JP2520470Y2 - 多気筒内燃機関の燃料インジェクタの熱害防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ 〈産業上の利用分野〉 本考案は、自動車等の車輌に用いられる多気筒内燃機
関の燃料インジェクタの熱害防止装置に係り、特にエン
ジンルーム内の熱気による熱害を防止する熱害防止装置
に関する。

〈従来の技術〉 自動車等の車輌に於ける燃料噴射供給式の多気筒内燃
機関に於ては、気筒毎に燃料インジェクタが吸気マニホ
ールド或いはシリンダヘッドに取付けられ、各気筒の吸
気ポートへ向けてガソリンの如き液体燃料を噴射するよ
うになっている。

燃料噴射供給式の多気筒内燃機関に於ては、液体燃料
が高温になることにより生じるベーパーロックを回避す
るために、燃料インジェクタの取付部分に、その取付部
より燃料インジェクタへ熱が伝導しないよう、断熱性の
ガスケット、ゴムシール等を取付ける等の種々の対策が
従来より行われている。

また、燃料インジェクタがエンジンルーム内に於ける
熱気に直接曝されないようにこれを各気筒のもの毎に断
熱カバーによって被覆することが考えられており、これ
は例えば特開昭56-85556号公報に示されている。

〈考案が解決しようとする課題〉 上述の如き断熱カバーが設けられれば、燃料インジェ
クタはエンジンルーム内の熱気に直接曝されなくなって
熱気による温度上昇が抑制されるが、しかし、吸気マニ
ホールド或いはシリンダヘッドに対する取付部よりの熱
伝導によって燃料インジェクタが高温になると、その熱
が燃料インジェクタに篭るようになり、反って燃料イン
ジェクタが高温状態になる虞れがある。またこの場合に
は車輌走行中に於て燃料インジェクタが走行風により冷
却されることが期待されなくなり、このことによっても
燃料インジェクタが高温状態になる虞れがある。

また、断熱カバーは各気筒の燃料インジェクタ毎に取
付けられるため、部品点数及び組付工数が増大すること
を余儀なくされる。

本考案は、上述の如き不具合に鑑み、車輌走行中に於
ては走行風により冷却されることを阻害されることなく
該燃料インジェクタがエンジンルーム内の熱気を直接浴
びないようにして燃料インジェクタの熱害を防止する熱
害防止装置を提供することを目的としている。

［考案の構成］ 〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、気筒毎に設けら
れた燃料インジェクタの取付部近傍に気筒配列方向に延
在して当該燃料インジェクタを覆う熱遮蔽カバーが、前
記各燃料インジェクタに液体燃料を分配供給するための
燃料デリバリパイプに固定されかつ前記各燃料インジェ
クタの上方を一括して覆う傘状に形成されていることを
特徴とする多気筒内燃機関の燃料インジェクタの熱害防
止装置を提供することにより達成される。

〈作用〉 上述の如き構成によれば、熱遮蔽カバーは燃料インジ
ェクタの上方を覆う傘状に形成されて燃料デリバリパイ
プに取り付けられていることから、燃料インジェクタの
配置部分に走行風が流れることを阻止されることなくエ
ンジンルーム内の熱気、特にクロスフロー型のエンジン
において排気側の熱気がシリンダヘッドを越えて燃料イ
ンジェクタへその上方から向かうことが阻止されるよう
になる。熱遮蔽カバーは各気筒の燃料インジェクタを一
括して覆う形態をもってエンジンルーム内の熱気を受け
止めるから、これより燃料インジェクタが受ける熱は各
気筒間にて均一になる。

〈実施例〉 以下に添付の図を参照して本考案を実施例について詳
細に説明する。

第１図及び第２図は本考案による燃料インジェクタの
熱害防止装置を備えた多気筒内燃機関の一つの実施例を
示している。これらの図に於て、１は多気筒内燃機関の
機関本体を示しており、機関本体１は、シリンダヘッド
３、シリンダブロック５、シリンダヘッドカバー７、オ
イルパン８とを有し、複数個の気筒、例えば５つの気筒
を第１図で見てその紙面に直交する方向に互いに隔置し
て構成している。

シリンダヘッド３の一方の側には吸気マニホールド
９、サージタンク11及びスロットルボディ13が順に接続
されている。またシリンダヘッド３の他方の側には排気
マニホールド15が接続されている。

吸気マニホールド９は各気筒に対して吸気を導く吸気
枝管17を気筒数と同数だけ有しており、吸気枝管17のシ
リンダヘッド３に対する接続端近くには各気筒毎に燃料
インジェクタ19が装着されている。

吸気マニホールド９には気筒配列方向に燃料デリバリ
パイプ21が取付けられており、燃料デリバリパイプ21は
各気筒の燃料インジェクタ19に対しガソリンの如き液体
燃料を分配供給するようになっている。

燃料インジェクタ19は、その先端部の燃料ノズル部分
を吸気マニホールド９内に差込まれているが、他の部
分、即ち電磁コイル収納部及び燃料デリバリパイプ21よ
り燃料ノズル部分へ液体燃料を導く燃料通路を含む部分
は吸気マニホールド９より外部に露呈している。

燃料インジェクタ19の取付部近傍、図示の実施例に於
ては燃料インジェクタ19とシリンダヘッドカバー７との
間に熱遮蔽カバー23が配置されている。熱遮蔽カバー23
は、所要の耐熱性を備えた合成樹脂等により構成され、
第２図によく示されている如く、気筒配列方向に延在
し、その気筒配列方向の複数箇所にて取付ボルト25によ
り燃料デリバリパイプ21に対し固定されている。熱遮蔽
カバー23は、燃料インジェクタ19よりシリンダヘッドカ
バー７の側にあって燃料インジェクタ19との間に空間部
27を残した態様にて各気筒の燃料インジェクタ19を一括
して覆い、傘状をなしている。空間部27は燃料インジェ
クタ19の周りを走行風が流れ得るために設けられている
ものであり、図示の実施例に於ては、この空間部27にワ
イヤハーネスフック27が取付ボルト25による共締め状態
にて取付けられている。ワイヤハーネスフック29は燃料
インジェクタ19のためのワイヤハーネスを支持するもの
であってよく、この場合にはこのワイヤハーネスフック
29に取付けられるワイヤハーネスも熱遮蔽カバー23によ
り熱的に保護されるようになる。

熱遮蔽カバー23の配設位置は、自動車等の車輌のエン
ジンルームに於ける熱気、特に排気マニホールド15の側
より燃料インジェクタ19へ向う熱流を横切るべく、即ち
その熱流を効果的に遮蔽する位置に設けられればよく、
この配設位置は、エンジンルームの形態、エンジンルー
ムに於ける内燃機関の配設姿勢、燃料インジェクタと排
気マニホールドとの相対的な位置関係等に応じて適宜に
定められればよい。

［考案の効果］ 上述の説明より明らかなように、本考案による多気筒
内燃機関の燃料インジェクタの熱害防止装置に於ては、
熱遮蔽カバーが燃料インジェクタの上方を覆う傘状に形
成されて燃料デリバリパイプに取り付けられていること
から、燃料インジェクタの配置部分に走行風が流れるこ
とを阻止されることなくエンジンルーム内にて排気マニ
ホールドから発生して上昇する熱気の燃料インジェクタ
に対する上方からの影響が阻止されるようになり、燃料
インジェクタに於けるベーパロックの発生が回避され、
再始動性が改善されるようになる。熱遮蔽カバーは各気
筒の燃料インジェクタを一括して覆う形態をもってエン
ジンルーム内の熱気を受け止めるから、これより燃料イ
ンジェクタが受ける熱は各気筒間にて均一になり、或る
特定の燃料インジェクタが強く加熱されてこれが激しい
ベーパロックを生じる如き事態が生じることも回避され
るようになる。また、燃料デリバリパイプに熱遮蔽カバ
ーが直接取り付けられていることから、別途取付ステー
などを設ける必要がなく、熱遮蔽カバーの取付性も容易
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による燃料インジェクタの熱害防止装置
を備えた多気筒内燃機関の一つの実施例を示す正面図で
ある。 第２図は燃料インジェクタの熱害防止部分を示す平面図
である。 １……機関本体、９……吸気マニホールド 15……排気マニホールド 19……燃料インジェクタ 21……燃料デリバリパイプ 23……熱遮蔽カバー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】気筒毎に設けられた燃料インジェクタの取
   付部近傍に気筒配列方向に延在して当該燃料インジェク
   タを覆う熱遮蔽カバーが、前記各燃料インジェクタに液
   体燃料を分配供給するための燃料デリバリパイプに固定
   されかつ前記各燃料インジェクタの上方を一括して覆う
   傘状に形成されていることを特徴とする多気筒内燃機関
   の燃料インジェクタの熱害防止装置。