JP2531400B2 - 水分散性被覆組成物 - Google Patents

水分散性被覆組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、コロイダルシリカとエポキシエステル系樹
脂とを含んでなる水分散性被覆組成物に関し、詳しくは
コロイダルシリカと塩基性物質により樹脂中のカルボキ
シル基の一部を中和したエポキシエステル系樹脂とを含
んでなり、耐食性、基材密着性に優れる塗膜を形成する
水分散性被覆組成物に関する。
(従来の技術) 近年、安全衛生、環境保護の面より塗料の安全衛生
化、無公害化が強く要望されており、水性塗料の需要が
高まっている。このため水系塗料への要求性能は高度化
し、又、被塗装素材も多様化してきている。例えば自動
車部品においては被塗装素材として亜鉛メッキ処理鋼板
と磨軟鋼板の複合素材が使用されており、このいずれの
素材に対しても耐食性に優れる塗膜を形成する水性塗料
が要求されているが、まだ満足できるものが得られてい
ない。即ち、従来より金属塗装用樹脂として特にその防
錆機能の面からエポキシ系樹脂が優れることは知られて
おり、このため自動車部品の塗装においても水溶性エポ
キシエステル樹脂や当該樹脂に更にビニル系単量体を反
応せしめた水溶性のビニル変性エポキシエステル樹脂等
が使用されている。しかしこれら水溶性のエポキシエス
テル系樹脂では亜鉛メッキ処理鋼板の白錆防止が不十分
なため、その改善が臨まれていた。一方、亜鉛メッキ処
理鋼板の白錆防止のためにコロイダルシリカをクロム酸
処理に代えて塗布したり、クロム酸処理後に更に塗布す
る例が「実務表面処理」(Vol30、No.2(1983)P.59)
に記載されている。ところがこのコロイダルシリカは樹
脂と併用して使用した際の安定性に難点があることはす
でに知られており、これは「コロイダルシリカスノーテ
ックス」(日産化学(株))のカタログにも見られる通
り、コロイダルシリカがpH、塩及び電解質の影響を受け
ること、有機溶剤とは混合限界があること、更に界面活
性剤とも選択性を有する等に由来する。
この為コロイダルシリカと樹脂とを水に安定分散せし
めた水分散性被覆物としてコロイダルシリカの存在下で
ビニル系単量体を乳化重合せしめたもの(特開昭59−71
316号)も提案されているが、当該組成物は、乳化剤の
使用量が多く、しかも、磨軟鋼板には防錆効果が無いと
いう欠点があった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このように、従来型技術に従う限りは、どうしても、
とりわけ、安定性に優れるという水分散性被覆組成物を
得るということは、頗る、困難であったし、加えて、と
りわけ、磨軟鋼板に対する耐食性と、亜鉛メッキ鋼板に
対する白錆防止効果とに優れるという水分散性被覆組成
物を得るということも亦、頗る、困難であった。
しかるに、本発明者らは、上述したような従来型技術
における種々の欠点の存在に鑑みて、それぞれ、とりわ
け、安定性に優れるとういう水分散性被覆組成物を得る
ということ、ならびに磨軟鋼板に対する耐食性と、亜鉛
メッキ鋼板に対する白錆防止効果とに優れるという水分
散性被覆組成物を得るということを、最大の目的とし
て、鋭意、研究を開始した。
したがって、本発明解決しようとする問題点は、一に
かかって、分散安定性に優れる被覆組成物を、そして、
基材に対する密着性や耐食性などにも優れた塗膜を形成
し得る、極めて実用性の高い、水分散性の被覆組成物を
提供しようとするにある。
〔問題点を解決するための手段〕
そこで、本発明者らは、上述したような従来型技術の
種々の欠点を、悉く、解消するべく、そして、上述した
ような発明が解決しようとする問題点に照準を合わせ
て、鋭意、検討を重ねた結果、すなわち、コロイダルシ
リカと、エポキシエステル系樹脂とを、水に、安定に分
散化せしめ、しかも、被塗装基材に対して選択性がな
く、種々の基材への密着性などに優れるという、極めて
実用性の高い、水分散性の被覆組成物を得るべく、鋭
意、検討を重ねた結果、コロイダルシリカと、樹脂中の
カルボキシル基の一部とを、塩基性物質で以て中和せし
めた形の、いわゆる部分中和のエポキシエステル系樹脂
とを含んだ水分散被覆組成物が、それ自体で以て、とり
わけ、分散安定性にも優れるし、加えて、とりわけ、種
々の基材への密着性などにも優れるというものであるこ
とを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到
った。
すなわち、本発明は、基本的には、「酸価が20〜80な
るエポキシエステル系樹脂に、此の酸価の30〜90%を中
和するに必要な量の塩基性物質を反応せしめて得られる
部分中和のエポキシエステル系樹脂の100重量部(樹脂
固形分)と、コロイダルシリカの5〜150重量部(シリ
カ固形分)とを含有することを特徴とする、水分散性被
覆組成物」を提供しようとするものである。
本発明において使用するエポキシエステル系樹脂に
は、脂肪酸等とエポキシ樹脂とを反応せしめた単なるエ
ポキシエステル樹脂のほか、ビニル系単量体を当該エポ
キシエステル樹脂に重合して変性せしめたビニル変性エ
ポキシエステル樹脂も包含される。
原料となる脂肪酸等としては、アマニ油、サフラワー
油、大豆油、ひまし油、トール油などのいわゆる乾性
油、半乾性油及びそれらの脂肪酸などのほか、ときとし
ては油変性アルキッド樹脂なども使用できる。これらは
1種又は2種以上の混合物にて使用される。
またエポキシ樹脂としては、「エピクロン850、105
0、3050、4050もしくは7050」〔以上、大日本インキ化
学工業(株)製のエポキシ樹脂〕、「エピコート828、8
34、1001、1004、1007もしくは1009」(以上、オランダ
国シエル社製のエポキシ樹脂)、または「DER660、661
J、662、664J、667J、668もしくは669J」(以上、アメ
リカ国ダウ・ケミカル社製のエポキシ樹脂)の如きビス
フェノール型のエポキシ樹脂、「エピクロン750」また
は「ユノックス201もしくは289」(以上、アメリカ国ユ
ニオン・カーバイド社製のエポキシ樹脂)の如き脂環式
エポキシ樹脂、「エピクロンN740もしくは775」の如き
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、「エピコート81
2」または「エポライト40E、200Eもしくは400E」
〔(株)共栄社製のエポキシ樹脂〕の如きポリエチレン
グリコール系エポキシ樹脂、あるいは「BF−1000」〔ア
デカアーガス化学(株)製のエポキシ樹脂〕の如きエポ
キシ化ポリブタジエンなどの各種エポキシ樹脂が挙げら
れる。
これらを用いたエポキシエステル樹脂の製造は、通常
の縮合条件で例えば脂肪酸等40〜60重量部とエポキシ樹
脂60〜40重量部(合計100重量部とする)とを150〜250
℃で反応させることによりなされる。
又、当該エポキシエステル樹脂の変性に用いられるビ
ニル系単量体としては、 一般式 で示される(メタ)アクリル酸エステルをはじめ、各種
グリシジル(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリル
酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチ
ル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジ
ン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、(メタ)
アクリロニトリル、または(メタ)アクリル酸、イタコ
ン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルア
ミド、N−エチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、アクロレイン等があり、これらの使用により塗膜
の密着性、光沢、乾燥性、硬度、可撓性などが付与で
き、又、水分散性の一層の向上も期待できる。
かかる変性法の一例を示すことにすれば、前記エポキ
シエステル樹脂の10〜90重量部の存在下に、前掲した如
きビニル系単量体の90〜10重量部とを常法により共重合
せしめるという方法が挙げられる。
このさいの重合温度としては50〜180℃、好ましくは8
0〜150℃なる範囲内が適当であり、またかかる共重合に
さいしては前記エポキシエステル樹脂を水に可溶性の溶
剤に溶解させてから行なうのが、反応をコントロールし
易いので望ましい。
使用しうる溶剤として代表的なものには、エタノー
ル、n−プロパノール、iso−プロパノール、3−メト
キシ−3−メチルブタノール、n−ブタノール、iso−
ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、iso−ブチルセロ
スロブ、n−ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、
エチルカルビトール、n−プロピルカルビトールまたは
n−ブタリカルビトールなどがあるし、また重合開始剤
として過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリ
ル、tert−ブチルハイドロオキサイド、ジ−tert−ブチ
ルオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイドまたは
tert−ブチルパーベンゾエートなどを用いることができ
る。
本発明で用いるエポキシエステル系樹脂は、その酸価
が20〜80好ましくは30〜60の範囲にあることが重要であ
る。酸価が20より低い場合は樹脂の親水性が低く、水へ
の分散安定性が悪くなり、一方80を越えるとコロイダル
シリカの有する親水性との相乗効果で得られた塗膜の親
水性が高くなりすぎ、耐食性が著しく低下する。
本発明の組成物では、前記の如き酸価20〜80のエポキ
シエステル系樹脂は塩基性物質で当該樹脂中のカルボキ
シル基の一部を中和せしめておくことも重要である。か
かる塩基性物質としては、水酸化リチウム、水酸化カリ
ウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ;アンモニ
ア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルア
ミン、モノ−又はジ−メチル−n−プロピルアミン、モ
ノ−、ジ−又はトリエタノールアミン、ジメチルエタノ
ールアミン等の如き水溶性化する際に通常使用されるア
ミン類などが用いられる。その使用量は、当該エポキシ
エステル系樹脂の酸価の30〜90%を中和するに必要な量
であり、好ましくは35〜80%を中和するに必要な量であ
る。その量が20%未満の場合には樹脂の親水性が低く分
散が困難となり、90%を越えると樹脂が可溶化し得られ
た水分被覆組成物も安定化せず、シリカが砂状に析出す
るか系全体がゼリー状固化する。
一方、本発明で用いるコロイダルシリカはSiO2を基本
単位とし、その粒子径が7〜100mμ好ましくは10〜50m
μのものの水分散液である。通常、市販品がそのまま使
用でき、例えば「スノーテックスO」「スノーテックス
−OL」「スノーテックス20」、「スノーテックスC」
「スノーテックスN」(いずれも日産化学(株)社製)
などを挙げることができる。これらコロイダルシリカを
使用するにあたっての選択は、コロイダルシリカ及びエ
ポキシエステル樹脂の安定領域により決定される。
かかるコロイダルシリカの使用量は、部分中和したエ
ポキシエステル系樹脂の樹脂固形分100重量部に対し、
シリカ固形分5〜150重量部、好ましくは10〜150重量部
となる。使用量が5重量部未満の場合は、例えば亜鉛メ
ッキ処理鋼至の白錆防止効果は十分でなく、150重量部
を越えると例えば磨軟鋼至の防錆効果が著しく低下する
等の欠点がある。
本発明の水分散被覆組成物は、上記したエポキシエス
テル系樹脂の親水性溶剤例えばエタノール、イソプロパ
ノール、n−ブタノール等のアルコール類;エチルセロ
ソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;MEK、MIBK
等のケトン類;酢酸エチルの如きエステル類等の溶液
(通常、不揮発分50〜90%)に、上記塩基性物質の1種
又はそれ以上を所定の量のカルボキシル基を中和するに
必要な量だけ添加し、撹拌しながらコロイダルシリカと
が必要に応じて加えた水との混合物を徐々に加え、転相
分散せしめる等により容易に調製できる。
本発明の組成物は塗料用として有用なものである。塗
料として使用するにあたり必要により可塑剤、アクリル
系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系ラテックス、
水溶性樹脂等を混合して改質することができる。本発明
の組成物を常乾、強制乾燥用塗料に使用するときは、金
属ドライヤーを添加して空気硬化促進を計ることが好ま
しく、かかる金属ドライヤーとしては、例えばナフテン
酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、
ナフテン酸マンガン、ナフテン酸カルシウムで一種又は
二種以上の混合物である。その使用量は樹脂固形分100
重量部あたり金属量として0.05〜0.5重量部が好まし
い。
又、本発明の組成物を焼付用塗料として使用する場合
には、必要によりアミノ樹脂、ブロックポリイソシアネ
ート、エポキシ樹脂等の硬化剤を配合してもよい。ここ
でのアミノ樹脂とはメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹
脂、尿素樹脂が挙げられ、他に尿素も使用できる。これ
らの硬化剤は水溶性又は水分散の状態で使用するのが好
ましい。硬化剤の使用量は樹脂固形分100重量部に対し
て、固形分として5〜30重量部が適している。
本発明の組成物を用いて得られる塗料はエアレススプ
レー塗装での塗装作業性に優れている。従来のエマルジ
ョン塗料では、乳化剤の影響で発泡しやすく、又、従来
の水溶性塗料ではタレを生じるなど、いずれの場合にも
塗面状態、塗装作業性に欠点を有しているが、本発明の
組成物を用いて得られる塗料は乳化剤を含まず、しかも
水分散型であるので発泡しにくく、タレにくいという利
点を有している。又、かかる塗料はハケ塗り、浸漬塗
装、エアースプレー塗装等で塗装することができる。
本発明組成物は金属、木材、合成樹脂、ガラス、陶磁
器などの基材に塗布することができる。
〔効 果〕
本発明組成物は、コロイダルシリカとエポキシエステ
ル系樹脂とが水に安定に分散された分散安定性に優れる
被覆組成物であり、又、基材に対する密着性や耐食性に
も優れた塗膜が形成できる組成物である。
〔実施例〕
以下、合成例、実施例等を挙げて本発明を説明する
が、例中、特に記載のないかぎり、部及び%はいずれも
重量基準による。
合成例1(エポキシエステル樹脂−(1)の合成) フラスコ内にエポキシ樹脂「エピクロン1050」(大日
本インキ化学工業(株)製)451部、アマニ油脂肪酸474
部を仕込み、230℃にて固形分酸価16、粘度(ブチルセ
ロソルブ60%溶液)H−1まで反応させ、次いで150℃
にて無水マレイン酸75部を添加し、200℃にて粘度Vま
では反応させる。これをブチルセロソルブにて溶解し、
固形分70%、粘度Z6、固形分酸価50のエポキシエステル
樹脂−(1)の溶液を得た。
合成例2(同−(2)の合成) 合成例1と同様に「エピクロン1050」とアマニ油脂肪
酸を反応せしめ、これをブチルセロソルブに固形分60%
となるように溶解した樹脂溶液(固形分酸価16、粘度H
−1)1000部に対し、スチレン340部、アクリル酸60
部、t−ブチル−パーオキシベンゾエート20部を130℃
にて滴下して加え、重合し、更にブチルセロソルブ35部
を加えて不揮発分70%、粘度Z6、固形分酸価60のエポキ
シエステル樹脂−(2)の溶液を得た。
合成例3(同−(3)の合成) アマニ油372部、ペンタエリスリトール75部より得ら
れたエステル交換生成物に無水フタル酸242部、ジプロ
ピレングリコール100部を加えて、190℃にて固形分酸価
が40になる迄エステル化し、次いで「エピクロン1050」
100部を加え180℃で反応させて固型分酸価12、粘度(ブ
チルセロソルブ60%溶液)Jのエポキシエステルを得
た。この樹脂をイソプロピレングリコールにて樹脂固形
分53.5%となるよう溶解した樹脂液187部に対し、スチ
レン55部、ブチルアクリレート35部、アクリル酸10部の
モノマープレミックスとt−ブチルパーオキンベゾエー
ト2部を130℃にて滴下し、重合して、不揮発分70%、
粘度Z7、固形分酸価50のエポキシエステル樹脂−(3)
の溶液を得た。
実施例1 合成例1のエポキシエステル樹脂−(1)の溶液の樹
脂固形分1000部に対し、固形分酸価の60%を中和するジ
メチルエタノールアミンを加え撹拌しながら「スノーテ
ックスC」(日産化学(株)製、シリカ固形分20%)25
0部、水100部の混合物を滴下し、固形分30%、粘度350c
psの水分散製被覆組成物を得た。この水分散性被覆組成
物100部に対し、「ディックネート3111」(カバルトド
ライヤー、大日本インキ化学(株)製)1部を加え、磨
軟鋼板(0.8mm×70mm×150mm)及び亜鉛メッキ鋼板に乾
燥膜厚が20μとなるよう塗布し、80℃、20分強制乾燥
後、ソルトスプレー性をテストしたところ磨軟鋼板では
48時間異常なく、亜鉛メッキ鋼板では120時間白錆の発
生は認められなかった。
実施例2 合成例2のエポキシエステル樹脂−(2)の溶液を用
い、ジメチルエタノールアミンにて当該樹脂の固形分酸
価の40%を中和する以外は実施例1と同様にして、固形
分30%、粘度250cpsの水分散性被覆組成物を得た。
実施例1と同様にソルトスプレーテストを行ったとこ
ろ、磨軟鋼板では48時間異常なく、亜鉛メッキ鋼板では
168時間白錆発生は認められなかった。
実施例3 実施例2で使用したジメチルエタノールアミンにかえ
て、トリエチルアミンを使用して固形分酸価の70%を中
和する以外は実施例2と同様にして、固形分29%、粘度
700cpsの水分散性被覆組成物を得た。
実施例1の同様なソルトスプレーテストをした結果、
磨軟鋼板では48時間異常なく、亜鉛メッキ鋼板では168
時間白錆発生は認められなかった。
比較例1 固形分酸価の全てを中和する量のジメチルエタノール
アミンを使用する以外は実施例1とまったく同様にして
固形物27%、粘度1100cpsの組成物を得た。この系は完
全中和された樹脂が水溶性化し、透明な外観を呈した。
しかしこの組成物は1日後白濁し、3日でゼリー状に固
化してしまった。
比較例2 合成例2のエポキシエステル樹脂−(2)の溶液を用
い、当該樹脂の固形分酸価の15%を中和したが、このも
のはモチ状となり、更にコロイダルシリカと水を加えた
ところ分離状態となった。
実施例4 合成例3のエポキシエステル樹脂−(3)の溶液を用
い、更に「スノーテックス20」(シリカ固形分20%)10
0部、水150部を用いる以外は実施例1と同様にして固形
分30%、粘度200cpsの水分散性被覆組成物を得た。
ソルトスプレーテストをおこなったところ、磨軟鋼板
では48時間異常なく、亜鉛メッキ鋼板では150時間白錆
発生は認められなかった。
実施例5 合成例3のエポキシエステル樹脂−(3)の溶液を用
い、更に「スノーテックスN」(シリカ固形分20%)40
0部のみで分散する以外は実施例1と同様にして固形分3
3%、粘度430cpsの水分散性被覆組成物を得た。
ソルトスプレーテストの結果では、磨軟鋼板では48時
間異常がなく、亜鉛メッキ鋼板では240時間白錆発生は
認められなかった。
比較例3 「スノーテックス20」を用いないほかは、実施例4と
まったく同様にして固形分33%、粘度480cpsの水分散性
被覆組成物を得た。
ソルトスプレーテストを行ったところ磨軟鋼板では48
時間異常がなかったのに対し、亜鉛メッキ鋼板では48時
間後に全面白錆が発生した。
比較例4 「スノーテックスN」400部に代えて「スノーテック
スC」(シリカ固形分20%)1000部のみで分散する以外
は実施例5と同様にして、固形分26%、粘度135cpsの水
分散性被覆組成物を得た。
ソルトスプレーテストの結果では、磨軟鋼板は5時間
で全面に点錆が発生し、一方亜鉛メッキ鋼板では240時
間白錆発生が認められなかった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸価が20〜80なるエポキシエステル系樹脂
    に、此の酸価の30〜90%を中和するに必要な量の塩基性
    物質を反応せしめて得られる部分中和のエポキシエステ
    ル系樹脂の100重量部(樹脂固形分)と、コロイダルシ
    リカの5〜150重量部(シリカ固形分)とを含有するこ
    とを特徴とする、水分散性被覆組成物。
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