 車両の排気系取付装置 - Google Patents

車両の排気系取付装置

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JP2543748Y2
JP2543748Y2 JP1791791U JP1791791U JP2543748Y2 JP 2543748 Y2 JP2543748 Y2 JP 2543748Y2 JP 1791791 U JP1791791 U JP 1791791U JP 1791791 U JP1791791 U JP 1791791U JP 2543748 Y2 JP2543748 Y2 JP 2543748Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、車両の排気系取付装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、2つの気筒列を備えたエンジ
ン、例えばV型エンジンにおいては、各気筒列(各バン
ク)に対して夫々排気通路が設けられ、両排気通路は下
流側の集合部で1つの集合排気通路に集合されるように
なっている(例えば、実開昭62−67921号公報参
照)。
【0003】例えば、V型エンジンが縦置きに搭載され
た車両においては、通常、エンジンないしトランスミッ
ションの左右の側方に、夫々、排気通路がほぼ車両前後
方向に伸長するようにして配置され、両排気通路はトラ
ンスミッション後方の集合部で1つの集合排気通路に集
合される。そして、集合排気通路は、ほぼ車両前後方向
に伸長するように配置され、したがって排気系は全体的
には略Y字形をなす。
【0004】このように略Y字形に形成された排気系に
おいては、通常、集合部まわりの三叉部分には、鋳造等
により一体形成された略Y字形の三叉分岐管(以下、こ
れをY字管という)が用いられ、したがって、Y字管
は、各排気通路に属する部分と集合排気通路側に属する
部分とを含むことになる。換言すれば、各排気通路は、
夫々気筒列毎に個別的に設けられる部分(以下、これを
排気管という)と、Y字管に含まれる部分とで構成さ
れ、したがって、各排気通路は、夫々、集合部のやや前
側で、前後に分割して形成されることになる。なお、各
排気管とY字管とはフランジ等を用いて接続される。
【0005】かかる排気系は、排気マニホールドに接続
されるとともに、車両本体側(エンジン、トランスミッ
ションを含む)に取り付けられる。具体的には、例え
ば、排気系は、その前端部で排気マニホールドに直接的
に連結・固定され、排気通路の部分で懸架部材を介して
トランスミッションケースに固定され、さらに集合排気
通路の部分で懸架部材を介して車体に固定される。ここ
で、排気系の耐久性を高めるためには、懸架部材を排気
系の剛性の高い部分に連結する必要があるので、例え
ば、排気通路の部分においては、懸架部材が、排気通路
の分割部を接続するフランジ等に連結される(例えば、
実公平1−43462号公報参照)。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】このように複数の部材
からなる排気系を車両本体側に組み付ける場合、普通、
まず各排気管を対応する排気マニホールドに連結し、次
にY字管を各排気管に連結するようにしている。しかし
ながら、かかる組み付けにおいては、通常、各部材の組
み付け位置に多少のばらつきが生じる。このため、両排
気管の組み付け位置にも多少のばらつきが生じるが、両
排気管に連結されるY字管は、その形状が固定されてい
るので、上記ばらつきを吸収するがなかなかむずかし
く、したがってY字管の組み付け性が悪くなるといった
問題がある。
【0007】本考案は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたものであって、2つの気筒列を備えたエン
ジンが車体に縦置きに搭載され、排気系が略Y字形に形
成された車両において、排気系の各部材の組み付け位置
にばらつきがある場合でも、各部材を容易に組み付ける
ことができる、車両の排気系取付装置を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、第1の考案は、2つの気筒列を備えたエンジンが車
体に縦置きに搭載され、各気筒列に対して夫々排気通路
が設けられ、かつ両排気通路がエンジン後方の集合部で
1つの集合排気通路に集合されている車両において、両
排気通路を、夫々、途中で前後に分割して形成するとと
もに、分割された前後の排気通路同士を接続する接続部
を設け、第1の気筒列側の排気通路の接続部の配置位置
を比較的集合部に近い位置に設定し、第2の気筒列側の
排気通路の接続部の配置位置を第1の気筒列側に比べて
集合部から遠い位置に設定したことを特徴とする車両の
排気系取付装置を提供する。
【0009】第2の考案は、2つの気筒列を備えたエン
ジンが車体に縦置きに搭載され、各気筒列に対して夫々
排気通路が設けられ、かつ両排気通路がエンジン後方の
集合部で1つの集合排気通路に集合されている車両にお
いて、両排気通路を、夫々、途中で前後に分割して形成
するとともに、分割された前後の排気通路同士を接続す
る接続部を設け、第1の気筒列側の排気通路の接続部の
配置位置をエンジン出力軸線の延長線に比較的近い位置
に設定し、第2の気筒列側の排気通路の接続部の配置位
置を第1の気筒列側に比べて上記のエンジン出力軸線の
延長線から遠い位置に設定する一方、一端がエンジン出
力軸の軸線の延長線近傍でトランスミッション側に連結
され、他端が第1の気筒列側の排気通路の接続部に連結
される懸架手段を設けたことを特徴とする車両の排気系
取付装置を提供する。
【0010】第3の本考案は、2つの気筒列を備えたエ
ンジンが車体に縦置きに搭載され、各気筒列に対して夫
々排気通路が設けられ、かつ両排気通路がエンジン後方
の集合部で1つの集合排気通路に集合されている車両に
おいて、両排気通路を、夫々、途中で前後に分割して形
成するとともに、分割された前後の排気通路同士を接続
する接続部を設け、第1の気筒列側の排気通路の接続部
の配置位置を比較的集合部に近い位置に設定し、第2の
気筒列側の排気通路の接続部の配置位置を第1の気筒列
側に比べて集合部から遠い位置に設定する一方、一端が
エンジン出力軸の軸線の延長線近傍でトランスミッショ
ン側に連結され、他端が第1の気筒列側の排気通路の接
続部に連結される懸架手段を設けたことを特徴とする車
両の排気系取付装置を提供する。
【0011】
【実施例】以下、本考案の実施例を具体的に説明する。
図1と図2とに示すように、車両には、第1,第2バン
ク1,2を備えたV型エンジンEが、縦置きにすなわち
気筒列が車両前後方向(図1,図2では左右方向)を向く
ようにして配置され、このエンジンEの後側(図1,図2
では右側)にトランスミッション3が配置されている。
【0012】そして、エンジンEの排気ガスを排出する
ために、エンジン近傍から車両後端部近傍にわたって車
両前後方向に伸長する排気系Hが設けられている。この
排気系Hにおいては、第1バンク1側の各気筒の排気ガ
スが第1排気通路4に排出される一方、第2バンク2側
の各気筒の排気ガスが第2排気通路5に排出されるよう
になっている。そして、両排気通路4,5内の排気ガス
は、集合部6で合流して1つの集合排気通路7に流入
し、順に3元触媒を用いた触媒コンバータ8と、プリサ
イレンサ9とを通って、メインサイレンサ10に流入
し、この後第1,第2テールパイプ11,12を通って外
部に流出するようになっている。
【0013】以下、排気系Hの具体的構造を説明する。
排気系Hの前部には、エンジンEないしトランスミッシ
ョン3の第1バンク1側の側方に配置される第1排気管
14と、第2バンク2側の側方に配置される第2排気管
15とが設けられている。ここで、第1排気管14と第
2排気管15とは、平面的にみれば、エンジンEないし
トランスミッション3の出力軸の軸線L(以下、単に出
力軸軸線Lという)、すなわちほぼ車両中心線に対して
ほぼ線対称となるような形状に形成ないし配置されてい
る。なお、第1,第2排気管14,15の前端部は、夫々
対応する排気マニホールド(図示せず)に接続されるよう
になっている。
【0014】そして、トランスミッション3の後端部近
傍において、第1,第2排気管14,15の後端部には、
三叉構造のY字排気管16が接続されている。このY字
排気管16には、触媒コンバータ8が介設された本体部
17と、夫々本体部17から分岐する、管長の短い第1
分岐管部18と、第1分岐管部18よりは管長が長い第
2分岐管部19とが設けられている。Y字排気管16
は、平面的にみれば、本体部17の軸線が出力軸軸線L
とほぼ一致するような位置に配置されている。ここで、
第1排気管14と第1分岐管部18とは、第1排気管1
4のフランジ部14aと、第1分岐管部18のフランジ
部18aとをボルト締結することによって連結され、同
様に第2排気管15と第2分岐管部19とは、第2排気
管15のフランジ部15aと、第2分岐管部19のフラ
ンジ部19aとをボルト締結することによって連結され
ている。上記構成において、第1分岐管部18は、管長
が短いのでその剛性が高くなり、他方第2分岐管部19
は、管長が長いのでその剛性が比較的低くなり適度な弾
力性を備えている。なお、前記の第1排気通路4は、第
1排気管14と第1分岐管部18とで構成され、第2排
気通路5は、第2排気管15と第2分岐管部19とで構
成されていることになる。
【0015】Y字排気管16の本体部17の後端部に
は、第1集合排気管21が接続され、この第1集合排気
管21の後端部にはさらに第2集合排気管22が接続さ
れている。したがって、前記の集合排気通路7は、Y字
排気管16の本体部17と、第1,第2集合排気管21,
22とで構成されていることになる。そして、第1集合
排気管21には、比較的体積の大きいプリサイレンサ9
が介設され、また第2集合排気管22の後端部には、比
較的体積の大きいメインサイレンサ10が接続されてい
る。なお、メインサイレンサ10の後端部には排気経路
長の短い第1テールパイプ11が接続され、前端部には
排気経路長の長い第2テールパイプ12が接続され、排
気管系Hは、エンジンEの運転状態に応じて排気ガスの
排出経路を変える、いわゆる可変サイレンサ方式となっ
ている。
【0016】ここで、第1集合排気管21は、平面的に
みれば、Y字排気管16(本体部17)との接続部のやや
後方で車両幅方向右側に湾曲し、この湾曲部より後方で
は出力軸軸線Lに対して、車両幅方向右側にオフセット
して配置されている。この第1集合排気管21に接続さ
れた第2集合排気管22も、同様にオフセットして配置
されている。これに伴って、プリサイレンサ9とメイン
サイレンサ10も、出力軸軸線Lに対して、車両幅方向
右側にオフセットして配置されている。このように、第
1,第2集合排気管21,22と両サイレンサ9,10と
が出力軸軸線Lに対してオフセットして配置されている
ので、これらとプロペラシャフト等の動力系統(図示せ
ず)との間に干渉が起こりにくくなり、車両のレイアウ
ト性の向上が図られる。
【0017】そして、排気系Hは、これと車両本体側と
の間に生じる相対変位ないし振動を吸収できるようにし
て、車両本体側(エンジンEとトランスミッション3と
を含む)に取り付けられるが、以下この取付構造ないし
防振構造を説明する。基本的には、第1排気管14のフ
ランジ部14aと、プリサイレンサ9の後端部と、第2
集合排気管22の後寄りの部分と、第1,第2テールパ
イプ11,12の前寄りの部分とが、夫々第1〜第4懸
架手段25〜28を介して車両本体側に連結され、これ
によって排気系Hが車両本体側に取り付けられている。
なお、第1,第2排気管14,15は、夫々、これらが接
続される排気マニホールド(図示せず)によっても、支持
・固定される。
【0018】図3と図4とに示すように、第1懸架手段
25は、実質的に、ゴム等の弾性材料からなる防振材3
1と、トランスミッションケース3aの下面に固定され
たブラケット30の後端部下面に一端が連結され、他端
が防振材31の上部に連結される上側ハンガ部材32
と、一端が第1排気管14のフランジ部14aに連結さ
れ、他端が防振材31の下部に連結される下側ハンガ部
材33とで構成されている。なお、トランスミッション
3の振動を抑制するために、ブラケット30の下面には
ダンパ34が取り付けられている。
【0019】防振材31は、トランスミッションケース
3aの後端部近傍において、出力軸軸線Lのやや下方に
配置されている。そして、上側ハンガ部材32は、防振
材31との連結部では、平面的にみれば、出力軸軸線L
とほぼ重なるように伸長しつつ防振材31を貫通してこ
れに連結されている。また、下側ハンガ部材33も、防
振材31との連結部では、平面的にみれば、出力軸軸線
Lとほぼ重なるように伸長しつつ防振材31を貫通して
これに連結されている。つまり、上側ハンガ部材32と
下側ハンガ部材33とは、防振材31との連結部分で
は、上下方向に離間して、車両前後方向に平行に伸長し
ている。この場合、防振材31は、両ハンガ部材32,
33によってその伸長方向すなわち車両前後方向には、
弾性変形が規制されるのでその変位しうる範囲いわゆる
変位しろが小さくなる。これに対して、車両幅方向に
は、弾性変形がそれほど規制されないので変位しろが大
きくなる。つまり、第1懸架手段25の防振材31は、
トランスミッションケース3aと排気系H(第1排気管1
4)との間の、車両幅方向の相対変位ないし振動を効果
的に吸収できることになる。
【0020】ところで、一般に、トランスミッションケ
ース3aには、トランスミッション出力軸にかかるトル
クの反力によって、このトルク方向とは逆方向にトラン
スミッションケース3aを回転させようとする力が惹起
され、このためトランスミッションケース3aには、こ
れを出力軸軸線Lまわりに回動させるような変位ないし
振動、いわゆるローリングが生じる。このため、トラン
スミッションケース3aの下面は、車両幅方向に変位な
いし振動することになる。ここで、トランスミッション
ケース3aの車両幅方向の変位ないし振動がそのまま排
気系Hに伝達されると、排気系Hが車両幅方向に変位な
いし振動し、排気マニホールドとの連結部等に衝撃力が
加わり、排気系Hの耐久性の低下を招くことになる。
【0021】しかしながら、本案では前記したとおり、
第1懸架手段25の防振材31が、トランスミッション
ケース3aと排気系Hとの間の車両幅方向の相対変位な
いし振動を吸収するので、トランスミッションケース3
aから排気系Hへの変位ないし振動の伝達が抑制され、
排気系Hの耐久性が高められる。なお、前記したとお
り、第1懸架手段25は、車両前後方向には変位しろが
小さいので、この方向の相対変位ないし振動は吸収しに
くくなる。しかしながら、車両前後方向については、排
気系Hは、エンジンEに固定された排気マニホールドに
連結・固定されている関係上、実質的にトランスミッシ
ョンケース3aとほぼ一体的に変位するので、排気系H
とトランスミッションケース3aとの間の相対変位は極
めて小さくなり、とくに不具合は生じない。
【0022】第1懸架手段25においては、上側ハンガ
部材32が、平面的にみて、出力軸軸線L位置でトラン
スミッションケース3aに連結され、したがって排気系
Hは車両幅方向のほぼ中央部で支持されている。このた
め、排気系Hが左右のバランスを保って支持され、排気
系Hに振動が生じにくくなり、排気系Hの耐久性が高め
られる。
【0023】また、前記したとおり、第1分岐管部18
の剛性が高いので、これと隣接するフランジ部14aま
わりの剛性も高くなる。そして、下側ハンガ部材33
が、この剛性の高いフランジ部14aに連結されている
ので、排気系Hが強固に支持され、その耐久性が高めら
れる。
【0024】図5〜図7に示すように、第2懸架手段2
6は、実質的に、ゴム等の弾性材料からなる防振材36
と、一端が車体側(例えばサイドフレーム)に連結され、
他端が防振材36の上部に連結される上側ハンガ部材3
7と、一端がプリサイレンサ9の後端部9aに連結さ
れ、他端が防振材36の下部に連結される下側ハンガ部
材38とで構成されている。
【0025】そして、上側ハンガ部材37は、防振材3
6との連結部では、車両幅方向に伸長しつつ防振材36
を貫通してこれに連結されている。また、下側ハンガ部
材38は、防振材36との連結部では、平面的にみて、
上側ハンガ部材37とほぼ重なるようにして車両幅方向
に伸長しつつ防振材36を貫通してこれに連結されてい
る。つまり、上側ハンガ部材37と下側ハンガ部材38
とは、防振材36との連結部分では、上下方向に離間し
て、車両幅方向に平行に伸長している。この場合、防振
材36は、車両幅方向には、両ハンガ部材37,38に
よって弾性変形が規制されるので、その変位しろが小さ
くなるが、車両前後方向には弾性変形がそれほど規制さ
れないので、変位しろが大きくなる。このため、防振材
36は、車体と排気系Hとの間の車両前後方向の相対変
位ないし振動を有効に吸収することができる。
【0026】また、プリサイレンサ9の後端部9a近傍
には、実質的に、取付ブラケット51とラバー52とお
もり53とからなるダイナミックダンパ50が設けられ
ている。このダイナミックダンパ50は、プリサイレン
サ後端部9aと第1集合排気管21とに固定された取付
部材54に、複数の締結ボルト55を用いて固定されて
いる。ここで、取付ブラケット51とラバー52とおも
り53とはほぼ車両前後方向に直列に連結されているの
で、おもり53は、車両前後方向と直交する方向に変位
しやすくなる。したがって、ダイナミックダンパ50
は、排気系Hの車両前後方向と直交する方向の振動、す
なわち車両幅方向と上下方向の振動を有効に抑制するこ
とができる。
【0027】ところで、一般に、車両の発進時、停止時
等の加減速時には、車輪とほぼ一体的に加減速される車
体と、車体に搭載されたパワープラント系(エンジンE
とトランスミッション3とを含む動力系統)との間に、
パワープラント系の慣性に起因する相互作用が生じ、パ
ワープラント系と車体との間には車両前後方向の相対変
位ないし振動が惹起される。ここで、排気系Hは、エン
ジンEに固定された排気マニホールドに連結されている
関係上、基本的には、パワープラント系とともに車体に
対して車両前後方向に相対変位ないし振動する。このた
め、排気系Hと車体とが強固に連結されていると、排気
系Hに車両前後方向の応力が惹起され、その耐久性の低
下を招くことになる。
【0028】また、排気系Hは、その内部を高温の排気
ガスが流れるので温度変化範囲が広く、かつ車両前後方
向にかなり長いので、熱膨張ないし収縮により、車両前
後方向に比較的大きく伸縮する。このため、排気系Hと
車体とが強固に連結されていると、排気系Hに車両前後
方向の応力が惹起され、その耐久性の低下を招くことに
なる。
【0029】しかしながら、前記したとおり、本案で
は、排気系Hを車体に連結する第2懸架手段26の防振
材36が、排気系Hと車体との間の車両前後方向の相対
変位ないし振動を有効に吸収するので、排気系Hには強
い応力が発生せず、排気系Hの耐久性が高められる。
【0030】また、前記したとおり、ローリングによる
トランスミッションケース3aの車両幅方向の変位ない
し振動は、第1懸架手段25によって、排気系Hへの伝
達が効果的に抑制されるものの、多少の変位ないし振動
は伝達される(図3,図4参照)。そして、排気系Hは、
プリサイレンサ9のやや前方以降では、出力軸軸線Lに
対して車両幅方向右側にオフセットして配置されている
ので、この部分では上記車両幅方向の変位ないし振動が
増幅されるおそれがある。しかしながら、本案では、前
記したとおり、車両幅方向あるいは上下方向の振動を低
減するダイナミックダンパ50が設けられているので、
プリサイレンサ9まわりの排気系Hの車両幅方向の変位
ないし振動が抑制され、排気系Hには強い応力が発生し
ない。
【0031】図8と図9とに示すように、第3懸架手段
27は、実質的に、ゴム等からなる防振材41と、一端
が車体側に連結され、他端が防振材41の上部に連結さ
れる上側ハンガ部材42と、一端が取付部材43を介し
て第2集合排気管22に連結され、他端が防振材41の
下部に連結される下側ハンガ部材44とで構成されてい
る。この第3懸架手段27の構造は、基本的には第2懸
架手段26の場合と同様であり(図5〜図7参照)、防振
材41は、とくに車体と排気系Hとの間の車両前後方向
の相対変位ないし振動を効果的に吸収できるようになっ
ている。
【0032】図10と図11とに示すように、第4懸架
手段28は、実質的に、ゴム等からなる防振材46と、
一端が車体側に連結され他端が防振材46の上部に連結
される上側ハンガ部材47と、一端が第1,第2テール
パイプ11,12に連結され、他端が防振材46の下部
に連結される下側ハンガ部材48とで構成されている。
この第4懸架手段28の構造も、基本的には第2懸架手
段26の場合と同様であり(図5〜図7参照)、防振材4
6は、車体と排気系Hとの間の車両前後方向の相対変位
ないし振動を効果的に吸収できるようになっている。
【0033】ところで、かかる排気系Hを車両本体側に
組み付ける際、まず第1,第2排気管14,15を対応す
る排気マニホールドに連結・固定した後、これらの第
1,第2排気管14,15にY字排気管16を連結するこ
とになるが、Y字排気管16の組み付けは次のような手
順で行なわれる。
【0034】すなわち、まず、フランジ部14aとフラ
ンジ部18aとをボルト締結し、第1排気管14に、Y
字排気管16の第1分岐管部18を連結する。これによ
って、Y字排気管16が概ね所定の位置に保持される。
次に、第2分岐管部19のフランジ部19aの位置を調
節しつつ、これを正しくフランジ部15aに当接させて
両者をボルト締結し、第2排気管15に、Y字管16の
第2分岐管部19を連結する。この場合、前記したとお
り第2分岐管部19の管長が長く設定され、その弾性が
比較的高くなっているので、容易にフランジ部19aを
フランジ部15aに位置合わせすることができる。した
がって、第1排気管14あるいは第2排気管15に組み
付け誤差が生じている場合でも、第1,第2排気管14,
15とY字排気管16とを容易に組み付けることがで
き、排気系Hの組み付け性の向上を図ることができる。
【0035】
【考案の作用・効果】第1の考案によれば、排気系統の
組み付け時に、集合部から接続部までの経路長が長い方
の排気通路で組み付け誤差を吸収することができるの
で、排気系統の組み付け性が向上する。
【0036】第2の考案によれば、排気系統の支持バラ
ンスが良くなるので、排気系統の耐久性が高められる。
【0037】第3の考案によれば、第1の気筒列側では
接続部から集合部までの経路長が短かいので、接続部下
流の排気通路の剛性が高くなり、一方、第2の気筒列側
では接続部から集合部までの経路長が長いので、接続部
下流の排気通路の弾性が比較的高くなる。したがって、
第1の気筒列側の排気通路の接続部を接続した後で、第
2の気筒列側の排気通路の接続部を接続するようにすれ
ば、接続部より下流側の全排気通路ないし集合排気通路
を、第1の気筒列側の上流側排気通路に強固に支持させ
つつ、第2気筒列側の接続部下流の排気通路の弾性を利
用して、各排気通路の組み付け位置のばらつきないし組
み付け誤差を吸収しつつ、容易に第2の気筒列側の接続
部を接続することができる。したがって、排気系の組み
付け性が向上する。
【0038】また、排気系が懸架手段によって、エンジ
ン出力軸の軸線の延長線近傍の位置で支持されるので、
排気系の車両幅方向の支持バランスがよくなり、排気系
に振動が生じにくくなり、排気系の耐久性が向上する。
さらに、懸架手段が、剛性の高い第1の気筒列側の排気
通路の接続部に連結されるので、排気系が剛性の高い部
分で支持されることになり、排気系が強固に支持され、
その耐久性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案にかかる取付装置を備えた車両の排気
系の平面説明図である。
【図2】 図1に示す車両の排気系の側面立面説明図で
ある。
【図3】 排気系の、第1懸架手段まわりの平面説明図
である。
【図4】 排気系の、第1懸架手段まわりの側面立面説
明図である。
【図5】 排気系の、第2懸架手段まわりの側面立面説
明図である。
【図6】 排気系の、第2懸架手段まわりの一部断面平
面説明図である。
【図7】 排気系の、第2懸架手段まわりの一部断面後
面立面説明図である。
【図8】 排気系の、第3懸架手段まわりの平面説明図
である。
【図9】 排気系の、第3懸架手段まわりの側面立面説
明図である。
【図10】 排気系の、第4懸架手段まわりの平面説明
図である。
【図11】 排気系の、第4懸架手段まわりの側面立面
説明図である。
【符号の説明】
E…エンジン H…排気系 1…第1バンク 2…第2バンク 3…トランスミッション 4…第1排気通路 5…第2排気通路 6…集合部 7…集合排気通路 14…第1排気管 14a…フランジ部 15…第2排気管 16…Y字排気管 25…第1懸架手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭54−69210(JP,U) 実開 昭54−118510(JP,U) 実開 昭62−67921(JP,U) 実開 平3−32117(JP,U) 実開 昭60−3229(JP,U)

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの気筒列を備えたエンジンが車体に
    縦置きに搭載され、各気筒列に対して夫々排気通路が設
    けられ、かつ両排気通路がエンジン後方の集合部で1つ
    の集合排気通路に集合されている車両において、 両排気通路を、夫々、途中で前後に分割して形成すると
    ともに、分割された前後の排気通路同士を接続する接続
    部を設け、第1の気筒列側の排気通路の接続部の配置位
    置を比較的集合部に近い位置に設定し、第2の気筒列側
    の排気通路の接続部の配置位置を第1の気筒列側に比べ
    て集合部から遠い位置に設定したことを特徴とする車両
    の排気系取付装置。
  2. 【請求項2】 2つの気筒列を備えたエンジンが車体に
    縦置きに搭載され、各気筒列に対して夫々排気通路が設
    けられ、かつ両排気通路がエンジン後方の集合部で1つ
    の集合排気通路に集合されている車両において、 両排気通路を、夫々、途中で前後に分割して形成すると
    ともに、分割された前後の排気通路同士を接続する接続
    部を設け、第1の気筒列側の排気通路の接続部の配置位
    置をエンジン出力軸線の延長線に比較的近い位置に設定
    し、第2の気筒列側の排気通路の接続部の配置位置を第
    1の気筒列側に比べて上記のエンジン出力軸線の延長線
    から遠い位置に設定する一方、一端がエンジン出力軸の
    軸線の延長線近傍でトランスミッション側に連結され、
    他端が第1の気筒列側の排気通路の接続部に連結される
    懸架手段を設けたことを特徴とする車両の排気系取付装
    置。
  3. 【請求項3】 2つの気筒列を備えたエンジンが車体に
    縦置きに搭載され、各気筒列に対して夫々排気通路が設
    けられ、かつ両排気通路がエンジン後方の集合部で1つ
    の集合排気通路に集合されている車両において、 両排気通路を、夫々、途中で前後に分割して形成すると
    ともに、分割された前後の排気通路同士を接続する接続
    部を設け、第1の気筒列側の排気通路の接続部の配置位
    置を比較的集合部に近い位置に設定し、第2の気筒列側
    の排気通路の接続部の配置位置を第1の気筒列側に比べ
    て集合部から遠い位置に設定する一方、一端がエンジン
    出力軸の軸線の延長線近傍でトランスミッション側に連
    結され、他端が第1の気筒列側の排気通路の接続部に連
    結される懸架手段を設けたことを特徴とする車両の排気
    系取付装置。
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