JP2537252Y2 - 焼却炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、工場・家庭内で発生す
る廃棄物・紙・ダンボール・プラスチック等を焼却する
為の焼却炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の焼却炉は、焼却室の排煙口に煙突
を取付け、又焼却灰はロストル下方の固定された床面又
は灰受棚に落とされる構造のものであった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の焼却炉では、空
気の焼却室内への導入が、被焼却材・灰等によって阻害
されて不完全燃焼のまま煙突より排出される為、黒煙・
スス・未燃焼物が排出され、外周の環境を汚していた。
又灰の排出も円滑にできないという問題点があった。本
考案が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点
を解消し、燃焼状態を良好なものとし、黒煙・スス・未
燃焼物のないクリーンな状態で燃焼ガスを排出し、又灰
の回収と運送を容易にした焼却炉を提供することにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決した本
考案の要旨は、焼却炉本体の上部に煙突を設け、焼却炉
本体の内部にロストルを設けた焼却炉に於いて、焼却炉
本体の下部を開口し、又焼却炉本体のロストル下方内部
に灰を回収する出し入れ自在な車輪付灰回収箱を格納
し、しかも灰回収箱の側壁面と焼却炉本体の下部開口の
上方の焼却炉本体内壁との間に空気通路を形成し、灰回
収箱の内壁に沿って耐熱性灰収納袋を開口した状態で取
付けた焼却炉にある。

【０００５】

【作用】この考案では、空気は主に焼却炉の下部開口か
ら導入され、灰回収箱の側壁と燃焼炉下部内壁との間の
空気通路を通過して上昇する。空気はロストルを通って
燃焼炉内壁に沿って上昇気流となって流入する。燃焼炉
内壁は伝熱・輻射熱で加熱されていて高温であるので、
空気がこの空気通路を通ることで予熱され、空気は温度
上昇するとともに上昇気流の力を強めて空気吸引力を高
め、空気を多く燃焼炉内に送り込まれる。燃焼炉本体内
のロストル上の燃料となる廃棄物・紙・ダンボール・プ
ラスチック等は、前記の上昇した空気によってよく燃焼
し、その燃焼ガスは煙突から大気へ放出される。一方、
焼却炉本体内で燃焼した残留物・灰はロストルを介して
下方の灰回収箱に落下するので、灰の回収は灰回収箱を
焼却炉から引き出すことで簡単に行え、しかも運送もそ
のまま行える。特に箱内壁に耐熱性灰収納袋を取付けて
いるものでは、灰回収箱を引き出した後、袋を引き出す
ことで清潔且つ迅速に灰の移動と処分を可能としてい
る。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の実施例について説明する。図
１〜図４に示す実施例は、煙突の下部内部に煙排出筒と
空気導入管とを設け、車輪を設けて出入自在とした灰回
収箱に耐熱性の灰収納袋を敷いた特長の実施例である。
又、図５は実施例の煙突下部構造を煙突と煙排出筒で構
成し、空気導入管を設けていない他の構造例である。図
１は実施例の一部切欠正面図、図２は実施例の縦断側面
図、図３は同平面図、図４は実施例の煙突下部の拡大縦
断面図、図５は他の煙突下部構造例の拡大縦断面図であ
る。

【０００７】図中、１は焼却炉、２は煙突、３は焼却炉
本体、４は排煙口、５は煙排出筒、６は煙突下部内面と
煙排出筒外周壁面との間に形成される環状の空気通路、
７は投入扉１７方向に僅か下り勾配に設けたロストル、
８は灰回収箱、９は同灰回収箱の側壁と焼却炉本体３の
下部内周壁との間に形成される空気通路、１０は煙排出
筒５に穿孔した空気孔、１１は空気導入管、１２は同空
気導入管に穿孔した空気孔、１３は灰回収箱８の内部に
敷いた耐熱性灰収納袋、１４は煙突２の下端に設け空気
通路６と連通した下端開放口、１５は焼却炉本体３の下
端に設けた開口で、空気通路１０と連通している。１６
は焼却炉本体３内部の排煙口４の下方に設けた邪魔板、
１７は被燃焼物を焼却炉本体３内に投入する投入扉、１
８はロストル７の支持枠から前方に突出させたロストル
揺動杆、１９は灰回収箱８の車輪、２０は灰回収箱８の
把手である。図１〜図４に示す実施例では、紙・ダンボ
ール・プラスチック等の廃棄物は投入扉１７を開けて焼
却炉本体３内へ投入される。着火されて廃棄物が燃焼し
てくると、燃焼熱によって上昇気流が発生し、又焼却炉
本体３の壁面温度・煙突２・煙排出筒５・空気導入管１
１等の壁面温度も上昇し、空気は焼却炉本体３の下端の
開口１５から吸引されるように導入され、焼却炉下部内
面と灰回収箱８の側壁面との間の空気通路９において加
熱されながら通過して焼却炉本体３内上部へ送られる。
この焼却炉本体３の内周壁に沿っての空気の流れは強い
上昇流となり、焼却炉本体３内へ燃焼に必要な充分な空
気が供給される。

【０００８】焼却炉本体３内で燃焼された後、邪魔板１
６で迂回させられて、よく燃焼させられながらその燃焼
ガス・煙は排煙口４から煙排出筒５内へ上昇気流ととも
に送られる。ここでも煙突２内の上昇気流によって下端
開放口１４から空気が吸引されるように空気通路６へ送
られ、加熱されて煙排出筒５の空気孔１０から煙突中央
に送られる。この補充された空気によって、煙排出筒５
及び煙突２上部の内部で未燃焼物・不完全燃焼物が再度
燃焼し、未燃焼物・不完全燃焼物がない状態で煙突２か
ら大気へ排出される。スス・黒煙の排出はこれによって
なくなった。

【０００９】更に、本実施例の１では、空気導入管１１
の直立部は煙突２内の煙排出筒５内にあって、高温の燃
焼ガスに曝され、管壁は高温に加熱されるとともに、煙
突２の中心部の強い上昇気流内にあることから、空気導
入管１１内部の空気は管外へ吸引されるように流出し、
空気導入管１１の管端の開口より外気を強力に吸引し、
煙突２の中心部に空気を多量に補給する。よって、この
空気導入管１１の外周で強力な二次燃焼がなされ、完全
燃焼状態とする。

【００１０】燃焼後の灰・残留物はロストル７上か、又
は落下して下方の灰回収箱８の灰収納袋１３内に収容さ
れる。ロストル７は投入扉１７側に下り勾配であるの
で、缶類の取り出しが容易となっている。灰の回収はロ
ストル揺動杆１８を上下に揺らすことでロストル７上の
灰・残留物を下方の灰収納袋１３内によく落とすことが
できる。その後、灰回収箱８を焼却炉本体３の下方から
引き出し、その車輪１９で所要の場所へ移動させて処分
する。この時、灰収納袋１３を綴じて灰収納袋１３で詰
めて処分できるので灰の廃棄・運送を容易とする。

【００１１】図５で示す煙突下部構造は、煙排出筒５内
部に空気導入管１１を設けていない例である。この例で
は、空気導入管１１による煙排出筒５中心での空気補給
がない他は実施例と同様な空気の導入と燃焼状態とな
る。前記した実施例の方が本例より完全燃焼させること
ができる。

【００１２】

【考案の効果】以上の様に、本考案によれば、焼却炉本
体の下部を開口し、又焼却炉本体内部のロストルの下方
に出し入れ自在な灰回収箱を格納し、灰回収箱の側壁と
焼却炉本体の内壁との間に空気通路を形成したことによ
り、下部の開口から取り込んだ空気を空気通路において
加熱させるとともに、強力に上昇させながら空気をその
上昇流による強い吸引力により多く炉内に取り込め、空
気を焼却炉本体及び煙突内へ充分に補給して燃焼をきわ
めて良好なものにし、黒煙・スス・悪臭の排出もない無
公害のものにできた。更に灰回収箱・灰収納袋によって
灰の回収・処分を容易とした。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の正面図である。

【図２】実施例の縦断側面図である。

【図３】実施例の平面図である。

【図４】実施例の煙突下部の拡大縦断面図である。

【図５】他の煙突下部構造例の拡大縦断面図である。

【符号の説明】 １ 焼却炉 ２ 煙突 ３ 焼却炉本体 ４ 排煙口 ５ 煙排出筒 ６ 空気通路 ７ ロストル ８ 灰回収箱 ９ 空気通路 １０ 空気孔 １１ 空気導入管 １２ 空気孔 １３ 灰収納袋 １４ 下端開放口 １５ 開口 １６ 邪魔板 １７ 投入扉 １８ ロストル揺動杆 １９ 車輪 ２０ 把手

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 焼却炉本体の上部に煙突を設け、焼却炉
   本体の内部にロストルを設けた焼却炉に於いて、焼却炉
   本体の下部を開口し、又焼却炉本体のロストル下方内部
   に灰を回収する出し入れ自在な車輪付灰回収箱を格納
   し、しかも灰回収箱の側壁面と焼却炉本体の下部開口の
   上方の焼却炉本体内壁との間に空気通路を形成し、灰回
   収箱の内壁に沿って耐熱性灰収納袋を開口した状態で取
   付けた焼却炉。