JP2522759B2 - 内燃エンジンの過給圧の制御方法 - Google Patents

内燃エンジンの過給圧の制御方法

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JP2522759B2 JP63121385A JP12138588A JP2522759B2 JP 2522759 B2 JP2522759 B2 JP 2522759B2 JP 63121385 A JP63121385 A JP 63121385A JP 12138588 A JP12138588 A JP 12138588A JP 2522759 B2 JP2522759 B2 JP 2522759B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、内燃エンジンの過給圧の制御方法に関し、
特に過渡状態にあるときの過給圧を適切に制御する内燃
エンジンの過給圧の制御方法に関する。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 排気ガス流をタービン駆動源とするいわゆる可変容量
型ターボチャージャその他の過給圧制御可能な過給機付
内燃エンジンにおいて、適宜のアクチュエータ(過給圧
や吸気管内負圧を作動圧としたダイアフラムを含む圧力
応動型作動系、あるいはステップモータ等を利用した作
動系など)により過給圧を制御する場合、フィードバッ
ク制御が用いられる。
これは、上記アクチュエータや過給機本体の構成部品
の製造時のバラツキ等の個体間の差、あるいは使用に伴
う耐久性の劣化等の経年変化などによって過給圧は左右
され、このため、過給圧を所望の値に制御するときに予
め設定した制御量で運転すると過給圧の大きな変化を招
く(同一の制御量を適用しても、本来ならばそれに対応
して作動すべき前記アクチュエータ等の作動制御系の調
整作動量が、既述のような個体間の差によって、また、
経年変化に起因して異なったものになる)場合もあると
ころ、過給圧のフィードバック制御を行えば、これを容
易に解消することが可能だからである。即ち、フィード
バック制御は、目標過給圧と実際の過給圧との偏差を検
出し当該偏差が零になるように偏差に応じて制御量を決
定して制御を行うものであるから、たとえ使用アクチュ
エータ等個々のバラツキがあったとしても、更には経年
変化などが生じていても、これらの影響はかかる制御に
おいて吸収され、補正されることになる。
従って、過給圧をエンジン運転状態に対応した所要目
標圧に制御する際、過給圧が当該目標圧となるように上
記偏差に基づき制御量を決定して、過給圧を目標圧に保
つように制御するフィードバック制御を行うことが望ま
しいけれども、反面、フィードバック制御は、場合によ
っては、過給圧の不所望な異常上昇などを引き起こす原
因となる。
即ち、急激に過給圧が上昇する場合などのいわゆる過
渡状態にあっては、制御系の応答遅れにより、制御量が
過給圧調整に追従できず、過給圧の異常上昇、異常下
降、ハンチング等の現象が生ずる。
特に、加速時、これに応えてエンジン出力を上げるべ
く過給圧を急に増大させる必要がある場合において、該
運転状態に応じて高く設定した目標過給圧に向かって過
給圧が上昇するときは、過給圧がその目標過給圧を超え
てオーバーシュートし、そのオーバーシュートが大きけ
れば大きいほどハンチング期間が長くなって過給圧制御
が不安定となり、また、過渡のオーバーシュートによっ
てオーバーブーストが生ずれば、ノッキングなどが発生
し、これもまた、加速時の運転性を阻害することにな
る。
そこで、本出願人は、先に上記のような過渡状態にお
けるフィードバック制御の不具合を解消するため、過渡
状態においては過給圧制御をオープンループ制御とし、
定常状態ではフィードバック制御を行うようにする過給
圧の制御方法を提案しており(特願昭61−275783号)、
これによれば、従前のものに比し、安定な過給圧制御を
行うことが可能である。
ところが、上記提案に係る制御方法のように、過渡状
態と定常状態とで各制御を使い分ける場合、次のような
点では改良の余地があり、それをも改善すれば、更に一
層安定した過給圧制御性能を得ることが期待できる。
即ち、フィードバック制御へ移行させるにあたり、そ
の判断を過給圧の状態をみてこれのみだけで行うと、即
ち、例えば過給圧上昇時、過給圧が目標過給圧より少し
小さい所定値以上となったことを検出し、該検出により
定常状態と判別してフィードバック制御を開始すると、
過給圧が上記所定値、即ちフィードバック開始圧に達し
てから目標過給圧に到るまでの間の過渡状態が存在し、
従って、運転状態によっては、過給圧の異常上昇または
ハンチングが発生する場合がある。一方、これを回避せ
んとして、目標過給圧とフィードバック開始圧を前記所
定値よりかなり近づけて設定すると、過給圧がそのフィ
ードバック開始圧まで上昇しないで定常状態となり、過
給圧制御はオープンループ制御のままとなってしまうこ
とがある。かかる場合には、オープンループ制御が維持
される結果、既述したようなフィードバック制御による
使用アクチュエータ等の個体間のバラツキ、経を行えな
い。
一方、このような過給圧の制御方法において、特にオ
ープンループ制御時に着目し、該制御時における過給圧
制御のずれを補償するために、オープンループ制御時の
過給圧の制御量を、フィードバック制御時に算出された
学習値に基づいて設定すると共に、特に吸気温が過給圧
に及ぼす影響が大きいことに着眼し、前記学習値を吸気
温に応じた領域毎に別個に算出して、即ち学習値が複数
の異なる吸気温度毎に更新されるようにして、より適切
な過給圧制御を行えるようにしたものも本出願人により
既に提案されている(特願昭61−275784号等)。
ところが、このようにオープンループ制御時の制御量
補正として、フィードバック制御時に吸気温補正学習値
を吸気温の範囲毎に分割して記憶し、これをオープンル
ープ制御時に読み出し適用する方法の場合、オープンル
ープ制御時、即ち過渡状態時に上述したような過給圧の
異常上昇やハンチングが生ずる結果、フィードバック制
御に移行した直後に前記学習値を算出すると、適正でな
い過給圧に基づいて算出されてしまい、適正な学習値が
得られないと云う不具合が生ずる。更に、前記学習値の
算出が行われるフィードバック制御領域は、過給圧の定
常状態であるが、その定常状態において吸気温に応じた
領域が同一であったとしても、過給圧の状態は必ずしも
一様ではなく、特に、吸気温並びにエンジン回転数にか
かわらず常に最適な過給圧を設定し、これによりエンジ
ンダメージの防止や出力不足の防止等を図るべく吸気温
とエンジン回転数の両者によって過給圧の目標値を設定
するような制御を行うようにした場合には、当該目標値
の変更制御に伴い、過給圧の状態も変化してしまう。こ
のため、単に吸気温補正の学習値を吸気温のみを対象と
して吸気温毎に分割し書き換え(更新)を行う場合に
は、異なった目標圧の時に学習して得た値を誤って書き
換えてしまう場合が生ずることとなる。もし、誤って書
き換えると、オープンループ制御時に適用する学習値自
体がずれる結果、オープンループ制御時において適正な
学習値によって過給圧の制御量を設定することができ
ず、このためそのときの過給圧にずれが生じ、従って過
給圧の適切な制御が行えない。
本発明は、上述のような不具合をも更に改善せんとし
たものであり、その主要な目的は、急激に過給圧が上昇
するような場合でも、過給圧の異常上昇やハンチングの
発生を防止しつつ、フィードバック制御への確実な移行
を可能ならしめ、もって、過渡状態から定常状態に到る
過給圧の一層の安定化、適正化を図ることができると共
に、フィードバック制御移行時から直ちに適正な学習値
を算出することができる内燃エンジンの過給圧の制御方
法を提供することである。
また、本発明は、吸気温とエンジン回転数とに応じて
過給圧の目標値を最適なものに設定変更する場合であっ
ても、常に適正な学習値を得ることができ、もって該学
習値を適用して過給圧制御を実行するオープンループ制
御時にあっても過給圧を適切に制御することができる内
燃エンジンの過給圧の制御方法を提供することを目的と
する。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、実
際の過給圧と目標過給圧との偏差に応じて制御量を決定
し、該制御量に基づいて前記過給圧が前記目標過給圧と
なるようにフィードバック制御を行う内燃エンジンの過
給圧の制御方法において、目標過給圧から過給圧の変化
量に応じた所定値を引いた圧力と、実際の過給圧とを比
較し、実際の過給圧が前記圧力を上回ったときから所定
時間経過後にフィードバック制御を開始するようにした
ものである。
また、請求項2記載の発明は、過給圧制御手段の制御
量を制御することにより過給圧を制御する内燃エンジン
の過給圧の制御方法において、目標過給圧を前記内燃エ
ンジンの運転状態に応じて設定し、前記制御量を、前記
過給圧が定常状態にあるときには実際の過給圧と該目標
過給圧との偏差に応じてフィードバック制御し、前記過
給圧が過渡状態にあるときには前記フィードバック制御
時に算出された学習値に基づいてオープンループ制御を
行い、前記目標過給圧から過給圧の変化量に応じた所定
値を引いた圧力と、実際の過給圧とを比較し、前記実際
の過給圧が前記圧力を上回ったときから所定時間経過後
に前記フィードバック制御を開始するようにしたもので
ある。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第1図は本発明の制御方法を適用したターボチャージ
ャを備えた内燃エンジンの制御装置の全体構成図であ
る。同図中の符号1は例えば6気筒の内燃エンジンを示
し、エンジン1の上流側には吸気管2、下流側には排気
管3が接続され、吸気管2及び排気管3の途中にターボ
チャージャ4が介装されている。
吸気管2には上流側より順にエアクリーナ5、インタ
ークーラ6及びスロットル弁7が設けられている。
吸気管2の大気側開口端のエアクリーナ5及び前記タ
ーボチャージャ4間には、これらの間における吸気管部
分の吸気圧、即ち大気圧を検出する大気圧(PA)センサ
8が取付けられており、その検出信号が電子コントロー
ルユニット(以下「ECU」という)9に供給されるよう
になっている。
スロットル弁7にはスロットル弁開度(θTH)センサ
10が連結されてスロットル弁7の弁開度を電気的信号に
変換しECU9に送るようにされている。
一方、スロットル弁7の下流には吸気管内絶対圧(P
BATC)センサ11が設けられており、このPBATCセンサ11
によって電気的信号に変換された絶対圧信号は前記ECU9
に送られる。
該PBATCセンサ11は、本実施例では、後述の如く、タ
ーボチャージャ4による過給圧制御において、前記スロ
ットル弁7のほぼ全開領域でフィードバック制御を実行
するので、ターボチャージャ4下流の吸気路における過
給圧の大きさは、スロットル弁7下流に設けられた当該
PBATCセンサ11によって得られる吸気路部分の吸気圧値
として検知可能である。従って、ECU9には、スロットル
弁全開条件下では、PBATCセンサ11から上記過給圧に関
する情報も供給される。
また、PBATCセンサ11の下流には吸気温(TA)センサ1
2が取付けられており、吸気温TAを検出して対応する電
気信号を出力してECU9に供給する。
吸気管2のエンジン1とスロットル弁7間には燃料噴
射弁13が設けられている。この燃料噴射弁13は吸気管2
の吸気弁の少し上流側に気筒毎に設けられており(2個
のみ図示)、各噴射弁13は図示しない燃料ポンプに接続
されていると共にECU9に電気的に接続されて、ECU9から
の信号によって燃料噴射の開弁時間が、即ち燃料供給量
が制御される。
エンジン回転数(Ne)センサ14は、エンジン1の図示
しないカム軸周囲又はクランク軸周囲に取付けられてEC
U9に接続されており、TDC信号、即ちエンジン1のクラ
ンク軸の180゜回転毎に所定のクランク角度位置で1パ
ルスを出力し、このパルスをECU9に供給する。
また、排気管3のターボチャージャ4より下流側には
三元触媒15が配置されている。
ターボチャージャ4は可変容量型のものであり、その
作動制御系は、ターボチャージャ4の後述する可動ベー
ン64(第3図)とリンクした駆動ロッド16を有するアク
チュエータ17及びデューティ制御される過給圧導入用電
磁制御弁18(以下単に「制御弁」という)、レギュレー
タ19を有する。
第2図はターボチャージャ4の全体構成図を示す。即
ち、ターボチャージャ4はコンプレッサ部分のスクロー
ルを形成するコンプレッサケーシング41と、該コンプレ
ッサケーシング41の背面を閉塞する背板42と、ターボチ
ャージャ4の主軸43を軸支し、その軸受を潤滑するとと
もに冷却水が循環する構造を内蔵する軸受ケーシング44
と、タービン部分のスクロールを形成するタービンケー
シング45とを有している。
コンプレッサケーシング41の内部には、それぞれ吸気
管2が接続されたスクロール通路46及び軸線方向通路47
が形成され、前者46は吸気出口をなし、後者47は吸気入
口をなしている。吸気入口部において、主軸43の一端部
にはコンプレッサホイル48が取付けられている。
軸受ケーシング44の軸受孔49,50には、ラジアル軸受
メタル51により、またスラスト軸受メタル52によって主
軸43が軸支されている。また、軸受ケーシング44には、
潤滑油導入孔53、潤滑油通路54及び潤滑油排出口55と、
ウォータージャケット56とが形成されている。
タービンケーシング45の内部には、スクロール通路57
と、接線方向に向けて開口するその入口開口57aと、軸
線方向に延在する出口通路58と、その出口開口58aとが
形成され、入口開口57a及び出口開口58aはそれぞれ排気
管3に接続されている。
上記スクロール通路57の中心部に配設されるように背
板59に固着された固定ベーン部材60の外周部には、第3
図に併せて示されるように、主軸43の他端部に設けられ
たタービンホイール61を同心的に外囲するように、複
数、例えば4つの固定ベーン62が形成されている。これ
ら固定ベーン62は、それぞれが部分弧状をなすととも
に、円周方向に沿って等幅かつ等間隔に設けられてい
る。各固定ベーン62の間には、背板59に回動自在に枢着
された回動ピン63の遊端に固着された可動ベーン64がそ
れぞれ配置されている。
これら可動ベーン64は、固定ベーン62と同等の曲率の
弧状をなし、かつ概ね同一の円周上に位置していて、第
3図に実線で示す最小開度位置と、鎖線で示す全開位置
との間で回動可能である。各固定ベーン62相互間の空隙
は、これら各可動ベーン64が同期して回動駆動されるこ
とによりそれぞれ開閉され、該各空隙の流通面積がその
回動量、即ち可動ベーン64の傾斜角度に応じて調整され
る。
各可動ベン64の同期した回動駆動は、それぞれを支持
する回動ピン63、該回動ピン63と連結したリンク機構65
(第2図)、及び該リング機構65が連結された既述の駆
動ロッド16(第1図)を介して、そのアクチュエータ17
によりなされる。駆動ロッド16と該リンク機構65とは、
駆動ロッド16が伸長方向(第1図中左方向)に作動せし
められたときに、各可動ベーン64による開度が増大し各
空隙流通面積が大となるように、また縮小方向(第1図
中右方向)に作動せしめられたときには、上記開度が減
少し各空隙流通面積が小となるように、連結されてお
り、かかる開度制御によりターボチャージャ4の容量が
調節される。
即ち、上記構成になる可変容量式のターボチャージャ
4では、エンジン1本体から排出される排気ガスが、タ
ービン側の入口通路57aからスクロール通路57に流入
し、可動ベーン64の回動量に応じた可動ベーン64及び固
定ベーン62間の空隙の流通面積に応じた流速で排気ガス
がタービンホイル61側へ流入し、タービンホイル61を回
転駆動して出口通路58から排出される。タービンホイル
61を駆動する排気ガスの流速は、上記空隙流通面積に依
存する結果、各可動ベーン64及び固定ベーン62間の空隙
の流通面積が小さくて流通が高いとタービンホイル61、
即ち主軸43の回転速度が速くなり、各可動ベーン64及び
固定ベーン61間の空隙の流通面積が大きくて流速が低い
とタービンホイル61、即ち主軸43の回転速度が遅くな
る。かかるタービンホイル61の回転に応じてコンプレッ
サホイル48が回転するため、エアクリーナ5から軸方向
通路47に導かれた空気は、コンプレッサホイル48により
その回転速度に応じて圧縮されながらスクロール通路46
を経てインタクーラ6に向けて供給され、吸気が加圧さ
れることになる。
かくして、可動ベーン64をタービンケーシング57の半
径方向最外方に位置させて固定ベーン62との間の空隙流
通面積を最小、即ち開度を最小としたときに過給圧が最
大となり、可動ベーン64をタービンケーシング57の半径
方向最内方に位置させて固定ベーン62との間の空隙流通
面積を最大、即ち開度を最大としたときに過給圧が最小
となり、可動ベーン64の開度調整により容易に高過給圧
状態を得ることができると共に、上記開度の最小と最大
との間の範囲において、広いレンジで過給圧を開度に応
じて変化させることができる。
上記過給圧制御のためターボチャージャ4の可動ベー
ン64を回動駆動するアクチュエータ17は、第1図に示す
ように、ダイアフラム17aにより画成される第1圧力室1
7bと第2圧力室17cとを有し、既述した駆動ロッド16
は、第2圧力室17c側でハウジングを貫通してダイアフ
ラム17aに連結されている。第2圧力室17bに挿着された
バネ17dは、該ダイアフラム17aを、駆動ロッド16が縮小
する方向、即ち前記可動ベーン64により開度が減少する
方向に付勢している。
第1圧力室17aには、エアクリーナ5及びターボチャ
ージャ4間の吸気路が絞り22を介して接続されると共
に、ターボチャージャ4及びインタークーラ6間の吸気
路がレギュレータ19、絞り23及び制御弁18を介して接続
されている。
制御弁18は、常閉型のオン−オフ2位置作動型電磁弁
であり、ソレノイド18aと該ソレノイド18aの励磁により
開弁する弁体18bとを有している。ソレノイド18aの付勢
により弁体18bを開成させると、前記ターボチャージャ
4及びインタークーラ6間の吸気路における過給圧がア
クチュエータ17の第1圧力室17bに導入される。この場
合は、ダイアフラム17aは駆動ロッド16を伸長させるよ
うに偏位し、駆動ロッド16及びリンク機構65を介してタ
ーボチャージャ4の可動ベーン64が内方側、即ちその開
度が大きくなる方向に回動駆動される。弁体18bを閉弁
させれば、過給圧の導入は遮断され、上記とは逆に可動
ベーン64はその開度が小さくなる方向に駆動される。
従って、上記ソレノイド18aのオン−オフ、即ち弁体1
8bの開成、閉成の1サイクルにおける弁体18bの閉時間
の比、即ち閉弁デューティ比DVG(以下、これを単に
「デューティ比」という)によって、これが100%の状
態(可動ベーン64が前述した最小開度位置にあって、最
大過給圧の状態)から、該デューティ比DVGに応じて過
給圧の大きさが制御される。
制御弁18のかかるソレノイド18aは、前記ECU9に接続
され、ECU9からの信号によって上記デューティ比DVG
制御される。
更に、ECU9には車速を検出する車速(V)センサ24が
接続されており、その検出信号が供給される。
ECU9は、各種センサから入力信号波形を整形し、電圧
レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタ
ル信号値に変換する等の機能を有する入力回路9a、中央
演算処理回路(以下「CPU」という)9b、CPU9bで実行さ
れる各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶
手段9c、及び前記燃料噴射弁13及び制御弁18に駆動信号
を供給する出力回路9d等から構成される。
CPU9bは前述の各種センサからの入力信号に基づい
て、エンジン1の運転状態を判別し、該判別された運転
状態に応じた燃費特性、加速特性等の諸特性の最適化が
図られるように、燃料噴射弁13の燃料噴射時間等を演算
し、該演算結果に基づく駆動信号を出力回路9dを介して
燃料噴射弁13に供給する。
上記燃料噴射時間の演算において、その基本燃料噴射
時間、即ち噴射弁13の基本開弁時間Tiは、PBATCセンサ1
1及びNeセンサ14の検出出力に基づく吸気管内絶対圧PBA
及びエンジン回転数Neに応じて、前述の記憶手段9cに記
憶された図示しないTiマップから算出される。
また、CPU9bは、各種センサからの入力信号に基づい
て、後述の制御プログラムに従って、エンジン運転状態
に応じた過給圧制御のオープンループ制御領域、フィー
ドバック制御領域等の設定、及びそれらの領域にあるか
否かの判別などを行なうと共に、判別した制御領域にお
いて最適な過給圧が得られるように可動ベーン64の開
度、即ち制御弁18のデューティ比DVGを演算し、該演算
値に応じて制御弁18を作動させる駆動信号を出力回路9d
を介して供給し、制御弁18更にはターボチャージャ4と
リンクされたアクチュエータ17を駆動する。
第4図は制御弁18のデューティ比DVG、即ち過給圧を
制御するプログラムのフローチャートを示す。
まず、ステップ401ではECU9に記憶されたDVGMマップ
から、スロットル弁開度θTH及びエンジン回転数Neに応
じて、デューティ比DVGの基準値DVGMを読み出す。第5
図はこのDVGMマップの一例を示し、スロットル弁開度θ
THは所定範囲内でθTHV1〜θTHV16として16段階、エン
ジン回転数Neは所定範囲内でNV1〜NV20として20段階、
それぞれ設けられており、マップの格子点以外では補間
計算により基準値DVGMが求められる。このようなマップ
によって基準値DVGMを設定することにより、制御弁18の
デューティ比DVGを、エンジン1の運転状態に応じてよ
り詳細に制御することができる。
次に、変速機のギヤ位置(以下、単に「ギヤ位置」と
いう)が第1速(1st)位置にあるか否かを判別する
(ステップ402)。この判別は、例えば第6図に示すサ
ブルーチンに従って行なわれる。即ち、車速Vが第1速
位置で通常得られる所定速度VLより小さいか否かをまず
判別し(ステップ601)、V≧VLが成立するときには第
1速位置にないと判断する(ステップ602)。一方、ス
テップ601でV<VLが成立するときには、車速Vがエン
ジン回転数Neに応じた所定値VFより小さいか否かを判別
し(ステップ603)、V≧VFが成立するときには前記ス
テップ602を実行する一方、V<VFが成立するときには
第1速位置にあると判断する(ステップ604)。
第7図は前記所定値VFを求めるためのテーブルを示
す。即ち、ギヤ位置が第1速位置にあるときには、エン
ジン回転数Neと車速Vとの比が一定となる関係にあるの
で、この関係に合致するようにエンジン回転数Neの基準
値NF1〜NF9及び車速Vの基準値VF1〜VF8を予めテーブル
として設定しておき、車速Vが実際のエンジン回転数Ne
に対応する基準値VFよりも小さいときに第1速位置にあ
ると判断するものである。このような構成により、変速
機が手動変速機である場合はもとより、自動変速機であ
る場合にもギヤ位置センサ等を用いることなく、ギヤ位
置が第1速位置にあるか否かの判別を容易に行なうこと
ができる。
第4図に戻り、前記ステップ402の答が肯定(Yes)、
即ちギヤ位置が第1速位置にあるときには、前記ステッ
プ401で求められたデューティ比DVGの基準値DVGMから所
定値DFを減算して、該基準値DVGMを再設定した後(ステ
ップ403)、否定(No)、即ちギヤ位置が第1速以外の
位置にあるときには直接、ステップ404に進む。このよ
うに、デューティ比DVGの基準値DVGMは、ギヤ位置が第
1速位置にある場合には、第1速以外の位置にある場合
よりも所定値DFだけ小さな値に設定される。
前記ステップ404ではECU9に記憶されたKVTAマップか
ら、エンジン回転数Ne及び吸気温TAに応じて吸気温補正
係数KVTAを読み出す。第8図はこのKVTAマップの一例を
示し、エンジン回転数Neは前記DVGMマップと同様にNV1
〜NV20として20段階、吸気温TAはTAV1〜TAV8として8段
階、それぞれ設けられており、このようなマップによっ
て吸気温補正係数KVTAがより適切に設定される。
該吸気温補正係数KVTAは、後述するフィードバック制
御時、オープンループ制御時において制御量としてのデ
ューティ比DVGを所定の演算によって算出するときのそ
の基準値に対する吸気温度補償のための補正値(ステッ
プ416,428)、その他として適用される。本過給圧制御
においては、トルクを目標トルク(第19図参照)とする
ように過給圧、即ち吸気管内絶対圧PBATCを制御するべ
くエンジン回転数Neと吸気温TAに応じて目標過給圧を変
える制御を採用するところ、該目標過給圧が違えば、可
動ベーン64の開度調整も異なり、従って制御弁18のデュ
ーティ比DVGも変える必要があるので、まず、基本的に
は、上述の基準値DVGM、即ちエンジン回転数Neを含むエ
ンジン運転パラメータに応じて求められたDVGM値(ステ
ップ401,403)に対し、所定の係数値(或る割合の値)
を乗算し補正することによって、必要な制御量を得るこ
ととするものである。
上記ステップ404では、このようなことから、本プロ
グラム実行毎に、当該ステップにおいて、上述の乗算補
正のための係数として、当該時点でのエンジン回転数Ne
及び吸気温TAに応じた吸気温補正係数KVTAを読み出すこ
ととしている。
なお、オープンループ制御中には、かかる基準値に関
する乗算補正については、制御量補正として、該吸気温
補正係数KVTAの他、同様にエンジン回転数Neと吸気温TA
とによって決められた領域毎に算出され、かつ逐時更新
された後記学習補正係数も適用されるが(ステップ428
参照)、その詳細については後述する。
ステップ404でのKVTA値の読み出しが行われると、次
に、吸気管内絶対圧PBATCの変化量(以下、単に「変化
量」という)ΔPBAを、今回の値PBATCnと3回前の値P
BATCn-3との差によって算出する(ステップ405)。この
変化量ΔPBAは、後述するようにデューティ比DVGを算出
するための諸定数を設定するのに適用されるものであ
り、これによって過給圧の上昇勾配が所望の値に制御さ
れる。
次いで、ステップ406では過給圧がオープンループ制
御を行なうべき状態にあるか否かを判別する。この判別
は第9図に示すサブルーチンに従って行なわれる。
まず、ステップ901ではスロットル弁開度θTHが、ほ
ぼ全開状態であることを示す所定開度θFBより大きいか
否かを判別し、この答が否定(No)、即ちθTH≦θFB
成立し、スロットル弁7がほぼ全開状態にないときに
は、オープンループ制御を行なうべきと判断して後述の
ステップ916以下に進む。即ち、フィードバック制御は
スロットル弁7がほぼ全開状態にあるときにのみ実行さ
れる。
前記ステップ901の答が肯定(Yes)、即ちスロットル
弁がほぼ全開状態にあるときには、前回ループにおいて
フィードバック(F/B)制御が行なわれたか否かを判別
し(ステップ902)、この答が肯定(Yes)のときには、
引き続きフィードバック制御を行なうべきと判断し(ス
テップ903)、本プログラムを終了する。
前記ステップ902の答が否定(No)、即ち前回におい
てオープンループ制御が行なわれているときには、ギヤ
位置が第1速位置にあるか否かを判別し(ステップ90
4)、第1速以外の位置にあるときには、ECU9に記憶さ
れたΔPBASDテーブルから、前記変化量ΔPBAに応じて第
1速以外の位置用の第1の減速値ΔPBASDを求め(ステ
ップ905)、後述のステップ907に進む。第10図はこのΔ
PBASDテーブルの一例を示し、変化量ΔPBAに対して2つ
の基準値ΔPBA1及びΔPBA2(>ΔPBA1)が設定され、Δ
PBA値が大きいほど、即ち過給圧の上昇勾配が大きいほ
ど、第1の減算値ΔPBASDがより大きくなるように、ΔP
BA1未満、ΔPBA1以上ΔPBA2未満及びΔPBA2以上に対
し、それぞれΔPBASD3〜ΔPBASD1が設定されている。
前記ステップ904の答が肯定(Yes)、即ちギヤ位置が
第1速位置にあるときには、前記第1の減算値ΔPBASD
を第1速位置用の所定値ΔPBASDFに設定し(ステップ90
6)、ステップ907に進む。該所定値ΔPBASDFは、前記ス
テップ905で求められる、第1速以外の位置用のΔPBASD
値よりも大きな値に設定されている。
次いで、ステップ907では、吸気管内絶対圧PBATC、そ
の目標値PBATRGと前記ステップ905または906で求められ
た第1の減算値ΔPBASDとの差(PBATRG−ΔPBASD)(以
下「最小開度制御解除圧」という)より大きいか否かを
判別する。上記吸気管内絶対圧の目標値PBATRGは、後述
するように、第4図の制御プログラムにおいて、エンジ
ン回転数Ne及び吸気温TAに応じて設定される(ステップ
408参照)ものであり(第20図)、更にはまた本例では
ギヤ位置に応じても設定される(ステップ410)。
このステップ907の答が否定(No)、即ち吸気管内絶
対圧PBATCが最小開度制御解除圧(PBATRG−ΔPBASD)以
下のときには、フィードバック制御に適用される後述の
比例制御項DVp、積分制御項DViをともに値0.0に設定し
(ステップ908,909)、次いでデューティ比DVGを100%
に、即ち可動ベーン64が最小開度となるように設定する
(ステップ910)。即ち、PBATC≦(PBATRG−ΔPBASD
が成立するときには、可動ベーン64の最小開度制御が実
行され(第18図のt0〜tA間)、かかる制御により、低過
給圧側における過給圧の上昇勾配を最大に制御し、所望
の圧力値近傍への過給圧の上昇を速くして過給圧制御の
応答性を高めることができる。
次に、フィードバック制御遅延用のtFBDLYタイマをリ
セットし(ステップ911)、第4図のステップ418に進
み、デューティ比DVGに基づく駆動信号を制御弁18に出
力して第4図の制御プログラムを終了する。
第9図のサブルーチンに戻り、前記ステップ907の答
が肯定(Yes)、即ち吸気管内絶対圧PBATC最小開度制御
解除圧(PBATRG−ΔPBASD)を上回ったときには、ギヤ
位置が第1速位置にあるか否かを判別し(ステップ91
2)、第1速以外の位置にあるときには、ECU9に記憶さ
れたΔPBAFBテーブルから、前記変化量ΔPBAに応じて第
1速以外の位置用の第2の減算値ΔPBAFBを求め(ステ
ップ913)、後述のステップ915に進む。第11図はこのΔ
PBAFBテーブルの一例を示し、第10図と全く同様に変化
量ΔPBAに対して基準値ΔPBA1,ΔPBA2が設定され、ΔP
BA1未満、ΔPBA1以上ΔPBA2未満及びΔPBA2以上に対
し、それぞれΔBAFB3〜ΔPBAFB1(ΔBAFB3<ΔPBAFB2
ΔPBAFB1)が設定されている。
前記ステップ912の答が肯定(Yes)、即ちギヤ位置が
第1速位置にあるときには、前記第2の減速値ΔPBAFB
を第1速位置用の所定値ΔPBAFBFに設定し(ステップ91
4)、ステップ915に進む。該所定値ΔPBAFBFは、前記ス
テップ913で求められる、第1速以外の位置用のΔP
BAFBF値よりも大きな値に設定されている。
次いで、ステップ915では、吸気管内絶対圧PBATCが、
前記目標値PBATRGと前記ステップ913または914で求めら
れた第2の減算値ΔPBAFBとの差(PBATRG−ΔPBAFB
(以下「フィードバック制御開始圧」という)より大き
いか否かを判別する(ステップ915)。この答が否定(N
o)、即ち吸気管内絶対圧PBATCがフィードバック制御開
始圧(PBATRG−ΔPBAFB)以下のときには、オープンル
ープ制御を行なうべきと判断して、ステップ916以下に
進む。即ち、(PBATRG−ΔPBASD)<PBATC≦(PBATRG
ΔPBAFB)が成立するときにはオープンループ制御が実
行される(第18図のtA〜tB間)。
このステップ916では、前記ステップ911と同様にt
FBDLYタイマをリセットし、次いでギヤ位置が第1速位
置にあるか否かを判別する(ステップ917)。この答が
否定(No)のときには、ECU9に記憶されたDTテーブルか
ら、前記変化量ΔPBAに応じて、オープンループ制御に
適用される、後述する第1速以外の位置用の減算項DT
求め(ステップ918)、後述のステップ921に進む。第12
図はこのDTテーブルの一例を示し、第10図と全く同様に
変化量ΔPBAに対して基準値ΔPBA1,ΔPBA2が設定され、
ΔPBA1未満、ΔPBA1以上ΔPBA2未満及びΔPBA2以上に対
し、それぞれDT1〜DT3(DT1<DT2<DT3)が設定されて
いる。
前記ステップ917の答が肯定(Yes)、即ちギヤ位置が
第1速位置にあるときには、ECU9に記憶されたDFTテー
ブルから、前記変化量ΔPBAに応じて、第1速位置用の
減算項DFTを求める(ステップ919)。第13図はこのDFT
テーブルの一例を示し、変化量ΔPBAに対して2つの基
準値ΔPBAF1及びΔPBAF2(>ΔPBAF1)が設定され、ΔP
BAF1未満、ΔPBAF1以上ΔPBAF2未満及びΔPBAF2以上に
対し、それぞれDFT1〜DFT3(DFT1<DFT2<DFT3)が設定
されている。
次いで、前記減算項DTを上記求められたDFT値に設定
し(ステップ920)、ステップ921ではオープンループ制
御を実行すべきと判断して本プログラムを終了する。
かくして、スロットル弁7のほぼ全開時に、まず、デ
ューティ比DVGを強制的に100%とする前述の最小開度制
御が実行され、当該制御が解除された時点で、オープン
ループ制御が実行されることになる。
オープンループ制御は、具体的には、第4図の後述す
るステップ425〜249,418におけるデューティ比DVGの算
出、リミットチェック並びに出力処理に従って実行さ
れ、該過程において、PBATC値は、第18図に示すような
状態で推移して行く。即ち、PBATC値は、時刻tAで一旦
その上昇度合を緩められるも、なお、上昇傾向を示すこ
とになる。
前記ステップ915では、かかる過程において、過給圧
の大きさ、即ち本実施例では吸気管内絶対圧PBATC値を
監視しており、前記ステップ915の答が肯定(Yes)、即
ち吸気管内絶対圧PBATCがフィードバック制御開始圧(P
BATRG−ΔPBAFB)を上回ったときには、前記ステップ91
1または916においてtFBDLYタイマがリセットされた後
(第18図の例ではステップ916でのリセット時を計測起
算点として)、所定時間tFBDLYが経過したか否かを判別
する(ステップ922)。この答が否定(No)のときには
前記ステップ917に進み、オープンループ制御を行なう
ようにする一方、肯定(Yes)のときにはフィードバッ
ク制御を行なうべきと判断し、ステップ923に進む。こ
のように、吸気管内絶対圧PBATCがフィードバック制御
開始圧(PBATRG−ΔPBAFB)を上回った時に、直ちにフ
ィードバック制御を行なうのではなく、この時から所定
時間tFBDLYが経過するまではオープンループ制御が実行
され(第18図のtB〜tC間)、経過後始めてのフィードバ
ック制御が実行される(同図のtC以降)。
以上により、吸気管内絶対圧PBATCが所定値(PBATRG
−ΔPBAFB)以上となって所定時間tFBDLY経過した後に
定常状態と判別してフィードバック制御を開始させるの
で、オープンループ制御からフィードバック制御への移
行時にも、安定した過給圧制御性能を得ることができ
る。
しかして、フィードバック制御領域へ突入すれば、前
記ステップ923,903、並びに第4図の後述するステップ4
07を経て、実際の吸気管内絶対圧PBATCと目標値PBATRG
との偏差に応じてPBATC値が目標値PBATRGとなるように
制御量を決定して過給圧制御を行うフィードバック制御
が実行されていく。
即ち、前記ステップ923では前記積分制御項DViの初期
値を次式(1)に従って算出する。
DVi=KVTA×DVGM×(KVREFij−1) …(1) ここに、KVREFijは、第4図のプログラムに従い、後
述するようにしてフィードバック制御時に算出される学
習補正係数(学習値)である。
該学習補正係数KVREFijは、前でも触れたように、吸
気温TA及びエンジン回転数Neによって決められた領域毎
にフィードバック制御中に学習制御して得られる吸気温
補正の学習値であり、上記ステップ923では、これを用
いて初期値の算出を行うので、フィードバック制御移行
時の制御弁18に対して制御量の設定が適切に行われる。
即ち、フィードバック制御領域突入時には、その積分制
御項DViの初期値を該ステップ923で設定するが、その場
合、上記(1)式の如く、そのときまでの、即ちいまま
でのフィードバック制御での学習制御による学習補正係
数KVREFijを適用して初期値を算出しているので、フィ
ードバック制御領域への移行時点での当該制御において
最初に適用する制御量も非常に近いものとすることがで
きることとなる。
次いで、前記ステップ903に進み、フィードバック制
御を行なうべきと判断して本プログラムを終了する。
第4図のプログラムに戻り、前記ステップ406に続く
ステップ407では、該ステップ406で実行された第9図の
サブルーチンによりオープンループ制御を行なうべきと
判断されたか否かを判別する。この答が否定(No)、即
ちフィードバック制御を行なうべきと判断されていると
きには、ECU9に記憶されたPBATRGマップから、エンジン
回転数Ne及び吸気温TAに応じて吸気管内絶対圧の前記目
標値PBATRG読み出す(ステップ408)。第14図はこのP
BATRGマップの一例を示し、前記KVTAマップと全く同様
に、エンジン回転数Neの基準値NV1〜NV20及び吸気温TA
の基準値TAV1〜TAV8が設定されており、該PBATRGマップ
の読み出し値をフィードバック制御時(定常状態)での
過給圧制御の目標値として適用することによりエンジン
回転数Neと吸気温TAに応じた適切な目標圧の可変制御が
なされる。
該各パラメータに応じたPBATRG値の変更については、
具体的には、低回転数、低吸気温では低目に、かつ高回
転数になるに従って大巾に過給圧がダウンする特性のも
のに設定できる。以下、吸気温TA、エンジン回転数Neの
変化に応じた目標圧の設定、変更制御に関し、吸気温度
(吸気温センサ12によって検出される温度であって、外
気温とは異なり、吸気管内に吸い込まれターボチャージ
ャ4を介し、更にインタークーラ6を通ってエンジンに
吸入される直前の吸気の温度)によらず、エンジン出力
が同一になるように目標圧を設定しフィードバック制御
を行う場合の目標トルク特性を示す第19図、及び目標ト
ルクを得る設定圧についての一特性例を示す第20図をも
参照して説明する。
本プログラムに従う制御は、高過給エンジンであって
も実用車としてスムーズな加速感が得られると共に、環
境条件の変化にも対応した最適な過給制御システムを達
成せんとするものであり、その一環として、吸気温TA
エンジン回転数Neにより過給目標圧を設定し、低吸気温
時のオーバー出力による排気温度の過上昇、エンジンダ
メージの防止や、あるいは高吸気温時の出力不足等を防
止するための制御を実行する。即ち、吸気温TAは、直接
過給圧に及ぼす影響が大きい環境要因であり、その変化
は充填効率を左右することなどから、吸気温TAが変化し
た場合、仮に吸気温TAの変動にもかかわらず同一の過給
圧特性に設定してあるとすれば、低吸気温時には過大出
力となり、逆に高吸気温のときは出力不足を招くなど
し、また、ターボチャージャ4はエンジン回転に伴う排
気によって駆動されることから、過給圧はエンジン回転
数Neによっても影響を受ける(たとえ同じ吸気温度であ
っても、回転数によって異なるものとなる)こととな
る。
より詳細に述べれば、第19図に示す如く、所定エンジ
ン回転数領域(常用回転数領域(例えば2,000rpm以上)
〜高回転数領域)で常にほぼ同じトルク(同じ馬力)を
得たい場合において、目標圧の変更制御を行わないとき
は、かかる目標トルク特性を得るのが困難である。即
ち、ターボチャージャ4は、既述したように、排気ガス
の流速に応じたタービンホイール61の回転速度に応じて
吸気を圧縮(加圧)してエンジンに送ることになるが、
この場合、例えば外気温の高い夏期と外気温の低い冬期
とでは、空気の密度が違うので、これにより得られる出
力に差が生ずる。
換言すれば、同一の体積の空気を圧縮して送り込んで
も、同じトルクは得られないのであり、吸い込む空気
が、例えば外気温が通常の状態(例えば20℃〜30℃)の
ものであれば、これを圧縮したとき、かなり高温(例え
ば80℃程度)になり(インタークーラ6があっても温度
はかように上昇する)、その場合には圧力をより大きな
値になるまで過給しなければ、目標とする所望のトルク
は得られず、逆に、外気温が上記通常値よりも低温(例
えば0℃程度)であれば、かかる外気温の空気を圧縮し
て上述と同じ目標トルクを得るようにするのには、圧力
を上記高外気温のときのものよりも所定値だけ下げる必
要があるのである。
以上の観点から、出力に差が生ずる不都合を回避し、
第19図に示すように、常にほぼ同一のエンジン出力が得
られるようにするため、吸気温TA(加圧されて実際にエ
ンジンに送り込まれるときの温度)に応じて過給される
割合を変えるように、目標となる吸気管内絶対圧を、そ
の一例を第20図に示す如き特性に設定し、これを前記P
BATRGマップにマップ化して予め記憶させておくことと
している。
該第20図における目標トルクを得るための設定圧特性
は、エンジン回転数Ne及び吸気温TA(吸気温TAについて
は、所定温度TA1,TA2,TA3の場合が例示されており、こ
れらの関係はTA1>TA2>TA3となっている)に応じた設
定圧の一般的な傾向を示しており、図示の例では、概ね
高回転数領域あるいは常用回転数領域において吸気温変
化による目標過給圧の変更量を他の回転数領域に比し大
きくなるように設定してある。即ち、特に運転性が重視
されるこれら常用、高回転領域では、吸気温変化に起因
する影響を是正すべく、低吸気温の場合ほどより目標圧
が小となるように設定される。
なお、かかる吸気温TA、エンジン回転数Neによる設定
圧特性については、適用するエンジンに応じて、例えば
第20図において、より低い回転数側では各TA1〜TA3の場
合の特性相互間で幅が狭くなるように、また高回転数側
では該幅が広くなるようにするなど第19図に示すように
必要なエンジン回転数Ne範囲内でトルク特性がほぼフラ
ットとなるよう適宜定めることが可能である。
上述のようにして、吸気温TAとエンジン回転数Neとで
フィードバック制御時、即ち定常状態での制御時の過給
圧の目標値についての変更制御のためのPBATRG値をマッ
プ化しておき、これを該制御時に読み出し適用すれば、
単に吸気温だけで目標値を補正する場合と比べても、上
記PBATRGマップによって目標値PBATRGをより一層適切に
設定することができ、エンジン回転数Neによっても目標
圧の変更制御を行え、当初設定したベストと思われる回
転数に達するトルク、即ち必要なトルク(目標トルク)
が得られるようにより適切に制御することができること
となる。
かくの如く、本過給圧制御は、吸気温変化によらずし
て、かつエンジン回転数Neにも適切に対応して、トルク
を目標トルクとするように吸気管内絶対圧PBATCを制御
するものであって、既述したように、エンジン回転数Ne
に対応したデューティ比基本量、即ち基準値DVGM(ステ
ップ401)に加えて、吸気温TAによる補正項、即ちKVTA
値(ステップ404)を持つと共に、更にエンジン回転数N
e、吸気温TAに応じたトルクに対する目標値PBATRGマッ
プが用意されており、フィードバック制御時には、前記
ステップ408において、まず該マップの検索が実行され
る。
しかして、PBATRG値が読み出されると、次に、ステッ
プ409ではギヤ位置が第1速位置にあるか否かを判別
し、第1速位置にあるときには前記ステップ408で求め
た目標値PBATRGから所定値PBATRGFを減算して(ステッ
プ410)、該目標値PBTRGを再設定した後、第1速以外の
位置にあるときには直接、ステップ411に進む。このよ
うに、目標値PBATRG、ギヤ位置が第1速位置にある場合
には、第1速以外の位置にある場合よりも、所定値P
BATRGFだけ小さな値に設定される。
このステップ411では前記ステップ408または410で設
定された目標値PBATRGと実際の吸気管内絶対圧PBATC
の偏差ΔPB(=PBATRG−PBATC)を算出し、次いで該偏
差ΔPBの絶対値|ΔPB|が所定値GBi(例えば20mmHg)以
上であるか否かを判別する(ステップ412)。この所定
値GBiはフィードバック制御時の不感帯定義圧である。
前記ステップ412の答が肯定(Yes)、即ち|ΔPB|≧G
Biが成立するときには、ECU9に記憶されたKVPテーブル
及びKViテーブルから、エンジン回転数Neに応じて、前
記比例制御項DVP及び積分制御項DViの定数KVP及びKViを
それぞれ読み出す(ステップ413)。第15図及び第16図
はこのKVPテーブル及びKViテーブルの一例をそれぞれ示
す図である。即ち、KVPテーブルにおいては、エンジン
回転数Neに対して2つの基準値NKVP1及びNKVP2(>N
KVP1)が設定され、定数KVPは、NKVP1未満、NKVP1以上N
KVP2未満及びNKVP2以上に対して、それぞれKVP1〜KVP3
(KVP1<KVP2<KVP3)に設定されているとともに、KVi
テーブルにおいては、エンジン回転数Neに対して2つの
基準値NKVi1及びNKVi2(>NKVi1)が設定され、定数KVi
は、NKVi1未満、NKVi1以上NKVi2未満及びNKVi2以上に対
して、それぞれKVi1〜KVi3(KVi3<KVi1<KVi2)に設定
されている。
次に、比例制御項DVPを、上記求められた定数KVP前記
偏差ΔPBとの積KVP・ΔPB設定し(ステップ414)、積分
制御項DViを、上記求められた定数KViと前記偏差値ΔPB
との積KVi・ΔPBと前回までに算出された積分制御項Dvi
との和(=DVi+KVi・ΔPB)に設定する(ステップ41
5)。
次いで、上記設定された比例、積分制御項DVP及びDVi
を適用し、フィードバック制御時におけるデューティ比
DVGを次式(2)に従って算出する(ステップ416)。
DVG=DVGM×KVTA+DVP+DVi …(2) 次に、該算出されたデューティ比DVGのリミットチェ
ックを行なって、該デューティ比DVGを所定範囲内の値
に保持し(ステップ417)、更に該デューティ比DVGに基
づく駆動信号を制御弁18に出力して(ステップ418)本
プログラムを終了する。
上記(2)式で算出されるDVG値は、ステップ417での
リミットチェックの範囲内のものならば、これが最終的
な出力であって、(2)式中における第1項(DVGM×K
VTA)に示すように吸気温TAによって補正された基本制
御量に対して、前記ステップ414,415で算出の修正量(D
VP+DVi)を加算したものが制御量として出力される。
かくして、実際の過給圧、即ちPBATC値と前記PBATRG
ップによる目標値TBATRGとの偏差に応じてフィードバッ
ク制御時の制御量が決定され、これに基づいて過給圧が
そのエンジン回転数Ne及び吸気温TAに応じて予め設定さ
れた目標過給圧となるように制御され(第20図)、その
結果、エンジン出力として第19図に示すように常にほぼ
同一の特性を得ることができ、エンジンダメージ、出力
不足の発生なども確実に防止することができる。
かかる制御下において、一定の条件が満たされたとき
には、下記する如く学習制御を実行する。
即ち、フィードバック制御中は、前記ステップ412実
行毎に、当該時点での目標値PBATRGに対する実際の過給
圧値である吸気管内絶対圧PBATCの差|ΔPB|が監視さ
れ、その結果、前記ステップ412の答が否定(No)、即
ち|ΔPB|<GBiが成立し、したがって目標値PBATRGと実
際の吸気管内絶対圧PBATCがほぼ一致しているときに
は、比例制御項DVPを値0.0に、積分制御項DViをその前
回値DViにそれぞれ設定する(ステップ419,420)。
次に、ギヤ位置が第1速位置にあるか否かを判別し
(ステップ421)、その答が肯定(Yes)のとき、即ちギ
ヤ位置が第1速位置にある場合には、後述のステップ42
2〜424をスキップして前記ステップ416以下へ直接進
み、答が否定(No)の場合、即ちギヤ位置が第1速以外
の位置にあるときには、係数KVRを次式(3に従って算
出する(ステップ422)。
この係数KVRは量産によるバラつきあるいは経年変化
による過給圧制御のずれを表すものである。
即ち、吸気温補正係数KVTAと基準値DVGMとを乗算して
得た値(KVTA×DVGM)は、前記(2)式での説明でも述
べた如く吸気温TAによって補正された基本制御量であっ
て、使用構成部品の製造時の個体間差、経年変化などが
ないものとした場合には、その吸気温TAでの吸気温補正
された基本制御料についての正しい値となるはずのもの
であるが、実際には、制御系の量産バラつき等は避け難
く、従って制御量はズレが生ずる(フィードバック制御
は、かかる観点から、目標過給圧と実際の過給圧との偏
差を逐次検出し当該偏差が零になるように偏差に応じて
(具体的には、前記ステップ416において既述した修正
項を加算補正して)制御量を決定し制御を行うものであ
る)ことがあるところ、前記(3)式中の積分制御項DV
i、即ちステップ420で設定された前回値DViが、かかる
ずれを反映しているので、当該ずれ分を上記KVR値とし
て、即ち(KVTA+DVGM)値とDVi値との加算値を該(K
VTA+DVGM)値で除して得た値として演算、算出するこ
ととしている。
次いで、かく計算したKVR値につき、所定の重み付け
処理を施し、かつ、エンジン回転数Ne、吸気温TA領域分
割方式による吸気温補正の学習値の書き換え制御を実行
する。
即ち、次に、上記係数KVRを用いて学習補正係数KVREF
ijを次式(4)に従って算出する。(ステップ423)。
ここに右辺第2項のKVREFij値は、前回までに得られ
た学習補正係数であり、エンジン回転数Ne及び吸気温TA
に応じて、後述するKVREFマップから読み出される。ま
た、Aは定数、CVREFは1〜Aのうち実験的に適当な値
に設定される変数である。
変数CVREFの値によってKVREFijに対するKVR値の割合
が変化するので、このCVREF値を、対象とされる過給圧
制御装置、エンジン等の使用に応じて前記1〜Aの範囲
で適当な値に設定することにより、最適なKVREFijを得
ることができる。
次いで、上記算出された学習補正係数KVREFijを、ECU
9内のバックアップRAM(イグニッションスイッチをオフ
にしても記憶を保持するためのメモリであり、かかるバ
ックアップメモリとしては、例えば不揮発性メモリその
他適宜のものであってよい)に設けられたKVREFマップ
に記憶し(ステップ424)、前記ステップ416以下を実行
して本プログラムを終了する。第17図はこのKVREFマッ
プの一例を示す。即ちKVREFマップは前記KVTAマップ
(第8図)及びPBATRGマップ(第14図)と同様にエンジ
ン回転数Ne及び吸気温TAによって複数の領域に区分さ
れ、Ne値及びTA値が該当する領域毎にKVREFij値の算出
及び記憶が行なわれる。
上述のように、フィードバック制御中に学習制御を行
い、その学習値をオープンループ制御時の制御量補正と
して使用する場合において、単に吸気温補正学習値を吸
気温の範囲毎に分割して持つのではなく、吸気温TAの他
にエンジン回転数Neをもファクターとして使用し、吸気
温TAとエンジン回転数Neによって決められた領域毎に学
習制御による吸気温補正値の計算を行い、各々の値を求
めて、各々の領域のKVREF値を書き換えて記憶する(ス
テップ422,423)。即ち、KVREF値の更新にあたっては、
前記ステップ422実行毎に、今回ループ実行時点でのエ
ンジン回転数Ne値及び吸気温TA値が含まれる領域につい
てのKVREFij値の書き換えが逐次行われていくこととな
る。
ステープ422,423で使用されるKVREFマップは、前述の
KVTAマップ、PBATRGマップと同じようにファクターとし
てNe値、TA値を用いるが、より具体的にいえば、Ne値及
びTA値によって画成される領域を一単位とし、かかる領
域を対象にKVREFij値の算出及び記憶、即ち更新が行わ
れるのが望ましい。
これは、次のような観点からである。
KVTAマップ、PBATRGマップの場合には、既述したDVGM
マップの場合と同様に、吸気温TA及びエンジン回転数Ne
がマップ格子点以外の値のときは、補間計算(4点内挿
法)により対応するKVTAij値、PBATRGij値を求めるが、
KVREFマップの場合は、領域単位で、即ち或る吸気温度
値から或る温度値の間、並びに或るエンジン回転数値か
ら或る回転数値の間に対して学習を行う。具体的には、
第17図に示すように、吸気温TAがTAV1〜TAVj〜TAV8によ
って分割されると共にエンジン回転数NeがNV1〜NVi〜N
V20によって分割されている場合において、前記ステッ
プ422実行時点でのTA値及びNe値が例えばTAVj(j=1,
〜,8)近傍の値となっていて、かつNVi(i=1,〜,20)
近傍の値となっているならば、即ち丁度かかる運転状態
にあれば、該当する領域だけについて学習値(本例の場
合はKVREFij)の書き換えを実行する。
このようにして、領域単位で学習を行い、かつ該当す
る領域のみ領域単位で書き換えを実行すれば、TA値、Ne
値が上述の基準値以外の隣接する基準値の中間の値をと
ったときでも、KVTAマップ、PBATRGマップのように4点
にバラして計算しないで済み、学習制御並びにその学習
値の書き換え制御において、処理時間を少なくすること
ができるのである(仮に、かかる領域を一単位とする構
成を採らずに、PBATRGマップ等と同じように、4点内挿
法によって一つの目標値等に対して演算し一の値を求め
るような方法を適用するときは、学習後にその値を元に
戻さなければならず、従って中間値の場合には、逆に4
点にバラして計算し直さなければならないこととなり、
処理時間もそれだけ余分に必要となる)。
そこで、前述のように学習制御時には、領域を対象と
して、かつ吸気温TA及びエンジン回転数の両者で学習制
御を行い、該当する領域毎に学習補正係数の書き換えを
実行することとしている。
かくして、上記書き換え処理が行われれば、該書き換
えられたKVREFij値は、対応する吸気温TA及びエンジン
回転数Neに対する制御量の夫々のずれの修正量としての
適当な値のものとなるので、既述した如く、吸気温TA
より最適な過給圧を設定してエンジンダメージや出力不
足等を防止するべく吸気温TAとエンジン回転数Neとで過
給圧の目標値を設定する(ステップ408等)ような過給
圧制御方法を採った場合でも、異なった目標圧のときに
学習した値を誤って書き換えてしまうような事態を避け
ることもできるのであり、オープンループ制御時におい
て、KVREFijマップからその時点でのNe値及びTA値に応
じてKVREFij値を読み出し、これを適用すれば、オープ
ンループ制御状態のときに制御量がより正しい値となる
ように制御量を修正することができる結果、単に学習値
の更新にあたり吸気温補正の学習値を吸気温毎に分割し
て書き換えを行う場合よりも、適正な学習値が得られ、
オープンループ制御時の過給圧を精度よく設定すること
ができる。
即ち、第4図の前記ステップ406から前記判別ステッ
プ407へと進んだ場合、前記ステップ407の答が肯定(Ye
s)、即ち第9図のサブルーチンによってオープンルー
プ制御を行なうべきと判断されているときには、前記K
VREFマップからエンジン回転数Ne及び吸気温TAに応じ
て、学習補正係数KVREFijを読み出し(ステップ425)、
次いで比例制御項DVP及び積分制御項DViをともに値0.0
に設定する(ステップ426,427)。
次に、オープンループ制御時におけるデューティ比D
VGを次式(5)に従って算出する(ステップ428)。
DVG=KVTA×KVREFij×(DVGM−DT) …(5) ここに、DTは第9図のサブルーチンのステップ918ま
たは920で設定された減算項である。
次に、上記算出されたデューティ比DVGのリミットチ
ェックを行ない、例えば該DVG値を0%以上100%以下の
値に保持し(ステップ429)、前記ステップ418を実行し
て本プログラムを終了する。
以上のように学習補正係数KVREFijは、フィードバッ
ク制御時においてエンジン回転数Ne及び吸気温TAが該当
する領域毎に算出及び記憶されると共に、オープンルー
プ制御時においてTA及びNe値が該当する領域毎にデュー
ティ比DVGの算出に適用されることとなる。従って、フ
ィードバック制御時に学習制御を行い、その学習値をオ
ープンループ制御時における制御量補正に使用する場
合、過給圧に大きな影響を与えるこれら吸気温TA、エン
ジン回転数Neに応じて前述した過給圧制御のずれを的確
に補正でき、オープンループ制御時における過給圧制御
を適切に行うことができる。
なお、本実施例では、過給圧の検出については、スロ
ットル弁下流の吸気管内絶対圧PBATCセンサによってこ
れを行うようにしたが、スロットル弁上流でターボチャ
ージャより下流の吸気路部分に専用の過給圧検出センサ
を設けて、これにより過給圧の検出を行うようにしても
良い。
更に、本実施例では、過給圧制御可能な過給機とし
て、可動ベーンを作動させて容量を変化させるようにし
たターボチャージャを例にとって説明したが、これに限
定されるものではなく、ウェストゲート式、過給圧リル
ーフ方式のターボチャージャにも適用可能であり、更に
はまた、エンジンの出力動力により駆動されるいわゆる
スーパチャージャにおける過給圧の制御に適用すること
も妨げない。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、実際の過給圧
と目標過給圧との偏差に応じて制御量を決定し、該制御
量に基づいて前記過給圧が前記目標過給圧となるように
フィードバック制御を行う内燃エンジンの過給圧の制御
方法において、目標過給圧から過給圧の変化量に応じた
所定値を引いた圧力と、実際の過給圧とを比較し、前記
実際の過給圧が前記圧力を上回ったときから所定時間経
過後にフィードバック制御を開始するようにしたので、
過給圧の変化量によりフィードバックの移行が制御さ
れ、ハンチングすることなく移行をスムーズに行うこと
ができる。
また、前記目標過給圧を前記内燃エンジンのエンジン
状態に応じて設定し、前記制御量を、前記過給圧が定常
状態にあるときには実際の過給圧と該目標過給圧との偏
差に応じてフィードバック制御し、前記過給圧が過渡状
態にあるときには前記フィードバック制御時に算出され
た学習値に基づいてオープンループ制御を行い、前記目
標過給圧から過給圧の変化量に応じた所定値を引いた圧
力と、実際の過給圧とを比較し、前記実際の過給圧が前
記圧力を上回ったときから所定時間経過後に前記フィー
ドバック制御を開始するようにしたので、安定した状態
でフィードバック状態に入ることができ、その結果、フ
ィードバック状態に移行した後すぐに学習を行うことが
できる。
さらに、前記目標過給圧を、吸気温とエンジン回転数
に応じて設定し、前記学習値を、前記フィードバック時
に前記吸気温及びエンジン回転数によって定められる複
数の領域毎に定められる複数の領域毎に学習して得られ
る値に更新されるようにしたので、吸気温及びエンジン
回転数に応じて過給圧の目標値が変更される場合でも、
フィードバック中の学習制御において常に吸気温及びエ
ンジン回転数に対応して適正な学習値を得ることができ
る。したがって、異なった目標過給圧のときに学習して
得た値がオープンループ制御時に適用されるのを未然に
防止することができ、その結果、オープンループ制御時
においても制御量を精度よく設定し得、単に学習値を吸
気温毎に分割して得る場合に比較して過給圧制御をより
適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示し、第1図は本発明の制御
方法を適用したターボチャージャを備えた内燃エンジン
の制御装置の全体構成図、第2図はターボチャージャの
縦断面図、第3図は第2図のIII−IIIからタービンケー
シング側を見た矢視図、第4図は制御弁のデューティ比
DVGを算出するプログラムのフローチャート、第5図は
デューティ比DVG基準値DVGMのマップを示す図、第6図
は変速機のギヤ位置を判別するサブルーチンのフローチ
ャート、第7図は第6図のサブルーチンに適用されるVF
テーブルを示す図、第8図は吸気温補正係数KVTAのマッ
プを示す図、第9図は第4図のステップ406で実行され
る、オープンループ制御領域の判別サブルーチンのフロ
ーチャート、第10図は第1速以外の位置用の第1の減算
値ΔPBASDのテーブルを示す図、第11図は第1速以外の
位置用の第2の減算値ΔPBAFBのテーブルを示す図、第1
2図は第1速以外の位置用の減算項DTのテーブルを示す
図、第13図は第1速位置用の減算項DFTのテーブルを示
す図、第14図は過給圧の目標値PBATRGのマップを示す
図、第15図は比例制御項DVPの定数KVPのテーブルを示す
図、第16図は積分制御項DViの定数KViのテーブルを示す
図、第17図は学習補正係数KVREFのマップを示す図、第1
8図は吸気管内絶対圧PBATCと過給圧制御との関係を示す
図、第19図は本発明の説明に供する目標トルク特性の一
例を示す図、第20図は同じく目標トルクを得るための設
定圧特性の一例を示す図である。 1……内燃エンジン、4……ターボチャージャ、9……
電子コントロールユニット、11……吸気管内絶対圧(P
BATC)センサ、12……吸気温(TA)センサ、14……エン
ジン回転数(Ne)センサ、17……アクチュエータ、18…
…電磁制御弁(過給圧制御手段)、PBATC…吸気管内絶
対圧(過給圧)、DVG……デューティ比(制御量)、P
BATRG……吸気管内絶対圧PBATCの目標値(目標過給
圧)、KVREFij……学習補正係数(学習値)。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実際の過給圧と目標過給圧との偏差に応じ
    て制御量を決定し、該制御量に基づいて前記過給圧が前
    記目標過給圧となるようにフィードバック制御を行う内
    燃エンジンの過給圧の制御方法において、目標過給圧か
    ら過給圧の変化量に応じた所定値を引いた圧力と、実際
    の過給圧とを比較し、前記実際の過給圧が前記圧力を上
    回ったときから所定時間経過後にフィードバック制御を
    開始することを特徴とする内燃エンジンの過給圧の制御
    方法。
  2. 【請求項2】過給圧の制御手段の制御量を制御すること
    により過給圧を制御する内燃エンジンの過給圧の制御方
    法において、目標過給圧を前記内燃エンジンの運転状態
    に応じて設定し、前記制御量を、前記過給圧が定常状態
    にあるときには実際の過給圧と該目標過給圧との偏差に
    応じてフィードバック制御し、前記過給圧が過渡状態に
    あるときには前記フィードバック制御時に算出された学
    習値に基づいてオープンループ制御を行い、前記目標過
    給圧から過給圧の変化量に応じた所定値を引いた圧力
    と、実際の過給圧とを比較し、前記実際の過給圧が前記
    圧力を上回ったときから所定時間経過後に前記フィード
    バック制御を開始することを特徴とする内燃エンジンの
    過給圧の制御方法。
  3. 【請求項3】前記エンジンの運転状態は、吸気温とエン
    ジン回転数である請求項2記載の内燃エンジンの過給圧
    の制御方法。
  4. 【請求項4】前記学習値は、前記フィードバック制御時
    に前記吸気温及びエンジン回転数によって定められる複
    数の領域毎に学習して得られる値に更新されることを特
    徴とする請求項3記載の内燃エンジンの過給圧の制御方
    法。
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