JP2522735B2 - 六角紙筒集合体の列状分離装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はビート、玉ねぎなどの
育苗、移植に使用されている紙筒集合体苗移植方式に関
するもので、更に詳しくは集合紙筒苗より列状に分離す
る装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ビート、玉ねぎなどの育苗、
移植に使用されている紙筒集合体は、六角紙筒の多数を
縦横整然と正確に配列して集合体としてあり、移植機で
移植する場合は先ず一列づつに分離し、次いで一個一個
の紙筒苗に分離して、植付装置に供給して本圃に定植す
るものである。従来一列づつの分離は、実公昭４９ー１
０７４６号に示すような、所定間隔に平行して所定数の
分離針を設けてある苗分離器を使用し、当て板を紙筒集
合体の前面にあてがい、人手により当て板上方の分離針
を回転させ最前列の紙筒集合体列に突入させて分離する
人力分離が用いられているものである。

【０００３】叉この分離針による人力分離を機械的に行
なう開示が、特開昭６２ー１１００９号に示されている
が、分離針の配列は同じで紙筒集合体への突き刺しを、
人手から機械に変えたものである。そしてこれら分離針
の配列は、その先端を平行な直線列として各分離針間隔
を紙筒間隔に合わせてあると共に、その分離針が対応す
る紙筒集合体の側面は、各紙筒共解放面を２側面とする
平行並列面としているものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の紙
筒集合体を分離針により列状に分離する場合は、分離針
が各紙筒に突き刺さるため、紙筒内の移植苗を傷つける
ことがある。叉紙筒集合体を分離針により紙筒列に分離
する際は、分離針が直線状に平行して設けられているた
め、紙筒集合体の各紙筒の２側面を開放した平行並列面
に対応して、順次一列づつ分離するが、紙筒集合体は耐
腐性の紙叉は紙のような薄膜にて形成された紙筒を圧偏
し、この紙筒圧偏体をその巾の１／３づつ所定数重ね合
わせて水溶性糊で貼着し紙筒列となし、次いでこの紙筒
列を所定段数水溶性糊にて重ね合わせて貼着して紙筒集
合体となしたもので、通常ビート、玉ねぎなどに使用の
ものは、一辺９．５ｍｍの六角で高さ１３ｃｍの紙筒を
１列２０紙筒とし、これを７０段積層してあり、これを
展開すると、その展開方向の前後方向側面は六角筒体の
３側面を開放側面とした紙筒と、１側面を開放側面とし
た紙筒が交互に現われる凹凸状側面となり、展開方向と
直角方向の左右側面は各紙筒共六角紙筒の２側面を開放
面として平行並列した側面となるが、この左右側面は７
０段積層してあるので１２０ｃｍの長さを有している。
このため直線状に平行して設けてある分離針の使用に際
しては、紙筒集合体の左右側面と対応させて紙筒列に分
離するが、紙筒集合体が長いため１／３に分割している
ものである。即ち分離針列を長くし、紙筒集合体左右側
面と対応させると、移植機進行方向に対し直角方向に回
動する搬送コンベヤに紙筒列を載置し、コンベヤ先端で
個々の紙筒苗に分離し植え付け装置に供給するので、余
り長い紙筒列は多畦化のための搬送コンベヤの複数並列
設置による多畦化を不可能にし、叉人力での分離作業も
不可能にする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明者は上記問題点
を解決し、六角紙筒集合体から紙筒列を１列づつ分離し
ながら、多畦化、自動化に対応できる新規な列状分離方
式について鋭意研究を行なった結果、移植機に搭載する
紙筒集合体を、移植機進行方向と同一方向に、その紙筒
集合体展開方向前後方向側面の凹凸状面が位置するよう
に載置して、その前面の凹凸形状の各紙筒に対応させて
吸引ノズルを配設し、該吸引ノズル群を紙筒集合体前側
面に当接して各紙筒を吸着後、下方あるいは後方に移動
すると、極めて簡単に前面側凹凸状とした１列紙筒列が
分離できたものである。

【０００６】即ちこの発明者は紙筒集合体の製造が、図
１、図２及び図３に示すように、耐腐性紙にて形成した
紙筒１の圧偏体を、その巾の１／３づつ重ね合わせ貼着
して紙筒列２とする水溶性接着剤３は六角筒の一側辺を
形成させるため圧偏体紙筒１の１／３巾全体に塗布され
ているのに対し、この紙筒列２を積層して紙筒集合体４
とする水溶性接着剤５は紙筒列２の巾に適当間隔で複数
本、線状に塗布されているので、紙筒集合体４の左右方
向引っ張り分離より、前後方向への引っ張り分離が弱く
なっているもので、開放３側面としているＡ1-1、Ａ1-
2、Ａ1-3・・・の最前列凸部列紙筒１に吸引ノズルに当
接させて分離させると、Ａ2-1、Ａ2-2、Ａ2-3・・・の
凹部列紙筒１を一部分離し、次回最前列凸部となる紙筒
列２を乱すことになる。

【０００７】しかるに凹凸にて最前列１列を形成するＡ
1-1〜Ａ1-n、Ａ2-1〜Ａ2-nのＡ列を一斉に吸引ノズルを
当接して分離すると、紙筒列２間を貼着した水溶性接着
剤５の貼着力が弱いので、灌水による接着剤３、５の流
出があっても移植時の剥離強度には塗布量の差がでてい
るもので容易に凹凸状紙筒列２の分離賀できるものであ
る。紙筒列２に塗布する線状の水溶性接着剤５の本数は
２本以上で紙筒１の大きさにより異なっているが、通常
は５ｍｍ〜１０ｍｍ程度の巾で３〜５本が塗布される。
吸引ノズルによる最前列紙筒列２の分離に際しては、２
列目叉は２列目以降について、その上面を軽く押さえて
おくことにより、分離をより確実にすることができ、叉
吸引ノズルは各紙筒１に対し上部、下部及び必要に応じ
中位部に対応して設けて、上方叉は下方から順次分離す
るようにするが、紙筒１の大きさにより吸引ノズル数は
適宜選択することができる。

【０００８】分離に要する吸引力は紙筒１が育苗土を充
填した重量を吸引ノズルが吸着して紙筒集合体４より分
離し、吸着状態を維持して搬送できる真空度が必要で、
前記したビート用の１辺９．５ｍｍ６角、長さ１３ｃｍ
の６角紙筒に通常使用の火山灰土壌を主体とした育苗土
を充填した場合、平均３５〜４０ｇであるので、これを
吸着して分離、移送する吸着ノズルに使用する吸引力は
１．５ｋｇ〜２．０ｋｇ程度となるもので、その他使用
する紙筒、植物によりそれぞれ選択するものとなる。

【０００９】

【作用】この発明は紙筒１圧偏体をその巾の１／３づつ
重ね合わせて紙筒列２とする貼着接着剤３と、紙筒列２
を積層して紙筒集合体４とする積層接着剤５の貼着方式
が異なることより、貼着強度が異なる点を利用し、六角
紙筒集合体４の展開方向前側となる凹凸側面に対応し、
凹凸を形成する各紙筒１に合わせて吸引ノズルを設けて
当接させたので、紙筒列２を形成した各紙筒１に吸着ノ
ズルが当接することになり、貼着強度が強く連接された
紙筒列２を一斉に、貼着強度の弱い紙筒集合体４を構成
した紙筒列２積層貼着糊部より剥離して分離するものと
しているものである。叉紙筒列２の分離を吸着ノズルに
よる各紙筒１側面への当接による真空圧の吸着によるも
のとしているので、紙筒１側面あるいは移植植物への物
理的損傷を与えることがなく分離、移送を行い、移送後
の搬送ベルト上への載置も、吸引を止めることで簡単に
吸着ノズルから外れ、搬送ベルト上に載置されるものと
なるものである。。

【００１０】

【実施例】以下この発明の実施例を図面により説明す
る。移植機（図示せず）上に、移植機進行方向に回動す
るよう配設された広巾の紙筒集合体４移送コンベヤ６に
所定日数育苗した紙筒集合体４を、その展開方向をコン
ベヤ６回動方向と同じとする如く載置し、前面に六角紙
筒１の３側面を開放した紙筒１と１側面を開放した紙筒
１が交互にある凹凸状紙筒列２が繰り出されるものとし
ている。移送コンベヤ６の前端に対応して紙筒集合体４
の前面形状及び紙筒列２の紙筒１数に対応し、かつ各紙
筒１に対し、上部及び下部にエアノズル７ａ、７ｂを配
設する。この各紙筒１に対応するエアノズル７ａ、７ｂ
は紙筒集合体４前側面の凹凸形状に合わせた支持板８に
それぞれ取り付けられ、更にこれらエアノズル７ａ、７
ｂ群を支える第２支持板９に固定されている。第２支持
板９は後方に対応して設けてある第３支持板１０との間
にエアシリンダー１１ａ、１１ｂが取り付けてあり、エ
アシリンダー１１ａ、１１ｂの往復運動によりエアノズ
ル７ａ、７ｂの前後進を行なう。更にこの第３支持板１
０はロッド１２を介し移植機機枠１３に取り付けられる
が、移植機機枠１３との取付部はヒンジ部１４となし上
下揺動可能としている。移送コンベヤ４の先端下方には
紙筒列２搬送コンベヤ１５が移送コンベヤ４の回動方向
とは直角方向に回動するよう設けてあり、紙筒集合体４
最前列の紙筒列２をエアノズル７ａ、７ｂが吸着して分
離すると、第３支持板１０のロッド１２がヒンジ部１４
より下方に回動して搬送コンベヤ１５上まで紙筒列２を
吸着したままのエアノズル７ａ、７ｂを回動するもので
ある。搬送コンベヤ１５は紙筒列２を順次搬送し、その
先端で個々の紙筒１に分離して（図示せず）植え付け装
置（図示せず）に供給するものである。

【００１１】この発明は上記のような構成によるもので
あって、その作動を説明すると、移送コンベヤ６上を順
次移送される六角紙筒集合体４は、その展開方向である
凹凸状面を前側面として移送コンベヤ６前端部におい
て、紙筒集合体４最前紙筒列２は、その凹凸状に合わせ
て各紙筒１と対応するエアノズル７ａ、７ｂが移植機機
枠１４に支持されたロッド１２を介し第２支持板９と第
１支持板８に取り付けてあるエアシリンダー１１ａ、１
１ｂが伸長して当接し、バキュームポンプ（図示せず）
の作動により各紙筒１をエアノズル７ａ、７ｂが吸着す
る。次いで上部エアシリンダー１１ａを収縮させて紙筒
列２上面よりＶ字状に列状剥離させ、次ぎに下部エアシ
リンダー１１ｂを収縮させ分離を完了する。こり時紙筒
列２を積層した接着剤５は、紙筒列２内間を貼着した接
着剤３の貼着力と、その貼着方式の差により、次列凹凸
列より個々の紙筒１を剥離することは全くないものであ
る。列状分離を完了したエアノズル７ａ、７ｂに吸着さ
れた紙筒列２は、ロッド１２のヒンジ部１４の揺動によ
り下方に回動し、方向を転換し搬送コンベヤ１５上にて
エアノズル７ａ、７ｂへのバキュームポンプのバルブ
（図示せず）の切り替えにより吸引を解かれ、搬送コン
ベヤ１５上に載置される。この動作を植え付け装置への
供給速度のタイミングに合わせ繰り返し行なうものであ
る。叉紙筒列２より個々の紙筒１への分離は、搬送コン
ベヤ１５の端部で公知の一対のローラにより個々の紙筒
１苗に分離し、植え付け部に供給される。植え付けは従
来より用いられている円盤式、ホルダー式、落下式等何
れの機構も適用でき、目的に応じ適宜選択すればよいも
のである。

【００１２】

【発明の効果】この発明は、移植機上に移植機進行方向
と同方向に回動する紙筒集合体４移送コンベヤ６を配
し、その上に載置している六角紙筒集合体４を、その展
開方向前後側面の開放３側面とした紙筒１と、開放１側
面とした紙筒１とが交互に凹凸状に並列する凹凸側面列
を直接１列として分離するので、展開方向への１単位長
さが長大となっている紙筒集合体４に合わせて移送コン
ベヤ６を移植機上に多数並列して、１単位の長大な長さ
の紙筒集合体４を分割することなく移植可能としている
ものである。叉紙筒列２の分離を、紙筒１側面へのエア
ノズル７を当接して吸着し、紙筒集合体４より分離する
ので、移植植物へのダメージをなくし移植後の苗の生育
への悪影響をなくしているものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に使用する六角紙筒集合体の紙筒列の
断面図。

【図２】図１の平面図。

【図３】六角紙筒集合体の展開平面図。

【図４】この発明で使用する紙筒列分離装置の平面図。

【図５】図４の側面図。

【符号の説明】

１ 紙筒 ２ 紙筒列 ３ 紙筒列内水溶性接着剤 ４ 紙筒集合体 ５ 積層水溶性接着剤 ６ 移送コンベヤ ７ エアノズル ９ 第２支持板 １０ 第３支持板 １１ エアシリンダー １２ ロッド １５ 搬送コンベヤ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐腐性の薄膜にてなる六角紙筒を所定本
   数縦横整然と水溶性接着剤にて貼着して紙筒集合体とな
   し土詰播種して育苗した集合体苗を列状に分離する装置
   が、移植機進行方向と同一方向に回動する紙筒集合体移
   送コンベヤと、紙筒集合体移送コンベヤに対向し、該コ
   ンベヤの紙筒集合体の展開方向前側凹凸形状に対応させ
   た吸引ノズルとを備える共に、前記吸引ノズル群は紙筒
   集合体前側凹凸面に当接し各紙筒を吸着した後、下方あ
   るいは後方に移動可能としたことを特徴とする六角紙筒
   集合体の列状分離装置。