JP2525153B2 - 液晶組成物 - Google Patents

液晶組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はカイラルネマチック液晶組成物に関する。さ
らに詳しくは、液晶表示素子に使用して、そのしきい値
電圧の温度依存性の改善されたカイラルネマチック液晶
組成物および固有ピッチの温度依存性の改善されたカイ
ラルネマチック液晶組成物に関する。
(従来の技術) TN型液晶表示素子は、回路・駆動方式ならびにセル製
造技術の向上、そして特に素子に封入される液晶組成物
の特性改善によって、初期の頃は時計,電卓等にしかな
かった用途も急速に拡大されてきた。
この液晶組成物その他の改善により急速な用途拡大が
なされているのは、 表示容量の増大、ならびに ネマチック液晶相の温度範囲の拡大によるところが大
きい。
表示容量の増大という点ではハンドヘルド・コンピュ
ーターの端末等のディスプレーや液晶TVがその例であ
り、ネマチック液晶相の温度範囲の拡大という点では、
車載用計器や屋外使用の計器等のディスプレーがその例
である。しかしながら、液晶表示素子には改善すべき点
が山積されている。たとえば視角の狭いこと、コントラ
ストが悪いこと、応答速度が遅いこと、まだまだ表示容
量が小さいこと、そして周囲の温度変化による表示品質
の低下などが挙げられる。このうち周囲の温度変化によ
る表示品質の低下はしきい値電圧Vthの温度変化に帰因
される。
液晶分子の逆ツイストを抑えて液晶表示素子の表示品
質を保つ為にらせんのねじれ方向が右まわりあるいは左
まわりの光学活性物質を微量添加するということも、ご
く普通に行なわれている。しかしながら、液晶組成物の
しきい値電圧が、まだかなりの温度依存性を有している
為に、周囲の温度変化による表示品質の低下は避けられ
ない問題である。
視角およびコントラストの改善という点ではスーパー
ツイスト複屈折方式(SBE方式と略記する)をとること
によりかなり改善されている。SBE方式はTN方式とはい
くつかの点で異なっている。
まず、TN方式では前述した様に微量の光学活性物質を
添加して、液晶分子が表示素子内で配向処理されたガラ
ス基板との相互作用で90度ツイストするのを補なってい
る。ここで表示素子のセル厚dと液晶組成物の固有ピッ
チPの比P/dは通常10〜20位になっている。しかしSBE方
式では、光学活性物質の添加量を大巾に増やしP/dの値
を2以下にすることにより、液晶分子を表示素子内で27
0度ツイストさせている。更に、 TN方式では電圧を印加していない状態で表示素子内
で、ガラス基板と液晶分子のなす角度(プレ・チルト
角)が数度以内になる様に配向させているが、SBE方式
ではプレ・チルト角が20度程度になる様に配向させてい
る。この様なSBE方式を用いて視角およびコントラスト
の改善をした例がT.J.シェーファー、J.ネーリングらに
より′85SID学会において報告されている。
しかし、このSBE方式にも問題点がある。温度変化に
より固有ピッチPは変化する為、P/dの値が2以上にな
ると270度ツイストが90°ツイストに変わってしまうと
いうことが起こる。その為、固有ピッチPを温度によら
ず一定に保つ必要がある。
又、表示容量の増大の改善という点では、表示素子に
電圧を印加していった時の透過率の変化の急峻性の改善
が必要である。G.バウアーとW.フェーレンバックは第15
回フライブルグ液晶会議(′85)において270度ツイス
トにすると急峻性が大巾に改善されるという計算結果を
報告している。ここでも固有ピッチの温度変化による変
化をなくすことが必要となってくる。
応答速度の改善という点では、中川と増田が′85 SID
学会において、ゲスト・ホスト型液晶表示素子を2枚重
ねて用いる二層式ゲストホスト方式(DGH方式と略記す
る)で、P/d=1.0の液晶組成物を用いて、360度ツイス
トにし、応答速度が改善されたことを報告している。こ
こでも固有ピッチの温度変化による変化をなくすことは
重要である。
又、相転移方式(PC方式)の表示素子においても固有
ピッチの温度変化による変化はない方が良い。更に、周
囲の温度変化による表示品質の低下の改善という点で
は、しきい値電圧Vthの温度依存性を小さくすれば良い
訳である。
しきい値電圧Vthの温度変化による変化の原因として
はネマチック液晶の弾性定数や誘電率異方性などの温度
変化による変化や、固有ピッチの温度変化による変化な
どが挙げられる。しきい値電圧の温度依存性を改善する
為にいくつかの試みがなされており、その中でも固有ピ
ッチの温度による変化をコントロールすることにより、
しきい値電圧の温度依存性を改善する方法がしばしば行
なわれる。
光学活性物質をネマチック液晶に添加していく場合、
その光学活性物質の濃度Cとその液晶組成物の固有ピッ
チPの間には(1)式の様な関係がある。尚、固有ピッ
チの逆数P-1は旋回能とも呼ばれ、ねじりの強さを示し
ている。
P-1=h・C (1) (1)式中でhはヘリカルツイスティングパワーと呼
ばれ、その光学活性物質に固有の定数であり、温度によ
り変化する。その温度による変化は(2)式の様にあら
わされる。
h=α+βT+γT2+… (2) (2)式中でα,β,γ,…は比例定数である。
温度一定で、TN型液晶表示素子のセル厚を一定とした
場合の、しきい値電圧Vthの旋回能依存性の例を第1図
に示す。第1図は以下に示すネマチック液晶組成物A で示される光学活性物質C-1を添加した時の旋回能P-1
しきい値電圧Vthの関係を示す。第1図から判るよう
に、しきい値電圧Vthは旋回能P-1の増大と共に高くな
る。すなわち、液晶組成物の固有ピッチPが長くなると
しきい値電圧Vthは低下する。
また、前述したネマチック液晶組成物Aに光学活性物
質C-1を0.4重量%添加した時の旋回能P-1の温度依存性
を第2図に示す。第2図から判るように旋回能P-1は温
度の上昇と共に小さくなり、液晶組成物の固有ピッチP
は温度の上昇と共に大きくなる。
一方、しきい値電圧Vthの温度依存性を第3図に示
す。しきい値電圧Vthは温度の上昇とともに低下してい
る。これは第1図および第2図から判るように、温度が
上昇すると共に液晶組成物の固有ピッチPが増大し、し
きい値電圧Vthを低下させていることを示している。
又、しきい値電圧Vthは弾性定数等の温度変化により、
低下することが知られている。
したがってしきい値電圧Vthの温度変化を小さくする
為には液晶組成物の固有ピッチPは温度の上昇と共に短
かくなることが望ましい。
今まで述べてきた様に、固有ピッチの温度依存性をコ
ントロールすることは、前述した種々の表示方式の液晶
表示素子がかかえている色々な問題点を改善する為に非
常に重要であることがわかる。すなわち、SBE方式、DGH
方式そしてPC方式については、固有ピッチが温度によら
ず一定であることが要求されている。また、TN方式での
しきい値電圧Vthの温度依存性の改善の為には、固有ピ
ッチが温度の上昇と共に短かくなることが要求されてい
る。しかし、固有ピッチの温度変化が急激な程良いとは
一概に言えず、温度変化による固有ピッチの温度変化の
大小が調整できることも必要となる。一般に知られてい
る光学活性物質の添加によってはカイラルネマチック液
晶組成物の固有ピッチは温度の上昇と共に大きくなって
しまう。つまり旋回能P-1が温度の上昇と共に小さくな
ってしまうので、単独で添加しても固有ピッチの温度依
存性をコントロールすることはできない。つまり、固有
ピッチの温度依存性をなくしたり、通常とは逆の温度依
存性を得ることはできない。
ネマチック液晶に複数の光学活性物質を添加した時に
得られる液晶組成物の固有ピッチPMiXは(3)式の様に
示される。
この(3)式は最終的な液晶組成物の旋回能▲P-1 MiX
▼は元のネマチック液晶に個々の光学活性物質を濃度Ci
で、単独で添加した時の旋回能▲P-1 i▼の和になること
を示している。
尚、ヘリカル・ツイスティング・パワーhの符号を右
ねじりの光学活性物質は正にとり、左ねじりの光学活性
物質は負にとれば、右および左ねじりの光学活性物質を
混合して添加された液晶組成物の固有ピッチPMiX
(3)式で表わされる。
従来の光学活性物質では、同じ向きのねじりの光学活
性物質を混合して添加しても、固有ピッチの温度依存性
は両者の中間になるだけで、温度依存性をなくしたり、
通常とは逆の温度依存性を得ることはできない。ところ
で、らせんが右ねじりの光学活性物質と左ねじりの光学
活性物質とを、ある特定の割合で混合したものをネマチ
ック液晶に添加することにより、固有ピッチの温度依存
性をなくすことや、逆の温度依存性を得ることが報告さ
れている。(例えば米国特許第4,264,148号参照)しか
しながら、この場合には互いにねじりを相殺する右ねじ
りおよび左ねじりの光学活性物質を混合して所定の固有
ピッチを得ている為に、その混合比率によっては、室温
付近でも旋回能P-1が0になる場合がある。そしてこの
温度の上と下とでは旋回の向きが逆になり、この型の液
晶組成物を用いた液晶表示素子の表示品質が著しく低下
する。その為、混合比率はかなり限定された範囲しかと
れないことになる。更に固有ピッチの温度変化は混合比
率のわずかな違いで急激に変わる為、固有ピッチの温度
コントロールはかなり難しくなる。
又、右ねじりおよび左ねじりの光学活性物質の両方を
添加している為、所望のらせんピッチを得るのにどうし
ても添加量を多くせざるを得ない。その為、得られるカ
イラルネマチック液晶組成物の転移温度、粘度、しきい
値電圧Vthなどの特性は、元のネマチック液晶の諸特性
から、なかり変化してしまう。又、光学活性物質は高価
であるので、最終的な液晶組成物の値段もその分、高価
になってしまう。これらの欠点の為、実際にこの様な右
ねじりおよび左ねじりの2種類の光学活性物質を添加し
た液晶組成物を使用するのには、大きな制約があった。
(発明が解決しようとする問題点) 前述したように、本発明の第1の目的は旋回能P-1
温度依存性が通常とは逆で、温度の上昇と共に大きくな
る様な液晶組成物を提供することである。本発明の第二
の目的はTN方式やSBE方式或いはDGH方式において、周囲
の温度変化による表示品質の低下の抑制され、視角、コ
ントラストそして応答速度などが改善された液晶表示素
子を提供することである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は種々の光学活性物質について、それぞれ
を単独にネマチック液晶に添加して誘起される液晶組成
物のらせんの固有ピッチの温度依存性について検討した
結果、従来から知られている光学活性物質が、得られる
液晶組成物の旋回能を温度上昇に伴ない減少させる(温
度依存性が負である)のに対し、これとはまったく逆に
単独にネマチック液晶に添加して、得られる液晶組成物
に誘起されるコレステリック相の旋回能を温度上昇とと
もに増大させる(温度依存性が正である)光学活性物質
が在ることを見出した。さらに、これらの旋回能の温度
依存性を正にする光学活性物質と、らせんのねじれ方向
が同じで、旋回能の温度依存性を負にする光学活性物質
とを混合してネマチック液晶に添加することによって、
得られる液晶組成物のらせんピッチの温度依存性を自由
に調整できることを見出した。
すなわち、本発明の第一は以下の(1)項に示され、
その態様は後記の(2)ないし(5)の各項に示され
る。
(1)ネマチック液晶に単独に添加した時に誘起される
コレステリック相の旋回能の温度依存性を正とする光学
活性物質で、らせんのねじれ方向が同じである化合物群
から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有し、旋回能
が温度上昇とともに増大するカイラルネマチック液晶組
成物において、該光学活性物質が下記の、一般式(Ia)
で表わされる化合物および一般式(Ib)で表わされる化
合物および一般式(Ic)で表わされる化合物の群から選
ばれた光学活性物質であることを特徴とするカイラルネ
マチック液晶組成物。
一般式 ((Ia)式中、 はそれぞれ独立にベンゼン還、シクロヘキサン環、ジオ
キサン環、ピリミジン環またはピリジン環を示し、lお
よびmはそれぞれ0、1または2の整数を、nは1また
は2の整数を示し、(l+m+n)の値は1ないし4で
あり、Xは単結合, −CH2−または−CH2CH2−を示し、l=0のときはYは
単結合を、m=0のときはZは単結合を示し、l・m≠
0のときはYおよびZはそれぞれ独立に −CH2O−,−OCH2−,または−CH2CH2−を示す。Rは炭
素数1〜15のアルキル基もしくはアルキルオキシ基また
はシアノ基を示し、R1は炭素数2〜10の直鎖アルキル基
を示し、Rがシアノ基であるときはXは単結合である。
(Ib)式中、 はそれぞれ独立にベンゼン環、シクロヘキサン環、ジオ
キサン環、ピリミジン環またはピリジン環を示し、xお
よびzはそれぞれ0または1の整数を、yは0,1または
2の整数を示し、(x+y+z)の値は0以上2以下で
あり、X1は単結合、 −CH2O−または−CH2CH2−を示し、y=0のときはY1
単結合を、yが1または2のときはY1−CH2O−,−OCH2−,または−CH2CH2−を示す。
Z1は単結合、 −CH2O−,−OCH2−,または−CH2CH2−を示し、T1
T2、T3およびT4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原
子またはシアノ基を示し、R2は炭素数1〜15のアルキル
基もしくはアルキルオキシ基、またはシアノ基またはハ
ロゲン原子を示し、R2がシアノ基またはハロゲン原子の
ときはX1は単結合を示す。R1は炭素数2〜10の直鎖のア
ルキル基を示す。
(Ic)式中、 はそれぞれ独立にベンゼン環、シクロヘキサン環、ジオ
キサン環、ピリミジン環またはピリジン環を示し、xお
よびzはそれぞれ0または1の整数を、yは0,1または
2の整数を示し、(x+y+z)の値は0以上2以下で
あり、Y1はy=0のとき単結合を、yが1または2のと
−CH2O−,−OCH2−または−CH2CH2−を示し、Z1は単結
合、 −CH2O−,−OCH2−,または−CH2CH2−を示し、T1,T2,
T3およびT4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子ま
たはシアノ基を示し、R1およびR3はそれぞれ独立には炭
素数2〜10の直鎖アルキル基を示す。) (2)前記第(1)項において(Ia)式で表わされる化
合物と(Ib)式で表される化合物と(Ic)式で表わされ
る化合物とからなる群から選ばれた光学活性物質を0.05
〜10重量%含有することを特徴とするカイラルネマチッ
ク液晶組成物。
(3)前記の第(1)項または第(2)項において、光
学活性物質が、式(III)で表わされる化合物であるカ
イラルネマチック液晶組成物。
((III)式中、aは0,1または2の整数を、bは1また
は2の整数を示し、(a+b)の値は2または3であ
り、a=0のときV1は単結合を示し、aが1または2の
時V1は−COO−,−OCO−,−CH2O−,−OCH2−または−
CH2CH2−を示し、RおよびR1は前記した意味を持つ。) (4)前記の第(1)項または第(2)項において、光
学活性物質が式(IV)で表わされる化合物であるネマチ
ック液晶組成物。
((IV)式中、cおよびdはそれぞれ0または1の整数
を示し、V2は単結合,−COO−または−OCO−を示し、
T1,T2,T3およびT4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子ま
たはシアノ基を示し、R1およびR2はそれぞれ前記した意
味を持つ。) (5)前記の第(1)項または第(2)項において、光
学活性物質が式(V)で表わされる化合物であるネマチ
ック液晶組成物。
((V)式中、eは0,1または2の整数を、fは1また
は2の整数を示し、(e+f)の値は1以上3以下であ
り、e=0のときV3は単結合を示し、eが1または2の
時V3は−COO−または−CH2O−を示す。R1およびR3はそ
れぞれ前記した意味を持つ。) 本発明の第二は、 (6)前記の第(1)項ないし第(5)項に記載のカイ
ラルネマチック液晶組成物を用いることを特徴とする液
晶表示素子、 である。
次に例をあげながら本発明を説明する。以下に示す、
特開昭61-43に示される、R(−)−2−オクタノール
を出発原料として得られるらせんのねじれ方向が右であ
る、光学活性物質B-1 を前述のネマチック液晶組成物Aに添加した時の旋回能
P-1の温度依存性を第4図に示す。参考までに前述の第
2図で示した光学活性物質C-1のデータも示しておい
た。光学活性物質B-1を添加した時のP-1の値は温度上昇
に従って増大しており、化合物C-1を添加した場合の単
調減小とは逆の傾向になっていることが判る。
一般に温度t1〜t2における液晶材料の旋回能の温度依
存性を比較するパラメーターとして規格化された、次式
で表わされる の値を用いることにする。
(4)式におけるP-1(t)は温度tにおける旋回能の
値である。(4)式により規格化した旋回能の温度依存
性▲ΔP-1 20-40▼の値によってこれら2つのネマチック
液晶組成物を比較すると、光学活性物質として化合物B-
1を添加した組成物の▲ΔP-1 20-40▼の値は1.93であ
り、比較のため化合物C-1を添加した組成物では−0.48
となる。
また、前述の液晶組成物A100重量部に、それぞれ、化
合物B-1を1重量部添加したネマチック液晶組成物N、
および化合物C-1を0.1重量部添加した液晶組成物Cとを
つくり、これらをそれぞれ電極間距離が一定のTNセルに
封入して、そのしきい値電圧の温度依存性を比較した結
果を第3図に示す。この例から光学活性物質B-1を含ん
だ本発明の液晶組成物はVthの温度依存性が改善され、
特にネマチック相温度範囲の高温域でのVthの低下が小
さいことが判る。
らせんのねじれ方向が互いに逆向きの光学活性物質を
添加した例として、らせんが右ねじりの光学活性物質C-
1を2.0重量部とらせんが左ねじりである次式の 化合物C−2 1.5重量部とを合わせて前記の組成物A100
重量部に添加してネマチック液晶組成物Mを調製し、前
述のネマチック液晶組成物Nと諸特性を比較した結果を
第1表に示す。
参考までにネマチック組成物Aとネマチック組成物C
の特性も第1表に示した。
第1表から判るように、組成物Nは光学活性物質の添
加量が少ない為、元の組成物Aに比べてネマチック相上
限温度(NI点)の低下は少なく、粘度の上昇も小さく抑
えられている。
一方、組成物Mは添加量が多い為、NI点では2℃以上
低下し、また粘度の上昇も組成物Nに比べて著しい。
又、しきい値電圧の温度依存性を比較するとΔP-1
正である組成物N及びMは、ΔP-1が負である組成物C
に比べてΔVth/Δtの絶対値が小さくなっていることが
わかる。更に組成物NとMとを比べると、組成物Nの|
ΔVth/Δt|は組成物Mのそれに比べて小さくなってい
る。
このように本発明の組成物は旋回能の温度依存性ΔP
-1が正のネマチック液晶組成物として総合的に優れた物
である。
本発明の液晶組成物の成分として好ましい光学活性物
質としては前記の(III)〜(V)の式で表わされる化
合物を挙げることができる。これらは という光学活性部位を有するということで特徴づけられ
る。
光学活性部位の構造としては幾つかの種類があるが、
光学活性部位を導入する原料のアルコールの中、よく知
られている は絶対配置がS型の物しか自然界に存在せず、光学分割
の例もまだないため、このアルコールの誘導体では、右
ねじり、左ねじりを選択する余地は少い。しかし、本発
明の組成物の成分である光学活性物質の原料となる は光学分割が容易であり、絶対配置のS型の物およびR
型の物の二種の光学異性体が得られるので光学活性物質
として選択の自由度が大きい。換言すると、まったく同
じ構造式をもち、光学活性部位の立体配置のみが異なる
2種の化合物がつくり出せるため、まったく同じ特性で
ねじり方向が右および左の2種の光学活性物質が得られ
るということである。
更に、この2種の光学活性物質を使いわけることによ
り、まったく同じ特性でねじり方向が右および左の2種
のネマチック組成物が得られるという利点がある。
次に、前述の光学活性物質B-1を0.43重量%と以下に
示す光学活性物質C-3 0.57重量%を前述のネマチック液晶組成物Aに混合して
添加した時の旋回能P-1の温度依存性を第5図に示す。
第5図において(Mix 1)は光学活性物質B-1とC-3を
混合して添加した場合を、(B-1)はB-1を単独で0.43重
量%添加した場合を、(C-3)は化合物C-3を単独で0.57
重量%添加した場合の旋回能P-1の温度依存性を示す。
第5図から(Mix 1)は温度による変化がほとんどない
ことがわかる。
又、光学活性物質B-1を0.8重量%と光学活性物質C-3
を0.2重量%とをネマチック液晶組成物Aに混合して添
加した場合の旋回能P-1の温度依存性を第5図の(Mix
2)に示す。又光学活性物質B-1のみを1.0重量%添加し
た場合を第5図の(Mix 3)に示す。
(Mix 2)と(Mix 3)では温度の上昇と共に旋回能P
-1が急激に大きくなっているのがわかる。そしてB-1の
比率が増えるのに従って旋回能P-1の変化は急激になっ
ている。このことは、B-1とC-3の混合比率を変えること
により旋回能P-1の温度依存性をほぼ一定から温度の上
昇と共に急激に大きくなるところまで連続的に自由にコ
ントロールできるということを示している。
更に、以下に示す特開昭61-43に示される、S(+)
−2−オクタノールを出発原料として得られるねじれ方
向が左である光学活性物質B-2 を0.48重量%と以下に示す光学活性物質C-4 0.52重量%を前述のネマチック液晶組成物Aに混合して
添加した時の旋回能P-1の温度依存性を第6図に示す。
第6図において(Mix 4)は光学活性物質B-2を0.48重
量%とC-4を0.52重量%とを混合して添加した場合を、
(B-2)はB-2を単独で0.48重量%添加した場合を、(C-
4)はC-4を単独で0.52重量%添加した場合を示してお
り、やはり(Mix 4)はP-1の温度による変化がほとんど
ない。
又、光学活性物質B-2を0.8重量%と光学活性物質C-4
を0.2重量%を混合してネマチック液晶組成物Aに添加
した場合の旋回能P-1の温度依存性を第6図の(Mix 5)
に示す。又、光学活性物質B-2のみを1.0重量%添加した
場合を第6図の(Mix 6)に示す。
(Mix 5)と(Mix 6)では温度の上昇と共に旋回能P
-1が急激に大きくなっていき、B-2の比率が増えるのに
従って旋回能P-1の変化は急激になる。やはり、B-2とC-
4の混合比率を変えることにより、旋回能P-1の温度依存
性をほぼ一定から温度の上昇と共に急激に大きくなると
ころまで連続的に自由にコントロールできることが示さ
れている。
以上述べたことから、一般式(Ia)、一般式(Ib)ま
たは一般式(Ic)で示される末端基 を有する光学活性物質を用いれば、室温における旋回能
P-1がより大きい、同じ方向のねじりの他の光学活性物
質と混合して添加した場合(第5図参照)でも、また逆
に室温における旋回能P-1がより小さい、同じ方向のね
じりの他の光学活性物質と混合して添加した場合(第6
図参照)でも、いずれの場合にも得られる液晶組成物の
温度変化による固有ピッチの変化を自由にコントロール
することが可能であることがわかる。(尚、詳細は実施
例にて示す。) 本発明の液晶組成物の成分として用いられる光学活性
物質の中、前記の(Ia)、(Ib)および(Ic)の一般式
で表わされる化合物としては、前記の(III)式、(I
V)式、および(V)式で表わされる、1−メチルアル
キルオキシ基を光学活性な部分として有する化合物が好
ましい。前述した化合物C-1、C-2およびC-3は本発明に
用いられる一般式(Ia)、(Ib)または(Ic)で表され
る化合物とは異なり、単独でネマチック液晶に添加した
ときに誘起されるコレステリック相の旋回能の温度依存
性を負とする在来型の光学活性物質であり、これらの光
学活性化合物は一般式(II)に属する。
(II)式において、六員環A1、B1およびC1はそれぞれ
独立にベンゼン環、シクロヘキサン環、ジオキサン環、
ピリミジン環またはピリジン環を示し、pおよびqは
0、1または2の整数を、rは1または2の整数をそれ
ぞれ示し、(p+q+r)の値は1以上4以下であり、
sは1ないし4の整数を示し、X2は単結合、−O−、−
CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCH2−または−
OCH2CH2−を示し、p=0のときY2は単結合を示し、q
=0のときはZ2は単結合を示し、pおよびqが1または
2である時はY2およびZ2は−COO−、−OCO−、−CH2O
−、−OCH2−、−CH2CH2−、−CH=N−または−N=CH
−を示し、s=0のときWは単結合、−COO−または−O
CO−を示し、Sが1、2、3または4のときWは単結
合、−O−、−COO−または−OCO−を示す。R4は炭素数
1〜15のアルキル基またはシアノ基を示し、R5は炭素数
2〜10の直鎖のアルキル基を示し、R4がシアノ基である
ときX2は単結合である。
前述したように、式(Ia)、(Ib)または(Ic)の化
合物を式(II)の化合物と混合してネマチック液晶に添
加することにより得られる液晶組成物のらせんの旋回能
の温度依存性を調整することが可能である。
これらの旋回能の温度依存性を負とする光学活性物質
として前記の一般式(II)で表わされる化合物として
は、後記の(VI)式および(VII)式で表わされる化合
物が適当である。
(VI)式において、gは0、1または2を、hは1ま
たは2をそれぞれ示し、(g+h)の値は1以上3以下
であり、g=0のときV4は単結合を示し、gが1または
2のとき、V4は−COO−、−OCO−、−CH2O−または−OC
H2−を示す。W1は単結合、−O−または−COO−を示
し、R6は炭素数1〜15のアルキル基もしくはアルキルオ
キシ基またはシアノ基を示す。
(VII)式において、iは0、1または2を、jは1
または2をそれぞれ示し、(i+j)の値は1以上3以
下であり、i=0のときV5は単結合を示し、iが1また
は2のとき、V5は−COO−、−OCO−、−CH2O−または−
OCH2−を示す。R7は炭素数1〜15のアルキル基またはア
ルキルオキシ基を示し、R8は炭素数2〜10の直鎖のアル
キル基を示す。
加入する。
これらの化合物は例えば以下に記すようにして入手で
きる。
(1)(III)式でV1が−OCO−である化合物は以下に示
すようにして合成できる(特開昭61-43参照)。
(2)(III)式でV1が−COO−である化合物は次のよう
にして合成できる。
(3)(III)式でV1が−CH2O−または−OCH2−である
化合物は特開昭61-63633に示す方法で合成できる。
(4)(IV)式でV2が−COO−であり、T1,T2およびT3
水素原子であり、T4がハロゲン原子である化合物、およ
び(IV)式でV2が−COO−であり、T1とT2の一方がハロ
ゲン原子であり、他方とT3およびT4が水素原子である化
合物はそれぞれ次の過程に従って合成できる。(特開昭
61-210056) (5)(V)式でV3が−COO−である化合物は次の経路
に従って合成することができる。
(6)(V)式でe=0、f=2でV3が単結合である化
合物は次のようにして合成できる。
(7)(VII)式でV5が−OCO−である化合物は特開昭60
-149548に示される。その合成法を以下に記す。
(VI)式でV4が−OCO−であり、W1が−COO−である化
合物は光学活性アルコール を原料として、前記のルートに準じた合成法により調製
することができる。
(VI)式または(VII)式で表わされる幾つかの化合
物は市販されている。その一部を第2表に例示する。
尚、本発明の組成物の成分の1つである(III)式で
表わされる光学活性物質の原料となる からは前記の(VII)式で表わされる化合物も合成され
る。この化合物は という光学活性部位を有するということで特徴づけられ
る物で、これをネマチック液晶に添加した時に誘起され
るコレステリック相の旋回能の温度依存性ΔP-1は負と
なる。
(III)式または(VII)式で表わされる化合物には、
同じ構造式をもつが、光学活性部位の立体配置のみが異
なる2種の異性体がそれぞれ存在する。これらの異性体
はらせんのねじれ方向のみが互いに逆であるが、他の特
性は酷似している。従って、(III)式で表わされる光
学活性物質と(VII)式で表わされる光学活性物質とを
組合せて、液晶組成物のP-1の温度依存性を調整するこ
とにより、らせんのねじれ方向だけ異なるが他の特性は
等しい2種のネマチック組成物を容易に得ることができ
る。
たとえば、S(+)−2−オクタノールを出発原料と
して得られるねじれ方向が左である、 基をもつ光学活性物質と、S(+)−2−オクタノール
を出発原料として得られるねじれ方向が左である 基をもつ光学活性物質とを組合せることも可能である
し、また、R(−)−2−オクタノールを出発原料とし
て得られるねじれ方向が右の 基をもつ光学活性物質と、R(−)−2−オクタノール
を出発原料として得られるねじれ方向が右である 基をもつ光学活性物質とを組合せることも可能である。
重要なことは、(Ia)、(Ib)および(Ic)式で表わ
される化合物からなる群より選ばれた化合物と(II)式
で表わされる化合物を混合してネマチック液晶組成物に
添加して、旋回能の温度依存性をコントロールする時に
は両方の化合物のらせんのねじり方向が同じでなければ
ならないということである。又、(Ia)、(Ib)および
(Ic)式で表わされる化合物からなる群より2つ以上の
化合物を選び混合してネマチック液晶組成物に添加する
場合でもこれらの化合物のねじり方向は同じでなければ
ならない。
これらの光学活性化合物のらせんのねじれ方向はコン
タクト法などの既知の手法によって確認すればよい。
(G.W.Cray and D.G.McDonnell,Mol.Cryst.Lig.Cryst.,
Vol 34(Letters),(1977)pp211参照) 本発明の液晶組成物の成分として用いる光学活性物質
の、得られる液晶組成物中に占める含量は、一般式(I
a),(Ib)および(Ic)で表わされる化合物からなる
群より選ばれた化合物の合計で0.05〜10重量%、より好
ましくは0.05〜5重量%である。光学活性物質の添加量
が0.05重量%未満では、得られる液晶組成物のらせんピ
ッチを所望の短かさにできないので、好ましくない。ま
た光学活性物質の添加量が10重量%を越えると得られる
液晶組成物のネマチック相温度範囲が著しく狭くなるの
で、やはり好ましくない。
(発明の効果) 本発明によってもたらされる利点を述べると、 (ア)本発明の液晶組成物は温度上昇に伴いその旋回能
が著しく増大するので、該組成物を用いてしきい値電圧
の温度依存性の小さい液晶表示素子を得ることができ
る。
(イ)本発明の液晶組成物においてはただ1つの光学活
性物質を用いるかもしくはらせんのねじれ方向が同じ向
きの光学活性物質を用いているので、らせんのねじれ方
向が右回りの光学活性物質とらせんのねじれ方向が左回
りの光学活性物質を併せて含有する液晶組成物において
必然的に生じるねじれ方向の逆転現象を回避することが
できる。
(ウ)らせんのねじり方向が同一の光学活性物質を用い
ている為、右ねじりの光学活性物質および左ねじりの光
学活性物質を混合して使う場合と比べて、少ない量を添
加すれば所定のピッチが得られる。
(エ)添加量が少なくて済む為、元のネマチック液晶組
成物の特性に余り影響が出ない。
(オ)一般に、ネマチック液晶化合物に比べて高価であ
る光学活性物質の添加量が少なくて済む為、比較的安価
なネマチック液晶組成物が得られる。
(カ)同一のねじり方向の光学活性物質を用いている
為、右ねじりおよび左ねじりの光学活性物質を混合して
用いる場合の様に、混合比率の制限がないので、固有ピ
ッチの温度変化をコントロールするのが容易である。
前記(ア)〜(カ)のほかに、本発明の効果は以下の
実施例に示される。
(実施例) 以下に実施例により本発明を詳述するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例においてらせんピッチPはカノー(Can
o)ウェッジ法にて測定した。
実施例1 以下に示す からなるネマチック液晶組成物D100重量部に光学活性物
質としてR(−)−2−オクタノールを出発原料として
得られる特開昭61-43に示されるらせんのねじれ方向が
右である次式 で表わされる化合物B-3を1重量部添加してネマチック
液晶組成物を調製した。この組成物をポリビニルアルコ
ールをコーティングした基板表面をラビンク処理した、
セルギャップ9μmのセルに封入してTN液晶セルを作成
した。このTN液晶セルのしきい値電圧を種々の温度にお
いて測定した結果を第7図に示す。
しきい値電圧の温度依存性を式 ((5)式においてVth(t)は温度tにおけるしきい
値電圧を示す。)にて表わされるΔVth/Δtの値で示す
とすれば、このTN液晶セルの温度依存性は第3表のよう
になる。これは、後記するように化合物B-3の添加によ
り得られたネマチック液晶組成物の旋回能の温度依存性
ΔP-1が正となることにより得られたものである。
比較例1 実施例1に示すネマチック液晶組成物D100重量部に前
述の光学活性物質C-1を0.1重量部添加したネマチック液
晶組成物を実施例1と同様のTNセルに封入してそのしき
い値電圧を測定した。その結果を実施例1の結果ととも
に第7図に示す。またしきい値電圧の温度依存性を第3
表に示す。
実施例2および比較例2 実施例1に示すネマチック液晶組成物D100重量部に光
学活性物質としてS(+)−2−オクタノールを出発原
料として得られる特開昭61-43に示されるらせんのねじ
れ方向が左である次式 にて表わされる化合物B-4を1.6重量部添加してネマチッ
ク液晶組成物を調製した。得られたネマチック液晶組成
物を実施例1と同様のTNセルに封入して、そのしきい値
電圧を測定した結果を第8図に示す。また第8図の結果
からしきい値電圧の温度依存性ΔVth/Δtを算出し、第
4表に示す。
比較例として液晶組成物D100重量部にコレステリルノ
ナネート0.2重量部を添加したネマチック液晶組成物に
ついて実施例2と同様のTN液晶セルを作成し、そのしき
い値電圧の温度依存性を調べた。結果を実施例2の結果
とともに第8図および第4表に示す。
実施例2と比較例2とを比較すると、25〜80℃ではし
きい値電圧の温度依存性ΔVth/Δtが実施例2では比較
例2の約半分になっている。また、低温側ではΔVth/Δ
tの値は実施例2では通常のしきい値電圧の温度依存性
とは逆の正値になっている。
第8図からも明らかなように実施例2では30℃付近が
しきい値電圧Vthの極大値になっている。これは低温側
では組成物の弾性定数その他の温度変化による影響より
も固有ピッチの増大の方が、Vthの温度変化により大き
な効果を与えるが、高温側では弾性定数の温度変化によ
る効果の方が顕著であるためと考えられる。このように
しきい値電圧に極大値が現われることは、今まで知られ
ている液晶組成物には見られなかった現象である。
従来の技術では、低温になると共に、液晶表示素子の
しきい値電圧Vthが単調に増加し、駆動電圧はVthに対し
て相対的に低くなるために、通常は液晶の粘度の上昇も
影響して、表示の応答速度が遅くなってしまう。
しかし、本発明の組成物を用いることにより、高温側
でのVthの低下を抑制できるとともに、また、低温側で
のVthの上昇を抑制できるため低温域ではVthに対して相
対的に高い駆動電圧が液晶表示素子に印加されることに
なるので、低温域での粘度上昇により応答速度が遅くな
ることを補償することができる。また、しきい値電圧の
温度依存性を小さくできることによって、すなわち、|
ΔVth/Δt|の値を小さくできることによって、液晶表示
素子のコントラストの面でも良好な表示が広い温度範囲
にわたって得られる。
実施例3 実施例1に示すネマチック液晶組成物D100重量部に光
学活性物質としてR(−)−2−オクタノールを出発原
料として得られる、らせんのねじれ方向が右である次式 で表わされる化合物B-5を0.25重量部添加してネマチッ
ク液晶組成物を調製した。得られたネマチック液晶組成
物を実施例1と同様のTNセルに封入して、そのしきい値
電圧を測定した結果を第9図に示す。また第9図の結果
からしきい値電圧の温度依存性ΔVth/Δtを算出し、第
5表に示す。
比較として比較例1の結果を第9図および第5表に再
記する。
実施例3ではしきい値電圧の温度依存性がかなり小さ
くなっているのがわかる。
実施例4 実施例1に示すネマチック液晶組成物D100重量部に光
学活性物質として構造式は実施例3に示したB-5と同じ
であるが、S(+)−2−オクタノールを出発原料とし
て得られるらせんのねじれ方向が左である化合物B-6を
0.5重量部添加してネマチック液晶組成物を調製した。
得られたネマチック液晶組成物を実施例1と同様のTNセ
ルに封入して、そのしきい値電圧を測定した結果を第10
図に示す。また第10図の結果からしきい値電圧の温度依
存性ΔVth/Δtを算出し、第6表に示す。
比較として比較例2の結果を第10図および第6表に再
記する。
実施例4では実施例2の場合と同じように低温域でし
きい値電圧の温度依存性が通常とは逆の正値となる傾向
を示している。
実施例5および比較例3 一般式(Ia)および(Ib)および(Ic)で表わされる
化合物に属する光学活性物質として、以下に示す10種の
化合物と前述のB-1〜B-6の6種の化合物を前述のネマチ
ック液晶組成物A100重量部にそれぞれ単独で1〜5重量
部添加して、16種のネマチック液晶組成物をそれぞれ調
製した。
これらのネマチック液晶組成物について種々の温度に
てそのらせんの固有ピッチをカノー(Cano)ウェッジ法
により測定し、その結果から算出した旋回能の温度依存
性を規格化されたΔP-1 20-40の値にて第7表に示す。比
較の為、ネマチック液晶組成物A100重量部に次に示す6
種の光学活性物質C-5〜C-10と前述のC-1〜C-4の4種の
光学活性物質をそれぞれ単独で0.5〜5重量部添加して1
0種のネマチック液晶組成物を調製し、実施例5と同様
にしてらせんの固有ピッチを測定し、旋回能の温度依存
性を算出した。得られたΔP-1 2040の値を第7表に示
す。
このように本発明の組成物においては旋回能の温度依
存性を表わすΔP-1の値が正の値をとることが特徴であ
り、その効果として、本発明の組成物を用いた液晶表示
素子のしきい値電圧の温度上昇に伴う低下を抑制するこ
とができる。
参考例1 前述の光学活性物質B-1とC-3を混合比率を変えて、前
述のネマチック液晶組成物Aに合計して1重量%になる
様に添加して液晶組成物の旋回能P-1の温度依存性を測
定した。光学活性物質B-1とC-3のねじり方向が同じであ
ることはコンタクト法にて確認した。B-1とC-3の混合比
率を変えた時の20〜70℃でのΔP-1の変化を第11図に示
す。B-1の添加量が0.43重量%の時にΔP-1=0となる。
これは20〜70℃の間で固有ピッチPが変化しないことを
示す。
比較例4 前述の光学活性物質C-1とねじりが逆向きの前述の光
学活性物質C-2とを混合比率を変えて、前述のネマチッ
ク液晶組成物Aに合計して、1重量%になる様に添加し
て液晶組成物の旋回能P-1の温度依存性を測定した。C-1
の添加量を0重量%から約0.2%おきに1重量%まで変
えた場合の結果を第12図に示す。
C-1の添加量が0.6重量%付近でP-1が0になる温度が
存在し、P-1の符号がその温度の前後で違ってくる。
C-1とC-2の混合比率を変えた時の20〜70℃でのΔP-1
の変化を第13図に示す。C-1の添加量が0.46重量%の時
にΔP-1=0となるが、0.6重量%付近では20〜70℃の間
でP-1=0となる温度が存在する為ΔP-1が発散してい
る。これは第(4)式を見れば明らかな様に、P-1 (20)
とP-1 (70)の符号が異なっている為、式の前半部分のP-1
(20)とP-1 (70)の差と和の比の絶対値は必ず1以上にな
っており、従って|ΔP-1|は必ず4以上になる。そし
て、ある混合比では P-1 (20)=P-1 (70)となり第(4)式の右辺で分母が0と
なる為にΔP-1は発散することになる。
参考例1と比較例4を比べた時、参考例1ではΔP-1
がゆるやかに変化しているが、比較例4では右ねじりお
よび左ねじりの2種の光学活性物質を混合している為に
ΔP-1が発散してしまう混合比率が存在する。又、P-1
ほとんど温度変化しない(すなわち−0.1≦ΔP-1≦0.
1)混合比率の巾を比べてみると、参考例1では0.32〜
0.53重量%と割に広いのに比べ、比較例4では0.41〜0.
49重量%と半分の巾しかない。参考例1の方が比較例4
よりもΔP-1≒0(すなわち−0.1≦ΔP-1≦0.1)となる
混合比率の巾が広い為、固有ピッチPを温度によらず一
定にするのが容易であることがわかる。
更に、P-1が温度の上昇と共に増大する (ΔP-1≧0.1)混合比率の巾を比べてみると、参考例1
では0.53〜1.0重量%と非常に広いのに比べ、比較例4
では発散する直前の0.5〜0.59重量%と非常に狭い。参
考例1の方が比較例4よりもΔP-1≧0.1となる混合比率
の巾が非常に広い為、しきい値電圧Vthの温度依存性を
小さくする目的で固有ピッチPの温度依存性を調整する
のが容易である。又、ΔP-1=0の時の20℃でのP-1を前
記の(3)式を用いて概算してみると第8表のようにな
る。
P-1 (20)の値は参考例1の方が大きい。更に、ΔP-1
大きい時の20℃でのP-1を比べてみると、第9表の様に
なる。
ΔP-1 20-70の値が近い所を選んだが、P-1 (20)の値は
参考例1に比べて比較例4では半分以下である。これは
所定の固有ピッチを得る為には、(1)式から明らかな
様に、参考例1は比較例4の半分以下の光学活性物質の
添加量で済むということを示している。光学活性物質の
添加量が少なくて済むということは、それだけ安価で、
元のネマチック液晶組成物の特性に与える影響が少ない
という二つの利点をもっている。
参考例2 一般式(III)に含まれる、S(+)−2−オクタノ
ールを出発原料として得られるねじれ方向が左である前
述の光学活性物質B-4とねじり方向が同一の、S(+)
−2−オクタノールを出発原料として得られる(VII)
式に属するねじれ方向が左である前述の光学活性物質C-
9を混合比率を変えて、前述のネマチック液晶組成物A
に、合計して1重量%になる様に添加して、得られた液
晶組成物の旋回能P-1の温度依存性を測定した。光学活
性物質B-4とC-9のらせんのねじれ方向が同じであること
はコンタクト法で確認した。B-4とC-9の混合比率を変え
た時の20〜70℃でのΔP-1の変化を第14図に示す。B-4の
添加量が0.28重量%の時にΔP-1=0となり、ΔP-1≒0
(−0.1≦ΔP-1≦0.1)となる混合比率は0.04〜0.46重
量%と非常に巾が広くなっている。又、ΔP-1≧0.1とな
る混合比率は0.46〜1.0重量%と非常に巾広い。
比較例5 前述の光学活性物質C-3とねじり方向が逆の前述の光
学活性物質C-6を混合比率を変えて、前述のネマチック
液晶組成物Aに、合計して1重量%になる様に添加し
て、液晶組成物の旋回能P-1の温度依存性を測定した。C
-3とC-6の混合比率を変えた時の20〜70℃でのΔP-1の変
化を第15図に示す。C-3の添加量が0.86重量%の時にΔP
-1=0となり、ΔP-1≒0(−0.1≦ΔP-1≦0.1)となる
添加量は0.83〜0.89重量%と巾が狭い。そしてΔP-1
やはり発散している。又、ΔP-1≧0.1となる混合比率は
0.83〜0.7重量%と巾が狭く、ΔP-1の発散する付近であ
る。
参考例2の方が比較例5よりもΔP-1≒0となる混合
比率の巾が著しく広い為、固有ピッチPを温度によらず
に一定にするのが容易である。又、参考例2の方が比較
例5よりもΔP-1≧0.1となる混合比率の巾が著しく広い
為、しきい値電圧Vthの温度依存性を小さくする為に、
固有ピッチPの温度依存性を調整するのが容易である。
又、ΔP-1=0の時の20℃でのP-1を概算してみると第10
表の様になる。
P-1 (20)の値は参考例2に比べて比較例5は約半分であ
る。更にΔP-1が大きい時の20℃でのP-1を比べてみる
と、第11表の様になる。
P-1 (20)の値は参考例2に比べて比較例5は約半分であ
る。つまり参考例2では比較例5に比べて光学活性物質
の添加量が半分で済むので、元のネマチック液晶組成物
の特性に与える影響が少ない点で秀れている。
参考例3 一般式(IV)に属する、特開昭61-267540号に記載さ
れた、R(−)−2−オクタノールを出発原料として得
られるらせんのねじれ方向が右である前述の光学活性物
質B-14と、ねじれ方向が同じく右である前述の光学活性
物質C-3とを混合比率を変えて、前述のネマチック液晶
組成物Aに合計して1重量%になる様に添加して、得ら
れた液晶組成物の旋回能P-1の温度依存性を測定した。
光学活性物質B-14とC-3のねじれ方向が同じであること
はコンタクト法により確認した。B-14とC-3の混合比率
を変えた時の20〜70℃でのΔP-1の変化を第16図に示
す。B-14の添加量が0.45重量%の時にΔP-1=0とな
り、ΔP-1≒0(−0.1≦ΔP-1≦0.1)となる混合比率は
0.31〜0.55重量%と非常に巾が広くなっている。また、
ΔP-1≧0.1となる混合比率は0.55〜1.0重量%と非常に
巾広い。
参考例3と比較例5と比べてみると、参考例3の方が
比較例5よりもΔP-1≒0となる混合比率の巾が著しく
広い為、固有ピッチPを温度によらず一定にするのが容
易である。又、参考例3の方が、比較例5よりもΔP-1
≧0.1となる混合比率の巾が著しく広い為、しきい値電
圧Vthの温度依存性を小さくする目的で、固有ピッチP
の温度依存性を調整するのが容易である。
又、ΔP-1=0の時の20℃でのP-1を概算してみると第
12表の様になる。
P-1 (20)の値は参考例3の方が比較例5よりも大きい。
更にΔP-1が大きい時の20℃でのP-1を比べてみると、
第13表の様になる。
P-1 (20)の値は参考例3の方が比較例5の約2倍であ
る。つまり、参考例3では比較例5に比べて光学活性物
質の添加量が少なくて済むので、元のネマチック液晶組
成物の特性に与える影響が少ない点で秀れている。
参考例1、参考例2および参考例3では一般式(II
I)や一般式(IV)で示される様なΔP-1 20-70が正で非
常に大きい光学活性物質とねじり方向が同一でΔP-1
20-70が負でその絶対値が割に小さい光学活性物質とを
組合せて、旋回能P-1の温度依存性をなくしたり、しき
い値電圧Vthの温度依存性を小さくする為に、固有ピッ
チPの温度依存性を容易に調整することが可能であるこ
とを示した。これらから、しきい値電圧Vthの温度依存
性を小さくする為に、固有ピッチPの温度依存性を調整
する目的の為には、ΔP-1が正で非常に大きい光学活性
物質とねじり方向が同一でΔP-1が負でその絶対値が小
さい光学活性物質を組合せれば、ΔP-1≧0となる混合
比率の巾を広くできるので、非常に容易に目的が達せら
れることがわかる。尚、添加量が少なくて済むという点
ではどちらの成分も室温付近での固有ピッチPが短かい
程望ましい。
参考例4〜6および比較例6 一般式(III)で示される、特開昭61-43号に記載され
た、S(+)−2−オクタノールを出発原料として得ら
れるらせんのねじれ方向が左である光学活性物質B-17 と、ねじれ方向が同じく左である特開昭60-149548に示
される、S(+)−2−オクタノールを出発原料として
得られるC-11 を混合比率を変えて前述のネマチック液晶組成物Dに合
計して、得られる組成物の25℃での固有ピッチが80μm
になる様に添加して、第14表に示す4種のネマチック液
晶組成物を調製した。第14表にはそれぞれの組成物での
B-17とC-11の混合比率と合計の添加量とΔP-1 (20-40)
示した。光学活性物質B-17とC-11のねじり方向が同じで
あることはコンタクト法にて確認した。
これら4種の組成物を実施例1と同様のTNセルに封入
してそのしきい値電圧を測定した。その結果を第17図に
示し、第17図の結果からしきい値電圧の温度依存性を算
出し、第15表に示す。
第17図および第15表より、参考例4は低温側ではしき
い値の温度依存性が通常とは逆に正値になり、高温側で
は|ΔVth/Δt|が非常に小さくなっているのがわかる。
参考例5および参考例6は比較例6と比べて高温側では
大きな差はないが、低温側では|ΔVth/Δt|が非常に小
さくなっており、特に参考例5では温度によらず一定と
なっている。
この様に互いにねじり方向が同一である一般式(Ia)
の光学活性物質と一般式(II)の光学活性物質を組合わ
せることにより、旋回能の温度依存性を調整し、しきい
値電圧の温度依存性を小さくすることができる。
参考例7 一般式(III)に属する特開昭61-43に示される、S
(+)−2−ペンタノールを出発原料として得られるら
せんねじれ方向が左である前述の光学活性物質B-12とね
じり方向が同じである前述の光学活性物質C-9とを、混
合比率を変えて前述のネマチック液晶組成物Aに合計し
て1重量%になる様に添加して、液晶組成物をつくり、
その旋回能P-1の温度依存性を測定した。
B-12とC-9の混合比率を変えた時の20〜70℃でのΔP-1
の変化を第18図に示す。B-12の添加量が0.57重量%の時
にΔP-1=0となり、ΔP-1≒0(−0.1≦ΔP-1≦0.1)
となるB-12の添加量は0.14〜0.74重量%と非常に巾が広
くなっている。
比較例4および比較例5と比べてもΔP-1≒0となる
混合比率の巾は著しく広い。従来の技術では、ねじり方
向が逆の光学活性物質を混合している為、ΔP-1≒0と
なるのはΔP-1が発散する付近になってしまう。それに
より必然的にΔP-1≒0となる混合比率の巾は非常に狭
くなり、固有ピッチを温度によらずに一定にする為に
は、非常に微妙な混合比率の調整を必要とする。
一方、本発明においては同一のねじり方向の光学活性
物質を混合しているので、ΔP-1≒0となる混合比率を
巾広くできる。従ってネマチック液晶組成物の固有ピッ
チの温度依存性をコントロールするのが極めて容易であ
る。
更に、ΔP-1≒0での20℃での旋回能P-1の値を比較例
4と比べてみると第16表に示す様になる。
P-1 (20)の値は参考例7に比べて比較例4では約半分で
ある。つまり、参考例7では比較例4に比べて光学活性
物質の量が少なくて済む。
参考例8 一般式(IV)に属する特開昭61-210056に示される、
S(+)−2−オクタノールを出発原料として得られる
らせんのねじれ方向が左である前述の光学活性物質B-15
とねじれ方向が同じ前述の光学活性物質C-9とを混合比
率を変えて前述のネマチック液晶組成物Aに合計して1
重量%になる様に添加して、液晶組成物の旋回能P-1
温度依存性を測定した。化合物B-15と化合物C-9との混
合比率を変えた時の20〜70℃でのΔP-1の変化を第19図
に示す。化合物B-15の添加量が0.63重量%の時にΔP-1
=0となり、 ΔP-1≒0(−0.1≦ΔP-1≦0.1)となる添加量は0.1〜
0.88重量%と非常に巾が広くなっている。
参考例8は比較例4および比較例5と比べてもΔP-1
≒0となる混合比率の巾は著しく広いので、固有ピッチ
の温度依存性をコントロールするのが極めて容易である
ことがわかる。
さらにΔP-1≒0となる混合比率での20℃の旋回能P-1
の値を比較例4と比べてみると第17表に示す様になる。
P-1 (20)の値は参考例8は比較例4の2倍以上ある。つ
まり、参考例8は比較例4に比べて光学活性物質の量が
少なくて済む。
参考例9 一般式(V)に属する、R(−)−2−オクタノール
を出発原料として得られるらせんのねじれ方向が右であ
る前述の光学活性物質B-16と、構造は前述の化合物C-9
と同じだがらせんのねじれ方向が右である化合物C-12と
を混合比率を変えて、前述のネマチック液晶組成物Aに
合計して1重量%になる様に添加して液晶組成物の旋回
能P-1の温度依存性を測定した。各混合比率における20
〜70℃でのΔP-1を第20図に示す。B-16の添加量が0.22
重量%の時にΔP-1=0となり、ΔP-1≒0(−0.1≦ΔP
-1≦0.1)となる添加量は0.0〜0.41重量%と広い。参考
例9は比較例4および比較例5と比べてもΔP-1≒0と
なる混合比率の巾が著しく広いので、固有ピッチの温度
依存性をコントロールするのが極めて容易である。又、
ΔP-1=0の時の20℃でのP-1を前記の(3)式を用いて
概算してみると第18表のようになる。
P-1 (20)の値は参考例9の方が約2倍大きい。これは所
定の固有ピッチを得る為には、(1)式から明らかな様
に、参考例9は比較例4の半分位の光学活性物質の添加
量で済むということを示している。光学活性物質の添加
量が少なくて済むということには、その分安価で、元の
ネマチック液晶組成物の特性に影響を与えないというこ
との二つの利点がある。
参考例10 前述の光学活性物質B-5とC-3を混合比を変えて、前述
のネマチック液晶組成物Aに合計して1重量%になる様
に添加して、得られた液晶組成物の旋回能P-1の温度依
存性を測性した。各混合比における20〜70℃でのΔP-1
を第21図に示す。B-5の添加量が0.40重量%の時にΔP-1
=0となり、ΔP-1≒0(−0.1≦ΔP-1≦0.1)となる混
合比率は0.30〜0.55重量%と巾が広くなっている。又、
ΔP-1≧0.1となる混合比率は0.55〜1.0重量%と非常に
巾広い。
参考例10を比較例5と比べると、参考例10の方が比較
例5よりもΔP-1≒0となる混合比率の巾が著しく広い
為、固有ピッチPを温度によらずに一定にするのが容易
である。又、参考例10の方が比較例5よりもΔP-1≧0.1
となる混合比率の巾が著しく広い為、しきい値電圧Vth
の温度依存性を小さくする為に、固有ピッチPの温度依
存性を調整するのが容易である。又、ΔP-1=0の時の2
0℃でのP-1を概算してみると第19表の様になる。
P-1 (20)の値は参考例10に比べて比較例5はかなり小さ
い。つまり参考例10では比較例5に比べて光学活性物質
の添加量が少なくて済むので元のネマチック液晶組成物
の特性に与える影響が少ない点で秀れている。
SBE方式に適用する場合の通常のセル厚7μm位を考
えると、固有ピッチPの値としては10μm程度にしてや
る必要がある。参考例7の場合にP=10μmにする為に
必要な添加量の合計は2.5重量%となり、参考例8では
2.2重量%となり、参考例9では2.1重量%となり、参考
例10では2.1重量%となる。一方比較例4の場合ではP
=10μmにする為には添加量の合計は4.8重量%とな
る。
比較例4の光学活性物質C-1は室温では透明液体であ
る為、得られる液晶組成物のNI点はその添加量がかなり
多くなっていることにより、かなりの低下がある。これ
を補う為にはネマチック範囲の上限が高い液晶化合物
(高温液晶化合物)を加えてやる必要がある。これらの
高温液晶化合物は一般に粘度が高い為、液晶組成物の粘
度は上昇し、光学活性物質自体の粘度も高いことを考え
ると得られる液晶組成物の粘度はかなりの上昇が起こっ
てしまい、その粘度の上昇は応答速度を遅くしてしまう
という不利益をもたらす。
前述のTN方式の場合は固有ピッチが100〜200μm程度
で良い為、添加量も少なくて良いのでNI点や粘度に及ぼ
す影響も少ないが、より短いピッチが要求されるSBE方
式等では添加量も大巾に増えてくる。本発明においては
らせんのねじれ方向が同じ光学活性物質を用いることに
より、その添加量を抑え、得られる組成物の粘度上昇を
抑制している。
参考例7〜10は一般式(III)や一般式(V)で示さ
れる様なΔP-1 20-70が正ではあるが、それ程大きくない
光学活性物質、とねじり方向が同一でΔP-1 20-70が負で
その絶対値が比較的小さい光学活性物質とを組合せた場
合である。
これらの実施例のように、SBE方式、DGH方式そしてPC
方式に用いる為に固有ピッチPの温度依存性をなくする
目的には、ΔP-1が正で小さい光学活性物質とねじり方
向が同一でΔP-1が負でその絶対値が小さい光学活性物
質を組合せれば、ΔP-1≒0となる混合引率の巾が広く
なるので、非常に容易に目的が達せられることがわか
る。尚、添加量が少なくて済むという点ではどちらも室
温付近での固有ピッチは短かい程良い。
この様に、光学活性物質をわずかに添加しただけで、
非常に容易にネマチック液晶組成物の固有ピッチをコン
トロールできることは工業的に極めて重要なことであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はしきい値電圧の旋回能依存性を示す図であり、
第2図、第4図、第5図、第6図、および第12図はそれ
ぞれ旋回能の温度依存性を示す図であり、第3図,第7
図,第8図,第9図,第10図および第17図はしきい値電
圧の温度依存性を示す図であり、第11図,第13図,第14
図,第15図,第16図,第18図,第19図,第20図および第
21図はそれぞれ規格化された旋回能の20〜70℃における
温度依存性を示す図である。
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願昭61−61691 (32)優先日 昭61(1986)3月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願昭61−61692 (32)優先日 昭61(1986)3月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (56)参考文献 特開 昭55−38869(JP,A) 特開 昭58−69280(JP,A) 特開 昭57−174374(JP,A) 特開 昭61−22051(JP,A) 実開 昭60−13729(JP,U) 実開 昭59−128357(JP,U) 米国特許3917481(US,A) Mol.Cryst.Lig.Cvy st.,Vol.54(1979),P.9− 20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ネマチック液晶に単独に添加した時に誘起
    されるコレステリック相の旋回能の温度依存性を正とす
    る光学活性物質で、らせんのねじれ方向が同じである化
    合物群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有し、
    旋回能が温度上昇とともに増大するネマチック液晶組成
    物において、該光学活性物質が後記の一般式(Ia)、
    (Ib)または(Ic)で表される光学活性化合物であるこ
    とを特徴とするカイラルネマチック液晶組成物。 (Ia)式中、六員環A、BおよびCはそれぞれ独立にベ
    ンゼン環、シクロヘキサン環、ジオキサン環、ピリミジ
    ン環またはピリジン環を示し、lおよびmはそれぞれ
    0、1または2の整数を、nは1または2の整数をそれ
    ぞれ示し、(l+m+n)の値は1ないし4であり、X
    は単結合、−CO−、−COO−、−CH2−または−CH2CH2
    を示し、l=0のときはYは単結合を、m=0のときは
    Zは単結合を示し、l・m≠0のときはYおよびZはそ
    れぞれ独立に−COO−、−OCO−、−CH2O−、OCH2−、ま
    たは−CH2CH2−を示す。Rは炭素数1〜15のアルキル基
    もしくはアルキルオキシ基またはシアノ基を示し、R1
    炭素数2〜10の直鎖のアルキル基を示し、Rがシアノ基
    であるときはXは単結合である。 (Ib)式中、六員環A、BおよびCはそれぞれ独立にベ
    ンゼン環、シクロヘキサン環、ジオキサン環、ピリミジ
    ン環またはピリジン環を示し、xおよびzはそれぞれ0
    または1の整数を、yは0、1または2の整数をそれぞ
    れ示し、(x+y+z)の値は0以上2以下であり、X1
    は単結合、−CO−、−COO−、−CH2O−または−CH2CH2
    −を示し、y=0のときはY1は単結合を、yが1または
    2のときはY1は−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH
    2−、または−CH2CH2−を示す。Z1は単結合、−COO−、
    −OCO−、−CH2O−、−OCH2−、または−CH2CH2−を示
    し、T1、T2、T3およびT4はそれぞれ独立に水素原子、ハ
    ロゲン原子またはシアノ基を示し、R2は炭素数1〜15の
    アルキル基もしくはアルキルオキシ基、シアノ基または
    ハロゲン原子を示し、R2がシアノ基またはハロゲン原子
    であるときはX1は単結合を示す。R1は炭素数2〜10の直
    鎖のアルキル基を示す。 (Ic)式中、六員環A、BおよびCはそれぞれ独立にベ
    ンゼン環、シクロヘキサン環、ジオキサン環、ピリミジ
    ン環またはピリジン環を示し、xおよびzはそれぞれ0
    または1の整数を、yは0、1または2の整数をそれぞ
    れ示し、(x+y+z)の値は0以上2以下であり、Y1
    はy=0のとき単結合を、yが1または2のとき−COO
    −、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、または−CH2CH2
    を示し、Z1は単結合、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−
    OCH2−、または−CH2CH2−を示し、T1、T2、T3およびT4
    はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子またはシアノ
    基を示し、R1およびR3はそれぞれ独立に炭素数2〜10の
    直鎖のアルキル基を示す。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第(1)項において、光学
    活性物質を合計して0.05〜10重量%含有することを特徴
    とするカイラルネマチック液晶組成物。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第(1)項または第(2)
    項において、光学活性物質が後記の一般式(III)で表
    される化合物であるカイラルネマチック液晶組成物。 (III)式中、aは0、1または2の整数を、bは1ま
    たは2の整数をそれぞれ示し、(a+b)の値は2また
    は3であり、a=0のときV1は単結合を示し、aが1ま
    たは2のときV1は−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2
    −または−CH2CH2−を示し、Rは炭素数1〜15のアルキ
    ル基もしくはアルキルオキシ基またはシアノ基を示し、
    R1は炭素数2〜10の直鎖のアルキル基を示す。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第(1)項または第(2)
    項において、光学活性物質が後記の一般式(IV)で表さ
    れる化合物であるカイラルネマチック液晶組成物。 (IV)式中、cおよびdはそれぞ0または1の整数を示
    し、V2は単結合、−COO−または−OCO−を示し、T1
    T2、T3およびT4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原
    子またはシアノ基を示し、R1は炭素数2〜10の直鎖のア
    ルキル基を示し、R2は炭素数1〜15のアルキル基もしく
    はアルキルオキシ基、シアノ基またはハロゲン原子を示
    す。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第(1)項または第(2)
    項において、光学活性物質が後記の一般式(V)で表さ
    れる化合物であるカイラルネマチック液晶組成物。 (V)式中、eは0、1または2の整数を示し、fは1
    または2の整数を示し、(e+f)の値は1以上3以下
    であり、e=0のときV3は単結合を示し、eが1または
    2のときV3は−COO−または−CH2O−を示す。R1およびR
    3はそれぞれ独立に炭素数2〜10の直鎖のアルキル基を
    示す。
  6. 【請求項6】ネマチック液晶に単独に添加した時に誘起
    されるコレステリック相の旋回能の温度依存性を正とす
    る光学活性物質で、らせんのねじれ方向が同じである化
    合物群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有し、
    旋回能が温度上昇とともに増大するネマチック液晶組成
    物において、該光学活性物質が後記の一般式(Ia)、
    (Ib)または(Ic)で表される光学活性物質であるカイ
    ラルネマチック液晶組成物を用いることを特徴とする液
    晶表示素子。 (Ia)式中、六員環A、BおよびCはそれぞれ独立にベ
    ンゼン環、シクロヘキサン環、ジオキサン環、ピリミジ
    ン環またはピリジン環を示し、lおよびmはそれぞれ
    0、1または2の整数を、nは1または2の整数をそれ
    ぞれ示し、(l+m+n)の値は1ないし4であり、X
    は単結合、−CO−、−COO−、−CH2−または−CH2CH2
    を示し、l=0のときはYは単結合を、m=0のときは
    Zは単結合を示し、l・m≠0のときはYおよびZはそ
    れぞれ独立に−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、
    または−CH2CH2−を示す。Rは炭素数1〜15のアルキル
    基もしくはアルキルオキシ基またはシアノ基を示し、R1
    は炭素数2〜10の直鎖のアルキル基を示し、Rがシアノ
    基であるときはXは単結合である。 (Ib)式中、六員環A、BおよびCはそれぞれ独立にベ
    ンゼン環、シクロヘキサン環、ジオキサン環、ピリミジ
    ン環またはピリジン環を示し、xおよびzはそれぞれ0
    または1の整数を、yは0、1または2の整数をそれぞ
    れ示し、(x+y+z)の値は0以上2以下であり、X1
    は単結合、−CO−、−COO−、−CH2O−または−CH2CH2
    −を示し、y=0のときはY1は単結合を、yが1または
    2のときはY1は−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH
    2−、または−CH2CH2−を示す。Z1は単結合、−COO−、
    −OCO−、−CH2O−、−OCH2−、または−CH2CH2−を示
    し、T1、T2、T3およびT4はそれぞれ独立に水素原子、ハ
    ロゲン原子またはシアノ基を示し、R2は炭素数1〜15の
    アルキル基もしくはアルキルオキシ基、シアノ基または
    ハロゲン原子を示し、R2がシアノ基またはハロゲン原子
    であるときはX1は単結合を示す。R1は炭素数2〜10の直
    鎖のアルキル基を示す。 (Ic)式中、六員環A、BおよびCはそれぞれ独立にベ
    ンゼン環、シクロヘキサン環、ジオキサン環、ピリミジ
    ン環またはピリジン環を示し、xおよびzはそれぞれ0
    または1の整数を、yは0、1または2の整数をそれぞ
    れ示し、(x+y+z)の値は0以上2以下であり、Y1
    はy=0のとき単結合を、yが1または2のとき−COO
    −、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、または−CH2CH2
    を示し、Z1は単結合、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−
    OCH2−、または−CH2CH2−を示し、T1、T2、T3およびT4
    はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子またはシアノ
    基を示し、R1およびR3はそれぞれ独立に炭素数2〜10の
    直鎖のアルキル基を示す。
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