JP2528172B2 - タイヤ構成材料切断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、生タイヤ成形工程において、タイヤ構成材
料を幅方向に切断するためのタイヤ構成材料切断装置に
関する。

（従来の技術） 従来、タイヤ成形工程においては、タイヤ成形ドラム
にタイヤ構成材料例えばプライを所定長さ巻き付けた
後、幅方向に斜めに切断する切断装置が使用されてい
る。この切断装置は、可動テーブルに前後動自在に設け
た可動フレームに設けられ、２組のカッター機構が、プ
ライの幅方向に斜めに配置されたガイドバーに案内され
て横行するようになっており、プライの中央から互いに
幅方向外側に移動して、プライを切り裂くようになって
いる（特公昭29−5947号公報参照）。

（発明が解決しようとする課題） ところで、従来の切断装置は、カッター機構が上下動
及び横行動のみで、しかもガイドバーに沿って斜めに一
定の角度（プライの芯材埋設角度）で横行するため、プ
ライが少しでもずれていると、芯材を切断し、刃物の寿
命が非常に短かくなり、頻繁に刃物の交換を要し、生産
性が低下するなどの問題があった。

本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、タイヤ構成材料に埋設さ
れた芯材を切断することがなく、刃物の寿命を長くして
生産性の向上を図りうるタイヤ構成材料の切断装置を提
供するにある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本発明では次の技術的手
段を講じた。

すなわち、本発明は、ベルト状のタイヤ構成材料Ｐ
を、タイヤ成形ドラムに所定長さ巻き付けた後、幅方向
に切断するカッター９が、横行可能に備えられている切
断装置において、 前記カッター９は、カッター保持体14に上下動可能に
取付けたカッターホルダ10に着脱可能に固着され、カッ
ター保持体14は往復台７にカッター横行方向と直交する
方向へ揺動可能に、ばね17を介して軸支され、往復台７
は装着本体フレーム１にカッター横行方向に取付けたガ
イドレール４に摺動自在に装着されていることを特徴と
している。

なお、カッター保持体14は、切断開始位置において、
その揺動が拘束固定されるようにするのが好ましい。

（作 用） 本発明によれば、カッター保持体14は、切断開始位置
において揺動しないので、カッターホルダ10の下降によ
るタイヤ構成材料Ｐへの切り込みが安定的かつ正確に行
なわれると共に、切断開始が円滑であり、切断開始直後
にカッター保持体14が揺動自在となり、カッター９がタ
イヤ構成材料Ｐに埋設された芯材に触れることがあって
も、カッター保持体14がばね17の弾発力に抗して揺動
し、カッター９がタイヤ構成材料Ｐの柔らかい部分に逃
げる。したがって、カッター９は、芯材を切断すること
なくタイヤ構成材料Ｐを円滑に切断し、寿命が長くな
り、カッター９の交換を頻繁に行なわなくともよい。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。

第１図〜第２図は装置の約左半分を示しているが、右
側は左側と対称である。

図面において、１は装着本体フレームで、タイヤ構成
材料であるプライＰの供給テーブル２上に前後方向（プ
ライ送り方向）移動自在に載設した可動フレーム（図示
省略）に上下動可能に取付けられている。なお、供給テ
ーブル２は、多数のローラを備え、プライＰをタイヤ成
形ドラム（図示省略）に対して接線方向から送り込み可
能に傾斜配置されており、カッター受台３が前端部上面
に設けられている。

前記装着本体フレーム１は、前壁1Aと上壁1Bが形成さ
れるように側面からみて転倒Ｌ形を呈し、前壁1Aの後面
には、その略全長にわたって、プライＰの幅方向すなわ
ち、カッター横行方向に延びる上下一対のガイドレール
４が、支持部材5,6を介して供給テーブル２と平行に取
付けられている。

７は左右一対の往復台でそれぞれ平面からみてコ字状
を呈し、前面壁7Aの前面側に固着した上下一対の摺動ガ
イド８を介してガイドレール４に横行（すなわち一方は
左行他方は右行）可能に装着されている。

９は左右一対のカッター、10はカッターホルダで、該
カッターホルダ10は左右略対称形の背面からみて略Ｌ形
を呈し、水平部10Aにカッター９がそれぞれ固定具11に
より着脱可能に取付けられ、その対向端面には、左行側
には凹部12が、右行側には凸部13が形成されて互に嵌合
し、左右一対のカッター９がずれることなく同時に下降
してプライＰに切り込むようにせられている。

14はカッター保持体で、平面からみて略コ字形の本体
部材14Aと、蓋体14Bとにより方形筒形に形成され、左右
両外側面に軸部15が水平状に突設され、前記往復台７の
左右両側壁7B間に位置し、かつ左右両側壁7Bに軸受16を
介して前記軸部15が支承されており、前後方向に揺動自
在とせられている。そして、往復台７の前面壁7Aと、カ
ッター保持体14の蓋体14Bとの間には、軸部15の中心線
に対して上下等距離に位置して２つのばね17が嵌装さ
れ、このばね17によって、カッター保持体14が常時垂直
状態を保持するようにせられている。また、カッター保
持体14内には、左右両対向内面に固定ガイド18が固着さ
れ、この固定ガイド18を案内として上下動する摺動ガイ
ド19が、カッター保持体14内に上下方向に挿通されたカ
ッターホルダ10の垂直部10Bの前面に固着されており、
カッターホルダ10がカッター保持体14により上下動自在
に保持されている。さらに、カッター保持体14には、上
部に揺動拘束用のローラ20が垂直軸21を介して回動自在
に取付けられている。

22はカッター昇降シリンダで、各カッター保持体14の
後面に下向きに取付けられ、ピストンロッド23の下端
に、カッターホルダ10の屈曲部後面が、取付部材24を介
して固着されている。

25はカッター保持体14の揺動拘束部材で、溝形材から
なり、装着本体フレーム１の上壁1B下面中央部に位置し
て左右に、すなわち、各カッター９の切断開始位置にお
けるカッターホルダ10の直上部近傍に、それぞれ開口が
下向きとなるように固着されており、各部材25の対向外
側端部の溝幅が順次対向外方に向って広くせられ、前記
揺動拘束用のローラ20の嵌合が容易に行ないうるように
なっている。

26はカッター左横行シリンダ、27は右横行シリンダ
で、装着本体フレーム１の前壁1A両端部に固着された取
付部材28に水平ピン29を介して取付けられ、カッター左
横行シリンダ26のピストンロッド30外端は左横行の往復
台７の上側に連結部材31及び垂直ピン32を介して連結さ
れ、カッター右横行シリンダ27のピストンロッド33外端
は、右横行の往復台７の下側に連結部材34及び垂直ピン
35を介して連結されている。

36はプライ押圧シリンダで、ガイドレール４の支持部
材５中央後面に、略Ｌ形部材37を介して下向きに取付け
られ、ピストンロッド38の下端にプライ押圧体39が固着
され、カッター９の前側おいてプライＰ中央を押圧する
ようになっている。

40はストッパーで、装着本体フレーム１の前壁1A両端
部にブラケット41を介して上下調整可能に螺着されてお
り、装着本体フレーム１の下降限を規制している。

42はプライ吸着カップで、プライＰの切断始端を吸着
保持し、かつ前方に引き出すと共に、プライ切断時に、
プライＰをカッター受台３に押圧固定するものである。

上記実施例において、プライＰは供給テーブル２上に
静置状態にあり、テーブル２及び可動フレームは後退位
置にあり、成形ドラム（図示せず）は停止している。プ
ライ吸着カップ42が下降してプライＰの切断始端を吸着
保持した後、再び上昇し、次いで、供給テーブル２が成
形ドラムにぎりぎり近くまで前進せられ、したがって、
可動フレーム及び切断装置も共に前進して吸着カップ42
によりプライＰを引き出す。供給テーブル２の前進位置
で可動フレームが前進せられて成形ドラムの上方に位置
し、吸着カップ42の下降により、プライＰの切断始端を
成形ドラムに前もって貼着したインナーライナ上に貼着
する。バキュームを切って吸着カップ42による切断始端
の吸着解除を行ない、吸着カップ42を上昇させた後、成
形ドラムを所定角度だけ回転してプライＰを約一周分巻
き付けて停止させる。続いて、吸着カップ42と共に切断
装置の装着本体フレーム１が下降し、吸着カップ42によ
ってプライＰが供給テーブル２上に圧着固定される。

この時、左右のカッター９が中央位置において前後に
重合した状態にあり、プライ押圧シリンダ36が作動して
プライ押圧体39が下降して、プライＰの切断終端となる
部分の中央部を押圧する。続いて、両カッター昇降シリ
ンダ22の作動により、一対のカッター９がカッターホル
ダ10と共に下降してプライＰに切り込まれ、その下降状
態のままで左右横行シリンダ26,27が作動して、往復台
７が左右に離れる方向すなわちプライＰの幅方向外端に
向って横行し、両カッター９によりプライＰが切り裂さ
れ、切断される。

カッター９によるプライＰの切断開始後に、カッター
保持体14のローラ20が、揺動拘束部材25から離れ、軸部
15を中心として前後方向に揺動自在となるが、上下のば
ね17によって垂直状態が保持されている。そこで、カッ
ター９は、プライＰに埋設されている。芯材に近づいて
抵抗が増えると、ばね17によるバランスが崩れて前後方
向の抵抗が小さい側へ動き、したがって、芯材を切断す
ることなく、円滑にプライＰの切断が行なわれる。

このようにして、プライＰの切断が終わると、各シリ
ンダ22,36が作動して、カッター９及びプライ押圧体39
が上昇し、左右横行シリンダ26,27の作動により、両往
復台７が中央に戻り、両カッター保持体14の揺動が拘束
されると共に左右両カッターが係合位置決めされる。

そして、プライＰの切断作業が完了すると、成形ドラ
ムが再び回転し、プライＰの切断終端が、切断始端に重
なって圧着される。

その後、成形ドラムが回転停止し、供給テーブル２及
び可動フレームが後退し、プライＰの一貼付サイクルが
完了する。

上記実施例において、往復台７の横行駆動をシリンダ
26,27により行なっているが、モータによりスプロケッ
ト及びチエンを介して駆動することができる。

（発明の効果） 本発明は、上述のように、ベルト状のタイヤ構成材料
Ｐを、タイヤ成形ドラムに所定長さ巻き付けた後、幅方
向に切断するカッター９が、横行可能に備えられている
切断装置において、 前記カッター９は、カッター保持体14に上下動可能に
取付けたカッターホルダ10に着脱可能に固着され、カッ
ター保持体14は往復台７にカッター横行方向と直交する
方向へ揺動可能に、ばね17を介して軸支され、往復台７
は装着本体フレーム１にカッター横行方向に取付けたガ
イドレール４に摺動自在に装着されていることを特徴と
するものであるから、タイヤ構成材料に埋設された芯材
を切断することがなく、したがってカッター９の刃部の
損耗が少なく寿命を長くすることができると共に、カッ
ター９の交換作業が少なくなり、装置の運転休止時間を
短かくして生産性の向上を図りうると共に、切断機能の
維持によるトラブル防止並びに品質向上をも図ることが
できる。

また、カッター保持体14は、切断開始位置において、
その揺動が拘束されているので、タイヤ構成材料へのカ
ッター９の切り込みを、正確かつ確実に行ない、切断開
始を円滑にして精度よく行うことができ、品質の向上は
もとよりトラブル防止を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は一部省略
背面図、第２図は第１図の一部破断下面図、第３図は第
１図の左側面図、第４図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第
５図は要部の縦断面拡大図である。 １……装着本体フレーム、４……ガイドレール、７……
往復台、９……カッター、10……カッターホルダ、14…
…カッター保持体、17……ばね、Ｐ……プライ（タイヤ
構成材料）。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ベルト状のタイヤ構成材料（Ｐ）を、タイ
   ヤ成形ドラムに所定長さ巻き付けた後、幅方向に切断す
   るカッター（９）が、横行可能に備えられている切断装
   置において、 前記カッター（９）は、カッター保持体（14）に上下動
   可能に取付けたカッターホルダ（10）に着脱可能に固着
   され、カッター保持体（14）は往復台（７）にカッター
   横行方向と直交する方向へ揺動可能に、ばね（17）を介
   して軸支され、往復台（７）は装着本体フレーム（１）
   にカッター横行方向に取付けたガイドレール（４）に摺
   動自在に装着されていることを特徴とするタイヤ構成材
   料切断装置。
2. 【請求項２】前記カッター保持体（14）は、切断開始位
   置において揺動が拘束固定されるようになっている請求
   項（１）に記載のタイヤ構成材料切断装置。