JP2021101169A - 水洗性水ベース浸透液及び該水洗性水ベース浸透液を用いる浸透探傷試験方法 - Google Patents

水洗性水ベース浸透液及び該水洗性水ベース浸透液を用いる浸透探傷試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】火災を引き起こすおそれのない、安全に使用できる水ベース浸透液であって、常温の水で洗浄処理でき、しかも表面きずの大きさや形状に関わらず高い検出感度で浸透探傷結果が得られる水溶性水ベース浸透液を提供すること。【解決手段】油溶性染料、有機溶剤A、界面活性剤及び水を含有し、有機溶剤Aは、20℃の水に対する有機溶剤Aの溶解度が0.1〜4.5%かつ20℃の有機溶剤Aに対する水の溶解度が10〜60%の有機溶剤であり、水洗性水ベース浸透液中、有機溶剤Aを3質量%以上30質量%未満の範囲で含有する水洗性水ベース浸透液とする。【選択図】なし

Description

本発明は、試験体の表面に開口した割れやきず(以下、表面開口欠陥部ともいう。)を検出する非破壊試験の中の浸透探傷試験に用いられる浸透液に関する。更に詳しくは、本発明は、探傷面に付着した浸透液を水で除去する洗浄処理が行われる浸透探傷試験に用いる水洗性水ベース浸透液及び該浸透液を用いる浸透探傷試験方法に関する。
各種製品、構造物、自動車、車両、航空機、化学プラント等の安全、信頼性を確保するためには非破壊検査が不可欠となっている。非破壊試験の中でも浸透探傷試験は、応力集中の生じやすい表面の割れやきずを検出する試験方法であり、製品の品質保証、破壊事故などの防止に広い分野で普及している。表面きずの探傷には、磁粉探傷試験を使用する場合も多いが、その方法は、磁石にくっつく強磁性体にしか使用できない欠点を有している。近年、工業的に使用される材料は、強磁性体ではなく、オーステナイト系ステンレス鋼、銅合金やアルミニウム合金、セラミックやプラスチックなどの材料が増加してきたため、非常に広い分野で浸透探傷試験が実施されるようになってきている。
浸透探傷試験は、一般に、試験体の表面を洗浄する前処理工程、表面開口欠陥部に染料を含有した浸透液を浸透させる浸透処理工程、試験体表面に付着している余剰浸透液を除去する洗浄処理工程、並びに、試験体表面に残った浸透液によるきず指示模様を観察し、表面開口欠陥部の存在を検出する観察工程の順に行われる。浸透液に蛍光染料を用いた場合は、洗浄処理工程の後に、表面開口欠陥部に浸透し保持されている浸透液を試験体表面ににじみ出させる現像処理工程を行い、その後試験体表面の浸透液によるきず指示模様を観察する。
そして、浸透処理に用いられる浸透液の種類により、浸透探傷試験の方法には、溶剤除去性浸透探傷試験、水洗性浸透探傷試験、後乳化性浸透探傷試験の3種類がある。この中でも、水洗性浸透探傷試験は、試験体表面の余剰浸透液の除去を水洗(水シャワー)等で行うため、凹凸のある大型試験体の全面探傷や小型量産部品の多量検査を効率よく検査するのに適している。
しかしながら、水洗性浸透探傷試験は、水で試験体を洗浄すると、表面開口欠陥部の中の浸透液も過度に洗浄してしまう場合があるため、微細なきずや開口の大きなきず等の検出には不向きであるとされていた。
そこで、この過洗浄を防止するために、水洗性浸透探傷試験では、従来、非水溶性の油性有機溶剤を主溶剤とした油ベース浸透液が用いられている。油ベース浸透液は、水が混入すると、一般的には粘度が急上昇するので、試験体の表面開口欠陥部に浸透した浸透液の流出が防止される。
しかし一方で、この油ベース浸透液は、油性であるため火災に繋がる可能性が高く、消防法における危険物に該当することになる。そのため、多量に浸透液を使用する工場などでは、引火性がない水溶性の有機溶剤を主溶剤とした水ベース浸透液の要望が強い。
水ベース浸透液は、水洗性も良好で、引火性がなく使用しやすいが、上記したように、水で試験体を洗浄すると表面開口欠陥部の中の浸透液が簡単に流出してしまうので、表面開口欠陥部の検出感度は極端に低いものとなる。そのため、微細なきずや大きなきず、試験体の表面から裏面にかけて繋がった大きな貫通きず等の検査には不適当であり、非常に大きな貫通していない割れや鋳物のざく巣等の検査に適用が限られていた。
そこで、近年、水で容易に洗浄されにくい水ベース浸透液が種々提案されている。例えば、特許文献1には、「曇点を有する界面活性剤と水とを該界面活性剤が水に溶解して単一相になっている状態と該界面活性剤が水から分離して二相になっている状態との二つの相状態間を温度変化によって可逆的に変化するように混合してなる主溶剤及び該主溶剤に溶解する油溶性赤色染料又は蛍光染料からなる浸透探傷試験用水洗性水ベース浸透液」を使用する提案がされている。特許文献1では、浸透液を塗布するときは界面活性剤の曇点以下である一相状態で適用するが、水洗時は二相に分離した曇点以上の温度(40〜70℃)で洗浄することで、表面開口欠陥部内の浸透液の流出を防止する。
特開2012−247249号公報
特許文献1では、通常は単一相である浸透液から油溶性染料成分を含む界面活性剤成分を分離させるために、浸透液の分離温度以上で分離温度との温度差が大きい温水を用いて洗浄する必要があり、温水が準備できない場所での使用はできなかった。
そこで、本発明は、火災を引き起こすおそれのない、安全に使用できる水ベース浸透液であって、水温を問わず常温の水であっても洗浄処理でき、しかも表面きずの大きさや形状に関わらず高い検出感度で浸透探傷結果が得られる水洗性水ベース浸透液を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、水ベースの浸透液に特定の有機溶剤を特定の含有量で含有することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の(1)〜(6)に関するものである。
(1)油溶性染料、有機溶剤A、界面活性剤及び水を含有する水洗性水ベース浸透液であって、前記有機溶剤Aは、20℃の水に対する前記有機溶剤Aの溶解度が0.1〜4.5%かつ20℃の前記有機溶剤Aに対する水の溶解度が10〜60%の有機溶剤であり、前記水洗性水ベース浸透液中、前記有機溶剤Aを3質量%以上30質量%未満の範囲で含有する水洗性水ベース浸透液。
(2)前記有機溶剤Aが、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル及びエチレングリコールモノヘキシルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、前記(1)に記載の水洗性水ベース浸透液。
(3)前記油溶性染料を0.01〜2.0質量%含有する、前記(1)又は(2)に記載の水洗性水ベース浸透液。
(4)前記界面活性剤を5〜25質量%含有する、前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の水洗性水ベース浸透液。
(5)さらに、前記有機溶剤A以外の有機溶剤B、防錆剤、防腐剤、消泡剤及び濡れ性向上剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の水洗性水ベース浸透液。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の水洗性水ベース浸透液を用いて浸透処理する浸透探傷試験方法。
本発明の水洗性水ベース浸透液により、試験体表面の微細なきずや大きなきず、大きな貫通きずでも、過洗浄による浸透液の流出が抑制される。また、常温の水で洗浄処理できる。よって、本発明の水洗性水ベース浸透液を用いた浸透探傷試験により試験体の表面開口欠陥部を容易に検出できる。
さらに、本発明の水洗性水ベース浸透液を使用することにより火気に対する安全性が高くなるので、これまで油ベース浸透液しか使用できなかった分野の探傷作業にも水ベース浸透液の使用が可能となる。
本発明の水洗性水ベース浸透液は、油溶性染料、有機溶剤A、界面活性剤及び水を含有する。ここで、有機溶剤Aは、20℃の水に対する有機溶剤Aの溶解度が0.1〜4.5%かつ20℃の有機溶剤Aに対する水の溶解度が10〜60%の有機溶剤であり、水洗性水ベース浸透液中、有機溶剤Aを3質量%以上30質量%未満の範囲で含有する。
以下、各成分について説明する。
(油溶性染料)
油溶性染料は、試験体の表面開口欠陥部内に浸透し、保持されることにより、当該表面開口欠陥部の存在を可視化させる。
洗浄処理の水洗時に用いる水に染料が溶解、希釈されるのを防止するために、油溶性染料を用いる。
浸透探傷試験では、試験体の表面開口欠陥部の観察方法の違いにより、油溶性染料として、油溶性の染色染料(以下、単に「染色染料」ともいう。)又は油溶性の蛍光染料(以下、単に「蛍光染料」ともいう。)が使用できる。浸透探傷試験は、この観察方法の種類により、染色染料を用いる染色浸透探傷試験と蛍光染料を用いる蛍光浸透探傷試験の2種類に分けられる。
染色染料は、後述する有機溶剤Aに溶解し、浸透液に色味を付与できる油溶性染料であれば特に限定されない。染色染料としては、市販品では、例えば、「オイルレッド5B」(商品名、オリエント化学工業株式会社製)、「Sudan Red 462」(商品名、BASF社製)等の赤色染料が挙げられる。
蛍光染料は、後述する有機溶剤Aに溶解し、ブラックライト(紫外線灯)を照射したときに、高輝度の蛍光を発するものであれば特に限定されない。蛍光染料としては、白色、青色、黄緑色等の蛍光染料が挙げられ、例えば、クマリン系蛍光染料が挙げられる。中でも、環境面の観点から構造中に重金属が含まれていない蛍光染料を用いることが好ましい。
油溶性染料は、水洗性水ベース浸透液中、0.01〜2.0質量%の範囲で含有することが好ましい。油溶性染料の含有量が0.01質量%以上であると、観察時において鮮明なきず指示模様が得られ、探傷精度を向上させることができる。また、浸透液は水ベースであるため、油溶性染料の含有量が多すぎると油溶性染料が析出しやすくなるので、2.0質量%以下が好ましい。また油溶性染料が多すぎると、油溶性染料を溶解するために有機溶剤Aが多量に使用されることとなり、洗浄性を向上させるために界面活性剤の使用量も増えるため、結果として排水中のCOD(Chemical Oxygen Demand)やBOD(Biochemical oxygen demand)が高くなってしまう。
油溶性染料が染色染料の場合は、染色染料の含有量は、0.2〜2.0質量%であることが好ましい。染色染料の含有量は、1.0質量%以上がより好ましく、また、1.5質量%以下がより好ましい。
蛍光染料の場合は、含有量は、0.01〜0.8質量%であることが好ましい。蛍光染料の含有量は、0.05質量%以上がより好ましく、また、0.5質量%以下がより好ましい。
(有機溶剤A)
有機溶剤Aは、上記油溶性染料を水洗性水ベース浸透液中に溶解させるための染料溶解用有機溶剤である。有機溶剤Aは油溶性染料に対して染料を均一に溶解し、水の中でも染料を析出させないので、水洗性水ベース浸透液中で油溶性染料が分離することなく均一に溶解する。
本実施形態において、有機溶剤Aは、20℃の水に対する有機溶剤Aの溶解度が0.1〜4.5%かつ20℃の有機溶剤Aに対する水の溶解度が10〜60%の有機溶剤を用いる。
20℃の有機溶剤Aに対する水の溶解度(water in、20℃)が10%以上であることは、有機溶剤Aは全く水に溶けないわけではなく、少なくとも10%は水に溶ける親水性を有していることになる。このような有機溶剤は界面活性剤の存在下で、水をある程度含有できる性質を持つことになる。また、有機溶剤Aに対する水の溶解度が60%以下であることは、表面開口欠陥部内にある浸透液に対し水洗時の水が多量に溶解浸入できない状況をつくることに役立つ。
また、20℃の水に対する有機溶剤Aの溶解度(in water、20℃)が、0.1〜4.5%ということは、有機溶剤Aが水にまったく溶けないのではなく、若干溶解する性質があることを意味している。水洗時このような有機溶剤は水洗で取り除くことができるため、試験体の表面に付着した余剰浸透液が残りにくくなる。また、20℃の水に対する有機溶剤Aの溶解度が4.5%以下であると、水洗時に、有機溶剤Aを含む浸透液が、きずの中から容易に溶解流失しにくくなる。
以上から、有機溶剤Aを含む浸透液は、水ベースでありながら過洗浄にならず、微細きずや貫通した大きなきずでも高感度に検出できる。
なお、20℃の水に対する有機溶剤Aの溶解度は、20℃の水を撹拌した状態で徐々に20℃の有機溶剤Aを滴下し濁り等の変化を目視にて確認することにより、20℃の有機溶剤Aに対する水の溶解度は、20℃の有機溶剤Aを撹拌した状態で徐々に20℃の水を滴下して濁り等の変化を目視により確認することにより、測定できる。
有機溶剤Aとしては、例えば、エチレングリコールモノベンジルエーテル(BzG、溶解度:0.4% in water、18% water in)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(BFDG、溶解度:3.0% in water、12% water in)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(PhDG、溶解度:3.4% in water、24.4% water in)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(HeDG、溶解度:1.7% in water、56.3% water in)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(HeG、溶解度:0.99% in water、18.8% water in)が挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1つを用いることが好ましい。
有機溶剤Aは、油溶性染料の溶解性や可視性(染色染料の場合は発色性、蛍光染料の場合は輝度)、きず指示模様の見易さや検出率を考慮して、上記化合物から適宜選択すればよい。
なお、有機溶剤Aの引火点は100℃以上であることが好ましい。引火点が100℃未満であると水ベース浸透液でも引火する場合があり、引火点が100℃以上であれば水洗性水ベース浸透液中の水が沸騰する為、引火するおそれが低く、浸透探傷試験を行う際の安全性を確保できる。
本実施形態において、有機溶剤Aは、水洗性水ベース浸透液中、3質量%以上30質量%未満の範囲で含有する。有機溶剤Aの含有量が水洗性水ベース浸透液中3質量%以上であると、油溶性染料を浸透液中に溶解させることができるので、浸透液の保管時における安定性を保つことができる。また、有機溶剤Aの含有量が30質量%未満であると、浸透液中の水の含有量を多くできるので、火災に繋がるリスクを低減でき、また、排水中のCODやBODの増加を抑制し、排水処理の費用の増加も抑制できる。
有機溶剤Aの含有量は、本発明の効果がより得られやすいことから、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、また、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、水洗性水ベース浸透液の試験体に対する濡れ性の向上、水洗性の向上、油溶性染料及び有機溶剤Aの浸透液中での溶解性とその安定化の向上、並びに油溶性染料析出の防止等を目的として用いられる。
界面活性剤はかかる特性を満足するものであれば、特に限定されない。界面活性剤としては、水の成分によって洗浄力が落ちにくい非イオン系界面活性剤を用いることが好ましく、非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ヤシ脂肪酸エーテル等が挙げられる。
本実施形態において、界面活性剤は、水洗性水ベース浸透液中、5〜25質量%の範囲で含有することが好ましい。界面活性剤の含有量が5質量%以上であると、油溶性染料を安定的に溶解させることができる。また、界面活性剤の含有量が多くなりすぎると火気に対する危険性が高くなり、また浸透液の粘度が高くなり試験体の表面開口欠陥部に対する浸透性の低下につながる場合があるので、25質量%以下とすることが好ましい。界面活性剤の含有量は、本発明の効果がより得られやすいことから、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。
(水)
本実施形態の水洗性水ベース浸透液は水を含有する。水が浸透液の主成分であるため、火気に対するリスクが少なく安心して使用することができる。水としては、特に限定されず、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。
(その他の成分)
本実施形態において、水洗性水ベース浸透液には、本発明の効果を妨げない範囲でその他の成分を含有することが出来る。その他の成分としては、例えば、上記した有機溶剤A以外の有機溶剤B、防錆剤、防腐剤、消泡剤、濡れ性向上剤等が挙げられる。
有機溶剤Bとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルジグリコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤等が挙げられる。
有機溶剤Bの含有量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上がより好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がより好ましい。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩等が挙げられる。
防錆剤の含有量は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、また、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
防腐剤としては、例えば、安息香酸等が挙げられる。
防腐剤の含有量は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、また、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
濡れ性向上剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
濡れ性向上剤の含有量は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、また、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
(水洗性水ベース浸透液の製造方法)
本実施形態の水洗性水ベース浸透液は、油溶性染料、有機溶剤A、界面活性剤、水及び必要により任意成分を混合し、均一に溶解することにより製造できる。各成分を添加する順番は特に限定されないが、例えば、油溶性染料と有機溶剤Aと界面活性剤とを添加し、必要により加熱しながら、撹拌して油溶性染料を溶解させ、さらに水を入れ十分に撹拌することにより、水洗性水ベース浸透液を得ることができる。このようにして得られた水洗性水ベース浸透液は均一系の浸透液となる。
(浸透探傷試験方法)
本実施形態に係る浸透探傷試験方法は、本実施形態の水洗性水ベース浸透液を用いて浸透処理することを含む。
本実施形態の浸透探傷試験方法は、以下の<1>〜<4>の工程を含むことが好ましい。
<1>前処理:試験体の表面を洗浄する。
<2>浸透処理:表面開口欠陥部に浸透液を浸透させる。
<3>洗浄処理:試験体表面に付着している余剰浸透液を除去する。
<4>観察:試験体表面に残った浸透液によるきず指示模様を観察し、表面開口欠陥部の存在を検出する。
(前処理工程)
前処理では、試験体の表面の異物を除去するとともに、水洗性水ベース浸透液が表面開口欠陥部の中に入りやすいように、表面開口欠陥部中の油などを有機溶剤などで除去し、乾燥した状態にする。前処理は常法に従って行うことができる。
(浸透処理工程)
次に、本実施形態の水洗性水ベース浸透液を試験体表面に付着させ、試験体の表面開口欠陥部に水洗性水ベース浸透液を浸透させる。
水洗性水ベース浸透液を試験体表面に付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、試験体表面に刷毛やローラー等を用いて塗布する方法、スプレー装置等を用いて噴霧する方法、試験体を水洗性水ベース浸透液に浸漬する方法等が挙げられる。
水洗性水ベース浸透液を試験体表面に付着させた後、表面開口欠陥部への水洗性水ベース浸透液の浸透させるために、5秒〜30分、より好ましくは5分〜20分静置することが好ましい。
(洗浄処理工程)
浸透処理の後、試験体の表面の余剰浸透液を洗い流す。洗浄には、水等を用いることが好ましい。
洗浄は、水等の洗浄水をかけ流す、シャワーをかける等により行うことが好ましい。表面開口欠陥部以外の試験体表面の余剰浸透液を除去するために、一般的には0.15〜0.25MPaの水圧で洗浄することが好ましい。
洗浄水の温度は、使用環境を考慮して適宜設定すればよく、常温で使用してもよいし、加温したものを使用してもよい。具体的に、10〜50℃の温度の洗浄水を使用することが好ましい。
(乾燥処理工程)
洗浄処理の後に試験体表面を乾燥させる。乾燥処理を行うことにより、試験体表面の表面開口欠陥部を観察しやすくなる。
乾燥は、70℃程度の熱風循環式乾燥器やドライヤーなどを使用して行うことができる。
(現像処理工程)
油溶性染料として染色染料を用いた場合は、洗浄処理工程の後又は乾燥処理工程を行った後に、表面開口欠陥部に浸透し保持されている浸透液を試験体表面ににじみ出させる現像処理工程を行う。現像処理工程では、現像剤の塗膜を試験体表面に形成させ、それにより表面開口欠陥部内の浸透液を表面ににじみ出させ、拡大したきず指示模様を形成させる。
現像剤としては、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、酸化マグネシウム等の無機材料の粉末等を含有した現像剤等が使用できる。
なお、現像処理の後に試験体表面を乾燥させることが好ましい。乾燥処理を行うことにより、試験体表面の表面開口欠陥部を観察しやすくなる。
乾燥方法としては、上記と同様に、70℃程度の熱風循環式乾燥器やドライヤーなどを使用して行うことができる。
(観察工程)
本実施形態において、油溶性染料として染色染料を用いた場合は、上記現像処理工程の後に試験体表面の観察を行う。
白色光又は自然光の下で、試験体を観察し、白地に赤のきず指示模様が確認できれば表面開口欠陥部の存在を確認できる。
また、油溶性染料として蛍光染料を用いた場合は、上記洗浄処理工程の後又は乾燥処理工程を行った後に試験体表面の観察を行う。
暗所で試験体にブラックライトを照射して、蛍光のきず指示模様を観察することにより、表面開口欠陥部の存在を確認できる。
なお、染色染料を含有した水洗性水ベース浸透液を用いる場合、表面開口欠陥部が大きいものであれば現像剤は使用せず、上記洗浄処理工程の後に試験体表面ににじみ出る浸透液をきず指示模様として検出することもできる。
次に、本発明の実施例及び比較例について説明し、本発明の効果について説明する。
表1〜表3に示す処方に従い、各有機溶剤に油溶性蛍光染料又は油溶性染色染料と界面活性剤を添加して、加熱しながら撹拌し、油溶性染料を溶解させた。さらに水を入れ十分に撹拌して水洗性水ベース浸透液を調製した。
界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン系界面活性剤)を用い、油溶性蛍光染料としてはクマリン誘導体系油溶性蛍光染料を用い、油溶性染色染料としては「Sudan Red 462」(商品名、BASF社製)を用いた。
また、表1〜3において、「BzG」はエチレングリコールモノベンジルエーテル、「BFDG」はジプロピレングリコールモノブチルエーテル、「PhDG」はジエチレングリコールモノフェニルエーテル、「HeDG」はジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、「HeG」はエチレングリコールモノヘキシルエーテル、「DEG」はジエチレングリコール、「EG」はエチレングリコール、「BC」はブチルセロソルブ、「BDG」はジエチレングリコールモノブチルエーテル、「EHG」はエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、「DBDG」はジエチレングリコールジブチルエーテル、「TPGDM」はトリプロピレングリコールジメチルエーテル、「PFDG」はジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、「DEGBM」はジエチレングリコールブチルメチルエーテルをそれぞれ意味する。
水洗性浸透探傷試験において、試験検体として、JIS Z 2343−3:2017に記載されているタイプ3の対比試験片(縦5cm×横7.5cm×高さ1cm)、及び、大きなきずや大きな貫通きずのある試験体(以下「大きなきずの試験体」という。)を使用した。きずの検出感度は、浸透液に油溶性蛍光染料を使用した場合は、暗室のブラックライト下で鮮明なきず指示模様が検出されるかを確認し、また浸透液に油溶性染色染料を使用した場合は、明るい環境下で鮮明なきず指示模様が検出されるかを確認し、比較を行った。
タイプ3の対比試験片及び大きなきずの試験体を室温(20℃)に置いて、水洗性水ベース浸透液を試験検体の表面に塗布して付着させ、5分間静置した。その後、試験検体の表面を水でスプレー洗浄し(水圧0.25MPa)、試験検体表面に付着している余剰浸透液を除去した。続いて、70℃の熱風循環式乾燥機を使用して試験検体を5分間乾燥させた。油溶性染料として染色染料を使用した場合には、現像剤(株式会社タセト製「カラーチェック FD-S」)の塗膜を試験検体表面に形成し、白色光の下で観察し評価を行った。油溶性染料として蛍光染料を使用した場合には、上記乾燥後現像剤を使用することなく、暗所でブラックライトの照射下で観察し評価を行った。
<評価基準>
「外観」とは、水洗性水ベース浸透液を室温(20℃)に置いた場合の浸透液の濁り又は分離を示すものである。「A」は均一な透明液体であり、浸透液の濁り及び分離が無い場合を示す。「B」は濁り又は分離を生じた場合を示す。外観評価では「A」が合格、「B」が不合格である。
「安定性」とは、水洗性水ベース浸透液を5℃の環境下で1週間放置した場合の浸透液の濁りや分離又は染料の析出の有無を示すものである。「A」は均一な透明液体で、浸透液の濁りや分離及び染料の析出が無い場合を示す。「B」は濁りや分離又は染料析出があった場合を示す。安定性評価では、「A」が合格、「B」が不合格である。
「検出感度」では、試験検体のきず指示模様を目視で観察した。「A」はきず指示模様が鮮明に検出された場合、「B」はきず指示模様が鮮明に検出されにくかった場合、「C」はきず指示模様が検出されなかった場合を示す。検出感度の評価では、「A」が合格、「B」、「C」が不合格である。
「洗浄性」では、油溶性染料として蛍光染料を使用した場合は、水でのスプレー洗浄の後、試験検体の表面を目視で確認し、油溶性染料として染色染料を使用した場合は、現像処理後の試験検体の表面の状態を目視で確認した。「A」は洗浄性が良好であり、バックグラウンドがほとんど残っていない場合、「B」は浸透液が洗浄されにくくバックグラウンドが若干残っている場合、「C」はバックグラウンドが残りすぎている場合を示す。洗浄性評価では、「A」、「B」が合格、「C」が不合格である。
なお、評価欄の「−」は、外観、安定性又は検出感度において問題があったため、それ以上の項目については評価を行わなかったことを示す。
Figure 2021101169
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表1に示すように、実施例1〜10は、いずれも外観、安定性は良好で、金属表面に対する検出感度も鮮明なきず指示模様を形成していた。
これに対し、表2及び表3に示すように、比較例1、2、5〜10、13は安定性が悪く、室温(20℃)又は5℃において濁りや分離、染料析出が見られた。比較例3、4、11、12、14は検出感度が悪かった。
本発明の浸透液は、引火性のリスクが少ない水洗性水ベース浸透液でありながら、水に洗浄されにくく、大きなきずや大きな貫通きずに対して浸透探傷試験の検出感度も良好であるため、浸透液を広範囲に大量使用し、かつ高精度のきず検出感度が要求される自動車部品、セラミック部品などにおける浸透探傷試験において特に有用である。

Claims (6)

  1. 油溶性染料、有機溶剤A、界面活性剤及び水を含有する水洗性水ベース浸透液であって、
    前記有機溶剤Aは、20℃の水に対する前記有機溶剤Aの溶解度が0.1〜4.5%かつ20℃の前記有機溶剤Aに対する水の溶解度が10〜60%の有機溶剤であり、
    前記水洗性水ベース浸透液中、前記有機溶剤Aを3質量%以上30質量%未満の範囲で含有する水洗性水ベース浸透液。
  2. 前記有機溶剤Aが、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル及びエチレングリコールモノヘキシルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の水洗性水ベース浸透液。
  3. 前記油溶性染料を0.01〜2.0質量%含有する、請求項1又は2に記載の水洗性水ベース浸透液。
  4. 前記界面活性剤を5〜25質量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水洗性水ベース浸透液。
  5. さらに、前記有機溶剤A以外の有機溶剤B、防錆剤、防腐剤、消泡剤及び濡れ性向上剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水洗性水ベース浸透液。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水洗性水ベース浸透液を用いて浸透処理する浸透探傷試験方法。
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