JP2524839B2 - 遠心式ガバナ付を多気筒ディ―ゼルエンジン - Google Patents

遠心式ガバナ付を多気筒ディ―ゼルエンジン

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JP2524839B2
JP2524839B2 JP1247201A JP24720189A JP2524839B2 JP 2524839 B2 JP2524839 B2 JP 2524839B2 JP 1247201 A JP1247201 A JP 1247201A JP 24720189 A JP24720189 A JP 24720189A JP 2524839 B2 JP2524839 B2 JP 2524839B2
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、遠心式ガバナ付き多気筒ディーゼルエンジ
ンに関する。
[従来技術] 遠心式ガバナ付き多気筒ディーゼルエンジンの従来技
術として、実公昭63−14031号公報(以下、「従来技術
1」という)、特公昭55−51086号公報(以下、「従来
技術2」という)、特開昭63−246421号公報(以下、
「従来技術3」という)に開示されたものがある。
従来技術1を第6図に、従来技術2を第7図に、従来
技術3を第8図にそれぞれ示す。これらの従来技術は、
いずれも本発明と同様、次の基本構造を備えている。す
なわち、複数のシリンダを前後方向に配列したシリンダ
ブロックの横側部にポンプハウジング103を固設し、こ
のポンプハウジング103内で、燃料噴射ポンプ104の下方
に燃料噴射カム軸105を架設し、燃料噴射ポンプ104の燃
料調量ラック109にガバナレバー111を介してガバナスプ
リング112及びガバナウェイト113を連携させて構成して
ある。
第6図は従来技術1では、ポンプハウジング103内
で、燃料噴射カム軸105の下方にガバナ軸115を架設し、
このガバナ軸115にガバナウェイト113とガバナスリーブ
114とを設け、ポンプハウジング103を前部に固定した調
時伝動ケース106内で、燃料噴射カム軸105の前端突出部
分133に燃料噴射カム軸入力輪116を取り付け、燃料噴射
ポンプ104をポンプハウジング103の前壁103aに隣接さ
せ、ガバナレバー111及びガバナスプリング112の一部
を、調時伝動ケース106内に侵入させ、燃料噴射カム軸
入力輪116と前軸受け119aとの間にスペーサボス134を介
在させている。
第7図の従来技術2では、ポンプハウジング103の前
部に固定した調時伝動ケース106内に燃料噴射カム軸105
の前端突出部分133を突出させ、前軸受け119aで燃料噴
射カム軸105の前端突出部分133を片持ち状に支持させ、
調時伝動ケース106内で、燃料噴射カム軸105の先端突出
部分133に、前から順に燃料噴射カム軸入力輪116とガバ
ナウェイト113とガバナスリーブ114とを設け、ガバナス
リーブ114と軸受け119との間にガバナレバー111を配置
し、燃料噴射ポンプ104をポンプハウジング103の前壁10
3aに隣接させてある。
第8図の従来技術3では、ポンプハウジング103の前
部に固定したガバナハウジング118内に燃料噴射カム軸1
05の前端突出部分133を突出させ、前軸受け119aで、燃
料噴射カム軸105の前端突出部分133を片持ち状に支持さ
せ、ガバナハウジング118内で、燃料噴射カム軸105の前
端突出部分133に、前から順にガバナスリーブ114とガバ
ナウェイト113とを設けるとともに、ガバナスリーブ114
の前方にガバナレバー111を配置してある。この従来技
術3では、ポンプハウジング103の前壁103aと燃料噴射
ポンプ104とを隣合わせているため、第8図の右側部分
の鎖線で示すように、燃料噴射カム軸105の後端側に燃
料噴射カム軸入力輪116が取り付けられ、燃料噴射カム
軸入力輪116とガバナウェイト113との間に燃料噴射カム
105aが配置されていることは明らかである。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来技術では、次の問題がある。
第6図及び第7図の従来技術1及び2では、ポンプハ
ウジング103の前壁103aに燃料噴射ポンプ104が隣接し、
燃料噴射ポンプ104が調時伝動ケース106に接近するた
め、燃料噴射ポンプ104がシリンダブロックの前端部分
の横側方に位置することになり、燃料噴射ポンプ104か
ら後側のシリンダまでの距離が長くなる。多気筒ディー
ゼルエンジンでは、一般に各シリンダへの燃料噴射圧を
統一するため、各シリンダに燃料を供給する各燃料噴射
管の長さをほぼ同一にするが、この従来技術1及び2で
は、燃料噴射ポンプ104から最も離れる最後部側のシリ
ンダに燃料を供給する燃料噴射管の必要長さを基準にし
て、各燃料噴射管の長さが決められる。このため、各燃
料噴射管が長くなり、燃料噴射圧が低くなりやすいとと
もに、燃料の噴射遅れが大きくなりやすく、これがエン
ジンの出力性能を低下させる要因となっている。
第6図及び第7図の従来技術1及び2では、ガバナレ
バー111及びガバナスプリング112の一部を調時伝動ケー
ス106内に配置してある。このため、ガバナレバー111等
の一部と燃料噴射カム軸入力輪116との相互干渉をさけ
るため、燃料噴射カム軸入力輪116をポンプハウジング1
03の前壁103aから遠ざける必要があり、その分だけ調時
伝動ケース106が前方に大きく張り出し、エンジンの全
長が長くなる。
第6図及び第7図の従来技術1及び2では、燃料噴射
カム軸入力輪116が前軸受け119aから遠ざかる。このた
め、燃料噴射カム軸入力輪116で受けた力により、燃料
噴射カム軸105の前端突出部分133に大きな曲げモーメン
トがかかり、燃料噴射カム軸105と前軸受け119aの双方
が損傷しやすくなる。
第6図及び第7図の従来技術1及び2では、ガバナレ
バー111等の一部がポンプハウジング103外に位置し、ま
た、第8図の従来技術3では、遠心式ガバナ110全体が
ポンプハウジング103外に位置する。このため、遠心式
ガバナ110と燃料噴射ポンプ104の総合調節を行う場合、
ポンプハウジング103の前壁103aが邪魔になり、ポンプ
ハウジング103の内外双方で作業を進める必要があり、
正確な調節が困難になる。
第6図及び従来技術1では、ガバナスリーブ114と燃
料噴射ポンプ104との間に燃料噴射カム軸105が介在す
る。また、第7図の従来技術2では、ガバナスリーブ11
4と燃料噴射ポンプ104との間に、ガバナレバー111とポ
ンプハウジング103の前壁103aとが介在する。また、第
8図の従来技術3では、ガバナスリーブ114の出力部か
ら燃料噴射ポンプ104との間に、縦長のガバナレバー111
と燃料調量ラック109の延長部分109aとが介在し、この
燃料調量ラック109の延長部分109aは、ガバナレバー111
の上端からガバナスリーブ114、ガバナウェイト113、前
軸受け119aの各上方空間を経由する横長の構造になる。
このため、これらの従来技術では、いずれも、ガバナス
リーブ114から燃料噴射ポンプ104までのガバナ力の伝動
経路が長くなって、その経路を構成する部品の慣性重量
が大きくなり、ガバナの応答精度が低くなる。
第8図の従来技術3では、燃料噴射カム軸105の前端
突出部分133が前軸受け119aで片持ち状に支持されてい
るうえ、この前端突出部分133の先端側からキャップ状
のスリーブ114が差し込まれている。このため、燃料噴
射カム軸105の前端突出部分133の先端が振動しやすいう
え、エンジン回転の上昇に従ってガバナスリーブ114が
前端突出部分133の先端側に抜けながら移動するため、
ガバナスリーブ114がガタつきやすく、ガバナ力の変動
によりエンジン回転が不安定になりやすい。
第8図の従来技術3では、ガバナウェイト113と燃料
噴射カム軸入力輪116とが、燃料噴射カム105aを挟んで
相互反対側に配置されることになるため、次の問題があ
る。すなわち、一般に、カムリフト時には燃料噴射ポン
プ104のタペット104aからの反作用により、燃料噴射カ
ム105aに制動力がかかり、燃料噴射カム105aの角速度が
一時的に減速し、燃料噴射カム軸入力輪116と燃料噴射
カム105aとの間で燃料噴射カム軸105に捩れが生じ、カ
ムリフト解除時には、その捩れの復元力により、燃料噴
射カム105aの角速度が一時的に加速され、燃料噴射カム
105aに周期的な角速度変化が起こるが、この従来技術3
では、ガバナウェイト113と燃料噴射カム105aとの間で
の捩れが起こらないため、ガバナウェイト113が燃料噴
射カム105aに完全に追従し、ガバナウェイト113に燃料
噴射カム105aと同一の周期的な角速度変化が起こり、遠
心力の大きな周期的変動により、エンジン回転が不安定
になりやすい。
本発明の課題は、これらの問題を解決することができ
る、遠心式ガバナ付きディーゼルエンジンを提供するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] (第1発明) 第1発明は、第1図・第4図・第5図に例示するよう
に、複数のシリンダ24を前後方向に配列したシリンダブ
ロック2の横側部にポンプハウジング3を固設し、この
ポンプハウジング3内で、燃料噴射ポンプ4の下方に燃
料噴射カム軸5を架設し、燃料噴射ポンプ4の燃料調量
ラック9にガバナレバー11を介してガバナスプリング12
及びガバナウェイト13を連携させて構成した、遠心式ガ
バナ付き各気筒ディーゼルエンジンにおいて、次のよう
にしたことを特徴とする。
すなわち、ポンプハウジング3の前後壁3a・3bに設け
た前後軸受け19a・19bで、燃料噴射カム軸5の前後両端
部を軸受けし、シリンダブロック2及びポンプハウジン
グ3の前部に固定した調時伝動ケース6内で、燃料噴射
カム軸5の前端突出部分33に燃料噴射カム軸入力輪16を
取り付け、ポンプハウジング3内で、燃料噴射カム軸5
に前から順にガバナウェイト13とガバナスリーブ14と燃
料噴射カム5aとを設け、ガバナスリーブ14と燃料噴射カ
ム5aとの間にガバナレバー11を配置し、ガバナレバー11
よりも後側に燃料噴射ポンプ4を配置して、燃料噴射ポ
ンプ4をシリンダブロック2前後方向中央部の横側方に
位置させ、遠心式ガバナ10を構成するガバナウェイト13
とガバナスリーブ14とガバナレバー11とガバナスプリン
グ12とを、調時伝動ケース6内に侵入させることなくポ
ンプハウジング3内に収容して、燃料噴射カム軸入力輪
16とポンプハウジング3の前壁3aとが隣合うようにした
ことを特徴とする。
(第2発明) 第2発明は、第1発明の遠心式ガバナ付き多気筒ディ
ーゼルエンジンにおいて、第3図に例示するように、ポ
ンプハウジング3の上壁にポンプ組付け孔53とポンプ受
け座54とを形成し、このポンプ受け座54の上面を、シリ
ンダブロック2のシリンダヘッド取り付け面55と同じ高
さに形成し、燃料噴射ポンプ4の取り付けフランジ56の
下部にポンプ胴部57を、取り付けフランジ56の上部にポ
ンプ頭部58をそれぞれ形成し、ポンプ胴部58をポンプ組
み付け孔54からポンプハウジング3内に挿入し、ポンプ
受け座55の上面に取り付けフランジ56を着座させて固定
し、シリンダヘッド41に設けた複数の燃料噴射弁26とポ
ンプ頭部58の上端部とを複数の燃料噴射管25で接続し
た。
[発明の作用及び効果] (第1発明) 第1発明は、次の作用効果を奏する(第1図・第4図
・第5図参照)。
ポンプハウジング3の前壁3aと燃料噴射ポンプ4との
間に、ガバナウェイト13とガバナスリーブ14とガバナレ
バー11とが介在し、燃料噴射ポンプ4が調時伝動ケース
6から離れ、第5図に例示するように、燃料噴射ポンプ
4をシリンダブロック2の前後方向中央部の横側方に位
置させることができる。このため、燃料噴射ポンプ4か
ら前後方向に配列された各シリンダ24までの離隔距離の
差がなくなり、或いは小さくなり、各燃料噴射管25を最
短の長さで統一することができ、燃料噴射圧を高められ
るとともに、燃料の噴射遅れを抑制でき、エンジンの出
力性能を高めることができる。
遠心式ガバナ10の全ての構成部品を調時伝動ケース6
内に侵入させることなくポンプハウジング3内に収容
し、遠心式ガバナ10と燃料噴射カム軸入力輪16との相互
干渉を問題にすることなく、燃料噴射カム軸入力輪16と
ポンプハウジング3の前壁3aとを隣合わせにして近づけ
てある。このため、調時伝動ケース6の前方への張り出
しが小さくなり、エンジンの全長が短くなる。
燃料噴射カム軸入力輪16をポンプハウジング3の前壁
3aとを隣合わせにし、燃料噴射カム軸入力輪16と前軸受
け19aとを近づけてある。このため、燃料噴射カム軸入
力輪16で受けた力によって、燃料噴射カム軸5の前端突
出部分33にかかる曲げモーメントが小さくなり、燃料噴
射カム軸5と前軸受け19aの双方の損傷を抑制できる。
遠心式ガバナ10の全ての構成部分が燃料噴射ポンプ4
とともにポンプハウジング3内に位置している。このた
め、遠心式ガバナ10と燃料噴射ポンプ4の総合調節を行
う場合、ポンプハウジング3内で一括した作業を進める
ことができ、正確な調整作業を容易に行える。
ポンプハウジング3内で、燃料噴射ポンプ4に最も接
近している燃料噴射カム軸5にガバナスリーブ14が配置
され、このガバナスリーブ14と燃料噴射ポンプ4との間
にガバナレバー11が配置されている。このため、ガバナ
スリーブ14から燃料噴射ポンプ4へのガバナ力の伝動経
路が最短になり、その経路を構成する部品の慣性重量が
小さくなり、ガバナの応答精度が高まる。
ガバナ軸を兼ねた燃料噴射カム軸5は前後軸受け19a
・19bにより両持ちで支持されているうえ、ガバナスリ
ーブ14はこの燃料噴射カム軸5の途中に支持されてい
る。このため、燃料噴射カム軸5が振動しにくいうえ、
ガバナスリーブ14もガダ付きにくく、ガバナ力の変動が
起こりにくいため、エンジン回転が安定化する。
燃料噴射カム5aと燃料噴射カム軸入力輪16との間にガ
バナウェイト113が位置するうえ、ガバナウェイト13と
燃料噴射カム5aとが、ガバナスリーブ14とガバナレバー
11とを間に挟んで遠く離されている。このため、カムリ
フトによって生じる燃料噴射カム5aと燃料噴射カム軸入
力輪16との間での燃料噴射カム軸5の捩れにより、燃料
噴射カム5aに対するガバナウェイト13の追従性が大幅に
緩和され、ガバナウェイト13の角速度変化が燃料噴射カ
ム5aに比べて十分に小さくなり、遠心力の周期的変動が
小さくなり、エンジン回転が安定化する。
(第2発明) 第2発明は、第1発明の作用効果〜に加え、次の
作用効果を奏する(第3図参照)。
燃料噴射弁26とポンプ頭部58の上端部とが接近するた
め、これらを繋ぐ燃料噴射管25を短くできる。
[実施例] 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図乃至第5図は本発明の実施例に係るディーゼル
エンジンの遠心式ガバナを説明する図で、第1図(A)
はガバナの平面図、第1図(B)はガバナの正面図、第
1図(C)はガバナの側面図、第2図(A)乃至(F)
はガバナの作動説明図、第3図はエンジンの縦断面正面
図、第4図はエンジンの縦断面側面図、第5図はエンジ
ンの斜視図である。
符号1はエンジンを示している。
このエンジン1は副燃料室式ディーゼルエンジンで、
第3図に示すように、エアをエアクリーナ20(第5図参
照)からサージタンク21、吸気慣性管22、吸気ポート23
の順に通過させて、シリンダ24内に供給し、燃料を燃料
噴射ポンプ4の圧送力により燃料噴射管25、燃料噴射弁
26の順に通過させて副燃焼室27に供給するようになって
いる。
燃料噴射ポンプ4からの燃料噴射量は遠心式ガバナ10
により制御され、エンジン1に掛かる負荷変動に拘わら
ず、調速レバー28で設定された設定値でエンジン1の回
転を一定に維持できるようになっている。
ガバナ10は、第2図(A)に示すように、始動時に
は、スタートスプリング30の張力30aでラックピン29を
始動増量位置に位置させ、始動が容易に行えるようにな
っている。
第2図(B)に示すように、低回転運転時には調速レ
バー28を低回転位置に設定することにより、低回転用ガ
バナスプリング31の張力31a(低回転時には高回転用ガ
バナスプリング35は遊びの状態になっている)とガバナ
フォース10aとの釣り合いにより、ラックピン29を0/4負
荷位置から4/4負荷位置間の燃料制御領域内で適宜に調
節し、エンジン1に掛かる負荷変動に拘わらず、エンジ
ン1の回転を調速レバー28で設定された値通り一定に維
持するようになっている。
第2図(C)に示すように、高回転運転時には調速レ
バー28を高回転位置に設定することにより、低回転用ガ
バナスプリング31の張力31aと高回転用ガバナスプリン
グ35の張力35aとの合力と、ガバナフォース10aとの釣り
合いにより、ラックピン29を前記の燃料制御領域内で適
宜に調節し、前記同様にエンジン1の回転を一定に維持
するようになっている。
第2図(D)に示すように、エンジン1に部分負荷が
掛かっている場合には、ガバナフォース10aと前記張力3
1aまたは31aと35aの合力との釣り合いによりラックピン
29は前記燃料制御領域で制御されるようになっている。
第2図(E)に示すように、全負荷を越えて過負荷が
掛かった場合には、ガバナフォース10aの大幅な減少に
よりスプリングレバー32は前記張力31aまたは31aと35a
の合力により大きく引かれるが、スプリングレバー32は
ラックピン29の全負荷位置で燃料制限具52に接当してこ
れに係止されるので、それ以降は張力31aまたは35aはラ
ックレバー48へは伝達されず、ラックレバー48はトルク
スプリング36の弾発力により押される。
トルクスプリング36のバネ定数は前記両ガバナスプリ
ング31・35の各バネ定数よりも小さく設定されており、
ラックピン29が全負荷位置を越える前よりも越えた後の
方が、ガバナフォース10aの変化量に対するラックピン2
9の移動速度、すなわち燃料増量速度が遅くなるように
して、エンジンの回転数を速やかに低下させて、エンス
トに至るまでの過渡期間を長く維持し、エンスト回避操
作の時間的余裕を確保できるようになっている。
第2図(F)に示すように、エンジン停止時にはスト
ップレバー37を停止回動操作すれば、ラックピン29が長
孔39に沿って停止位置まで移動させることができるよう
になっている。ラックピン29はガバナレバー11と関連な
く長孔39に沿って移動でき、ストップレバー37の操作力
37aは両ガバナスプリング31・35の張力31a・35aの抵抗
を受けることなく、スタートスプリング30の張力30aに
抗するだけの小さな力でエンジン1の停止が行えるよう
になっている。
第3図に示すように、エンジン1はシリンダ40の下側
にクランクケースを一体に形成させたシリンダブロック
2の上部にシリンダヘッド41、ヘッドカバー42を順に組
み付け、シリンダブロック2の右側部にポンプハウジン
グ3を形成して構成されている。
すなわち、図1・図4・図5に示すように、複数のシ
リンダ24を前後方向に配列したシリンダブロック2の横
側部にポンプハウジング3を固設してある。そして、こ
のポンプハウジング3内で、燃料噴射ポンプ4の下方に
燃料噴射カム軸5を架設し、燃料噴射ポンプ4の燃料調
量ラック9にガバナレバー11を介してガバナスプリング
12及びガバナウェイト13を連携させて構成してある。
そして、ポンプハウジング3の前後壁3a・3bに設けた
前後軸受け19a・19bで、燃料噴射カム軸5の前後両端部
を軸受けし、シリンダブロック2及びポンプハウジング
3の前部に固定した調時伝動ケース6内で、燃料噴射カ
ム軸5の前端突出部分33に燃料噴射カム軸入力輪16を取
り付けてある。
そして、ポンプハウジング3内で、燃料噴射カム軸5
に前から順にガバナウェイト13とガバナスリーブ14と燃
料噴射カム5aとを設け、ガバナスリーブ14と燃料噴射カ
ム5aとの間にガバナレバー11を配置し、ガバナレバー11
よりも後側に燃料噴射ポンプ4を配置して、燃料噴射ポ
ンプ4をシリンダブロック2前後方向中央部の横側方に
位置させ、遠心式ガバナ10を構成するガバナウェイト13
とガバナスリーブ14とガバナレバー11とガバナスプリン
グ12とを、調時伝動ケース6内に侵入させることなくポ
ンプシリンダ3内に収容して、燃料噴射カム軸入力輪16
とポンプハウジング3の前壁3aとが隣合うようにしてあ
る。
調時伝動ケース6は、シリンダブロック2とポンプハ
ウジング3との前部にわたって一連に設けている。調時
伝動ケース6内には調時伝動装置8を配置してある。燃
料噴射ポンプ4は、全ての燃料噴射弁26に燃料を供給す
るものが一個配置されている。
また、第3図に示すように、ポンプハウジング3の上
壁にポンプ組付け孔53とポンプ受け座54とを形成し、こ
のポンプ受け座54の上面を、シリンダブロック2のシリ
ンダヘッド取り付け面55と同じ高さに形成し、燃料噴射
ポンプ4の取り付けフランジ56の下部にポンプ胴部57
を、取り付けフランジ56の上部にポンプ頭部58をそれぞ
れ形成し、ポンプ胴部58をポンプ組み付け孔54からポン
プハウジング3内に挿入し、ポンプ受け座55の上面に取
り付けフランジ56を着座させて固定し、シリンダヘッド
41に設けた複数の燃料噴射弁26とポンプ頭部58の上端部
とを複数の燃料噴射管25で接続してある。
調時伝動装置8はクランク軸出力輪43と、動弁カム軸
入力輪44と、燃料噴射カム軸入力輪16とに調時伝動ベル
ト45を巻き掛け、第4図に示すように、クランク軸7の
動力を動弁カム軸46に、また燃料噴射カム軸(第3図参
照)にそれぞれ伝達し、これらを所定のタイミングで連
動するようになっている。
第1図(A)乃至(C)に示すように、遠心式ガバナ
10は枢軸47にガバナレバー11を構成するスプリングレバ
ー32とラックレバー48とを枢支して構成されている。
スプリングレバー32と調速レバー28との間にはガバナ
スプリング12を構成する高回転用スプリング35と低回転
用スプリング31を介設し、他方、ラックレバー48の下端
部にガバナウェイト13の遠心力により燃料噴射カム軸5
に沿って摺動移動するガバナスリーブ14を接当させてあ
る。
ラックレバー48の上端部には燃料噴射ポンプ4の燃料
調量9のラックピン29と長孔39で係合するガバナリンク
49と前端部を枢着し、スプリングレバー32の上部後面と
ラックレバー48の上部前面とを接当させ、ガバナスプリ
ングの張力とガバナフォースとの釣り合いにより、ラッ
クピン29と燃料制御領域内で適宜に調節し、エンジン1
に掛かる負荷変動に拘わらず、調速レバー28で設定され
た設定値でエンジン1の回転を一定に維持するようにし
てある。
スプリングレバー32の上部後面にはトルクスプリング
36により付勢された押し込みピン51の先端を突出させて
いる。
ガバナウェイト13とガバナスリーブ14とはポンプハウ
ジング3内で燃料噴射カム軸5に支持させ、燃料噴射カ
ム軸5をウェイト駆動軸としても兼用するとともに、燃
料噴射カム軸入力輪16をウェイト駆動入力輪としても兼
用し、ウェイト駆動軸やウェイト駆動入力輪及びウェイ
ト駆動軸の軸受けといった部品を削減して、エンジン1
の構造の簡易化を図っている。
ガバナレバー11及びガバナスプリング12はポンプハウ
ジング3内に、調時伝動ケース6へは侵入することのな
い状態に設け、ガバナレバー11及びガバナスプリング12
と燃料噴射カム軸入力輪16の周縁部とが干渉するのを避
けて、燃料噴射カム軸入力輪16をポンプハウジング3に
近く配置できるようにし、エンジン1の全長を短くでき
るようにしてある。
また、燃料噴射カム軸入力輪16をポンプハウジング3
に近く配置させることにより、燃料噴射カム軸入力輪16
と燃料噴射カム軸5の軸受け19との距離を短くし、燃料
噴射カム軸5の曲げモーメントを小さくして、燃料噴射
カム軸5と軸受け19両方の摩耗損傷を抑制できるように
してある。
スタートスプリング30はラックピン29に直接に係止し
てある。
燃料制限具52はポンプハウジング3の上壁に縦向きに
貫通させて進退調節自在としてある。尚、この実施例で
は、第5図に示すように、燃料噴射ポンプ4をシリンダ
ブロック2の前後方向にほぼ中央に位置させ、一対の燃
料噴射管25・25を短い配管で対称に配管できるようにし
てある。このため、これらの先端に設けられた一対の燃
料噴射ノズル26・26からの燃料噴射圧を高められるとと
もに、これらの噴射遅れが防止され、エンジンの出力性
能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第5図は本発明の実施例に係るディーゼルエ
ンジンの遠心式ガバナを説明する図で、第1図(A)は
ガバナの平面図、第1図(B)はガバナの正面図、第1
図(C)はガバナの側面図、第2図(A)乃至(F)は
ガバナの作動説明図、第3図はエンジンの縦断面正面
図、第4図はエンジンの縦断面側面図、第5図はエンジ
ンの斜視図であり、第6図は従来技術1の説明図、第7
図は従来技術2の説明図、第8図は従来技術3の説明図
である。 2……シリンダブロック、3……ポンプハウジング、3a
……前壁、3b……後壁、4……燃料噴射ポンプ、5……
燃料噴射カム軸、5a……燃料噴射カム、6……調時伝動
ケース、9……燃料調量ラック、10……遠心式ガバナ、
11……ガバナレバー、12……ガバナスプリング、13……
ガバナウェイト、14……ガバナスリーブ、16……燃料噴
射カム軸入力輪、19a・19b……前後軸受け、24……シリ
ンダ、33……前端突出部分、41……シリンダヘッド、47
……枢軸、53……ポンプ組み付け孔、54……ポンプ受け
座、55……シリンダヘッド取り付け面、56……取り付け
フランジ、57……ポンプ胴部、58……ポンプ頭部。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のシリンダ(24)を前後方向に配列し
    たシリンダブロック(2)の横側部にポンプハウジング
    (3)を固設し、このポンプハウジング(3)内で、燃
    料噴射ポンプ(4)の下方に燃料噴射カム軸(5)を架
    設し、燃料噴射ポンプ(4)の燃料調量ラック(9)に
    ガバナレバー(11)を介してガバナスプリング(12)及
    びガバナウェイト(13)を連携させて構成した、遠心式
    ガバナ付き各気筒ディーゼルエンジンにおいて、 ポンプハウジング(3)の前後壁(3a)・(3b)に設け
    た前後軸受け(19a)・(19b)で、燃料噴射カム軸
    (5)の前後両端部を軸受けし、シリンダブロック
    (2)及びポンプハウジング(3)の前部に固定した調
    時伝動ケース(6)内で、燃料噴射カム軸(5)の前端
    突出部分(33)に燃料噴射カム軸入力輪(16)を取り付
    け、ポンプハウジング(3)内で、燃料噴射カム軸
    (5)に前から順にガバナウェイト(13)とガバナスリ
    ーブ(14)と燃料噴射カム(5a)とを設け、ガバナスリ
    ーブ(14)と燃料噴射カム(5a)との間にガバナレバー
    (11)を配置し、ガバナレバー(11)よりも後側に燃料
    噴射ポンプ(4)を配置して、燃料噴射ポンプ(4)を
    シリンダブロック(2)前後方向中央部の横側方に位置
    させ、遠心式ガバナ(10)を構成するガバナウェイト
    (13)とガバナスリーブ(14)とガバナレバー(11)と
    ガバナスプリング(12)とを、調時伝動ケース(6)内
    に侵入させることなくポンプハウジング(3)内に収容
    して、燃料噴射カム軸入力輪(16)とポンプハウジング
    (3)の前壁(3a)とが隣合うようにした、ことを特徴
    とする遠心式ガバナ付き多気筒ディーゼルエンジン。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した遠心式ガバナ付き多気
    筒ディーゼルエンジンにおいて、ポンプハウジング
    (3)の上壁にポンプ組付け孔(53)とポンプ受け座
    (54)とを形成し、このポンプ受け座(54)の上面を、
    シリンダブロック(2)のシリンダヘッド取り付け面
    (55)と同じ高さに形成し、燃料噴射ポンプ(4)の取
    り付けフランジ(56)の下部にポンプ胴部(57)を、取
    り付けフランジ(56)の上部にポンプ頭部(58)をそれ
    ぞれ形成し、ポンプ胴部(58)をポンプ組み付け孔(5
    4)からポンプハウジング(3)内に挿入し、ポンプ受
    け座(55)の上面に取り付けフランジ(56)を着座させ
    て固定し、シリンダヘッド(41)に設けた複数の燃料噴
    射弁(26)とポンプ頭部(58)の上端部とを複数の燃料
    噴射管(25)で接続した、ことを特徴とする遠心式ガバ
    ナ付き多気筒ディーゼルエンジン。
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