JP2520679B2 - 音振動式フロ―センサの調整方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、配管内の粉粒体が流動する際に発生する音
振動を受信して、流動が行われているか否かを検出する
ための、フローセンサにおける調整方法に関するもので
ある。

〔従来技術とその問題点〕

従来、音振動式のフローセンサの信号処理は、第２図
にブロックダイヤフラムで示されたように、センサ１′
からの信号を増幅器２′により増幅し、バンドパスフィ
ルタ３′により一番大きな電圧と思われる周波数帯域を
探して調整する方法が採られている。この方法では感度
調整と周波数調整を同時に行わなければならず、一回の
調整では適正な結果が得られないという欠点がある。周
波数調整については電圧表示等の比較になるものがない
ため、帯域の設定がむずかしく完全な調整は不可能であ
り、また、たとえ電圧表示があったとしても、周波数に
対する電圧差が少ない場合には調整がむずかしくなる。
このように不完全なままでの周波数調整を行った場合、
ノイズによる誤動作が起こることになる。また、ノイズ
と信号の差があまりないところでは、感度調整だけでは
調整がむずかしく、使用できないという欠点がある。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、従来のように感度調整と周波数調整
を同時に行うという複雑な操作方法ではなく、簡単な操
作でワンタッチ調整により、明確で完全な調整の行える
フローセンサを提供することにある。

〔発明の構成〕

本発明に係る音振動式フローセンサの調整方法におい
ては、センサで受信した音信号を圧電素子により電気信
号に変換し、この電気信号を増幅器により増幅して周波
数帯域の異なる複数のフィルタにより複数個の帯域に分
離し、分離された各信号を積分回路により直流信号に変
換し、オフセット調整器により粉粒体非流通時における
ノイズ分を各帯域ごとにゼロ調整すると共にゲイン調整
器により粉粒体流通時における上記非流通時のノイズ分
よりも大きな信号分のみを各帯域ごとに増幅し、各信号
分の大きさを夫々別のバーグラフにより表示し、これら
バーグラフの表示に基づきノイズ分と信号分の差の大き
い帯域を選択することにより調整操作を行うのである。

〔実施例〕

本発明の実施例を第１図に示されたブロックダイヤフ
ラムに従い説明する。

配管内に粉粒体が流動する際に、いろいろな周波数成
分を持った音振動が発生する。この音振動をセンサ１で
受信して先ず圧電素子により電気信号に変換される。こ
の電気信号は変換器の増幅器２により増幅され、さらに
周波数帯域の異なるフィルター3a,3bにより高域周波数
帯域と低域周波数帯域とに分離される。粉粒体の流動に
より発生する音振動の周波数成分は、粉粒体の性状や周
囲環境等の相乗により多少の変化はあるものの、大別す
れば12kHz付近を境に低周波帯か、高周波帯のいずれか
に偏って分布している傾向がある。この周波数分布特性
を利用して第１図の実施例では、低周波側と高周波側に
信号を分離するための２つのフィルター3a,3bを用い、
３〜12kHzの低周波側を3aとし、12〜22kHzの高周波側を
3bとすることによって検出の安定を図っている。

しかし更に高い周波数が発生する場合を想定し、また
更に細かい帯域で分離する必要の生じることを予想し
て、三つ以上の帯域フィルターを用いることも、本発明
の範疇に属することは勿論である。

このようにして分離された各信号は、積分回路4a,4b
により直流信号に変換される。積分時間は0.3〜１秒程
度とするが、単発的なノイズの大きいところでは積分時
間を長くする必要がある。次いで、オフセット調整器5
a,5bによりノイズ分は各帯域ごとに夫々ゼロに調整さ
れ、ゲイン調整器6a,6bにより各帯域における信号分の
みが夫々同じ増幅率で増幅される。オフセット調整器5
a,5bは、粉粒体が流れていないときのセンサ１からの信
号分（ノイズ分：周囲の機器などの運転中に発生する音
や振動）をゼロ点に調整し、このノイズ分をキャンセル
する機能を有している。また、ゲイン調整器6a,6bは、
粉粒体が流れているときに信号分だけの増幅を調整する
ことにより、信号分を所定の電圧に調整する機能を有し
ている。例えば、0.1Vのノイズ分と、0.12V分の信号分
があった場合、通常感度調整だけでは増幅率を10倍とし
て、1Vと1.2Vで0.2Vの差しか生じない。しかしこの1Vを
オフセット調整器により0Vと仮定し、1.2Vの1Vをこえた
分0.2Vをゲイン調整器により10倍とすると2Vとなり、実
際は0.2Vしかない差を2Vまで広げることが可能となる。

増幅された信号分は、表示部のバーグラフ7a,7bで表
示される。このようにしてオフセット調整時の仮想ゼロ
ポジションが表示されることになり、ゲイン調整器の増
幅率の目安にもなる。この表示部のバーグラフ7a,7b
は、リレー出力部９と連結されており、バーグラフのLE
Dがある個数以上点灯するとリレーが作動するようにな
っている。従って、バーグラフのLEDの点灯個数を見な
がら調整を進めることになる。

そしてこれらバーグラフ7a,7bの表示に基づき、ノイ
ズ分が小さく信号分の大きい方の帯域を、周波数帯域選
択スイッチ8a,8bのどちらかで選択することにより、バ
ーグラフ表示と連動した調整が行なわれる。

〔発明の効果〕

本発明方式によれば、従来の方式に比し次のような利
点がある。

（１）煩雑されていた周波数調整を複数フィルターの任
意バンド切換えによるワンタッチ操作で行うことができ
る。

（２）オフセット調整器によって、ノイズ分を仮想ゼロ
ポジションに設定せられ、ゲイン調整器によって信号分
のみを増幅するのであるから、ノイズ分と信号分の差が
小さい場合でも、この調整機能によって拡大することが
でき、ノイズ分と信号分との差の小さい状態での使用が
可能となる。

（３）センサからの信号電圧の大きさをバーグラフによ
り表示するため、ノイズ分と信号分や各フィルター間の
比較が明確に把握される。

（４）積分回路内蔵により、単発的なノイズにも強い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の調整方法におけるブロックダイヤフラ
ム、第２図は従来の調整方法におけるブロックダイヤフ
ラムである。 １……センサ ２……増幅器,3a,3b……フィルター 4a,4b……積分回路,5a,5b……オフセット調整器,6a,6b
……ゲイン調整器,7a,7b……バーグラフ 8a,8b……周波数帯域選択スイッチ ９……リレー出力部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】センサで受信した音信号を圧電素子により
   電気信号に変換し、この電気信号を増幅器により増幅し
   て周波数帯域の異なる複数のフィルタにより複数個の帯
   域に分離し、分離された各信号を積分回路により直流信
   号に変換し、オフセット調整器により粉粒体非流通時に
   おけるノイズ分を各帯域ごとにゼロ調整すると共にゲイ
   ン調整器により粉粒体流通時における上記非流通時のノ
   イズ分よりも大きな信号分のみを各帯域ごとに増幅し、
   各信号分の大きさを夫々別のバーグラフにより表示し、
   これらバーグラフの表示に基づきノイズ分と信号分の差
   の大きい帯域を選択することにより調整操作を行うこと
   を特徴とする、音振動式フローセンサの調整方法。