JP2530517B2 - 波長多重光記録媒体、その製造方法、光多重記録方法および光多重記録再生方法 - Google Patents

波長多重光記録媒体、その製造方法、光多重記録方法および光多重記録再生方法

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JP2530517B2 JP2277981A JP27798190A JP2530517B2 JP 2530517 B2 JP2530517 B2 JP 2530517B2 JP 2277981 A JP2277981 A JP 2277981A JP 27798190 A JP27798190 A JP 27798190A JP 2530517 B2 JP2530517 B2 JP 2530517B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、光により多重記録が可能な波長多重光記録
媒体、その製造方法および光多重記録方法に関するもの
である。
[発明の技術的背景] 近年において、発振波長の異なるレーザーを複数用い
て、複数の記録層に多重記録を行なうことができる波長
多重光記録媒体が開発されている。
多重光記録が可能な記録材料としては、ホトケミカル
ホールバーニング材料(PHB)とラングミュア−ブロジ
ェット(LB)膜を形成するホトクロミック化合物などが
挙げられる。
ホトケミカルホールバーニング材料(PHB)は色素と
溶剤、所望により高分子からなり、極低温領域において
色素の不均一吸収帯中の均一吸収帯の線幅が充分に狭く
なる性質がある。この材料からなる波長多重光記録媒体
に、不均一吸収帯中を構成する各均一吸収帯に均一吸収
帯の波長のレーザー光を照射すると、光吸収強度が減少
し、これを利用して波長多重光記録が可能となる(米国
特許第4101976号参照)。
しかしながら、上記PHB材料を用いた波長多重光記録
媒体は、極低温にて使用することが条件であるため、通
常の環境で利用することができない。また、低温で用い
る場合も低温環境を維持する必要があり、その費用が莫
大である、などの問題がある。
ホトクロミック化合物のラングミュア−ブロジェット
(LB)膜を利用した波長多重光記録媒体は、光吸収ピー
クを有するホトクロミック化合物のLB膜を複数積層する
ことにより作成される。スピロピランなどのホトクロミ
ック化合物をLB膜にする過程で、あるいはLB膜を形成後
UV光等を照射することにより、吸収スペクトルの半値幅
が狭い鋭い光吸収ピークを示すJ会合体を形成する。そ
して、このJ会合体にJ会合体の光吸収ピークと同じ波
長のレーザーを照射することにより会合状態を解離させ
て情報の記録を行なうことができる(日経ニューマテリ
アルズ、1986年6月30日号、48〜57頁;および特開昭61
−203450号公報参照)。
上記LB膜を利用した波長多重光記録媒体は、PHB材料
と異なり通常の環境で使用可能である。しかしながら、
このLB膜を積層する方法は、実験的に行なうことは可能
であっても、広い面積に且つ大量に行なう、すなわち工
業的に行なうには制御が極めて困難である。さらに、LB
膜の吸収は小さく、レーザー照射後の濃度変化も小さい
ことから、信号の検出が困難である。また、透過光を検
出することにより情報を読み取る必要があり、市販の追
記型光ディスクの反射光を検出する方法を利用すること
ができない。
上記問題点を解決したとする発明が、特開昭63−1187
40号公報に開示されている。この波長多重光記録媒体
は、金属ポリフィリン化合物、金属フタロシアニン化合
物あるいは類似の金属イオンを含む環状化合物、および
酸性の官能基を有する高分子化合物の混合物からなるも
ので、塗布により容易いに形成することができるとの利
点を有する。
上記金属ポリフィリン化合物などの材料は、吸収スペ
クトルの光吸収ピークの半値幅が充分に狭いとは言え
ず、鋭いピークとは言い難い。このため、多層構成の波
長多重光記録媒体においては、ある記録層の吸収ピーク
隣接する記録層の吸収ピークの重なり合いが生じるた
め、波長多重光記録に好適とは言えない。また、この記
録層は記録感度が低く実用性がある波長多重光記録媒体
を得ることは難しい。さらに、これらの化合物の吸収ピ
ークは500nm付近のものが多く、通常の半導体レーザー
の発振波長である600〜900nmと相違することから、通常
の半導体レーザーを使用することができないとの問題も
ある。
[発明の目的] 本発明は、通常の環境で使用でき、塗布による簡易な
製造方法により作成することができ、且つ高い記録感度
とC/Nなどの優れた記録再生特性を有する波長多重光記
録媒体を提供することを目的とする。
また、本発明は、高い記録感度とC/Nなどの優れた記
録再生特性を有する波長多重光記録媒体の簡易な製造方
法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、波長多重光記録媒体に高い記録感
度とC/Nなどの優れた記録再生特性にて情報を波長多重
光記録する方法を提供することを目的とする。
[発明の要旨] 本発明者等は、波長多重光記録に最適な記録層を得る
ため鋭意研究を重ねてきた。すなわち、塗布により容易
に形成でき、吸収極大波長で吸収ピークは先鋭で半値幅
が狭く且つ高い反射率を有する記録層を求めて検討して
きた。その結果、下記の条件(1)を満足する色素記録
層は、このような条件を満たし、なお且つレーザーの照
射によりより反射率の低下が大きくなることから、再生
時に極めて大きな信号を得ることができることが明らか
となった。そして、このような記録層を複数積層するこ
とにより波長多重光記録に最適な媒体を得ることができ
ることを見出した。
すなわち、本発明は、基板上に、レーザーの照射によ
る情報の書き込みが可能で、で、極大吸収波長が互いに
異なる色素からなる記録層が二層以上、基板側から順に
吸収極大波長が相対的に短波長の層が配置されるように
積層され、且つ該積層された記録層のそれぞれが下記の
条件(1): nr+kr≧4 (1) を満足することを特徴とする波長多重光記録媒体; [但し、nrは当該記録層の吸収極大波長における複素屈
折率の実数部分およびkrは該複素屈折率の虚数部分を表
わす。] にある。
上記波長多重光記録媒体は、基板上に、記録層とした
時に下記の条件(1): nr+kr≧4 (1) [但し、nrは当該記録層の吸収極大波長における複素屈
折率の実数部分およびkrは該複素屈折率の虚数部分を表
わす。] を満足する色素を溶剤に溶解した塗布液を、スピンコー
ト法により塗布し、そして乾燥することによりレーザー
の照射による情報の書き込みが可能な色素記録層を形成
する工程(A)、および 該記録層上に、該記録層に用いた色素より記録層とし
た時の吸収極大波長が相対的に長波長側で且つ上記の条
件(1)を満足する色素を溶剤に溶解した塗布液を、ス
ピンコート法により塗布し、そして乾燥することにより
記録層を形成する工程(B) からなり、少なくとも工程(B)を一回行なうことによ
り基板上に吸収極大波長が相対的に短波長の層から順に
二層以上の記録層を形成することを特徴とする波長多重
光記録媒体の製造方法により有利に得ることができる。
また、上記波長多重光記録媒体に、当該の記録層の極
大吸収波長に対して下記の条件(4): λ−20≦λ≦λ+60 (4) [但し、λは当該記録層の吸収極大波長およびλ
当該記録層の記録に用いるレーザーの発振波長を表わ
す。] を満足するレーザーを記録層の数と同数用いて、任意の
数を記録層に同数のレーザーを照射して一度にあるいは
順次情報を記録することを特徴とする光多重記録方法に
もある。
さらに、上記情報が記録された波長多重光記録媒体
に、当該の記録層の極大吸収波長に対して下記の条件
(5): λ−20≦λ≦λ+60 (5) [但し、λは当該記録層の吸収極大波長およびλ
当該記録層の再生に用いるレーザーの発振波長を表わ
す。] を満足するレーザーを記録層の数と同数用いて、任意の
数の記録層に同数レーザーを照射してその記録層からの
反射光を検知することにより一度にあるいは順次情報を
再生すること特徴とする光多重記録再生方法にもある。
上記本発明の情報記録媒体の好ましい態様は以下の通
りである。
1)上記当該の記録層が下記の条件(2): 10≦d≦100 (2) [但し、dは当該記録層の層厚(nm)を表わす。] を満足することを特徴とする上記波長多重光記録媒体。
2)上記記録層の間に中間層が設けられ、且つ該中間層
が下記の条件(3): 0<nm+km<3 (3) [但し、nmは該中間層の吸収極大波長における複素屈折
率の実数部分およびkmは該複素屈折率の虚数部分を表わ
す。] を満足することを特徴とする上記波長多重光記録媒体。
3)上記色素が、シアニン色素、オキソノール色素、メ
ロシアニン色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素
およびヘテロアヌレン色素からなる群より選ばれる少な
くとも一種であることを特徴とする上記情報記録媒体。
[発明の効果] 本発明の上記の条件(1)を満足する色素記録層は、
吸収極大波長の近傍において高い反射率を有し、吸収極
大波長の吸収ピークは先鋭で半値幅が狭い。そして、そ
の極大波長に発振波長を有するレーザーの照射により反
射率の低下が大きくなることから、再生時に極めて大き
な信号を得ることができる。従って、上記記録層は波長
多重光記録用に最適であり、この記録層を積層すること
により高い記録感度とC/Nなどの優れた記録再生特性を
有する波長多重光記録媒体を得ることができる。
また、上記色素記録層は、塗布による簡易な製造方法
により形成することにより得ることができるので、製造
上極めて有利である。
さらに、本発明は、記録および再生をレーザーの反射
光を検出することにより行なうことができるので、市販
の追記型光ディスクの反射光を検出する方法を利用する
ことができる。
[発明の詳細な記述] 本発明の波長多重光記録媒体は、基板上に色素からな
る記録層が多層形成された基本構造を有する。
本発明の波長多重光記録媒体、たとえば以下に述べる
ような方法により製造することができる。
本発明の基板材料として、例えばガラス;ポリカーボ
ネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;
ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系
樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィンおよ
びポリエステルなどを挙げることができ、所望により併
用してもよい。なお、これらの材料はフィルム状として
または剛性のある基板として使うことができる。上記材
料の中で、耐湿性、寸法安定性および価格などの点から
ポリカーボネートが好ましい。
記録層が設けられる側の基板表面には、平面性の改
善、接着力の向上および記録層の変質の防止の目的で、
下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料としてはたと
えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタク
リル酸共重合体、スチレン・無水マレイナト共重合体、
ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミ
ド、スチレン・ビニルトルエン光重合体、クロルスルホ
ン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニ
ル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミ
ド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸
ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート等の高分子物質;およびシランカップリン
グ剤などの有機物質を挙げることができる。
下塗層は、たとえば上記物質を適当な溶剤に溶解また
は分散して塗布液を調製したのち、この塗布液をスピン
コート、ディップコート、エクストルージョンコートな
どの塗布法により基板表面に塗布することにより形成す
ることができる。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μm
の範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
また、基板(または下塗層)上には、トラッキング用
溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸が形成され
ていることが好ましい。上記ポリカーボネートなどの樹
脂材料を使用する場合は、樹脂材料を射出成形あるいは
押出成形などにより直接基板上にグルーブが設けられる
ことが好ましい。
またグルーブ形成を、プレグルーブ層を設けることに
より行なってもよい。プレグルーブ層の材料としては、
アクリル酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル
およびテトラエステルのうちの少なくとも一種のモノマ
ー(またはオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用
いることができる。
プレグルーブ層の形成は、まず精密に作られた母型
(スタンパー)上にアクリル酸エステルおよび重合開始
剤からなる混合液を塗布し、さらにこの塗布液層上に基
板を載せたのち、基板または母型を介して紫外線の照射
により液層を硬化させて基板の液相とを固着させる。次
いで、基板を母型から剥離することによりプレグルーブ
層の設けられた基板が得られる。
プレグルーブ層の層厚は一般に0.05〜100μmの範囲
にあり、好ましくは0.1〜50μmの範囲である。
本発明では、基板上に、色素からなる記録層が吸収極
大波長が相対的に短波長の層から順に二層以上積層さ
れ、且つ該積層された記録層のそれぞれが下記の条件
(1): nr+kr≧4 (1) を満足することが必要である; [但し、nrは当該記録層の吸収極大波長における複素屈
折率の実数部分およびkrは該複素屈折率の虚数部分を表
わす。]。
色素層の反射率および透過率を測定することにより色
素層の上記nrおよびKrの値を計算できることは既に公知
であり(例えば、有機合成化学協会誌第43巻第4号334
頁、1985年等)、従って、記録層が所望の反射率を得ら
れるように色素層のnrおよびKrの値を求めることも可能
である。しかしながら、本発明者等の検討によると、色
素の種類だけでなく、色素層を形成する際の種々の条件
(塗布方法、使用溶剤、色素濃度、層厚など)の差異に
より、形成された色素層の上記nrおよびKrは変化する。
このようなことから、本発明の吸収極大波長の吸収ピー
クは先鋭で且つ該波長で反射率の高い記録層は、まだ知
られていない。
吸収極大波長で高い反射率の記録層は、膜にした(一
般に40nmの層厚)時のnrとKrの大きい(あるいは大きい
と推定される)色素を適宜の溶剤に溶解して塗布液を調
製し、該塗布液を用いて会合あるいは配向状態を形成す
るように特定の塗布条件で基板上に塗布乾燥することに
より得られ易い。
このようにして形成された色素記録層で、上記の条件
(1)(および好ましくは条件(2))を満足する色素
記録層は、吸収極大波長およびその近傍において高い反
射率を有している。しかも、吸収極大波長の吸収ピーク
は先鋭で半値幅が狭い。そして、その極大波長のレーザ
ーの照射により反射率の低下が大きくなるため、再生時
に極めて大きな信号を得ることができる。従って、上記
記録層は波長多重光記録用に最適であり、この記録層を
積層することにより記録再生特性に優れた波長多重光記
録媒体を得ることができる。また、本発明では、短波長
の光を吸収する記録層ほど基板側に設けているが、一般
にこのような色素記録層は極大吸収波長より長波長側で
吸収が極めて低いため、その上に設けられる記録層に照
射されるレーザー光をほとんど吸収しないことから、記
録層をその極大吸収波長の短波長のものから設ける本発
明の媒体は波長多重光記録に適した構成を有していると
いえる。
さらに、上記の条件(1)は下記の条件(6): nr+kr≧5.26 (6) [但し、nrおよびkrは前記と同じ意味を表わす。] を満足することが好ましく、さらに、下記の条件
(7): nr+kr≧8 (7) [但し、nrおよびkrは前記と同じ意味を表わす。] を満足することが好ましい。
但し、上記多層記録層の内、基板上に設けられた第1
層のみは、4≧nr+kr≧2を満足するものでも用いるこ
とができる。これは、第1層は、その吸収位置が第2層
以上の吸収位置である長波長側に吸収が小さく第2層以
上への光吸収の影響は殆どなく、また短波長側に吸収を
持つ記録層が無いので短波長側での吸収位置の分離が要
求されないためである。
上記当該の記録層の層厚は、下記の条件(2): 10≦d≦100 (2) [但し、dは当該記録層の層厚(nm)を表わす。] を満足することが好ましい。さらに、下記の条件
(8): 20≦d≦70 (8) [但し、dは当該記録層の層厚(nm)を表わす。] を満足することが好ましい。
但し、上記多層記録層の内、最上層の記録層は、光を
更に透過させなくても良いので上記記録層の層厚(d)
を100nm以上にしても良い。
また、塗布により記録層上に別の記録層を設ける場
合、記録層塗布液の塗布(使用する溶剤により)により
下の色素記録層を溶解または膨潤して侵すことがあり、
これを防止するため記録層と記録層との間に中間層が設
けることが好ましい。そして、中間層は下記の条件
(3): 0<nm+km<3 (3) [但し、nmは該中間層の吸収極大波長における複素屈折
率の実数部分およびkmは該複素屈折率の虚数部分を表わ
す。] を満足することが好ましい。
上記記録層に使用することができる色素は、上記条件
(1)を満足する記録層を形成することが可能なもので
あると言えるが、そのような色素のうち、膜にした時の
吸収極大波長が500〜900nmの範囲にある色素が好まし
い。
上記記録層に使用される色素としては、例えばイミダ
ゾキノキサリン系色素等のシアニン系色素、オキソノー
ル色素、メロシアニン色素、ピリリウム色素、チオピリ
リウム色素およびヘテロアヌレン色素を挙げることがで
きる。上記イミダゾキノキサリン系色素は、下記の一般
式(I)で表わすことができる。
[ただし、R1およびR2は、置換基を有していても良い炭
素原子数8以下のアルキル基、アルキニル基、アルケニ
ル基又はアリール基を表わし、これらは互いに同一でも
異なっていても良く、Wは、酸素原子、硫黄原子または
N−R3を表わし(R3は置換基を有していても良いアルキ
ル基、アルケニル基又はアリール基を表わす)、Yは窒
素原子または水素原子の結合した炭素原子を表わし、Z
は芳香族環を形成するための原子群を表わし、Lは、置
換されていても良い3,5,もしくは7個のメチン基が共役
二重結合により連結されて生じる三価の基を表わし、そ
して、X-は陰イオンを表わす] 本発明に用いられる好ましい色素は、一般式(I)に
おいて、[R1およびR2は、置換基を有していても良い炭
素原子数8以下のアルキル基、Wは、N−R3(R3は置換
基を有していても良い炭素原子数8以下のアルキル基を
表わす)、は窒素原子、Lは、メチル基で置換されてい
てもよい3または5個のメチン基が共役二重結合により
連結されて生じる三価の基,X-はハライドイオン、Sb
F6 -、BF4 -、PF6 -およびClO4 -などの球状または四面体型
陰イオンを表わす]により表わされる化合物である。
特に好ましくは、一般式(I)は、[R1およびR2は、
炭素原子数1〜3のアルコキシ基、炭素原子数1〜3の
アルキルチオ基またはアセトキシ基を有する炭素原子数
4以下のアルキル基または無置換の炭素原子数4以下の
直鎖のアルキル基、Wは、N−R3(R3はR1およびR2で定
義されたものと同じアルキル基を表わす)、Yは窒素原
子、Lは、メチル基で置換されていてもよい3または5
個のメチン基が共役二重結合により連結されて生じる三
価の基、Zは無置換のベンゼン環を形成するための原子
群を表わし、そしてX-はClO4 -を表わす]により表わさ
れる化合物である。
本発明の波長多重光記録媒体に使用される好ましい色
素例1〜31を以下に示すが、本発明はこれらのみに限定
されるものではない。
上記記録層の形成には、上述の色素と共に耐光性を向
上させるためにいわゆる一重項酸素クエンチャーとして
知られている種々の色素、例えば下記の一般式(II)、
(III)または(IV)で表わされる化合物を併用しても
良い。
(ただし[Cat]はテトラアルキルアンモニウムなど
の非金属陽イオンを表わし、MはNiなどの遷移金属原子
を表わし、ZおよびZ′は置換されていても良いベンゼ
ン環、2−チオクソ−1,3−ジチオール環などの5ない
し6員の芳香環もしくはヘテロ環を完成するための原子
団を表わす) [式中Rは、置換基を有していてもよいアルキル基を表
わし、Q-は一般式(I)のX-で示したものと同じ陰イオ
ンを表わす] [式中Rは一般式(II)と同義の基を表わし、Q-は一般
式(II)と同義の陰イオンを表わす] 上記一般式(II)、(III)または(IV)で表わされ
るクエンチャーの具体例としては、PA−1006(三井東圧
ファイン(株))、IRG−023、IRG−022およびIRG−003
(以上日本化薬(株))などを挙げることができる。
上記クエンチャーの添加量は、上記一般式(I)の色
素100重量部に対して5〜30重量部が好ましい。
記録層の形成は、上記色素、さらに所望により上記ク
エンチャー、結合剤などを溶剤に溶解して塗布液を調製
し、次いでこの塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成
したのち乾燥することにより行なうことができる。
本発明の色素層塗布液調製用の溶剤としては、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステ
ル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイ
ソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−
ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;
ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンな
どの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、
ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンア
ルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロ
パノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエ
チレングリコールエーテル類などを挙げることができ
る。
塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、
滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合に結合剤としては、たとえばゼ
ラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴ
ムなどの天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭
化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系
樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル
等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ
エチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導
体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹
脂の初期縮合物などの合成有機高分子物質を挙げること
ができる。
記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤
に対する色素の比率は一般に0.01〜99%(重量比)の範
囲にあり、好ましくは1.0〜95%(重量比)の範囲にあ
る。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、デ
ィップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクタ
ーロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができ
る。
本発明の記録層の好ましい形成方法は; 上記色素のうち膜にした時のnrとkrの大きい色素を有
機溶剤(好ましくは、弗素含有溶剤)に溶解して、 所定の色素濃度(好ましくは、0.1〜5.0重量%、さら
に好ましくは1.0〜3.0重量%)の塗布液を調製し、 塗布機としてスピンコーターを用いて、下記の条件に
て、色素の会合あるいは配向させるように塗布乾燥を行
なうことが好ましい。
塗布(乾燥)温度:好ましくは−25〜40℃の範囲 回転数:塗布時100〜500rpm(好ましくは200〜300)rpm
で1〜60秒(好ましくは2〜20秒)、 :乾燥時1000〜8000rpm(好ましくは1500〜5000r
pm)で5〜120秒(好ましくは10〜90秒)。
さらに好ましくは、基板上にガスを0.1〜50/分で
送りながら、上記条件で塗布乾燥を行なうことであり、
上記ガスとしては窒素、二酸化炭素等を使用することが
好ましい。
このようにして、nrとkrの大きい色素を用いて上記条
件(1)を満足するように記録層を積層することによ
り、反射層が高く、記録再生特性にも優れた波長多重光
記録媒体を得ることができる。
多重光記録のための複数の記録層は、上記の条件
(1)を満足する色素を溶剤に溶解した塗布液を、スピ
ンコート法により塗布し、そして乾燥することによりレ
ーザーの照射による情報の書き込みが可能な色素記録層
を形成し、 次いで、該記録層上に、該記録層に用いた色素より記
録層とした時の吸収極大波長が相対的に長波長側で且つ
上記の条件(1)を満足する色素を溶剤に溶解した塗布
液を、スピンコート法により塗布し、そして乾燥するこ
とにより記録層を形成することにより行なわれる。そし
て、少なくとも後の工程(前記工程B)を一回行なうこ
とにより基板上に吸収極大波長が相対的に短波長の層か
ら順に二層以上の記録層を形成することができる。
上記塗布方法に加えて、基板を一定方向に延伸した
り、基板を摩擦したり、色素塗布液に塩類や樹脂を添加
したり、あるいは色素層形成後該層に機械的あるいは熱
的刺激を与えるなどにより、色素の会合または配向が促
進され高反射率が得られ易いことから、これらの処理を
加えても良い。
本発明では、前記のように記録層と記録層との間に中
間層が設けることが好ましい。そして、中間層は下記の
条件(3): 0<nm+km<3 (3) [但し、nmは該中間層の吸収極大波長における複素屈折
率の実数部分およびkmは該複素屈折率の虚数部分を表わ
す。] を満足することが好ましい。
さらに、Km<0.1であることが好ましい。
上記中間層の材料としては、ポリブタジエン、アキリ
ル系樹脂および弗素樹脂などを挙げることができる。ポ
リブタジエンが好ましい。これらの樹脂を下層の色素記
録層を侵さない溶剤を用いて塗布形成することが好まし
い。上記条件(3)を満足する無機化合物や上記弗素樹
脂を蒸着、スパッタリングにより中間層を形成しても良
いが、製造上塗布の方が好ましい。
中間層の層厚は、10〜1000nmの範囲が好ましく、特に
30〜300nmの範囲が好ましい。
本発明の波長多重光記録媒体は、耐光性を向上させる
ため特定の波長域の光を遮蔽するためにフィルター層を
設けても良い。フィルター層は、基板上に色素層を介し
てまたは他の層を介して設けられても良い。フィルター
層は、塗布により設けても良いし、薄膜状のフィルター
を貼りつけて形成してもよい、あるいはフィルター層を
形成する代わりに基板自体を着色しても良い。特定の波
長域の光を遮蔽するため種々の色素や顔料を適宜使用す
ることができる。
本発明の波長多重光記録媒体は、記録層のみで高い反
射率が得られることから、記録層の上に反射層を設ける
必要はないが、特定の目的のため、例えば保護層を兼ね
て記録層上に、あるいは記録層より内側または外側にプ
レフォーマッテング用ピットの反射層とする目的で、反
射層が設けられてもよい。
反射層の材料である光反射性物質はレーザー光に対す
る反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、
Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、F
e、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、C
d、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金
属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることがで
きる。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、C
u、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。これらの物
質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せ
でまたは合金として用いてもよい。
反射層は、たとえば上記光反射性物質を蒸着、スパッ
タリングまたはイオンプレーティングすることにより記
録層の上に形成することができる。反射層の層厚は一般
には100〜3000Åの範囲にある。
また、記録層上または反射層の上には、記録層などを
物理的および化学的に保護する目的で保護層が設けられ
てもよい。この保護層は、基板の記録層が設けられてい
ない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的で設けられても
よい。
保護層に用いられる材料の例としては、SiO、SiO2、M
gF2、SnO2、Si3N4等の無機物質;熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができ
る。
保護層は、たとえばプラスチックの押出加工で得られ
たフィルムを接着層を介して記録層(反射層)上および
/または基板上にラミネートすることにより形成するこ
とができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布
等の方法により設けられてもよい。また、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶
解して塗布液を調製したのち、この塗布液を塗布し、乾
燥することによっても形成することができる。UV硬化性
樹脂の場合には、そのままもしくは適当な溶剤に溶解し
て塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、UV光を照
射して硬化させることによっても形成することができ
る。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止
剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加しても
よい。記録層上に直接保護層形成材料を塗布する場合
は、該記録層を保護層の塗布液の溶解作用から守るため
記録層上にポリブタジエンなどを塗布(その際溶剤とし
ては記録層を溶解しない溶剤を用いる)することにより
保護層形成用下塗層を設けることが好ましい。該下塗層
は、金属等の薄膜を蒸着により設けてもよい。
保護層の層厚は一般には0.1〜100μmの範囲にある。
さらに、記録層上に保護層を形成するの代わりに、記
録層上にプラスチックのフィルムを基板の内周及び外周
にて融着して設け、これにより記録層を保護してもよ
い。
本発明において、情報記録媒体は上述した構成からな
る単板であってもよいが、あるいは更に上記構成を有す
る二枚の基板を記録層が内側となるように向い合わせ、
接着剤等を用いて接合することにより、貼合せタイプの
記録媒体を製造することもできる。あるいはまた、二枚
の円盤状基板のうちの少なくとも一方に上記構成を有す
る基板を用いて、リング状内側スペーサとリング状外側
スペーサとを介して接合することにより、エアーサンド
イッチタイプの記録媒体を製造することもできる。
本発明の基板上に色素層が形成された情報記録媒体
は、高反射率材料として、例えば赤外線反射体などの光
学素子として利用することも可能である。塗布により容
易に製造できる点でも有利である。
本発明の情報記録媒体は上記のような方法で製造する
ことができる。
情報の記録および再生は、上記波長多重光記録媒体を
用いて、例えば次のように行なわれる。
まず、波長多重光記録媒体を定線速度(CDフォーマッ
トの場合は1.2〜1.4m/秒)または定角速度にて回転させ
ながら、基板側から半導体レーザー光などの記録用の光
を照射する。この光の照射により、記録層にピット
(孔)が形成されることにより、あるいは記録層に変
色、会合状態の変化等により屈折率が変化することによ
り情報が記録されると考えられる。この光の照射は、レ
ーザーを記録層の数と同数用いて、記録層一層づつ順次
記録しても良いし、任意の数の記録層に同数のレーザー
を照射して一度にあるいは順次情報を記録しても良い。
使用される光は、当該の記録層の極大吸収波長に対し
て下記の条件(4): λ−20≦λ≦λ+60 (4) [但し、λは当該記録層の吸収極大波長およびλ
当該記録層の記録に用いる光の波長を表わす。] を満足することが必要である。
上記記録に用いる光は、レーザーを用いないで、広波
長領域に亙る光を放射する光源をカットフィルターなど
により取り出される複数の波長の光を用いても良い。
上記のように記録された情報の再生は、情報記録媒体
を上記と同一の定線速度で回転させながら、上記の条件
(4)を満足する記録に用いる光の波長と同波長のレー
ザーを記録層の数と同数用いて、任意の数の記録層に同
数のレーザーを照射してその記録層からの反射光を検知
することにより行なわれる。再生は、順次行なっても良
いし、あるいは一度に行なっても良い。
以下に、本発明の実施例を記載する。本発明はこれに
限定されるものではない。
[実施例1] 第一記録層形成用塗布液の調製 前記色素番号29の色素1gを2,2,3,3−テトラフロロ−
1−プロパノールに溶解して1重量%の濃度の第一記録
層形成用塗布液を調製した。
中間層形成用塗布液の調製 ポリブタジエン(No.668、サイエンティフィックポリ
マープロダクツ製)0.6gをシクロヘキサン15ccとn−ノ
ナン10ccとに溶解して中間層形成用塗布液を調製した。
第二記録層形成用塗布液の調製 前記色素番号19の色素1gを2,2,3,3−テトラフロロ−
1−プロパノールに溶解して1重量%の濃度の第二記録
層形成用塗布液を調製した。
第三記録層形成用塗布液の調製 前記色素番号4の色素1gを2,2,3,3−テトラフロロ−
1−プロパノールに溶解して1重量%の濃度の第三記録
層形成用塗布液を調製した。
第四記録層形成用塗布液の調製 前記色素番号2の色素2gを2,2,3,3−テトラフロロ−
1−プロパノールに溶解して2重量%の濃度の第四記録
層形成用塗布液を調製した。
プレグルーブが設けられた円盤状のポリカーボネート
基板(外径:120mm、内径:15mm、厚さ:1.2mm、トラック
ピッチ:1.6μm、グルーブの深さ:800Å、グルーブ位
置:直径45mm〜116mmの範囲)と塗布液を22℃にした
後、該基板上に上記第一記録層形成用塗布液をスピンコ
ート法により回転数3000rpmの速度で温度22℃の窒素を
0.6/分で基板表面に送りながら30秒間塗布し、回転
数をそのままでさらに90秒間回転させて乾燥することに
より層厚が36nmの第一記録層を形成した。
上記第一記録層の上に、上記中間層形成用塗布液をス
ピンコート法により回転数3000rpmの速度で30秒間塗布
し、そのまま90秒間回転させて乾燥することにより層厚
が22nmの中間層を形成した。
上記中間層上に、上記第二記録層形成用塗布液をスピ
ンコート法により回転数3000rpmの速度で温度22℃の窒
素を0.6/分で基板表面に送りながら30秒間塗布し、
回転数をそのままでさらに90秒間回転させて乾燥するこ
とにより層厚が32nmの第二記録層を形成した。
上記第二記録層の上に、上記中間層形成用塗布液をス
ピンコート法により回転数3000rpmの速度で30秒間塗布
し、そのまま90秒間回転させて乾燥することにより層厚
が22nmの中間層を形成した。
上記中間層上に、上記第三記録層形成用塗布液をスピ
ンコート法により回転数300rpmの速度で温度22℃の窒素
を0.6/分で基板表面に送りながら30秒間塗布し、回
転数をそのままでさらに90秒間回転させて乾燥すること
により層厚が37nmの第三記録層を形成した。
上記第三記録層の上に、上記中間層形成用塗布液をス
ピンコート法により回転数3000rpmの速度で30秒間塗布
し、そのまま90秒間回転させて乾燥することにより層厚
が22nmの中間層を形成した。
上記中間層上に、上記第四記録層形成用塗布液をスピ
ンコート法により回転数4000rpmの速度で温度22℃の窒
素を0.6/分で基板表面に送りながら30秒間塗布し、
回転数をそのままでさらに90秒間回転させて乾燥するこ
とにより層厚が34nmの第四記録層を形成した。
上記七層の形成は、スピンナーにスピンコート用のノ
ズルを五つ取り付けて、塗布と乾燥を繰り返して連続的
に行なった。
このようにして、基板上に第一記録層、中間層、第二
記録層、中間層、第三記録層、中間層及び第四記録層
が、この順で七層設けられた波長多重光記録媒体を作成
した。
上記実施例1で示したポリカーボネート基板はそのま
ま、各色素記録層および中間層は、基板をガラス基板に
変えた以外上記と層厚、塗布条件などの条件を同じにし
て形成し、下記のように極大吸収波長における複素屈折
率の実数部分(nr)および虚数部分(kr)を測定した。
上記得られた各層の層厚(d)は、その断面の電子顕
微鏡写真から求めた。
また、上記色素層が形成された基板を、分光光度計
((株)日立製作所製)を用いて、基板側より反射スペ
クトル(R)を測定し、色素層側から透過スペクトル
(T)測定した。これより、吸収極大波長における、記
録層の複素屈折率(nr、kr)を、吸収極大波長における
RおよびTから公知の計算法に従い計算した。
ポリカーボネートの屈折率:1.58 第一記録層 吸収極大波長:623nm 複素屈折率のnr:2.9、 kr:4.84 中間層 吸収極大波長:600〜840nm 複素屈折率のnr:1.5、 kr:0.0 第二記録層 吸収極大波長:675nm 複素屈折率のnr:3.07、 kr:3.7 第三記録層 吸収極大波長:751nm 複素屈折率のnr:1.64、 kr:3.93 第四記録層 吸収極大波長:841nm 複素屈折率のnr:2.82、 kr:5.35 上記で得られた多重波長光記録媒体に、短波長側から
He−Neガスレーザーおよび三種類の半導体レーザーを順
に照射して、第一から第四の四つの記録層にそれぞれ情
報を記録した。記録時の条件は、レーザー波長とレーザ
ーパワーとが第一記録層の時:635nm,5mW、第二記録層の
時:690nm,5mW、第三記録層の時:770nm,4mW、第四記録層
の時:858nm,2mW、定線速度1.3m/分であった。各記録層
の記録前と後の反射率を顕微分光光度計を用いて測定し
た。その結果を第1表に示す。
上記に示すように、各記録層の記録前後の反射率の変
化が32〜42%あり、信号の検出が容易であることが分か
る。
実施例1では、記録層が四層設けられた波長多重光記
録媒体を示したが、実施例1で例えば二層の記録層を設
けた所まで実施すれば、記録層二層の波長多重光記録媒
体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 7/26 531 7416−2H B41M 5/26 Y

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、レーザーの照射による情報の書
    き込みが可能で、極大吸収波長が互いに異なる色素から
    なる記録層が二層以上、基板側から順に吸収極大波長が
    相対的に短波長の層が配置されるように積層され、且つ
    該積層された記録層のそれぞれが下記の条件(1): nr+kr≧4 (1) を満足することを特徴とする波長多重記録媒体; [但し、nrは当該記録層の吸収極大波長における複素屈
    折率の実数部分およびkrは該複素屈折率の虚数部分を表
    わす。]。
  2. 【請求項2】上記当該の記録層が下記の条件(2): 10≦d≦100 (2) [但し、dは当該記録層の層厚(nm)を表わす。] を満足することを特徴とする請求項第1項記載の波長多
    重光記録媒体。
  3. 【請求項3】上記記録層の間に中間層が設けられ、且つ
    該中間層が下記の条件(3): 0<nm+km<3 (3) [但し、nmは該中間層の吸収極大波長における複素屈折
    率の実数部分およびkmは該複素屈折率の虚数部分を表わ
    す。] を満足することを特徴とする請求項第1項記載の波長多
    重光記録媒体。
  4. 【請求項4】基板上に、記録層とした時に下記の条件
    (1): nr+kr≧4 (1) [但し、nrは当該記録層の吸収極大波長における複素屈
    折率の実数部分およびkrは該複素屈折率の虚数部分を表
    わす。] を満足する色素を溶剤に溶解した塗布液を、スピンコー
    ト法により塗布し、そして乾燥することによりレーザー
    の照射による情報の書き込みが可能な記録層を形成する
    工程(A)、および 該記録層上に、該記録層に用いた色素より記録層とした
    時の吸収極大波長が相対的に長波長側で且つ上記の条件
    (1)を満足する色素を溶剤に溶解した塗布液を、スピ
    ンコート法により塗布し、そして乾燥することにより記
    録層を形成する工程(B) からなり、少なくとも工程(B)を一回行なうことによ
    り基板上に吸収極大波長が相対的に短波長の層から順に
    二層以上の記録層を形成することを特徴とする波長多重
    光記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】基板上に、レーザーの照射による情報の書
    き込みが可能で、極大吸収波長が互いに異なる色素から
    なる記録層が二層以上、基板側から順に吸収極大波長が
    相対的に短波長の層が配置されるように積層され、且つ
    該積層された記録層のそれぞれが下記の条件(1): nr+kr≧4 (1) [但し、nrは当該記録層の吸収極大波長における複素屈
    折率の実数部分およびkrは該複素屈折率の虚数部分を表
    わす。] を満足することからなる波長多重光記録媒体に、当該の
    記録層の極大吸収波長に対して下記の条件(4): λ−20≦λ≦λ+60 (4) [但し、λは当該記録層の吸収極大波長およびλ
    当該記録層の記録に用いるレーザーの発振波長を表わ
    す。] を満足するレーザーを記録層の数と同数用いて、任意の
    数を記録層に同数のレーザーを照射して一度にあるいは
    順次情報を記録することを特徴とする光多重記録方法。
  6. 【請求項6】基板上に、レーザーの照射による情報の書
    き込みが可能で、極大吸収波長が互いに異なる色素から
    なる記録層が二層以上、基板側から順に吸収極大波長が
    相対的に短波長の層が配置されるように積層され、且つ
    該積層された記録層のそれぞれが下記の条件(1): nr+kr≧4 (1) [但し、nrは当該記録層の吸収極大波長における複素屈
    折率の実数部分およびkrは該複素屈折率の虚数部分を表
    わす。] を満足することからなる波長多重光記録媒体に、当該の
    記録層の極大吸収波長に対して下記の条件(4): λ−20≦λ≦λ+60 (4) [但し、λは当該記録層の吸収極大波長およびλ
    当該記録層の記録に用いるレーザーの発振波長を表わ
    す。] を満足するレーザーを記録層の数と同数用いて、任意の
    数を記録層に同数のレーザーを照射して一度にあるいは
    順次情報を記録した後、 該情報が記録された波長多重光記録媒体に、当該の記録
    層の極大吸収波長に対して下記の条件(6): λ−20≦λ≦λ+60 (6) [但し、λは当該記録層の吸収極大波長およびλ
    当該記録層の再生に用いるレーザーの発振波長を表わ
    す。] を満足するレーザーを記録層の数と同数用いて、任意の
    数の記録層に同数のレーザーを照射してその記録層から
    の反射光を検知することにより一度にあるいは順次情報
    を再生することを特徴とする光多重記録再生方法。
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