JP2530194B2 - 表面あらさのあらい試験品の浸透探傷試験方法及び該試験方法に使用する洗浄剤 - Google Patents

表面あらさのあらい試験品の浸透探傷試験方法及び該試験方法に使用する洗浄剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、表面あらさのあらい試験品の浸透探傷試験
方法及び該試験方法に使用する洗浄剤に関するものであ
り、多孔質のセラミックス製品や鋳肌の鋳造製品のよう
な表面あらさのあらい物品の非破壊検査に好適な浸透探
傷試験方法を提供するものである。
〔従来の技術〕
周知の通り、各種機械部品の表面に存在する微細なク
ラックや微小のピンホールの如き表面開口欠陥部の探傷
に適用される非破壊検査法の一種として「JIS Z2343−1
982」に規格化されている浸透探傷試験方法が汎用され
ている。
前記浸透探傷試験方法は、試験品の表面に浸透性の大
きい液体に可視染料(通常、赤色)又は螢光染料(通
常、紫外線灯照射下で黄〜黄緑色)を溶解させてなる浸
透液を付着させて該浸透液を欠陥部内に浸透させた後、
当該試験品の表面を洗浄して欠陥部内に浸透せずに試験
品の表面に残留している余剰浸透液を除去し、欠陥部内
に残留している浸透液により形成される欠陥指示模様に
よつて欠陥部の存在・位置を探傷することを基本とする
ものである。
そして、前掲規格にも示されている通り、浸透液の種
類によつて、「水洗性染色浸透液を使用する方法」、
「溶剤除去性染色浸透液を使用する方法」、「水洗性螢
光浸透液を使用する方法」、「後乳化性螢光浸透液を使
用する方法」及び「溶剤除去性螢光浸透液を使用する方
法」の5種の分類されており、また、欠陥指示模様の形
成に際して白色微粉末状の現像剤を用いる方法と用いな
い方法とに大別されている。
当業界においては、試験品の性状に応じて前記5種の
方法から適切な方法を適宜選択し、また現像剤を用いる
か、否かを適宜決定して浸透探傷試験方法が実施されて
いる。例えば、「(社)日本非破壊検査協会編:非破壊
検査シリーズ:浸透探傷試験A:(社)日本非破壊検査協
会:昭和61年2月1日(1976年版第10刷)」(以下、
「文献」という)の14〜16頁に記載されている通り、比
較的表面あらさのあらい物品を試験品とする場合には
「水洗性染色浸透液を使用する方法」又は「水洗性螢光
浸透液を使用する方法」は適用できるが、その他の方法
は適用できないとされている。また、通常、比較的表面
あらさのあらい物品を試験品として「水洗性染色浸透液
を使用する方法」又は「水洗性螢光浸透液を使用する方
法」を実施する場合には現像剤を用いないケースが多
い。
今、当業界において比較的表面あらさのあらい物品を
試験品として浸透探傷試験方法を実施するに当つて採ら
れている代表的な態様を挙げれば次の通りである。
即ち、試験品の表面に水洗性染色浸透液又は水洗性螢
光浸透液を付着させて該浸透液を表面開口欠陥部内に浸
透させる浸透処理を行ない、次いで当該試験品表面に水
を吹きつけて洗浄して欠陥部内に浸透せずに試験品表面
に残留している余剰浸透液を除去する洗浄処理を行な
い、次いで加熱乾燥又は自然乾燥によつて当該試験品表
面に付着している水分を除去する乾燥処理を行なつた
後、当該試験品表面を観察して欠陥部内に残留している
浸透液によつて形成される欠陥指示模様によつて欠陥部
の存在・位置を探傷する浸透探傷試験方法なる態様であ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
比較的表面あらさのあらい物品、具体的には「70S程
度の鋳肌」や「▽程度の仕上げ面」をもつ物品を試験品
とする場合には前掲態様によつて浸透探傷試験方法を適
用することが可能であるが、前掲文献の第4項に「……
浸透探傷試験は、試験体の表面あらさの影響をうけ易
い。すなわち、試験体の表面のおうとつが激しい程洗浄
処理が難しくなり、余剰浸透液によるバックグランドが
指示模様の識別性を低下させる。従つて、表面が著しく
あらいものあるいは多孔質な試験体では探傷が困難にな
る……」と述べられている通り、試験品とする物品の表
面あらさが、よりあらくなると前掲態様は適用できなく
なつてしまうという問題点がある。
より具体的には、「特開昭61−68545号公報」(以
下、「公報」という)に「……螢光探傷法には、螢光液
を洗浄する工程が伴うが、洗浄が不充分である場合に
は、欠陥が、残存する螢光液によつて覆い隠されること
になり、また洗浄が過度の場合には、欠陥内の螢光液が
洗い流されることになり、何れの場合においても欠陥の
検出漏れが生ずることになる。この洗浄後も螢光液が残
存するという問題は、セラミックの場合、その焼成面に
凹凸があるため特に生じ易く……」と述べられている通
りである。
かゝる問題点を解決する手段として前掲公報には、超
音波洗浄によつて余剰浸透液を除去するという技術的手
段が開示されている。
しかしながら、超音波洗浄を行なうためには、当然の
ことながら超音波発振器が必須となり、その設置費、操
作、保守管理等の点で新たな問題が発生してくることに
なる。
更に、超音波洗浄による場合にも、バックグランドが
少なくなるように余剰浸透液を可及的に除去するととも
に明確な欠陥指示模様が形成されるように欠陥部内の浸
透液を可及的に残存させるという要求を満たすことは大
変難しい問題である。
本発明は、前記諸問題を解決するため、超音波発振器
のような特殊な機器を使用することなく、洗浄処理が容
易に遂行でき、多孔質のセラミックス製品や鋳肌の鋳造
製品のような著しく表面あらさがあらい物品を試験品と
して簡易且つ感度よく浸透探傷試験方法が実施できる技
術的手段を提供することを技術的課題とするものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
前記課題は、従来より当業界において比較的表面あら
さのあらい物品を試験品として浸透探傷試験方法を実施
するに当つて採られている前掲態様において、洗浄処理
として、次の通りの技術的手段を採ることによつて解決
できる。
即ち、浸透処理が行われた試験品表面に水を吹きつけ
て行なう1次洗浄と水に0.03〜0.5重量%のさらし粉及
び/又は次亜塩素酸ソーダが溶解されており且つ酸によ
つてpH値が2.0〜4.5の範囲に調節されている水溶液から
なる洗浄剤に1次洗浄が行われた試験品を浸漬して行な
う2次洗浄とからなる洗浄処理なる技術的手段である。
より詳しく説明すれば、先ず、多孔質のセラミックス
製品や鋳肌の鋳造製品のような著しく表面あらさのあら
い物品を試験品として、その表面に水洗性染色浸透液又
は水洗性螢光浸透液を付着させて該浸透液を表面開口欠
陥部内に浸透させる浸透処理を行なう。
浸透処理は、常法通り浸漬、ハケ塗り、スプレー等の
手段によつて浸透液を試験品表面に付着させることによ
り行われ、水洗性染色浸透液、水洗性螢光浸透液には市
販品が用いられる。前者の代表的処方は石油系混合溶
剤、芳香族カルボン酸エステル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル、水等からなる浸透性の大きい液
体にアゾ系赤色油溶性染料が約2重量%程度添加された
ものであり、市販品としては、スーパーチエック浸透探
傷剤UP−G III(商品名:マークテック(株)製)、同
P−L・1(商品名:マークテック(株)製)、同P−
G III(商品名:マークテック(株)製)等がよく知ら
れており、後者の代表的処方はグリコールエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアリルエーテル、水等からな
る浸透性の大きい液体にナフトールイミド型油溶性螢光
染料やベンゾトリアゾール型油溶性螢光染料が約1.5重
量%程度添加されたものであり、市販品としては、スー
パーグロー浸透探傷剤OD−18S(商品名:マークテック
(株)製)、同OD−1800(商品名:マークテック(株)
製)等がよく知られている。
次に、上述の浸透処理を行なつた試験品に前記の1次
洗浄と2次洗浄とからなる洗浄処理を行なう。
1次洗浄は、常法通り、スプレーノズル又はシヤワー
ノズルを用いて水を3.5kg/cm2以下の水圧、好ましくは
1〜3kg/cm2の水圧で試験品表面に吹きつけることによ
つて行なう。
2次洗浄は、前記洗浄剤中に試験品を一定時間浸漬し
引き上げることによつて行なう。
前記洗浄剤は、水に所定量のさらし粉及び/又は次亜
塩素酸ソーダを溶解した後、該水溶液のpH値を測定しな
がらpH値が所定範囲となるまで酸を滴下することによつ
て得られる。
さらし粉、次亜塩素酸ソーダは、単独で用いても混合
して用いても、前記使用量の範囲内においては格別の差
異はない。
pH値の調節に用いる酸は、無機酸(例えば、塩酸、硫
酸、硝酸等)、有機酸(例えば、ギ酸、クエン酸、シュ
ウ酸等)のいずれでも用いることができる。最も好まし
い酸は塩酸である。
次に、上述の洗浄処理を行つた試験品を乾燥させる乾
燥処理を行なう。
乾燥処理は、常法通り、50℃以下の温度による加熱乾
燥又は室温下に放置する自然乾燥によつて試験品表面に
付着している水分が充分除去されるまで行われる。
最後に、上述の乾燥処理を行なつた試験品の表面を目
視にて観察する。
観察も常法通り、水洗性染色浸透液を用いた場合には
自然光又は白色灯の下で、水洗性螢光染色浸透液を用い
た場合には暗所にて紫外線灯の下で行なう。
尚、試験品が鋳造製品の場合には、上述の洗浄処理
後、周知の防錆処理(例えば、試験品を防錆剤含有液に
浸漬し引き上げる)を施し、その後、上述の乾燥処理を
行なうことが好ましい。
以上の通りの浸透探傷試験方法を実施すれば、試験品
が著しく表面あらさがあらい物品であるにもかゝわら
ず、その表面に欠陥部が存在する場合には、健全部との
コントラストがよい明瞭な欠陥指示模様を観察すること
ができる。
〔作 用〕
前記構成の著しく表面あらさがあらい物品を試験品と
する浸透探傷試験方法における浸透処理、乾燥処理及び
観察における各作用は、周知の浸透探傷試験方法におけ
るそれと全く同様のものである。
従つて、前記の1次洗浄と2次洗浄とからなる洗浄処
理の作用について詳述する。
前述の通り、試験品の表面あらさがあらくなればなる
程、浸透探傷試験方法の適用が困難となる要因は、「…
…洗浄処理が難しくなり、余剰浸透液によるバックグラ
ンドが指示模様の識別性を低下させる……」ことと余剰
浸透液によるバックグランドを少くするために洗浄を充
分に行えば「……欠陥内の螢光液(浸透液)が洗い流さ
れる……」ことにあるので、バックグランドがなく健全
部とのコントラストがよい明瞭な欠陥指示模様を得るた
めには、試験品表面の余剰浸透液を可及的に除去すると
ともに欠陥部内の浸透液は可及的に残存させるという要
求を満たさねばならないが、かゝる要件を満足させる洗
浄条件を見出すことは殆んど不可能である。
本発明者は、欠陥部内の浸透液が洗い流されない条件
で洗浄を行ない未洗浄の余剰浸透液が試験品表面に残留
していても、欠陥部内の浸透液の色調又は螢光輝度より
も残留している余剰浸透液の色調又は螢光輝度を退色若
しくは低下させれば、健全部とのコントラストがよい明
瞭な欠陥指示模様が得られると考えた。
前記の1次洗浄と2次洗浄とからなる洗浄処理は、上
記考えを具現化した技術的手段であり、その作用は次の
通りである。
即ち、1次洗浄は、常法通り、スプレーノズル又はシ
ヤワーノズルを用いて水を試験品に吹き付けることによ
り行なわれ、この場合の水圧は、前掲規格に示されてい
る3.5kg/cm2以下であるので、欠陥部内の浸透液が洗い
流されることはないが、試験品表面には未洗浄の余剰浸
透液が残留している。尚、この状態で試験品表面を観察
する場合には、健全部に余剰浸透液が存在しているため
健全部と欠陥指示模様とのコントラストは悪く精度良く
欠陥部を検知することは殆んど不可能である。
次に、上記状態の試験品を前記洗浄剤中に浸漬する2
次洗浄が行われると、化学反応によつて浸透液に含まれ
ている染料の色調又は螢光輝度が退色若しくは低下す
る。この場合、欠陥部内の浸透液はその開口部で前記洗
浄剤と接触するだけであるが健全部の浸透液の全面的に
前記洗浄剤と接触するので接触面積に差があり、後者の
接触面積が大きいことや欠陥部内の浸透液の厚みと健全
部の浸透液の厚みとに差があり、後者の厚みが薄いこと
等に起因して、欠陥部と健全部とでは浸透液量当りの化
学反応時間に差が生じるので、健全部の浸透液の色調又
は螢光輝度は欠陥部内の浸透液のそれよりもはやく退色
若しくは低下する。従つて、試験品を前記洗浄剤中に一
定時間浸漬して引き上げれば、試験品表面には、いまだ
未洗浄の余剰浸透液が残留しているが、健全部に存在す
る余剰浸透液の色調又は螢光輝度は欠陥部内の浸透液の
それと比較して退色若しくは低下したものとなつてい
る。
尚、染料の色調、螢光輝度の退色、低下は、染料が前
記洗浄剤と接触することによつて惹起する酸化又は還元
の化学反応によつて、染料の発色団、助色剤、助螢団、
二重結合等が破壊されるためと推定される。
前記洗浄剤の処方は、最も効果的に上記の作用を奏す
る処方として、本発明者が数多くの試行錯誤的な実験を
行つた結果見出したものであり、本発明者にとつて入手
可能であつた市販の水洗性染色浸透液及び水洗性螢光浸
透液の全てについて実験を行ない、前記洗浄剤を用いれ
ば10分以内の浸漬によつて欠陥部内の浸透液の色調又は
螢光輝度よりも健全部に残留している余剰浸透液のそれ
を退色若しくは低下させて健全部とのコントラストがよ
い明瞭な欠陥指示模様が得られることを確認している。
浸漬時間が10分以上となると探傷試験に長時間を要す
るので実用上問題があるが、前記処方によれば、10分以
内、通常1〜5分低度の浸漬時間によつて健全部とのコ
ントラストのよい明瞭な欠陥指示模様が得られるまで健
全部に残留している余剰浸透液の色調又は螢光輝度を退
色若しくは低下させることができる。
尚、さらし粉及び/又は次亜塩素酸ソーダが0.03重量
%以下である場合には浸透液の色調又は螢光輝度の退色
若しくは低下に極めて長い時間を必要とすることにな
り、0.5重量%以上である場合には欠陥部内の浸透液の
それを過度に退色若しくは低下させてしまう危険がある
とともに取扱いにも支障をきたすことになる。実用上の
望ましい範囲は0.1〜0.2重量%である。酸によるpH調節
は、さらし粉及び/又は次亜塩素酸ソーダの作用を助長
するためであり、酸によつてpH値を2.0〜4.5の範囲に調
節しない場合には、さらし粉及び/又は次亜塩素酸ソー
ダを0.5重量%にしても浸透液の色調又は螢光輝度の退
色若しくは低下に極めて長い時間が必要となる。
以上の通りの作用の1次洗浄と2次洗浄とからなる洗
浄処理を行つた試験品に乾燥処理を施こした後、試験品
表面を常法に従つて観察すれば健全部とのコントラスト
がよい明瞭な欠陥指示模様を肉眼で認めることができ
る。この場合、乾燥によつて欠陥部内から試験品表面に
にじみ出て欠陥指示模様を形成する浸透液の色調又は螢
光輝度と比較して健全部に存在する余剰浸透液のそれは
退色若しくは低下したものとなつているので、健全部と
欠陥指示模様との色調又は螢光輝度のコントラストは極
めてよいものとなつている。
より具体的に説明すると、例えば、水洗性螢光浸透液
を用いて浸透処理後、1次洗浄のみを行ない、乾燥処理
を施した場合における試験品表面の健全部の螢光輝度値
(以下、「N値」という)が50%、欠陥指示模様の螢光
輝度値(以下、「S値」という)が100%とすれば、こ
の場合のS/Nは2であるが、1次洗浄に引き続き試験品
を前記洗浄剤中に浸漬する2次洗浄を行ない、乾燥処理
を施した場合に、N値が20%に低下し、S値が70%に低
下すれば、この場合のS/Nは3.5となり、S/Nは1.5向上す
ることになる。
〔実施例〕
実施例 1. 白色セラミックス管体を、スーパーグロー浸透探傷剤
OD−18S(商品名:マークテック(株)製:水洗性螢光
浸透液)に1分間浸漬し、引き上げ後4分間放置する浸
透処理を行ない、次いで該管体の表面に水を3.5kg/cm2
の圧でシヤワー散布して1次洗浄を行ない、引き続き該
管体を、水にNaOCl2000ppmとHCl1000ppmとを含むpH3.0
の洗浄剤に、3分間浸漬して2次洗浄を行ない、引き上
げ後、室温で5分間放置する自然乾燥を行なつた後、暗
室において紫外線灯(ブラックライト)を照射して該管
体表面を肉眼で観察したところ、黄緑色の螢光を発する
明瞭な欠陥指示模様によつてピンホールの存在が探傷で
きた。
尚、ブラット アンド ホイットニー(Pratt & Whi
tney)社の検査規格指定装置として定められているフオ
トマルチシステム(光センサー使用)によつて、上記管
体の表面のN値とS値とを測定したところ、N値は20
%、S値は80%であり、S/Nは4であつた。
一方、比較のため、2次洗浄を行なわなかつた他は上
記と全く同様にして探傷試験を行なつたところ、バック
グランドが多く欠陥指示模様の確認が困難であり、この
場合のN値とS値の測定結果はN値は80%、S値は100
%であり、S/Nは1.25であつた。
実施例 2. 白色セラミックス管体を、スーパーチエック浸透探傷
剤P−L・1(商品名:マークテック(株)製:水洗性
染色浸透液)に1分間浸漬し、引き上げ後4分間放置す
る浸透処理を行ない、次いで該管体の表面に水を2kg/cm
2の圧でシヤワー散布して1次洗浄を行ない、引き続き
該管体を、実施例1と同じ洗浄剤に30秒間浸漬して2次
洗浄を行ない、引き上げ後、室温で5分間放置する自然
乾燥を行なつた後、白色灯の下で該管体表面を肉眼で観
察したところ、赤色の明瞭な欠陥指示模様によつてピン
ホールの存在が探傷できた。尚、健全部は薄いピンク色
を呈していた。
一方、比較のため、2次洗浄を行なわなかつた他は上
記と全く同様にして探傷試験を行なつたところ、バック
グランドが多く欠陥指示模様の確認が困難であつた。
実施例 3. 水洗性染色浸透液としてスーパーチエック浸透探傷剤
P−G III(商品名:マークテック(株)製)を用い、
2次洗浄における浸漬時間を6分間とした他は、実施例
2と同様にして探傷試験を行なつたところ、赤色の明瞭
な欠陥指示模様によつてピンホールの存在が探傷でき
た。尚、健全部は薄いピンク色を呈していた。
実施例 4. 水洗性染色浸透液としてスーパーチエック浸透探傷剤
UP−G III(商品名:マークテック(株)製)を用い、
2次洗浄における浸漬時間を2分間とした他は、実施例
2と同様にして探傷試験を行なつたところ、赤色の明瞭
な欠陥指示模様によつてピンホールの存在が探傷でき
た。尚、健全部は薄いピンク色を呈していた。
実施例 5. 白色セラミックス製電子部品を、スーパーグロー浸透
探傷剤OD−18S(前出)に1分間浸漬し、引き上げ後4
分間放置する浸透処理を行ない、次いで該部品の表面に
水を2kg/cm2の圧でシヤワー散布して1次洗浄を行な
い、引き続き該部品を、水にさらし粉2000ppmとHCl1000
ppmとを含むpH3.0の洗浄剤に、4分間浸漬して2次洗浄
を行ない、引き上げ後、約40℃の熱風乾燥を行なつた
後、暗室において紫外線灯(前出)を照射して該部品の
表面を肉眼で観察したところ、黄緑色の螢光を発する明
瞭な欠陥指示模様によつて微細な割れ傷の存在が探傷で
きた。
尚、実施例1と同じ手段によつて上記部品の表面のN
値とS値とを測定したところ、その結果は実施例1の場
合と同じであつた。
実施例 6. 白色セラミックス製電子部品を、スーパーチエック浸
透探傷剤P−L・1(前出)に1分間浸漬し、引き上げ
後4分間放置する浸透処理を行ない、次いで該部品の表
面に水を1.5kg/cm2の圧でシヤワー散布して1次洗浄を
行ない、引き続き該部品を実施例5と同じ洗浄剤に1分
間浸漬して2次洗浄を行ない、引き上げ後、約40℃の熱
風乾燥を行なつた後、白色灯の下で該部品の表面を肉眼
で観察したところ、赤色の明瞭な欠陥指示模様によつて
微細な割れ傷の存在が探傷できた。尚、健全部は薄いピ
ンク色を呈していた。
一方、比較のため、2次洗浄を行なわなかつた他は上
記と全く同様にして探傷試験を行なつたところ、バック
グランドが多く欠陥指示模様の確認が困難であつた。
実施例 7. 水洗性染色浸透液としてスーパーチエック浸透探傷剤
UP−G III(前出)を用い、2次洗浄における浸漬時間
を3分間とした他は、実施例6と同様にして探傷試験を
行なつたところ、赤色の明瞭な欠陥指示模様によつて微
細な割れ傷の存在が探傷できた。尚、健全部は薄いピン
ク色を呈していた。
実施例 8. 水洗性染色浸透液としてスーパーチエック浸透探傷剤
PG−III(前出)を用い、2次洗浄における浸漬時間を
5分間とした他は、実施例6と同様にして探傷試験を行
なつたところ、赤色の明瞭な欠陥指示模様によつて微細
な割れ傷の存在が探傷できた。尚、健全部は薄いピンク
色を呈していた。
実施例 9. 鋳物製碍子キヤップを、スーパーグロー浸透探傷剤OD
−18S(前出)に1分間浸漬し、引き上げ後4分間放置
する浸透処理を行ない、次いで該キヤップの表面に水を
2.5kg/cm2の圧でシヤワー散布して1次洗浄を行ない、
引き続き該キヤップを、水にさらし粉1000ppm、NaOCl10
00ppm及びHNO31000ppmを含むpH2.6の洗浄剤に、3分間
浸漬して2次洗浄を行ない、引き上げ後、該キヤップ
を、亜硝酸ソーダ500ppmを含む水溶液に30秒間浸漬して
防錆処理を施こし、引き上げ後、約50℃の熱風乾燥を行
なつた後、暗室において紫外線灯(前出)を照射して該
キヤップの表面を肉眼で観察したところ、黄緑色の螢光
を発する明瞭な欠陥指示模様によつてピンホールの存在
が探傷できた。尚、健全部の螢光は非常に弱く、欠陥指
示模様と健全部とのコントラストは良好であつた。
〔効 果〕
以上説明した通りの本発明によれば、洗浄処理が極め
て困難な多孔質のセラミックス製品や鋳肌の鋳造製品の
ような表面あらさのあらい物品を試験品として、超音波
洗浄の如き特殊な洗浄手段を採ることなく、簡易且つ感
度よく浸透試験方法を実施することができる。
また、本発明における2次洗浄に用いられる洗浄剤
は、水に所要量のさらし粉、次亜塩素酸ソーダを溶解し
且つ酸によつてpH値を所定範囲に調節するだけで容易に
得ることができ、そのコストも非常に安価なものであ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試験品の表面に水洗性染色浸透液又は水洗
    性蛍光浸透液を付着させて該浸透液を表面開口欠陥部内
    に浸透させる浸透処理を行ない、次いで水を用いて当該
    試験品表面を洗浄して欠陥部内に浸透せずに試験品表面
    に残留している余剰浸透液を除去する洗浄処理を行な
    い、次いで加熱乾燥又は自然乾燥によつて当該試験品表
    面に付着している水分を除去する乾燥処理を行なつた
    後、当該試験品表面を観察して欠陥部内に残留している
    浸透液によつて形成される欠陥指示模様によつて欠陥部
    の存在・位置を探傷する浸透探傷試験方法において、前
    記試験品が、表面あらさのあらい物品であるとともに前
    記洗浄処理が、水を試験品表面に吹きつけて行なう1次
    洗浄と水に0.03〜0.5重量%のさらし粉及び/又は次亜
    塩素酸ソーダが溶解されており且つ酸によつてpH値が2.
    0〜4.5の範囲に調節されている水溶液からなる洗浄剤に
    試験品を浸漬して行なう2次洗浄とからなることを特徴
    とする表面あらさのあらい試験品の浸透探傷試験方法。
  2. 【請求項2】第1項記載の表面あらさのあらい試験品の
    浸透探傷試験方法における2次洗浄に使用するための水
    に0.03〜0.5重量%のさらし粉及び/又は次亜塩素酸ソ
    ーダが溶解されており且つ酸によつてpH値が2.0〜4.5の
    範囲に調節されている水溶液からなる洗浄剤。
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