JP2538855B2 - スラブ材の縮幅方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスラブ材の縮幅方法及び装置に係わり、特
に、スラブ材の長手方向全体に亘って均一に縮幅するよ
うにしたスラブ材の縮幅方法及び装置に関する。

〔従来の技術〕

近時、鉄鋼業界においては、断面が矩形状をなす長尺
板状のスラブ材、特に薄板材の素材となる熱間圧延用の
スラブ材について、板幅を自在に調整する技術を確立す
ることが大きな課題となっている。これはスラブ材が従
来の分塊製造法に代って連続鋳造法（以下、連鋳法とい
う。）によって製造される場合が多くなったためであ
る。

即ち、連鋳法では、操業中にスラブ材の板幅を変更す
ることは鋳造用ノズルの構造上の理由などから困難であ
り、生産性を考慮した場合は常に一定の板幅のスラブ材
を製造することが望ましく、従って、次の圧延工程にお
いて板幅の変更等を行うことが望まれるからである。

このような事情の下で、例えば特開昭55-48401号に示
されているように、圧延工程でスラブ幅を変更する方法
として、スラブの先後端をテーパプレスによりエッジン
グした後に、堅型ローラでスラブ全長に亘る幅変更圧延
を行う方法が知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術では、テーパプレスによるエッジング加
工の際は第１図に示すように、テーパプレス１の圧縮部
の半径が無限大に近く、従って、スラブ材２の板幅中央
部まで加圧力が及び板幅中央部がやや厚いほぼ平担な形
状となる。しかし、堅型圧延ロールによる縮幅作業の場
合は、例えば第２図に示すようにロール３の直径が1200
〜2000mm程度と小さいことから、スラブ材２の中央部分
まで加圧力が及びにくく、板幅端部が局部的に肉厚とな
るいわゆるドックボーン４が発生し易い。

したがって、このように平坦に縮幅された長手方向両
端部と、ドックボーン４を生じた両端部以外の部分とを
有するスラブ材２にあっては、断面積においても両端部
とそれ以外の部分との間で差が発生しており、水平圧延
による板幅方向の減厚を行った場合には、例えば第３図
に示すように、長手方向中央部ではドックボーンの板幅
外方への幅戻りが生じる。その結果、スラブ材２は長手
方向両端部の板幅が狭く、中央部側が広い形状となり、
製品としての板幅を一定にする必要上、広がり部分を切
除する必要が生じ、歩留りが低下するという問題点を生
じている。例えば、幅広部分の板幅ｂ₀は1200mm、狭い
部分の板幅ｂは1170mm程度となり、約30mmの差が生じる
ものである。

なお、ドッグボーン４を発生させないためには計算上
堅ロール３を15〜20mの直径とする必要があるが、実際
上このような大きなロールを製作することは不可能であ
る。なお、特開昭56-114561号公報、特開昭56-4304号公
報及び特開昭57-17313号公報に記載されている方法を採
用することも考えられるが、これらの方法を単に採用し
ても、プレス工具のストロークが長くなるので、プレス
工具によるスラブ材一回当たりの押圧操作に要するプレ
ス荷重が必然的に大きくなり、幅プレス装置として、プ
レス荷重が大きい大型のものを用いることが余儀なくさ
れる。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プ
レス工具によるスラブ材一回当たりの押圧操作に要する
プレス荷重を小さくしても、スラブ材の長手方向全体に
亘って一様な板幅に縮幅することができるスラブ材の縮
幅方法及び装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明は、スラブ材搬送
路上のスラブ材の幅方向端面と平行に配された平行部
と、平行部に隣接してスラブ材の入側に形成され、該平
行部に対してスラブ材入側に傾斜した傾斜部とを有する
一対のプレス工具をスラブ材搬送路を挟んで相対向させ
て配置し、このプレス工具により、スラブ材搬送路上に
搬入されたスラブ材をその幅方向から押圧して該スラブ
材を縮幅するスラブ材の縮幅方法において、 前記スラブ材が該スラブ材の長手方向に搬送されてプ
レス工具の配置された領域に達するまでは前記各プレス
工具を前記スラブ材搬送路から離反した位置に保持し、 前記スラブ材の先端部が前記プレス工具の平行部の領
域に到達したときに前記スラブ材の搬送を停止し、この
状態で各プレス工具の平行部を傾斜部を用いて前記スラ
ブ材先端部の幅方向両端面を夫々押圧してスラブ材を所
望のスラブ材板幅に至るまで幅減少させる操作を行い、 この後、前記スラブ材先端部以降の幅減少に際しては
前記プレス工具を幅減少させた該スラブ材の幅方向両側
面から夫々離反させて所望の開放位置まで開放操作し、
次に、この所望の開放位置から前記プレス工具を移動さ
せて前記プレス工具の平行部と傾斜部を用いて前記スラ
ブ材の幅方向両端面を押圧し該所望のスラブ材板幅に至
るまで該スラブ材を幅減少させる押圧操作を行うととと
もに、前記所望の開放位置から所望のスラブ材板幅の位
置に至る振幅によって前記プレス工具を移動して前記押
圧操作と開放操作を順次繰り返して行い、 更に、前記各プレス工具が移動する前記振幅の値は該
スラブ材が幅減少されるスラブ材の全板幅縮幅量の1/2
未満に夫々設定し、前記スラブ材先端部以降のスラブ材
の幅減少に際しての前記スラブ材の搬送は、前記プレス
工具が前記振幅値である該所望の開放位置から該所望の
スラブ材板幅位置まで移動して前記スラブ材を幅減少さ
せる押圧操作を経て再び開放操作により前記所望の開放
位置に至るまで移動する間に、前記プレス工具の傾斜部
により押圧されて幅減少した前記スラブ材の板幅片側の
縮幅量をプレス工具の傾斜角の正接で除した値に相当す
る進み量により前記スラブ材をその長手方向に順次搬送
するようにし、このスラブ材の搬送に応じて前記プレス
工具による該スラブ材への前記押圧操作と開放操作を順
次繰り返して行うことによって前記スラブ材をその全長
に亘って幅減少するようにしたことを特徴とするスラブ
材の縮幅方法を採用したものである。

また、本発明は、スラブ材の搬送路を挟んで板幅方向
両側に夫々設置され、スラブ材搬送路上のスラブ材の幅
方向端面と平行に配された平行部と、平行部に隣接して
スラブ材の入側に形成され、該平行部に対してスラブ材
入側に傾斜した傾斜部とを有する一対のプレス工具と、 前記各プレス工具を駆動して該プレス工具により該ス
ラブ材の板幅方向両側面を夫々押圧してこのスラブ材を
幅減少させる押圧操作、及びこのプレス工具により幅減
少させた該スラブ材から該プレス工具を夫々離反させて
開放させる開放操作を行う駆動装置と、 前記スラブ材を該スラブ材の長手方向に搬送する搬送
装置と、 前記スラブ材の先端部の位置を検出する位置検出手段
と、 前記駆動装置による該プレス工具の押圧操作及び開放
操作、並びに前記搬送装置による該スラブ材の搬送を夫
々制御する制御装置とを備え、 前記制御装置は、前記位置検出手段の検出信号に基づ
いて前記制御装置から該搬送装置に対して第１の搬送信
号を出力して前記スラブ材の先端部が前記プレス工具の
平行部の領域に到達した際に前記スラブ材の搬送を停止
すると共に、前記制御装置から該駆動装置に対して第１
の指令信号を出力して前記各プレス工具を操作し該プレ
ス工具の平行部と傾斜部を用いて前記スラブ材先端部の
幅方向両端面を夫々押圧してスラブ材を所望のスラブ材
板幅に幅減少させるように構成し、 そして、前記スラブ材先端部以降の幅減少に際して前
記制御装置から該駆動装置に対して第２の指令信号を出
力して前記プレス工具を幅減少させた該スラブ材の幅方
向両側面から夫々離反させて所望の開放位置まで開放操
作し、次に、この所望の開放位置から前記プレス工具を
移動させて前記プレス工具の平行部と傾斜部を用いて前
記スラブ材の幅方向両端面を押圧して該所望のスラブ材
板幅に至るまで該スラブ材を幅減少させる押圧操作を行
うと共に、前記所望の開放位置から該所望のスラブ材板
幅の位置に至る振幅によって前記プレス工具を移動して
前記押圧操作と開放操作を順次繰り返して行うように構
成し、 更に、前記各プレス工具が移動する前記振幅の値は該
スラブ材が幅減少されるスラブ材の全板幅縮幅量の1/2
未満に夫々設定するように構成すると共に、前記スラブ
材先端部以降のスラブ材の幅減少に際しての前記スラブ
材の搬送は、前記制御装置から該搬送装置に対して第２
の搬送信号を出力して前記プレス工具が前記振幅値であ
る該所望の開放位置から該所望のスラブ材板幅位置まで
移動して前記スラブ材を幅減少させる押圧操作を経て再
び開放操作により前記所望の開放位置に至るまで移動す
る間に、前記プレス工具の傾斜部により押圧されて幅減
少した前記スラブ材の板幅片側の縮幅量をプレス工具の
傾斜角の正接で除した値に相当する進み量により前記ス
ラブ材をその長手方向に順次搬送するように構成するこ
とによって、前記スラブ材をその全長に亘って幅減少す
るようにしたことを特徴とするスラブ材の縮幅装置を構
成したものである。

〔作用〕

スラブ材搬送路上のスラブ材が各プレス工具の配置さ
れた領域に達するまでは各プレス工具をスラブ材搬送路
から離反した位置に保持し、スラブ材の先端部が各プレ
ス工具の平行部の領域に到達したときにスラブ材の搬送
を停止し、この状態で各プレス工具の平行部と傾斜部を
用いて前記スラブ材の幅方向両端面を押圧してスラブ材
を所望のスラブ材板幅に至るまで幅減少させる。そし
て、スラブ材の先端部が所定量縮幅された後、前記スラ
ブ材先端部以降の幅減少を行うに際しては、各プレス工
具をスラブ材の幅方向両側面から所望の開放位置まで夫
々離反させる開放操作と、この所望の開放位置から各プ
レス工具を移動させ、各プレス工具の平行部と傾斜部に
より、前記スラブ材の幅方向両端面を押圧して所望のス
ラブ材板幅に至るまでスラブ材を幅減少させる押圧操作
とを順次繰り返す。このとき、各プレス装具が移動する
振幅の値（各プレス工具の開き量＝振幅量）をスラブ材
の全板幅縮幅量の1/2未満に夫々設定する。更に、各開
放操作の間は、スラブ材の板幅片側の縮幅量をプレス工
具の傾斜角の正接で除した値に相当する進み量により、
スラブ材をその長手方向に順次搬送する。即ち、スラブ
材の先端部が所定量縮幅された後は、各プレス工具を振
幅量だけ開放し、この開放に伴って、各プレス工具とス
ラブ材との間に形成されたわずかな間隙を埋めるよう
に、スラブ材を規定の進み量だけ搬送する。これらの操
作を複数回繰返してスラブ材を全長に亘って縮幅する。

このように、振幅量をストロークとして、各プレス工
具を往復動させると共に、各プレス工具が開放されたと
きに、スラブ材を規定の進み量だけ搬送する操作を何回
も繰り返してスラブ材を縮幅すると、スラブ材の全長を
幅圧下するにもプレス工具の開閉ストロークが小さくて
すみ、スラブ材の縮幅を高速度で行なうことができると
共に、プレス工具によるスラブ材一回当たりの押圧操作
に要するプレス荷重を小さくでき、幅プレス装置の小型
化が図れる。

また、スラブ材に対する縮幅が高速度で行なわれれ
ば、スラブ材の温度が低下するのを防止でき、その後ス
ラブ材に対して粗圧延、仕上げ圧延と順次圧延作業が行
なわれる過程で、スラブ材の品質を高品質に保持するの
に寄与することができる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を第４図乃至第８図を参照し
て説明する。

まず、矩形材の縮幅装置について説明する。

11はプレス工具で、スラブ材12の両側部に互いの加圧面
13を対向させて一対、平行に配置されている。この各プ
レス工具11の加圧面13はスラブ材の幅方向側面に略平行
な平行部13A、及びこの平行部に対して傾斜した傾斜部1
3Bとされている。この傾斜部13Bの傾斜角度θは例えば1
5°に設定されている。

プレス工具11はそれぞれロッド14を介してシリンダ装
置、例えば油圧シリンダ15に支持されている。各シリン
ダ装置15にはサーボバルブ16を介してポンプ17及びタン
ク18が接続されている。サーボバルブ16には指令器19が
接続され、シリンダ装置15を介してプレス工具11の動作
指令を与えるようにしている。即ち、シリンダ装置15は
プレス工具11の加圧手段及び振動手段としての機能を与
えられ、指令器19からのサーボバルブ16への動作指令
を、一方向にのみ与える場合に加圧手段としての機能を
発揮し、正逆方向の動作指令を与えることにより振動手
段としての機能を発揮するものである。なお、20はスラ
ブ材搬送用のピンチローラで、両端部を軸受21で支持さ
れ、モータ22によって駆動されるようになっている。こ
のモータ22には回転数検出用の検出器23が設けられ、前
記指令器19の始動、あるいは停止指令等を与えるように
している。

次に縮幅方法について説明する。

各プレス工具11は、サーボバルブ16を介して互いに同
期動作する、即ち、第５図に実線矢印Ａで示す圧縮動作
と点線矢印Ｂで示す開放動作とが夫々同期的に行なわれ
る。材料としてのスラブ材12は、プレス工具11がＢ方向
に開放される際に、矢印Ｃ方向に送られ前進する。ま
た、Ａ方向への圧縮時はスラブ材12の送りが停止され
る。

プレス工具11の開放時におけるスラブ材12の進み量Ｓ
は、スラブの縮幅量Δｂ＝Ｂ−ｂ、プレス工具の繰り返
し圧縮サイクルをＮ、振幅をａ、テーパ角をθとして、 Ｓ＝a/tanθ ……（１） で求め得る。また、スラブ材の平均進み速度ｖは、 ｖ＝SN＝aN/tanθ ……（２） となる。かくして、スラブ材全長に亘りプレスによる縮
幅が可能になる。

縮幅作用を行なう場合には、まず、プレス工具11間隔
を大きくしておき、スラブ材12をプレス工具11に設けら
れた平行13A内まで送り、ここでスラブの進入運動を停
止させる（第６図（Ａ））。その後、プレス工具11を規
定の位置までスラブ縮幅方向Ａに移動させて圧縮を行な
う（第６図（Ｂ））。初定量圧縮後、プレス工具11のＢ
方向への開放を行ない、その後、振動、即ち押圧Ａ、開
放Ｂの繰り返し動作を行ない、スラブ材12のプレス工具
11への送り込みを（１），（２）式に従って行なえばよ
い（第６図（Ｃ））。

詳述すると、スラブ材12は、初めにプレス工具11内に
搬送され、且つその先端が、プレス工具11の平行部13A
内に入るように停止される、この停止のタイミングは、
搬送装置による測長法は、即ちモータ22の回転数検出器
23によりピンチローラの回転数を検出し、この検出値に
よりスラブ材12の位置を関節的に測定する方法、或いは
プレス工具位置に設けた光学的位置検出器等によりスラ
ブ材12の位置を検出する方法によって決定される。そし
て、公知の位置トラッキング方法によりモータ41を停止
させることができる。なお、スラブ材12の間欠的な搬送
を制御するに際しては、回転数検出器23の検出出力を利
用できる。

然るのち、プレス工具11は第４図に実線で示すＡ′の
位置から破線で示すＢ′位置まで大きいストロークで圧
縮し、然るのち指令器19の指令値asin2πNtに従い、プ
レス工具11の開放及び押圧、スラブ材12の間欠搬送を繰
り返すものである。

プレス工具11の開き量は例えばａ＝100mmで、この開
放の間でスラブ材12は矢印Ｃ方向にピンチローラ20によ
り送られる。１回当りの送り量Ｓは例えばＳ＝373mmで
ある。

プレス工具11の押圧及び開放運動は、ポンプ17より各
サーボバルブ16に高圧油を送り、このサーボバルブ16は
制御指令器19の指令に基づき必要油量をシリンダ装置15
に供給し、サーボバルブ16からの戻り油はタンク18に戻
される。シリンダ装置15に送られた高圧油により、シリ
ンダ装置15のピストンが作動され、プレス工具11が、押
圧及び開放運動を繰り返す。

以上の繰り返し作業を行ない、スラブ全長に亘る縮幅
が終了し、次のスラブの縮幅のためにプレス工具11は第
４図のＡ′位置まで退避する。

以下、同じようにプレス工具11による縮幅作業を行な
われる。

なお、縮幅される熱間鋼材スラブ材12としては、例え
ば厚み230mm、幅1500mm、長さ12,000mm程度の大きさと
し、温度は1050〜1200℃とする。

このようなスラブ材12が、例えば最大ΔB450mmの圧縮
を受け、ｂ＝1050mmまで縮幅される。

なお、θ＝15°の場合のプレス工具11に必要な圧縮力
Ｆは約2000tonである。

プレス工具11の開度量ａ＝100mmとすれば、プレス工
具11の１サイクル当りに対するスラブ材12の進み量Ｓは
前述（１）式よりＳ＝373mmである。

また、Ｎ＝0.5/secとすれば、スラブ材12の平均処理
速度ｖは、（２）式よりｖ＝186.5mm/secとなる。

さらに、12,000mmの長さのスラブ材の縮幅を終了する
時間は約64秒である。

以上の実施例によれば、スラブ材の全長に亘り、ほぼ
第１図に示すような横断面形状に縮幅ができ、次工程水
平圧延後も第６図に示すような、先後端に幅落ちのない
縮幅が可能となった。

また、直接テーパ面を用いてプレスするような場合と
異なり、スラブ先端に、いわゆる「つの（角）」や凹み
が生じることもない。即ち、第７図に示すように、互い
に近接状態で待機するプレス工具11にスラブ材12を搬送
し、この状態よりプレス工具11をＡ方向に押し込み、ス
ラブ材12の幅圧縮を行ない、次にプレス工具11をＢ方向
に開放し、開放した分だけスラブ材12を前進させ、再び
圧縮を行ない、この動作を繰り返すことにより板幅Ｂか
らｂまで縮幅を行なうことも可能である。

しかしながら、このようなプレスによる圧縮法では次
のような欠点が生ずる。

（１） 第１にスラブ材12を待機するプレス工具11に送
る場合、スラブ材12のエッジがプレス工具11に当り、
「角」24を発生する（第７図（Ａ））。

（２） 初めに傾斜部13Bで圧縮すると、以後の圧縮に
よりスラブ先端面に凹み25を発生する（第７図
（Ｃ））。

（３） 上記凹み25を除去するには、プレス工具11の傾
斜角θを7.5度以下に小さくしなければならないが、こ
のように角度θを小さくすると、次の理由により、プレ
ス工具11のＡ方向圧縮力が極端に大きくなる。

即ち、プレス工具11の傾斜部13Bが材料と 接触する長さｌは、 で求められるが、θが小さいと、ｌは大となるからであ
る。材料の変形抵抗をkmとすれば、km・ｌに比例して圧
縮荷重は大となり、圧縮を行なう装置が膨大になり不利
である。

これに対し、プレス圧縮開始時にプレス工具11の平行
部13A内にスラブ材12先端を位置せしめ、プレス圧縮を
行ない、引き続き、所定のプレス工具11の振動運動によ
り、スラブ材12の全長に対する縮幅を行なう前記実施例
によれば、スラブ材12先端部に発生する「角」及び凹み
を生じることなく、均一な縮幅が可能となった。この場
合、プレス工具11の振動運動は、振幅量をストロークと
して、各プレス工具を往復動させることにより行われ、
各プレス工具が開放されたときには、スラブ材12を規定
の進み量だけ搬送する操作を複数回繰り返してスラブ材
12が縮幅されるので、プレス工具11の開閉ストロークが
小さくてすみ、スラブ材12の縮幅を高速度で行なうこと
ができると共に、プレス工具11によるスラブ材一回当た
りの押圧操作に要するプレス荷重を小さくでき、幅プレ
ス装置として油圧シリンダ15の小型化を図ることができ
る。

さらに、第７図に示す方法では、スラブ材12とプレス
工具11との間での摩擦係数の大小の問題から、スラブ材
12が屡々スリップし、先端部の圧縮に失敗することがあ
るが、前記実施例のように、プレス工具11の平行部13A
で圧縮を開始することにより、スリップの問題は皆無と
なった。

なお、前記実施例では、プレス工具11の振動を第８図
に示すように正弦波asin2πNtで与えたが、第９図に示
すように、３角波形等で与えても同様の効果が奏され
る。

また、前記実施例では、プレス開始時、スラブ材の板
幅に対し、全開ストローク（第６図（Ａ）の状態とし、
次の縮幅作業以降はストロークの小さい振幅ａでプレス
工具11の振動を繰り返すようにしたが、振幅ａはこれよ
りも大きくしてもよいことは勿論である。即ち、プレス
工具11の開放側地点がスラブ材12の板幅方向縁部よりも
外側に位置するようになってもよい。

同様のプレス工具11の押圧動力源を用いるならば、前
述（２）式に従い、スラブ材12の縮幅移送速度ｖはaNに
比例する。従って、振幅ａを大にする際には工具の繰り
返しサイクルＮを小さくすればよい。即ち、aNが一定と
なるように、振幅ａ、サイクルＮを適切に選定すること
ができる。

さらに、前記実施例では、熱間スラブ材を例に説明し
たが、冷間あるいはスラブよりも薄い板材に対しても勿
論適用可能である。

さらにまた、前記実施例では圧延機構をシリンダ装置
としたが、これに限らず、電動クランク等の他の押圧機
構を用いても本発明の目的を達成することは明らかであ
る。

〔発明の効果〕

以上のように、本発明によれば、振幅量をストローク
として、各プレス工具を往復動させると共に、各プレス
工具が開放されたときに、スラブ材を規定の進み量だけ
搬送する操作を複数回繰り返してスラブ材を縮幅するよ
うにしたため、プレス工具の開閉ストロークが小さくて
すみ、スラブ材の縮幅を高速度で行なうことができると
共に、プレス工具によるスラブ材一回当たりの押圧操作
に要するプレス荷重を小さくでき、幅プレス装置の小型
化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来例を示すもので、第１図はテーパ
プレスによる加工部の断面図、第２図はローラ圧縮によ
る加工部の断面図、第３図は圧延製品を示す平面図、第
５図〜第８図は本発明の一実施例を示すもので、第４図
は全体構成を示す概略図、第５図はプレス工具を示す拡
大図、第６図は作用を示す説明図、第７図は参考用比較
例を示す説明図、第８図は指令器による信号を示す模式
図、第９図は本発明の他の実施例を示す模式図である。 11……プレス工具、12……スラブ材、13……加圧面、13
A……平行部、13B……傾斜部、15……加圧手段（振動手
段）（シリンダ装置）、16,17,18,19……制御装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−114561（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−4304（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−17313（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スラブ材搬送路上のスラブ材の幅方向端面
   と平行に配された平行部と、平行部に隣接してスラブ材
   の入側に形成され、該平行部に対してスラブ材入側に傾
   斜した傾斜部とを有する一対のプレス工具をスラブ材搬
   送路を挟んで相対向させて配置し、このプレス工具によ
   り、スラブ材搬送路上に搬入されたスラブ材をその幅方
   向から押圧して該スラブ材を縮幅するスラブ材の縮幅方
   法において、 前記スラブ材が該スラブ材の長手方向に搬送されてプレ
   ス工具の配置された領域に達するまでは前記各プレス工
   具を前記スラブ材搬送路から離反した位置に保持し、 前記スラブ材の先端部が前記プレス工具の平行部の領域
   に到達したときに前記スラブ材の搬送を停止し、この状
   態で各プレス工具の平行部と傾斜部を用いて前記スラブ
   材先端部の幅方向両端面を夫々押圧してスラブ材を所望
   のスラブ材板幅に至るまで幅減少させる操作を行い、 この後、前記スラブ材先端部以降の幅減少に際しては前
   記プレス工具を幅減少させた該スラブ材の幅方向両側面
   から夫々離反させて所望の開放位置まで開放操作し、次
   に、この所望の開放位置から前記プレス工具を移動させ
   て前記プレス工具の平行部と傾斜部を用いて前記スラブ
   材の幅方向両端面を押圧し該所望のスラブ材板幅に至る
   まで該スラブ材を幅減少させる押圧操作を行うと共に、
   前記所望の開放位置から所望のスラブ材板幅の位置に至
   る振幅によって前記プレス工具を移動して前記押圧操作
   と開放操作を順次繰り返して行い、 更に、前記各プレス工具が移動する前記振幅の値は該ス
   ラブ材が幅減少されるスラブ材の全板幅縮幅量の1/2未
   満に夫々設定し、前記スラブ材先端部以降のスラブ材の
   幅減少に際しての前記スラブ材の搬送は、前記プレス工
   具が前記振幅値である該所望の開放位置から該所望のス
   ラブ材板幅位置まで移動して前記スラブ材を幅減少させ
   る押圧操作を経て再び開放操作により前記所望の開放位
   置に至るまで移動する間に、前記プレス工具の傾斜部に
   より押圧されて幅減少した前記スラブ材の板幅片側の縮
   幅量をプレス工具の傾斜角の正接で除した値に相当する
   進み量により前記スラブ材をその長手方向に順次搬送す
   るようにし、このスラブ材の搬送に応じて前記プレス工
   具による該スラブ材への前記押圧操作と開放操作を順次
   繰り返して行うことによって前記スラブ材をその全長に
   亘って幅減少するようにしたことを特徴とするスラブ材
   の縮幅方法。
2. 【請求項２】スラブ材の搬送路を挟んでその板幅方向両
   側に夫々設置され、スラブ材搬送路上のスラブ材の幅方
   向端面と平行に配された平行部と、平行部に隣接してス
   ラブ材の入側に形成され、該平行部に対してスラブ材入
   側に傾斜した傾斜部とを有する一対のプレス工具と、 前記各プレス工具を駆動して該プレス工具により該スラ
   ブ材の板幅方向両側面を夫々押圧してこのスラブ材を幅
   減少させる押圧操作、及びこのプレス工具により幅減少
   させた該スラブ材から該プレス工具を夫々離反させて開
   放させる開放操作を行う駆動装置と、 前記スラブ材を該スラブ材の長手方向に搬送する搬送装
   置と、 前記スラブ材の先端部の位置を検出する位置検出手段
   と、 前記駆動装置による該プレス工具の押圧操作及び開放操
   作、並びに前記搬送装置による該スラブ材の搬送を夫々
   制御する制御装置とを備え、 前記制御装置は、前記位置検出手段の検出信号に基づい
   て前記制御装置から該搬送装置に対して第１の搬送信号
   を出力して前記スラブ材の先端部が前記プレス工具の平
   行部の領域に到達した際に前記スラブ材の搬送を停止す
   ると共に、前記制御装置から該駆動装置に対して第１の
   指令信号を出力して前記各プレス工具を操作し該プレス
   工具の平行部と傾斜部を用いて前記スラブ材先端部の幅
   方向両端面を夫々押圧してスラブ材を所望のスラブ材板
   幅に幅減少させるように構成し、 そして、前記スラブ材先端部以降の幅減少に際して前記
   制御装置から該駆動装置に対して第２の指令信号を出力
   して前記プレス工具を幅減少させた該スラブ材の幅方向
   両側面から夫々離反させて所望の開放位置まで開放操作
   し、次に、この所望の開放位置から前記プレス工具を移
   動させて前記プレス工具の平行部と傾斜部を用いて前記
   スラブ材の幅方向両端面を押圧して該所望のスラブ材板
   幅に至るまで該スラブ材を幅減少させる押圧操作を行う
   と共に、前記所望の開放位置から該所望のスラブ材板幅
   の位置に至る振幅によって前記プレス工具を移動して前
   記押圧操作と開放操作を順次繰り返して行うように構成
   し、 更に、前記各プレス工具が移動する前記振幅の値は該ス
   ラブ材が幅減少されるスラブ材の全板幅縮幅量の1/2未
   満に夫々設定するように構成すると共に、前記スラブ材
   先端部以降のスラブ材の幅減少に際しての前記スラブ材
   の搬送は、前記制御装置から該搬送装置に対して第２の
   搬送信号を出力して前記プレス工具が前記振幅値である
   該所望の開放位置から該所望のスラブ材板幅位置まで移
   動して前記スラブ材を幅減少させる押圧操作を経て再び
   開放操作により前記所望の開放位置に至るまで移動する
   間に、前記プレス工具の傾斜部により押圧されて幅減少
   した前記スラブ材の板幅片側の縮幅量をプレス工具の傾
   斜角の正接で除した値に相当する進み量により前記スラ
   ブ材をその長手方向に順次搬送するように構成すること
   によって、前記スラブ材をその全長に亘って幅減少する
   ようにしたことを特徴とするスラブ材の縮幅装置。