JP2535261B2 - 無機長繊維及びその製造方法 - Google Patents
無機長繊維及びその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面層の構成元素が傾
斜した組成分布を有しており、複合材料の強化繊維とし
て好ましく使用することのできる無機長繊維及びその製
造方法に関する。
斜した組成分布を有しており、複合材料の強化繊維とし
て好ましく使用することのできる無機長繊維及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】特公昭60−1405号
公報、同60−20485号公報には、ポリチタノカル
ボシランあるいはポリジルコノカルボシランを紡糸し、
ついで不融化した不融化繊維を焼成することによって得
られる、ケイ素、炭素、チタン又はジルコニウム、及び
酸素からなる無機長繊維が開示されている。上記公報に
は、この無機長繊維は金属あるいは合金との濡れが良好
であり、金属、プラスチック、ゴムなどの強化用繊維と
して使用しうることも記載されている。近年、無機繊維
で強化された複合材料には過酷な環境下での使用に耐え
ることが要求されるようになり、この要求を満足するた
めには、上記公報に記載の無機長繊維もそれぞれのマト
リックスに応じた表面処理が必要とされているのが現状
である。
公報、同60−20485号公報には、ポリチタノカル
ボシランあるいはポリジルコノカルボシランを紡糸し、
ついで不融化した不融化繊維を焼成することによって得
られる、ケイ素、炭素、チタン又はジルコニウム、及び
酸素からなる無機長繊維が開示されている。上記公報に
は、この無機長繊維は金属あるいは合金との濡れが良好
であり、金属、プラスチック、ゴムなどの強化用繊維と
して使用しうることも記載されている。近年、無機繊維
で強化された複合材料には過酷な環境下での使用に耐え
ることが要求されるようになり、この要求を満足するた
めには、上記公報に記載の無機長繊維もそれぞれのマト
リックスに応じた表面処理が必要とされているのが現状
である。
【0003】
【問題点を解決するための技術的手段】本発明は各種マ
トリックスに優れた特性を付与することのできる無機長
繊維及びその製造方法を提供する。本発明の無機長繊維
は (1)ケイ素、炭素、チタン又はジルコニウム、及び酸
素からなる非晶質物質、 (2)β−SiC、MC、C、β−SiCとMCとの固
溶体、及びMC1−xからなる群から選択される少なく
とも1種で粒径が50nm以下の結晶質微粒子と、非晶
質のSiO2及びMO2とからなる集合体、又は (3)上記(1)の非晶質物質と上記(2)の集合体と
の混合物 (式中、Mはチタン又はジルコニウムを示し、xは0よ
り大きく1未満の数である。)で構成されている。この
無機長繊維は内層部と表層部とから構成され、繊維径は
通常5〜20μmである。無機長繊維の表層部は、繊維
表面から繊維軸中心に向かって500nm以下の領域内
であって、かつ繊維表面側に形成されている。表層部が
上記範囲より深い領域に形成されると、内層部の割合が
相対的に低減する結果、無機繊維の機械的特性が低下す
るようになる。
トリックスに優れた特性を付与することのできる無機長
繊維及びその製造方法を提供する。本発明の無機長繊維
は (1)ケイ素、炭素、チタン又はジルコニウム、及び酸
素からなる非晶質物質、 (2)β−SiC、MC、C、β−SiCとMCとの固
溶体、及びMC1−xからなる群から選択される少なく
とも1種で粒径が50nm以下の結晶質微粒子と、非晶
質のSiO2及びMO2とからなる集合体、又は (3)上記(1)の非晶質物質と上記(2)の集合体と
の混合物 (式中、Mはチタン又はジルコニウムを示し、xは0よ
り大きく1未満の数である。)で構成されている。この
無機長繊維は内層部と表層部とから構成され、繊維径は
通常5〜20μmである。無機長繊維の表層部は、繊維
表面から繊維軸中心に向かって500nm以下の領域内
であって、かつ繊維表面側に形成されている。表層部が
上記範囲より深い領域に形成されると、内層部の割合が
相対的に低減する結果、無機繊維の機械的特性が低下す
るようになる。
【0004】内層部の構成元素の割合は、ケイ素40〜
60重量%、炭素20〜40重量%、チタン又はジルコ
ニウム0.5〜10重量%、及び酸素10〜30重量%
である。他方、表層部の構成元素の割合は、ケイ素0〜
40重量%、炭素50〜100重量%、チタン又はジル
コニウム0〜8重量%、及び酸素0〜25重量%であ
る。本発明の無機繊維の表層部においては、例えば図1
に示されているように、炭素の割合が繊維表面に向かっ
て連続的に増大している。図1は後述する実施例1で得
られた無機長繊維の繊維表面からの深さ(nm)と構成
元素の割合(重量%)との関係を示しており、炭素の割
合が繊維表面から約20nmの地点から繊維表面に向け
て急激に増大していることが理解される。これに対し
て、例えば後述する特公昭62−60414号公報に記
載の方法に従って調製したポリチタノカルボシランを紡
糸、不融化、ついで一定温度で焼成した無機繊維につい
て、繊維表面からの深さと構成元素の割合との関係を示
す図2によると、繊維を構成する元素の割合は、繊維の
深さ方向にほぼ一定であることがわかる。表層部におけ
る、繊維表面に向けての炭素組成の増大、換言すると、
傾斜した炭素の組成分布は本発明の無機長繊維に、各種
マトリックス、中でもガラスマトリックスとの優れた結
合力を付与する。
60重量%、炭素20〜40重量%、チタン又はジルコ
ニウム0.5〜10重量%、及び酸素10〜30重量%
である。他方、表層部の構成元素の割合は、ケイ素0〜
40重量%、炭素50〜100重量%、チタン又はジル
コニウム0〜8重量%、及び酸素0〜25重量%であ
る。本発明の無機繊維の表層部においては、例えば図1
に示されているように、炭素の割合が繊維表面に向かっ
て連続的に増大している。図1は後述する実施例1で得
られた無機長繊維の繊維表面からの深さ(nm)と構成
元素の割合(重量%)との関係を示しており、炭素の割
合が繊維表面から約20nmの地点から繊維表面に向け
て急激に増大していることが理解される。これに対し
て、例えば後述する特公昭62−60414号公報に記
載の方法に従って調製したポリチタノカルボシランを紡
糸、不融化、ついで一定温度で焼成した無機繊維につい
て、繊維表面からの深さと構成元素の割合との関係を示
す図2によると、繊維を構成する元素の割合は、繊維の
深さ方向にほぼ一定であることがわかる。表層部におけ
る、繊維表面に向けての炭素組成の増大、換言すると、
傾斜した炭素の組成分布は本発明の無機長繊維に、各種
マトリックス、中でもガラスマトリックスとの優れた結
合力を付与する。
【0005】つぎに、本発明の無機長繊維の製造方法を
説明する。本発明の無機長繊維の製造に使用されるポリ
チタノカルボシランあるいはポリジルコノカルボシラン
(以下両者を総称して「前駆重合体」という。)は、例
えば、特公昭61−49335号公報、同62−604
14号公報、同63−37139号公報、同63−49
691号公報に記載の方法に従って調製することができ
る。これら公報の記載は本明細書の一部として参照され
る。前駆重合体は、(1)ポリカルボシランとポリチタ
ノシロキサン又はポリジルコノシロキサンとを反応させ
ることによって、ポリカルボシランのケイ素原子と上記
シロキサン重合体のケイ素原子、又はチタン原子あるい
はジルコニウム原子とを、酸素原子を介して結合させた
重合体、及び(2)ポリカルボシランとチタンあるいは
ジルコニウムのアルコキシドとを反応させることによっ
て、ポリカルボシランのケイ素原子をチタン原子又はジ
ルコニウム原子とを酸素原子を介して結合させた重合体
を包含する。
説明する。本発明の無機長繊維の製造に使用されるポリ
チタノカルボシランあるいはポリジルコノカルボシラン
(以下両者を総称して「前駆重合体」という。)は、例
えば、特公昭61−49335号公報、同62−604
14号公報、同63−37139号公報、同63−49
691号公報に記載の方法に従って調製することができ
る。これら公報の記載は本明細書の一部として参照され
る。前駆重合体は、(1)ポリカルボシランとポリチタ
ノシロキサン又はポリジルコノシロキサンとを反応させ
ることによって、ポリカルボシランのケイ素原子と上記
シロキサン重合体のケイ素原子、又はチタン原子あるい
はジルコニウム原子とを、酸素原子を介して結合させた
重合体、及び(2)ポリカルボシランとチタンあるいは
ジルコニウムのアルコキシドとを反応させることによっ
て、ポリカルボシランのケイ素原子をチタン原子又はジ
ルコニウム原子とを酸素原子を介して結合させた重合体
を包含する。
【0006】本発明によれば、前駆重合体が常法によっ
て紡糸され、ついで不融化される。紡糸繊維の不融化方
法としては、それ自体公知の方法、例えば、紡糸繊維を
酸化性ガス雰囲気において50〜400℃の範囲の温度
で加熱する方法、あるいは紡糸繊維にγ線又は電子線を
照射する方法を採用することができる。前駆重合体の紡
糸及び不融化は、本出願人の出願に係わる特公昭60−
1405号公報、同60−20485号公報に詳細に説
明されており、これら公報の記載は本明細書の一部とし
て参照される。不融化された繊維はついで連続焼成炉に
連続的に供給されて焼成される。本発明の製造方法にお
いては、焼成炉内の温度を繊維の進行方向に向けて高く
することが必要である。この処理は、例えば、焼成炉の
温度を繊維の進行方向に段階的あるいは連続的に高める
ことによって容易に行うことができる。焼成炉内で形成
される温度勾配は、処理すべき不融化繊維の供給量、焼
成炉の長さなどによって種々異なり一律に規定すること
はできないが、一般的には50〜1000℃/m(炉
長)の範囲である。
て紡糸され、ついで不融化される。紡糸繊維の不融化方
法としては、それ自体公知の方法、例えば、紡糸繊維を
酸化性ガス雰囲気において50〜400℃の範囲の温度
で加熱する方法、あるいは紡糸繊維にγ線又は電子線を
照射する方法を採用することができる。前駆重合体の紡
糸及び不融化は、本出願人の出願に係わる特公昭60−
1405号公報、同60−20485号公報に詳細に説
明されており、これら公報の記載は本明細書の一部とし
て参照される。不融化された繊維はついで連続焼成炉に
連続的に供給されて焼成される。本発明の製造方法にお
いては、焼成炉内の温度を繊維の進行方向に向けて高く
することが必要である。この処理は、例えば、焼成炉の
温度を繊維の進行方向に段階的あるいは連続的に高める
ことによって容易に行うことができる。焼成炉内で形成
される温度勾配は、処理すべき不融化繊維の供給量、焼
成炉の長さなどによって種々異なり一律に規定すること
はできないが、一般的には50〜1000℃/m(炉
長)の範囲である。
【0007】最高焼成温度は800〜2000℃の範囲
の温度であり、1200〜1600℃の範囲の温度であ
ることが好ましい。上記したように、焼成炉内の温度は
繊維の進行方向に向けて高くされるが、最高焼成温度と
は焼成炉内において到達される最も高い温度を意味す
る。最終焼成温度が800℃より低いと、機械的強度の
高い無機繊維を得ることができず、最終焼成温度を20
00℃より高くすると、炭化ケイ素の急激な結晶化及び
炭化ケイ素の蒸発が起こるため、得られる無機長繊維の
強度が大幅に低下する。焼成炉の入口温度は室温〜80
0℃、特に50〜200℃の範囲の温度であることが好
ましい。焼成炉の入口温度が過度に高いと、焼成炉内の
温度勾配を充分形成することができなくなり、目的とす
る表面組成が傾斜した無機長繊維が得られにくくなる。
不融化繊維の焼成は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰
囲気中、あるいは真空中で、張力下に行われる。繊維に
かける張力については特別の制限はないが、一般には1
0〜300g/mm2である。
の温度であり、1200〜1600℃の範囲の温度であ
ることが好ましい。上記したように、焼成炉内の温度は
繊維の進行方向に向けて高くされるが、最高焼成温度と
は焼成炉内において到達される最も高い温度を意味す
る。最終焼成温度が800℃より低いと、機械的強度の
高い無機繊維を得ることができず、最終焼成温度を20
00℃より高くすると、炭化ケイ素の急激な結晶化及び
炭化ケイ素の蒸発が起こるため、得られる無機長繊維の
強度が大幅に低下する。焼成炉の入口温度は室温〜80
0℃、特に50〜200℃の範囲の温度であることが好
ましい。焼成炉の入口温度が過度に高いと、焼成炉内の
温度勾配を充分形成することができなくなり、目的とす
る表面組成が傾斜した無機長繊維が得られにくくなる。
不融化繊維の焼成は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰
囲気中、あるいは真空中で、張力下に行われる。繊維に
かける張力については特別の制限はないが、一般には1
0〜300g/mm2である。
【0008】本発明の製造方法によれば、既述した内層
部及び表層部からなる無機繊維を効率的に得ることがで
きる。その理由についてなんらかの理論に拘束されるも
のではないが、内層部とほぼ同一組成の無機繊維がまず
形成され、ついで、この繊維の表面から、ケイ素、チタ
ン又はジルコニウム、及び酸素の少なくとも一部が単独
あるいは化合物として逃散し、その結果、炭素原子の割
合の高い表層部が形成されるものと推定される。本発明
の無機長繊維は、その表層部の組成が内層部の組成から
連続的に変化しており、内層部と明確な境界を有してい
ないため、ヒートサイクルを受けても剥離などが生ずる
ことがない。従って、本発明の無機長繊維は、表層部の
組成に特に適合したマトリックス材料、例えばガラスマ
トリックスの強化用繊維として用いた場合、ヒートサイ
クルの良好な複合材料を与えることができる。
部及び表層部からなる無機繊維を効率的に得ることがで
きる。その理由についてなんらかの理論に拘束されるも
のではないが、内層部とほぼ同一組成の無機繊維がまず
形成され、ついで、この繊維の表面から、ケイ素、チタ
ン又はジルコニウム、及び酸素の少なくとも一部が単独
あるいは化合物として逃散し、その結果、炭素原子の割
合の高い表層部が形成されるものと推定される。本発明
の無機長繊維は、その表層部の組成が内層部の組成から
連続的に変化しており、内層部と明確な境界を有してい
ないため、ヒートサイクルを受けても剥離などが生ずる
ことがない。従って、本発明の無機長繊維は、表層部の
組成に特に適合したマトリックス材料、例えばガラスマ
トリックスの強化用繊維として用いた場合、ヒートサイ
クルの良好な複合材料を与えることができる。
【0009】
【実施例】つぎに実施例及び比較例を示す。以下におい
て特別に断りのない限り、「部」及び「%」は、それぞ
れ、「重量部」及び「重量%」を示す。 実施例1 ジメチルジクロロシランを金属ナトリウムで脱塩素縮合
して合成されたポリジメチルシラン100部に対してポ
リボロシロキサン3部を添加し、窒素中、35 ら主としてなる主鎖骨格を有し、このカルボシラン単位
のケイ素原子に水素原子及びメチル基を有するポリカル
ボシランを調製した。このポリカルボシラン100部に
チタンテトラブトキシド20部を添加し、窒素中340
℃で架橋反応させ されるチタノキサン10部とからなるポリチタノカルボ
シランを得た。このポリチタノカルボシランを溶融紡糸
し、ついで空気中190℃で加熱して径15μmの不融
化繊維を得た。
て特別に断りのない限り、「部」及び「%」は、それぞ
れ、「重量部」及び「重量%」を示す。 実施例1 ジメチルジクロロシランを金属ナトリウムで脱塩素縮合
して合成されたポリジメチルシラン100部に対してポ
リボロシロキサン3部を添加し、窒素中、35 ら主としてなる主鎖骨格を有し、このカルボシラン単位
のケイ素原子に水素原子及びメチル基を有するポリカル
ボシランを調製した。このポリカルボシラン100部に
チタンテトラブトキシド20部を添加し、窒素中340
℃で架橋反応させ されるチタノキサン10部とからなるポリチタノカルボ
シランを得た。このポリチタノカルボシランを溶融紡糸
し、ついで空気中190℃で加熱して径15μmの不融
化繊維を得た。
【0010】長さ8mの連続焼成炉に四つの温度ゾーン
を設け、第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン及び第4
ゾーンの温度を、それぞれ、300〜500℃、500
〜800℃、800〜1300℃及び1300〜160
0℃に設定した。この温度勾配を形成させた焼成炉に、
上記の不融化繊維を第1ゾーンから連続的に3m/分の
割合で供給しアルゴンガス雰囲気下に焼成した。得られ
る無機長繊維は第4ゾーンの出口から連続的に取り出し
た。得られた無機長繊維の径は11μmであった。この
無機長繊維の表面から繊維軸方向の組成分布を、日本電
子(株)製の走査型オージェ電子分光装置JAMP−3
0を用いて分析した。分析結果を示す図1からわかるよ
うに、無機長繊維は内層部と繊維表面から約20nmの
地点から形成される表層部とから構成されていた。内層
部を構成する元素の割合は、ケイ素51%、炭素29
%、酸素18%及びチタン2%であった。表層部におい
ては、上記の繊維表面から約20nmの地点から繊維表
面に向けて炭素の割合が最表面における80%まで増加
している一方で、ケイ素、酸素及びチタンの割合が漸減
していた。この無機長繊維の引張強度は310kg/m
m2であり、弾性率(ストランド法による測定)は18
t/mm2であった。
を設け、第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン及び第4
ゾーンの温度を、それぞれ、300〜500℃、500
〜800℃、800〜1300℃及び1300〜160
0℃に設定した。この温度勾配を形成させた焼成炉に、
上記の不融化繊維を第1ゾーンから連続的に3m/分の
割合で供給しアルゴンガス雰囲気下に焼成した。得られ
る無機長繊維は第4ゾーンの出口から連続的に取り出し
た。得られた無機長繊維の径は11μmであった。この
無機長繊維の表面から繊維軸方向の組成分布を、日本電
子(株)製の走査型オージェ電子分光装置JAMP−3
0を用いて分析した。分析結果を示す図1からわかるよ
うに、無機長繊維は内層部と繊維表面から約20nmの
地点から形成される表層部とから構成されていた。内層
部を構成する元素の割合は、ケイ素51%、炭素29
%、酸素18%及びチタン2%であった。表層部におい
ては、上記の繊維表面から約20nmの地点から繊維表
面に向けて炭素の割合が最表面における80%まで増加
している一方で、ケイ素、酸素及びチタンの割合が漸減
していた。この無機長繊維の引張強度は310kg/m
m2であり、弾性率(ストランド法による測定)は18
t/mm2であった。
【0011】実施例2 チタンテトラブトキシドに代えてジルコニウムテトラブ
トキシド30部を使用した以外は実施例1におけると同
様にして、ポリジルコノカルボシランを調製した。この
ポリジルコノカルボシランを用いて実施例1におけると
同様にして、紡糸、不融化、ついで焼成して、径12μ
mの無機長繊維を得た。この無機長繊維は内層部と繊維
表面から約25nmの地点から形成される表層部とから
構成されており、内層部の構成元素の割合は、ケイ素5
3%、炭素28%、酸素17%及びジルコニウム2%で
あった。表層部の炭素の割合は、最表面の85%まで増
大しており、ケイ素、酸素及びジルコニウムの割合は漸
減していることが観察された。この無機長繊維の引張強
度は310kg/mm2であり、弾性率(ストランド法
による測定)は18t/mm2であった。
トキシド30部を使用した以外は実施例1におけると同
様にして、ポリジルコノカルボシランを調製した。この
ポリジルコノカルボシランを用いて実施例1におけると
同様にして、紡糸、不融化、ついで焼成して、径12μ
mの無機長繊維を得た。この無機長繊維は内層部と繊維
表面から約25nmの地点から形成される表層部とから
構成されており、内層部の構成元素の割合は、ケイ素5
3%、炭素28%、酸素17%及びジルコニウム2%で
あった。表層部の炭素の割合は、最表面の85%まで増
大しており、ケイ素、酸素及びジルコニウムの割合は漸
減していることが観察された。この無機長繊維の引張強
度は310kg/mm2であり、弾性率(ストランド法
による測定)は18t/mm2であった。
【0012】比較例1 焼成炉において温度勾配を設けることなく、実施例1に
おける不融化繊維を1300℃で焼成して、径12μm
の無機繊維を得た。この無機繊維の表面から繊維軸方向
への組成分析結果を図2に示す。図2からわかるよう
に、この無機繊維は全体に均一な組成を有しており、構
成元素の割合はケイ素50%、炭素30%、酸素18%
及びチタン2%であった。この無機繊維の引張強度は3
30kg/mm2であり、弾性率(ストランド法による
測定)は18t/mm2であった。
おける不融化繊維を1300℃で焼成して、径12μm
の無機繊維を得た。この無機繊維の表面から繊維軸方向
への組成分析結果を図2に示す。図2からわかるよう
に、この無機繊維は全体に均一な組成を有しており、構
成元素の割合はケイ素50%、炭素30%、酸素18%
及びチタン2%であった。この無機繊維の引張強度は3
30kg/mm2であり、弾性率(ストランド法による
測定)は18t/mm2であった。
【0013】参考例1 炭酸カルシウム、酸化マグネシウム及び二酸化ケイ素を
重量比1:1:2で混合し、混合物を1500〜150
0℃で融解した後に、水中で急冷して得られたガラスを
3μm以下に粉砕してガラス粉末を調製した。このガラ
ス粉末の中に実施例1で得られた無機長繊維を埋没し、
黒鉛製モールドを用いて200kg/cm2の加圧下に
1300℃で1時間ホットプレスして、繊維含有率20
体積%の繊維強化ガラス複合材料を得た。このガラス複
合材料の曲げ強度は80kg/mm2であった。また、
このガラス複合材料は、複合材料を1000℃に保持し
た炉内に入れ30分間急熱した後に取り出して30分間
強制空冷するヒートサイクルを5回繰り返した後におい
ても、72kg/mm2の曲げ強度を保持していた(曲
げ強度保持率:90%)。 参考比較例1 無機繊維として比較例1で得られた無機繊維を使用した
以外は参考例1を繰り返した。得られたガラス複合材料
の曲げ強度は55kg/mm2であった。
重量比1:1:2で混合し、混合物を1500〜150
0℃で融解した後に、水中で急冷して得られたガラスを
3μm以下に粉砕してガラス粉末を調製した。このガラ
ス粉末の中に実施例1で得られた無機長繊維を埋没し、
黒鉛製モールドを用いて200kg/cm2の加圧下に
1300℃で1時間ホットプレスして、繊維含有率20
体積%の繊維強化ガラス複合材料を得た。このガラス複
合材料の曲げ強度は80kg/mm2であった。また、
このガラス複合材料は、複合材料を1000℃に保持し
た炉内に入れ30分間急熱した後に取り出して30分間
強制空冷するヒートサイクルを5回繰り返した後におい
ても、72kg/mm2の曲げ強度を保持していた(曲
げ強度保持率:90%)。 参考比較例1 無機繊維として比較例1で得られた無機繊維を使用した
以外は参考例1を繰り返した。得られたガラス複合材料
の曲げ強度は55kg/mm2であった。
【0014】
【図1】実施例1で得られた無機長繊維の組成分析結果
を示す図である。
を示す図である。
【図2】比較例1で得られた無機長繊維の組成分析結果
を示す図である。
を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】ケイ素40〜60重量%、炭素20〜40
重量%、チタン又はジルコニウム0.5〜10重量%、
及び酸素10〜30重量%からなる内層部と、ケイ素0
〜40重量%、炭素50〜100重量%、チタン又はジ
ルコニウム0〜8重量%、及び酸素0〜25重量%から
なる表層部とから構成され、炭素の割合が表面から50
0nm以下の領域内に形成される表層部において繊維表
面に向かって連続的に増大する傾斜した組成分布を有す
る無機長繊維であって、この無機長繊維が (1)ケイ素、炭素、チタン又はジルコニウム、及び酸
素からなる非晶質物質、 (2)β−SiC、MC、C、β−SiCとMCとの固
溶体、及びMC1−x、からなる群から選択される少な
くとも1種で粒径が50nm以下の結晶質微粒子と、非
晶質のSiO2及びMO2とからなる集合体、又は (3)上記(1)の非晶質物質と上記(2)集合体との
混合物 (式中、Mはチタン又はジルコニウムを示し、xは0よ
り大きく1未満の数である。)で構成されていることを
特徴とする無機長繊維。 - 【請求項2】ポリチタノカルボシラン又はポリジルコノ
カルボシランを溶融紡糸し、ついで不融化した不融化繊
維を連続焼成炉に供給し、焼成炉内の不融化繊維の進行
方向に向けて温度勾配を設け、最高焼成温度800〜2
000℃で、不活性ガス中又は真空中で焼成することを
特徴とする請求項1に記載の無機長繊維の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3179070A JP2535261B2 (ja) | 1991-04-19 | 1991-04-19 | 無機長繊維及びその製造方法 |
US07/870,638 US5240888A (en) | 1991-04-19 | 1992-04-20 | Inorganic fiber and process for the production thereof |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3179070A JP2535261B2 (ja) | 1991-04-19 | 1991-04-19 | 無機長繊維及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04370222A JPH04370222A (ja) | 1992-12-22 |
JP2535261B2 true JP2535261B2 (ja) | 1996-09-18 |
Family
ID=16059576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3179070A Expired - Lifetime JP2535261B2 (ja) | 1991-04-19 | 1991-04-19 | 無機長繊維及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2535261B2 (ja) |
-
1991
- 1991-04-19 JP JP3179070A patent/JP2535261B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04370222A (ja) | 1992-12-22 |
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