JP2522988Y2 - コグ付vベルト - Google Patents

コグ付vベルト

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JP2522988Y2
JP2522988Y2 JP8291290U JP8291290U JP2522988Y2 JP 2522988 Y2 JP2522988 Y2 JP 2522988Y2 JP 8291290 U JP8291290 U JP 8291290U JP 8291290 U JP8291290 U JP 8291290U JP 2522988 Y2 JP2522988 Y2 JP 2522988Y2
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朝光 黒川
佳彦 神山
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案はコグ付Vベルト、特にコグ谷部の溝内壁形状
をベルト進行方向に対し前後で非対称とした上記コグ付
Vベルトの改良に関するものである。
(従来の技術) ベルト底部にベルト長さ方向に沿って巾方向に延びる
コグ山部とコグ谷部を交互に設けたいわゆる、コグ付V
ベルトはコグを有しないベルトに比し可撓性が大きいこ
とから自動車用エンジンや農耕用機械など、比較的スペ
ースの得られ難いものに広く利用されているが、従来の
かかるコグ付Vベルトにおいて、そのコグ形状はベルト
長手方向に断面カットすると通常、三角形状でその頂部
を円弧の一部とした形状からなるもの、四角形状でその
コーナー部を面取りして円弧の一部としたものに区分さ
れ、何れもその中心に対し左右対称となる面を有してい
た。
ところが、上記のような左右対称の面をもつコグ付V
ベルトは、ベルトがプーリより出る際、ベルト側面の摩
擦係数(μ)が非常に小さければ問題にならないが、ベ
ルトが動力伝達するためにはある程度のμ値が必要であ
るため、ベルトがプーリを出る際にはある程度、プーリ
に引っ掛かりながら抜けてくる。
そのため、ベルト底部のコグ山部基部はプーリ内では
圧縮,プーリより出るときは伸張を受けて亀裂を発生す
る問題があった。
そこで、これを解消すべく、本出願人はさきに第3図
に示す如く、抗張体(2)の上部に伸張部ゴム(3),
下部に圧縮部ゴム(4)を配したベルト(1)の底面に
ベルト長手方向に沿って複数の断面不等辺台形状の溝
(6)をベルトを横切る方向に一定ピッチ又はランダム
に設け、その間に歯(コグ)(5)を形成すること、前
記溝(6)は底面に抗張体と平行な部分をもち、ベルト
の進行方向に対し前側面(a)が長い辺、後側面(b)
が短い辺となるように配置されることを提案した。(特
開昭55-166549号公報参照) そして、更に前側面(a)のベルト底面に対する傾斜
面(θ1)は後側面(b)の底面に対する傾斜角(θ2
と反対方向をなし、前側面のベルト底面に対する傾斜角
(θ1)は30〜70°,後側面(b)のベルト底面に対す
る傾斜角度(θ2)は70〜90°で、かつθ1とθ2との間
は2〜42°の差をもたせることが好ましいことを提起し
た。
(考案が解決しようとする課題) しかしながら、上記提案したベルトのコグ形状におい
て、その後、更に走行時間が進むに従ってコグ形状の真
中、特に溝底部に依然亀裂が進行することが判明した。
即ち、上記従来のコグ形状においてはそのコグ谷部に
平坦部があり、走行を続けると、この平坦部が走行時の
屈曲を繰り返し受け、応力が集中し易く、特に極端に屈
曲させる小プーリ径の場合にはコグ谷部への応力集中が
大きくなり、亀裂が発生し易くなることが分かった。
本考案は上述の如き実状に対処し、引き続き上記ベル
トのコグ谷部の平坦部の真中にかかる応力集中を可能な
限り回避することを課題とし、特にコグ谷部の平坦部を
なくし、異径の円弧曲線形状の組み合わせとすることに
より極端に屈曲させてもコグ谷部の溝底への応力集中を
小さくし、該部における亀裂発生を阻止することを目的
とするものである。
(課題を解決するための手段) 即ち、上記目的に適合する本考案ベルトの特徴はベル
ト底部にベルト長手方向に沿って巾方向に延びるコグ山
部とコグ谷部を交互に配したコグ付Vベルトにおいて、
前記コグ谷部の溝内壁をベルト進行方向に対し前後の直
線状側面と、該両側面に夫々連続する互いに径の異なる
前後の円弧面の連なる弧状溝底とによって形成するこ
と、そして上記の場合においてベルト底面に対する前記
前側面及び後側面の各傾斜角をθ1,θ2(但しθ2
θ1)とし、前側円弧面及び後側円弧面の各曲率半径をr
1,r2(但しr1>r2)とするとき、これらr1,r2及び
θ1,θ2はコグピッチ間隔によって変化するものである
が、次の関係、即ち0.1<r1/r2<1.0 30°≦θ1≦85°,60°≦θ2≦90° 2°<θ1−θ2<42° を満足することにある。
(作用) 上記の要件を満足する本考案ベルトは前後の非対称側
面と異径円弧曲線の組み合わせによる溝底とによりベル
ト走行時におけるコグ谷部への応力集中を小さくし、従
来の平坦な溝底にみられた応力集中による亀裂の発生機
会を阻止すると共に、前後両側面の傾斜により密閉され
た空気の引き離し時における騒音を抑制する。
(実施例) 以下、添付図面を参照し、本考案ベルトの実施例を説
明する。
第1図は本考案に係るベルトの1例であり、第2図は
その要部拡大図である。
これら図において、(1)は本考案に係るベルト全体
を示し、抗張体ロープ(2)の上部には伸張部ゴム
(3),下部には圧縮部ゴム(4)が夫々配層されてお
り、ベルト(1)底部には長手方向にわたってコグ山部
(5)とコグ谷部(6)が所要のピッチ(P)をもって
配設されている。
ここで、伸張部ゴム(3)及び圧縮部ゴム(4)は既
知の如く、NR(天然ゴム),SBR(スチレン・ブタジエン
ゴム),CR(クロロプレンゴム),11R(ブチルゴム),CS
M(クロロスルフォン化ポリエチレン)などの単一材も
しくはこれらのブレンドからなり、必要に応じ、その内
部には綿,ポリアミド,ポリエステル又は芳香族ポリア
ミド等からなる短繊維が巾方向に配列される。
しかして、本考案ベルトは上記の如き構成において、
特にベルト底部に形成されるコグ谷部(6)の溝形状に
特長を有しており、コグ谷部(6)の溝内壁は矢示する
ベルト進行方向に対し前側面(a)と後側面(b)は直
線状をなし、コグ谷部の溝底は円弧状となっている。そ
して、上記前後の直線状側面(a)(b)はベルト底面
に対する傾斜角度を夫々θ1,θ2とするとき、θ2>θ1
で前側面(a)が長く、後側面(b)が短い不等辺とな
っている。
この場合、両傾斜角度θ1とθ2は反対方向をなし、前
側面(a)のベルト底面に対する傾斜角度(θ1)は30
〜85°、好ましくは50°〜60°、後側面(b)のベルト
底面に対する傾斜角(θ2)は60°〜90°、好ましくは7
0°〜80°である。
但し、θ2>θ1で両者の差、(θ2−θ1)は2°〜4.2
°の間である。
この傾斜角度θ1,θ2は夫々その最大値より大きくな
ると小プーリ径ではコグ山部同志がぶつかり屈曲し難く
なり、ベルトがスリップを起こす。反対にθ1,θ2の角
度が夫々の最小値より小さくなるとコグ断面積が小さく
なりすぎて伝達能力が低下する。
従って、前記傾斜角度の範囲とすることが好適であ
る。
一方、コグ谷部の溝底の円弧状はベルト進行方向の前
後で互いに異なる曲率半径をもつ円弧曲線の連なった弧
状面であって、前記前後の直線状側面(a)(b)に続
いて両円弧面(c)(d)が組み合わされている。
ここで前後の円弧面(c)(d)は夫々の径(曲率半
径)をr1,r2とするとr1>r2で、かつ0.1<r2/r1<1.0
であることが必要である。
もしr2/r1が0.1以下であればr2が小さくなり、後側
面(b)の円弧面(d)がなくなり、そこに応力が集中
し易くなる。
反対にr2/r1が1.0ではコグ谷部(6)の溝底の円弧
曲線が左右対称となり、コグ形状の左右非対称の利点が
減殺される。
従って、r2/r1は上記の範囲が好ましく、就中、0.5
≦r2/r1≦0.9が好適である。
かくして、当然のことながら、r1,r2及びθ1,θ2
コグピッチ間隔(P)によって変化するものであるが、
全体として下記の関係を充たすことが必須となる。
0.1<r2/r2<1.0 30°≦θ1≦85°,60°≦θ2≦90° 2°<θ2−θ1<42° 以下、更に具体的な実験例により本考案の効果を確認す
る。
実験例 上幅が18mm,厚みが8mm,V角度が30°で800mmのベルト
外周長をもつベルトについて、第4図(イ)(ロ)に示
すベルト底部形状を有するコグ付Vベルトを夫々作成し
た。
このうち、第4図(イ)に示す形状のベルトは従来品
で、図において各円弧径R1,R2,R3の関係は、R2=R1×
0.53,R3=R1×0.53であり、また、側面の傾斜角度
(θ3)(θ4)はθ3=70°,θ4=80°である。
また更に図中の(l)はベルトコグのピッチ(Pt)に
対しPt×0.4である。
一方、第4図(ロ)に示す形状のベルトは本考案品で
あり、図において、各円弧径r1,r2,r2はr2=r1×0.5
3,r3=r1×0.53で傾斜角度θ1,θ2はθ1=70°,θ2
80°である。
なお、r1及びピッチ(Pt)は第4図(イ)におけるR1
およびピッチ(Pt)と同じである。
次に上記作成した各ベルトをφ77.8mmの固定駆動側プ
ーリと、φ60mmの従動側変速プーリとの間に掛け、雰囲
気温度80℃,スプリング力37kgで走行テストを行った。
その結果は第4図(イ)に示す形状の従来品においては
走行時間200HRでコグ谷部に亀裂が発生し、298HRでその
亀裂が抗張体まで成長したのに対し、第4図(ロ)に示
す形状の本考案ベルトにおいては220HRでコグ谷に稍亀
裂の発生が見られたが、この亀裂が抗張体まで成長した
のは362HRであり、一段と亀裂の発生の防止、亀裂の成
長の遅れに有効であることが認められた。
(考案の効果) 以上のように本考案ベルトはコグ谷部の溝側面の非対
称の直線状部分と円弧部分とにより形成し、ベルト進行
方向に対する前側面及び後側面の円弧径ならびにベルト
底面に対する前側面及び後側面の傾斜角度の間に所定の
関係式が成立するようにしたものであり、コグ谷部の溝
形状を左右非対称とすることによりベルトの圧縮,伸張
による応力の集中を緩和し、コグ谷部からの亀裂の発生
あるいは亀裂の成長を遅らせることができると共に、前
後両側面の傾斜により密閉された空気の引き離し時にお
ける騒音を抑制し、使用時における不快感をなくして静
粛かつ円滑な動力伝動を可能とする顕著な効果を有す
る。
しかも、本考案ベルトにおける溝底は径の異なる円弧
面の組み合わせにより形成されているため、従来の平坦
部に比しより一層、応力の集中が回避され、小プーリ径
など極端に屈曲される場合でもコグ谷への応力集中は大
巾に減少し、亀裂防止に一段の効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案ベルトの1例を示す部分側断面図、第2
図は第1図の要部拡大図、第3図は既知のコグ付部の例
を示す部分側断面図、第4図(イ)(ロ)は実験例にお
ける従来品及び本考案品の各ベルトコグ部の形状を示す
説明図である。 (1)……コグ付Vベルト,(2)……抗張体ロープ,
(3)……伸張部ゴム,(4)……圧縮部ゴム,(5)
……コグ山部,(6)……コグ谷部,(a)前側部,
(b)……後側部,(c)……前側円弧面,(d)……
後側円弧面,(θ1)……前側面の傾斜角,(θ2)……
後側面の傾斜角,

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベルト底部にベルト長手方向に沿って巾方
    向に延びるコグ山部とコグ谷部を交互に配したコグ付V
    ベルトにおいて、前記コグ谷部の溝内壁をVベルト進行
    方向に対し前後の直線状側面(a)(b)と、該両側面
    (a)(b)に夫々連続する互いに径の異なる前後の円
    弧面(c)(d)の連なる弧状面の溝底とによって形成
    すると共に、該溝内壁の上記直線状側面と円弧面におい
    てベルト底面に対する前記前側面(a)及び後側面
    (b)の各傾斜角をθ1,θ2、一方、前記前側円弧面
    (c)及び後側円弧面(d)の角円弧径をr1,r2とする
    とき、式 0.1<r2/r1<1.0 30°≦θ1≦85°,60°≦θ2≦90° 2°<θ2−θ1<42° が成立することを特徴とするコグ付Vベルト。
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