JP3367002B2 - 改質無機繊維の製造方法 - Google Patents
改質無機繊維の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面層の主成分が炭素
であり、複合材料の強化用繊維として好適に使用できる
改質無機繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、表
面層と内部層の構成元素の割合が異なり、各種マトリッ
クス、特にセラミックスマトリックスとの親和性に富む
複合材料の強化用繊維として好適な改質無機繊維の製造
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】特開平4−370222号公報には、ケ
イ素40〜60重量%、炭素20〜40重量%、チタン
またはジルコニウム0.5〜10重量%、および酸素1
0〜30重量%からなる内層部と、ケイ素0〜40重量
%、炭素50〜100重量%、チタンまたはジルコニウ
ム0〜8重量%、および酸素0〜25重量%からなる表
層部とから構成され、炭素の割合が表層から500nm
以下の領域に形成される表層部において、繊維表面に向
かって連続的に増大する傾斜した組成分布を有する無機
繊維が開示されている。またこの公報には、この無機長
繊維の製造方法として、内層部の組成を有する無機繊維
を温度勾配を設けた焼成炉内で焼成する方法が開示され
ている。この方法で得られる無機繊維は、繊維表面の組
成が炭素に富むので、セラミックスマトリックス、特に
ガラスマトリックスとの優れた結合力を有している。 【0003】1993年8月31日〜9月4日に開催さ
れたIUMRS−ICAM−93の要旨集G6−2「Ef
fect of Oxidation and hydrothermal corrosion on st
rength of SiC fibers」 には、ケイ素、炭素、チタンお
よび酸素から構成される繊維(宇部興産(株)製、Tyran
o:登録商標)を、100MPaの圧力下、500℃を
超える温度で25時間処理することにより、繊維を完全
に劣化させたときの繊維の機械的特性の変化が開示され
ている。しかしこの要旨集には、上記処理により繊維表
面に炭素を主成分とする表面層が形成されること、ある
いはその形成方法については全く記載がなく、示唆もさ
れていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素、ケイ
素、チタンおよび/またはジルコニウム、および酸素を
構成元素とする無機繊維の表面に、炭素を主成分とする
表面層を形成し、かつ無機繊維表面の酸化および水熱腐
食を抑制した改質無機繊維の新たな製造方法を提供す
る。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、(1)
ケイ素、炭素、チタンおよび/またはジルコニウム、
および酸素からなる非晶質物質、(2) β−SiC、
MC、C、β−SiCとMCとの固溶体、およびMC
1-xからなる群から選択された少なくとも一種で、粒径
が50nm以下の結晶質粒子と、非晶質のSiO2およ
びMO2とからなる集合体、または(3) 上記(1)
の非晶質物質と上記(2)の集合体との混合物(式中、
Mはチタンまたはジルコニウムを示し、xは0より大き
く1未満の数である)で構成される無機繊維を、水性媒
体中で100℃以上の温度、0.1MPa以上の圧力で
処理して、無機繊維表面に炭素を主成分とする表面層を
形成したことを特徴とする改質無機繊維の製造方法が提
供される。 【0006】本発明において、原料として使用される無
機繊維は、それ自体公知の方法、例えば特公昭60−1
405号公報、同58−5286号公報、同60−20
485号公報に記載の方法に従い、ポリチタノカルボシ
ランまたはポリジルコノカルボシランを紡糸し、紡糸繊
維を不融化し、不融化繊維を焼成することによって調製
することができる。これらの公報の記載は、本明細書の
一部として参照される。ポリチタノカルボシランまたは
ポリジルコノカルボシランは、(1)ポリカルボシラン
とポリチタノシロキサンまたはポリジルコノシロキサン
とを反応させて、ポリカルボシランのケイ素原子と上記
シロキサン重合体のケイ素原子、またはチタン原子ある
いはジルコニウム原子とを、酸素原子を介して結合させ
た重合体、および(2)ポリカルボシランとチタンまた
はジルコニウムのアルコキシドとを反応させて、ポリカ
ルボシランのケイ素原子とチタン原子またはジルコニウ
ム原子とを酸素原子を介して結合させた重合体を包含す
る。 【0007】ポリチタノカルボシランまたはポリジルコ
ノカルボシランは常法により紡糸される。紡糸繊維の不
融化は、酸化性ガス雰囲気における50〜400℃の範
囲の温度での紡糸繊維の加熱、またはγ線または電子線
の紡糸繊維への照射により、実施される。ついで、不融
化繊維は、通常800〜2000℃、好ましくは120
0〜1600℃の範囲の温度で焼成される。焼成温度が
800℃より低いと機械的強度の高い無機繊維を得るこ
とは難しい。また焼成温度が2000℃より高いと炭化
ケイ素の急激な結晶化および炭化ケイ素の蒸発が起こる
ため無機繊維の強度は大幅に低下する。 【0008】こうして得られる原料の無機繊維は、
(1) ケイ素、炭素、チタンおよび/またはジルコニ
ウム、および酸素からなる非晶質物質、(2) β−S
iC、MC、C、β−SiCとMCとの固溶体、および
MC1-xから選択された少なくとも一種で粒径が50n
m以下の結晶質粒子と、非晶質のSiO2およびMO2と
からなる集合体、または(3) 上記(1)の非晶質物
質と上記(2)の集合体との混合物(式中、Mおよびx
は上記されたものと同じ)から構成される。 【0009】原料無機繊維の形態については特別の制約
はなく、長繊維でも、長繊維を切断した短繊維でもよ
く、また平織、朱子織、綾織、三次元織のような織物、
あるいは不織布でもよい。 【0010】本発明においては、原料無機繊維を水性媒
体中で、100℃以上の温度、0.1MPa以上の圧力
で、望ましくはその臨界点(純水の場合は374.5
℃、21.84MPa)以下の条件で処理する。この処
理により、無機繊維を構成するケイ素、炭素、チタンお
よび/またはジルコニウム、および酸素の元素の中で、
炭素以外の元素がより多く水性媒体側に移行し、その結
果、繊維表面に炭素に富む表面層が形成される。表面層
の厚さは処理条件によっても異なるが、通常繊維表面か
ら0.01〜5μmの深さの領域に形成される。処理温
度および処理圧力は、処理時間との関係で選定される。
温度および圧力が高いときには、短い処理時間が選ば
れ、温度および圧力が低いときには、長い処理時間が選
ばれる。温度および圧力が水の臨界点より著しく高い場
合には、繊維の酸化あるいは水熱腐食が激しくなり、繊
維の強度は大きく劣化することとなる。温度および圧力
が低すぎるときには、無機繊維表面に炭素に富む層が形
成されない、あるいは処理時間が長くなり過ぎるという
ことになり、実用的でない。本発明は、無機繊維表面の
酸化および水熱腐食を抑制して炭素層を形成することを
特徴とする。 【0011】原料無機繊維の処理は、一般には、耐圧容
器内に収納した水性媒体に繊維を浸漬し、所定の温度お
よび圧力下に実施される。処理温度は、通常100〜3
74℃の範囲から、処理圧力は、通常1〜21.4MP
aの範囲から選択される。処理時間は、温度および圧力
によって異なるが、通常1〜72時間である。本発明の
製造方法により得られる改質無機繊維は、内層部と表層
部とからなり、内層部の構成元素は通常、ケイ素40〜
60重量%、炭素20〜40重量%、チタンまたはジル
コニウム0.5〜10重量%、および酸素10〜30重
量%からなり、表層部の構成元素は通常、ケイ素0〜4
0重量%、炭素50〜100重量%、チタンまたはジル
コニウム0〜8重量%、および酸素0〜25重量%から
なる。 【0012】 【実施例】以下、実施例に基づいてより詳細に説明す
る。以下の各例において、部および%は、特に断りの無
い限りそれぞれ重量部および重量%を意味する。 【0013】実施例1 ジメチルジクロロシランを金属ナトリウムで脱塩素縮合
して合成されたポリメチルシラン100部に対してポリ
ボロシロキサン3部を添加し、窒素中、350℃で熱縮
合して(Si−CH2)単位で示されるカルボシラン単
位から主としてなる主鎖骨格を有し、このカルボシラン
単位のケイ素原子に水素原子およびメチル基を有するポ
リカルボシランを調製した。このポリカルボシラン10
0部にチタンテトラブトキシド20部を添加し、窒素
中、340℃で架橋反応させることによって、カルボシ
ラン単位100部と式(Ti−O)で示されるチタノキ
サン単位10部とからなるポリチタノカルボシランを得
た。このポリチタノカルボシランを溶融紡糸し、ついで
空気中、190℃に加熱して径15μmの不融化繊維を
得た。 【0014】不融化繊維を1300℃に保持した焼成炉
中で焼成して無機繊維を得た。無機繊維の構成元素の割
合は、ケイ素51%、炭素29%、チタン2%および酸
素18%であり、各構成元素は、繊維表面から繊維軸方
向に向かって均一な組成分布を有していた。無機繊維の
引張強度は350kg/mm2、弾性率は16t/mm2
であった。なお、弾性率はストランド法により測定し
た。 【0015】この無機繊維を、直径50mm、長さ10
0mmのステンレス製パイプに挿入し、300mlのオ
ートクレーブ中に100mlの蒸留水と共に入れ、1.
54MPa、200℃で25時間処理して改質無機繊維
を得た。改質無機繊維は上記無機繊維と同一組成の内部
層と、繊維表面から約20nmの深さまでの表面層とか
らなっていた。内部層の構成元素の割合は、上記原料無
機繊維のそれと同一であった。表面層の構成元素の割合
は、炭素92%、ケイ素6%、残部が酸素およびチタン
であった。改質無機繊維の引張強度は350kg/mm
2、弾性率は14.5t/mm2であった。 【0016】実施例2 処理圧力および処理温度をそれぞれ8.5MPaおよび
300℃に変えた以外は実施例1を繰り返した。改質無
機繊維の引張強度は350Kg/mm2、弾性率は13
t/mm2であった。 【0017】 【発明の効果】本発明によれば、無機繊維表面の酸化お
よび水熱腐食を抑制しながら、表面層の主成分が炭素で
ある改質無機繊維の製造方法が提供される。本発明の製
造方法により得られた改質無機繊維は、繊維表面の組成
が炭素に富むため、各種マトリックス、特にセラミック
スマトリックスとの親和性に優れた、複合材料の強化用
繊維として好適である。
であり、複合材料の強化用繊維として好適に使用できる
改質無機繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、表
面層と内部層の構成元素の割合が異なり、各種マトリッ
クス、特にセラミックスマトリックスとの親和性に富む
複合材料の強化用繊維として好適な改質無機繊維の製造
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】特開平4−370222号公報には、ケ
イ素40〜60重量%、炭素20〜40重量%、チタン
またはジルコニウム0.5〜10重量%、および酸素1
0〜30重量%からなる内層部と、ケイ素0〜40重量
%、炭素50〜100重量%、チタンまたはジルコニウ
ム0〜8重量%、および酸素0〜25重量%からなる表
層部とから構成され、炭素の割合が表層から500nm
以下の領域に形成される表層部において、繊維表面に向
かって連続的に増大する傾斜した組成分布を有する無機
繊維が開示されている。またこの公報には、この無機長
繊維の製造方法として、内層部の組成を有する無機繊維
を温度勾配を設けた焼成炉内で焼成する方法が開示され
ている。この方法で得られる無機繊維は、繊維表面の組
成が炭素に富むので、セラミックスマトリックス、特に
ガラスマトリックスとの優れた結合力を有している。 【0003】1993年8月31日〜9月4日に開催さ
れたIUMRS−ICAM−93の要旨集G6−2「Ef
fect of Oxidation and hydrothermal corrosion on st
rength of SiC fibers」 には、ケイ素、炭素、チタンお
よび酸素から構成される繊維(宇部興産(株)製、Tyran
o:登録商標)を、100MPaの圧力下、500℃を
超える温度で25時間処理することにより、繊維を完全
に劣化させたときの繊維の機械的特性の変化が開示され
ている。しかしこの要旨集には、上記処理により繊維表
面に炭素を主成分とする表面層が形成されること、ある
いはその形成方法については全く記載がなく、示唆もさ
れていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素、ケイ
素、チタンおよび/またはジルコニウム、および酸素を
構成元素とする無機繊維の表面に、炭素を主成分とする
表面層を形成し、かつ無機繊維表面の酸化および水熱腐
食を抑制した改質無機繊維の新たな製造方法を提供す
る。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、(1)
ケイ素、炭素、チタンおよび/またはジルコニウム、
および酸素からなる非晶質物質、(2) β−SiC、
MC、C、β−SiCとMCとの固溶体、およびMC
1-xからなる群から選択された少なくとも一種で、粒径
が50nm以下の結晶質粒子と、非晶質のSiO2およ
びMO2とからなる集合体、または(3) 上記(1)
の非晶質物質と上記(2)の集合体との混合物(式中、
Mはチタンまたはジルコニウムを示し、xは0より大き
く1未満の数である)で構成される無機繊維を、水性媒
体中で100℃以上の温度、0.1MPa以上の圧力で
処理して、無機繊維表面に炭素を主成分とする表面層を
形成したことを特徴とする改質無機繊維の製造方法が提
供される。 【0006】本発明において、原料として使用される無
機繊維は、それ自体公知の方法、例えば特公昭60−1
405号公報、同58−5286号公報、同60−20
485号公報に記載の方法に従い、ポリチタノカルボシ
ランまたはポリジルコノカルボシランを紡糸し、紡糸繊
維を不融化し、不融化繊維を焼成することによって調製
することができる。これらの公報の記載は、本明細書の
一部として参照される。ポリチタノカルボシランまたは
ポリジルコノカルボシランは、(1)ポリカルボシラン
とポリチタノシロキサンまたはポリジルコノシロキサン
とを反応させて、ポリカルボシランのケイ素原子と上記
シロキサン重合体のケイ素原子、またはチタン原子ある
いはジルコニウム原子とを、酸素原子を介して結合させ
た重合体、および(2)ポリカルボシランとチタンまた
はジルコニウムのアルコキシドとを反応させて、ポリカ
ルボシランのケイ素原子とチタン原子またはジルコニウ
ム原子とを酸素原子を介して結合させた重合体を包含す
る。 【0007】ポリチタノカルボシランまたはポリジルコ
ノカルボシランは常法により紡糸される。紡糸繊維の不
融化は、酸化性ガス雰囲気における50〜400℃の範
囲の温度での紡糸繊維の加熱、またはγ線または電子線
の紡糸繊維への照射により、実施される。ついで、不融
化繊維は、通常800〜2000℃、好ましくは120
0〜1600℃の範囲の温度で焼成される。焼成温度が
800℃より低いと機械的強度の高い無機繊維を得るこ
とは難しい。また焼成温度が2000℃より高いと炭化
ケイ素の急激な結晶化および炭化ケイ素の蒸発が起こる
ため無機繊維の強度は大幅に低下する。 【0008】こうして得られる原料の無機繊維は、
(1) ケイ素、炭素、チタンおよび/またはジルコニ
ウム、および酸素からなる非晶質物質、(2) β−S
iC、MC、C、β−SiCとMCとの固溶体、および
MC1-xから選択された少なくとも一種で粒径が50n
m以下の結晶質粒子と、非晶質のSiO2およびMO2と
からなる集合体、または(3) 上記(1)の非晶質物
質と上記(2)の集合体との混合物(式中、Mおよびx
は上記されたものと同じ)から構成される。 【0009】原料無機繊維の形態については特別の制約
はなく、長繊維でも、長繊維を切断した短繊維でもよ
く、また平織、朱子織、綾織、三次元織のような織物、
あるいは不織布でもよい。 【0010】本発明においては、原料無機繊維を水性媒
体中で、100℃以上の温度、0.1MPa以上の圧力
で、望ましくはその臨界点(純水の場合は374.5
℃、21.84MPa)以下の条件で処理する。この処
理により、無機繊維を構成するケイ素、炭素、チタンお
よび/またはジルコニウム、および酸素の元素の中で、
炭素以外の元素がより多く水性媒体側に移行し、その結
果、繊維表面に炭素に富む表面層が形成される。表面層
の厚さは処理条件によっても異なるが、通常繊維表面か
ら0.01〜5μmの深さの領域に形成される。処理温
度および処理圧力は、処理時間との関係で選定される。
温度および圧力が高いときには、短い処理時間が選ば
れ、温度および圧力が低いときには、長い処理時間が選
ばれる。温度および圧力が水の臨界点より著しく高い場
合には、繊維の酸化あるいは水熱腐食が激しくなり、繊
維の強度は大きく劣化することとなる。温度および圧力
が低すぎるときには、無機繊維表面に炭素に富む層が形
成されない、あるいは処理時間が長くなり過ぎるという
ことになり、実用的でない。本発明は、無機繊維表面の
酸化および水熱腐食を抑制して炭素層を形成することを
特徴とする。 【0011】原料無機繊維の処理は、一般には、耐圧容
器内に収納した水性媒体に繊維を浸漬し、所定の温度お
よび圧力下に実施される。処理温度は、通常100〜3
74℃の範囲から、処理圧力は、通常1〜21.4MP
aの範囲から選択される。処理時間は、温度および圧力
によって異なるが、通常1〜72時間である。本発明の
製造方法により得られる改質無機繊維は、内層部と表層
部とからなり、内層部の構成元素は通常、ケイ素40〜
60重量%、炭素20〜40重量%、チタンまたはジル
コニウム0.5〜10重量%、および酸素10〜30重
量%からなり、表層部の構成元素は通常、ケイ素0〜4
0重量%、炭素50〜100重量%、チタンまたはジル
コニウム0〜8重量%、および酸素0〜25重量%から
なる。 【0012】 【実施例】以下、実施例に基づいてより詳細に説明す
る。以下の各例において、部および%は、特に断りの無
い限りそれぞれ重量部および重量%を意味する。 【0013】実施例1 ジメチルジクロロシランを金属ナトリウムで脱塩素縮合
して合成されたポリメチルシラン100部に対してポリ
ボロシロキサン3部を添加し、窒素中、350℃で熱縮
合して(Si−CH2)単位で示されるカルボシラン単
位から主としてなる主鎖骨格を有し、このカルボシラン
単位のケイ素原子に水素原子およびメチル基を有するポ
リカルボシランを調製した。このポリカルボシラン10
0部にチタンテトラブトキシド20部を添加し、窒素
中、340℃で架橋反応させることによって、カルボシ
ラン単位100部と式(Ti−O)で示されるチタノキ
サン単位10部とからなるポリチタノカルボシランを得
た。このポリチタノカルボシランを溶融紡糸し、ついで
空気中、190℃に加熱して径15μmの不融化繊維を
得た。 【0014】不融化繊維を1300℃に保持した焼成炉
中で焼成して無機繊維を得た。無機繊維の構成元素の割
合は、ケイ素51%、炭素29%、チタン2%および酸
素18%であり、各構成元素は、繊維表面から繊維軸方
向に向かって均一な組成分布を有していた。無機繊維の
引張強度は350kg/mm2、弾性率は16t/mm2
であった。なお、弾性率はストランド法により測定し
た。 【0015】この無機繊維を、直径50mm、長さ10
0mmのステンレス製パイプに挿入し、300mlのオ
ートクレーブ中に100mlの蒸留水と共に入れ、1.
54MPa、200℃で25時間処理して改質無機繊維
を得た。改質無機繊維は上記無機繊維と同一組成の内部
層と、繊維表面から約20nmの深さまでの表面層とか
らなっていた。内部層の構成元素の割合は、上記原料無
機繊維のそれと同一であった。表面層の構成元素の割合
は、炭素92%、ケイ素6%、残部が酸素およびチタン
であった。改質無機繊維の引張強度は350kg/mm
2、弾性率は14.5t/mm2であった。 【0016】実施例2 処理圧力および処理温度をそれぞれ8.5MPaおよび
300℃に変えた以外は実施例1を繰り返した。改質無
機繊維の引張強度は350Kg/mm2、弾性率は13
t/mm2であった。 【0017】 【発明の効果】本発明によれば、無機繊維表面の酸化お
よび水熱腐食を抑制しながら、表面層の主成分が炭素で
ある改質無機繊維の製造方法が提供される。本発明の製
造方法により得られた改質無機繊維は、繊維表面の組成
が炭素に富むため、各種マトリックス、特にセラミック
スマトリックスとの親和性に優れた、複合材料の強化用
繊維として好適である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (1) ケイ素、炭素、チタンおよび/
またはジルコニウム、および酸素からなる非晶質物質、
(2) β−SiC、MC、C、β−SiCとMCとの
固溶体、およびMC1-xからなる群から選択された少な
くとも一種で、粒径が50nm以下の結晶質粒子と、非
晶質のSiO2およびMO2とからなる集合体、または
(3) 上記(1)の非晶質物質と上記(2)の集合体
との混合物(式中、Mはチタンまたはジルコニウムを示
し、xは0より大きく1未満の数である) で構成される無機繊維を、水性媒体中で100℃以上の
温度、0.1MPa以上の圧力で処理して、無機繊維表
面に炭素を主成分とする表面層を形成したことを特徴と
する改質無機繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34075493A JP3367002B2 (ja) | 1993-12-09 | 1993-12-09 | 改質無機繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34075493A JP3367002B2 (ja) | 1993-12-09 | 1993-12-09 | 改質無機繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07157923A JPH07157923A (ja) | 1995-06-20 |
JP3367002B2 true JP3367002B2 (ja) | 2003-01-14 |
Family
ID=18339991
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34075493A Expired - Fee Related JP3367002B2 (ja) | 1993-12-09 | 1993-12-09 | 改質無機繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3367002B2 (ja) |
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1993
- 1993-12-09 JP JP34075493A patent/JP3367002B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07157923A (ja) | 1995-06-20 |
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