JP2530619Y2 - 自動玉揚げ機における管糸姿勢の規制装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はリング精紡機における自動玉揚げ機の玉揚げ
管糸の姿勢規制装置、詳しくはリング精紡機の前面に沿
って間欠的に走行し、停止時に複数の管糸の玉揚げを行
う装置における玉揚げ管糸の姿勢規制装置に関するもの
である。

（従来の技術） リング精紡機の前面に沿って間欠的に走行し、停止時
に複数の管糸の自動玉揚げを行う装置は従来から紡績工
場において汎用されている。この種の自動玉揚げ機
（１）は第４図〜第６図に示しているように、リング精
紡機の前面に停止したのち、まずキッカー（２）でもつ
てスピンドル（３）に挿入されている満管管糸（４）を
突き上げてスピンドルとの嵌合を緩め、続いて糸押さえ
（５）とともに把持装置（６）を前進させてキャッチャ
（７）にて８〜12本の管糸（４）の頭部を一斉に掴み、
把持装置（６）を上動させてスピンドル（３）から管糸
を引き抜き、シュータ（８）を前方に開き、しかるのち
キャッチャ（７）を開放して管糸を投下し、投下した管
糸（４）をカバーによって形成されているガイド壁
（９）と前傾変位しているシュータ（８）との間を通過
させトランスファーケース（10）を経て管糸箱に収容す
るようになっている。

（考案が解決しようとする課題） ところが上記した自動玉揚げ機（１）の玉揚げ動作中
において把持装置（６）が上動したとき、尻糸カッタ
（11）による糸切りが不完全な場合、あるいは引き抜き
時に管糸（４）に連なる尻糸（12）のほどけ具合が悪か
った場合などの原因により一部の管糸に傾きが生じ、引
き抜かれた管糸（４）が上動位置に達するまでにその管
糸（４′）が落下して第５図および第６図に示すごとく
シュータ（８）とガイド壁（９）の間に横向きとなって
挟まるという事態がしばしば発生する。かかるトラブル
は見えにくい場所であるため作業員によって直ぐ発見で
きず、また挟まった管糸（４′）のためにシュータ
（８）が復元できず玉揚げ機（１）が動かないという状
態となる。このことはリング精紡機の生産効率を低下さ
せるばかりでなく補修作業に多くの時間と労力を必要と
し、またトラブルが頻発するとガイド壁（９）の変形を
招くことになる。

本考案は上記したトラブルを解消することを目的とし
てなされたものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記した自動玉揚げ機において、引き抜かれ
た管糸（４）の一部がキャッチャ（７）の開放前に何ら
かの原因によって落下しても横向きにならないように、
また仮に横向きとなって落下してもシュータ（８）とガ
イド壁（９）との間に入らないように、ガイド壁（９）
側にシュータ（８）と対向してセパレーターガイド（2
0）を配設してなる。

セパレーターガイド（20）には精紡機のスピンドル間
隔をおいて取り付けられた垂直プレート（21）を備え、
該垂直プレート（21）は該シュータ（８）が不作動位置
に復元されたとき、該シュータ（８）の各ガイドプレー
ト（８′）と衝突しないよう位置決めされている。

（作用） セパレーターガイド（20）の各垂直プレート（21）は
管糸把持装置（６）によりスピンドル（３）から引き揚
げられた複数の管糸（４）の下部の両側に位置して管糸
位置を規制し、管糸（４）に連なっている尻糸（12）の
引っ張り作用による管糸の横方向への傾きを防止し、キ
ャッチャ（７）の開放までに一部の管糸がキャッチャ
（７）から外れ落ちても倒れることなくシュータ（８）
を通って落下させる。また何らかの要因により管糸が横
向きになつて落下したとしても、シュータ（８）とガイ
ド壁（９）との間まで落下するのを防止して落下管糸を
のガイドプレート（８′）の上縁の上に留める。

（実施例） 以下本考案の実施例を示している第１図〜第３図につ
いて説明すると、前記したようにリング精紡機の前面に
沿って間欠的に走行し、停止したのち、まずキッカー
（２）でもってスピンドル（３）に挿入されている満管
管糸（４）を突き上げて嵌合を緩め、続いて糸押さえ
（５）とともに把持装置（６）を前進させキャッチャ
（７）にて10本の管糸（４）の頭部を一斉に掴み、把持
装置（６）を上動させてスピンドル（３）から管糸を引
き抜き、該把持装置（６）を後退させるとともにシュー
タ（８）を前方に開き、しかるのちキャッチャ（７）を
開放して管糸（４）を投下し、投下した管糸（４）をカ
バーによって形成されているガイド壁（９）と前傾変位
しているシュータ（８）との間を通過させトランスファ
ーケース（10）を経て管糸箱に収容するようになってい
る自動玉揚げ機（１）において、該シュータ（８）と対
向しているガイド壁（９）側に、スピンドル間隔に区画
した垂直プレート（21）を有するセパレーターガイド
（20）を該シュータ（８）の上部と対向して配設してな
る。このセパレーターガイド（20）は本実施例において
は第３図に示しているように、ロッド（22）にプラスチ
ックの垂直プレート（21）を固定して形成され、第１
図、第２図に示すごとくこのロッド（22）を、ガイド壁
（９）を構成しているカバーの上部に取り付け、各垂直
プレート（21）の前端部を引き抜き揚げられた管糸
（４）の下端部両側に位置させている。

図中（11）は尻糸カッタ、（12）は尻糸、（13）は空
ボビンホッパ、（14）はボビンシュート、（15）は精紡
機のリングレールである。

（考案の効果） このように本考案は、リング精紡機の前面を走行し、
停止時に複数のキャッチャ（７）を備えた管糸把持装置
（６）によりスピンドル（３）から複数本の管糸（４）
を引き抜き、引き抜いた管糸（４）をシュータ（８）に
投下し収容するようになした自動玉揚げ機（１）におい
て、該シュータ（８）と対向しているガイド壁（９）側
に、スピンドル間隔に区画した垂直プレート（21）を有
するセパレーターガイド（20）を該シュータ（８）の上
部と対向して配設してなるものであり、セパレーターガ
イド（20）の各垂直プレート（21）は管糸把持装置
（６）によりスピンドル（３）から引き上げられた複数
の管糸（４）の下部の両側に位置しているため、管糸に
連なっている尻糸（12）による引っ張り力が管糸に作用
しても管糸の横方向への傾きが防止され、何らかの要因
でキャッチャ（７）の開放までに一部の管糸がキャッチ
ャ（７）から外れ落ちても管糸は倒れることなくシュー
タ（８）を通って落下し、また管糸が横向きになって落
下したとしても、シュータ（８）とガイド壁（９）との
間まで落下するのが防止され、落下管糸はそのガイドプ
レート（８′）の上縁の上に留まり、トラブル発生の発
見と発生後の処置が容易となるなど実用上有益な効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の実施例を示しているものであ
り、第１図は玉揚げ機の概略側面図、第２図は装置の主
要部の斜視図、第３図はセパレーターガイドの斜視図、
第４図および第５図は従来の玉揚げ機の玉揚げ要領を示
した概略側面図、そして第６図は従来装置によるトラブ
ル状態を示した斜視図である。 （１）：自動玉揚げ機、（２）：キッカー （３）：スピンドル、（４）：管糸 （６）：把持装置、（７）：キャッチャ （８）：シュータ、（９）：ガイド壁 （20）：セパレーターガイド、（21）：垂直プレート

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リング精紡機の前面に沿って走行し、停止
   時に複数のキャッチャ（７）を備えた管糸把持装置
   （６）によりスピンドル（３）から複数本の管糸（４）
   を引き抜き、引き抜いた管糸（４）をシュータ（８）に
   投下し収容するようになした自動玉揚げ機（１）におい
   て、該シュータ（８）と対向しているガイド壁（９）側
   に、スピンドル間隔に区画した垂直プレート（21）を有
   するセパレーターガイド（20）を該シュータ（８）の上
   部と対向して配設したことを特徴とする自動玉揚げ機に
   おける管糸姿勢規制装置。