JP6900877B2 - ステアバイワイヤシステム - Google Patents

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本発明は、ステアバイワイヤシステムに関する。
ステアバイワイヤ(Steer-By-Wire)方式の車両が知られている。ステアバイワイヤ方式の場合、車輪を転舵する転舵機構は、ステアリングホイールから機械的に分離されている。その代わり、転舵機構には電動モータが設けられる。ステアリングホイールの操作に応じて電動モータを駆動することにより、転舵が行われる。その一方で、ドライバに操舵フィーリングを与えるために、擬似的な操舵反力がステアリングホイールに付与される。
特許文献1は、ステアバイワイヤ方式のステアリング制御装置を開示している。転舵機構は、転舵輪を駆動する転舵アクチュエータを有する。転舵機構には、路面反力等により転舵反力が働く。この転舵反力は、センサを用いて検出される、あるいは、外乱オブザーバを用いて推定される。一方、操舵機構は、ステアリングホイールに操舵反力を付与する操舵アクチュエータを有する。操舵アクチュエータの制御量は、操舵トルク、転舵反力、及び転舵反力の時間微分等に基づいて決定される。
特開2004−034923号公報
上記の特許文献1に開示されている技術では、アンダーステアあるいはオーバーステアといった限界域の車両状態におけるステアリング制御は検討されていない。そのような限界域においても、車両状態に応じた適切な操舵フィーリングを再現することが望ましい。
本発明の1つの目的は、アンダーステアあるいはオーバーステアといった限界域の車両状態に応じた操舵フィーリングを再現することができるステアバイワイヤシステムを提供することにある。
第1の発明は、車両に搭載されるステアバイワイヤシステムを提供する。
前記ステアバイワイヤシステムは、
前記車両の車輪を転舵する転舵装置と、
ステアリングホイールに付与される操舵反力を制御する操舵反力制御装置と
を備える。
前記操舵反力制御装置は、異なるパラメータを用いて複数種類の軸力を算出し、前記複数種類の軸力に基づいて最終軸力を算出し、前記最終軸力に相当する前記操舵反力を発生させる。
前記複数種類の軸力は、
前記車輪の転舵角又はステアリングホイールの操舵角に基づいて算出される基本軸力と、
アンダーステア時に前記基本軸力よりも小さくなるアンダー軸力と、
を含む。
前記操舵反力制御装置は、アンダーステア時の前記基本軸力と前記アンダー軸力との差を反映したアンダーステア度を算出し、前記アンダーステア度に応じた分だけアンダーステア時の前記最終軸力を前記基本軸力よりも減少させる。
第2の発明は、車両に搭載されるステアバイワイヤシステムを提供する。
前記ステアバイワイヤシステムは、
前記車両の車輪を転舵する転舵装置と、
ステアリングホイールに付与される操舵反力を制御する操舵反力制御装置と
を備える。
前記操舵反力制御装置は、異なるパラメータを用いて複数種類の軸力を算出し、前記複数種類の軸力に基づいて最終軸力を算出し、前記最終軸力に相当する前記操舵反力を発生させる。
前記複数種類の軸力は、
前記車輪の転舵角又はステアリングホイールの操舵角に基づいて算出される基本軸力と、
オーバーステア時に前記基本軸力よりも大きくなるオーバー軸力と、
を含む。
前記操舵反力制御装置は、オーバーステア時の前記基本軸力と前記オーバー軸力との差を反映したオーバーステア度を算出し、前記オーバーステア度に応じた分だけオーバーステア時の前記最終軸力を前記基本軸力よりも増加させる。
第1の発明によれば、基本軸力とアンダーステア時に基本軸力よりも小さくなるアンダー軸力が算出される。それら基本軸力とアンダー軸力を対比することによって、アンダーステアを容易に検知し、アンダーステア度を容易に算出することができる。また、アンダーステア時の最終軸力は、アンダーステア度に応じた減少量だけ基本軸力よりも小さくなる。従って、アンダーステア時の操舵反力は、基本軸力に相当する操舵反力よりも小さくなる。これにより、アンダーステア時にドライバが感じる“舵力抜け感”を再現することが可能となる。
第2の発明によれば、基本軸力とオーバーステア時に基本軸力よりも大きくなるオーバー軸力が算出される。それら基本軸力とオーバー軸力を対比することによって、オーバーステアを容易に検知し、オーバーステア度を容易に算出することができる。また、オーバーステア時の最終軸力は、オーバーステア度に応じた増加量だけ基本軸力よりも大きくなる。従って、オーバーステア時の操舵反力は、基本軸力に相当する操舵反力よりも大きくなる。これにより、ステアリングホイールを切り戻しやすくなる。すなわち、オーバーステア時のカウンタステア操作がアシストされる。ドライバは、カウンタステアを行いやすいと感じる。
このように、本発明のステアバイワイヤシステムによれば、車両状態に応じた適切な操舵フィーリングを再現することが可能となる。特に、アンダーステアあるいはオーバーステアといった限界域においても、車両状態に応じた適切な操舵フィーリングの再現することが可能となる。
本発明の実施の形態に係るステアバイワイヤシステムの構成例を概略的に示すブロック図である。 本発明の実施の形態におけるアンダー軸力を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態におけるアンダー軸力の1つである第5軸力を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態におけるオーバー軸力を説明するための概念図である。 本発明の実施の形態に係るステアバイワイヤシステムの操舵反力制御装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る操舵反力制御における最終軸力の算出の第1の例を示す概念図である。 本発明の実施の形態に係る操舵反力制御における最終軸力の算出の第2の例を示す概念図である。 本発明の実施の形態に係る操舵反力制御における最終軸力の算出の第3の例を示す概念図である。
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
1.ステアバイワイヤシステム
図1は、本実施の形態に係るステアバイワイヤシステム1の構成例を概略的に示すブロック図である。ステアバイワイヤシステム1は、車両に搭載されており、ステアバイワイヤ方式で車両の車輪WH(転舵輪)を転舵する。図1に示されるように、ステアバイワイヤシステム1は、ステアリングホイール10、ステアリングシャフト20、反力発生装置30、転舵装置40、センサ群51〜58、及び制御装置100を備えている。
ステアリングホイール10(ハンドル)は、ドライバが操舵に用いる操作部材である。ステアリングシャフト20は、ステアリングホイール10に連結されており、ステアリングホイール10と共に回転する。
反力発生装置30は、ステアリングホイール10に対して操舵反力を擬似的に付与する。この反力発生装置30は、反力モータ31と減速機構32を含んでいる。反力モータ31のロータは、減速機構32を介してステアリングシャフト20につながっている。反力モータ31を作動させることにより、ステアリングシャフト20ひいてはステアリングホイール10に擬似的な操舵反力を付与することができる。この反力モータ31の動作は、制御装置100によって制御される。
転舵装置40は、車輪WHを転舵する。この転舵装置40は、転舵モータ41、減速機構42、転舵バー43、及びタイロッド44を含んでいる。転舵モータ41のロータは、減速機構42を介して転舵バー43につながっている。転舵バー43は、タイロッド44を介して車輪WHに連結されている。転舵バー43とタイロッド44は、以下、まとめて転舵軸45と呼ばれる。転舵モータ41は、減速機構42及び転舵軸45を介して、車輪WHにつながっている。転舵モータ41が回転すると、その回転運動は転舵軸45の直線運動に変換され、それにより車輪WHが転舵される。すなわち、転舵モータ41を作動させることにより、車輪WHを転舵することができる。この転舵モータ41の動作は、制御装置100によって制御される。
ハンドル角センサ51は、ステアリングホイール10の操舵角であるハンドル角MAを検出する。ハンドル角センサ51は、検出したハンドル角MAの情報を制御装置100に送る。
操舵トルクセンサ52は、ステアリングシャフト20に印加される操舵トルクTを検出する。操舵トルクセンサ52は、検出した操舵トルクTの情報を制御装置100に送る。
回転角センサ53は、反力発生装置30の反力モータ31の回転角Φを検出する。回転角センサ53は、検出した回転角Φの情報を制御装置100に送る。
回転角センサ54は、転舵装置40の転舵モータ41の回転角を検出する。転舵モータ41の回転角は、車輪WHの転舵角θに相当する。よって、回転角センサ54は、車輪WHの転舵角θを検出しているとも言える。回転角センサ54は、検出した転舵角θの情報を制御装置100に送る。
転舵電流センサ55は、上記の転舵モータ41を駆動する転舵電流Imを検出する。転舵電流センサ55は、検出した転舵電流Imの情報を制御装置100に送る。
車速センサ56は、車両の速度である車速Vを検出する。車速センサ56は、検出した車速Vの情報を制御装置100に送る。尚、車速センサ56の代わりに車輪速センサを用い、各車輪の回転速度から車速Vが算出されてもよい。
ヨーレートセンサ57は、車両のヨーレートγを検出する。ヨーレートセンサ57は、検出したヨーレートγの情報を制御装置100に送る。
横加速度センサ58は、車両にかかる横加速度Gyを検出する。横加速度センサ58は、検出した横加速度Gyの情報を制御装置100に送る。
制御装置100は、本実施の形態に係るステアバイワイヤシステム1を制御する。この制御装置100は、プロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースを備えるマイクロコンピュータを含んでいる。当該マイクロコンピュータは、ECU(Electronic Control Unit)とも呼ばれる。制御装置100は、センサ群51〜58から検出情報を受け取り、検出情報に基づいてステアバイワイヤシステム1を制御する。
具体的には、制御装置100は、転舵装置40の転舵モータ41の駆動制御を行うことによって、車輪WHの転舵を制御する。例えば、制御装置100は、ハンドル角MA等に基づいて目標転舵角を算出する。そして、制御装置100は、回転角センサ54によって検出される転舵角θと目標転舵角に基づいて、転舵モータ41を駆動するための制御信号を生成する。転舵モータ41は制御信号に従って駆動され、転舵モータ41の回転により車輪WHが転舵される。尚、このときに転舵モータ41を駆動する電流が転舵電流Imである。
また、制御装置100は、反力発生装置30の反力モータ31の駆動制御を行うことによって、ステアリングホイール10に付与される操舵反力を制御する。具体的には、制御装置100は、センサ群からの検出情報に基づいて目標操舵反力を算出する(この目標操舵反力の算出の詳細は、後述される)。そして、制御装置100は、目標操舵反力が発生するように反力モータ31の駆動制御を行う。例えば、制御装置100は、目標操舵反力、反力モータ31の回転角Φ、操舵トルクT等に基づいて、反力モータ31を駆動するための制御信号を生成する。反力モータ31は制御信号に従って駆動され、それにより操舵反力が発生する。
制御装置100と反力発生装置30は、「操舵反力制御装置100R」を構成している。操舵反力制御装置100Rは、反力モータ31を用いて操舵反力を発生させ、ステアリングホイール10に操舵反力を付与する。また、操舵反力制御装置100Rは、その操舵反力を制御する。以下、本実施の形態に係る操舵反力制御について詳しく説明する。
2.複数種類の軸力
ドライバの操舵フィーリングの観点から、操舵反力は、路面から車輪WHを通して転舵軸45に印加される反力を考慮して決定されることが好ましい。以下の説明において、転舵軸45に印加される反力に相当するパラメータ(成分)は、「軸力」と呼ばれる。本実施の形態に係る操舵反力制御では、異なるパラメータに基づく“複数種類の軸力”が考慮される。それら複数種類の軸力の次元は統一される。以下に示される例においては、複数種類の軸力の次元として、横加速度Gyの次元[m/s]が用いられる。
2−1.第1軸力AF1
第1軸力AF1は、転舵角θ[deg]と車速V[m/s]に基づいて算出される。例えば、第1軸力AF1は、次の式(1)で表される。
Figure 0006900877
ここで、lはホイールベース[m]であり、Nはオーバオールギア比である。Kはスタビリティファクタであり、次の式(2)で表される。
Figure 0006900877
ここで、mは車両質量[kg]である。lは車両重心点とフロント車軸との間の距離[m]であり、lは車両重心点とリア車軸との間の距離[m]である。Kは前輪コーナリングパワー[N/rad]であり、Kは後輪コーナリングパワー[N/rad]である。
式(1)の場合、第1軸力AF1は転舵角θに比例する。つまり、転舵角θが大きくなるにつれて、第1軸力AF1も増加する。過渡特性も考慮する場合、第1軸力AF1は、次の式(3)で表される。
Figure 0006900877
ここで、Ty1及びTy2は、それぞれ、次の式(4)及び式(5)で表される。ωは固有振動数であり、次の式(6)で表される。ζは減衰比であり、次の式(7)で表される。Iはヨーイング慣性モーメント[kg・m]である。
Figure 0006900877
Figure 0006900877
Figure 0006900877
Figure 0006900877
尚、上述の通り、車輪WHの転舵角θは、ハンドル角MA(ステアリングホイール10の操舵角)に基づいて決定される。従って、第1軸力AF1は、転舵角θの代わりにハンドル角MAに基づく式で表されてもよい。すなわち、第1軸力AF1は、転舵角θの代わりにハンドル角MAに基づいて算出されてもよい。
2−2.第2軸力AF2
第2軸力AF2は、ヨーレートγ[rad/s]と車速V[m/s]に基づいて算出される。例えば、第2軸力AF2は、次の式(8)で表される。
Figure 0006900877
式(8)の場合、第2軸力AF2は、ヨーレートγに比例する。つまり、ヨーレートγが高くなるにつれて、第2軸力AF2も増加する。
2−3.第3軸力AF3
第3軸力AF3は、横加速度Gy[m/s]に基づいて算出される。例えば、第3軸力AF3は、次の式(9)で表される。
Figure 0006900877
式(9)の場合、第3軸力AF3は、横加速度Gyに比例する。つまり、横加速度Gyが高くなるにつれて、第3軸力AF3も増加する。
2−4.第4軸力AF4
第4軸力AF4は、横加速度Gy[m/s]とヨーレートγ[rad/s]に基づいて算出される。例えば、第4軸力AF4は、次の式(10)で表される。
Figure 0006900877
式(10)中の第2項は、ヨーレートγの時間微分に関連する項である。mは車両質量[kg]であり、Iはヨーイング慣性モーメント[kg・m]であり、lは車両重心点とリア車軸との間の距離[m]である。横加速度Gyとヨーレートγの時間微分との和は、車輪WHの横力に相当する。横力が大きくなるにつれて、第4軸力AF4も増加する。
2−5.第5軸力AF5
第5軸力AF5は、転舵モータ41を駆動する転舵電流Im[A]に基づいて算出される。例えば、第5軸力AF5は、次の式(11)で表される。
Figure 0006900877
ここで、Ktは、電流トルク変換係数[Nm/A]である。ξnはニューマチックトレール[m]であり、ξcはキャスタトレール[m]である。式(11)の場合、第5軸力AF5は、転舵電流Imに比例する。つまり、転舵電流Imが大きくなるにつれて、第5軸力AF5も増加する。
2−6.基本軸力AF_B
基本軸力AF_Bは、目標操舵反力を決定する際のベースとなる軸力である。本実施の形態によれば、上記の第1軸力AF1が、基本軸力AF_Bとして用いられる。上述の通り、第1軸力AF1は、転舵角θ(ハンドル角MA)に応じて変化し、転舵角θ(ハンドル角MA)が大きくなるにつれて増加する。このような第1軸力AF1は、ビルドアップ感(転舵角θあるいはハンドル角MAが増えるにつれて、手ごたえも増える感覚)の再現に適している。
2−7.アンダー軸力AF_U
アンダー軸力AF_Uは、アンダーステア時に基本軸力AF_Bよりも小さくなる性質を有する軸力である。尚、特に断りのない限り、本明細書における大小関係は、絶対値の大小関係を意味する。例えば、アンダー軸力AF_Uが基本軸力AF_Bよりも小さいとは、アンダー軸力AF_Uの絶対値が基本軸力AF_Bの絶対値よりも小さいことを意味する。
図2は、アンダー軸力AF_Uを説明するための概念図である。ここでは、ステアリングホイール10が操作され、ハンドル角MA及び転舵角θが時間と共に増加する場合を考える。図2中の横軸は、時間t及び転舵角θを表している。上記の複数種類の軸力のうち第2軸力AF2、第3軸力AF3、及び第4軸力AF4は、アンダーステア(US)状態において基本軸力AF_Bよりも小さくなるという性質を有している。つまり、第2軸力AF2、第3軸力AF3、及び第4軸力AF4は、アンダー軸力AF_Uである。
図3は、転舵電流Imに基づく第5軸力AF5を説明するための概念図である。第5軸力AF5も、アンダーステア(US)状態において基本軸力AF_Bよりも小さくなるという性質を有している。つまり、第5軸力AF5もアンダー軸力AF_Uである。更に、図2と図3との対比から分かるように、第5軸力AF5の変化は、他のアンダー軸力AF_U(AF2、AF3、AF4)の変化よりも早く開始する。
転舵モータ41は、転舵電流Imによって駆動される。転舵モータ41が作動することにより車輪WHの舵角が変化し、その結果として、横加速度Gy及びヨーレートγが変化する。つまり、転舵電流Imの変化は、横加速度Gyやヨーレートγの変化よりも早く発生する。従って、転舵電流Imに基づいて算出される第5軸力AF5は、他の軸力AF2〜AF4よりも早く変化を開始する。その意味で、第5軸力AF5は、「早期変化軸力」と呼ばれる。
本実施の形態では、第2軸力AF2、第3軸力AF3、第4軸力AF4、及び第5軸力AF5のうち少なくとも1つが、アンダー軸力AF_Uとして用いられる。
2−8.オーバー軸力AF_O
オーバー軸力AF_Oは、オーバーステア時に基本軸力AF_Bよりも大きくなる性質を有する軸力である。図4は、オーバー軸力AF_Oを説明するための概念図である。図4のフォーマットは、図2、3のフォーマットと同じである。ヨーレートγに基づいて算出される第2軸力AF2及び第4軸力AF4は、オーバーステア(OS)状態において基本軸力AF_Bよりも大きくなるという性質を有している。つまり、第2軸力AF2及び第4軸力AF4は、オーバー軸力AF_Oである。本実施の形態では、第2軸力AF2と第4軸力AF4のうち少なくとも1つが、オーバー軸力AF_Oとして用いられる。
尚、第2軸力AF2及び第4軸力AF4は、アンダー軸力AF_Uとオーバー軸力AF_Oの両方の性質を有している。
3.操舵反力制御の概要
3−1.機能構成
図5は、本実施の形態に係る操舵反力制御装置100R(制御装置100)の機能構成を示すブロック図である。操舵反力制御装置100Rは、機能ブロックとして、センサ情報取得部110、軸力算出部120、状態判定部130、最終軸力算出部140、及びアクチュエータ制御部150を備えている。
センサ情報取得部110は、センサ群51〜58から検出情報を取得する。
軸力算出部120は、異なるパラメータを用いて複数種類の軸力を算出する。算出される複数種類の軸力は、基本軸力AF_B、アンダー軸力AF_U、及びオーバー軸力AF_Oを少なくとも含んでいる。例えば、軸力算出部120は、転舵角θ(あるいはハンドル角MA)、車速V、ヨーレートγ、横加速度Gy、及び転舵電流Imに基づいて、上述の軸力AF1〜AF5を算出する。
状態判定部130は、算出された複数種類の軸力に基づいて、車両状態が常用域か限界域(アンダーステア、オーバーステア)かを判定する。より詳細には、状態判定部130は、基本軸力AF_B、アンダー軸力AF_U、及びオーバー軸力AF_Oを対比することによって、車両状態を判定する。
例えば、アンダー軸力AF_Uが基本軸力AF_Bより小さい場合(AF_U<AF_B)、状態判定部130は、車両状態がアンダーステア傾向にあると判定する。また、このとき、状態判定部130は、基本軸力AF_Bとアンダー軸力AF_Uとの差を反映した「アンダーステア度DUS」を算出する。アンダーステア時の基本軸力AF_Bとアンダー軸力AF_Uとの差が大きくなると、アンダーステア度DUSも強くなる。
一方、オーバー軸力AF_Oが基本軸力AF_Bより大きい場合(AF_O>AF_B)、状態判定部130は、車両状態がオーバーステア傾向にあると判定する。また、このとき、状態判定部130は、基本軸力AF_Bとオーバー軸力AF_Oとの差を反映した「オーバーステア度DOS」を算出する。オーバーステア時の基本軸力AF_Bとオーバー軸力AF_Oとの差が大きくなると、オーバーステア度DOSも強くなる。
最終軸力算出部140は、目標操舵反力の算出に用いられる「最終軸力AF_F」を算出する。特に、最終軸力算出部140は、複数種類の軸力、アンダーステア度DUS、及びオーバーステア度DOSに基づいて、車両状態に応じた適切な最終軸力AF_Fを算出する。
より詳細には、アンダーステア時、最終軸力算出部140は、基本軸力AF_Bよりもアンダーステア度DUSに応じた減少量だけ小さい軸力を、最終軸力AF_Fとして算出する。言い換えれば、最終軸力算出部140は、アンダーステア度DUSに応じた減少量だけ、アンダーステア時の最終軸力AF_Fを基本軸力AF_Bよりも減少させる。
一方、オーバーステア時、最終軸力算出部140は、基本軸力AF_Bよりもオーバーステア度DOSに応じた増加量だけ大きい軸力を、最終軸力AF_Fとして算出する。言い換えれば、最終軸力算出部140は、オーバーステア度DOSに応じた増加量だけ、オーバーステア時の最終軸力AF_Fを基本軸力AF_Bよりも増加させる。
アクチュエータ制御部150は、最終軸力AF_Fから目標操舵反力を算出する。最終軸力AF_Fが大きくなるほど、目標操舵反力も大きくなる。そして、アクチュエータ制御部150は、目標操舵反力が発生するように反力モータ31の駆動制御を行う。例えば、アクチュエータ制御部150は、目標操舵反力、反力モータ31の回転角Φ、操舵トルクT等に基づいて、反力モータ31を駆動するための制御信号を生成する。反力モータ31は制御信号に従って駆動され、それにより操舵反力が発生する。
3−2.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、基本軸力AF_B、アンダー軸力AF_U、及びオーバー軸力AF_Oを含む複数種類の軸力が算出される。それら基本軸力AF_B、アンダー軸力AF_U、及びオーバー軸力AF_Oを対比することによって、アンダーステアやオーバーステアを容易に検知し、アンダーステア度DUSやオーバーステア度DOSを容易に算出することができる。
基本軸力AF_Bは、転舵角θ(あるいはハンドル角MA)に基づいて算出される。転舵角θ(ハンドル角MA)が大きくなるにつれて、基本軸力AF_Bは増加する。このような基本軸力AF_Bをベースとして操舵反力を発生させることにより、適度なビルドアップ感(転舵角θあるいはハンドル角MAが増えるにつれて、手ごたえも増える感覚)を再現することが可能となる。
アンダーステア時の最終軸力AF_Fは、アンダーステア度DUSに応じた減少量だけ基本軸力AF_Bよりも小さくなる。従って、アンダーステア時の操舵反力は、基本軸力AF_Bに相当する操舵反力よりも小さくなる。これにより、アンダーステア時にドライバが感じる“舵力抜け感”を再現することが可能となる。
オーバーステア時の最終軸力AF_Fは、オーバーステア度DOSに応じた増加量だけ基本軸力AF_Bよりも大きくなる。従って、オーバーステア時の操舵反力は、基本軸力AF_Bに相当する操舵反力よりも大きくなる。これにより、ステアリングホイール10を切り戻しやすくなる。すなわち、オーバーステア時のカウンタステア操作がアシストされる。ドライバは、カウンタステアを行いやすいと感じる。
このように、本実施の形態のステアバイワイヤシステム1によれば、車両状態に応じた適切な操舵フィーリングを再現することが可能となる。特に、アンダーステアあるいはオーバーステアといった限界域においても、車両状態に応じた適切な操舵フィーリングの再現することが可能となる。尚、上記の説明のうち、アンダーステアとオーバーステアのいずれか一方に関連する処理だけが実施されてもよい。
また、本実施の形態によれば、転舵軸45にかかる反力を直接検出するためのセンサは不要である。このことは、コスト削減の観点から好ましい。更に、本実施の形態によれば、転舵軸45にかかる反力を推定するための外乱オブザーバも不要である。このことは、計算負荷の軽減の観点から好ましい。
4.具体例
以下、本実施の形態に係る操舵反力制御における最終軸力AF_Fの算出に関するいくつかの例を説明する。
4−1.第1の例
図6は、第1の例を示す概念図である。まず、図6中のブロック200について説明する。操舵反力制御装置100Rは、基本軸力AF_Bとアンダー軸力AF_Uの差分δUを算出する。差分δUは、次の式(12)で表される。
式(12):
δU=|AF_B|−|AF_U|
更に、操舵反力制御装置100Rは、差分δUに応じたアンダーステア度DUSを算出する。差分δUが大きくなるにつれ、アンダーステア度DUSは強くなる傾向にある。図6に例示されるように、不感帯が設けられていてもよい。差分δUとアンダーステア度DUSとの対応関係は、予め規定され、マップあるいは数式の形式で与えられる。操舵反力制御装置100Rは、当該対応関係を参照して、差分δUに応じたアンダーステア度DUSを算出する。尚、差分δU及びアンダーステア度DUSの算出が、状態判定部130の処理に相当する。
続いて、操舵反力制御装置100Rは、アンダーステア度DUSに基づいて、第1基本軸力ゲインGB1とアンダー軸力ゲインGUを算出する。第1基本軸力ゲインGB1は、最終軸力AF_Fに対する基本軸力AF_Bの寄与度を決める重みゲインである。アンダー軸力ゲインGUは、最終軸力AF_Fに対するアンダー軸力AF_Uの寄与度を決める重みゲインである。
図6に示されるように、第1基本軸力ゲインGB1は、アンダーステア度DUSが強くなるにつれて、1から減少する。逆に、アンダー軸力ゲインGUは、アンダーステア度DUSが強くなるにつれて、1に向かって増加する。アンダーステア度DUSと第1基本軸力ゲインGB1との対応関係、及び、アンダーステア度DUSとアンダー軸力ゲインGUとの対応関係は、予め規定され、マップあるいは数式の形式で与えられる。操舵反力制御装置100Rは、当該対応関係を参照して、アンダーステア度DUSに応じた第1基本軸力ゲインGB1及びアンダー軸力ゲインGUを算出する。
操舵反力制御装置100Rは、基本軸力AF_B、第1基本軸力ゲインGB1、アンダー軸力AF_U、及びアンダー軸力ゲインGUに基づいて、仮軸力AF_Tを算出する。仮軸力AF_Tは、次の式(13)で表される。尚、式(13)中のアンダー軸力AF_Uは、上記式(12)中のアンダー軸力AF_Uとは別の種類であってもよい。
式(13):
AF_T=GB1×AF_B+GU×AF_U
次に、図6中のブロック300について説明する。操舵反力制御装置100Rは、基本軸力AF_Bとオーバー軸力AF_Oの差分δOを算出する。差分δOは、次の式(14)で表される。
式(14):
δO=|AF_O|−|AF_B|
更に、操舵反力制御装置100Rは、差分δOに応じたオーバーステア度DOSを算出する。差分δOが大きくなるにつれ、オーバーステア度DOSは強くなる傾向にある。図6に例示されるように、不感帯が設けられていてもよい。差分δOとオーバーステア度DOSとの対応関係は、予め規定され、マップあるいは数式の形式で与えられる。操舵反力制御装置100Rは、当該対応関係を参照して、差分δOに応じたオーバーステア度DOSを算出する。
続いて、操舵反力制御装置100Rは、オーバーステア度DOSに基づいて、第2基本軸力ゲインGB2とオーバー軸力ゲインGOを算出する。第2基本軸力ゲインGB2は、最終軸力AF_Fに対する仮軸力AF_Tの寄与度を決める重みゲインである。オーバー軸力ゲインGOは、最終軸力AF_Fに対するオーバー軸力AF_Oの寄与度を決める重みゲインである。
図6に示されるように、第2基本軸力ゲインGB2は、オーバーステア度DOSが強くなるにつれて、1から減少する。逆に、オーバー軸力ゲインGOは、オーバーステア度DOSが強くなるにつれて、1に向かって増加する。オーバーステア度DOSと第2基本軸力ゲインGB2との対応関係、及び、オーバーステア度DOSとオーバー軸力ゲインGOとの対応関係は、予め規定され、マップあるいは数式の形式で与えられる。操舵反力制御装置100Rは、当該対応関係を参照して、オーバーステア度DOSに応じた第2基本軸力ゲインGB2及びオーバー軸力ゲインGOを算出する。
操舵反力制御装置100Rは、仮軸力AF_T、第2基本軸力ゲインGB2、オーバー軸力AF_O、及びオーバー軸力ゲインGOに基づいて、最終軸力AF_Fを算出する。最終軸力AF_Fは、次の式(15)で表される。尚、式(15)中のオーバー軸力AF_Oは、上記式(14)中のオーバー軸力AF_Oとは別の種類であってもよい。
式(15):
AF_F=GB2×AF_T+GO×AF_O
<常用域>
常用域の場合、アンダーステア度DUS及びオーバーステア度DOSは共に0である。第1基本軸力ゲインGB1が1となり、アンダー軸力ゲインGUが0となるため、仮軸力AF_Tは、基本軸力AF_Bと等しくなる(AF_T=AF_B)。更に、第2基本軸力ゲインGB2が1となり、オーバー軸力ゲインGOが0となるため、最終軸力AF_Fは、仮軸力AF_T、すなわち、基本軸力AF_Bと等しくなる(AF_F=AF_B)。基本軸力AF_Bが最終軸力AF_Fとして用いられることにより、適度なビルドアップ感が再現される。
<アンダーステア>
アンダーステア時、オーバーステア度DOSは0である。第2基本軸力ゲインGB2が1となり、オーバー軸力ゲインGOが0となるため、最終軸力AF_Fは、仮軸力AF_Tと等しくなる(AF_F=AF_T)。その仮軸力AF_Tは、上記式(13)で表される。アンダーステア度DUSが強くなるにつれて、第1基本軸力ゲインGB1は減少する一方で、アンダー軸力ゲインGUは増加する。また、アンダーステア時のアンダー軸力AF_Uは、基本軸力AF_Bよりも小さい。結果として、算出される最終軸力AF_Fは、基本軸力AF_Bよりも小さくなる(AF_F<AF_B)。最終軸力AF_Fを基本軸力AF_Bよりも減らすことにより、操舵反力が抑制され、アンダーステア時の“舵力抜け感”が再現される。
尚、アンダー軸力AF_Uとして、特に第5軸力AF5が用いられてもよい。上述の通り、第5軸力AF5は、他の軸力AF2〜AF4よりも早く変化を開始する「早期変化軸力」である。このような第5軸力AF5をアンダー軸力AF_Uとして用いることによって、より早期にアンダーステア状態を検知することが可能となる。結果として、アンダーステア状態に適した操舵反力をより早期に発生させることが可能となる。
<オーバーステア>
オーバーステア時、アンダーステア度DUSは0である。第1基本軸力ゲインGB1が1となり、アンダー軸力ゲインGUが0となるため、仮軸力AF_Tは、基本軸力AF_Bと等しくなる(AF_T=AF_B)。従って、上記式(15)は、次の式(16)となる。
式(16):
AF_F=GB2×AF_B+GO×AF_O
オーバーステア度DOSが強くなるにつれて、第2基本軸力ゲインGB2は減少する一方で、オーバー軸力ゲインGOは増加する。また、オーバーステア時のオーバー軸力AF_Oは、基本軸力AF_Bよりも大きい。結果として、算出される最終軸力AF_Fは、基本軸力AF_Bよりも大きくなる(AF_F>AF_B)。最終軸力AF_Fを基本軸力AF_Bよりも増やすことにより、操舵反力が増大し、カウンタステア操作が適切にアシストされる。
4−2.第2の例
図7は、第2の例を示す概念図である。第2の例では、図6中のブロック200(アンダーステアに関連する処理)の変形例を説明する。差分δUは、第1の例と同じであり、上記式(12)で表される。第2の例では、この差分δUそのものがアンダーステア度DUSに相当し(DUS=δU)、差分δUの算出が状態判定部130の処理に相当する。
操舵反力制御装置100Rは、アンダーステア度DUS(差分δU)に応じた補正ゲインGCを算出する。補正ゲインGCは、1以下であり、アンダーステア度DUSが強くなるにつれて減少する傾向にある。図7に例示されるように、不感帯が設けられていてもよい。アンダーステア度DUSと補正ゲインGCとの対応関係は、予め規定され、マップあるいは数式の形式で与えられる。操舵反力制御装置100Rは、当該対応関係を参照して、アンダーステア度DUSに応じた補正ゲインGCを算出する。
上述の通り、アンダーステア時の最終軸力AF_Fは、仮軸力AF_Tと等しい。操舵反力制御装置100Rは、基本軸力AF_Bに補正ゲインGCを乗ずることによって、仮軸力AF_T、すなわち、最終軸力AF_Fを算出する(AF_F=AF_T=GC×AF_B)。アンダーステア度DUSが強くなるにつれて、補正ゲインGCは減少する。その結果、算出される最終軸力AF_Fは、基本軸力AF_Bよりも小さくなる(AF_F<AF_B)。最終軸力AF_Fを基本軸力AF_Bよりも減らすことにより、操舵反力が抑制され、アンダーステア時の“舵力抜け感”が再現される。
尚、アンダー軸力AF_Uとして、特に第5軸力AF5が用いられてもよい。第5軸力AF5をアンダー軸力AF_Uとして用いることによって、より早期にアンダーステア状態を検知することが可能となる。結果として、アンダーステア状態に適した操舵反力をより早期に発生させることが可能となる。
4−3.第3の例
図8は、第3の例を示す概念図である。第3の例は、基本軸力AF_Bと共に、第2軸力AF2あるいは第4軸力AF4が用いられる。上述の通り、第2軸力AF2及び第4軸力AF4は、アンダー軸力AF_Uとオーバー軸力AF_Oの両方の性質を有している。そのような性質を有する第2軸力AF2あるいは第4軸力AF4を利用することによって、以下に説明されるように、処理を簡略化することが可能となる。
一例として、第2軸力AF2を利用する場合を考える。第4軸力AF4を利用する場合も同様である。操舵反力制御装置100Rは、基本軸力AF_Bと第2軸力AF2の差分δを算出する。差分δは、次の式(17)で表される。
式(17):
δ=AF_B−AF2
第4の例では、この差分δがアンダーステア度DUSあるいはオーバーステア度DOSに相当する。アンダーステア時、第2軸力AF2は基本軸力AF_Bより小さくなるため、差分δは正となる。この正の差分δがアンダーステア度DUSに相当する。一方、オーバーステア時、第2軸力AF2は基本軸力AF_Bより大きくなるため、差分δは負となる。この負の差分δがオーバーステア度DOSに相当する。尚、差分δの算出が状態判定部130の処理に相当する。
続いて、操舵反力制御装置100Rは、差分δに応じたオフセットOFFを算出する。差分δが正の場合のオフセットOFFは、正のオフセットOFF_Pである。一方、差分δが負の場合のオフセットOFFは、負のオフセットOFF_Nである。差分δの絶対値が大きくなるにつれて、オフセットOFF(OFF_P、OFF_N)の絶対値も大きくなる傾向にある。図8に例示されるように、不感帯が設けられていてもよい。差分δとオフセットOFFとの対応関係は、予め規定され、マップあるいは数式の形式で与えられる。操舵反力制御装置100Rは、当該対応関係を参照して、差分δに応じたオフセットOFFを算出する。
続いて、操舵反力制御装置100Rは、基本軸力AF_BとオフセットOFFに基づいて、最終軸力AF_Fを算出する。より詳細には、最終軸力AF_Fは、次の式(18)で表される。
式(18):
AF_F=AF_B−OFF
<常用域>
常用域の場合、差分δは0であり、オフセットOFFは0である。従って、最終軸力AF_Fは、基本軸力AF_Bと等しくなる(AF_F=AF_B)。基本軸力AF_Bが最終軸力AF_Fとして用いられることにより、適度なビルドアップ感が再現される。
<アンダーステア>
アンダーステア時、オフセットOFFは、正のオフセットOFF_Pとなる。従って、最終軸力AF_Fは、オフセットOFF_Pの分(第1オフセット量)だけ、基本軸力AF_Bよりも小さくなる(AF_F<AF_B)。差分δ(アンダーステア度DUS)が大きくなるにつれて、第1オフセット量も増加する。最終軸力AF_Fを基本軸力AF_Bよりも減らすことにより、操舵反力が抑制され、アンダーステア時の“舵力抜け感”が再現される。
<オーバーステア>
オーバーステア時、オフセットOFFは、負のオフセットOFF_Nとなる。従って、最終軸力AF_Fは、オフセットOFF_Nの絶対値(第2オフセット量)だけ、基本軸力AF_Bよりも大きくなる(AF_F>AF_B)。差分δ(オーバーステア度DOS)が大きくなるにつれて、第2オフセット量も増加する。最終軸力AF_Fを基本軸力AF_Bよりも増やすことにより、操舵反力が増大し、カウンタステア操作が適切にアシストされる。
4−4.第4の例
図1に示される転舵装置40において、転舵モータ41の回転を転舵軸45に伝達する際の摩擦が増える状況がある。一例として、転舵モータ41の回転を転舵軸45に伝達するために、ボールねじが使用される場合を考える。低温条件下では、ボールねじのグリスの粘度が高くなり、摩擦が増えてしまう。
転舵電流Imに基づいて算出される第5軸力AF5は、そのような摩擦の影響も含んでしまう。摩擦が増える状況では、第5軸力AF5の精度が低下するため、第5軸力AF5を用いないことが好ましい。例えば、ステアバイワイヤシステム1に温度センサ(図示しない)が更に設けられる。温度センサによって検出される温度が閾値以下である低温条件下では、操舵反力制御装置100Rは、第5軸力AF5をアンダー軸力AF_Uから外す。これにより、低温条件下における処理精度の悪化を防ぐことが可能となる。
1 ステアバイワイヤシステム
10 ステアリングホイール(ハンドル)
20 ステアリングシャフト
30 反力発生装置
40 転舵装置
51 ハンドル角センサ
52 操舵トルクセンサ
53 回転角センサ
54 回転角センサ
55 転舵電流センサ
56 車速センサ
57 ヨーレートセンサ
58 横加速度センサ
100 制御装置
100R 操舵反力制御装置
110 センサ情報取得部
120 軸力算出部
130 状態判定部
140 最終軸力算出部
150 アクチュエータ制御部
AF_B 基本軸力
AF_F 最終軸力
AF_O オーバー軸力
AF_U アンダー軸力
WH 車輪(転舵輪)

Claims (9)

  1. 車両に搭載されるステアバイワイヤシステムであって、
    前記車両の車輪を転舵する転舵装置と、
    ステアリングホイールに付与される操舵反力を制御する操舵反力制御装置と
    を備え、
    前記操舵反力制御装置は、異なるパラメータを用いて複数種類の軸力を算出し、前記複数種類の軸力に基づいて最終軸力を算出し、前記最終軸力に相当する前記操舵反力を発生させ、
    前記複数種類の軸力は、
    前記車輪の転舵角又はステアリングホイールの操舵角に基づいて算出される基本軸力と、
    アンダーステア時に前記基本軸力よりも小さくなるアンダー軸力と、
    オーバーステア時に前記基本軸力よりも大きくなるオーバー軸力と
    を含み、
    前記操舵反力制御装置は、
    アンダーステア時の前記基本軸力と前記アンダー軸力との差を反映したアンダーステア度を算出し、前記アンダーステア度に応じた分だけアンダーステア時の前記最終軸力を前記基本軸力よりも減少させ
    オーバーステア時の前記基本軸力と前記オーバー軸力との差を反映したオーバーステア度を算出し、前記オーバーステア度に応じた分だけオーバーステア時の前記最終軸力を前記基本軸力よりも増加させる
    ステアバイワイヤシステム。
  2. 請求項1に記載のステアバイワイヤシステムであって、
    前記操舵反力制御装置は、前記基本軸力と第1基本軸力ゲインとの積と前記アンダー軸力とアンダー軸力ゲインとの積との和に基づいて、アンダーステア時の前記最終軸力を算出し、
    前記操舵反力制御装置は、前記アンダーステア度が強くなるにつれて、前記第1基本軸力ゲインを減らし、前記アンダー軸力ゲインを増やす
    ステアバイワイヤシステム。
  3. 請求項1に記載のステアバイワイヤシステムであって、
    記操舵反力制御装置は、前記基本軸力に1以下の補正ゲインを乗ずることによって、アンダーステア時の前記最終軸力を算出し、
    前記操舵反力制御装置は、前記アンダーステア度が強くなるにつれて、前記補正ゲインを減らす
    ステアバイワイヤシステム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のステアバイワイヤシステムであって、
    前記転舵装置は、転舵軸を介して前記車輪につながる転舵モータを含み、
    前記複数種類の軸力は、前記転舵モータを駆動する転舵電流に基づいて算出される早期変化軸力を含み、
    前記アンダー軸力として、前記早期変化軸力が用いられる
    ステアバイワイヤシステム。
  5. 請求項に記載のステアバイワイヤシステムであって、
    前記操舵反力制御装置は、前記基本軸力と第2基本軸力ゲインとの積と前記オーバー軸力とオーバー軸力ゲインとの積との和に基づいて、オーバーステア時の前記最終軸力を算出し、
    前記操舵反力制御装置は、前記オーバーステア度が強くなるにつれて、前記第2基本軸力ゲインを減らし、前記オーバー軸力ゲインを増やす
    ステアバイワイヤシステム。
  6. 車両に搭載されるステアバイワイヤシステムであって、
    前記車両の車輪を転舵する転舵装置と、
    ステアリングホイールに付与される操舵反力を制御する操舵反力制御装置と
    を備え、
    前記操舵反力制御装置は、異なるパラメータを用いて複数種類の軸力を算出し、前記複数種類の軸力に基づいて最終軸力を算出し、前記最終軸力に相当する前記操舵反力を発生させ、
    前記複数種類の軸力は、
    前記車輪の転舵角又はステアリングホイールの操舵角に基づいて算出される基本軸力と、
    アンダーステア時に前記基本軸力よりも小さくなるアンダー軸力と、
    を含み、
    前記操舵反力制御装置は、アンダーステア時の前記基本軸力と前記アンダー軸力との差を反映したアンダーステア度を算出し、前記アンダーステア度に応じた分だけアンダーステア時の前記最終軸力を前記基本軸力よりも減少させ、
    前記操舵反力制御装置は、前記基本軸力から第1オフセット量を減ずることによって、アンダーステア時の前記最終軸力を算出し、
    前記操舵反力制御装置は、前記アンダーステア度が強くなるにつれて前記第1オフセット量を増やす
    ステアバイワイヤシステム。
  7. 請求項に記載のステアバイワイヤシステムであって、
    前記操舵反力制御装置は、前記基本軸力に第2オフセット量を加えることによって、オーバーステア時の前記最終軸力を算出し、
    前記複数種類の軸力は、更に、オーバーステア時に前記基本軸力よりも大きくなるオーバー軸力を含み、
    前記操舵反力制御装置は、前記基本軸力と前記オーバー軸力との差を反映したオーバーステア度を算出し、前記オーバーステア度が強くなるにつれて前記第2オフセット量を増やす
    ステアバイワイヤシステム。
  8. 車両に搭載されるステアバイワイヤシステムであって、
    前記車両の車輪を転舵する転舵装置と、
    ステアリングホイールに付与される操舵反力を制御する操舵反力制御装置と
    を備え、
    前記操舵反力制御装置は、異なるパラメータを用いて複数種類の軸力を算出し、前記複数種類の軸力に基づいて最終軸力を算出し、前記最終軸力に相当する前記操舵反力を発生させ、
    前記複数種類の軸力は、
    前記車輪の転舵角又はステアリングホイールの操舵角に基づいて算出される基本軸力と、
    オーバーステア時に前記基本軸力よりも大きくなるオーバー軸力と、
    を含み、
    前記操舵反力制御装置は、オーバーステア時の前記基本軸力と前記オーバー軸力との差を反映したオーバーステア度を算出し、前記オーバーステア度に応じた分だけオーバーステア時の前記最終軸力を前記基本軸力よりも増加させる
    ステアバイワイヤシステム。
  9. 請求項に記載のステアバイワイヤシステムであって、
    前記操舵反力制御装置は、前記基本軸力と基本軸力ゲインとの積と前記オーバー軸力とオーバー軸力ゲインとの積との和に基づいて、オーバーステア時の前記最終軸力を算出し、
    前記操舵反力制御装置は、前記オーバーステア度が強くなるにつれて、前記基本軸力ゲインを減らし、前記オーバー軸力ゲインを増やす
    ステアバイワイヤシステム。
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