JP2543152Y2 - コネクタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、相手方コネクタと解除
可能に嵌合ロックされるコネクタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のコネクタは、相手方コネ
クタのシェルに嵌合する筒形のシェルと、該シェルを組
付けたハウジングと、該ハウジングに摺動可能に装着さ
れ相手方コネクタとの嵌合ロックを解除するためのスラ
イダと、嵌合ロックを保持する方向に該スライダを付勢
する付勢ばねとを備え、当該シェルに切り込みを入れて
一体にばねスパンを採って形成したロック爪を、相手方
コネクタのシェルに設けたロック溝の溝縁に係合させて
嵌合ロックするものであった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
コネクタでは、筒型のシェルに切り込みを入れてロック
爪を一体に形成しているため、小型化しようとすると、
十分なばねスパンを採ることができないという問題点が
あった。本考案の目的は、小型化しても十分なばねスパ
ンを採ることができるコネクタを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案は、相手方コネクタに嵌合する筒形のシェル
と、該シェルを組付けたハウジングと、該ハウジングに
摺動可能に装着され相手方コネクタとの嵌合ロックを解
除するためのスライダと、嵌合ロックを保持する方向に
該スライダを付勢する付勢ばねとを備えたコネクタにお
いて、先端にロック爪を有するロック部と該ロック部の
基端で該ロック部に交差するアーム部とを一体に備え前
記シェルとは別体のロック用部材を設け、前記ロック部
とアーム部との交差部分を支点として該ロック用部材を
揺動自在に組付け、前記アーム部には前記ロック爪をロ
ック保持方向に付勢する前記付勢ばねの付勢力を受ける
押圧受け片を備え、前記スライダには前記付勢ばねの付
勢力に抗して該スライダを摺動させた時に前記押圧受け
片を押圧して前記ロック爪をロック解除方向に変位させ
る押圧面を備えたことを特徴とする。

【０００５】

【作用】本考案に係るコネクタでは、先端にロック爪を
有するロック部と該ロック部の基端で該ロック部に交差
するアーム部とを一体に備えたロック用部材がシェルと
は別体になっていて、ロック部とアーム部との交差部分
を支点として揺動自在に組付けられているため、小型化
しても十分なばねスパンを採り得る。付勢ばねの付勢力
でロックが保持され、また、スライダを付勢ばねの付勢
力に抗して摺動させると、ロック爪をロック保持方向に
付勢する付勢ばねの付勢力を受けている押圧受け片がス
ライダの押圧面で押圧され、ロック爪がロック解除方向
に変位し、ロックが解除される。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の実施例について、多極コネク
タを例として、図面を参照しながら詳細に説明する。図
１(A) 及び(B) は本考案の実施例に係る多極コネクタの
要部を示すそれぞれ破断側面図及び破断底面図である。
本実施例に係る多極コネクタは、相手方コネクタに嵌合
する筒形のシェル１０と、該シェル１０を組付けたハウ
ジング１と、該ハウジング１に摺動可能に装着され相手
方コネクタの円筒形シェル４０との嵌合ロックを解除す
るためのスライダ３０と、嵌合ロックを保持する方向に
該スライダ３０を付勢する付勢ばね３９とを備えてい
る。また、この多極コネクタは、先端にロック爪２２を
有するロック部２１と該ロック部２１の基端で該ロック
部２１に交差するアーム部２３とを一体に備えたロック
用部材２０がシェル１０とは別体に設けてあって、これ
がロック部２１とアーム部２３との交差部分２０ａの端
縁を支点として揺動自在に組付けられているため、小型
化しても十分なばねスパンを採り得る。そしてこの多極
コネクタは、付勢ばね３９の付勢力で相手方コネクタと
の嵌合ロックが保持され、スライダ３０を付勢ばね３９
の付勢力に抗して摺動させると、ロック爪２２をロック
保持方向に付勢している付勢ばね３９の付勢力を受けて
いる押圧受け片２４がスライダ３０の押圧面３５で押圧
され、ロック用部材２０が角変位することによってロッ
ク爪２２がロック解除方向に変位し、ロックが解除され
る。

【０００７】ハウジング１は、図２に示すハウジング本
体２と、このハウジング本体２の背面側に図１(A) に示
す爪８ｂ等で抜け止めして装着されるハウジングカバー
８（図３参照）とからなっている。ハウジング本体２
は、複数のコンタクト４が組み込まれる平行孔３ａを有
し円形断面をなすコンタクト保持部３と、コンタクト保
持部３の外周に沿い円弧状溝６を介在させて突設した円
弧状案内片６ａとを備え、コンタクト保持部３の外周に
沿って９０度の角度間隔で４箇所に同芯配置した円弧状
小溝７と小貫通孔２ｂとを備える。また、ハウジング本
体２は、円弧状小溝７が配置されている同芯円の外側ま
で抉り形成した凹部２ｃと、円弧状小溝７の外側に環状
に形成した正面向きのばね受け面２ａとを有する。一
方、ハウジングカバー８には、ハウジング本体２の円弧
状溝６の両端に対応する位置の背面側にスライダ３０の
後述する係止爪３２が係合する平らな係止面８ａが左右
両側に設けられている。

【０００８】図４(A)、 (B)、(C) 及び (D)はシェルを示
すそれぞれ正面図、側面図、平面図及び底面図である。
シェル１０は、円筒形の一部をチャンネル形に膨出させ
母線に沿い全長に亘って連続した溝型収容部１１と、こ
の溝型収容部１１とは反対側の全長に亘る一定幅の割れ
目１０ａと、この割れ目１０ａの縁の延長線に沿い背面
向きに設けた細長端子１０ｂとを有し、溝型収容部１１
の平らな底板１１ａの正面側寄りの位置から一定幅で真
直に連続し途中から広幅になって背面側の途中の位置ま
で達する開口部１１ｂを備え、この開口部１１ｂ内に正
面向きの支持突片１５を突設し、開口部１１ｂの両側外
面に対称配置に揺動規制突起１０ｃが設けられている。
開口部１１ｂは、側板１１ｅまで達している広幅部分の
両端がロック用部材２０のアーム部２３の対応する部分
の傾斜時における位置に合わせて傾斜端縁１１ｄとされ
ている。また、シェル１０は、背面側に９０度の角度間
隔で４箇所に突設した脚片１３及び各脚片１３の近傍に
切り伏せて設けた抜け止めランス１４を備えている。そ
して、シェル１０は、溝型収容部１１を凹部２ｃの位置
に合わせ、各脚片１３をそれぞれ対応する円弧状小溝７
に挿入し細長端子１０ｂを小貫通孔２ｂに挿入し抜け止
めランス１４で抜け止めしてハウジング１に組付けら
れ、相手方コネクタの図１(A) に二点鎖線で示すシェル
４０の内周に嵌合する。

【０００９】図５は、ロック用部材を示す背面図であ
る。ロック用部材２０は、先端を両側から折曲形成した
にロック爪２２を有するロック部２１と、該ロック部２
１の基端で該ロック部２１に平板状交差部分２０ａで交
差しこの交差部分２０ａに円弧状部分を延設してなるア
ーム部２３とを一体に備え、アーム部２３の両端を外向
きに折曲して押圧受け片２４を形成してあり、図１(A)
及び(B) に示すように、シェル１０の開口部１１ｂにロ
ック部２１及び当該ロック部２１とアーム部２３との交
差部分２０ａを位置させアーム部２３をシェル１０の外
周に位置させるとともに、該交差部分２０ａの端縁をシ
ェル１０の支持突片１５で支持させ該端縁を支点として
該シェル１０に揺動自在に組付けてある。そして、ロッ
ク用部材２０は、付勢ばね３９の一端が押圧受け片２４
に当接し付勢ばね３９の付勢力でロック爪２２のロック
保持方向に付勢されると共に、アーム部２３の縁がシェ
ル１０の揺動規制突起１０ｃに当たって揺動量が規制さ
れている。

【００１０】図６(A) 及び (B)はスライダを示すそれぞ
れ背面図及び底面図である。スライダ３０は、円筒形の
一部を切欠き形成したた切欠部３１を有し、正面側に内
向きフランジ３３を備え、切欠部３１両側の背面側寄り
位置に両係止爪３２を設けてあり、内向きフランジ３３
の内面がばね受け面３３ａとされてこれに付勢ばね３９
が当接し、このばね受け面３３ａの２箇所にロック用部
材２０の押圧受け片２４が嵌入され底面を押圧面３５と
する逃げ溝３４を切欠き形成し、外周に凸条３６が一体
に設けられている。そして、スライダ３０は、切欠部３
１の端面３０ｂを円弧状溝６の位置に合致させてハウジ
ング１に被せると、両係止爪３２がそれぞれ対応する係
止面８ａに係止されてハウジング１に摺動自在に抜け止
め装着され、図１に示すように付勢ばね３９で正面方向
に付勢されている。

【００１１】付勢ばね３９は、圧縮コイル状をなし、コ
ンタクト保持部３及びロック用部材２０の背面寄り部分
の外周に巻装されており、一端がハウジング本体２のば
ね受け面２ａに他端がスライダ３０の内向きフランジ３
３のばね受け面３３ａに当接し、スライダ３０を正面向
きに付勢している。

【００１２】このような多極コネクタは、シェル１０の
外周に相手方コネクタの図１に二点鎖線で示すシェル４
０を嵌合させると、このシェル４０の図示しない切欠部
内縁にロック爪２２が引掛かって嵌合ロックされる。ロ
ックを解除したい時には、凸条３６に指を当ててスライ
ダ３０を付勢ばね３９の付勢力に抗して正面側から背面
方向へ摺動させると、スライダ３０の内向きフランジ３
３の内面側の逃げ溝３４の押圧面３５がロック用部材２
０の押圧受け片２４を押圧して当該ロック用部材２０を
傾斜させロック部２１をシェル１０の溝型収容部１１内
へ変位させ、ロック爪２２が当該溝型収容部１１内に没
入し相手方コネクタのシェル４０から外れてロックが解
除されるので、この状態で相手方コネクタから抜去する
ことができる。

【００１３】図７(A) 及び (B)は本考案の別の実施例に
係る多極コネクタの要部を示すそれぞれ破断側面図及び
破断底面図である。この実施例の場合、シェル１０は、
溝型収容部１１に相当するものがない円筒形をなし、背
面側の対称な２箇所に切欠部１６を有し、背面側の一部
を外側へ曲げ起こし更にその先端を正面向きに曲げて支
持突片１５を形成してあり、ロック用部材２０は、切欠
部１６に対応する位置で内向きに曲げて揺動規制片２５
が形成してあり、ロック部２１とアーム部２３との交差
部分２０ａの端縁に支持突片１５に係合する切欠凹部２
０ｂを備えている点が前述の実施例と異なっている。そ
して、この実施例に係る多極コネクタは、支持突片１５
でロック用部材２０を揺動自在に支持し、揺動規制片２
５をシェル１０の切欠部１６に嵌入してロック用部材２
０のロック爪２２がシェル１０の開口部１１ｂから過剰
突出するのが規制されており、その他の点は前述の実施
例と同じであるから、対応する部分に同一符号を付けて
その部分の詳細な説明を省略する。この実施例の場合、
シェル１０が単純な形状なので、その分だけ製造コスト
を低減できるという利点がある。

【００１４】なお、本考案は、上記実施例によって限定
されるものではなく、多極コネクタ以外のコネクタにも
適用でき、ロック用部材のアーム部の一部に円弧状部分
を設ける代わりに直線状部分を連ねた多角状にしてもよ
く、その他要旨から逸脱しない範囲で種々の変形が可能
である。

【００１５】

【考案の効果】以上説明したように本考案に係るコネク
タは、シェルとは別体に設けたロック用部材のロック部
とアーム部との交差部分を支点として該ロック用部材を
揺動自在に組付け、アーム部にはロック爪をロック保持
方向に付勢する付勢ばねの付勢力を受ける押圧受け片を
備え、スライダには付勢ばねの付勢力に抗して該スライ
ダを摺動させた時に押圧受け片を押圧してロック爪をロ
ック解除方向に変位させる押圧面を備えたことにより、
当該ロック用部材のロック部の基部から先端のロック爪
の位置までをばねスパンとして採ることができ、小型化
に際して十分なばねスパンを採れるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】(A) は本考案の実施例に係る多極コネクタの要
部を示す破断側面図、(B) は同破断底面図である。

【図２】本考案の実施例に係るハウジング本体を示す正
面図である。

【図３】本考案の実施例に係るハウジングカバーを示す
背面図である。

【図４】(A) はシェルを示す正面図、 (B) はその側面
図、(C) は同平面図、 (D)は同底面図である。

【図５】ロック用部材を示す背面図である。

【図６】(A) はスライダを示す背面図、 (B)は同底面図
である。

【図７】(A) は本考案の別の実施例に係る多極コネクタ
の要部を示す破断側面図、(B)は同破断底面図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ ハウジング本体 ２ａ ばね受け面 ８ ハウジングカバー １０ シェル １０ｃ 揺動規制突起 １１ｂ 開口部 １５ 支持突片 ２０ ロック用部材 ２０ａ 交差部分 ２１ ロック部 ２２ ロック爪 ２３ アーム部 ２４ 押圧受け片 ２５ 揺動規制片 ３０ スライダ ３３ 内向きフランジ ３３ａ ばね受け面 ３４ 逃げ溝 ３５ 押圧面 ３９ 付勢ばね ４０ シェル（相手方コネクタの）

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相手方コネクタに嵌合する筒形のシェ
   ルと、該シェルを組付けたハウジングと、該ハウジング
   に摺動可能に装着され相手方コネクタとの嵌合ロックを
   解除するためのスライダと、嵌合ロックを保持する方向
   に該スライダを付勢する付勢ばねとを備えたコネクタに
   おいて、先端にロック爪を有するロック部と該ロック部
   の基端で該ロック部に交差するアーム部とを一体に備え
   前記シェルとは別体のロック用部材を設け、前記ロック
   部とアーム部との交差部分を支点として該ロック用部材
   を揺動自在に組付け、前記アーム部には前記ロック爪を
   ロック保持方向に付勢する前記付勢ばねの付勢力を受け
   る押圧受け片を備え、前記スライダには前記付勢ばねの
   付勢力に抗して該スライダを摺動させた時に前記押圧受
   け片を押圧して前記ロック爪をロック解除方向に変位さ
   せる押圧面を備えたことを特徴とするコネクタ。