JP2526680B2 - 車両の操向制御装置 - Google Patents

車両の操向制御装置

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JP2526680B2
JP2526680B2 JP29318989A JP29318989A JP2526680B2 JP 2526680 B2 JP2526680 B2 JP 2526680B2 JP 29318989 A JP29318989 A JP 29318989A JP 29318989 A JP29318989 A JP 29318989A JP 2526680 B2 JP2526680 B2 JP 2526680B2
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hydraulic
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英昭 松井
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】 本発明は、左右一対の車輪の回転をそれぞれ制御する
ことにより車両にヨーイングモーメントを発生させて、
車両の操向を制御する車両の操向制御装置に関する。
【従来技術】
従来、この種の装置は、例えば特開昭63−184111号公
報に示されるように、左右一対の車輪に電動モータをそ
れぞれ設け、両電動モータを同時に同一方向に回転させ
ることにより、車両を両電動モータの回転方向に対応し
た方向に走行させるとともに、両電動モータの駆動力
(回転数)に差を付与することにより、車両にヨーイン
グモーメントを発生させて同車両の操向を制御し、車両
の旋回を可能にしている。
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記従来の装置においては、車両にヨーイン
グモーメントを発生させる際、一方の車輪に対しては、
車両を走行させるための駆動力に加えて、同モーメント
を発生させるための駆動力がさらに加えられることにな
る。一方、車輪には路面との関係で駆動力限界が存在
し、この駆動力限界を越えて駆動力を発生させることは
できない。そのため、第3図に示すように、車両を走行
させるための初期駆動力が車輪に付与されている従来の
車両にあっては、ヨーイングモーメントを発生させるた
めの駆動力増加分の余裕Fを充分大きくすることはでき
ず、同車両におけるヨーイングモーメントF・Lは小さ
な範囲内に制限される。(ただし、Lはホイールトレッ
ドである。) 本発明は上記問題に対処するためになされたもので、
その目的は車両に大きなヨーイングモーメントを付与で
きる車両の操向制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンから
の駆動力が伝達されない左右一対の従動輪側にそれぞれ
設けられ従動輪側から回転駆動されて同駆動力をエネル
ギ変換して出力する第1モードと前記出力エネルギを回
転駆動力に変換して同駆動力を従動輪に付与する第2モ
ードとの両モードで動作可能な一対の回転機器と、前記
入出力エネルギの伝達が可能な媒体により前記一対の回
転機器間を接続して両回転機器間の相互のエネルギ伝達
を可能とするエネルギ伝達手段と、前記一対の回転機器
の少なくとも一方を制御して両回転機器を第1及び第2
モード間で可逆的に動作制御することが可能なモード制
御手段とにより、車両の操向制御装置を構成したことに
ある。
【発明の作用】
上記のように構成した本発明においては、モード制御
手段により、一方の回転機器が第1モードで動作するよ
うに制御されるとともに、他方の回転機器が第2モード
で動作するように制御されると、前記一方の回転機器か
らは従動輪の回転駆動力を変換したエネルギが出力さ
れ、該出力エネルギはエネルギ伝達手段を介して他方の
回転機器に伝達されて、同他方の回転機器が前記伝達エ
ネルギにより従動輪を駆動するようになる。 このことを具体的に説明すると、両回転機器を例えば
油圧ポンプ・モータでそれぞれ構成するならば、前記一
方の回転機器に相当する油圧ポンプ・モータはポンプ作
動して高圧の作動油を吐出し、前記他方の回転機器に相
当する油圧ポンプ・モータは前記高圧の作動油によりモ
ータ駆動されることになる。また、両回転機器を電気的
なモータ・ジェネレータでそれぞれ構成するならば、前
記一方の回転機器に相当するモータ・ジエネレータはジ
ェネレータ作動して電力を出力し、前記他方の回転機器
に相当するモータ・ジェネレータは前記発電電力により
モータ駆動されることになる。 その結果、前記一方の回転機器側の従動輪は同機器を
回転させるために制動され、また前記他方の回転機器側
の従動輪は同機器により駆動されることになり、かかる
制動力及び駆動力をF′とし、かつ従動輪間のホイール
トレッドをLとするならば、当該車両には、前記制動力
及び駆動力によるヨーイングモーメントF′・Lが発生
する。そして、この場合には、従動輪すなわち車両を走
行させるためのエンジンからの駆動力が初期駆動力とし
て伝達されていない車輪に、回転機器による駆動力及び
制動力を付与するようにしたので、第4図に示すよう
に、車輪と路面との関係で決まる駆動力限界Fまで前記
駆動力を設定することが可能となり、駆動力増加分の余
裕を充分大きくすることが可能となる。
【発明の効果】
上記作用説明のように、本発明によれば、駆動力増加
分の余裕を充分大きくできるので、大きなヨーイングモ
ーメントF′・Lを得ることができるようになり、当該
車両の操向制御の自由度が増すとともに、同車両の操安
性をより良好に制御できるようになる。また、かかるヨ
ーイングモーメントF・Lの発生時には、駆動される従
動輪側に設けた回転機器は、制動される従動輪側に設け
た回転機器からの出力エネルギにより、駆動されるよう
にして、エネルギが有効に利用されるようにしたので、
当該車両全体としてのエネルギ損失を最小限に抑えるこ
とができる。また、ヨーイングモーメントを与えても車
両全体の駆動力は変化しないため、運転者の意図しない
加速、減速を生ぜず、運転性の悪化を防止できる。
【実施例】
以下、本発明の第1実施例を図面を用いて説明する
と、第1図は本発明に係る操向制御装置を適用した車両
の全体を概略的に示している。 この車両は前輪駆動型に構成されており、エンジン、
トランスミッション11などからの駆動力が、デファレン
シァル12及びアクスルシャフト13a,13bを介して、駆動
輪としての左右前輪FW1,FW2に伝達されるようになって
いる。また、この左右前輪FW1,FW2はラックバー14の軸
方向の変位に応じて操舵されるようになっている。ラッ
クバー14はステアリングシャフト15を介して操舵ハンド
ル16に接続されており、同ハンドル16の回動に応じて軸
方向に変位するとともに、該軸方向の変位がパワーシリ
ンダ17により助勢されるようになっている。パワーシリ
ンダ17の左右油室はステアリングシャフト15の下端部に
設けた制御バルブ18に連通しており、同バルブ18は、ス
テアリングシャフト15に作用する操舵トルクに応じて、
油圧ポンプ21からフローディバイダ22を介して供給され
る作動油をパワーシリンダ17の一方の油室に供給すると
ともに、同シリンダ17の他方の油室からの作動油をリザ
ーバ23に排出する。 従動輪(エンジン、トランスミッション11からの駆動
力が伝達されない車輪)としての左右後輪RW1,RW2に
は、アキシャルポンプ・モータ24,25の回転軸24a,25aが
一体回転するように接続されている。アキシャルポンプ
・モータ24,25は、回転軸24a,25aに一体回転するように
接続されたシリンダブロック24b,25bと、回転軸24a,25a
に対する傾斜角を可変にした斜板24c,25cと、シリンダ
ブロック24b,25bと一体回転するとともに同ブロック24
b,25bに進退可能に組み付けられて各先端部にて斜板24
c,25c上を摺動するピストンロッド24d,24d…,25d,25d…
などとからなる公知の斜板可変容量型のポンプ・モータ
でそれぞれ構成されており、アキシャルポンプ・モータ
24の出力ポート24eは導管26を介してアキシャルポンプ
・モータ25の入力ポート25eに接続されるとともに、ア
キシャルポンプ・モータ25の出力ポート25fは導管27を
介してアキシャルポンプ・モータ24の入力ポート24fに
接続されている。また、これらのアキシャルポンプ・モ
ータ24,25はフローディバイダ22の出力ポート及びリザ
ーバ23に連通しており、同ポンプ・モータ24,25にはリ
リーフバルブ28により調圧された作動油が潤滑油として
循環するようになっている。 アキシャルポンプ・モータ24の斜板24cは連結ロッド3
1を介してリニアアクチュエータ32の駆動ロッド32aに接
続されており、同斜板24cの傾斜角が駆動ロッド32aの軸
方向の変位に応じて変更されるようになっている。リニ
アアクチュエータ32は駆動モータ、ラックアンドピニオ
ン機構などを内蔵しており、電動モータの回転により駆
動ロッド32aを軸方向に駆動する。また、このリニアア
クチュエータ32は駆動ロッド32aの軸方向の変位を助勢
するための油圧倣い機構をも内蔵しており、同機構を構
成する油圧シリンダ32bはフローディバイダ22の出力ポ
ート及びリザーバ23に連通している。なお、前記電動モ
ータの駆動力が大きくて斜板24cを傾斜させるのに充分
であれば、前記油圧シリンダ32bを含む油圧倣い機構は
不要である。 アキシャルポンプ・モータ25の斜板25cは連結ロッド3
3を介して油圧シリンダ34のピストンロッド34aに接続さ
れており、同斜板25cの傾斜角はピストンロッド34aの軸
方向の変位に応じて変更されるようになっている。この
ピストンロッド34aはスプリング35,36により常に中立位
置に付勢されるとともに、油圧シリンダ34の左右油室34
b,34c間の油圧差により軸方向へ変位する。これらの左
右油室34b,34cはパワーシリンダ17の左右油室にそれぞ
れ連通しており、両油室34b,34c間の油圧差は左右車輪F
W1,FW2の左右方向への操舵時に発生するようになってい
る。 また、当該車両はリニアアクチュエータ32内の電動モ
ータの回転を制御するための前輪操舵角センサ41、ブレ
ーキスイッチ42、ヨーレートセンサ43、油圧センサ44,4
5及びマイクロコンピュータ46を備えている。 前輪操舵角センサ41はパワーシリンダ17の側部に設け
られ、ラックバー14の軸方向の変位を検出することによ
り左右前輪FW1,FW2の操舵角θfを検出するもので、該
検出操舵角θfを表す検出信号を出力する。ブレーキス
イッチ42は常時オフ状態にあるとともに、ブレーキペダ
ル47の踏み込み時にオン状態になるものであって、該オ
ン状態又はオフ状態を表す信号を出力する。ヨーレート
センサ43は車体に作用するヨーレートγを検出するもの
で、同検出ヨーレートγを表す検出信号を出力する。油
圧センサ44,45は導管26,27にそれぞれ組み付けられ、各
導管26,27内の油圧を検出することによりアキシャルポ
ンプ・モータ24,25の各吐出油圧を検出するもので、該
検出油圧P1,P2を表す検出信号を出力する。なお、前輪
操舵角θf及びヨーレートγは右回転方向を正とし、左
回転方向を負とする。 マイクロコンピュータ46はROM、CPU、RAM、I/O(入出
力インターフェース)などからなり、ROM内に記憶され
た第2図のフローチャートに対応したプログラムの実行
により、リニアアクチュエータ32内の電動モータの回転
を制御する。 次に、上記実施例の動作を第2図のフローチャートを
参照しながら説明する。 イグニッションスイッチ(図示しない)が閉成される
と、マイクロコンピュータ46はステップ100にてプログ
ラムの実行を開始して、イグニッションスイッチが開成
されるまでステップ101〜107からなる循環処理を実行し
続ける。 ステップ101においては、ブレーキスイッチ42からブ
レーキペダル47のオン状態又はオフ状態を表す信号が読
み込まれて、ブレーキペダル47がオフ状態にあるか否か
が判定される。ステップ102においては、前輪操舵角セ
ンサ41から前輪操舵角θfを表す検出信号が読み込まれ
て、同操舵角θfの絶対値|θf|と所定の小さな値θf0
とを比較することにより、当該車両が直進状態にあるか
否かが判定される。ステップ103においては、ヨーレー
トセンサ43からヨーレートγを表す検出信号が読み込ま
れて、同ヨーレートγの絶対値|γ|と所定の小さな値
γとを比較することにより、車体にヨーが発生してい
るか否かが判定される。 今、ブレーキペダル47が踏み込み操作されず、かつ外
乱によるヨーが車体に作用していない状態で、当該車両
が直進走行しているならば、ステップ101にて「YES」す
なわちブレーキスイッチ42がオフ状態にあると判定さ
れ、ステップ102にて「YES」すなわち前輪操舵角θfの
絶対値|θf|は所定値θf0未満であると判定され、かつ
ステップ103にて「YES」すなわちヨーレートγの絶対値
|γ|は所定値γ未満であると判定されるので、ステ
ップ101〜104からなる循環処理が繰り返し実行されて、
ステップ104の基準位置学習制御が繰り返し実行され
る。 この基準位置学習制御は駆動ロッド32aの基準位置L0
を油圧P1,P2に応じて学習制御するもので、同ステップ1
04の処理毎に油圧センサ44,45から新たな油圧P1,P2が読
み込まれるとともに、マイクロコンピュータ46に記憶さ
れている最も古い油圧P1,P2が削除されるようにして、
現在から過去に渡る所定時間Δt分の複数の油圧P1,P2
が更新記憶され、該更新記憶された複数の油圧P1,P2に
基づいて下記演算の実行により駆動ロッド32aの基準位
置L0が算出されて、該算出基準位置L0を表す制御信号が
リニアアクチュエータ32へ出力される。 L0=L0+K1・∫(P2−P1)dt 前記演算式中、∫(P2−P1)dtの部分は油圧P2から油
圧P1を減算した値(P2−P1)を所定時間Δt前から現在
に渡って積分することを意味する。実際には、前記更新
記憶された複数の油圧P1,P2に基づいて、所定時間Δt
前から現在に渡る各差分値(P2−P1)をそれぞれ算出す
るとともに、該各差分値(P2−P1)が合算される。ま
た、係数K1は正の定数であり、また右辺の基準位置L0は
過去のデータを示すとともに左辺の基準位置L0は更新さ
れた新たなデータを示すものであって、共に第1図にて
右方向を正とする値である。そして、リニアアクチュエ
ータ32は前記供給制御信号に応じて駆動ロッド32aを基
準位置L0(前記演算式中の左辺)まで駆動制御する。な
お、かかる当該車両の直進走行状態にあっては、前輪操
舵助勢用のパワーシリンダ17の両油室の作動油圧は等し
く、油圧シリンダの両油室34b,34cの作動油圧も等しく
保たれているので、ピストンロッド34aはスプリング35,
36の作用により中立位置に固定されていて、アキシャル
ポンプ・モータ25の斜板25cの傾斜角も基準角度に保た
れている。 これにより、かかる状態で、油圧P2が油圧P1より大き
ければ、すなわちアキシャルポンプ・モータ25の吐出圧
がアキシャルポンプ・モータ24の吐出圧よりも高けれ
ば、駆動ロッド32aは第1図にて右方向へ前記左辺の基
準位置L0まで変位して、アキシャルポンプ・モータ24の
斜板24cの傾斜角が大きくなるので、同ポンプ・モータ2
4による吐出容量が増加制御される(吐出圧が増加する
方向へ制御される)。一方、油圧P1が油圧P2より大きい
場合には、すなわちアキシャルポンプ・モータ24の吐出
圧がアキシャルポンプ・モータ25の吐出圧よりも高い場
合には、駆動ロッド32aは第1図にて左方向へ前記左辺
の基準位置L0まで変位して、アキシャルポンプ・モータ
24の斜板24cの傾斜角が小さくなるので、同ポンプ・モ
ータ24の吐出容量が減少制御される(吐出圧が減少する
方向へ制御される)。その結果、かかるステップ104の
処理により、両ポンプ・モータ24,25の吐出圧すなわち
油圧P1,P2が等しくなるように基準位置L0が学習制御さ
れるとともに、駆動ロッド32aが同基準位置L0に設定制
御される。 このことは、左右後輪RW1,RW2の負荷を等しくして両
後輪RW1,RW2によるモーメントの発生をなくすととも
に、両アキシャルポンプ・モータ24,25間によるエネル
ギの授受をなくして両後輪RW1,RW2間の無駄な動力循環
をなくすことを意味する。これにより、左右後輪RW1,RW
2にそれぞれ有効径の異なるタイヤが取り付けられて
も、すなわち当該車両の直進時に左右後輪RW1,RW2の回
転数が異なっていても、柔軟に対応できるシステムが構
成される。また、前記積分演算により、駆動ロッド32a
の基準位置L0は所定時間Δtに渡る複数の油圧P1,P2に
基づいて穏やかに設定制御されて、瞬間的な左右後輪RW
1,RW2の回転数差には応答しない。その結果、左右後輪R
W1,RW2のうち一方の回転数が外乱によって瞬間的に他方
の回転数より大きくなった場合には、前記一方の車輪に
対応したアキシャルポンプ・モータの吐出圧が瞬間的に
増加して、前記他方の車輪に対応したアキシャルポンプ
・モータが前記増加した吐出圧により回転駆動されるの
で、前記一方の車輪は前記吐出圧の増加のために制動制
御され、かつ前記他方の車輪は駆動制御され、当該車両
の直進性が向上する。 また、ブレーキペダル47が踏み込み操作されず、かつ
当該車両が直進走行している状態で、横風などの外乱に
より、車体にヨーが発生した場合には、前述のように、
ステップ101,102にてそれぞれ「YES」と判定されるとと
もに、ステップ103にて「NO」すなわちヨーレートγの
絶対値|γ|は所定値γ以上であると判定されるの
で、ステップ101〜103,105からなる循環処理が繰り返し
実行されて、ステップ105のヨー抑制制御が繰り返し実
行される。 このヨー抑制制御は左右後輪RW1,RW2によるモーメン
トを車体に発生したヨーの方向と逆向きに与えて、該車
体に発生したヨーを抑制制御するもので、同ステップ10
5の処理毎にヨーレートセンサ43による検出ヨーレート
γが読み込まれるとともに、該読み込みヨーレートγに
基づいて下記演算の実行により駆動ロッド32aの変位位
置Ltが算出されて、該算出変位位置Ltを表す制御信号が
リニアアクチュエータ32へ出力される。 Lt=L0+Ky・γ 上記演算式中、L0は前述の基準位置であり、係数Kyは
正の定数である。なお、かかる場合も、アキシャルポン
プ・モータ25の斜板25cは、前記と同様、基準角度に固
定されている。 これにより、左方より突風がふいて車体に右回りのヨ
ーが発生したとするならば(このとき、ヨーレートγは
正の値を示している)、変位位置Ltは基準位置L0よりも
右側の位置を示すことになって、駆動ロッド32aは基準
位置L0よりも右方向に駆動される。かかる場合、アキシ
ャルポンプ・モータ24の斜板24cの傾斜角が大きくなっ
て、同ポンプ・モータ24の吐出容量が増加制御される
(吐出圧が増加する方向へ制御される)ので、アキシャ
ルポンプ・モータ25はアキシャルポンプ・モータ24によ
り回転駆動されるようになる。このことは、アキシャル
ポンプ・モータ24がポンプ作動し、かつアキシャルポン
プ・モータ25がモータ作動することを意味するととも
に、前者のポンプ・モータ24から後者のポンプ・モータ
25に媒体たる作動油を介してエネルギ伝達が行われたこ
とを意味する。その結果、左後輪RW1はアキシャルポン
プ・モータ24により制動制御され、かつ右後輪RW2はア
キシャルポンプ・モータ25により回転駆動されることに
なり、かかる制動力と駆動力とにより、左右後輪RW1,RW
2は車体を左方向へ回転させるヨーイングモーメントを
発生するので、横風により車体に発生した前記右方向の
ヨーが抑制される。 また、逆に、右方より突風がふいて車体に左回りのヨ
ーが発生したとするならば(このとき、ヨーレートγは
負の値を示している)、変位位置Ltは基準位置L0よりも
左側の位置を示すことになって、駆動ロッド32aは基準
位置L0よりも左方向に駆動される。かかる場合、アキシ
ャルポンプ・モータ24の斜板24cの傾斜角が小さくなっ
て、同ポンプ・モータ24による吐出容量が減少制御され
(吐出圧が減少する方向へ制御され)て、前記とは逆
に、アキシャルポンプ・モータ24がアキシャルポンプ・
モータ25により回転駆動されるようになる。このこと
は、アキシャルポンプ・モータ25がポンプ作動し、かつ
アキシャルポンプ・モータ24がモータ作動することを意
味するとともに、前者のポンプ・モータ25から後者のポ
ンプ・モータ24に媒体たる作動油を介してエネルギ伝達
が行われたことを意味する。その結果、右後輪RW2はア
キシャルポンプ・モータ25により制動制御され、かつ左
後輪RW1はアキシャルポンプ・モータ24により回転駆動
されることになり、かかる制動力と駆動力とにより、左
右後輪RW1,RW2は車体を右方向へ回転させるヨーイング
モーメントを発生するので、横風により車体に発生した
前記左方向のヨーが抑制される。 その結果、横風などの外乱により車体にヨーが発生し
ても、アキシャルポンプ・モータ24,25は該ヨーを打ち
消すように作用するので、当該車両の直進走行性能が良
好となる。 次に、当該車両が旋回し始めた場合について説明す
る。ただし、ブレーキペダル47は踏み込み操作されてい
ないものとする。かかる場合、前述のように、ステップ
101にて「YES」と判定されるとともに、ステップ102に
て「NO」すなわち前輪操舵角θfの|θf|は所定値θf0
以上であると判定されるので、ステップ101,102,106か
らなる循環処理が繰り返し実行されて、ステップ106の
基準位置固定制御が繰り返し実行される。 この基準位置固定制御は駆動ロッド32aを固定制御す
るもので、同ステップ106の処理にて、前記ステップ104
の基準位置学習制御により算出した基準位置L0に対応し
た制御信号がリニアアクチュエータ32に出力されて、同
アクチュエータ32は駆動ロッド32aを前記基準位置L0に
固定制御する。 一方、かかる車両の旋回中においては、前輪操舵助勢
用のパワーシリンダ14の左右油室間に油圧差が生じ、こ
の油圧差により、油圧シリンダ34の左右油室34b,34c間
にも油圧差が生じる。すなわち、左右前輪FW1,FW2が右
方向に操舵された場合には、パワーシリンダ17の右油室
内の圧力増加により、油圧シリンダ34の右油室34c内の
油圧が同シリンダ34の左油室34b内の油圧よりも高くな
る。そのため、ピストンロッド34aはスプリング35の付
勢力に抗して左方向へ変位し、アキシャルポンプ・モー
タ25の斜板25cの傾斜角が増加する。その結果、前記ア
キシャルポンプ・モータ24の制御の場合と同様、アキシ
ャルポンプ・モータ25がポンプ作動するとともに、アキ
シャルポンプ・モータ24がモータ作動することになり、
右後輪RW1はアキシャルポンプ・モータ25により制動制
御され、かつ左後輪RW2はアキシャルポンプ・モータ24
により回転駆動されることになり、かかる制動力と駆動
力とにより、左右後輪RW1,RW2は車体を右方向へ回転さ
せるヨーイングモーメントを発生する。かかる場合、車
両は右旋回状態にあるので、前記モーメントは車両の操
舵方向へ作用する。 また、逆に、左右前輪FW1,FW2が左方向に操舵された
場合には、前記とは逆に、油圧シリンダ34の左油室34b
内の油圧が同シリンダ34の右油室34c内の油圧よりも高
くなるので、ピストンロッド34aはスプリング36の付勢
力に抗して右方向へ変位し、アキシャルポンプ・モータ
25の斜板25cの傾斜角が減少する。その結果、アキシャ
ルポンプ・モータ25がモータ作動するとともに、アキシ
ャルポンプ・モータ24がポンプ作動することになり、右
後輪RW1はアキシャルポンプ・モータ25により駆動制御
され、かつ左後輪RW2はアキシャルポンプ・モータ24に
より制動制御されることになり、かかる制動力と駆動力
とにより、左右後輪RW1,RW2は車体を左方向へ回転させ
るヨーイングモーメントを発生する。かかる場合、車両
は左旋回状態にあるので、前記モーメントは車両の操舵
方向へ作用する。 このように、車両の旋回時には、左右後輪RW1,RW2に
よるヨーイングモーメントは車両の旋回方向に作用する
ので、当該車両の旋回性能が向上する。 さらに、ブレーキペダル47が踏み込み操作された場合
には、ステップ101にて「NO」すなわちブレーキスイッ
チ42がオン状態にあると判定されるので、ステップ101,
107からなる循環処理が繰り返し実行されて、ステップ1
07の圧力差零制御が繰り返し実行される。 この圧力差零制御は両油圧P1,P2が等しくなるように
制御するもので、同ステップ107の処理毎に両油圧セン
サ44,45による検出油圧P1,P2が読み込まれるとともに、
該読み込み検出油圧P1,P2に基づいて下記演算の実行に
より駆動ロッド32aの変位位置Ltが算出されて、該算出
変位位置Ltを表す制御信号がリニアアクチュエータ32へ
出力される。 Lt=L0+K2・(P2−P1) 前記演算式中、L0は前述の基準位置であり、係数K2は
正の定数である。 これにより、前記ブレーキペダル47の踏み込み操作に
伴う各輪の制動により、油圧P2が油圧P1より大きくなっ
た場合には、すなわちアキシャルポンプ・モータ25がポ
ンプ作動するとともに、アキシャルポンプ・モータ24が
モータ作動している場合には、前記ステップ105の処理
と同様に、変位位置Ltが基準位置L0よりも右側の位置を
示すことなって、駆動ロッド32aは基準位置L0よりも右
方向に駆動される。これにより、アキシャルポンプ・モ
ータ24の斜板24cの傾斜角が大きくなって、同ポンプ・
モータ24の吐出容量が増加制御される(吐出圧が増加す
る方向へ制御される)ので、当該システムは両ポンプ・
モータ24,25の吐出圧が等しくなる方向に制御される。 また、油圧P1が油圧P2より大きくなった場合には、す
なわちアキシャルポンプ・モータ24がポンプ作動し、か
つアキシャルポンプ・モータ25がモータ作動している場
合には、前記とは逆に、変位位置Ltが基準位置L0よりも
左側の位置を示すことなって、駆動ロッド32aは基準位
置L0よりも左方向に駆動される。これにより、アキシャ
ルポンプ・モータ24の斜板24cの傾斜角が小さくなっ
て、同ポンプ・モータ24の吐出容量が減少制御される
(吐出圧が減少する方向へ制御される)ので、かかる場
合も、当該システムは両ポンプ・モータ24,25の吐出圧
が等しくなる方向に制御される。 このように、ブレーキペダル47の踏み込み操作による
当該車両の制動時には、両アキシャルポンプ・モータ2
4,25間のエネルギの授受をなくすことにより、左右後輪
RW1,RW2に不必要な駆動力及び制動力が付与されないよ
うにしたので、ブレーキ装置(図示しない)による素直
な車両の制動特性が得られる。 上記動作説明のように、上記実施例によれば、左右後
輪RW1,RW2にアキシャルポンプ・モータ24,25の回転軸24
a,25aを接続するとともに、両ポンプ・モータ24,25間を
導管26,27により接続して、一方のポンプ・モータをポ
ンプ作動させ、かつ他方をモータ作動させることによ
り、左右後輪RW1,RW2の制動力及び駆動力を利用したヨ
ーイングモーメントを発生させて車両の直進性を良好に
したり、旋回性を良好にしている。かかる場合、第4図
に示すように、前記制動力及び駆動力をF′(F′≦
F)とするとともに、左右後輪RW1,RW2間のホイールト
レッドをLとするならば、当該車両にはヨーイングモー
メントF′・Lが発生することなる。ただし、前記Fは
車輪と路面とで決まる駆動力限界である。そして、上記
実施例においては、前記ヨーイングモーメントF′・L
を発生させるために、エンジン、トランスミッション11
からの駆動力が伝達されない従動輪たる左右後輪RW1,RW
2に制動力及び駆動力を付与するようにしたので、前記
駆動力限界(=F)まで前記駆動力を設定することが可
能となり、駆動力増加分の余裕を充分大きくすることが
可能となる。 また、前記ヨーイングモーメントF′・Lの発生時に
は、ポンプ作動しているアキシャルポンプ・モータ24,2
5からの作動油が導管26,27を介してモータ作動している
アキシャルポンプ・モータ24,25に供給されて、モータ
作動側のアキシャルポンプ・モータ24,25が前記作動油
により駆動されるようにして、エネルギが有効に利用さ
れるようにしたので、当該車両全体としてのエネルギ損
失を最小限に抑えることができる。 次に、本発明の第2及び第3実施例について説明す
る。 (1)第2実施例 この第2実施例に係る車両は第5図に示されており、
以下、上記第1実施例と異なる部分についてのみ説明す
る。 この第2実施例においては、上記第1実施例における
可変容量型のアキシャルポンプ・モータ25に代えて、固
定斜板25gを備えた定容量型のアキシャルポンプ・モー
タ25が利用されている。そのため、同ポンプ・モータ25
を駆動制御する上記第1実施例の油圧シリンダ34のよう
なものは存在しない。 また、センサ類としては、上記第1実施例の前輪操舵
角センサ41、ブレーキスイッチ42、ヨーレートセンサ43
及び油圧センサ44,45に加えて車速センサ48を有する。
この車速センサ48は変速機(図示しない)の出力軸49の
回転をピックアップすることにより、車速Vを表す検出
信号を出力するものである。 また、マイクロコンピュータ46は、上記第2図のフロ
ーチャートに対応したプログラムに代えて、第6図のフ
ローチャートに対応したプログラムを記憶している。さ
らに、この場合、マイクロコンピュータ46は、前輪操舵
角θf及び車速Vに応じて変化するものであって車両旋
回時に設定されるべき両導管26,27の油圧差を表す目標
値ΔP*を算出するための第1及び第2テーブルを備え
ている。第1テーブルは、第7図の特性グラフで示すよ
うに、前輪操舵角θfに応じて変化する基準目標値ΔPo
を記憶している。第2テーブルは、第8図の特性グラフ
で示すように、車速Vに応じて変化する補正値Kを記憶
している。 次に、上記のように構成した第2実施例の動作につい
て説明するが、該第2実施例の動作モードは、上記第1
実施例の各種モードのうち、アキシャルポンプ・モータ
24の斜板24cを固定制御し、かつアキシャルポンプ・モ
ータ25の斜板25cを油圧シリンダ34で駆動するものだけ
が相違し、両実施例におけるその他のモードは同一であ
る。また、これに関係して、第6図のステップ100〜10
5,107の処理は、上記第1実施例の同一符号の付された
各ステップの処理と同じである。そこで、ここでは、第
6図のステップ108の処理及び同処理に関係した動作に
ついてのみ説明する。 このステップ108の処理は、ステップ101,102にてそれ
ぞれ「YES」、「NO」と判定された場合、すなわちブレ
ーキペダル47が踏み込み操作されない状態で左右前輪FW
1,FW2が操舵された場合に実行されるもので、同ステッ
プ108においては次の手順でリニアアクチュエータ32が
駆動制御される。 前輪操舵角センサ41から前輪操舵角θfが読み込まれ
るとともに同操舵角θfに基づき第1テーブルが参照さ
れて、前輪操舵角θfに応じて変化する基準目標値ΔPo
(第7図参照)が導出される。 車速センサ48から車速Vが読み込まれるとともに同車
速Vに基づき第2テーブルが参照されて、車速Vに応じ
て変化する補正値K(第8図参照)が導出される。 前記両導出値ΔPo,Kを乗算することにより、目標値Δ
P*(=K・ΔPo)が算出される。 油圧センサ44,45から油圧P1,P2が読み込まれて、両油
圧P1,P2に基づき差圧値ΔP=P2−P1が算出される。 前記目標値ΔP*及び差圧値ΔPとに基づいて下記式
の実行により駆動ロッド32aの変位位置Ltが算出され
て、該算出変位位置Ltを表す制御信号がリニアアクチュ
エータ32へ出力される。 Lt=Lt−(ΔP*−ΔP) なお、前記演算式中、左辺のLtは今回計算した変位位
置を表し、かつ右辺のLtは前回計算した変位位置すなわ
ち駆動ロッド32aの制御前の変位位置を表すもので、こ
れにより、駆動ロッド32aは現在の変位位置から−(Δ
P*−ΔP)だけ右方向へ駆動されることになり、最終
的には、駆動ロッド32aは目標値ΔP*と差圧値ΔPと
が一致するような位置まで変位制御される。 この変位制御について具体的に説明すると、当該車両
が右旋回中(又は左旋回中)であれば、目標値ΔP*は
正(又は負)に設定される。今、差圧値ΔPが前記目標
値ΔP*より小さければ、値−(ΔP*−ΔP)は負と
なるので、駆動ロッド32aは第5図の左方向へ変位する
とともに、斜板24cの傾斜角は小さくなって、アキシャ
ルポンプ・モータ24の吐出容量は減少する。これによ
り、油圧P2が大きくなるとともに油圧P1は小さくなるの
で、前記差圧値ΔP(=P2−P1)が増加する方向に制御
される。また、逆に、差圧値ΔPが前記目標値ΔP*よ
り大きければ、値−(ΔP*−ΔP)は正となるので、
駆動ロッド32aは第5図の右方向へ変位するとともに、
斜板24cの傾斜角は大きくなって、アキシャルポンプ・
モータ24の吐出容量は増加する。これにより、油圧P2が
小さくなるとともに油圧P1は大きくなるので、前記差圧
値ΔP(=P2−P1)が減少する方向に制御される。その
結果、駆動ロッド32aの変位位置は、差圧値ΔPが目標
値ΔP*に一致するように制御される。 そして、かかる制御においては、当該車両の右旋回時
には目標値ΔP*が正になるとともに差圧値ΔP(=P2
−P1)も正になるように制御されるので、するなわちア
キシャルポンプ・モータ25がポンプ作動するとともにア
キシャルポンプ・モータ24がモータ作動するように制御
されるので、右後輪RW2に制動力が付与されるととも
に、左後輪RW1に駆動力が付与される。一方、当該車両
の左旋回時には目標値ΔP*が負になるとともに差圧値
ΔP(=P2−P1)も負になるように制御されるので、す
るなわちアキシャルポンプ・モータ24がポンプ作動する
とともにアキシャルポンプ・モータ25がモータ作動する
ように制御されるので、左後輪RW1に制動力が付与され
るとともに、右後輪RW2に駆動力が付与される。これら
により、当該車両には旋回方向のヨーイングモーメント
が発生して、同車両の旋回性能が向上する。ただし、こ
の第2実施例においては、車速Vの増加に従って補正値
Kが減少するので、当該車両の高速走行時には、目標値
ΔP*の絶対値|ΔP*|が小さくなる。これにより、
同高速走行時には、左右後輪RW1,RW2によるヨーイング
モーメントを小さく抑えて、走行安定性が悪化しないよ
うになっている。 また、この第2実施例においても、従動輪としての左
右後輪RW1,RW2にアキシャルポンプ・モータ24,25の回転
軸24a,25aを接続するとともに、両ポンプ・モータ24,25
間を導管26,27により接続して、一方のポンプ・モータ
をポンプ作動させ、かつ他方をモータ作動させるように
したので、上記第1実施例と同様な効果が期待される。 (2)第3実施例 上記第1及び第2実施例においては、油圧制御される
アキシャルポンプ・モータ24,25を用いた例について説
明したが、第9図に示すように、本発明は電気的に制御
されるモータ・ジェネレータ51,52を用いても構成でき
る。 これらのモータ・ジェネレータ51,52は、モータとし
て作動するとともにジェネレータとしても作動する、例
えば回転子として永久磁石を用いた同期モータ・ジェネ
レータでそれぞれ構成され、両モータ・ジェネレータ5
1,52の回転軸51a,52aは減速機53,54を介して従動輪とし
ての左右後輪RW1,RW2に接続されている。また、これら
のモータ・ジェネレータ51,52にはインバータ55,56が接
続されている。これらのインバータ55,56はコントロー
ラ57からの後述するトルク指令信号に応じてモータ・ジ
ェネレータ51,52の固定子に対する界磁電流を制御する
ことにより、同モータ・ジェネレータ51,52の回転磁界
の周波数を調整制御するものである。また、これらのイ
ンバータ55,56の各一対の電源ラインは電力供給線58a,5
8bを介して互いに接続されており、両供給線58a,58b間
には回路保護用の平滑コンデンサ59が接続されている。 コントローラ57はマイクロコンピュータなどの回路で
構成されていてインバータ55,56を制御するもので、同
コントローラ57には、上記第1及び第2実施例と同様な
前輪操舵角センサ41、ブレーキスイッチ42、ヨーレート
センサ43及び車速センサ48が接続されている。 上記のように構成した第3実施例においては、コント
ローラ57が前輪操舵角センサ41、ブレーキスイッチ42、
ヨーレートセンサ43及び車速センサ48から各検出信号を
入力して、左右後輪RW1,RW2が上記第1及び第2実施例
の場合と同様の態様でヨーイングモーメントを発生すべ
く、モータ・ジェネレータ51,52で発生すべきトルクを
算出するとともに、該トルクを表すトルク指令信号をイ
ンバータ55,56へそれぞれ出力する。かかる場合、イン
バータ55へ出力されるトルク指令信号と、インバータ56
へ出力されるトルク指令信号とは、常に大きさが同じ
で、正負の符号が逆である。 インバータ51,52は、前記両トルク指令信号に基づい
てモータ・ジェネレータ51,52の固定子の界磁電流を制
御することにより、両モータ・ジェネレータ51,52の一
方のジェネレータ作動させるとともに、他方をモータ作
動させる。これにより、上記第1及び第2実施例の場合
と同様に、従動輪たる左右後輪RW1,RW2において、モー
タ作動するモータ・ジェネレータ側の車輪は駆動される
とともに、ジェネレータ作動するモータ・ジェネレータ
側の車輪は制動されて、車両にヨーイングモーメントが
発生するので、該モーメントを大きくすることが可能と
なる。また、前記ヨーイングモーメントの発生時には、
ジェネレータ作動しているモータ・ジェネレータ51,52
からの発電電力は、電力供給線48a,48bを介して、モー
タ作動しているモータ・ジェネレータ51,52に供給され
て、モータ作動側のモータ・ジェネレータ51,52が前記
供給電力により駆動されるので、エネルギが有効に利用
されて、当該車両全体としてのエネルギ損失を最小限に
抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例に係る車両の全体概略図、
第2図は第1図のマイクロコンピュータにて実行される
プログラムのフローチャート、第3図は従来の車両にお
けるヨーイングモーメントの発生状態を説明するための
説明図、第4図は本発明に係る車両におけるヨーイング
モーメントの発生状態を説明するための説明図、第5図
は本発明の第2実施例に係る車両の全体概略図、第6図
は第5図のマイクロコンピュータにて実行されるプログ
ラムのフローチャート、第7図は前記第2実施例におけ
る前輪操舵角に対する油圧差の基準目標値の変化特性を
示すグラフ、第8図は同第2実施例における車速に対す
る補正値の変化特性を示すグラフ、第9図は本発明の第
3実施例に係る車両の後輪部の概略図である。 符号の説明 FW1,FW2……前輪、RW1,RW2……後輪、11……エンジン、
トランスミッション、24,25……アキシャルポンプ・モ
ータ、26,27……導管、32……リニアアクチュエータ、3
4……油圧シリンダ、41……前輪操舵角センサ、42……
ブレーキスイッチ、43……ヨーレートセンサ、44,45…
…油圧センサ、46……マイクロコンピュータ、48……車
速センサ、51,52……モータ・ジェネレータ、55,56……
インバータ、57……コントローラ、58a,58b……電力供
給線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 111:00 B62D 113:00 113:00 B60K 17/358

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンからの駆動力が伝達されない左右
    一対の従動輪側にそれぞれ設けられ従動輪側から回転駆
    動されて同駆動力をエネルギ変換して出力する第1モー
    ドと前記出力エネルギを回転駆動力に変換して同駆動力
    を従動輪に付与する第2モードとの両モードで動作可能
    な一対の回転機器と、前記入出力エネルギの伝達が可能
    な媒体により前記一対の回転機器間を接続して両回転機
    器間の相互のエネルギ伝達を可能とするエネルギ伝達手
    段と、前記一対の回転機器の少なくとも一方を制御して
    両回転機器を第1及び第2モード間で可逆的に動作制御
    することが可能なモード制御手段とにより構成したこと
    を特徴とする車両の操向制御装置。
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