JP2542306Y2 - 移動農機における操作装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本考案は人為操作でも遠隔操作でも操縦することが出
来る移動農機における操作装置に関する。

（ロ）従来技術 従来、ブレーキその他の受動部に人為操作具を連繋
し、当該受動部を人為操作具によって操作可能になした
移動農機において、それらの操作系に油圧シリンダを直
列に介装し、該油圧シリンダを遠隔操作可能にしたもの
には、片ロッド油圧シリンダを使用したものが知られて
いる。

（ハ）考案が解決しようとする問題点 前記既知の人為操作具と受動部とを連繋した移動農機
において、油圧シリンダに片ロッドシリンダを介装する
と、操作系の途中に油が介在するため、人為操作時にオ
イルダンパの作用をして操作の確実性に欠ける。また油
圧系の故障時には人為操作も不能になり安全性にも欠け
ることとなる。更に受動部がブレーキであって人為操作
具をペダルとした場合にいは、このペダルを踏み込んだ
状態でロックをして駐車ブレーキとして使用する際に
も、長時間の間に油のリーク等により駐車ブレーキとし
ての機能も不完全になる。

（ニ）問題点を解決するための手段 本考案は、ブレーキその他の受動部を人為操作具を連
繋し、当接受動部を人為操作具によって操作可能になし
た移動農機において、前記人為操作具とブレーキその他
の受動部との操作系に、該ブレーキその他の受動部を作
動させる両ロッド油圧シリンダを直列に介装し、該油圧
シリンダは、その内部に設けるピストンと、当該ピスト
ンに一体的に連結されて、油圧シリンダの両端部より外
方に突出するシリンダロッドとを備え、該一方のシリン
ダロッドの端部は、人為操作具に、また、他方のシリン
ダロッドの端部は、受動部に連結する一方、前記油圧シ
リンダのシリンダはその長手方向への移動が阻止された
状態で機枠に取付け、以て、前記人為操作具を操作した
場合には、上記シリンダロッドを介して受動部が操作さ
れると共に、前記油圧シリンダを遠隔操作によって作動
させた場合には、シリンダロッドの作動によって受動部
が操作されるように構成したことにより、人為操作，遠
隔操作とも確実に出来るようにして問題点を解決した。

（ホ）作用 本考案の両ロッド油圧シリンダを、例えば左右ブレー
キペダルの操作系に直列に介装した場合、人為操作する
時は、ブレーキペダルを踏み込むと同ペダルのボス部に
凸設されたペダルアーム，ターンバックルを介して両ロ
ッド油圧シリンダ内の一方のシリンダロッド（ピストン
も一体）を引張り、ブレーキ側の他方のシリンダロッ
ド，ターンバックル，ブレーキカムレバーを作動させて
ブレーキが作動する。

また、ペダルの踏み込みを放すとブレーキペダルは上
記と逆方向に回動し、シリンダロッドに逆方向の力が働
いてブレーキ作用が解除される。

そして、この一連の作用の中で、両ロッド油圧シリン
ダのシリンダロッド，ピストン，ブレーキ側のシリンダ
ロッドは、恰も一本のロッドとしての役目を果して、作
動と受動部を機械的に直接、繋ぐこととなる。

さらに、遠隔操作をする時は、例えば手許のリモコン
スイッチの操作により電磁バルブを切替え、油圧シリン
ダのピストンを前後に移動させて、それと一体のシリン
ダロッドを押し引きすることによってブレーキカムレバ
ーを作動させ、それによりブレーキを作動させたり解除
することができる。

（ヘ）実施例 本考案の一実施例を図面について説明すると、本考案
の要部である両ロッド油圧シリンダ１のシリンダ内部に
はピストン1aがシリンダ内壁に沿って摺動し、ピストン
1aの前後にはシリンダロッド2a,2bが一体に取付けら
れ、それらの先端にはそれぞれブレーキペダルアーム８
及びブレーキカムレバー18がターンバックル4a,4bによ
り連結されている。

シリンダロッド2aの先端のターンバックル4aの二又部
側面は長孔部10を有し、ブレーキペダルアーム８は二又
部に挟まれて頭付ピン９で係合されている。ブレーキペ
ダル21を未踏の段階では、頭付ピン９の位置は長孔部10
の最前端になるようターンバックル4aのネジ部７で調整
されている。

ブレーキペダル21は左右車輪独立のペダルから成り立
っているが、本案の場合、片側についてのみ説明する
と、ブレーキペダル21は、トラクタ本体の前寄りにブレ
ーキペダル軸20により支持され、戻しスプリング22によ
りストッパ23に当接するように引上げられている。

両ロッド油圧シリンダ１の側面には段付部14を有する
段付部12が溶着され、この段付軸12を機体に設けたシリ
ンダ固定ステー３の上下方向に形成した長孔11に挿通
し、ワッシャ15,ロックナット16,ナット17により段付部
14からワッシャ迄の締めつけ長さが長孔11が形成された
シリンダ固定ステー３の厚みよりも僅かに長くなる位置
で抜け止め保持されている。従って、油圧シリンダ１は
上下方向に形成した長孔11の範囲内で移動可能で、油圧
シリンダ１の長手方向にはその移動が阻止された状態で
取付けてある。

人為操作によりブレーキを作動させるには、先ずトラ
クタのシートに腰掛けた人間の足でブレーキペダル21を
踏み込むと同ペダルのボス部に凸設されたブレーキペダ
ルアーム８が前方に倒れ、そのアームに嵌装された頭付
ピン９が長孔部10の最前端位置で係合しているのでター
ンバックル4aを前方に引張り両ロッド油圧シリンダ１内
のシリンダロッド2a,ピストン1a及びシリンダロッド2b
を引張ってブレーキ側のターンバックル4b,それにピン
接手されているブレーキカムレバー18を作動させてブレ
ーキが作動する。

ブレーキペダル21の踏み込みを放すとブレーキペダル
21は下部の戻しスプリング22のスプリング力によってス
トッパ23に当接するまでブレーキペダル軸20の回りに上
記と逆方向に回動しシリンダロッド2a,2bに逆方向の力
が働いてブレーキ作用が解除される。

この一連の作用の中で、両ロッド油圧シリンダ１のシ
リンダはその長手方向には移動が阻止された状態で機枠
に取付けてあり、シリンダロッド2a,2bの方向には移動
しないがそれと交差する長孔11の長手方向には移動し得
るように支持されているので、シリンダ１は上下方向に
長孔11内を若干移動しながら、ブレーキペダルアーム８
の頭付ピン９とブレーキカムレバー18のピンを結ぶ直線
方向を向く。

この間、シリンダロッド2a,ピストン1a,シリンダロッ
ド2bは恰も一本のロッドとしての役目を果して、作動部
と受動部を繋ぐこととなる。

遠隔操作をする時は、手許のリモコンスイッチの操作
により電磁バルブを切替え、両ロッド油圧シリンダ１の
ピストン1aを前後に移動させてそれと一体のシリンダロ
ッド2a,2bを押し引き作動することによってブレーキカ
ムレバー18を作動させブレーキを作動させたり、解除さ
せたりする。

この際、ブレーキペダル21側のターンバックル4aの二
又部は長孔部10で頭付ピン９に係合しているので、両ロ
ッド油圧シリンダ１のシリンダロッド2aの行程分、ター
ンバックル4aが前後に移動しても頭付ピン９を後ろから
押すこともなく、ブレーキペダルアーム8,ブレーキペダ
ル21は回動しないので人為操作と遠隔操作を独立して行
なうことが出来る。

第５図は遠隔操作でシャトル変速を行なう装置を示す
ものであって、電磁バルブ24の切替えにより復動油圧シ
リンダ25のシリンダロッド26を前後に移動させることに
よりシフター軸31を正逆回動させ、それによりシフター
32が摺動してスリーブ33を往復動させて前進と後進を切
り替えることが可能になっており、シリンダロッド26の
中間に植設されたストッパ27と復動油圧シリンダ25の間
にスプリング28を介在せしめ、スプリング28の自然長の
位置（Ln）を中立になるようにセットし、その位置を基
準にシリンダロッド26が引込んでスプリング28を圧縮
し、シフター軸31の規制アーム31aがストッパ29に当た
る位置（Lf）を前進、スプリング28を伸長させて規制ア
ーム31aがストッパ30に当たる位置（Lr）を後進になる
ようにストッパ29,30の位置を調整すると、前記電磁バ
ルブ24を遠隔操作により切替えるとトランスミッション
内のギヤをチェンジし前進，後進に切換られ、電磁バル
ブ24を中立にすると、前記スプリング28によりスリーブ
33が自動的に中立位置に復帰することとなり、安全にリ
モートコントロールが出来る。

（ト）考案の効果 本考案は前述のように構成したので、ブレーキその他
の受動部18を人為操作具21による人為操作、および遠隔
操作による油圧シリンダ１の作動によって操作できると
共に、特に人為操作を行う場合、操作系に直列に介装し
た両ロッド油圧シリンダ１のシリンダロッド2a,2bが直
接、人為操作具21と受動部18とを機械的に連結すること
になるから、従来の如く、これを片ロッドシリンダとし
た場合に生ずるオイルダンパ作用が解消されて、確実な
受動部18の人為操作が可能となる。

また、このように人為操作具21と受動部18とを両ロッ
ド油圧シリンダ１を介して機械的に連結することによ
り、例え、油圧系に故障が発生しても人為操作具21によ
る人為操作は依然として何ら支障なく操作を行うことが
できるから、このような場合にも、所望の作業を人為操
作により継続して行うことができる。

さらに、前記受動部をブレーキとし、また、人為操作
具をブレーキペダルとした場合には、当該ブレーキペダ
ルを踏み込んだ状態でロックすることにより駐車ブレー
キとして利用する際にも、油圧シリンダ１からの油のリ
ークに対してブレーキへの影響は無く、安全に駐車させ
ておくことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであって、第１図は
ブレーキ制御部の側面図、第２図は同上平面図，第３図
（ａ）はターンバックル側面図、同図（ｂ）は同上平面
図、第４図（ａ）は両ロッド油圧シリンダ支持部の側面
図、同図（ｂ）は同上断面図、第５図は遠隔操作による
シャトル変速装置の斜視図、第６図は同上装置を適用し
たトラクタの側面図である。 図中１は両ロッド油圧シリンダ,1aはピストン,2a,2bは
シリンダロッド,3はシリンダ固定ステー,4a,4bはターン
バックル,10は長孔部,11は長孔,12は段付軸,18はブレー
キカムレバー,21はブレーキペダル,22は戻しスプリング
である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ブレーキその他の受動部（18）に人為操作
   具（21）を連繋し、当該受動部を人為操作具によって操
   作可能になした移動農機において、前記人為操作具（2
   1）とブレーキその他の受動部（18）との操作系に、該
   ブレーキその他の受動部を作動させる両ロッド油圧シリ
   ンダ（１）を直列に介装し、該油圧シリンダは、その内
   部に設けるピストン（1a）と、当該ピストンに一体的に
   連結されて、油圧シリンダの両端部より外方に突出する
   シリンダロッド（2a），（2b）とを備え、該一方のシリ
   ンダロッド（2a）の端部は、人為操作具（21）に、ま
   た、他方のシリンダロッド（2b）の端部は、受動部（1
   8）に連結する一方、前記油圧シリンダのシリンダはそ
   の長手方向への移動が阻止された状態で機枠（３）に取
   付け、以て、前記人為操作具（21）を操作した場合に
   は、上記シリンダロッド（2a），（2b）を介して受動部
   が操作されると共に、前記油圧シリンダ（１）を遠隔操
   作によって作動させた場合には、シリンダロッド（2
   a），（2b）の作動によって受動部が操作されるように
   構成してあることを特徴とする移動農機における操作装
   置。