JP2539487Y2 - ベルト式無段変速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、伝動ベルトが巻回され
るプーリにおける左右回転体の間隔を変更自在に構成し
てあるベルト式無段変速装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記ベルト式無段変速装置において、従
来では、前記プーリにおける一方の回転体を回転支軸に
一体回転自在に取付けるとともに、他方の回転体を一体
回転自在並びに軸芯方向にスライド自在に設け、このス
ライド回転体を回転支軸に巻回したコイルバネにより押
圧付勢するよう構成したものがあった（例えば、特開平
２−２９６０７１号公報参照）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記従来構造は、伝動
ベルトの巻回径を変更させて変速を行うようにしたもの
であるが、プーリが回転支軸に一体回転自在に設けられ
るので、変速操作に伴う伝動ベルトの変速回転力がプー
リを介して直接、回転支軸に伝わるので、変速切り換え
時のショックが従動側にそのまま伝わることになり、特
に、機体走行駆動系に用いた場合には、操縦安定性に欠
ける欠点があった。本考案は上記不具合点を解消するこ
とを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案の特徴構成は、冒
頭に記載したベルト式無段変速装置において、前記プー
リにおける第１回転体を回転支軸に対して軸芯方向に位
置固定並び遊転自在に外嵌するとともに、第２回転体を
軸芯方向にスライド自在並びに遊転自在に外嵌し、前記
回転支軸に一体回転自在に取付けたバネ受け部材により
受け止め支持され、周方向に沿って複数配設された圧縮
バネにより前記第２回転体を前記第１回転体に向けて付
勢するよう構成し、前記第２回転体のバネ受け部に前記
各圧縮バネの周方向の位置ずれを阻止する係止部を設け
てある点にある。

【０００５】

【作用】プーリにおける各回転体は、変速操作に伴うプ
ーリ間隔の変更を許容する構成となっており、伝動ベル
トの巻回径が変化して有効に変速操作が行われ、又、各
回転体は夫々回転支軸に対して遊転自在に設けられが、
スライド自在な第２回転体をプーリ間隔が狭くなるよう
に付勢する複数の圧縮バネが、係止部により第２回転体
に対して周方向の相対位置の変化が阻止され、かつ、バ
ネ受け部により回転支軸に対する周方向の相対位置の変
化が阻止されるので、第２回転体の動力が圧縮バネを介
して回転支軸に伝えられることになる。つまり、回転動
力が圧縮バネの圧縮付勢方向とほぼ直交する方向の力に
より回転支軸に弾性的に伝わるのである。

【０００６】

【考案の効果】その結果、伝動ベルトからプーリに伝わ
る変速後の動力が、バネにより弾性的に伝えられるの
で、変速切り換え時のショックが弾性吸収され、変速シ
ョックの緩衝効果が得られることになった。しかも、ス
ライド回転体を伝動ベルトの緊張力に抗して押圧付勢す
るための圧縮バネを有効利用して、変速操作に伴うショ
ックの低減を図るので、特別の部材を設ける必要がな
く、構造の大幅な複雑化を招くこともない。

【０００７】

【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図４
にコンバインの伝動系を示している。エンジン１の動力
が伝動ベルト２を介してベルト式無段変速装置３に入力
され、その変速出力がミッションケース４に伝わり、刈
取部５及び走行装置６に伝えられるよう伝動系を構成し
てある。

【０００８】前記ベルト式無段変速装置３は、図１に示
すように、密閉ケース７内に内装され、入力軸８と出力
軸９とに夫々外嵌されるプーリ１０，１１に亘って伝動
ベルト１２を巻回して構成してある。そして、エンジン
１からの動力が伝動ベルト２を介して、入力軸８の密閉
ケース７外方に取付けた入力プーリ１３に伝えられ、出
力軸９〔回転支軸の一例〕とミッションケース４の入力
軸１４とを直結連動させてある。入力側及び出力側夫々
のプーリ１０，１１は、割りプーリ式に構成してあり、
入力プーリ１０の各割りプーリ１０ａ，１０ｂは入力軸
８にスプライン外嵌して、一方の割りプーリ１０ａはベ
ルト１２の張力に抗してケース７に接当して位置規制さ
れるよう構成し、他方の割りプーリ１０ｂは、シフトフ
ォーク１５の操作により軸芯方向にスライド移動するよ
う構成してある。

【０００９】前記シフトフォーク１５は、図３に示すよ
うに、入力軸８の軸芯と直交する軸芯Ｘ周りで回動操作
自在に設けられ、その回動支軸１６を左右２分割構成と
し、各分割支軸１６ａ，１６ｂを密閉ケース７内にある
シフトフォーク１５の左右両側から密閉ケース７に形成
したボス部１７を貫通して同一軸芯状態で差し込み嵌合
してある。このようにして、密閉ケース７内でのシフト
フォーク１５の組付けを容易に行えるようにしてある。
又、一方の分割支軸１６ａのケース外方側に変速操作具
１８を連動連結するとともに、この分割支軸１６ａとシ
フトフォーク１５とをトルク伝達可能に嵌合部を小判形
に形成してある。前記シフトフォーク１５の一対のプー
リ係合ピン１５ａは、ベルト張設方向に沿って直径方向
配置して、ベルト１２の張力に起因する割りプーリ１０
ａのガタつきによる傾きを規制することができるように
してある。又、シフトフォーク１５が係合するシフト操
作部材１９をプーリ間隔が狭くなる方向に補助スプリン
グ２０により補助付勢力を与えるよう構成し、人為的な
変速操作における操作荷重を軽減するようにしてある。

【００１０】出力プーリ１１の各割りプーリ１１ａ，１
１ｂも同様に、第１回転体としての一方の割りプーリ１
１ａをベルト１２の張力に抗してケース７に接当して位
置規制するよう構成し、第２回転体としての他方の割り
プーリ１１ｂは出力軸９に対して軸芯方向にスライド自
在に設け、周方向に沿って並列配置した複数の圧縮バネ
２２により、前記割りプーリ１１ａに向けて押圧付勢す
るよう構成してある。そして、各割りプーリ１１ａ，１
１ｂは、出力軸９に対して遊転自在に外嵌するととも
に、前記各圧縮バネ２２の他端を支持するバネ受け部材
２３を、出力軸９に一体回転自在並びに軸芯方向に位置
固定状態で外嵌装着し、スライド式割りプーリ１１ｂの
バネ受け部に各圧縮バネ２２の周方向の位置ずれを阻止
する係止部２４を設けてある。詳述すると、図２にも示
すように、前記バネ受け部材２３を、出力軸９に対して
スプライン外嵌して軸芯方向にスライド自在並びに一体
回転自在に設け、バネ受け筒部２５をバネの外れを防止
するよう深く形成してある。又、スライド割りプーリ１
１ｂの側面にバネ受け用の円形凹部２６を形成して、こ
の凹部２６の内周面により前記係止部２４を構成してあ
る。尚、全圧縮バネ２２による割りプーリ１１ｂの押圧
付勢力は、前記補助スプリング２０の付勢力よりも大と
なるよう設定してある。

【００１１】前記密閉ケース７は２つ割り構造に設けら
れ、各分割ケースは同一形状のものを共用使用するよう
にしてある。つまり、一方の突出部分内に変速操作部を
内装し、他方の突出部分内に前記圧縮バネ２２群を内装
してある。このように構成すると、入力側のプーリ１０
を人為操作によりプーリ間隔を変更するに伴って、出力
側のプーリ１１の間隔がそれに追随して変化し、無段変
速操作が行える。又、伝動ベルト１２の動力は出力側プ
ーリ１１、各圧縮バネ２２、バネ受け部材２３を順次介
して出力軸９に伝えられるので、変速操作に伴うショッ
クを圧縮バネ２２により吸収して、滑らかな変速操作が
行える。

【００１２】尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面と
の対照を容易にするために符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】ベルト無段変速装置の断面図

【図２】圧縮バネ配設部の分解斜視図

【図３】シフトフォーク配設部の断面図

【図４】コンバインの伝動系統図

【符号の説明】

９ 回転支軸 １１ プーリ １１ａ 第１回転体 １１ｂ 第２回転体 １２ 伝動ベルト ２２ 圧縮バネ ２３ バネ受け部材 ２４ 係止部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 戸成 厚史 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (56)参考文献 実公 昭48−9015（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 伝動ベルト（１２）が巻回されるプーリ
   （１１）における左右回転体（１１ａ），（１１ｂ）の
   間隔を変更自在に構成してあるベルト式無段変速装置で
   あって、前記プーリ（１１）における第１回転体（１１
   ａ）を回転支軸（９）に対して軸芯方向に位置固定並び
   遊転自在に外嵌するとともに、第２回転体（１１ｂ）を
   軸芯方向にスライド自在並びに遊転自在に外嵌し、前記
   回転支軸（９）に一体回転自在に取付けたバネ受け部材
   （２３）により受け止め支持され、周方向に沿って複数
   配設された圧縮バネ（２２）により前記第２回転体（１
   １ｂ）を前記第１回転体（１１ａ）に向けて付勢するよ
   う構成し、前記第２回転体（１１ｂ）のバネ受け部に前
   記各圧縮バネ（２２）の周方向の位置ずれを阻止する係
   止部（２４）を設けてあるベルト式無段変速装置。