JP2534240Y2

JP2534240Y2 - ブラジャーカップ用基材

Info

Publication number: JP2534240Y2
Application number: JP1993063962U
Authority: JP
Inventors: 孝彦元木; 正彦三宅
Original assignee: 金井宏之
Priority date: 1993-11-30
Filing date: 1993-11-30
Publication date: 1997-04-30
Anticipated expiration: 2007-04-30
Also published as: JPH0733988U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、三層構造のブラジャ
ーカップ用基材に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ブラジャーカップ用基材として
用いられる嵩高不織布製の中入綿としては、嵩高ウェブ
に、アクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂結合剤をス
プレーしたものが用いられている。そして、この種製品
の重要な品質である耐洗濯性（洗濯を繰り返しても綿の
へたりや脱落がないということ）や縫製作業性を向上す
るために、結合剤の散布量を増加したものや低融点繊維
を混綿したウェブを用いたものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記従来技
術の結合剤の散布量を増加したものや低融点繊維を混綿
したものは、特に、肌に直接触れるブラジャーカップ用
基材としては、不適なものであった。すなわち、前者
は、結合剤がウェブ表面に多く存在するため、嵩高ウェ
ブ内部の結合が外部に較べて弱く、強度に劣り、繰り返
しの洗濯によって綿のへたりや脱落が生じるばかりか、
結合剤の硬化によってウェブ表面の触感が損なわれてゴ
ワゴワし、触感の悪いものになるという問題がある。ま
た、後者は、耐洗濯性や縫製作業性は向上するものの、
熱融着された低融点繊維によって風合が硬くなって、触
感が損なわれるばかりか、低融点繊維が熱処理工程時に
コンベア表面に付着するという問題がある。

【０００４】本考案は、従来技術の有する上記問題を
解決するためになしたもので、十分な強度を有して耐洗
濯性や縫製作業性に優れ、ゴワゴワ感を解消して触感が
良好で、嵩高性と圧縮回復性を向上した三層構造のブラ
ジャカップ用基材を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本考案は、ポリエステル繊維で以て三層構造にし
て寸法安定性と嵩高性と圧縮回復性とを付与し、内層に
所定量の低融点ポリエステル繊維を用いて上下層との熱
融着性を向上すると共に、内層を腰のある中芯構造に
し、時に上下層にナイロン繊維を混綿してソフト性をよ
り一層付与するようにしたものである。すなわち、本考
案に係るブラジャーカップ用基材は、上下の外層ウェブ
を内層ウェブの低融点繊維で以て融着した三層構造の不
織布製基材であって、外層ウェブを通常ポリエステル繊
維単独又は通常のポリエステル繊維とナイロン繊維との
混合繊維から選択した繊維で構成し、かつ外層ウェブの
構成繊維間を結合剤で固着すると共に、内層ウェブの少
なくとも５０重量％以上の繊維を低融点ポリエステル繊
維で構成して成る。

【０００６】ところで、内層ウェブ中の低融点ポリエ
ステル繊維の含有量が５０重量％未満のときは、内外層
ウェブ間の接着力が不足するばかりか、腰が弱くなるの
で好ましくない。

【０００７】

【作用】本考案によるときは、内層ウェブの低融点ポ
リエステル繊維が外層ウェブとの接触面及び内層ウェブ
の構成繊維間を融着していわゆる中芯となって、腰の機
能を発揮する。また、散布量を増加することなく結合剤
で以て結合された、外層ウェブの構成繊維であるポリエ
ステル繊維又はポリエステル繊維とナイロン繊維がソフ
トで良好な触感と嵩高性と圧縮回復性の機能を発揮す
る。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図１にそって説明
する。

【０００９】通常のポリエステル繊維（２ｄ×５１ｍ
ｍ）７０％と通常のナイロン繊維（３ｄ×５１ｍｍ）３
０％とからなる混合繊維３をカード、クロスラッパー機
にて上下層となる外層ウェブ１とした。次に、融点１２
０℃のポリエステル繊維（ユニチカ（株）製，メルティ
４０８０，２ｄ×５１ｍｍ，以下「低融点ポリエステル
繊維」という）９０％と通常のポリエステル繊維（２ｄ
×５１ｍｍ）１０％とからなる混合繊維４を、カード、
クロスラッパー機にて内層ウェブ２とし、外層ウェブ１
と積層して三層ウェブを形成した（図１参照）。なお、
外層ウェブ１の目付は２０ｇ／ｍ²であり、内層ウェブ
２の目付は１０ｇ／ｍ²であった。次に、この三層ウェ
ブの両面に、アクリル酸エステル結合剤５（乾燥固形分
付着量８ｇ／ｍ²）をスプレーして外層ウェブ１の構成
繊維間を結合・固定すると共に、１５０℃×３分間、乾
燥、キュアリングを施して内層ウェブ２中の低融点ポリ
エステル繊維を溶融させて、厚み１０ｍｍのブラジャー
カップ用基材を構成した。このブラジャーカップ用基材
は、外層ウェブ１が内層ウェブ２との熱融着面７におい
て、内層ウェブ中の低融点ポリエステル繊維の熱溶融に
よって固着され、内層ウェブ２中の構成繊維も低融点ポ
リエステル繊維で以て固定されて、内層ウェブが適度な
腰のある中芯に、外層ウェブ１がソフトで良好な風合を
有し、圧縮回復性を有する層に形成されていた。

【００１０】次に、比較例について説明する。

【００１１】（比較例１）実施例で使用した混合繊維３をカード、クロスラッパー
機にて目付５０g/m²のウエブとし、実施例と同様の条件
でアクリル酸エステル結合剤をスプレーし、１５０℃、
３分間、乾燥、キュアリングを施し、厚み１２mmの比較
例１の中入綿とした。

【００１２】（比較例２）比較例１と同様のウエブを用い、このウエブの両面にア
クリル酸エステル結合剤に乾燥固形分付着量が１２g/m²
となるようにスプレーし、実施例と同様の条件で乾燥、
キュアリングを施し、厚み１２mmの比較例２の中入綿と
した。

【００１３】（比較例３）融点１２０℃のポリエステル繊維（２ｄ×５１mm）２０
％、通常のポリエステル繊維５６％、および通常のナイ
ロン２４％からなる混合繊維をカード、クロスラッパー
機にて目付５０g/m²のウエブとし、実施例と同様に結合
剤をスプレーし、乾燥、キュアリングを施し、厚み１０
mmの比較例３の中入綿とした。

【００１４】（比較例４）内層ウェブの繊維配合を、低融点ポリエステル繊維４０
％と通常のポリエステル繊維６０％とした以外は、すべ
て実施例と同様の方法により、厚み１２mmの比較例４の
中入綿とした。

【００１５】次に、実施例および比較例１〜４で得た各
中入綿について、引っぱり強力、耐洗濯性、繊維脱落
率、および寸法変化率について測定した。その結果を以
下表１に示す。なお、下記測定値はｎ＝３の平均値であ
る。

【００１６】

【表１】

【００１７】ところで、上記実施例は外層を通常のポ
リエステル繊維とナイロン繊維との混合繊維で構成した
が、通常のポリエステル繊維のみで構成することもあ
る。

【００１８】

【考案の効果】本考案は、内層ウェブ中の溶融した低
融点ポリエステル繊維が外層ウェブとの接触面及び内層
ウェブの構成繊維間を融着して、内層ウェブがいわゆる
中芯となって、腰の機能を発揮し、寸法安定性を向上す
ることができる。また、ポリエステル繊維で三層構造に
し、かつ外層ウェブの構成繊維であるポリエステル繊維
又はポリエステル繊維とナイロン繊維が散布量を増加す
ることなく結合剤で以て結合されているため、外層ウェ
ブが構成繊維本来の機能である、ソフトで良好な触感、
嵩高性、圧縮回復性の機能を十分に発揮することができ
る。さらに、内外層ウェブの構成繊維間が確実に固定さ
れているため、十分な強度を有し、縫製作業性に優れ、
耐洗濯性を向上することができるなどの実用的効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である多層構造中入綿の概略
構成図である。

【符号の説明】

１外層ウエブ２内層ウエブ６中入綿７熱融着面

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】上下の外層ウェブを内層ウェブの低融点
繊維で以て融着した三層構造の不織布製基材であって、
外層ウェブを通常のポリエステル繊維単独又は通常のポ
リエステル繊維とナイロン繊維との混合繊維から選択し
た繊維で構成し、かつ外層ウェブの構成繊維間を結合剤
で固着すると共に、内層ウェブの少なくとも５０重量％
以上の繊維を低融点ポリエステル繊維で構成したことを
特徴とするブラジャーカップ用基材。