JP2538926B2 - 家 屋 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はエアサイクル構造の家屋において、夏涼し
く、冬暖かく、しかも省エネルギーと居住性の向上およ
び除湿によって防カビ、腐食を阻止した家屋に関するも
のである。

〔従来の技術〕

この種家屋においての換気は、夏開放、冬閉塞する小
屋裏換気口のみによって行っていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、この種家屋においては小屋裏換気口
のみで換気するため容量不足となり、夏の涼しさに欠け
る。単に自然の棟換気装置を設置すると冬の気密性に
劣り、暖房費がかさむ。夏場に居住空間を十分に換気
できない。等の欠点があった。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明はこのような欠点を除去するため、棟に自然換
気装置とその内部にカバー付の換気ファンを設置して棟
換気を強制的に行い、また床下空間にはボイラ、ソー
ラ、ヒートパイプ等の熱源と接続し、冷水の送給も可能
なパイプを埋設した土間コンクリートを設けて、夏場の
十分な換気によって居住空間を涼しくし、かつ冬場は棟
換気部分からの換気を大幅に低減して、冬暖かく、結露
のない家屋を提案するものである。

〔実施例〕

以下に図面を用いて本発明に係る家屋の一実施例を詳
細に説明する。すなわち、第１図（ａ）、（ｂ）は上記
発明を示す構成略図であり、１は家屋で外断熱構造、パ
ッシブエアサイクル構造、アクティブエアサイクル構造
の一つである。10は棟換気装置、30は土間暖房機、33は
エアサイクル補強関連機器である。さらに説明すると、
家屋１は屋根２、棟換気装置10、外壁17、内壁18、小屋
裏空間19、部屋空間20、部屋換気口21、22、床下空間2
3、エアサイクル路24、土間コンクリート25、床下換気
口26、基礎27、蓋装置28からなり、地面29上に固定され
ているものである。さらに説明すると、屋根２は第２図
（ａ）〜（ｃ）に示すように形成したものであり、３は
屋根材、４は防水シート、５は野地板、６は垂木、７は
断熱層、８はエアサイクル路、９は逆止弁である。棟換
気装置10は第３図に一例として示すように棟カバー材11
と結露防止用の断熱薄層11aと水切り片12、笠木13、換
気ファン付カバー材14とからなり、換気ファン付カバー
材14は例えば第４図に示すように棟の断面と対応し、そ
の空隙を図示しないパッキング材を介して閉塞するよう
にカバーし気密化するカバー本体14aと開口14b、ファン
15、逆止弁16とからなり、ファン15は棟の適宜個所に１
〜複数個、設置するものであり、小屋裏空間19の空気を
外気へ吸引、放出するものである。なお、開口14bの全
てにファン15を設置する必要なく、逆止弁16だけは全開
口14bに装着し、冬の暖気の漏洩を防止するものであ
る。また、外壁17は金属板−プラスチックフォーム−裏
面紙、モルタル壁−空隙−断熱材、窯業系外装材−胴縁
−断熱材からなるものである。床下換気口26は第５図
（ａ）〜（ｃ）に示すような構成とし、床下換気口26に
は例えば第６図に示すような開閉可能な蓋装置28を設
け、この装置内に逆止弁28aを設ける。なお、28bは枠、
28cは開閉蓋である。また、土間暖房機30は土間コンク
リート25に埋設したパイプ31とボイラ、ソーラ、ヒート
パイプ等の熱源32とからなり、冬に土間コンクリート25
を蓄熱層として利用するものである。また、パイプ31に
は、冷水の供給も可能なものであり、土間コンクリート
25に冷熱を蓄えることもできる。なお、パイプ31の配管
は一系統、もしくは複数系統から構成するものである。
さらに、エアサイクル補強関連機器33はダクト34、中間
換気扇（有圧ファンも含む）35、床下パイプ36、分枝パ
イプ37、キャップ38、スリット39、垂直ダクト40、逆止
弁41、連結パイプ42、熱交換機43、吸気パイプ44、エア
吸、排気パイプ45、46とから構成したものである。な
お、床下パイプ36は第７図（ａ）に示すように中間換気
扇35から接続パイプ36aを経てメーンパイプ36bと分枝パ
イプ37、キャップ38、スリット39からなり、夏、外気を
床下空間23に平均に放散したり、冬に床下へ加温された
新鮮空気を放散するためのもので、床下換気口26のうち
１ケ所のみに接続し、他の床下換気口26に蓋装置28を設
置するものである。また、逆止弁41は夏に閉、冬に開と
して動作させ、吸気パイプ44は第１図、第７図（ｂ）に
示すように小屋裏空間19に存在する暖気を吸気して中間
換気扇35を介して熱交換機43に送給させるものであり、
吸気パイプ44にスリット44a、キャップ44bを設け、かつ
吸気パイプ44の中央に隔壁44cを形成したものである。
また、熱交換機43は例えば第８図（ａ）〜（ｃ）に示す
ようにエア吸気パイプ45より新鮮空気Ａを吸気し、小屋
裏空間19の暖気Ｂを連結口43aからエア排気パイプ46を
経て外部へ排気する際に、細径パイプ43b内を通過する
新鮮空気Ａを暖気Ｂによって加温し、加温した空気Ａ′
を連結パイプ42→中間換気扇35→逆止弁41→垂直ダクト
40→床下パイプ36へと送給するものである。なお、第８
図（ｂ）は細径パイプ43bを多数、筒管43cに有したも
の、（ｃ）図はフィン43dを有するパイプを筒管43cに配
したものである。

次に家屋におけるエアの流れ、各機構の動作について
説明する。すなわち、第１図（ａ）は夏の場合の動作等
を示し、第１図（ｂ）は冬の場合を示す。そこで、第１
図（ａ）において、各床下換気口26が全部開で、かつダ
クト34の次の中間換気扇35、ファン15が駆動しており、
逆止弁16は圧力によって開になり、逆止弁41が閉、土間
暖房機30は停止していると仮定する。そこで、床下換気
口26の１つに連結した中間換気扇35によって外気が床下
パイプ36を経て分岐パイプ37より床下空間23に吹き出
し、土間コンクリート25付近の冷気と混合すると共に、
床下空間23に圧力を付加する。この際、床下換気口26で
は第６図に示すような蓋装置28によって冷気、外気の外
部への漏洩が阻止されるためその圧力は部屋空間20、エ
アサイクル路24を通って小屋裏空間19へ伝導され、押し
上げられた空気はここで暖気と混合され、そこから棟換
気装置10によって外部へと放出される。従って、日中の
暑い時、夜間の熱帯夜の時にファン15を駆動することで
冷房効果を得ることができる。また、土間コンクリート
25に埋設したパイプ31に冷水を送給し、土間コンクリー
ト25に冷熱を蓄えておき、日中の高温時にファン15が駆
動して冷熱を取り出し、家屋全体特に内壁18、部屋空間
20を自然の温度で約３〜10℃位涼しくできる。

次に第１図（ｂ）を用いて、冬の場合について説明す
る。まず、ファン15は停止、逆止弁16は自動、もしくは
手動で開閉できるため閉、蓋装置28は全て閉、熱源32は
稼動、中間換気扇35は全て稼動し、逆止弁41は開とす
る。この際逆止弁９は自然の圧力のみで開閉するため、
暖気の圧力によって垂木６間を流れる。そこで、暖かい
空気は土間→床下空間23→部屋空間20→小屋裏空間19→
吸気パイプ44→熱交換機43を経てエア排気パイプ46より
放出される。一方、新鮮で、冷たい外気はエア吸気パイ
プ46→熱交換機43→連結パイプ42→中間換扇35→逆止弁
41→垂直ダクト40→床下パイプ36へと送給され、床下空
間23にある程度加温された状態で送給され、床下空間23
へ放出される。そこで、土間暖房による熱気と混合され
て、前記した流れで上昇すると共に、空気を新鮮なもの
とする。

以上説明したのは本発明の一実施例にすぎず、エアサ
イクル路24、部屋空間20内に適宜のセンサを設置し、こ
れによって各機器をON−OFFすることもできる。また、
土間暖房の代わりに床暖房を利用したりすることもでき
る。その他、夏、冬によって開閉可能な小屋裏換気口を
別途に設けたり、換気ファン付カバー材を除いた家屋と
することもできる。さらに、本発明に係る構造を軸組構
造、２×４構造、プレハブ構造においても用いることが
できる。さらに外壁17とエアサイクル路24間、内壁18と
エアサイクル路24間に防水性、通気性のあるシート、例
えば商品名タイベック（デュポン社製）を張設し、通気
をより効果的にすることもできる。

〔発明の効果〕

上述したように本発明に係る家屋によれば、エアサ
イクル家屋に棟換気装置、ファンを設置したため、エア
サイクルを確実に、しかも家屋全空間に対して平均に行
いうるため、夏期は内壁、床、部屋空間が全体として涼
しく、体感温度の割により居住しやすい。梅雨期は除
湿を十分に行いうるため、防カビ、結露の発生がなく、
構成材の腐食も生じない。冬期は棟換気口から暖気が
漏洩するものを防止でき、かつ暖気の最も集まる位置に
吸気パイプを設置し、その上、新鮮空気を熱交換してか
ら床下空間に送給するためガス中毒が発生することもな
く、かつ結露の発生もない。土間暖房の構造とし、し
かも熱容量を大きくして蓄熱作用を土間コンクリートに
もたせたため省エネルギーが図れる。床下から家屋全
体を加温する構成としたため健康によく、しかも家屋内
全体をエアサイクルするため、家屋の耐久性をも向上で
きる。等の特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）、（ｂ）は本発明に係る家屋の一実施例を
示す説明図、第２図（ａ）〜（ｃ）は屋根の一例を示す
説明図、第３図は棟部の断面を示す説明図、第４図は換
気ファン付カバー材の一例を示す斜視図、第５図（ａ）
〜（ｃ）は基礎部の一例を示す説明図、第６図は蓋装置
の一例を示す説明図、第７図（ａ）、（ｂ）は床下パイ
プ、吸気パイプの一例を示す斜視図、第８図（ａ）〜
（ｃ）は熱交換機の一例を示す説明図である。１ ……家屋、10……棟換気装置、14……換気ファン付カ
バー材、17……外壁、19……小屋裏空間、23……床下空
間、30……土間暖房機、43……熱交換機。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エアサイクル構造の家屋において、棟部に
   小屋裏空間と貫通した換気口を設け、該換気口に換気フ
   ァン付カバー材を設置し、該カバー材を覆うように棟カ
   バー材を取付けた棟換気装置を棟部に固定し、また、床
   下空間には土間コンクリートと、該土間コンクリートに
   埋設したパイプと、該パイプと接続した熱源からなる土
   間暖房器を配設し、さらに該土間暖房器上に床下パイプ
   を配設し、小屋裏空間には屋外と接続するエア吸、排気
   パイプ及び小屋裏空間の空気を吸気する吸気パイプと、
   それらを接続する熱交換器を配設すると共に、該熱交換
   器と前記床下パイプとを中間換気扇、逆止弁を介したダ
   クトにて接続したことを特徴とする家屋。