JP2524206B2 - キラルスメクチックc液晶性ポリエステル - Google Patents

キラルスメクチックc液晶性ポリエステル

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JP2524206B2 JP63238888A JP23888888A JP2524206B2 JP 2524206 B2 JP2524206 B2 JP 2524206B2 JP 63238888 A JP63238888 A JP 63238888A JP 23888888 A JP23888888 A JP 23888888A JP 2524206 B2 JP2524206 B2 JP 2524206B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はオプトエレクトロニクス分野、光学分野など
で好適に用いることのできる、大きな自発分極を有し、
広い温度範囲で安定なキラルスメクチックC液晶を形成
し、かつ溶融成形が可能で製造の容易な新規なキラルス
メクチックC液晶性ポリエステルに関する。
〈従来の技術〉 液晶はその種類によつて特有の分子配向の秩序を有す
るために、液晶の分子配向を利用しあるいは制御するこ
とによつて様々な分野に応用でき、工業的に大きな分野
を形成している。低分子液晶については、周知の如く時
計、電卓あるいはテレビなどの表示素子としてネマチツ
クタイプのものが広く使用されており、デイスクプレイ
の分野において確固たる地位を築いている。また最近、
これらに代る次世代の表示素子用液晶として高速作動お
よびメモリー機能などの特徴を有するキラルスメクチッ
クCタイプの液晶が注目され、激烈な開発競争が展開さ
れている。一方、高分子液晶はその力学的特性もさるこ
とながら、ネマチツク、スメクチツクおよびコレステリ
ツクのそれぞれの液晶のタイプに応じて、低分子液晶と
同様な電気光学効果あるいは熱光学効果を示すこともま
た良く知られている。高分子液晶の電場、熱などの外力
に対する応答は高分子の粘性のために低分子の場合に比
べると遅いが、基本的には低分子液晶と同じ性質を有す
る。さらに、高分子液晶はそれぞれの液晶のタイプに特
有の配向構造を固定化でき、かつフレキシブルで大面積
のフイルムを容易に製造できるという低分子液晶にない
大きな特徴を有する。したがつてキラルスメクチックC
液晶性を示す高分子が合成できれば、低分子キラルスメ
クチックC液晶と同様の機能を有し固定化が可能で、か
つ大面積で取り扱いが容易な材料が得られ、表示材料、
記録材料、光学材料などの分野で様々な用途に応用でき
る。しかしながら明瞭なキラルスメクチックC液晶性を
示し、しもかそれを固定化できるポリマーはほとんど知
られていない。たとえばJ.C.Duboisらは次式の構造の、
側鎖にキラルユニツトを含むメソーゲンを導入したポリ
アクリル酸エステル誘導体について報告している(Mol.
Cryst.Liq.Cryst.,137、349(1986))。
DuboisらはR=H、n=2、R=CH3、n=11および
R=Cl、n=11のポリマーで、X線回折の測定の結果、
スメクチツクの層構造が観察されること、および側鎖の
メソーゲンの長軸が層の法線に対して傾いていることよ
り、これらのポリマーがある一定温度範囲でキラルスメ
クチックCらしい相を形成している可能性を示唆してい
る。しかしながら光学的な観察結果あるいはピツチ長に
対する報告はなく、キラルスメクチックC相生成に対す
る証拠は不明確であり固定化に関する報告もない。さら
にこのような形の側鎖を有するモノマーは合成に多段の
ステツプを要し合成が極めて面倒である。またV.P.Shib
aevらは同様のポリアクリル酸エステル誘導体について
報告している(Polymer Bulletin12、299(1984)。
(m=6〜12、R、R1およびR2は与えられていない) ShibaevらはX線回折の結果より、スメクチツク層構
造を有すること、層の法線に対して側鎖のメソーゲンの
長軸が傾いていることおよび自発分極が観察されること
などより、これらのポリマーがキラルスメクチックC液
晶相を形成すると結論している。しかしながらShibaev
らのポリマーは構造が明らかにされていないうえにDubo
isらのポリマーと同じく合成が極めて面倒であり、工業
的に実施するうえで難点を有する。また固定化に関して
も何ら報告されていない。さらにこれらのポリアクリル
酸誘導体タイプのポリマーは、低分子のキラルスメクチ
ツクC液晶をそのままの形で側鎖に導入したものであ
り、その意味では低分子液晶の延長上にあるものと言え
る。一方主鎖にキラル成分を含む主鎖型の高分子液晶で
明確なキラルスメクチックC液晶となるものはまつたく
知られていない。主鎖にキラルな成分を含むポリエステ
ル、ポリアミドなどの合成例は報告されているが、ほと
んどがコレステリツク液晶であり、他にネマチツク、ス
メクチツクの例もあるが、キラルスメクチツクC相を明
確に示すものはまつたく報告されていない。
〈発明が解決しようとする課題〉 本発明者らは、上記したポリアクリル酸エステル誘導
体類の有する諸欠点にかんがみ、明確なキラルスメクチ
ツクC相を形成すること、固定化が容易であること、溶
融成形が可能であり、さらに工業的に容易に製造できる
ポリマーを鋭意研究した結果、特定のメソーゲンおよび
特定のキラル成分を含有するポリエステルが明確なキラ
ルスメクチツクC液晶となり、かつ上記諸問題を解決す
ることを見出しついに本発明を完成させるに至つた。
〈課題を解決するための手段〉 本発明は下記式で表わされる構造単位(A)、(B)
および(C)から成る新規なキラルスメクチツクC液液
晶性ポリエステルを提供するももである。
(C)−O−R−O 0〜59モル% (Rは炭素数2から18の直鎖または分岐の2価の炭化
水素基を示す)。
本発明のポリエステルを構成する各成分について説明
すると、まず(A)単位は液晶性を発現するためのメソ
ーゲンとしての役割を果す必須成分である。ビフエニル
4,4′−ジカルボン酸またはその誘導体(たとえばジエ
チルエステル等のジアルキルエステルあるいは酸クロラ
イド)から誘導される。(A)単位はポリマー中40〜60
モル%の割合で存在し、好ましくは45〜55モル%であ
り、実質的に50モル%が特に好ましい。(B)単位は本
発明のポリエステルがキラルスメクチツクC液晶相を発
現するための光学活性な成分として必須成分であり、光
学活性な2−クロロ−1,4−ブタンジオール、またはそ
の誘導体(たとえばジアセトキシ化合物などの誘導体)
から誘導される。
用いられるブタンジオール類はR体、S体のいずれで
も良く、またR体およびS体の混合物であつても良い。
この場合には両者の差が1%以上であることが必要であ
り、10%以上あることが好ましく、20%以上であること
が特に好ましい。R体とS体の含有率の差が1%未満の
場合にはキラルスメクチツクC相を形成する温度範囲が
狭くなり好ましくない。(B)単位の割合は1から60モ
ル%が好ましく、特に10から50モル%が好ましい。
(B)単位が1モル%より少ない場合はキラルスメクチ
ツクC相を形成する温度範囲が狭まり好ましくない。
(C)単位は本発明のポリエステルがキラルスメクチツ
クC相を形成する際の転移温度、温度範囲、粘性などを
コントロールするための成分であり、目的とするポリマ
ーの物性に応じて種類および含有量を選ぶことができ
る。(C)単位の割合は目的に応じ0〜59モル%の範囲
で任意に選択できるが、物性制御の点から5〜50モル%
が好ましい。式中Rは炭素数2から18の直鎖または分岐
の2価の炭化水素基を示す。代表的な基としては などをあげることができる。これらのうちでも特にCH
2 (nが2から12)、 などが好ましい。
炭素数が1の場合あるいは18より大きい場合には液晶
を形成しない場合がある。(C)単位は対応するα,ω
−ジオールまたはその誘導体(たとえばジアセトキシ誘
導体)から誘導される。
本発明のキラルスメクチツクC液液晶性ポリエステル
の製造方法は特に制限されるものでなく、通常のポリエ
ステルの製造と同様公知の溶融重合法またはビフエニル
ジカルボン酸成分を酸クロライドとして用いる溶液重合
法を適用することにより製造できる。たとえば溶融重合
法の一例をあげると所定量のビフエニル−4,4′−ジカ
ルボン酸ジエチル、光学活性な2−クロロ−1,4−ブタ
ンジオールおよびα,ω−アルカンジオールを高温、高
真空下に重合させることによつて製造できる。分子量は
重合時間をコントロールする等の通常の手段により容易
に調節できる。重合反応を促進させるためには、従来か
ら公知のポリエステル重合触媒であるアルカリ金属塩
や、Fe、Mn、Cd、Mg、Ba、Ti、Zn、Pb、Co、Sb、Snなど
の金属塩を単独もしくは組み合わせて使用することもで
きる。また分解抑制剤としてリン化合物を添加しても良
い。
また溶液重合法を用いるとよりマイルドな条件下に重
合できる。たとえば所定量のビフエニル−4,4′−ジカ
ルボン酸ジクロライド、光学活性な2−クロロ−1,4−
ブタンジオールおよびα,ω−アルカンジオールを溶媒
に溶解し、ピリジンなどの酸受容体存在下に加熱するこ
とにより容易にポリエステルを得ることができる。
以上のように合成される本発明のキラルスメクチツク
C液晶性ポリエステルの分子量は、後記する極限粘度
〔η〕で通常0.05〜5.0、好ましくは0.1〜2.0、より好
ましくは0.2〜1.0である。本発明のキラルスメクチツク
C液晶性ポリエステルは大きな自発分極を有し、広い温
度範囲で安定なキラルスメクチツクC液晶相を示し、か
つ溶融成形が可能である。本発明のポリエステルは、こ
れらの特徴を生かすことによつて表示材料、記録材料、
あるいは光に対する特性を利用した光学材料、さらには
装飾品、フアツシヨン用材料などの様々な分野への応用
が可能である。
〈実施例〉 以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに制限され
るものではない。なお、実施例で用いた各分析法は以下
のとおりである。
(1)組成の決定 ポリマーを重水素化トリフルオロ酢酸に溶解し、400M
Hzの1H−NMR(日本電子製JNM−GX400)または300NHzの1
H−NMR(ブルカー社製MSL−300)で測定し決定した。
(2)極限粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フエノール/テトラクロ
ロエタン(60/40体積比)混合溶媒中、25℃で測定し
た。
(3)DSCの測定 Dupent990Thennal Analizerを用いて測定した。
(4)光学顕微鏡観察 オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡を用いてテク
スチヤーの観察を行つた。
実施例1 キラルスメクチツクC液晶性ポリエステルの
合成 (1)ビフエニル−4,4′−ジカルボン酸ジエチル17.3m
mol、(S)−2−クロロ−1,4−ブタンジオール14.3mm
ol(enantiotropic excess,e.e.=92%)、1,6−ヘキサ
ンジオール12.4mmolおよびテトラブトキシチタン1滴
を、攪拌機のついたリアクターに仕込み窒素ガスでパー
ジしたのち、175℃で60分間窒素気流下に反応を行つ
た。つづいて175℃で30分間減圧下に反応を続け、ポリ
マーを合成した(表1のポリマーNo.1)。
(2)ビフエニル−4,4′−ジカルボン酸ジクロライド1
9.2mmol、(S)−2−クロロ−1,4−ブタンジオール9.
8mmol(e.e.=92%)、1,6−ヘキサンジオール9.2mmol
およびピリジン10mlを100mlのオルソジクロロベンゼン
中に溶解した溶液を、窒素気流下、70℃で2時間攪拌を
行い重合を行つた。次に反応液を過したのちメタノー
ル中に投入してポリマーを沈澱させ、過後減圧乾燥し
てポリマーを得た(表1のポリマーNo.2)。
(3)ビフエニル−4,4′−ジカルボン酸ジエチルまた
はジクロライド、各種e.eの(S)−2−クロロ−1,4−
ブタンジオール、各種のα,ω−アルカンジオールを用
いて、溶融重縮合法((1)で示した方法、メルト法と
略す)あるいは酸クロライドを用いる方法((2)で示
した方法、酸クロ法と略す)により、構造、組成比およ
び分子量の異なつた各種ポリエステルを合成した(表1
のポリマーNo.3から9)。
得られたポリマーの組成および〔η〕を表1に示し
た。これらの内、例としてポリマーNo.1、2、5および
7の1H−NMRスペクトルを第1図に示した。
実施例2 キラルスメクチツクC構造の同定 (1)DSC測定および偏光顕微鏡観察 第2図にポリマーNo.2および4のDSCサーモグラムを
示した。偏光顕微鏡観察の結果、No.2では降温時にT1
T2の間の温度領域で、またNo.4ではT4とT5の間の温度領
域でブロークンフアンシエープテクスチヤーが観察さ
れ、特にNo.4の場合はブロークンフアンシエープテクス
チヤーの中にリターデーシヨンラインが観察されたこと
より、これらのポリマーがキラルスメクチツクC液晶相
をとつていることが明らかになつた(No.2の場合はキラ
ルスメクチツクC相のらせんピツチが短かくて光学顕微
鏡では観察されない)。同様にしてDSCと偏光顕微鏡を
用いて他のポリマーの液晶相の同定を行い、表2の結果
を得たが、いずれも広い温度範囲で安定したキラルスメ
クチツクC液晶相をとることがわかつた。図3にポリマ
ーNo.2とNo.4の偏光顕微鏡写真を示したが、いずれもブ
ロークンフアンシエープテクスチヤーが認められ、特に
No.4ではその中にさらにリターデーシヨンラインが観察
された。
(2)電圧印加による分極反転 表面を導電処理したガラス(ITOガラス)2枚の間に
厚さ12.5μmのポリイミドフイルムをスペーサーとして
はさみ厚みを固定したセル中に、表1のポリマーをそれ
ぞれ封入した。このセルをメトラーのホツトステージ中
に入れ、キラルスメクチツクC相を示す温度に保ちなが
ら、偏光顕微鏡観察下に正負の電圧を印加して分極の反
転を調べた。300V、10Hzの矩形波交流電圧を印加したと
ころ、図4(ポリマーNo.1)に示したように顕微鏡視野
中のドメインが暗視野から明視野に電圧変化に追随して
変化した。この変化はすべてのポリマーにおいて観察さ
れ、いずれのポリマーにおいても分極反転が起つている
ことが明らかになつた。すなわち、表1に示したポリマ
ーはいずれも強誘電性を示し、キラルスメクチツクC液
晶であることがわかつた。
(3)透過型カラーフイルムの作製 ポリマーNo.3、0.2gを5cm×2cm×0.1cmのパイレツク
スガラス2枚の中心部にはさみ、厚さ調節用に20μm厚
のアルミフイルムを入れて、卓上プレス上で200℃、30
分間予熱したのち、同じ温度に保ちながら少しずつ圧力
をかけてプレスした。次にプレスより取り出し、180℃
で1時間保持したのち冷却して、フイルムサンプルを作
製した。このフイルムは透過光が鮮やかに着色して見
え、かつ色が入射角によつて変化した。これはこのポリ
マーフイルムがガラス面に垂直ならせん周期構造を有し
ていることを示し、キラルスメクチツクC液晶相が固定
されていることを示す。
〈発明の効果〉 本発明の新規なキラルスメクチツクC液晶性ポリエス
テルは、広い組成範囲および温度範囲において安定なキ
ラルスメクチツクC相を示しかつ固定化が容易である。
製造が容易で強度のフイルムに成形できるため、キラル
スメクチツクC相を固定化したフイルムを容易に製造す
ることができ、光学分野、光エレクトロニクス分野など
の様々な用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図A〜Dは本発明のキラルスメクチツクC液晶性ポ
リエステルの1H−NMRスペクトル図であり、横軸はTMS基
準のシフト値(ppm)である。 第2図A、Bは本発明のポリマーのDSCサーモグラムで
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式で表される構造単位(A),(B)
    および(C)から成り、フェノール/テトラクロロエタ
    ン(60/40体積化)混合溶媒中25℃で測定した極限粘度
    が0.05〜5.0であるキラルスメクチックC液晶性ポリエ
    ステル。 (C)−O−R−O− 0〜59モル% (Rは炭素数2〜18の直鎖または分岐の2価の炭化水素
    基を示す)
JP63238888A 1988-09-26 1988-09-26 キラルスメクチックc液晶性ポリエステル Expired - Lifetime JP2524206B2 (ja)

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US07/413,768 US5230825A (en) 1988-09-26 1989-09-26 Chiral smectic c liquid crystalline polyester
DE68921279T DE68921279T2 (de) 1988-09-26 1989-09-26 Chiral-smektischer Flüssigkristallpolyester.

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