JP2009068150A - ゴム物品補強用スチール織物 - Google Patents
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Abstract
【課題】スチールからなる補強材の打込み性状の安定化を図ることで、寸法安定性に優れるとともに、得られるゴム物品において、従来に比しより高い剛性を実現することができるゴム物品補強用スチール織物を提供する。
【解決手段】縦糸1および横糸2のうちいずれか一方または双方が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織のゴム物品補強用スチール織物10である。縦糸1が、線径0.15〜0.38mmを有するスチール素線、または、該スチール素線を2本以上にて撚り合わせたスチールコードからなり、かつ、横糸2が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなる。または、縦糸2が、その幅をW、厚みをTとしたとき、W/T≧2および0.15mm≦T≦0.38mmを満足する扁平スチールワイヤーからなり、かつ、横糸2が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなる。
【選択図】図1
【解決手段】縦糸1および横糸2のうちいずれか一方または双方が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織のゴム物品補強用スチール織物10である。縦糸1が、線径0.15〜0.38mmを有するスチール素線、または、該スチール素線を2本以上にて撚り合わせたスチールコードからなり、かつ、横糸2が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなる。または、縦糸2が、その幅をW、厚みをTとしたとき、W/T≧2および0.15mm≦T≦0.38mmを満足する扁平スチールワイヤーからなり、かつ、横糸2が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなる。
【選択図】図1
Description
本発明はゴム物品補強用スチール織物(以下、単に「スチール織物」とも称する)に関し、詳しくは、空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム物品の補強材として使用されるゴム物品補強用スチール織物に関する。
ゴム物品の典型例である空気入りタイヤにおいて、その寸法安定性を低下させる要因の一つとして、スチールコード等の補強材の打込み状態がある。かかる補強材の打込み方法としては、従来、コードを1本ずつリールから巻き出し、上下方向からゴムを圧着する方
式が用いられていた。
式が用いられていた。
その改良技術としては、例えば、特許文献1に、C量が0.6質量%以上を含有する鋼であって、引張強さ:3.0GPa以上、絞り:30%以上を有し、かつ横断面の形状が、幅W、厚みtとした時、W/t≧2を満足する扁平ワイヤ、および、これをゴムの補強に用いたゴム製品が開示されている。
特開2002−309347号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、上記従来の打込み方法や改良技術では、隣接する補強材間の隙間が均等にならないという問題があった。また、近年、空気入りタイヤの操縦安定性などの性能面の要請から、より剛性の高いゴムと補強材との複合体シート(トリート)の実現が求められているが、従来の複合体シートでは隣接補強材間に何ら拘束がなく、ゴムのみで一体化されているため、高い剛性を得るには限界があった。
そこで本発明の目的は、スチールからなる補強材の打込み性状の安定化を図ることで、寸法安定性に優れるとともに、得られるゴム物品において、従来に比しより高い剛性を実現することができるゴム物品補強用スチール織物を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、所定のスチール素線またはスチールコードを縦糸および横糸として用いてクリンプ織のスチール織物を形成することで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のゴム物品補強用スチール織物は、縦糸および横糸のうちいずれか一方または双方が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織のゴム物品補強用スチール織物であって、前記縦糸が、線径0.15〜0.38mmを有するスチール素線、または、該スチール素線を2本以上にて撚り合わせたスチールコードからなり、かつ、前記横糸が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなることを特徴とするものである。この場合、好適には、前記縦糸が、2本以上の前記スチール素線またはスチールコードからなる。
また、本発明の他のゴム物品補強用スチール織物は、縦糸および横糸のうちいずれか一方または双方が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織のゴム物品補強用スチール織物であって、前記縦糸が、その幅をW、厚みをTとしたとき、W/T≧2および0.15mm≦T≦0.38mmを満足する扁平スチールワイヤーからなり、かつ、前記横糸が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなることを特徴とするものである。この場合、好適には、前記縦糸が、2本以上の前記扁平スチールワイヤーからなる。
本発明のゴム物品補強用スチール織物は、好適には、隣接する前記縦糸間および横糸間に、それぞれ隙間を有する。
また、本発明のゴム物品は、上記本発明のゴム物品補強用スチール織物を、ゴムの補強材として用いたことを特徴とするものである。
本発明のゴム物品補強用スチール織物によれば、上記構成としたことにより、ゴム物品の寸法安定性を向上することが可能である。また、従来に比し、当該ゴム物品の剛性を高めることができるため、本発明のスチール織物を特にタイヤに適用することにより、タイヤの操縦安定性についても向上することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明のゴム物品補強用スチール織物の概略平面図を示す。また、図2は、図1中のa−a線に沿うスチール織物10の断面図である。図示するように、本発明のゴム物品補強用スチール織物10は、縦糸1および横糸2のうちいずれか一方または双方(図示例では双方)が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織の織物である。
図1に、本発明のゴム物品補強用スチール織物の概略平面図を示す。また、図2は、図1中のa−a線に沿うスチール織物10の断面図である。図示するように、本発明のゴム物品補強用スチール織物10は、縦糸1および横糸2のうちいずれか一方または双方(図示例では双方)が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織の織物である。
本発明のスチール織物10において、縦糸1は、線径0.15〜0.38mmを有するスチール素線、または、このスチール素線を2本以上にて撚り合わせたスチールコードからなる。縦糸1を構成するスチール素線の直径が、0.15mm未満では強度が不足し、一方、0.38mmを超えるとゴムとスチールとの複合体の面外方向の曲げ剛性が高くなりすぎて柔軟性に欠け、耐久性に悪影響を及ぼすこととなる。
ここで、図2は、縦糸1がスチール素線の単線からなる場合のスチール織物10の断面図であり、図3は、縦糸1を1×3構造のスチールコードに代えた場合のスチール織物10の断面図(図1中のa−a断面)を示している。なお、図中の参照符号3はスチール素線を示す。
本発明において、縦糸1は、その幅をW、厚みをTとしたときに、W/T≧2および0.15mm≦T≦0.38mmを満足するような扁平スチールワイヤーからなるものとすることもできる。この場合のスチール織物10の断面図(図1中のa−a断面)を、図4に示す。縦糸1に適用する扁平ワイヤーがW/T≧2を満足しない場合、すなわち、W/Tが2未満の場合には、強度を確保しつつ複合体シートの厚みを薄くしてゴム物品の軽量化を図ることができなくなる。また、厚みTが0.15mm未満であると強度が不足する一方、0.38mmを超えるとゴムとコードとの複合体シートの面外方向の曲げ剛性が高くなり過ぎて、柔軟性に欠け、耐久性に悪影響を及ぼすことになる。
なお、縦糸1に使用するスチール単線、スチールコードおよび扁平スチールワイヤーは、複合体シートの厚みをより薄くしてゴム物品の軽量化を図るために、2本以上を束ねて用いることがより好ましい。
また、横糸2は、縦糸1が上記スチール素線、スチールコードまたは扁平スチールワイヤーのいずれである場合においても、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなるものとする。横糸2の線径が0.08mm未満では剛性向上効果が小さく、一方、0.18mmを超えると縦糸と横糸との間の接触圧力が大きくなって、ゴム物品の耐久性に悪影響を及ぼすことになる。
また、図1に示すように、本発明のスチール織物10は、隣接する縦糸1間および横糸2間に、それぞれ隙間を有することが好ましい。隣接する縦糸1間および横糸2間に隙間がないと、ゴム物品中で複合体シートに面内方向に曲げ入力が生じた際に、剛性が高過ぎ
て柔軟に変形することができず、耐久性に悪影響を及ぼす場合がある。
て柔軟に変形することができず、耐久性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明のスチール織物10は、上記縦糸1および横糸2により構成されたクリンプ織物であればよく、これにより、このスチール織物10をゴムの補強材として用いたゴム物品において、本発明の所期の効果が得られるものである。クリンプ織では縦糸および/または横糸に波形の型付けを施すため、織物とした際に縦糸と横糸との絡み性を向上する効果が得られる。本発明においては、クリンプ織とするものであれば、具体的な織構造には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、波形の型付けは、縦糸と横糸との交差部分にのみ付けてもよく、全体に付けてもよい。また、その波形の大きさについても、縦糸ないし横糸の寸法等に応じて適宜決定することができ、特に制限されない。また、本発明のスチール織物10をゴムの補強に用いる場合には、複数層にて積層して使用することも可能である。さらに、織りの方向に対し斜めに切断して使用することも可能であり、空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム物品に適用するにあたり、その埋設方法に何ら制限を受けるものではない。
以下、本発明を、実施例に基づき、より具体的に説明する。
(実施例および比較例)
図1に示すような、波形に型付けされた縦糸1と横糸2とからなるクリンプ織のスチール織物10として、下記の表1中に示す条件に従い、各実施例および比較例の補強材を製造した。縦糸および横糸の材質はすべてスチールである。図2〜図5は、それぞれ図1中のa−a線に沿う断面図を示す。図2は、縦糸1がスチール単線からなる場合である。また、図3は、縦糸1が1×3構造のスチールコードの1本からなる場合である。さらに、図4は、縦糸1が扁平ワイヤーの1本からなる場合である。さらにまた、図5は、2本のスチール単線を幅方向に並列に並べて縦糸1とし、そこに横糸2を通した場合である。
(実施例および比較例)
図1に示すような、波形に型付けされた縦糸1と横糸2とからなるクリンプ織のスチール織物10として、下記の表1中に示す条件に従い、各実施例および比較例の補強材を製造した。縦糸および横糸の材質はすべてスチールである。図2〜図5は、それぞれ図1中のa−a線に沿う断面図を示す。図2は、縦糸1がスチール単線からなる場合である。また、図3は、縦糸1が1×3構造のスチールコードの1本からなる場合である。さらに、図4は、縦糸1が扁平ワイヤーの1本からなる場合である。さらにまた、図5は、2本のスチール単線を幅方向に並列に並べて縦糸1とし、そこに横糸2を通した場合である。
(従来例1)
図6および図6中のb−b線に沿う断面図である図7に示すように、1×3構造のスチールコードを並列に並べて、下記の表1中に示す条件に従い、従来例1の補強材を製造した。
図6および図6中のb−b線に沿う断面図である図7に示すように、1×3構造のスチールコードを並列に並べて、下記の表1中に示す条件に従い、従来例1の補強材を製造した。
得られた各実施例、比較例および従来例の補強材をゴム中に埋設して複合体シートを作製し、寸法安定性および剛性につき評価した。寸法安定性は、複合体シート中の縦糸の打込み状態をX線で観察し、乱れがない場合を○とし、乱れがある場合を×とした。また、剛性については、従来例1を基準として、複合体シートを面内方向および面外方向に曲げたときの硬さを測定し、面外に対する面内の剛性比率が従来例1より大きい場合を○とし、小さい場合を×とした。これらの結果を、下記の表1中に併せて示す。
上記表1に示すように、各実施例のスチール織物は、いずれも複合体シートとした際の寸法安定性に優れるとともに、剛性についても、従来例1より向上していることが確かめられた。これに対し、比較例1のスチール織物は、線径が太過ぎるため面外剛性が大きくなり、従来例1対比剛性面で劣る結果となっており、また、従来例1は、横糸がないため寸法安定性に劣る結果となった。
1 縦糸
2 横糸
3 スチール素線
10 ゴム物品補強用スチール織物
2 横糸
3 スチール素線
10 ゴム物品補強用スチール織物
Claims (6)
- 縦糸および横糸のうちいずれか一方または双方が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織のゴム物品補強用スチール織物であって、前記縦糸が、線径0.15〜0.38mmを有するスチール素線、または、該スチール素線を2本以上にて撚り合わせたスチールコードからなり、かつ、前記横糸が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなることを特徴とするゴム物品補強用スチール織物。
- 縦糸および横糸のうちいずれか一方または双方が、波形に型付けされて織り込まれてなるクリンプ織のゴム物品補強用スチール織物であって、前記縦糸が、その幅をW、厚みをTとしたとき、W/T≧2および0.15mm≦T≦0.38mmを満足する扁平スチールワイヤーからなり、かつ、前記横糸が、線径0.08〜0.18mmを有するスチール素線からなることを特徴とするゴム物品補強用スチール織物。
- 前記縦糸が、2本以上の前記スチール素線またはスチールコードからなる請求項1記載のゴム物品補強用スチール織物。
- 前記縦糸が、2本以上の前記扁平スチールワイヤーからなる請求項2記載のゴム物品補強用スチール織物。
- 隣接する前記縦糸間および横糸間にそれぞれ隙間を有する請求項1〜4のうちいずれか一項記載のゴム物品補強用スチール織物。
- 請求項1〜5のうちいずれか一項記載のゴム物品補強用スチール織物を、ゴムの補強材として用いたことを特徴とするゴム物品。
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-
2007
- 2007-09-14 JP JP2007240107A patent/JP2009068150A/ja active Pending
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