JP2541336Y2 - 仕分装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンベヤにより搬送さ
れている各種物品の搬送路を変更したり、該物品を行き
先毎、或いは種別毎に仕分ける仕分装置に関するもので
あり、特にスラットコンベヤに沿って移動するように設
けられた移動シューにより物品の仕分けを行うように構
成した仕分装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来周知の仕分け装置としてホイール浮
き出し式、押し出し式、傾倒式及び斜行ベルト、或はス
ラットコンベヤに設けた移動シューにより物品を押動す
る等の種々の仕分装置が知られている。これらの仕分装
置のうちスラットコンベヤは、外形や大きさの異なる物
品を搬送するときに好適であり、この場合の仕分け装置
としてスラットの長手方向（コンベヤ移動方向に対して
横方向）へ該スラット上を移動する移動シューを用いた
仕分け装置がある。

【０００３】この仕分装置は、例えば特公昭６０−１０
９７１号、米国特許4,738,347 号等に開示されている
が、図５及び図６を参照してその基本構造を説明する。
仕分装置１は、架台２ａ、２ｂ、この架台２ａ、２ｂに
沿って例えば矢印Ａ方向に走行するように構成されたチ
ェーン３ａ、３ｂ、このチェーン３ａ、３ｂ間にかけわ
たされて一体に走行する複数のパイプ４、パイプ４に沿
って移動する移動シュー５等により構成されている。そ
して、物品６はパイプ４上に載置された状態で矢印Ａ方
向に搬送され、仕分け位置まで搬送されると移動シュー
５を図中右側（実線に示した位置）から図６に仮想線で
示す左側の位置に移動させ、この場合は物品６を左側に
押動して仕分けを行う。

【０００４】上述の移動シュー５は、その下部に設けた
スライダー７を例えば２本のパイプ４に挟み込むように
し、パイプ４に沿って移動させる際は、張出部材( 単に
下方に延びたピン部材或はローラを備えた部材) ８をパ
イプ４の下側に敷設したガイドレール（図示省略）に適
宜案内させるように構成されている。しかし、本願考案
者の検討によると、前記構成の仕分装置は下記のような
問題点を有していることが明らかになった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】すなわち、移動シュー
５は２本のパイプ４の間或は該パイプ４を覆うようにス
ライダー７を設けた構成であるから、パイプ４に沿って
摺動する。このため、パイプ４とスライダー７との間の
隙間によるガタ付きによって騒音が発生する。また、２
本のパイプ４間にできる間隔にずれ（パイプ取り付け精
度によって生じる間隔ずれ）があるとスライダー７の円
滑な移動ができなくなるので、寸法精度と共に各パイプ
間の取り付け精度も高くしなければならない。更に、上
述の構成のごとく隣合うパイプ４間にスライダー７の如
きシュー保持手段を滑らせるようにした構成では、比較
的少ないパイプ変形により、シュー保持手段の円滑な移
動ができなくなる、等の問題がある。特に、パイプ４は
物品６を乗せて搬送する機能も合わせ持っているから、
物品６の重量による撓み（変形）が発生しやすく、移動
シュー５の円滑な移動を阻害する要因が内在している。

【０００６】又、従来のスラット型コンベヤにおいて
は、パイプ４をスライダー７により包み込むようにし、
このスライダー７とパイプ４との間に適当な摺動用ロー
ラを介在させた構造のものがある。この構造の場合は、
スライダー７の摺動性は向上する。しかしながら、従来
のこの種のコンベヤは、その基本的構造としてパイプの
外面を摺動用ローラが転がるように配置されているため
に、摺動用ローラがパイプから張り出す構成となる。こ
のために、隣合うスラットの間隔を小さくして小物を搬
送しやすいスラットコンベヤを提供しようとすると、摺
動用ローラを小さくするか、或はパイプ径を小さくせざ
るを得なかった。ここで、摺動用ローラを小さくする
と、該ローラの耐久性が低下する。また、パイプ径を小
さくすると、物品搬送時において、パイプの撓みが大き
くなるために、パイプ長さを大きくできないという問題
があった。

【０００７】本考案の課題は、移動シューを取り付ける
スライダーの如きシュー保持手段の耐久性を犠牲にする
ことなくスラット間隔を小さくしてコンベヤ搬送面の平
坦性を向上することができると共に、あわせてスラット
強度も高めることができ、さらに、仕分け時における騒
音を低減できる円滑な動作が可能な仕分装置を提供する
ことにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案にかかる上記課題
は、物品を載置して所定方向に走行する複数のスラット
と、前記複数のスラットの長手方向に移動する移動シュ
ーとを具備し、前記物品を前記移動シューにより押動し
て仕分けを行うように構成した仕分装置において、前記
スラットは中空部材からなり底面側にスラット長手方向
に沿った開口が形成されていると共に、スラット内部空
間をスラット長手方向に沿って仕切る補強壁部が形成さ
れており、前記移動シューはシュー部材が装着されたシ
ュー保持手段が前記スラットの外側面を覆う枠体に構成
され、前記シュー保持手段には前記スラット内部空間に
入り込んだ複数のブラケットが設けられ、前記ブラケッ
トに少なくとも４個以上の回転部材を設け、該回転部材
が前記スラット内壁面にて該内壁面の横断面左右方向お
よび上下方向に突っ張るように構成されており、前記シ
ュー保持手段が前記スラットの外側面に対し非接触に装
着された仕分装置によって解決される。

【０００９】

【作用】即ち、物品を載置するスラットには内部空間が
形成されているが、補強壁部により補強され、強度向上
が図られている。そして、移動シューはスラットに非接
触の枠体に形成するとともに、スラットに形成した内部
空間に入り込んで内部壁面に接触しつつ回転する回転体
を設けたので、移動シューはスラットに摩擦することな
く円滑に移動するようになる。また、回転体がスラット
内部空間を移動する構成であるので、この回転部材がス
ラット外部に張り出す構成に比べてスラット間隔を小さ
くすることができる。さらに、回転部材がスラット内部
を走行するので、移動シューの移動音をも小さくするこ
とができる。

【００１０】

【実施例】以下、添付の図面を参照して本考案の実施例
を詳細に説明する。図１は本考案を適用した仕分装置に
おける移動シューの要部を一部透視した平面図であり、
図２は断面図であり、図３は側面図、図４は応用例を示
す平面図である。先ず、図１及び図２を参照して仕分装
置を構成する移動シュー１１とスラット２１の構造につ
いて説明する。なお、図１には移動シュー１１の内部構
造が通常の作図法と異なり実線で図示されているが、こ
れは各部材の位置関係を示して考案の理解を容易にする
ために適宜透視した構成を示した。

【００１１】移動シュー１１は、例えばアルミニュウム
にて形成したシュー保持手段であるシューカバー１２、
本考案でいう回転部材である後述する６個のベアリング
ローラを取り付けるためのブラケット１３、プレート１
４、このプレート１４の下部に設けられた押動部１５、
シューカバー１２の上部に固定されたシュー部材１６等
により構成されている。また、押動部１５には適宜構成
のベアリングローラ１５ａが取り付けされており、この
ベアリングローラ１５ａが図示しないレール状のガイド
にて案内されて移動シュー１１を作動させる。なお、シ
ューカバー１２は、本考案でいうシュー保持手段に相当
する。因みに、各部材の材質の一例を述べると、ブラケ
ット１３はＳＳ４００をコ字状に加工し、プレート１４
もＳＳ４００を平板状に加工したものである。また、シ
ュー部材１６は合成樹脂を成形したものである。一方、
スラット２１はアルミニュウムを成形したものであり、
平面形状は図１に示すように平板状であるが、その下面
は強度向上のため内側に向けた曲げ部２２が形成され、
その内部には補強リブを兼ねた補強壁部２３により３個
の空間Ｂが形成されている。

【００１２】そして、ブラケット１３は、その両端部が
３個の空間のうちの左右の空間に入り込むようにプレー
ト１４にネジ止め等により固定され、図の左側端部に２
個のベアリングローラ１７が取り付けられ、右側端部に
１個のベアリングローラ１８が取り付けられている。ま
た、ブラケット１３には、スラット２１内の中央に形成
された空間Ｂに入り込むように３個のベアリングローラ
１９が取り付けられている。

【００１３】２個のベアリングローラ１７は、図１に示
すように移動シュー１１の移動方向に沿って所定間隔を
以て取り付けられ、図２に示すようにスラット２１の内
側面上側に接触して縦方向に回転するようになってい
る。また、ベアリングローラ１７とは反対側に設けられ
た１個のベアリングローラ１８も移動シュー１１の移動
方向に沿って取り付けられているが、図２に示すように
スラット２１の内側面下側に接触して縦方向に回転する
ようになっている。また、水平に取り付けられた３個の
ベアリングローラ１９も移動シュー１１の移動方向に沿
って所定間隔を以て取り付けられているが、中央のベア
リングローラ１９ａが図で右側の補強壁部２３に接触し
て横方向に回転し、前後のベアリングローラ１９ｂ、１
９ｃが左側の補強壁部２３に接触して横方向に回転する
ようになっている。

【００１４】このように各ベアリングローラ１７、１
８、１９ａ，１９ｂ，１９ｃを取り付けることにより、
シューカバー１２が上下左右に位置ずれすることなく支
持されることになる。従って、図２に明らかなようにシ
ューカバー１２とスラット２１との間に間隙Ｇが設定さ
れているものの、従来例で説明したように、押動部１５
を付勢して移動シュー１１をスラット２１の長手方向に
移動させた場合、移動シュー１１とスラット２１とが摩
擦することはなく、各ベアリングローラ１７〜１９の作
用により極めて円滑に移動する。

【００１５】ところで、図１にはスラット２１の一端の
取り付け構造を図示したが、実際にはスラット２１の両
端部がチェーン４１に所定間隔で連続的に取り付けられ
ている。一対のチェーン４１は、図３に示すように駆動
歯車４２にエンドレスにかけわたされているので、駆動
歯車４２を回転させることにより、各スラット２１と各
移動シュー１１とが例えば矢印Ａ方向に連続的に走行す
る。そして、矢印Ａ方向に走行する間に、前記のように
移動シュー１１を移動させることにより、スラット２１
上に載置した物品の仕分けを行うことができる。

【００１６】前記したスラット２１の構造によれば、変
形防止のための曲げ部２２の構造や補強リブを兼ねた補
強壁部２３が設けられているので、下方への重量がかか
っても変形しにくい。また、移動シュー１１は、そのシ
ューカバー１２がスラット２１と摩擦することなく移動
するので高速移動が可能になる。更に、スラット同士の
間隔は少なくともシューカバー１２が移動出来る程度の
間隔があればよく、比較的柔らかい物品や小さい物品を
搬送するときでも該物品の一部をスラット間に落ち込ま
せることなく搬送できる。

【００１７】一方、現代の社会情勢の一つに貨物の大量
化と多種化があり、これらの貨物を効率よく処理するた
めに迅速な仕分けが望まれている。そして、本考案に係
る仕分装置は、前記のように強度が向上している上に移
動シュー１１の移動も円滑に行い得るのであるから、従
来構造の仕分けに適用されるだけでなく、下記に説明す
るような応用も可能である。

【００１８】すなわち、物品の仕分け効率を向上させる
ため、図４に示すように前記構成のスラット２１により
一搬送路となるスラットコンベヤＳを構成し、その上に
物品８０を２列に載置して搬送し、それぞれ仕分けライ
ン５０、５１方向に仕分ける場合を想定する。この場
合、物品８０を従来例で示した如く１列にして搬送する
場合に比較してスラットコンベヤＳの幅を大きく、換言
すれば長くしなければならない。また、スラットコンベ
ヤＳ上の物品８０の数が増すのであるから、たわみ等が
生じないように強度を増す必要がある。しかし、本考案
を適用したスラット２１は上述のように強度向上が図ら
れているので、何らの差し支えもなく図示の如きスラッ
ト長さの長い構成を採用することができる。

【００１９】更に、本実施例においては、２列の物品８
０を言わば外側方向に仕分けるために、スラットコンベ
ヤＳの中央部に２列に移動シュー１１を設けた。そし
て、並んだ移動シュー１１はそれぞれ独立してコンベヤ
外側へ移動できるように構成されている。従って、コン
ベヤ横方向に並んだ２つの物品８０を同時に仕分けるこ
とができ、多量の物品を効率よく仕分けすることができ
る。このように、本考案によれば多種多用の仕分装置を
構成することができる。

【００２０】以上に本考案の実施例を説明したが、本考
案は前記に限定されず種々の変形が可能である。例え
ば、ベアリングローラに代えて一個の糸巻形状のローラ
を適用し、スラットの内壁面の両側に糸巻ローラのくび
れ部分に対応する突部を形成してもよい。

【００２１】

【考案の効果】以上に説明したように、本考案に係る仕
分装置は、物品を載置するスラットに一端を開口した内
部空間を形成するとともに補強リブを兼ねた補強壁部に
より強度向上を図る一方、前記スラットに沿って移動す
る移動シューをスラットに非接触の枠体と前記内部空間
に入り込んでスラットの内壁面に接触しつつ回転する回
転部材とにより構成した。従って、補強壁部によりスラ
ットの強度向上によりたわみ等の変形を低減することが
でき、しかも移動シューはシュー保持手段がスラットに
摩擦することなく移動し得るので、高速移動が可能にな
り、物品の仕分けを効率よく行うことができる。また、
回転体がスラット内部空間を移動する構成であるので、
この回転部材がスラット外部に張り出す構成に比べてス
ラット間隔を小さくすることができる。また、回転部材
がスラット内部を走行するので、移動シューの移動音を
も小さくすることができ、移動シューの移動時に摩擦音
が発生せず、作業環境の改善を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す仕分装置の要部の平面図
である。

【図２】仕分装置の要部の断面図である。

【図３】仕分装置の駆動を示す要部の側面図である。

【図４】仕分装置の応用例を示す平面図である。

【図５】従来の仕分装置の一例を示す平面図である。

【図６】従来の仕分装置の側面図である。

【符号の説明】

１１ 移動シュー １２ シューカバー １３ ブラケット １４ プレート １５ 押動部 １６ シュー部材 １７、１８、１９ａ、１９ｂ、１９ｃ ベアリングロー
ラ ２１ スラット ２２ 曲げ部 ２３ 補強壁部 ４１ チェーン ４２ 歯車 ８０ 物品 Ｓ スラットコンベヤ Ａ 搬送方向 Ｂ 内部空間

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 物品を載置して所定方向に走行する複数
   のスラットと、前記複数のスラットの長手方向に移動す
   る移動シューとを具備し、前記物品を前記移動シューに
   より押動して仕分けを行うように構成した仕分装置にお
   いて、前記スラットは中空部材からなり底面側にスラッ
   ト長手方向に沿った開口が形成されていると共に、スラ
   ット内部空間をスラット長手方向に沿って仕切る補強壁
   部が形成されており、前記移動シューはシュー部材が装
   着されたシュー保持手段が前記スラットの外側面を覆う
   枠体に構成され、前記シュー保持手段には前記スラット
   内部空間に入り込んだ複数のブラケットが設けられ、前
   記ブラケットには少なくとも４個以上の回転部材を設
   け、該回転部材が前記スラット内壁面にて該内壁面の横
   断面左右方向および上下方向に突っ張るように構成され
   ており、前記シュー保持手段が前記スラットの外側面に
   対し非接触に装着されたことを特徴とする仕分装置。