JP2540197Y2 - 横形コールドチャンバパーティングラインマシン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は横型締装置により型締さ
れたダイカストマシンの固定金型と移動金型の型分割面
上に中心線を置いて設置した立射出装置を具備する横形
コールドチャンバパーティングラインマシンに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来技術における横形コールドチャンバ
パーティングラインマシンと称される装置の例として
は、同一出願人による特願昭６２−３１９５３２号に開
示された横型締・立射出ダイカストマシンがあり、図４
ないし図６を参照しながら以下に説明する。

【０００３】図４において、３１は横型締装置で、３２
は固定ダイプレート、３３は移動ダイプレート、３４は
固定金型、３５は移動金型、３６は複数のタイバー、３
７はトグル式型締機構である。３８は立射出装置で、固
定金型３４に移動金型３５を型締したときの型分割面３
９上にその中心線を置いて設けている。即ち、型分割面
３９上に中心線を置き固定金型３４と移動金型３５に夫
々穿設した穴４０および４１に射出スリーブ４２を嵌着
し、射出スリーブ４２のフランジ４３を固定金型３４に
当接する半周に設けて固定金型３４に取着している。射
出スリーブ４２の下方側壁に給湯口５１が開口してお
り、溶湯保温炉４５から電磁石ポンプ４６を介して溶湯
を供給する給湯管４７を接合させている。

【０００４】このように、射出スリーブ４２が固定金型
３４に取着されたことにより立射出装置３８はマシンに
固着されて、溶湯が溶湯保温炉４５から空気に曝される
ことなく給湯される装置になっている。

【０００５】また、図５は図４の射出スリーブ４２上側
部の作用拡大図を示しており、射出スリーブ４２の上側
端面４４は移動金型３５開き方向に下がり傾斜θを有
し、前記穴４０および４１の上方端との間にスペース４
８を設け、射出の際に射出プランジャチップ４９が進入
しビスケット５０が形成される。従って、上側端面４４
の傾斜面は移動金型３５が開くときビスケット５０の部
分が抜け易いように抜き勾配になっており、さらに、進
入したプランジャチップ４９の外径と前記穴４０および
４１の内周壁との間には射出スリーブ４２の厚さによる
間隙があり、射出の際にプランジャチップ４９が前記内
周壁に生じた凝固層を削り取り製品に混入させるという
問題が解消された装置になっている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来のダイカストマシンの鋳造運転において、新規の
金型に対する試鋳時に過剰に給湯したり、運転中に給湯
側にトラブルが発生して過剰に給湯されたりするような
操作ミスを行なった場合、射出の際に前述の図５のよう
に射出プランジャチップ４９がスペース４８内に進入す
ることができず、図６に示すように、ビスケット５０の
ハッチング部分ａで示す部分が射出スリーブ４２内の上
部にまで侵入した状態で凝固し、型開きのとき本来鋳造
製品と一体となって移動金型３５に付着され一緒に移動
するはずのビスケット５０が固定金型３４に付着された
まま射出スリーブ４２内に残されるので、鋳造製品が移
動金型３５と一緒に移動できず取り出すことができなく
なって、鋳造製品を損壊したりトーチで溶断したりしな
ければならないという問題が生じる。この問題を解決す
るため射出スリーブを縦二つ割構造にして取着し、型開
きのとき二つ割のうちの移動金型側の射出スリーブを一
体的に移動することが考えられるが、この場合に射出プ
ランジャチップが移動金型側に付着した状態で移動金型
と一緒に移動される恐れがあり、射出プランジャを破損
することがある。

【０００７】そこで本考案は、給湯量の過剰という操作
ミスを行なった場合でも容易に鋳造製品を取り出すこと
ができるよう部分的に分割して射出プランジャの進退を
案内する円筒部を残した射出スリーブを取着して構成し
た立射出装置を具備する横形コールドチャンバパーティ
ングラインマシンを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】横型締装置により型締さ
れたダイカストマシンの固定金型と移動金型の型分割面
上に中心線を置いて設置した立射出装置を具備する横形
コールドチャンバパーティングラインマシンにおいて、
前記型分割面上に中心線を置いた立射出装置の射出スリ
ーブを前記型分割面に合せて分割し液密に当接させて夫
々を前記固定金型と移動金型に嵌設するとともに、前記
固定金型に取着し分割された射出スリーブ側の下端部に
射出プランジャチップの進退を案内する円筒部を構成す
ることを特徴とした横形コールドチャンバパーティング
ラインマシンとする。

【０００９】

【作用】鋳造の際に給湯量が過剰になったという操作ミ
スを行なった場合、射出スリーブ内上部にまでビスケッ
トが侵入した状態で凝固しても、固定金型と移動金型の
型分割面に合せて分割し液密に当接させ夫々を前記固定
金型と移動金型に嵌設された射出スリーブにより、型開
きのとき前記ビスケットの部分は射出スリーブが固定金
型側と移動金型側に分割され、鋳造製品は容易に移動金
型と一緒に移動し取り出すことができる。さらに、射出
スリーブは部分的に分割されているだけで固定金型側に
取着された射出スリーブの下端部に射出プランジャチッ
プの進退を案内する円筒部を構成していることにより、
もしも型開きのとき射出プランジャチップが移動金型側
の射出スリーブに付着した状態であっても射出プランジ
ャチップは固定金型側の射出スリーブ下端の円筒部に把
持されているので移動金型と一緒に移動することがなく
射出プランジャを破損することがない。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の実施例を添付図面を参照しな
がら詳細に説明する。なお、説明の便宜上、第４図に示
す従来の構成と同一部分には同一符号を付して詳細な説
明を省略し、本考案に係る新規の部分についてのみ詳細
に説明する。

【００１１】図１において、図示を一部省略した立射出
装置３８は、固定金型３４に移動金型３５を型締したと
きの型分割面３９上に中心線を置いて設けてある。

【００１２】２２および２３は型分割面３９に合せて分
割した射出スリーブＡおよびＢで、液密に当接させて夫
々を固定金型３４と移動金型３５とに嵌設している。

【００１３】固定金型３４側に取着し分割された射出ス
リーブＡ２２の下端部に射出プランジャ進退の際に射出
プランジャチップ４９を案内する円筒部２４を一体的に
構成している。

【００１４】図２は図１の射出スリーブＡ２２およびＢ
２３を射出プランジャの方から見た斜視図で、リング状
の円筒部２４が射出スリーブＡ２２にボルト締めで一体
的に固着されている。

【００１５】図３は他の実施例を示す同じく斜視図で、
射出スリーブＡ２７にリング状の円筒部２９が一体形成
されているものである。

【００１６】このような構成において、試鋳時あるいは
運転中の給湯側トラブルなどで操作ミスを行ない給湯量
が過剰になった射出鋳造をした場合、射出スリーブ内上
部にまでビスケットが侵入した状態で凝固しても、射出
スリーブ上部は型分割面３９に合せて分割し固定金型３
４側と移動金型３５側に夫々取着し液密に当接させた射
出スリーブＡ２２およびＢ２３から成るので、型開きの
とき分割されて内部の凝固したビスケットが射出スリー
ブから解放され、鋳造製品は損壊したりトーチで溶断し
たりすることなく容易に移動金型３５と一緒に移動して
取り出すことができる。さらに、射出スリーブＡ２２お
よびＢ２３は部分的に分割されているだけで固定金型３
４側に取着された射出スリーブＡ２２の下端部に射出プ
ランジャチップ４９の進退を案内する円筒部２４を構成
していることにより、もし型開きのとき射出プランジャ
チップ４９が移動金型３５側の射出スリーブＢ２３に付
着した状態であっても射出プランジャチップ４９は固定
金型３４側の射出スリーブＡ２２下端の円筒部２４に把
持されているので移動金型３５と一緒に移動することが
なく射出プランジャを破損することがない。

【００１７】

【考案の効果】本考案によれば、過剰に給湯を行なった
場合に、射出スリーブ上部を型分割面に合せて分割して
構成したことにより鋳造製品は損壊したりトーチで溶断
したりすることなく容易に取り出すことができ、さら
に、固定金型側に取着された射出スリーブの下端部に射
出プランジャチップの進退を案内する円筒部を構成した
ことにより、もし型開きのとき射出プランジャチップが
移動金型側の射出スリーブに付着した状態であっても射
出プランジャチップは固定金型側射出スリーブ下端の円
筒部に把持されているので移動金型と一緒に移動するこ
とがなく射出プランジャを破損することが防止でき、安
定した生産サイクルを維持した横形コールドチャンバパ
ーティングラインマシンとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る横形コールドチャンバパ
ーティングラインマシンの概略断面図である。

【図２】図１の射出スリーブを射出プランジャの方から
見た斜視図である。

【図３】本考案の他の実施例に係る射出スリーブを射出
プランジャの方から見た斜視図である。

【図４】従来の横型締・立射出ダイカストマシンの概略
断面図である。

【図５】図４の射出スリーブ上側部の作用拡大図であ
る。

【図６】図５の給湯量が過剰になった場合の作用拡大図
である。

【符号の説明】

２２…射出スリーブＡ ２３…射出スリーブＢ ２４…円筒部 ３４…固定金型 ３５…移動金型 ３９…型分割面 ４９…射出プランジャチップ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 横型締装置により型締されたダイカスト
   マシンの固定金型と移動金型の型分割面上に中心線を置
   いて設けた立射出装置を具備する横形コールドチャンバ
   パーティングラインマシンにおいて、前記型分割面上に
   中心線を置いた立射出装置の射出スリーブを前記型分割
   面に合せて分割し液密に当接させ夫々を前記固定金型と
   移動金型に嵌設するとともに、前記固定金型に取着し分
   割された射出スリーブ側の下端部に射出プランジャチッ
   プの進退を案内する円筒部を構成したことを特徴とする
   横形コールドチャンバパーティングラインマシン。