JP4802044B2 - 補強繊維シート - Google Patents

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Description

本発明は、補強繊維シートに関し、詳細には、建築物等の構造物やパイプ等の成形体の補強用に好適な補強繊維シートに関する。
近年、老朽化等により強度や耐久性の低下した土木・建築構造体の補強方法として、補強繊維シートを含む繊維強化樹脂を構造物に接着して補強する補強方法が注目されている。また、繊維強化プラスチックからなるパイプ等の成形においても、強化基材として補強繊維シートを用いる成形方法が多用されている。
これらの方法に用いうる補強繊維シートの代表例としては、炭素繊維やアラミド繊維等の高強力繊維を用いてなる補強繊維シートが挙げられる。かかる補強繊維シートにおいては、補強繊維同士が交錯するとクリンプを生じ、せっかくの高強力繊維の強力利用率が低下するため、補強繊維を一方向に引き揃えて配列させた補強繊維シートが種々提案されている。そのような一方向性補強繊維シートにおいては、シートとしての形態を安定させるために、補強繊維とは別に補助繊維を用い、該補助繊維を経糸および緯糸として織組織を形成し、補強繊維群を保持した補強繊維シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この補強繊維シートにおいても、シートに応力が加わると、織物を構成する補助繊維の締め付けにより、補強繊維にクリンプを生じるおそれがある。
また、補助繊維による編組織を利用して補強繊維群を保持するものとして、補強繊維群を一方向に畝状に配列し、各補強繊維群の表面には該補強繊維群と交差する被覆補助繊維を該補強繊維群の長さ方向に配置し、隣り合う補強繊維群の畝間で、上記被覆補助繊維をからみ補助繊維により経編組織で結束した補強繊維シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この編組織を利用した補強繊維シートは、接着剤の浸透性を考慮して補強繊維群間の空隙を多く取って配列させているものであり、補強性を向上するために補強繊維を密に配列させた場合についてまで考慮されたものではない。
特開平7−243149号公報(特許請求の範囲) 特開平10−37051号公報(特許請求の範囲)
補強繊維シートを使用する場面においては、シートを巻き回したりして作業することも多いことから、シートには柔軟性が要求されるとともにシートとしての形態が安定していることが求められ、さらには、補強効果を大きく発揮すべくシートに応力が加わっても補強繊維にクリンプが生じにくいことが求められる。しかしながら、現状では、そのような性質を十分に兼ね備えた補強繊維シートは未だ得られていない。
かかる状況に鑑み、本発明の課題は、補強効果に優れ、作業性を考慮して柔軟性と形態安定性とを両立させた一方向性補強繊維シートを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決できるものであり、
[1] 補強繊維が引き揃えられ、撚り合わされずにもしくは撚り合わされてなる補強繊維群を一単位として、それが一方向に配列された補強繊維シートにおいて、該繊維シートの両面には、被覆補助繊維が上記補強繊維群の長さ方向に配置され、かつ、各被覆補助繊維は、該繊維シートの反対面に配置された被覆補助繊維と絡み合って袋状経編組織を形成しており、上記補強繊維群は、該袋状経編組織に経挿入されていることを特徴とする補強繊維シート、
[2] 上記補強繊維群は多段挿入されている前項[1]に記載の補強繊維シート、
[3] 上記補強繊維群において、補強繊維は撚り係数Kが2000〜7000で撚り合わされたている前項[1]または[2]に記載の補強繊維シート、
ただしK=T×(DT)1/2
T :撚り合わせ数(回/m)
DT:撚り糸の総繊度(dtex)
[4] 上記補強繊維群の配列密度が10〜200本/2.54cmである前項[1]〜[3]のいずれか1に記載の補強繊維シート、
[5] 上記経編組織の緯方向密度が片面あたり10〜150コース/2.54cmである前項[1]〜[4]のいずれか1に記載の補強繊維シート、
[6] 上記被覆補助繊維の繊度が200dtex以下である前項[1]〜[5]のいずれか1に記載の補強繊維シート、
[7] 上記被覆補助繊維の初期引張抵抗度が10〜200cN/dtexである前項[1]〜[6]のいずれか1に記載の補強繊維シート、
[8] 上記被覆補助繊維がポリオレフィン系繊維である前項[1]〜[7]のいずれか1に記載の補強繊維シート、
[9] 上記補強繊維の引張強度が15〜60cN/dtex以上である前項[1]〜[8]のいずれか1に記載の補強繊維シート、
[10] 上記補強繊維群の繊度が1000〜50000dtexである前項[1]〜[9]のいずれか1に記載の補強繊維シート、および
[11] 上記補強繊維が芳香族ポリアミド繊維である前項[1]〜[10]のいずれか1に記載の補強繊維シート
に関する。
本発明の補強繊維シートは、補強効果に優れるとともに、作業時に要求される形態安定性および柔軟性に優れた補強繊維シートであり、建築物等の構造物やパイプ等の成形体の補強に好適であり、特に、石油パイプライン、水道管、下水管、ガス管等の流体輸送用樹脂パイプの補強に好適である。
本発明の繊維補強シートのうち、補強繊維が多段挿入されている態様は、補強繊維の強度利用率が高く、編幅あたりの強力が特に大きいシートとすることができる。
本発明の繊維補強シートのうち、補強繊維が撚り係数K=2000〜7000で撚り合わされている態様は、補強繊維群の形態保持性にも優れる。
本発明の繊維補強シートのうち、初期引張抵抗値が10〜200cN/dtexである態様は、補強繊維シートの耳部のカールを防止できるという効果も有する。
本発明の繊維補強シートのうち、被覆補助繊維の融点が190℃以下である態様は、被覆補助繊維を融解させやすいため、例えば樹脂を含浸して使用する場合には該樹脂中に被覆補助繊維を溶かしてしまうことができるという効果も有する。
本発明の繊維補強シートのうち、被覆補助繊維がポリオレフィン繊維である態様は、ポリオレフィン樹脂パイプの補強に特に好適である。
以下、図を参照しつつ本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の補強繊維シートの一例を示す拡大部分模式図であり、本発明の補強繊維シートは表裏対称であってもよいが、説明の便宜上、おもて面側から見た平面図であるとする。1は補強繊維群2および3は被覆補助繊維であり、2は補強繊維シートのおもて面に配置された被覆補助繊維、3は補強繊維シートのうら面に配置された被覆補助繊維である。
図1の補強繊維シートにおいては、補強繊維群(1)が一方向に複数本配列されている。 補強繊維群とは、補強繊維からなる繊維群である。本発明においては、補強繊維が引き揃えられ、撚り合わされずにもしくは撚り合わされてなる補強繊維群を一単位、すなわち1本の補強繊維群とする。
上記補強繊維群において、補強繊維は撚り合わされていなくてもよく、撚り合わされていてもよい。補強繊維が撚り合わされていることは、補強繊維群において補強繊維がバラけ難く、補強繊維群の形態保持性に優れる点で有利である。ただし、あまり強く撚り合わされていると、強力の低下、撚りトルクによる糸としての扱い難さといった弊害を生じる傾向にある。したがって、補強繊維が撚り合わされている場合には、補強繊維群を1本の撚り糸として、下記式で示される撚り係数Kが2000〜7000であることが好ましい。
K=T×(DT)1/2
なお、上式において、Tは撚り数(回/m)を表わし、DTは撚り糸の総繊度(dtex)を表わす。
図1に示されるように、本発明の補強繊維シートのおもて面においては、補強繊維群(1)と交差する被覆補助繊維(2)が補強繊維群の長さ方向に配置されている。図1から明らかなように、被覆補助繊維が補強繊維群と交差するというのは、被覆補助繊維が該補強繊維群の中心線を跨いで左右に振られていることを意味し、被覆補助繊維はそのように左右に振られて反転しつつ、補強繊維群の長さ方向に配置されているのである。なお、図1では、被覆補助繊維(2)の反転箇所は補強繊維群間ないしシートのうら面側に隠れている。
図2は、図1に示す補強繊維シートのうら面から見た被覆補助繊維(3)の配置を示す拡大部分模式図であり(ただし、この図2では、おもて面の被覆補助繊維(2)の一部分がうら面に覗いている。)、うら面においてもまた、補強繊維群(1)と交差する被覆補助繊維(3)が補強繊維群の長さ方向に配置されている。図1および図2が示す例では、おもて面の被覆補助繊維(2)のそれぞれが1本の補強繊維群(1)とのみ交差しているのに対し、うら面の被覆補助繊維(3)のそれぞれは、2本の補強繊維群(2)と交差している。このように、1本の被覆補助繊維と交差する補強繊維群の本数は、1本であっても複数本であってもよく、おもて面の被覆補助繊維と交差する補強繊維群の本数と、うら面の被覆補助繊維と交差する補強繊維群の本数とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
図1において、おもて面およびうら面の各被覆補助繊維は、補強繊維シートにおける反対面に配置された被覆補助繊維と絡み合って、すなわち、おもて面の被覆補助繊維(2)がうら面の被覆補助繊維(3)と絡みあうことにより、袋状経編組織を形成している。そして、補強繊維群(1)がこの袋状経編組織に、経挿入された形態となって、本発明の補強繊維シートが構成されているのである。かかる構成により、補強繊維群は被覆補助繊維からなる袋状経編組織内に保持されて目ズレ防止が図られるので、補強繊維シートとしての形態安定性が得られる。また、補強繊維群は一方向に並列に規則正しく配列されることになるので、補強繊維の強度利用率が高くなり、補強繊維間には樹脂を含浸することも容易にできる。
なお、図1および図2によって示した本発明の補強繊維シートの一例について、おもて面およびうら面から撮影した顕微鏡写真を図5および図6に示す。図5がおもて面、図6がうら面の写真である。
図3および図4は、本発明の補強繊維シートにおける補強繊維群の配列方向と垂直な断面から見た拡大部分模式図である。本発明の補強繊維シートにおいて、補強繊維群は、図4に示すように上記袋状経編組織内に1本ずつ経挿入されていてもよいが、複数本ずつ好ましくは多段に挿入されていてもよい。図3は、3段に挿入されている場合を示す。補強繊維群を多段に挿入する場合の段数としては、2〜5段が好ましく、2〜3段がより好ましい。段数は少ない方が、段が崩れにくく多段の形態を保持しやすい。また、形態保持の点から、多段に挿入する場合の補強繊維群においては、補強繊維が上記した撚り係数の範囲で撚り合わされていることが好ましい。
上記のように、補強繊維群を多段に挿入した態様とすることは、補強繊維の使用量を増して補強効果を高めたい場合に有利である。例えば、ある繊度dの補強繊維群を1本ずつ挿入する場合に比べて、繊度d/n(nは自然数)の補強繊維群をn段挿入する方が補強繊維の強度利用率を高めやすい。これは、補強繊維群1本あたりの繊度がある程度以上大きくなるにつれ、工程通過性が低下する傾向にあり、補強繊維シートの製造時においてガイド、筬、ニードルなどの屈曲部において擦過されることにより単糸間に糸長差を生じやすくなることにもよる。なお、補強繊維の強度利用率としては、85%以上が好ましい。
かかる構成をなす本発明の補強繊維シートは、一般的なラッセル経編の改良により製造することができる。被覆補助繊維からなる経編組織の形成は、例えば、「知りたかった繊維の話」(株式会社 東レ経営研究所発行、1994年第2版発行、P124〜P127)に準じて編成し、デンビー編、コード編1×2、経挿入を組み合わせることにより容易に製造される。
上記の被覆補助繊維が構成する袋状経編組織における緯方向密度、即ち被覆補強繊維の2.54cmあたりのコース数としては、片面あたり10〜150コースが好ましく、30〜60コースがより好ましい。2.54cmあたりのコース数を片面あたり10コース以上とすることは、形態が安定してシートが取り扱いやすい点や、補強繊維群が経方向に揃いやすく強度利用率が高まる点で好ましい。一方、2.54cmあたりのコース数を片面あたり150コース以下とすることが好ましいのは、150コースを超えると補強繊維群が必要以上に強く保持されて動き難くなり、補強繊維シート全体が硬くなる傾向にあるからである。
本発明の補強繊維シートにおける補強繊維群の配列密度としては、特に限定されるものではなく、補強繊維群の繊度に応じ、補強効果や樹脂含浸性等を考慮して適宜設定すればよいが、10〜200本/2.54cmが好ましく、40〜100本/2.54cmがより好ましい。補強繊維シートを薄くしたい場合や製編性を向上させたい場合には補強繊維群の配列密度を小さめに設定するのが有利であり、形態安定性やシート幅あたりの強度を高くしたい場合には補強繊維群の配列密度を大きめに設定するのが有利である。なお、補強繊維群が1段で挿入されている場合の配列密度および多段挿入されている場合の1段あたりの配列密度としては、10〜50本が好ましく、15〜40本がより好ましい。
また、補強繊維群の1本(一単位)あたりの繊度としては、1000〜20000dtexが好ましく、3000〜15000dtexがより好ましい。1000dtex以上とすることは形態安定性や強度を確保するうえで好ましいが、上記した工程通過性を良好に保つうえでは過度に繊度を大きくしないことが好ましい。
補強繊維群を構成する補強繊維としては、特に限定されるものではないが、引張強度が15cN/dtex〜60cN/dtexである繊維が好ましい。補強繊維の具体例としては、ポリエチレン繊維、炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維などが挙げられ、それらのうち、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維が好ましく、柔軟性に優れる点から芳香族ポリアミド繊維がより好ましく、中でも、強力が高いことからポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が高く特に好ましい。ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維は例えば東レデュポン株式会社製「ケブラー(登録商標)29」などの市販品として入手可能である。
補強繊維の単補強繊維の単繊維フィラメント繊度としては、特に限定されるものではないが、0.1dtex〜3dtexが好ましく、1dtex〜2dtexが特に好ましい。単繊維フィラメント繊度が大きくなるにつれ、一般的には曲げ硬さが大きくなり、シートが硬めになってゆく傾向にある。
なお、本発明の補強繊維シートの目付としては、特に限定されるものではなく、補強繊維群の繊度や配列密度によっても変化するが、300〜2000g/mが好ましく、500〜1500g/mがより好ましい。
また、被覆補助繊維としては、補強繊維シートとしての形態安定性を確保できる範囲において、剛性が低い繊維を使用することが好ましい。これは、剛性の高い繊維を被覆補助繊維に使用すると、補強繊維シートの耳部がカールを起こしやすい傾向にあるためであり、また、シートに応力がかかった際に補強繊維にクリンプを生じる傾向にあるためである。さらに、剛性が低い繊維を使用することにより、補強繊維シートは曲げ硬さの小さい柔軟なシートとなるので、工事などに使用する際に取り扱いやすく、作業性に優れた補強繊維シートを得ることができる。かかる理由から、被覆補助繊維の繊度としては、250dtex以下が好ましく、15〜180dtexがより好ましく、20〜100dtexが特に好ましい。同様の理由から、被覆補助繊維の初期引張抵抗度としては、15〜200cN/dtexが好ましく、20〜150cN/dtexがより好ましく、25〜100cN/dtexが特に好ましい。ここで、初期引張抵抗度とは、JIS L1013 8.19 1項B法に従って測定される初期引張抵抗度(ヤング率)をいう。
また、補強繊維シートの使用目的である補強効果に実質的に寄与するのは専ら補強繊維(群)であって、被覆補助繊維は、補強効果への実質的な寄与が期待できないので、補強繊維シートが補強対象物に定着された後には、もはや繊維の形態をとどめない方が好ましい場合もある。例えば、補強繊維シートの外側から熱可塑性樹脂層を被覆して熱加工を行う際などに、被覆補助繊維が補強繊維群同士を拘束しないである程度自由に動けるようにしたほうが補強繊維シートひいては補強対象物の可撓性が高くなるので良い場合や、熱加工後には補強繊維群のクリンプや欠陥がなくなって補強繊維ひいては補強繊維シートの強力および弾性率が高くなるので良い場合がある。
そのように、被覆補強繊維に熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として溶融含浸させて使用する場合には、被覆補助繊維の融点が該マトリックス樹脂の融点以下となるようにすることが好ましく、それによって被覆補助繊維を融解させてマトリックス樹脂中に取り込ませてしまうことができる。
具体的には、被覆補強繊維を融解させたい場合を考慮すれば、被覆補助繊維の融点としては、260℃以下が好ましく、190〜210℃がより好ましく、130〜190℃が特に好ましい。本発明の繊維補強シートの使用においてポリオレフィン系樹脂を溶融含浸させる場合には、被覆補助繊維の融点としては190℃以下が好ましい。
被覆補助繊維を構成する素材という観点からは、特に限定されるものではなく、天然繊維、半合成繊維、合成繊維の中から適宜選択可能であるが、合成繊維が好ましく、中でもポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維が好ましい。
特に、本発明の補強繊維シートを石油、天然ガスその他の液体もしくは気体の輸送用パイプの成形用に用いる場合、それらのパイプにはポリオレフィン系樹脂が多用されることから、被覆補助繊維としては、ポリオレフィン系繊維が特に好ましく、ポリエチレン繊維がとりわけ好ましい。なお、本発明の補強繊維シートとポリオレフィン系樹脂とを用いて成形されて得られる繊維強化樹脂パイプは、鉄鋼製パイプと比較して、軽量なため作業性および輸送性に優れ、フレキシブルなため作業性に優れるとともに地震などのショックに強く、さらに耐腐食性に優れるという利点を有するため、上記の液体もしくは気体の輸送用パイプとして今後ますます有望である。
以上のように構成される本発明の補強繊維シートは、被覆補助繊維により形成される袋状経編組織によって高強力の補強繊維が平行度を保って形態安定良く配列されているために、目ズレが少ないとともに、作業時に曲げやすい柔らかさを備えている。それゆえ、上記したパイプ補強のみならず、高架の橋げたや床、建物の柱・壁などの補強にも有用であり、特に施工時の取り扱い性、軽量性に優れ、また引張強力、剪断強力も高いので補強用部材として他の素材にはみられない工業的価値の高いものである。
さらに、本発明の補強繊維シートには樹脂を容易に含浸させることができるので、特に、樹脂を含浸させて使用すれば、上記したパイプの補強用に限らず、一般的な構造物を含め、高架の橋げたや床板、建物の柱、壁などの補強材として最適である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例に記載の特性は、以下の方法により測定ないし評価したものである。
1.撚り数(回/m):
JIS(1999) L1013 8.13.1の撚り数項の記載に従って測定した。
2.補強繊維群の配列密度(本/2.54cm):
シート幅3cm間の補強繊維群を抜き出して本数(単位数)を実測し、2.54cmあたりの本数に換算した。
3.袋状経編組織の緯密度(コース/2.54cm):
JIS(1999) L1018 8.8項記載の密度に従った。
4.繊度(dtex):
JIS(1999) L1013 B法に従った。
5.初期引張抵抗度(cN/dtex):
JIS(1999) L1013 8.19.1項B法に従った。
6.引張強度(cN/dtex):
JIS(1999) L1013 8.5.1項に従った。
7.シートの引張強さ(N/2.54cm):
JIS(1999) L1018 8.13項 カットストリップ法に従った。なお、30mm幅の試験片を用いて測定した値を2.54cm幅あたりの強さに換算した。
8.補強繊維の強度利用率(%):
補強繊維の原糸での強度S、シートの引張強さL1(N/30mm)、該シート30mm幅中の補強繊維の合計繊度D(dtex)をそれぞれ測定して、下記式により算出した。
式: [強度利用率(%)]={(L/D)/S}×100
9.カール性 :
編地のカール性を、カールが少ないほど良好であるとして以下の基準で官能的に評価した。
極めて良好 ◎
良好 〇
やや不良 △
不良 ×
10.樹脂含浸性:
エポキシ樹脂(セメダイン社製、♯1500)とアミン系硬化剤の3対1の混合液を用いてシートに付着させた。付着量は、付着前のシートの質量に対して10質量%とした。樹脂硬化後に、シートの曲げ硬さを官能的に調べて、曲げ硬さが硬いほど含浸性が良好であるとして以下の基準で評価した。
極めて良好 ◎
良好 〇
やや不良 △
不良 ×
11.シート取り扱い性:
曲げ柔らかさおよび巻きつけ性を官能評価した。
極めて良好 ◎
良好 〇
やや不良 △
不良 ×
12.総合評価:
シートの特性値、樹脂含浸性、シート取り扱い性および編成性などから総合的に評価した。
極めて良好 ◎
良好 〇
やや不良 △
不良 ×
[実施例1〜4]
補強繊維群としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レデュポン株式会社製「ケブラー
(商標登録)29 」)の3300dtex、単繊維フィラメント繊度が1.6dtex、強度18.9cN/dtexのものにS撚り71回/mの撚りを施したものを補強繊維群の一単位として、3段経挿入で、補強繊維群3本を合わせた総繊度が9900dtexとなるようにして用いた。
被覆補助繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維(東レ株式会社製「テトロン(登録商標)」)の56dtex/単繊維フィラメント数12本(実施例1)および84dtex/単繊維フィラメント数24本(実施例4)のもの、ポリアミド繊維(同社製「アミラン(登録商標)」)の22dtexモノフィラメント(実施例3)、ポリエチレン繊維の56dtexモノフィラメント(実施例2)をそれぞれ用いた。なお、各実施例において、被覆補助繊維はおもて面とうら面で同じ繊維を使用した。
上記繊維を、補強繊維群が3段の経挿入となるようにラッセル経編機に供給して、図1および2に示す組織を構成し、表1に示す補強繊維シートを得た。なお、編地の設計条件としては、ウェール(W/2.54cm)18.0、コース(C/2.54cm)36.0、筬5枚とした。
[参考例1]
参考例として、被覆補助繊維以外にからみ補助繊維を用い、特開平10−37051号公報に記載の袋状経編組織と同様の組織に補強繊維群が経挿入された補強繊維シートを作製した。
補強繊維群としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レデュポン株式会社製「ケブラー (商標登録)29 」)の9900dtex、単繊維フィラメント繊度が1.6dtex、強度18.9cN/dtexのものに撚りをかけずに交絡させたものを補強繊維群の一単位として、1段挿入で用いた。
被覆補助繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維(東レ株式会社製「テトロン(登録商標)」)の56dtex/単繊維フィラメント数24本を、からみ補助繊維として同じくポリエチレンテレフタレート繊維(東レ株式会社製「テトロン(登録商標)」)の56dtex/単繊維フィラメント数24本を用いた。
上記繊維を用いて、ラッセル経編機にて、特開平10−37051号公報の図1に記載された組織に準ずる組織を構成して、比較用の補強繊維シートを得た。
上記の実施例および参考例で得られたシートの特性を測定ないし評価した結果を下記表1に示す。
表1の結果が示すように、実施例1〜4の補強繊維シートは、いずれも好ましい特性を有するものであった。本発明では、補強繊維群を多段挿入することは必ずしも要しないが、実施例1〜4では3段挿入したため、強度利用率も85%を超える好ましい値となった。
各実施例間での被覆補助繊維を変えたことの影響を考察すると、被覆補助繊維にポリエチレンを用いた実施例2では、ポリエチレンテレフタレート繊維を用いた実施例1および4よりも補強繊維の強度利用率がさらに優れており、カール性やシート取扱い性にもより優れている。
なお、いずれも被覆補助繊維にポリエチレンテレフタレート繊維を用いた場合で、該被覆補助繊維の繊度が56dtexである実施例1よりも84dtexに太くした実施例4の方が強度利用率に勝る結果となったのは、補強繊維群の並行度が高まったためと推察される。
なお、参考例1では、補強繊維群に9900dtexと比較的太いものを使ったため、工程通過性にやや劣り、補強繊維の強力利用率も低めであった。
本発明の補強繊維シートの一例の拡大部分模式図(おもて面)である。 本発明の補強繊維シートの一例の拡大部分模式図(うら面)である。 本発明の繊維補強シートにおける補強繊維群の挿入形態を例示する拡大部分模式図(断面)である。 本発明の繊維補強シートにおける補強繊維群の挿入形態を例示する拡大部分模式図(断面)である。 本発明の補強繊維シートの一例の顕微鏡写真(おもて面)である。 本発明の補強繊維シートの一例の顕微鏡写真(うら面)である。
符号の説明
1 補強繊維群
2 おもて面の被覆補助繊維
3 うら面の被覆補助繊維

Claims (11)

  1. 補強繊維が引き揃えられ、撚り合わされずにもしくは撚り合わされてなる補強繊維群を一単位として、その補強繊維群が一方向に配列された補強繊維シートにおいて、
    該補強繊維シートの一方の面と反対側の面には、それぞれ、上記補強繊維群と交差する被覆補助繊維が補強繊維群の長さ方向に沿ってジグザグ状に配置され、一方の面に配置された被覆補助繊維は反対側の面に配置された被覆補助繊維と絡み合って袋状経編組織を形成し、上記補強繊維群の長さ方向は該袋状経編組織の経方向と同一であることを特徴とする補強繊維シート。
  2. 上記補強繊維群が、上記補強繊維シートの厚さ方向に、補強繊維群の長さ方向を上記袋状経編組織の径方向と同一になるようにして、更に複数本配置されていることを特徴とする請求項1に記載の補強繊維シート。
  3. 上記補強繊維群において、補強繊維は撚り係数Kが2000〜7000で撚り合わされている請求項1または2に記載の補強繊維シート。
    ただしK=T×(DT)1/2
    T :撚り合わせ数(回/m)
    DT:撚り糸の総繊度(dtex)
  4. 上記補強繊維群の配列密度が10〜200本/2.54cmである請求項1〜3のいずれか1に記載の補強繊維シート。
  5. 上記袋状経編組織の緯方向密度が片面あたり10〜150コース/2.54cmである請求項1〜4のいずれか1に記載の補強繊維シート。
  6. 上記被覆補助繊維の繊度が200dtex以下である請求項1〜5のいずれか1に記載の補強繊維シート。
  7. 上記被覆補助繊維の初期引張抵抗度が10〜200cN/dtexである請求項1〜6のいずれか1に記載の補強繊維シート。
  8. 上記被覆補助繊維がポリオレフィン系繊維である請求項1〜7のいずれか1に記載の補強繊維シート。
  9. 上記補強繊維の引張強度が15〜60cN/dtexである請求項1〜8のいずれか1に記載の補強繊維シート。
  10. 上記補強繊維群の繊度が1000〜50000dtexである請求項1〜9のいずれか1に記載の補強繊維シート。
  11. 上記補強繊維が芳香族ポリアミド繊維である請求項1〜10のいずれか1に記載の補強繊維シート。
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