JP2532800Z - - Google Patents
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Description
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は移植機、詳しくは、走行機体に、移植爪をもつ移
植部と、複数の苗を収容した苗トレイを縦搬送並びに横送りする搬送部及び該搬
送部における苗取出位置で、前記苗トレイから苗を取出して前記移植爪に苗を送
り込む苗取部から成る移植装置を備えた移植機に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種移植機としては、例えば特開昭63−7709号公
報に示されるごとく、機体フレームに、機体幅方向に両側に突出する苗受杆を取
付け、該苗受杆に搬送ベルトをもった苗供給台を、支持レールを介して機体幅方
向に横送り可能に支持し、前記苗受杆の左右中央部に設ける苗取出口から苗供給
台の苗を移植爪で取出して移植するように構成している。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】ところが、前記した従来の移植機における前記
苗供給台の支持構造は、前記苗受杆の両端部を機体外方へ突出させて設けている
ため、その支持剛性が充分得られず、前記苗供給台が前記苗受杆の突出端に横送
り移動したとき、前記苗供給台が機体に対しふらつき、この結果、苗トレイを用 いる場合には、移植爪により苗トレイから苗を取出すとき、取出苗の位置がずれ
て移植爪による苗トレイからの苗の取出しが確実に行えないという問題があった
。即ち、苗トレイを用いる場合、苗トレイのポット苗収容部に個別に収容された
ポット苗を移植爪で個々に取出す故に、移植爪の苗取軌跡に対する苗トレイ側に
おける取出苗の横送り位置に高い位置決め精度が要求されるからである。 【0004】 【0005】本考案の目的は、苗トレイ搬送部の支持構造を工夫することによっ
て、搬送部の支持剛性を向上でき、走行機体に対する搬送部のふらつきを防止し
て、苗取出爪の苗取り位置に対する苗トレイにおける取出苗の横送り移動を正確
に行い、苗取りの誤動作をなくして苗取出爪による苗トレイからの苗の取出しを
確実に行うことができ、その上、搬送部と周辺障害物との衝突による破損を防止
できるようにした移植機を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するために、本考案装置は、移
植爪をもつ移植部と、複数の苗を収容する苗トレイを縦搬送し、縦搬送の終端部
で弧状の搬送路に沿って苗トレイを反転させる反転回行部を有する搬送部と、前
記反転回行部周辺の苗取出し位置で前記苗トレイから苗を取出して前記移植爪に
苗を送込む苗取出爪を有する移植装置とを走行機体に備えてなる移植機において
、前記搬送部は、所定の間隔を隔てて、左,右幅方向に配した案内部材に沿って
往復動可能に支持すると共に、一方の案内部材は前記反転回行部における苗トレ
イの搬送方向に対し前記苗の取出し位置より下流側に位置して前記反転回行部の
外周に臨ませ、且つ前記反転回行中心より苗取出位置側に偏位して配置したこと
を特徴とする。 【0007】 【作用】上記構成により、前記搬送部を支持する案内部材たる横軸は前記両支持
フレーム間に両持状に支持され、前記搬送部は横軸上を横移動する。この結果、
搬送部の横移動方向の全ストロークに亘って支持剛性を確保でき、搬送部を安定
よく横移動させ得、苗取出爪の苗取り位置に対する苗トレイにおける取出苗の横
送り移動位置決めを正確に行い得、苗取り出しの誤動作をなくして苗取出爪によ る苗トレイからの苗の取出しを確実に行うことができる。 【0008】 【0009】 【実施例】図2に示したものは、苗取出装置を装備した本考案の移植機の一例で
あり、該移植機の走行機体は、前部フレーム1aとミッションケース1bと後部
フレーム1cとをそれぞれ一体状に組付けて構成され、前部フレーム1aの上部
側にエンジン2を搭載し、また、後部フレーム1c側に後述する移植装置3を支
持すると共に、前記ミッションケース1bの車幅方向両側面に、それぞれ後下方
に向けて延びる一対の伝動ケース4,4を上下揺動可能に設けて、その遊端側に
それぞれ駆動車輪5,5を支持し、これら駆動車輪5,5を、エンジン2からミ
ッションケース1b及び伝動ケース4,4を介して伝達される回転動力で駆動し
、前記走行機体1を自走させるごとく構成している。 【0010】また、前記走行機体1の下部で前記駆動車輪5の前部側には、畝A
の上面を転動しながら前記移植装置3によるポット苗の植付株間を検出する株間
検出スイッチ(図示せず)をもった検出ローラ6を揺動アーム6aを介して上下
動可能に支持し、該検出ローラ6から出力される株間検出信号により、前記移植
装置3の各駆動部を間歇的に制御すべく成すと共に、前記検出ローラ6の上下動
により植付深さを制御するようにしている。 【0011】さらに、前記前部フレーム1aの前方下部には、畝上面に沿って走
行する鎮圧輪7を支持杆1dを介して支持すると共に、該鎮圧輪7の両側部位に
、前記畝Aの側面に沿って走行する一対のガイド輪8,8を設けている。尚、図
2において9は前記後部フレーム1cに後上方に向けて取付けた操縦ハンドルで
ある。 【0012】また、前記走行機体1の後部フレーム1c側に支持する前記移植装
置3は、大別して縦横に複数のポット苗収容部10aを配列した苗トレイ10を
縦搬送並びに横送りする搬送部20と、この搬送部20の搬送終端部で苗トレイ
10からポット苗を取出す苗取出爪31をもつ苗取部30と、該苗取部30から
苗を受取って植付動作する移植爪14をもつ移植部11とを備え、この移植部1
1は前記ミッションケース1b側に支持される共に、前記苗取部30と搬送部2 0とは前記後部フレーム1c側に支持されている。 【0013】そして、以上のごとく構成される移植機における移植装置3の搬送
部20は、図1〜図3に示したように走行機体1の幅方向に所定間隔をおいて相
対向する一対の支持杆21a,21aと、これら各支持杆21a,21aの長さ
方向両端部に設けた前方側壁21b,21b及び後方側壁21c,21cと、前
記両支持杆21a,21a上部を連結する上方連結杆21d、並びに前記連結パ
イプ21eとから成る搬送枠21を備えている。該搬送枠21における苗トレイ
10の搬送域側には、前記駆動スプロケット23と従動スプロケット25との間
にトレイ受部22を設けると共に、前記側壁のうち、前方側壁21b,21b間
に一対の相対向する駆動スプロケット23,23をもつ駆動軸24を回転自在に
支持し、かつ、後方側壁21c,21c間に一対の相対向する従動スプロケット
25,25をもつ従動軸26を回転自由に支持してある。前記各駆動スプロケッ
ト23,23と従動スプロケット25,25とには夫々駆動チェーン27,27
を掛設する一方、これら両駆動チェーン27,27の対向面間には、両駆動チェ
ーン27,27を連結し、かつ、前記苗トレイ10をその苗収容部10aに引掛
けて強制搬送する搬送部材28を所定ピッチで多数設け、前記搬送部材28によ
り苗トレイ10を強制的に1ピッチ分正確に縦送りし得るよう構成している。尚
、前記駆動スプロケット23,23間の前部外周には図3に示す如く駆動チェー
ン27,27の反転回行部に沿うように、苗トレイ10をこれに追随させるため
のトレイガイド200を設けている。 【0014】また、前記搬送部材28としては、図3に示されるように、前記両
駆動チェーン27,27の内外リンクプレートとローラとを連結する連結部を両
端部に備えた連結軸を用い、該連結軸を前記苗トレイ10の縦方向に配列される
苗収容部10a,10a間の凹部に挿入可能な軸径として、前記苗収容部10a
の側壁に引掛かるごとく成している。 【0015】しかして、前記した搬送部20の搬送枠21の後部フレーム1c側
への支持構造として、図1に示すように、前記走行機体1の後部フレーム1cに
おける搬送部20の取付位置に、前記後部フレーム1cと一連に連結した状態で
走行機体1の幅方向両外方に張出して突出する左右の支持フレーム15,15( 実施例では、後部フレームが兼用している。)を対向配設すると共に、これら両
支持フレーム15,15の対向幅間隔を前記搬送枠21の横送り移動範囲よりも
大きくする。両支持フレーム15,15間には固定板16,17を介して案内部
材たる横軸18,19を支持し、これら横軸18,19のうち、横軸18に前記
搬送枠21の連結パイプ21eを摺動可能に挿通し、また横軸19に支持杆21
a,21aの各下部に設ける筒軸29,29を摺動可能に挿通し、搬送枠21を
前記支持フレーム15,15間において機体幅方向に横移動可能に支持してある
。 【0016】また、前記搬送枠21は、後記する苗取部30の横送り軸97に設
けたスライダ98をもつ連動杆99に支持され、前記苗取出爪31の苗取出動作
に連動した前記横送り軸97の間歇回転により、該横送り軸97のトラバース溝
に係合する前記スライダ98を介して連動杆99と共に搬送枠21、つまり、苗
トレイ10は、ポット苗収容部10aの横方向1ピッチ分を横方向に間歇的に横
移動するように支持されている。 【0017】また、前記駆動スプロケット23,23をもつ駆動軸24の駆動手
段としては、図10に示されるごとく主としてモータMを用い、前記搬送枠21
が左右方向何れかの横送り終端位置に位置したとき、これを検出する一対のリミ
ットスイッチL1,L2により検出して、これらリミットスイッチの一方からの
検出信号により前記モータMを間歇的に駆動して前記苗トレイ10を縦方向に1
ピッチ分縦送りするごとく成している。 【0018】一方、前記苗取部30は、前記縦搬送装置20の搬送終端部におい
て、苗取出爪31を、前記苗トレイ10の苗側に対し往復動させて前記苗を取出
し、かつ、苗放出行程において揺動させる爪動作機構30Aを設ける一方、前記
苗トレイ10の苗取出位置下方に、前記爪動作機構30Aによる苗取出爪31の
取出動作に同調して往復動し前記苗トレイ10の取出苗を前記水抜孔10bを介
し下方から突上げるピン75をもつ苗突上機構30Bとを有していて、これら両
機構の連動動作により、前記苗取出爪31で苗トレイ10から苗を取出すと共に
、前記取出行程から放出行程において前記苗取出爪31で苗を保持し、前記縦搬
送装置20を回避した苗放出位置において前記苗を、前記苗取出爪31から放出 して下方に待機する移植部11の移植爪14に供給する如く成している。 【0019】前記爪動作機構30Aは、図5,6に示したごとく後部フレーム1
cに、支持部材32を起設すると共に、該支持部材32に、中心部に支持筒34
をもつ取付板33を固定し、該取付板33の支持筒34の外周に太陽ギヤ35を
固設する一方、前記支持筒34の貫通孔に駆動軸36を貫通させて回転自由に支
持し、該駆動軸36の一端部に駆動ホイール37を嵌合固定すると共に、他端部
にロータケース38を固定して、前記駆動軸36を介してロータケース38を前
記支持筒34に前記太陽ギヤ35の中心と同一軸心上で駆動回転自由に支持して
いる。 【0020】このロータケース38の内部には、前記太陽ギヤ35に噛合う遊星
ギヤ39を回転自由に支持すると共に、この遊星ギヤ39に噛合う伝動ギヤ40
を回転可能に支持する一方、前記ミッションケース1bのPTO軸42からチェ
ーン又はタイミングベルトなどの伝動体43を介して前記駆動ホイール37を駆
動させ、該駆動ホイール37の回転により、前記伝動ギヤ40を遊星ギヤ39を
介して自転させながら前記太陽ギヤ35の外周軌跡Kを公転させるようにしてい
る。この場合、前記太陽ギヤ35と伝動ギヤ40とのギヤ比は2:1となってい
る。 【0021】そして、前記伝動ギヤ40の支持軸40aをロータケース38の外
方に突出させ、該突出端にクランクアーム41を固定し、該クランクアーム41
の遊端にカム軸44を回転不能に突設する。このカム軸44には、その中間部に
図7に示したように両側面に幅寸法を変化させた側方カム面45aをもち、かつ
、図5に示したように外周面に半径方向の変化をもたせた外周カム面45bを備
えたカム45を回転不能に支持する。前記カム45の両側位置には、前記カム4
5を挾むごとく苗取出爪31をもつ爪支持部材46の基部を枢着する一方、前記
後フレーム1cに支持部材47を介して直線案内部48aと揺動案内部48bと
をもつガイド溝48を備えたガイド体49を設ける。前記爪支持部材46におけ
る前記クランクアーム41への枢着部に対し半径方向に離反した位置には、前記
ガイド溝48に移動可能に係合するガイドローラ50から成る係合体を設けてあ
る。これにより前記ガイドローラ50のガイド溝48に沿う移動により、前記苗 取出爪31の移動軌跡は、前記トレイ10の苗側に突入する突入位置から前記苗
を前記苗トレイ10より取出す取出位置に至る苗取出行程においては直線状とし
、また前記取出位置から前記縦搬送装置20を回避した苗放出位置に至る苗放出
行程においては揺動させ、苗取出爪31を苗放出位置に位置させるよう構成して
ある。 【0022】又、前記爪支持部材46の基部には、図7に示されるように遊端側
にボール51とボール受筒51aとを支持した一対のL字状揺動板52,52が
軸53,53を支点に揺動自由に支持されており、前記揺動板52,52は、ス
プリング54で互いに対向状に引張作用を付与されていて、前記ボール51,5
1と、前記カム45の側面に形成された側方カム面45aとの係合で、前記カム
45が回動するとき、前記揺動板52,52が左右方向へ対称状に揺動すると共
に、この揺動動作で前記揺動板52,52に各々支持された一対の苗取出爪31
,31を開閉動作する如く成して、前記爪支持部材46が苗放出位置にあるとき
、前記苗取出爪31,31を開いて苗を放出し移植部110に苗を供給する如く
成している。 【0023】しかして、前記揺動板52,52に支持する一対の苗取出爪31,
31は、細径な棒材の先端を尖鋭に形成したもので、前記苗取出爪31,31の
各々には、該爪31,31の外周面に遊嵌可能な内周面をもった鍔付押出筒55
,55を套嵌する一方、前記爪支持部材46の側方に突出部46aを設け、該突
出部46aに図5,6に示される如くカムレバー56の基端部を枢支軸57を介
して揺動自由に支持すると共に、その遊端部にはピン58を突設し、該ピン58
に中間に巻回部を有する弾線からなる連結杆59の前記巻回部を嵌め込み、かつ
、該連結杆59の両遊端部を前記苗取出爪31,31に設けた押出筒55,55
の鍔部にそれぞれ連結してある。前記カムレバー56の中間部には前記爪支持部
材46におけるカム45の外周カム面45bと当接するカムローラ60を回転自
由に支持し、かつ、該カムローラ60を、前記押出筒55と揺動板52との間に
介装した圧縮ばね61により常時前記外周カム面45bに当接させてある。前記
カムローラ60が前記カム45における外周カム面45bの長径部位に係合する
と、前記カムレバー56の遊端が持ち上げられ、該遊端に連結した連結杆59を 介して押出筒55,55を苗取出爪31,31に対し、その基部側へ退出させる
と共に、前記カムローラ60が外周カム面45bの短径部位に係合すると、前記
カムレバー56の遊端で前記連結杆59と共に押出筒55,55を苗取出爪31
,31の先端側へ押し下げ、該苗取出爪31,31の苗放出動作時に、前記押出
筒55,55の先端で苗を押圧して強制的に移植部11の移植爪14内に落下さ
せる。 【0024】さらに、前記苗突上機構30Bは、図3,4に示されるごとく前記
固定板17,17間に固定杆70を架設して、該固定杆70に取付体72の基部
を取付け、該取付体72の遊端部に貫通孔71aをもつ天板部71を設けると共
に、該天板部71を介してガイド溝73aをもつガイド体73を固定し、該ガイ
ド体73に、前記ガイド溝73aに挿通するガイド杆74と前記貫通孔71aを
貫通するピン75と係合軸76とをもつ移動体77を前記ガイド溝73aに沿っ
て摺動自由に支持する一方、前記移動体77の係合軸76に係合する長孔78a
をもつ第1アーム78と第2アーム79とを固定した軸体80を、前記取付体7
2と前記支持フレーム15に設ける支持片81との間に回転自由支持する。そし
て、前記駆動軸36に嵌合固定する駆動ホイール37の他側に、該ホイール37
と一体的に結合された連結軸82を延長させ、該連結軸82の延長端に第1カム
体83を設けると共に、該カム体83に係合して動作する第1揺動杆84を支持
フレーム11の支持板85に揺動自由に支持し、前記揺動杆84の遊端部に連結
杆86を介して前記第2アーム79の遊端部に連結し、前記第1カム体83の回
転による前記第1揺動杆84の揺動により、前記連結杆86が図3の矢印のごと
く引上げられることにより第1,第2アーム78,79を介して移動体77を上
方へ移動させ、前記ピン75を前記苗トレイ10の底面における水抜孔10bを
介し下方から突上げて苗を苗取出爪側に押出すべく構成している。また、前記苗
突上機構30Bによる前記ピン75の往復動軌跡と前記苗取出爪31の直線往復
軌跡とを同一直線範囲に位置させるのである。尚、同一直線範囲とは、図9に示
すように苗取出爪31,31間の中間部をも含むものである。 【0025】また、前記連結軸82は図6に示している如く、横送り駆動ケース
87に貫通支持され、該横送り駆動ケース87に、前記連結軸82と平行にクラ ッチ軸88を回転自由に支持する一方、前記連結軸82に、カム89を一体的に
併設したギヤホイール90を回転不能に支持している。 【0026】そして、該ギヤホイール90に、該ギヤホイール90に対し所定の
増速比をもつクラッチピニオン91を噛合させると共に、該ピニオン91を、前
記クラッチ軸88に遊転可能に支持している。 【0027】又、前記クラッチ軸88には、前記クラッチピニオン91に隣接さ
せたクラッチ胴92を、前記クラッチ軸88に対し相対回転不能に支持し、この
クラッチ胴92とクラッチピニオン91との外周面に、一端を前記クラッチ胴9
2に係止させ、他端を開放させたスプリングクラッチ93を套嵌させて、該スプ
リングクラッチ93の内周面で前記両者91,92の外周面を同時に緊縛して動
力を伝達する如く成すと共に、前記スプリングクラッチ93の前記開放端と、前
記ギヤホイール90に併設したカム89との間に、該カム89に係合して動作す
る触子94を設け、該触子94の先端を前記スプリングクラッチ93の解放端に
係合させることにより、該スプリングクラッチ93の緊縛状態を弛緩させて前記
クラッチピニオン91を前記クラッチ軸88に対して遊転させ動力の伝達を間歇
的に遮断する如く成している。そして、前記クラッチ軸88の他端を、前記横送
り駆動ケース87の外側方へ突出させると共に、この突出端に中間ギヤ95を相
対回転不能に支持し、該中間ギヤ95と噛合する従動ギヤ96を、前記横送り駆
動ケース87に回転自由に支持されたトラバース溝(図示せず)をもつ横送り軸
97の一端に、該軸97に対して相対回転不能に固定している。そして、図1,
2に示すように、前記横送り軸97のトラバース溝に係合するスライダ98を介
して横方向に移動する連結杆99により、該連結杆99に支持された縦搬送装置
20が、該搬送装置20にセットされた苗トレイ10の横方向1ピッチ分を、前
記苗取出爪31の苗取出動作に連動して間歇的に横送りする如く成している。 【0028】また、図に示す実施例では、前記駆動スプロケット23,23の前
記モータMによる回転を強制的に停止する停止手段100を設けている。 【0029】この停止手段100としては、図1及び図10に示すように、各駆
動スプロケット23,23の同心円上位置に、苗トレイ10の1ピッチ間隔に合
わせて等角度に等分した箇所に係合孔23aをそれぞれ設ける一方、支持フレー ム1cに、前記各駆動スプロケット23,23に対する側方位置で前記係合孔2
3a,23aに出退自在としたロックピン101,101をもつロック装置10
2を設けて、前記モータMによる前記各駆動スプロケット23,23の駆動回転
途中で前記ロックピン101を前記係合孔23aに突入させることにより、前記
苗トレイ10を縦方向に1ピッチ分縦送りした位置で前記各駆動スプロケット2
3,23の回転を強制的に停止するように構成している。 【0030】この場合、前記ロック装置102は前記苗突上機構30Bの場合と
同様に前記連結軸82に、第2カム体103と第2揺動杆104、連結杆105
とから成る連動機構を介して連動連結され、前記ロックピン101を苗取終了動
作に連動してロック解除位置からロック位置へと移動させ、また苗取動作開始動
作に連動してロック位置からロック解除位置に移動させる。また前記ロックピン
101がロック解除状態でオン動作する検出スイッチS、並びに前記搬送枠31
が左右方向何れかの横送り終端位置に達したときオン動作してこれを検出するリ
ミットスイッチL1,L2を併設し、前記検出スイッチSと前記リミットスイッ
チL1又はL2の何れか一方がオンしたときのみ前記モータMが駆動するように
してある。モータMが駆動すると前記駆動軸34を介し駆動スプロケット23,
23を回転し、苗トレイ10を縦方向に送り、かつ前記駆動スプロケット23,
23の回転により苗トレイ10がほゞ1ピッチ分縦送りされたタイミングで、前
記ロックピッチ101をロック解除位置から前記駆動スプロケット23の係合孔
23aに突入させて前記検出スイッチSをオフし、前記モータMを停止すると同
時に、前記駆動スプロケット23の回転を強制的に停止するように構成している
。 【0031】斯く構成することにより、前記モータMの停止に対する駆動スプロ
ケット23,23の惰性回転をなくして、その惰性回転に伴う苗トレイ10の停
止位置のずれを防止でき、これによって、苗トレイ10の苗収容部10aを苗取
出爪31の取出位置に対応した適正位置に強制的に位置させることができるので
ある。 【0032】尚、複数の苗トレイ10を選択して使用する場合でも前記停止手段
100を適用できるようにするには、図10に示すように前記各駆動スプロケッ ト23,23の前記係合孔23aの同心円とは径の異なる同心円上位置に、別の
苗トレイ10の1ピッチ間隔に合わせて等角度に等分した箇所に係合孔23bを
それぞれ設ける一方、前記ロック装置102にロックピン101が係合孔23a
又は23bのいずかに選択的に突入できるようにロックピン101の突入位置変
更手段(図示せず)を設ければよい。 【0033】また、前記移植部11は、図2に示されるように前記ミッションケ
ース1bの後部側に取付られる植付伝動ケース12と、該植付伝動ケース12に
その内部機構に連動する植付アーム13を介して上下方向に植付動作可能に支持
した開閉可能な移植爪14とから成り、前記植付アーム12の移動により移植爪
14を前記苗取出爪31から放出されるポット苗の受取位置と畝Aへの移植位置
との範囲にわたって所定の上下動軌跡で植付動作させ、前記苗取出爪31がポッ
ト苗を放出するときには、前記移植爪14を閉鎖した状態の上昇位置、つまり受
取位置でポット苗を受取り、このポット苗の受取後に前記移植爪14を前記畝A
側に下動させて、この下動位置で前記移植爪14を開放させて、内部に保持した
ポット苗を畝Aに移植するようにしている。 【0034】また、図に示す実施例では、図2及び図11に示したように、前記
搬送部20の前方で、ボンネットの両側上方に予備苗トレイの支持用台枠110
,110を、屋根形に配置している。 【0035】斯く構成することにより、前方視界をさまたげたり、苗の水滴が燃
料タンクに落ちたりすることがなく、ボンネットと搬送部20との間で、かつ走
行機体1の幅方向中央部に位置する変速レバーが邪魔になったりすることなく、
運転位置からの予備苗トレイの取出しを容易に行うことができると共に、前記予
備苗トレイを左右に1対配置できることは勿論、2対づつ配置することもでき、
しかも全体としてコンパクトにまとめて配設できる。その上、前記各支持用台枠
110,110をボンネット側に対し折畳式として展開することも比較的容易に
できる。次に本考案に係る移植機の作用について説明する。 【0036】前記移植装置3における苗取部30は、伝動体43を掛設した駆動
ホイール37が駆動軸36と共に駆動し、該駆動軸36の駆動によりロータケー
ス38が前記駆動軸36と一体的に回転する。 【0037】これにより、図5及び図6に示している如く、前記ロータケース3
8に回転自由に支持されている遊星ギヤ39が、太陽ギヤ35と噛合して自転し
ながら公転する。 【0038】そして、前記遊星ギヤ35と噛合する伝動ギヤ40が前記遊星ギヤ
39に連動して自転しながら前記太陽ギヤ35と噛合することなく、該太陽ギヤ
35の外周軌跡Kを公転する。この伝動ギヤ40の自転に伴い、該伝動ギヤ40
の支持軸40aに固定されたクランクアーム41が、図8に示す如く前記伝動ギ
ヤ40と一体的に回転しながら前記太陽ギヤ35の外周軌跡Kを公転するのであ
り、このとき、前記爪支持部材46に設けたガイドローラ50が、ガイド体49
のカム溝48と係合して、前記クランクアーム41が図8に示したイ位置からホ
位置へ移動するのであり、この移動に従い、前記爪支持部材46が前記カム溝4
8の直線案内部48aに沿って直線状に往動するのである。そして前記クランク
アーム41が図中ホの位置に至ったとき、爪支持部材46に設けたガイドローラ
50が、前記カム溝48の屈曲部を経て揺動案内溝48bの端部Zに至るのであ
り、このとき、前記カム軸44に支持された爪支持部材46が、苗放出位置方向
へ揺動するのである。また、以上の状態から前記ガイドローラ50が前記カム溝
48を復動する場合、前記クランクアーム41は前記往動軌跡と全く対称軌跡を
描いて元の位置イに復帰して次の往復動動作を開始するのであって、前記伝動ギ
ヤ40が、前記太陽ギヤ35の外周軌跡Kを1回公転する間に、爪支持部材46
が前記カム溝48を1往復動することになる。 【0039】しかして、前記爪支持部材46の進出位置で、苗取出爪31が苗ト
レイ10内の取出苗に対し直線状に突入され、この苗取出爪31の突入動作に同
調して、前記苗突上機構30Bにより、ピン75が前記苗トレイ10の底面にお
ける水抜孔10bを通じて下方から突上げ、苗を苗取出爪31側に押出す。つま
り、前記苗取出爪31の突入動作に同調して、前記第1揺動杆84が第1カム体
83を介して図3に示す矢印方向に揺動し、この揺動により、前記連結杆86が
図3の矢印のごとく引上げられ、第1,第2アーム78,79を介して移動体7
7を上方へ移動させ、前記ピン75を前記苗トレイ10の底面における水抜孔1
0bを介し下方から突上げて苗を苗取出爪31側に押出す。 この結果、苗に対する苗取出爪31の突入が確実に行われると同時に、取出苗は
苗トレイ10から強制的に押出され、前記苗取出爪31による苗の取出しが確実
に行える。また前記苗取出爪31は前記直線案内機構により、苗トレイ10の苗
側に突入する突入位置から前記苗を前記苗トレイ10から取出す苗取出行程にお
いて直線状に往復動する。一方、前記苗突上機構30Bによる前記ピン75の往
復動も、前記苗取出爪31の直線往復軌跡と同一直線上に位置して直線状に行な
われるので、前記ピン75による取出苗を苗取出爪31側へ突上げる際に、苗取
出爪31に対する苗の姿勢が乱れたりすることなく突上げることが出来ると共に
、苗取出爪31が苗トレイ10から後退する際においても苗土を変形させること
がない。これにより、苗取出爪31による苗の取出しがスムーズで、かつ、取出
苗の姿勢を安定させて確実に取出すことができる。 【0040】又、前記爪支持部材46に軸53,53を介して揺動可能に支持さ
れた一対の揺動板52,52は、該揺動板52,52のボール51,51と、前
記カム軸44に固定されたカム45の側方カム面45aとの係合状態の変化に応
じスプリング54の付勢力に抗して対向状に揺動するのであり、前記苗トレイへ
の突入時には揺動板52,52に支持した苗取出爪31,31間を開いた状態で
苗土に突入し、苗トレイ10からの退出時には苗取出爪31,31間を閉じ苗土
を挾んで退出する一方、前記苗放出位置に位置したときには、苗取出爪31,3
1を開いて放出動作して苗を放出するのである。 【0041】更に、前記苗放出時には、前記爪支持部材46の突出部46aに支
持したカムレバー56が、該レバー56のカムローラ60と、カム45の外周カ
ム面45bにおける短径部外周面との係合で、前記揺動板52と押出筒55との
間に介装した圧縮ばね61により下方へ揺動し、前記連結杆59を介し苗取出爪
31,31に套嵌した押出筒55,55を前記苗取出爪31,31の先端側へ押
し下げ、この苗取出爪31,31に保持する苗の放出動作を強制的に助長し、前
記苗の落下を良好にする。 【0042】又、前記苗放出後は、前記カムローラ60が前記カム45の回動に
伴い、該カム45の長径部外周面と係合して前記カムレバー56を持ち上げ、前
記押出筒55,55を苗取出爪31,31の基部側へ退去させるので、苗の取出 行程において支障を生ずることはないのである。 【0043】一方、一回の苗取出しが終了した後には、前記クラッチ軸88に回
転自由に支持したクラッチピニオン91と、クラッチ胴92とをスプリングクラ
ッチ93で緊縛し、前記クラッチピニオン91,クラッチ胴92を連動させる。 【0044】即ち、前記カム体89との係合で動作する触子94の先端が、前記
スプリングクラッチ93の解放端に係合するとき、該スプリングクラッチ93の
緊縛を弛緩させて前記クラッチピニオン91,クラッチ胴92の連動を遮断し、
中間ギヤ95及び従動ギヤ96を介し、横送り軸97を、前記駆動ホイール37
の回転、即ち、苗取出部30の動作に対して間歇的に連動回転させる。 【0045】そして、前記横送り軸97のトラバース溝に係合するスライダ98
を介して横方向に移動する連結杆99と一体的に前記縦搬送装置20が、該縦搬
送装置20にセットされた前記苗トレイ10の横方向1ピッチ分を、前記苗取出
部30の動作に連動し、間歇的に移動させるのである。 【0046】しかして、以上の構成において、走行機体1を構成する剛性部材か
ら成る支持フレーム15,15を前記走行機体1の幅方向外方に張り出させ、左
右に対向させて配置すると共に、これら両支持フレーム15,15の対向幅間隔
を前記搬送部20の横送り移動範囲よりも大きくし、これら両支持フレー15,
15間に横軸18,19を両持状に支持し、該横軸18,19に前記搬送部20
を機体幅方向に横送り可能に支持したから、前記搬送部20の横送り移動範囲の
全ストロークに亘って支持剛性を確保でき、機体に対し搬送部20がふらつくこ
とがなくなり、苗取出爪31の苗取り位置と、苗トレイ10の取出苗の横送り位
置とを正確に対応させることができる。この結果、苗取りの誤動作をなくして苗
取出爪31による苗トレイ10からの苗の取出しが確実に行える。 【0047】その上、前記搬送部20は機体幅方向最外側に横移動しても、搬送
部20は支持フレーム15,15からはみ出すことがないので、外物との当接に
よる破損を防止できるのである。 【0048】また、前記した実施例によれば、前記支持フレーム15,15によ
り前記搬送部20の横送り移動範囲の全ストロークに亙る支持剛性を確保できこ
とは勿論、前記支持フレーム15,15を利用して、前記苗突上機構30Bや停 止手段100などの構成部材を効率良く組付可能に配置できるのである。 【0049】 【考案の効果】以上の如く本考案装置にあっては、案内部材は搬送路の反転回行
部における苗トレイの移動方向であって、苗トレイからの苗取出位置よりも下流
側で、搬送路の反転回行部外周に臨ませ、且つ前記反転回行中心より苗取出位置
側に偏位して配置したので、苗取出位置近くで搬送部を正確にスライド規制でき
、苗トレイの横送りの移動位置決めを正確に行ない得、苗トレイから誤りなく苗
を取り出すことが可能となる。
植部と、複数の苗を収容した苗トレイを縦搬送並びに横送りする搬送部及び該搬
送部における苗取出位置で、前記苗トレイから苗を取出して前記移植爪に苗を送
り込む苗取部から成る移植装置を備えた移植機に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種移植機としては、例えば特開昭63−7709号公
報に示されるごとく、機体フレームに、機体幅方向に両側に突出する苗受杆を取
付け、該苗受杆に搬送ベルトをもった苗供給台を、支持レールを介して機体幅方
向に横送り可能に支持し、前記苗受杆の左右中央部に設ける苗取出口から苗供給
台の苗を移植爪で取出して移植するように構成している。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】ところが、前記した従来の移植機における前記
苗供給台の支持構造は、前記苗受杆の両端部を機体外方へ突出させて設けている
ため、その支持剛性が充分得られず、前記苗供給台が前記苗受杆の突出端に横送
り移動したとき、前記苗供給台が機体に対しふらつき、この結果、苗トレイを用 いる場合には、移植爪により苗トレイから苗を取出すとき、取出苗の位置がずれ
て移植爪による苗トレイからの苗の取出しが確実に行えないという問題があった
。即ち、苗トレイを用いる場合、苗トレイのポット苗収容部に個別に収容された
ポット苗を移植爪で個々に取出す故に、移植爪の苗取軌跡に対する苗トレイ側に
おける取出苗の横送り位置に高い位置決め精度が要求されるからである。 【0004】 【0005】本考案の目的は、苗トレイ搬送部の支持構造を工夫することによっ
て、搬送部の支持剛性を向上でき、走行機体に対する搬送部のふらつきを防止し
て、苗取出爪の苗取り位置に対する苗トレイにおける取出苗の横送り移動を正確
に行い、苗取りの誤動作をなくして苗取出爪による苗トレイからの苗の取出しを
確実に行うことができ、その上、搬送部と周辺障害物との衝突による破損を防止
できるようにした移植機を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するために、本考案装置は、移
植爪をもつ移植部と、複数の苗を収容する苗トレイを縦搬送し、縦搬送の終端部
で弧状の搬送路に沿って苗トレイを反転させる反転回行部を有する搬送部と、前
記反転回行部周辺の苗取出し位置で前記苗トレイから苗を取出して前記移植爪に
苗を送込む苗取出爪を有する移植装置とを走行機体に備えてなる移植機において
、前記搬送部は、所定の間隔を隔てて、左,右幅方向に配した案内部材に沿って
往復動可能に支持すると共に、一方の案内部材は前記反転回行部における苗トレ
イの搬送方向に対し前記苗の取出し位置より下流側に位置して前記反転回行部の
外周に臨ませ、且つ前記反転回行中心より苗取出位置側に偏位して配置したこと
を特徴とする。 【0007】 【作用】上記構成により、前記搬送部を支持する案内部材たる横軸は前記両支持
フレーム間に両持状に支持され、前記搬送部は横軸上を横移動する。この結果、
搬送部の横移動方向の全ストロークに亘って支持剛性を確保でき、搬送部を安定
よく横移動させ得、苗取出爪の苗取り位置に対する苗トレイにおける取出苗の横
送り移動位置決めを正確に行い得、苗取り出しの誤動作をなくして苗取出爪によ る苗トレイからの苗の取出しを確実に行うことができる。 【0008】 【0009】 【実施例】図2に示したものは、苗取出装置を装備した本考案の移植機の一例で
あり、該移植機の走行機体は、前部フレーム1aとミッションケース1bと後部
フレーム1cとをそれぞれ一体状に組付けて構成され、前部フレーム1aの上部
側にエンジン2を搭載し、また、後部フレーム1c側に後述する移植装置3を支
持すると共に、前記ミッションケース1bの車幅方向両側面に、それぞれ後下方
に向けて延びる一対の伝動ケース4,4を上下揺動可能に設けて、その遊端側に
それぞれ駆動車輪5,5を支持し、これら駆動車輪5,5を、エンジン2からミ
ッションケース1b及び伝動ケース4,4を介して伝達される回転動力で駆動し
、前記走行機体1を自走させるごとく構成している。 【0010】また、前記走行機体1の下部で前記駆動車輪5の前部側には、畝A
の上面を転動しながら前記移植装置3によるポット苗の植付株間を検出する株間
検出スイッチ(図示せず)をもった検出ローラ6を揺動アーム6aを介して上下
動可能に支持し、該検出ローラ6から出力される株間検出信号により、前記移植
装置3の各駆動部を間歇的に制御すべく成すと共に、前記検出ローラ6の上下動
により植付深さを制御するようにしている。 【0011】さらに、前記前部フレーム1aの前方下部には、畝上面に沿って走
行する鎮圧輪7を支持杆1dを介して支持すると共に、該鎮圧輪7の両側部位に
、前記畝Aの側面に沿って走行する一対のガイド輪8,8を設けている。尚、図
2において9は前記後部フレーム1cに後上方に向けて取付けた操縦ハンドルで
ある。 【0012】また、前記走行機体1の後部フレーム1c側に支持する前記移植装
置3は、大別して縦横に複数のポット苗収容部10aを配列した苗トレイ10を
縦搬送並びに横送りする搬送部20と、この搬送部20の搬送終端部で苗トレイ
10からポット苗を取出す苗取出爪31をもつ苗取部30と、該苗取部30から
苗を受取って植付動作する移植爪14をもつ移植部11とを備え、この移植部1
1は前記ミッションケース1b側に支持される共に、前記苗取部30と搬送部2 0とは前記後部フレーム1c側に支持されている。 【0013】そして、以上のごとく構成される移植機における移植装置3の搬送
部20は、図1〜図3に示したように走行機体1の幅方向に所定間隔をおいて相
対向する一対の支持杆21a,21aと、これら各支持杆21a,21aの長さ
方向両端部に設けた前方側壁21b,21b及び後方側壁21c,21cと、前
記両支持杆21a,21a上部を連結する上方連結杆21d、並びに前記連結パ
イプ21eとから成る搬送枠21を備えている。該搬送枠21における苗トレイ
10の搬送域側には、前記駆動スプロケット23と従動スプロケット25との間
にトレイ受部22を設けると共に、前記側壁のうち、前方側壁21b,21b間
に一対の相対向する駆動スプロケット23,23をもつ駆動軸24を回転自在に
支持し、かつ、後方側壁21c,21c間に一対の相対向する従動スプロケット
25,25をもつ従動軸26を回転自由に支持してある。前記各駆動スプロケッ
ト23,23と従動スプロケット25,25とには夫々駆動チェーン27,27
を掛設する一方、これら両駆動チェーン27,27の対向面間には、両駆動チェ
ーン27,27を連結し、かつ、前記苗トレイ10をその苗収容部10aに引掛
けて強制搬送する搬送部材28を所定ピッチで多数設け、前記搬送部材28によ
り苗トレイ10を強制的に1ピッチ分正確に縦送りし得るよう構成している。尚
、前記駆動スプロケット23,23間の前部外周には図3に示す如く駆動チェー
ン27,27の反転回行部に沿うように、苗トレイ10をこれに追随させるため
のトレイガイド200を設けている。 【0014】また、前記搬送部材28としては、図3に示されるように、前記両
駆動チェーン27,27の内外リンクプレートとローラとを連結する連結部を両
端部に備えた連結軸を用い、該連結軸を前記苗トレイ10の縦方向に配列される
苗収容部10a,10a間の凹部に挿入可能な軸径として、前記苗収容部10a
の側壁に引掛かるごとく成している。 【0015】しかして、前記した搬送部20の搬送枠21の後部フレーム1c側
への支持構造として、図1に示すように、前記走行機体1の後部フレーム1cに
おける搬送部20の取付位置に、前記後部フレーム1cと一連に連結した状態で
走行機体1の幅方向両外方に張出して突出する左右の支持フレーム15,15( 実施例では、後部フレームが兼用している。)を対向配設すると共に、これら両
支持フレーム15,15の対向幅間隔を前記搬送枠21の横送り移動範囲よりも
大きくする。両支持フレーム15,15間には固定板16,17を介して案内部
材たる横軸18,19を支持し、これら横軸18,19のうち、横軸18に前記
搬送枠21の連結パイプ21eを摺動可能に挿通し、また横軸19に支持杆21
a,21aの各下部に設ける筒軸29,29を摺動可能に挿通し、搬送枠21を
前記支持フレーム15,15間において機体幅方向に横移動可能に支持してある
。 【0016】また、前記搬送枠21は、後記する苗取部30の横送り軸97に設
けたスライダ98をもつ連動杆99に支持され、前記苗取出爪31の苗取出動作
に連動した前記横送り軸97の間歇回転により、該横送り軸97のトラバース溝
に係合する前記スライダ98を介して連動杆99と共に搬送枠21、つまり、苗
トレイ10は、ポット苗収容部10aの横方向1ピッチ分を横方向に間歇的に横
移動するように支持されている。 【0017】また、前記駆動スプロケット23,23をもつ駆動軸24の駆動手
段としては、図10に示されるごとく主としてモータMを用い、前記搬送枠21
が左右方向何れかの横送り終端位置に位置したとき、これを検出する一対のリミ
ットスイッチL1,L2により検出して、これらリミットスイッチの一方からの
検出信号により前記モータMを間歇的に駆動して前記苗トレイ10を縦方向に1
ピッチ分縦送りするごとく成している。 【0018】一方、前記苗取部30は、前記縦搬送装置20の搬送終端部におい
て、苗取出爪31を、前記苗トレイ10の苗側に対し往復動させて前記苗を取出
し、かつ、苗放出行程において揺動させる爪動作機構30Aを設ける一方、前記
苗トレイ10の苗取出位置下方に、前記爪動作機構30Aによる苗取出爪31の
取出動作に同調して往復動し前記苗トレイ10の取出苗を前記水抜孔10bを介
し下方から突上げるピン75をもつ苗突上機構30Bとを有していて、これら両
機構の連動動作により、前記苗取出爪31で苗トレイ10から苗を取出すと共に
、前記取出行程から放出行程において前記苗取出爪31で苗を保持し、前記縦搬
送装置20を回避した苗放出位置において前記苗を、前記苗取出爪31から放出 して下方に待機する移植部11の移植爪14に供給する如く成している。 【0019】前記爪動作機構30Aは、図5,6に示したごとく後部フレーム1
cに、支持部材32を起設すると共に、該支持部材32に、中心部に支持筒34
をもつ取付板33を固定し、該取付板33の支持筒34の外周に太陽ギヤ35を
固設する一方、前記支持筒34の貫通孔に駆動軸36を貫通させて回転自由に支
持し、該駆動軸36の一端部に駆動ホイール37を嵌合固定すると共に、他端部
にロータケース38を固定して、前記駆動軸36を介してロータケース38を前
記支持筒34に前記太陽ギヤ35の中心と同一軸心上で駆動回転自由に支持して
いる。 【0020】このロータケース38の内部には、前記太陽ギヤ35に噛合う遊星
ギヤ39を回転自由に支持すると共に、この遊星ギヤ39に噛合う伝動ギヤ40
を回転可能に支持する一方、前記ミッションケース1bのPTO軸42からチェ
ーン又はタイミングベルトなどの伝動体43を介して前記駆動ホイール37を駆
動させ、該駆動ホイール37の回転により、前記伝動ギヤ40を遊星ギヤ39を
介して自転させながら前記太陽ギヤ35の外周軌跡Kを公転させるようにしてい
る。この場合、前記太陽ギヤ35と伝動ギヤ40とのギヤ比は2:1となってい
る。 【0021】そして、前記伝動ギヤ40の支持軸40aをロータケース38の外
方に突出させ、該突出端にクランクアーム41を固定し、該クランクアーム41
の遊端にカム軸44を回転不能に突設する。このカム軸44には、その中間部に
図7に示したように両側面に幅寸法を変化させた側方カム面45aをもち、かつ
、図5に示したように外周面に半径方向の変化をもたせた外周カム面45bを備
えたカム45を回転不能に支持する。前記カム45の両側位置には、前記カム4
5を挾むごとく苗取出爪31をもつ爪支持部材46の基部を枢着する一方、前記
後フレーム1cに支持部材47を介して直線案内部48aと揺動案内部48bと
をもつガイド溝48を備えたガイド体49を設ける。前記爪支持部材46におけ
る前記クランクアーム41への枢着部に対し半径方向に離反した位置には、前記
ガイド溝48に移動可能に係合するガイドローラ50から成る係合体を設けてあ
る。これにより前記ガイドローラ50のガイド溝48に沿う移動により、前記苗 取出爪31の移動軌跡は、前記トレイ10の苗側に突入する突入位置から前記苗
を前記苗トレイ10より取出す取出位置に至る苗取出行程においては直線状とし
、また前記取出位置から前記縦搬送装置20を回避した苗放出位置に至る苗放出
行程においては揺動させ、苗取出爪31を苗放出位置に位置させるよう構成して
ある。 【0022】又、前記爪支持部材46の基部には、図7に示されるように遊端側
にボール51とボール受筒51aとを支持した一対のL字状揺動板52,52が
軸53,53を支点に揺動自由に支持されており、前記揺動板52,52は、ス
プリング54で互いに対向状に引張作用を付与されていて、前記ボール51,5
1と、前記カム45の側面に形成された側方カム面45aとの係合で、前記カム
45が回動するとき、前記揺動板52,52が左右方向へ対称状に揺動すると共
に、この揺動動作で前記揺動板52,52に各々支持された一対の苗取出爪31
,31を開閉動作する如く成して、前記爪支持部材46が苗放出位置にあるとき
、前記苗取出爪31,31を開いて苗を放出し移植部110に苗を供給する如く
成している。 【0023】しかして、前記揺動板52,52に支持する一対の苗取出爪31,
31は、細径な棒材の先端を尖鋭に形成したもので、前記苗取出爪31,31の
各々には、該爪31,31の外周面に遊嵌可能な内周面をもった鍔付押出筒55
,55を套嵌する一方、前記爪支持部材46の側方に突出部46aを設け、該突
出部46aに図5,6に示される如くカムレバー56の基端部を枢支軸57を介
して揺動自由に支持すると共に、その遊端部にはピン58を突設し、該ピン58
に中間に巻回部を有する弾線からなる連結杆59の前記巻回部を嵌め込み、かつ
、該連結杆59の両遊端部を前記苗取出爪31,31に設けた押出筒55,55
の鍔部にそれぞれ連結してある。前記カムレバー56の中間部には前記爪支持部
材46におけるカム45の外周カム面45bと当接するカムローラ60を回転自
由に支持し、かつ、該カムローラ60を、前記押出筒55と揺動板52との間に
介装した圧縮ばね61により常時前記外周カム面45bに当接させてある。前記
カムローラ60が前記カム45における外周カム面45bの長径部位に係合する
と、前記カムレバー56の遊端が持ち上げられ、該遊端に連結した連結杆59を 介して押出筒55,55を苗取出爪31,31に対し、その基部側へ退出させる
と共に、前記カムローラ60が外周カム面45bの短径部位に係合すると、前記
カムレバー56の遊端で前記連結杆59と共に押出筒55,55を苗取出爪31
,31の先端側へ押し下げ、該苗取出爪31,31の苗放出動作時に、前記押出
筒55,55の先端で苗を押圧して強制的に移植部11の移植爪14内に落下さ
せる。 【0024】さらに、前記苗突上機構30Bは、図3,4に示されるごとく前記
固定板17,17間に固定杆70を架設して、該固定杆70に取付体72の基部
を取付け、該取付体72の遊端部に貫通孔71aをもつ天板部71を設けると共
に、該天板部71を介してガイド溝73aをもつガイド体73を固定し、該ガイ
ド体73に、前記ガイド溝73aに挿通するガイド杆74と前記貫通孔71aを
貫通するピン75と係合軸76とをもつ移動体77を前記ガイド溝73aに沿っ
て摺動自由に支持する一方、前記移動体77の係合軸76に係合する長孔78a
をもつ第1アーム78と第2アーム79とを固定した軸体80を、前記取付体7
2と前記支持フレーム15に設ける支持片81との間に回転自由支持する。そし
て、前記駆動軸36に嵌合固定する駆動ホイール37の他側に、該ホイール37
と一体的に結合された連結軸82を延長させ、該連結軸82の延長端に第1カム
体83を設けると共に、該カム体83に係合して動作する第1揺動杆84を支持
フレーム11の支持板85に揺動自由に支持し、前記揺動杆84の遊端部に連結
杆86を介して前記第2アーム79の遊端部に連結し、前記第1カム体83の回
転による前記第1揺動杆84の揺動により、前記連結杆86が図3の矢印のごと
く引上げられることにより第1,第2アーム78,79を介して移動体77を上
方へ移動させ、前記ピン75を前記苗トレイ10の底面における水抜孔10bを
介し下方から突上げて苗を苗取出爪側に押出すべく構成している。また、前記苗
突上機構30Bによる前記ピン75の往復動軌跡と前記苗取出爪31の直線往復
軌跡とを同一直線範囲に位置させるのである。尚、同一直線範囲とは、図9に示
すように苗取出爪31,31間の中間部をも含むものである。 【0025】また、前記連結軸82は図6に示している如く、横送り駆動ケース
87に貫通支持され、該横送り駆動ケース87に、前記連結軸82と平行にクラ ッチ軸88を回転自由に支持する一方、前記連結軸82に、カム89を一体的に
併設したギヤホイール90を回転不能に支持している。 【0026】そして、該ギヤホイール90に、該ギヤホイール90に対し所定の
増速比をもつクラッチピニオン91を噛合させると共に、該ピニオン91を、前
記クラッチ軸88に遊転可能に支持している。 【0027】又、前記クラッチ軸88には、前記クラッチピニオン91に隣接さ
せたクラッチ胴92を、前記クラッチ軸88に対し相対回転不能に支持し、この
クラッチ胴92とクラッチピニオン91との外周面に、一端を前記クラッチ胴9
2に係止させ、他端を開放させたスプリングクラッチ93を套嵌させて、該スプ
リングクラッチ93の内周面で前記両者91,92の外周面を同時に緊縛して動
力を伝達する如く成すと共に、前記スプリングクラッチ93の前記開放端と、前
記ギヤホイール90に併設したカム89との間に、該カム89に係合して動作す
る触子94を設け、該触子94の先端を前記スプリングクラッチ93の解放端に
係合させることにより、該スプリングクラッチ93の緊縛状態を弛緩させて前記
クラッチピニオン91を前記クラッチ軸88に対して遊転させ動力の伝達を間歇
的に遮断する如く成している。そして、前記クラッチ軸88の他端を、前記横送
り駆動ケース87の外側方へ突出させると共に、この突出端に中間ギヤ95を相
対回転不能に支持し、該中間ギヤ95と噛合する従動ギヤ96を、前記横送り駆
動ケース87に回転自由に支持されたトラバース溝(図示せず)をもつ横送り軸
97の一端に、該軸97に対して相対回転不能に固定している。そして、図1,
2に示すように、前記横送り軸97のトラバース溝に係合するスライダ98を介
して横方向に移動する連結杆99により、該連結杆99に支持された縦搬送装置
20が、該搬送装置20にセットされた苗トレイ10の横方向1ピッチ分を、前
記苗取出爪31の苗取出動作に連動して間歇的に横送りする如く成している。 【0028】また、図に示す実施例では、前記駆動スプロケット23,23の前
記モータMによる回転を強制的に停止する停止手段100を設けている。 【0029】この停止手段100としては、図1及び図10に示すように、各駆
動スプロケット23,23の同心円上位置に、苗トレイ10の1ピッチ間隔に合
わせて等角度に等分した箇所に係合孔23aをそれぞれ設ける一方、支持フレー ム1cに、前記各駆動スプロケット23,23に対する側方位置で前記係合孔2
3a,23aに出退自在としたロックピン101,101をもつロック装置10
2を設けて、前記モータMによる前記各駆動スプロケット23,23の駆動回転
途中で前記ロックピン101を前記係合孔23aに突入させることにより、前記
苗トレイ10を縦方向に1ピッチ分縦送りした位置で前記各駆動スプロケット2
3,23の回転を強制的に停止するように構成している。 【0030】この場合、前記ロック装置102は前記苗突上機構30Bの場合と
同様に前記連結軸82に、第2カム体103と第2揺動杆104、連結杆105
とから成る連動機構を介して連動連結され、前記ロックピン101を苗取終了動
作に連動してロック解除位置からロック位置へと移動させ、また苗取動作開始動
作に連動してロック位置からロック解除位置に移動させる。また前記ロックピン
101がロック解除状態でオン動作する検出スイッチS、並びに前記搬送枠31
が左右方向何れかの横送り終端位置に達したときオン動作してこれを検出するリ
ミットスイッチL1,L2を併設し、前記検出スイッチSと前記リミットスイッ
チL1又はL2の何れか一方がオンしたときのみ前記モータMが駆動するように
してある。モータMが駆動すると前記駆動軸34を介し駆動スプロケット23,
23を回転し、苗トレイ10を縦方向に送り、かつ前記駆動スプロケット23,
23の回転により苗トレイ10がほゞ1ピッチ分縦送りされたタイミングで、前
記ロックピッチ101をロック解除位置から前記駆動スプロケット23の係合孔
23aに突入させて前記検出スイッチSをオフし、前記モータMを停止すると同
時に、前記駆動スプロケット23の回転を強制的に停止するように構成している
。 【0031】斯く構成することにより、前記モータMの停止に対する駆動スプロ
ケット23,23の惰性回転をなくして、その惰性回転に伴う苗トレイ10の停
止位置のずれを防止でき、これによって、苗トレイ10の苗収容部10aを苗取
出爪31の取出位置に対応した適正位置に強制的に位置させることができるので
ある。 【0032】尚、複数の苗トレイ10を選択して使用する場合でも前記停止手段
100を適用できるようにするには、図10に示すように前記各駆動スプロケッ ト23,23の前記係合孔23aの同心円とは径の異なる同心円上位置に、別の
苗トレイ10の1ピッチ間隔に合わせて等角度に等分した箇所に係合孔23bを
それぞれ設ける一方、前記ロック装置102にロックピン101が係合孔23a
又は23bのいずかに選択的に突入できるようにロックピン101の突入位置変
更手段(図示せず)を設ければよい。 【0033】また、前記移植部11は、図2に示されるように前記ミッションケ
ース1bの後部側に取付られる植付伝動ケース12と、該植付伝動ケース12に
その内部機構に連動する植付アーム13を介して上下方向に植付動作可能に支持
した開閉可能な移植爪14とから成り、前記植付アーム12の移動により移植爪
14を前記苗取出爪31から放出されるポット苗の受取位置と畝Aへの移植位置
との範囲にわたって所定の上下動軌跡で植付動作させ、前記苗取出爪31がポッ
ト苗を放出するときには、前記移植爪14を閉鎖した状態の上昇位置、つまり受
取位置でポット苗を受取り、このポット苗の受取後に前記移植爪14を前記畝A
側に下動させて、この下動位置で前記移植爪14を開放させて、内部に保持した
ポット苗を畝Aに移植するようにしている。 【0034】また、図に示す実施例では、図2及び図11に示したように、前記
搬送部20の前方で、ボンネットの両側上方に予備苗トレイの支持用台枠110
,110を、屋根形に配置している。 【0035】斯く構成することにより、前方視界をさまたげたり、苗の水滴が燃
料タンクに落ちたりすることがなく、ボンネットと搬送部20との間で、かつ走
行機体1の幅方向中央部に位置する変速レバーが邪魔になったりすることなく、
運転位置からの予備苗トレイの取出しを容易に行うことができると共に、前記予
備苗トレイを左右に1対配置できることは勿論、2対づつ配置することもでき、
しかも全体としてコンパクトにまとめて配設できる。その上、前記各支持用台枠
110,110をボンネット側に対し折畳式として展開することも比較的容易に
できる。次に本考案に係る移植機の作用について説明する。 【0036】前記移植装置3における苗取部30は、伝動体43を掛設した駆動
ホイール37が駆動軸36と共に駆動し、該駆動軸36の駆動によりロータケー
ス38が前記駆動軸36と一体的に回転する。 【0037】これにより、図5及び図6に示している如く、前記ロータケース3
8に回転自由に支持されている遊星ギヤ39が、太陽ギヤ35と噛合して自転し
ながら公転する。 【0038】そして、前記遊星ギヤ35と噛合する伝動ギヤ40が前記遊星ギヤ
39に連動して自転しながら前記太陽ギヤ35と噛合することなく、該太陽ギヤ
35の外周軌跡Kを公転する。この伝動ギヤ40の自転に伴い、該伝動ギヤ40
の支持軸40aに固定されたクランクアーム41が、図8に示す如く前記伝動ギ
ヤ40と一体的に回転しながら前記太陽ギヤ35の外周軌跡Kを公転するのであ
り、このとき、前記爪支持部材46に設けたガイドローラ50が、ガイド体49
のカム溝48と係合して、前記クランクアーム41が図8に示したイ位置からホ
位置へ移動するのであり、この移動に従い、前記爪支持部材46が前記カム溝4
8の直線案内部48aに沿って直線状に往動するのである。そして前記クランク
アーム41が図中ホの位置に至ったとき、爪支持部材46に設けたガイドローラ
50が、前記カム溝48の屈曲部を経て揺動案内溝48bの端部Zに至るのであ
り、このとき、前記カム軸44に支持された爪支持部材46が、苗放出位置方向
へ揺動するのである。また、以上の状態から前記ガイドローラ50が前記カム溝
48を復動する場合、前記クランクアーム41は前記往動軌跡と全く対称軌跡を
描いて元の位置イに復帰して次の往復動動作を開始するのであって、前記伝動ギ
ヤ40が、前記太陽ギヤ35の外周軌跡Kを1回公転する間に、爪支持部材46
が前記カム溝48を1往復動することになる。 【0039】しかして、前記爪支持部材46の進出位置で、苗取出爪31が苗ト
レイ10内の取出苗に対し直線状に突入され、この苗取出爪31の突入動作に同
調して、前記苗突上機構30Bにより、ピン75が前記苗トレイ10の底面にお
ける水抜孔10bを通じて下方から突上げ、苗を苗取出爪31側に押出す。つま
り、前記苗取出爪31の突入動作に同調して、前記第1揺動杆84が第1カム体
83を介して図3に示す矢印方向に揺動し、この揺動により、前記連結杆86が
図3の矢印のごとく引上げられ、第1,第2アーム78,79を介して移動体7
7を上方へ移動させ、前記ピン75を前記苗トレイ10の底面における水抜孔1
0bを介し下方から突上げて苗を苗取出爪31側に押出す。 この結果、苗に対する苗取出爪31の突入が確実に行われると同時に、取出苗は
苗トレイ10から強制的に押出され、前記苗取出爪31による苗の取出しが確実
に行える。また前記苗取出爪31は前記直線案内機構により、苗トレイ10の苗
側に突入する突入位置から前記苗を前記苗トレイ10から取出す苗取出行程にお
いて直線状に往復動する。一方、前記苗突上機構30Bによる前記ピン75の往
復動も、前記苗取出爪31の直線往復軌跡と同一直線上に位置して直線状に行な
われるので、前記ピン75による取出苗を苗取出爪31側へ突上げる際に、苗取
出爪31に対する苗の姿勢が乱れたりすることなく突上げることが出来ると共に
、苗取出爪31が苗トレイ10から後退する際においても苗土を変形させること
がない。これにより、苗取出爪31による苗の取出しがスムーズで、かつ、取出
苗の姿勢を安定させて確実に取出すことができる。 【0040】又、前記爪支持部材46に軸53,53を介して揺動可能に支持さ
れた一対の揺動板52,52は、該揺動板52,52のボール51,51と、前
記カム軸44に固定されたカム45の側方カム面45aとの係合状態の変化に応
じスプリング54の付勢力に抗して対向状に揺動するのであり、前記苗トレイへ
の突入時には揺動板52,52に支持した苗取出爪31,31間を開いた状態で
苗土に突入し、苗トレイ10からの退出時には苗取出爪31,31間を閉じ苗土
を挾んで退出する一方、前記苗放出位置に位置したときには、苗取出爪31,3
1を開いて放出動作して苗を放出するのである。 【0041】更に、前記苗放出時には、前記爪支持部材46の突出部46aに支
持したカムレバー56が、該レバー56のカムローラ60と、カム45の外周カ
ム面45bにおける短径部外周面との係合で、前記揺動板52と押出筒55との
間に介装した圧縮ばね61により下方へ揺動し、前記連結杆59を介し苗取出爪
31,31に套嵌した押出筒55,55を前記苗取出爪31,31の先端側へ押
し下げ、この苗取出爪31,31に保持する苗の放出動作を強制的に助長し、前
記苗の落下を良好にする。 【0042】又、前記苗放出後は、前記カムローラ60が前記カム45の回動に
伴い、該カム45の長径部外周面と係合して前記カムレバー56を持ち上げ、前
記押出筒55,55を苗取出爪31,31の基部側へ退去させるので、苗の取出 行程において支障を生ずることはないのである。 【0043】一方、一回の苗取出しが終了した後には、前記クラッチ軸88に回
転自由に支持したクラッチピニオン91と、クラッチ胴92とをスプリングクラ
ッチ93で緊縛し、前記クラッチピニオン91,クラッチ胴92を連動させる。 【0044】即ち、前記カム体89との係合で動作する触子94の先端が、前記
スプリングクラッチ93の解放端に係合するとき、該スプリングクラッチ93の
緊縛を弛緩させて前記クラッチピニオン91,クラッチ胴92の連動を遮断し、
中間ギヤ95及び従動ギヤ96を介し、横送り軸97を、前記駆動ホイール37
の回転、即ち、苗取出部30の動作に対して間歇的に連動回転させる。 【0045】そして、前記横送り軸97のトラバース溝に係合するスライダ98
を介して横方向に移動する連結杆99と一体的に前記縦搬送装置20が、該縦搬
送装置20にセットされた前記苗トレイ10の横方向1ピッチ分を、前記苗取出
部30の動作に連動し、間歇的に移動させるのである。 【0046】しかして、以上の構成において、走行機体1を構成する剛性部材か
ら成る支持フレーム15,15を前記走行機体1の幅方向外方に張り出させ、左
右に対向させて配置すると共に、これら両支持フレーム15,15の対向幅間隔
を前記搬送部20の横送り移動範囲よりも大きくし、これら両支持フレー15,
15間に横軸18,19を両持状に支持し、該横軸18,19に前記搬送部20
を機体幅方向に横送り可能に支持したから、前記搬送部20の横送り移動範囲の
全ストロークに亘って支持剛性を確保でき、機体に対し搬送部20がふらつくこ
とがなくなり、苗取出爪31の苗取り位置と、苗トレイ10の取出苗の横送り位
置とを正確に対応させることができる。この結果、苗取りの誤動作をなくして苗
取出爪31による苗トレイ10からの苗の取出しが確実に行える。 【0047】その上、前記搬送部20は機体幅方向最外側に横移動しても、搬送
部20は支持フレーム15,15からはみ出すことがないので、外物との当接に
よる破損を防止できるのである。 【0048】また、前記した実施例によれば、前記支持フレーム15,15によ
り前記搬送部20の横送り移動範囲の全ストロークに亙る支持剛性を確保できこ
とは勿論、前記支持フレーム15,15を利用して、前記苗突上機構30Bや停 止手段100などの構成部材を効率良く組付可能に配置できるのである。 【0049】 【考案の効果】以上の如く本考案装置にあっては、案内部材は搬送路の反転回行
部における苗トレイの移動方向であって、苗トレイからの苗取出位置よりも下流
側で、搬送路の反転回行部外周に臨ませ、且つ前記反転回行中心より苗取出位置
側に偏位して配置したので、苗取出位置近くで搬送部を正確にスライド規制でき
、苗トレイの横送りの移動位置決めを正確に行ない得、苗トレイから誤りなく苗
を取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る移植機の要部を理解させるため必要方向に展開して示す横
断面図 【図2】本考案の苗取出装置を装備した移植機の一例を示す全体図 【図3】搬送部の一部省略側面図 【図4】苗取出装置における苗突上機構の斜視図 【図5】苗取出装置における爪動作機構の側面図 【図6】苗取出部における爪動作機構を理解させるため必要方向に展開して示す
平面図 【図7】苗取出爪の説明図 【図8】爪支持部材の移動軌跡を示す説明図 【図9】苗取出爪の直線往復軌跡とピンの往復動軌跡とを同一直線範囲に位置さ
せた場合の説明図 【図10】停止手段を示す説明図 【図11】予備苗トレイの支持用台枠の説明図 【符号の説明】 1 走行機体 10 苗トレイ 11 移植部 14 移植爪 15 支持フレーム 18,19 横軸 20 搬送部 30 苗取出部
断面図 【図2】本考案の苗取出装置を装備した移植機の一例を示す全体図 【図3】搬送部の一部省略側面図 【図4】苗取出装置における苗突上機構の斜視図 【図5】苗取出装置における爪動作機構の側面図 【図6】苗取出部における爪動作機構を理解させるため必要方向に展開して示す
平面図 【図7】苗取出爪の説明図 【図8】爪支持部材の移動軌跡を示す説明図 【図9】苗取出爪の直線往復軌跡とピンの往復動軌跡とを同一直線範囲に位置さ
せた場合の説明図 【図10】停止手段を示す説明図 【図11】予備苗トレイの支持用台枠の説明図 【符号の説明】 1 走行機体 10 苗トレイ 11 移植部 14 移植爪 15 支持フレーム 18,19 横軸 20 搬送部 30 苗取出部
Claims (1)
- 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 移植爪をもつ移植部と、複数の苗を収容する苗トレイを縦搬送し
、縦搬送の終端部で弧状の搬送路に沿って苗トレイを反転させる反転回行部を有
する搬送部と、前記反転回行部周辺の苗取出し位置で前記苗トレイから苗を取出
して前記移植爪に苗を送込む苗取出爪を有する移植装置とを走行機体に備えてな
る移植機において、前記搬送部は、所定の間隔を隔てて、左,右幅方向に配した
案内部材に沿って往復動可能に支持すると共に、一方の案内部材は前記反転回行
部における苗トレイの搬送方向に対し前記苗の取出し位置より下流側に位置して
前記反転回行部の外周に臨ませ、且つ前記反転回行中心より苗取出位置側に偏位
して配置したことを特徴とする移植機。
Family
ID=
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