JP2541904Y2 - 消火栓用ホース - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、屋内外に設置される消火栓装置に収納し、
同装置内に収納した状態においても通水可能な消火栓用
ホースに関するものである。

消火栓用ホースには、かつては消防用ホースと同様に
筒状布の内面に薄いゴムのライニングを施したものが使
用され、これを扁平に折畳んだ状態で収納されていた
が、このものではホースは円形断面を保持し得ないた
め、使用時にはホースを全長に亙って消火栓から引出
し、真直ぐに延ばさなければ通水することができないも
のであって、緊急の場合に不馴れな者が使用することは
極めて困難なものであった。

そこで近年、円形断面を保持し得るホースを収納し、
消火栓に収納したままでホースに通水しつつホースを引
出して放水することが可能な消火栓が使用されるように
なっている。

第２図及び第３図はこの消火栓の一例を示すものであ
って、１は消火栓ボックスであり、該消火栓ボックス１
内にホース収納箱２が設けられている。ホース収納箱２
は前板2a、後板2b、上板2c、下板2d及び両側板2e、2fよ
りなり、前板2aの中心部には環状の開口部３が形成され
ており、該開口部３の周りにホース案内のためのリング
４が取付けられている。

５はセパレーターであって、該セパレーター５は板を
略「く」字状に折曲げて案内面６、７を形成したもので
あって、前記ホース収納箱２内に設けられている。

８はホースであって、その一端は送水源９に接続さ
れ、他端には放水ノズル10が取付けられている。

そしてホース８を前記開口部３から押込むことにより
ホース収納箱２の後板2bから前板2aに向って順次セパレ
ーター５の案内面６、７に沿って「８」字状に収納さ
れ、またホース８を外から引張れば、前記「８」字状に
収納されたホース８が順次解かれて、開口部３から引出
されるようになっている。

（従来の技術） 而してこの種の消火栓に使用されるホース８として
は、合成繊維糸をブレードに編組した筒状補強体の内外
面に、軟質のゴム又は合成樹脂の弾性層を形成し、該弾
性層の弾力によりホースが円形断面を保持し、外力によ
り押し潰され難く、且つ押し潰されたり折り曲げられた
りしても弾性層の弾力により円形断面に回復し得るもの
が使用されている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながらこのホースでは、弾性層が外部に露出し
ており、その弾性層の摩擦係数が大きいため、隣接する
ホース同士が接触した状態において極めて滑り難い。そ
のためホース収納箱２にホース８を収納するときホース
８が既に収納された部分のホース８に接触すると、その
ホース８同士を滑らせながら適切な位置に移動させるこ
とができず、ホース８を確実にホース収納箱２内に収納
することが困難である。

またホース８を引出すときにも同様であって、互いに
接触したホース８同士の摩擦抵抗によって隣接したホー
ス８も一緒に引出されようとして開口部３に引掛かり、
大きな抵抗を生じると共に、ときにはホース収納箱２内
でホース８が縺れて引出せない事態も生じる。

さらにホース８とホース収納箱２内面、セパレーター
５、リング４などとの摩擦抵抗も大きく、それらの抵抗
を排除してホース８をホース収納箱２から引出したとし
ても、ホース８を床面を滑らせて引出していくときの摩
擦抵抗が大きく、ホース８を引出すのに極めて大きな力
を必要とするのである。

また、外面弾性層を形成する軟質のゴム又はポリ塩化
ビニル樹脂は、耐摩耗性に劣る。従って、ホースの耐圧
を負担する筒状補強体を保護するためには、外面弾性層
を厚く形成しなければならず、ホース８が重くなるとい
う問題がある。

本考案はかかる事情に鑑みなされたものであって、摩
擦抵抗が小さく、ホース収納箱２への収納及び引出しが
容易で、且つ軽量な消火栓用ホースを提供することを目
的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 而して本考案は、合成繊維糸よりなる筒状補強体の内
面に、JIS−Ａ硬度が60〜75度で、100％伸長時の引張り
応力が80kg/cm²以下のゴム又はポリ塩化ビニル樹脂より
なる弾性層を形成し、該弾性層の弾力により円形断面を
保持せしめると共に、前記筒状補強体の外面にJIS−Ａ
硬度が75〜95度、100％伸長時の引張り応力が80kg/cm²
以下で、厚みが1mm以下のポリエステルエラストマー、
ポリウレタンエラストマー又はポリアミドエラストマー
よりなる被覆層を形成したことを特徴とする消火栓用ホ
ースである。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に従って説明する。第１図
は本考案の消火栓用ホース８を示すものであって、11は
合成繊維よりなる筒状補強体である。該筒状補強体11
は、ポリエステル、ポリアミド繊維などの合成繊維の糸
条を、32打ち、64打ちなどの組織によりブレードしたも
のや、二組の斜行糸とたて糸とにより編組した三軸織
物、糸条を斜めにスパイラル状に巻回したものなどが使
用される。

そして筒状補強体11の内面にゴム又はポリ塩化ビニル
樹脂よりなる弾性層12が、ホース８が円形断面を保持し
得る程度に比較的厚く形成されている。この弾性層12と
しては広く一般的に用いられているJIS−Ａ硬度が60〜7
5度で、100％伸長時の引張り応力が80kg/cm²以下の軟質
のポリ塩化ビニル樹脂、天然ゴム、合成ゴム、それらの
ブレンド物などが使用される。そして弾性層12の弾力に
より、ホース８は扁平に押し潰されても容易に元の円形
断面に回復できるようになっている。

そして筒状補強体11の外面には、ポリエステル、ポリ
ウレタン又はポリアミドエラストマーよりなる被覆層13
が形成されている。

被覆層13のポリエステル、ポリウレタン又はポリアミ
ドエラストマーは、JIS−Ａ硬度で75〜95度のものが使
用される。硬度が75度に満たないとホース８表面の摩擦
抵抗が大きくなり、95度を越えるとホース８が堅くな
り、またそのような堅いホース８は曲がりにくくなるた
め、収納するための消火栓ボックス１が大きくなり好ま
しくない。

また被覆層13を形成するエラストマーは、100％伸長
時の引張り応力が80kg/cm²以下のものが使用され、被覆
層13の厚みは、1mm以下である必要がある。ホース８を
使用するに際し、捩れてキンクしたり、踏まれたりして
ホース８が扁平にに押し潰された場合、ホース８両耳部
の被覆層13及び弾性層12には引張りが加わることにな
る。この場合、被覆層13の厚みが1mm以下であっても、
エラストマーの100％伸長時の引張り応力が80kg/cm²を
超えると、被覆層13のエラストマーは弾性層12の伸長に
追従して充分に伸長できず、被覆層13のエラストマーに
歪が残ってしまい、弾性層12の弾力をもってしても、ホ
ース８は元の円形断面に復元し得なくなる。

またエラストマーの100％伸長時の引張り応力が80kg/
cm²以下であっても、被覆層13の厚みが1mmを超えるとホ
ース８が堅くなり、さらにホース８が扁平に押し潰され
た場合、被覆層13の厚み方向におけるエラストマーの伸
長に大きな差が生じるため、被覆層13エラストマー表面
側に歪が残ってしまい、弾性層12の弾力をもってして
も、ホース８は元の円形断面に復元し得なくなる。

（作用） 本考案においては、ホース８の表面にJIS−Ａ硬度で7
5〜95度の比較的硬度の高いポリエステル、ポリウレタ
ン又はポリアミドエラストマーよりなる被覆層13が形成
されているのでホース８の表面が硬く、摩擦抵抗が小さ
い。

従ってホース８同士が接触した状態での摩擦抵抗が小
さく、ホース８をホース収納箱２に収納するときやホー
ス８を引出すときにホース８同士が滑り易い。またホー
ス８とホース収納箱２の内壁や開口部３、床面などとの
摩擦抵抗も小さく、容易に滑る。

さらに被覆層13を形成するエラストマーは、100％伸
長時の引張り応力が80kg/cm²以下で、被覆層13の厚みが
1mm以下であるため、その硬度が比較的高くてもホース
８が堅くなることがなく、またホース８は外力により容
易に変形することができ、且つ弾性層12の弾力によりそ
の変形を回復することができる。

また、ポリエステル、ポリウレタン又はポリアミドエ
ラストマーは、機械的強度及び耐摩耗性に優れるため、
被覆層13の厚みが1mm以下であっても筒状補強体11を充
分に保護することができる。

（考案の効果） 従って本考案によれば、ホース８を収納するときは新
しく差込んだホース８部分と既にホース収納箱２内に入
っているホース８部分とが接触しても、そのホース８同
士が容易に滑り合って適切な位置に移動することがで
き、ホース８を確実にホース収納箱２内に収納すること
ができる。

またホース８を引出すときにも、ホース８同士が互い
に滑り合うので、引出そうとするホース８に隣接したホ
ース８部分が共に引出されようとすることがなく、ホー
ス８をその端から順に引出すことができ、またホース収
納箱２内でホース８が縺れることもない。

さらにホース８がホース収納箱２の内壁や開口部３、
床面などに接触しても容易に滑ることができ、過度の抵
抗がなく、小さい力でホース８を引出すことができる。

またホース８は外力により容易に変形することがで
き、且つ弾性層12の弾力でその変形を回復することがで
きる。従って、本考案のホース８は、小さい曲率半径で
彎曲させることができる。

また、本考案によれば、従来のホースのように厚い外
面弾性層を形成することなく、1mm以下と薄い被覆層13
で筒状補強体11を保護できるので軽量なホース８とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の消火栓用ホースの斜視図である。第２
図及び第３図は本考案を適用する消火栓装置を示すもの
であって、第２図は正面図であり、第３図は一部を破断
した右側面図である。 ８……消火栓用ホース 11……筒状補強体 12……弾性層 13……被覆層

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成繊維糸よりなる筒状補強体の内面に、
   JIS−Ａ硬度が60〜75度で、100％伸長時の引張り応力が
   80kg/cm²以下のゴム又はポリ塩化ビニル樹脂よりなる弾
   性層を形成し、該弾性層の弾力により円形断面を保持せ
   しめると共に、前記筒状補強体の外面にJIS−Ａ硬度が7
   5〜95度、100％伸長時の引張り応力が80kg/cm²以下で、
   厚みが1mm以下のポリエステルエラストマー、ポリウレ
   タンエラストマー又はポリアミドエラストマーよりなる
   被覆層を形成したことを特徴とする消火栓用ホース