JP2542711B2 - 厚膜型サ―マルヘッドの製造方法 - Google Patents

厚膜型サ―マルヘッドの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 この発明は、厚膜型サーマルヘッドの製造方法に関
し、詳しく言えば発熱抵抗体の膜厚を小さくできる製造
方法に関する。
(ロ)従来の技術 従来、厚膜型サーマルヘッドは、第4図及び第5図に
示すように、絶縁基板12上に、蓄熱層としてのガラスグ
レーズ層13、共通電極14、個別電極15、発熱抵抗体16、
耐摩耗層17とを形成してなるものである。発熱抵抗体16
を形成するには、共通電極14、個別電極15に跨がるよう
に、ガラスグレーズ層13上に帯状に抵抗体ペーストをス
クリーン印刷する。そして、絶縁基板12を高温加熱し
て、抵抗体ペーストを発熱抵抗体16に焼成する。
この抵抗体ペーストは、機能成分としての酸化ルテニ
ウム(RuO2)、ガラス、耐熱剤(フィラー)としての酸
化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニア(ZrO2)、
及びペーストとしての形態を持たせるためのビークルと
より構成されている。このビークルは樹脂成分と溶剤と
よりなり、前記焼成の際に焼散し、酸化ルテニウム、ガ
ラス、フィラーが発熱抵抗体16を構成する成分として残
ることとなる。
(ハ)発明が解決しようとする課題 上記抵抗体ペーストの印刷時の膜厚は20μm程度であ
り、ビークルの灼熱減量により発熱抵抗体16の膜厚は10
μmとなる。ところが、発熱抵抗体16の膜厚が10μmな
らば、発熱抵抗体自体の蓄熱、及び膜厚方向の熱伝導の
影響により、厚膜型サーマルヘッド表面の温度分布が不
均一となる。また、発熱抵抗体16の膜厚が大きい分、耐
摩耗層17も突出し、感熱記録紙表面層の耐摩耗層17への
固着(ステッキング)が生じやすい。
このため、発熱抵抗体の膜厚を小さくすることが要求
され、その手段の1つとして、抵抗体ペーストを薄く印
刷することが考えられる。抵抗体ペーストを薄く印刷す
るには、特殊なスクリーンを用いると共に、抵抗体ペー
ストを溶剤で希釈して低粘度としなければならない。し
かし、抵抗体ペーストを低粘度とすると、印刷された抵
抗体ペーストが流れやすくなり、パターンの直線性等が
損なわれ、膜厚の再現性も乏しくなる(印刷性が低下す
る)。
この発明は、上記に鑑みなされたもので、抵抗体ペー
ストの印刷性を損なうことなく、膜厚の小さい発熱抵抗
体を形成できる厚膜型サーマルヘッドの製造方法の提供
を目的としている。
(ニ)課題を解決するための手段及び作用 上記課題を解決するため、この発明の厚膜型サーマル
ヘッドの製造方法は、電極の形成された絶縁基板上に、
これら電極に跨がるように抵抗体ペーストを印刷し、こ
の抵抗体ペーストを発熱抵抗体に焼成するものにおい
て、前記抵抗体ペーストに、耐熱剤を含有せず、ビーク
ルの含有率を少なくとも60重量%以上にしたものを用
い、焼成される発熱抵抗体の膜圧を小さくすることを特
徴としている。
この発明の厚膜型サーマルヘッドの製造方法では、抵
抗体ペーストのビークル量が多いため灼熱減量も大き
く、膜厚を大きく抵抗体ペーストを印刷しても、得られ
る発熱抵抗体の膜厚は小さくすることができる。従っ
て、抵抗体ペーストの粘度が高くてもよく、その印刷性
が損なわれることはない。また、抵抗体ペースト中には
耐熱剤が含まれないので、発熱抵抗体の膜表面状態が劣
化することはない。この場合、酸化ルテニウム自体が耐
熱剤として機能するため発熱抵抗体の耐熱性に問題は生
じない。
(ホ)実施例 この発明の一実施例を第1図乃至第3図に基づいて以
下に説明する。
第1図は、絶縁基板2上に抵抗体ペーストpを印刷し
た状態を示している。絶縁基板2には、例えばアルミナ
セラミック製のものが使用され、その表面には蓄熱層と
してのガラスグレーズ層3が形成される。このガラスグ
レーズ層3は、絶縁基板2表面に印刷されたガラスフリ
ットタイプのペーストを焼成してなるものである。
ガラスグレーズ層3上には、共通電極4、個別電極5
とが形成されている。共通電極4と個別電極5とは、ガ
ラスグレーズ層3上に金(Au)ペーストを印刷して焼成
し、これにホトリソグラフィーを適用して、パターンづ
けを行ったものであり、第3図にも示すように、両者は
櫛歯状に交互に噛み合う配置とされている。
抵抗体ペーストpは、これら共通電極4、個別電極5
を跨ぐように印刷される。抵抗体ペーストpは、ビーグ
ルの含有率を60〜80重量%に増やし、耐熱剤添加してい
ないものである。なお、本発明において、ビーグルの含
有率は少なくとも60重量%以上であればよいが、60〜80
重量%が最適である。第1表は、この抵抗体ペーストp
と、従来の低粘度の抵抗体ペーストとを比較して示すも
のである。
この抵抗体ペーストpは、粘度が100000CPSと高く、
従来と同様にスクリーン印刷され、その膜厚は20μm程
度とされる。
抵抗体ペーストpは、発熱抵抗体6に焼成される(第
2図参照)。この時、抵抗体ペーストpのビークルが多
いため灼熱減量も大きく、20μmあった抵抗体ペースト
pが、4μm以下の発熱抵抗体6とすることができる。
発熱抵抗体6、共通電極4、個別電極5は、耐摩耗層
7で被覆、保護される(第2図参照)。この耐摩耗層7
も、絶縁基板2上に印刷されたガラスフリットタイプの
ペーストを焼成したものである。
こうして製造された厚膜型サーマルヘッドは、発熱抵
抗体6の膜厚が小さいため、発熱抵抗体6自体の蓄熱、
膜厚方向の熱伝導は大きな影響を及ぼさず、発熱抵抗体
6の面方向の温度分布を均一なものとすることができ
る。また、耐摩耗層7の突出量も小さくでき、ステッキ
ングを有効に防止することができる。
(ヘ)発明の効果 以上説明したように、この発明の厚膜型サーマルヘッ
ドの製造方法は、抵抗体ペーストに耐熱剤を含有せず、
ビーグルの含有率を少なくとも60重量%以上にしたもの
を用いており、発熱抵抗体の膜厚の小さい厚膜型サーマ
ルヘッドを容易に製造できる利点を有している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施例において抵抗体ペーストを
印刷した状態を説明する要部断面図、第2図は、この実
施例において製造された厚膜型サーマルヘッドの要部縦
断面図、第3図は、同厚膜型サーマルヘッドの電極の配
置を説明する図、第4図は、従来の方法で製造された厚
膜型サーマルヘッドの要部縦断面図、第5図は、同厚膜
型サーマルヘッドの電極の配置を説明する図である。 2:絶縁基板、4:共通電極、 5:個別電極、6:発熱抵抗体、 p:抵抗体ペースト。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極の形成された絶縁基板上に、これら電
    極に跨がるように抵抗体ペーストを印刷し、この抵抗体
    ペーストを発熱抵抗体に焼成する厚膜型サーマルヘッド
    の製造方法において、 前記抵抗体ペーストに、耐熱剤を含有せず、ビーグルの
    含有率を少なくとも60重量%以上にしたものを用い、焼
    成される発熱抵抗体の膜厚を小さくすることを特徴とす
    る厚膜型サーマルヘッドの製造方法。
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