JP2519739B2 - 車輪速度制御装置 - Google Patents

車輪速度制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、自動車等の車両の制動時に車輪がロック
するのを回避するためのアンチロックブレーキシステム
における車輪速度制御装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来のアンチロックブレーキシステムにあっては、車
輪の過大なスリップを各車輪のスリップ速度や車輪速度
の微分値から演算される制御変数の値と所定のしきい値
とを比較することにより検出し、その比較結果に基づい
てブレーキ圧を増減制御することにより車輪速度を制御
してロックを回避すると共に、ロック兆候から回復した
車輪については車輪挙動とは無関係にあらかじめ定めら
れた固定レートで加圧するということが行われている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記のような従来のアンチロックブレーキシステムに
おけるように、車輪のスリップ速度やその微分値に基づ
いた制御変数と所定のしきい値とを比較することにより
アンチロック制御を行うというやり方は、ロック兆候の
検知には有効であるが、車輪がロック兆候から回復し、
車輪速度が車体速度にほぼ等しくなった状態でブレーキ
力不足のために発生するスリップ速度過小の状態を検知
することが困難である。即ち、実車走行時、アンチロッ
ク制御中に車体減速度が所望の値を下回り、車体振動や
ピッチングが発生したり、制動距離が伸びるなどの不具
合が発生するという問題があった。
さらに、電磁弁等のブレーキ圧制御アクチュエータあ
るいはその他の油圧制御機器の性能のばらつきにより所
望の加圧幅が得られず、車体減速度が十分に出ずに制動
距離が伸びたり、逆に所望以上の加圧幅が得られ、車体
振動の発生要因になるなどの不具合があった。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の問題点を解決するためになされたこの発明は、
車輪速度の微分値及び車体速度と車輪速度との差である
スリップ速度に基づき演算された制御変数に基づいて加
圧、保持または減圧の指令を発するブレーキ圧コントロ
ーラを備えたアンチロックブレーキシステムにおける車
輪速度制御装置において、上記制御変数が所定範囲内に
あるとき、上記スリップ速度に基づきロック回復後のス
リップ速度の過不足分を積分的に演算し、その結果に基
づいて上記の加圧とは別に増圧レートの小さい小加圧の
指令を発する積分型のブレーキ圧コントローラを備え、
上記小加圧の判断がなされた時、その加圧時間を前回の
スキッドサイクルにおける小加圧の実行回数に応じて学
習補正するようにしたことを特徴とする。
〔作用〕
上記の構成を有するこの発明の車輪速度制御装置によ
れば、従来の主として微分型判断によって動作する主ブ
レーキ圧コントローラに加えて積分型ブレーキ圧コント
ローラを用いることにより、微分型の主ブレーキ圧コン
トローラでは検知不可能なような制動時の車輪ロック回
復過程でのブレーキ圧不足によるスリップ過小状況をも
検知して、上記の微分型判断に基づく加圧とは別に増圧
レートの小さい小加圧を行わせることによって、より的
確な車輪速度制御を行うことができる。
即ち、この発明の車輪速度制御装置の積分型ブレーキ
圧コントローラは、タイマー機能とカウンタ機能を備え
ており、上記主ブレーキ圧コントローラにより演算され
る制御変数が所定の範囲内にあるとき、所定の期間ΔT
にわたり制御サイクルΔt毎に車輪スリップ速度Siを所
定のしきい値STHRと比較して、車輪のブレーキ圧が適切
レベルより低くないかどうかをチェックし、適切レベル
より低いと判断した場合、即ちSi<STHRの時はその都度
カウンタの内容(CTR)を1カウント減じ(デクレメン
トし)、逆にブレーキ圧が適切レベルであると判断した
場合、即ちSTHR≦Siの時はその都度カウンタの内容(CT
R)を1カウント加算する(インクレメントする)。そ
して、ΔT=n×Δt(nは正の整数)とし、カウンタ
がn回操作(加減算)された時点でCTR(カウンタ内
容)の符号をチェックして、ブレーキ圧の小加圧を行う
か否かの判断を下す。この場合、0≦CTRであれば、積
分型ブレーキ圧コントローラは小加圧の指令を出さず
(保持判断)、CTR<0であれば、ブレーキ圧制御アク
チュエータに対し小加圧の実行指令を発する。
この発明のアンチロックブレーキシステム用の車輪速
度制御装置は、制動時の車輪のロック兆候あるいはロッ
クからの回復兆候等の車輪の不安定な過渡挙動に対して
は、主に車輪速度の微分値Vdに基づき構成された制御
変数によって主ブレーキ圧コントローラにより状態検
出、判断、制御を行う一方、主ブレーキ圧コントローラ
では検出不可能なロックからの回復後、車輪速Vwが十分
に車体速Vvに近付き、ブレーキ圧が不足しているような
状況は積分型ブレーキ圧コントローラによってスリップ
速度Siに基づいて検出し、ブレーキ圧不足と判断した場
合は、前記のように増圧レートの小さい小加圧を行って
ブレーキ圧不足を解消することにより、車輪速度を的確
かつ確実に制御することができる。これによって、車輪
ロックを回避し、車体振動やピッチングを防止しつつ最
短の制動距離を確保することが可能となる。
この発明の車輪速度制御装置においては、上記のよう
に小加圧実行の判断がなされた時、即ちカウンタの内容
CTRがCTR<0の時、その小加圧の加圧時間tAを前回のス
キッドサイクル(車輪ロック兆候が検出され、減圧判断
が下されてから次の減圧判断が下されるまでの1サイク
ル)における小加圧の実行回数Nに応じて学習補正する
ことによって決定することにより、油圧制御機器等の性
能のばらつきや車両側の負荷ばらつきによる制御性への
悪影響を解消して、それぞれの車両に装着されている各
特定のブレーキ圧制御アクチュエータにマッチした小加
圧時間が確保され、より適切な加圧を行うことができ、
これによってロック兆候及び車体振動を回避しつつ車体
減速度をなるだけ大きく保つことができる。
なお、上記の加圧時間tAの学習補正は、例えば、基準
小加圧時間tB、単位補正時間ΔtM、学習補正時間tM=前
回スキッドサイクルの学習補正時間tM+補正時間k・Δ
tMとすれば、tA=tB+tMにより、加圧時間tAがtBを学習
補正時間tM分だけ補正した形として得られる。
〔実施例〕
以下、この発明の車輪速度制御装置の実施例について
図面を参照しつつ説明する。
第1図にこの発明の車輪速度制御装置の一実施例の構
成を示す。図示実施例の車輪速度制御装置1は、各車輪
の速度を示す信号を発生する車輪速センサ2iの出力Vi
(i=1,・・・・,4)に基づき各車輪の速度VWを演算す
る車輪速演算手段11、上記車輪速センサ2iの出力Viに基
づき車体速度Vvを演算する車体速演算手段12、上記車輪
速度VWの微分出力Vdを発生する車輪速微分手段13、上
記車輪速度VWと上記車体速度VVとから各車輪のスリップ
速度Si(=VV−VW)を演算するスリップ速度演算手段1
4、上記車輪速微分手段の出力Vdと上記スリップ速度Si
を入力して所定の制御変数Fiを演算し、その演算結果に
基づき電磁弁(駆動回路を含む)などのブレーキ圧制御
アクチュエータ3に加圧、保持又は減圧の指令を発する
主ブレーキ圧コントローラ15、及び上記車輪スリップ速
度Siに基づいてロック回復後のブレーキ圧不足分を積分
的に演算し、その結果に基づき上記の加圧とは別に増圧
レートの小さい小加圧の実行指令を上記ブレーキ圧制御
アクチュエータ3に発する積分型ブレーキ圧コントロー
ラ16で構成されている。
この積分型ブレーキ圧コントローラ16は、さらに、小
加圧の実行判断時、その小加圧の加圧時間tAを前回のス
キッドサイクル中の小加圧の実行回数Nに応じて学習補
正することにより決定する。この実施例では、前出の式
tA=tB+tM,tM=前回tM+k・ΔtMにおいて、係数kを
前回のスキッドサイクル中の小加圧実行回数Nに応じて
次表(以下学習補正表とする)に基づき補正することに
より加圧時間tAが決定される。なお、このような学習補
正表は各車両に搭載されるブレーキ圧制御アクチュエー
タ3などの性能特性にしたがってあらかじめ設定され、
この表で7≦Nのときk=±0とするのは、前回のスキ
ッドサイクル中、このように多数回小加圧が行われたの
はブレーキ圧制御アクチュエータの性能のばらつきによ
るものではなく、アンチロック制御動作時に路面が滑り
易い雪路等から急に滑り難いアスファルト路に移るなど
外乱による影響に起因するもので、加圧時間の補正は不
要と判断するようにしたためで、これによって誤判断に
よる誤った補正を防いでいる。
ブレーキ圧制御アクチュエータ3は、車輪速度制御装
置1の主ブレーキ圧コントローラ15及び積分型ブレーキ
圧コントローラ16の判断結果に基づき各車輪のブレーキ
4iのブレーキ圧の加圧、保持、減圧を行う。なお、上記
積分型ブレーキ圧コントローラ16はタイマー機能及びカ
ウンタ機能を備えている。
次に、この実施例の車輪速度制御装置1の動作を第2
図及び第3図を参照しつつ説明する。
まず、ブレーキON後、主ブレーキ圧コントローラ15は
スリップ速度Si及び車輪速度微分値Vdに基づく制御変
数Fiから車輪のロック兆候を検知すると、まずブレーキ
圧制御アクチュエータ3に減圧指令を発し、続いて保
持、加圧指令を発する。その結果、車輪速度VWは車体速
度VVに近付き、ロックからの回復兆候を呈するが、主ブ
レーキ圧コントローラ15はこのようなロック兆候あるい
は回復兆候を例えばFi=Si+Vdで与えられる制御変数F
iとその加圧判断用の第1しきい値FTHR1及び減圧判断用
の第2しきい値FTHR2(FTHR2<FTHR1)との比較により
検出する。ただし、制御変数Fiは上記の式に限定される
ものではなく、必要に応じて任意の適宜の関数を用いる
ことができる。
そして、例えば制御変数FiがFTHR1以上の状態からF
THR2<Fi<FTHR1の範囲に入ったり、FTHR2以下の状態か
らFTHR2<Fi<FTHR1の範囲に入り、この範囲に保たれて
いる間等、所定の条件下にある時は、ブレーキ圧不足に
よるスリップ速度過小の可能性があると判断して、その
条件の発生時点で(例えばFiがFTHR1以上の状態やFTHR2
以下の状態から上記範囲に入った瞬間)積分型ブレーキ
圧コントローラ16が動作を開始する(タイマー機能及び
カウンタ機能が始動される)。この積分型ブレーキ圧コ
ントローラ16のタイマーは制御サイクルΔtを計時単位
とし、その制御サイクルΔt毎にスリップ速度Siが所定
のしきい値STHRに対して大きいか小さいかの比較を行っ
て、Si<STHRの時はカウンタの内容をデクレメントし、
STHR≦Siの時はCTRをインクレメントする。そして、タ
イマーの内容ΔT=n・Δt(nは正の整数)で表され
る所定期間ΔT毎に(カウンタがn回加減算動作する毎
に)、カウンタの内容CTRの符号チェックを行い、小加
圧を行うべきか否かの判断を行う。この場合、積分型ブ
レーキ圧コントローラ16は、0≦CTRであれば、ブレー
キ圧保持判断(第2図に符号Yで示す)を下し、CTR<
0であれば、ブレーキ圧制御アクチュエータ3に小加圧
指令(第2図に符号Xで示す)を発する。
上に述べたように、このような小加圧を行うべき時に
は、その加圧時間tAは前回のスキッドサイクル中の小加
圧の実行回数Nに応じて前出の式tA=tB+tM,tM=前回t
M+k・ΔtMの係数kを学習補正表に基づき求めること
により決定される。例えば、第3図の時点τにおいて
は、CTR<0であるから、小加圧が行われるが、この時
点はアンチロック制御開始後最初のスキッドサイクル内
であり、前回のスキッドサイクル中の小加圧回数Nのデ
ータがないため、小加圧の加圧時間tAは基準小加圧時間
tBに決定され、このスキッドサイクル中にはこれと同じ
加圧時間で3回小加圧が行われる。
次のスキッドサイクル内の時点τにおいては、前回
のスキッドサイクル中の小加圧実行回数がN=3である
から、小加圧の加圧時間tAは学習補正表よりk=0、即
ち前回のスキッドサイクルと同じtA=tBに決定され、こ
の基準小加圧時間tBで2回の小加圧が行われる。さら
に、次のスキッドサイクル内の時点τにおいても小加
圧がなされるが、前回のスキッドサイクル中の小加圧実
行回数はN=2であるから、学習補正表より小加圧の加
圧時間は、k=−1,即ちtM=−ΔtM,tA=tB+tM=tB
ΔtMと決定され、1回の小加圧が行われる。同様に、次
のスキッドサイクルにおいては、tM=前回tM−ΔtM=−
2ΔtMより、tA=tB+tM=tB−2ΔtMで小加圧が行われ
る。
このようにして、ロック回復過程におけるブレーキ圧
不足によるスリップ速度過小を解消するために適時の小
加圧を行うに際し、その加圧時間tAを前回のスキッドサ
イクル中における小加圧実行回数に応じた学習補正によ
り決定する、即ち各車両に装着された各特定のブレーキ
圧制御アクチュエータの性能等に合致した小加圧の加圧
補正を行うことにより、アンチロック制御時、性能や車
両側の負荷のばらつきによって加圧が遅れて十分な車体
減速度が得られず、制動距離が伸びたり、逆に加圧幅が
大き過ぎて、車体振動が発生するなどの不都合を確実に
解消することが出来る。
上記の車輪速度制御装置1による制御動作は、例えば
第4図、第5図及び第6図に示すようなフローチャート
のプログラムを用いてマイクロコンピュータにより実施
することができるので、以下これについて説明する。
マイクロコンピュータは各制御サイクルΔtが開始さ
れる毎に(ステップ100)、車体速度VV、車輪速度VW
車輪スリップ速度Si、車輪速度微分値Vd、制御変数Fi
(例えばFi=Si+Vd)を算出し(ステップ101)、ステ
ップ102で制御変数Fiとその加圧判断用の第1しきい値F
THR1とを比較する。この比較においてFTHR1≦Fiであれ
ば、タイマーがリセットされ(ステップ103)、ステッ
プ108のタイマーがリセットされているか否かの判断に
移る。FTHR1≦Fiでなければ、ステップ104においてタイ
マーの内容Tとそのアンチロック制御終了判断用しきい
値TTHRとを比較し、TTHR≦Tであれば、Tが最大値に達
したか否かの判断に移る(ステップ106)。ステップ104
においてTTHR≦Tでなければ、即ちアンチロック制御中
ならば、ステップ105において制御変数Fiとその減圧判
断用の第2しきい値FTHR2との比較、即ちFi≦FTHR2かど
うかの判断を行う。そして、Fi≦FTHR2であれば、やは
りタイマーがリセットされ(ステップ103)、ステップ1
08に進む。
ステップ105の判断において、Fi≦FTHR2でなければ、
タイマーの内容Tが最大値に達したかどうかの判断に移
行する(ステップ106)。この時Tが最大値に達してい
れば、やはりステップ108に進み、Tが最大値に達して
いなければ、ステップ107でTを1タイムカウント進め
て(Δt毎)、ステップ108の判断に進む。以上のステ
ップはマイクロコンピュータによるこの発明の車輪速度
制御装置における積分型ブレーキ圧コントローラのタイ
マー機能の動作である。
次に、ステップ108ではタイマーがリセットされてい
るかどうか、即ちT=0かどうかの判断を行い、リセッ
トされていれば、ステップ109でカウンタをリセットし
(内容CTR=0)、ステップ113のTTHR≦Tかどうかの判
断に進む。ステップ108の判断においてT=0でなけれ
ば、ステップ110においてSiとその所定のしきい値STHR
との比較を行う。この時、STHR≦Siであれば、カウンタ
をインクレメントし(内容CTRを1カウント加算する;
ステップ111)、逆に、Si<STHRの時は、カウンタをデ
クレメントして(CTRを1カウント減じる;ステップ11
2)、ステップ113に進む。以上のステップはマイクロコ
ンピュータによるこの発明の車輪速度制御装置の積分型
ブレーキ圧コントローラにおけるカウンタ機能の動作で
ある。
マイクロコンピュータはステップ113においてもTTHR
≦Tかどうかの判断を行い、TTHR≦Tであればステップ
114において通常の加圧指令を発する(ブレーキ圧制御
命令Cを加圧に設定する)。ステップ113の判断におい
てT<TTHRの時は、さらにT=0かどうかの判断を行い
(ステップ115)、T=0であればステップ121を経てス
テップ122に進む。ステップ115においてT=0でなけれ
ば、ステップ116においてTがΔTの整数倍かどうかの
判断を行い、TがΔTの整数倍であれば、プログラムは
第5図の入口から出口までのルーチンへ進む。
第5図においては、上記のようにタイマーの内容Tが
ΔTの整数倍(ΔT=n・Δt)に達する毎に(ステッ
プ200)、ステップ201においてカウンタの内容CTRの符
号をチェックし、0≦CTRであれば、保持指令を発する
(ステップ202)。即ち、小加圧を行わない。0≦CTRで
なければ、小加圧回数Nを前回N+1とし(ステップ20
3)、ステップ204において、小加圧の加圧時間tAを基準
小加圧時間tBと学習補正時間tMとの和により決定し、ス
テップ205においてこのように決定されたtAによる加圧
を行う。この時、学習補正時間tMは前回のスキッドサイ
クル中のtMに対して補正時間k・ΔtMを加算して得られ
た値である。ステップ202での保持あるいはステップ205
での加圧の後は、カウンタをリセットして(ステップ20
6)第4図の入口に戻る。
前記のステップ116においてTがΔTの整数倍でなけ
れば、ステップ117においてtA=0かどうかの判断を行
い、tA=0であればブレーキ圧制御命令Cを保持に設定
して(ステップ118)、ステップ121へ進む。ステップ11
7においてtA=0でなければ、ステップ119において小加
圧時間tAから1タイムカウントを減じると共に、ブレー
キ圧制御命令Cを小加圧(加圧実行)に設定し(ステッ
プ120)、ステップ121へ進む。
ステップ121においては、タイマーの内容Tについて
T=0か否かの判断が行われ、T=0でなければ、制御
サイクルの開始点に戻る(ステップ126)。また、T=
0であれば、制御変数Fiについて、FTHR1≦Fiかどうか
の判断を行い(ステップ122)、FTHR1≦Fiであれば、車
輪のロック兆候があると判断して第6図の入口から出
口までのルーチンに移る。
第6図においては、車輪ロック兆候が検出される毎に
(ステップ300)、前回のスキッドサイクル中の小加圧
回数NについてN=0かどうかの判断を行い(ステップ
301)、N=0であれば入口に戻り、N=0でなけれ
ば、ステップ303において3≦Nかどうかを判断し、3
≦Nであれば次に5≦Nかどうかの判断を行う(ステッ
プ304)。この判断で5≦Nであれば、続いてN=6か
どうかを判断し(ステップ305)、N=6の場合はステ
ップ306において学習補正時間tMを前回のスキッドサイ
クルにおける学習補正時間tM+ΔtMと決定し、さらにス
テップ307において、そのtMにΔtMを加えてステップ302
へ進む。
ステップ304の判断で、5≦Nでなければ第4図の入
口へ戻り、ステップ305の判断でN=6でなければ、
ステップ309でN=5かどうかの判断が行われる。この
判断でN=5であればやはりステップ307においてtMをt
M+ΔtMとしてステップ302へ進む。N=5でなければ、
そのままステップ302へ進む。一方、ステップ303の判断
において、3≦Nでなければ、ステップ308において学
習補正時間tMを前回のスキッドサイクルにおける学習補
正時間tM−ΔtMとして決定し、ステップ302へ進む。ス
テップ302においては、N=0とセットして、第4図の
入口へ戻り、ステップ125においてブレーキ圧制御命
令Cを減圧に設定して制御サイクルの開始点に戻る(ス
テップ126)。
ステップ122の判断においてFi<FTHR1の時は、ステッ
プ123でFi≦FTHR2かどうかの判断を行い、Fi≦FTHR2
あればブレーキ圧制御命令Cを加圧に設定して(ステッ
プ114)、制御サイクルの開始点に戻る。逆に、FTHR2
Fiであれば、ブレーキ圧制御命令Cを保持に設定して
(ステップ124)、制御サイクルの開始点に戻る。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、この発明の車輪速度制御
装置によれば、各車両に搭載されるそれぞれの油圧制御
機器の性能のばらつきや車両側の負荷のばらつきに対し
て、アンチロック制御時、小加圧の加圧時間を学習補正
により決定するようにしたため、これらのばらつきによ
って加圧遅れが生じ、制動距離が伸びたり、逆に加圧幅
が大き過ぎて車体振動が発生するなどの不具合が解消さ
れ、これによって自動車の車両の性能改善にすくなから
ぬ貢献をなし得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の車輪速度制御装置の一実施例のブロ
ック図、第2図及び第3図はその動作を説明するための
グラフ、第4図、第5図及び第6図はこの発明の車輪速
度制御装置をマイクロコンピュータにより実施する場合
のプログラムの一例を示すフローチャートである。 1……車輪速度制御装置、2i(i=1,・・・,4)……車
輪速センサ、3……ブレーキ圧制御アクチュエータ、4i
……ブレーキ、11……車輪速演算手段、12……車体速演
算手段、13……車輪速微分手段、14……スリップ速度演
算手段、15……主ブレーキ圧コントローラ、16……積分
型ブレーキ圧コントローラ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪速度の微分値及び車体速度と車輪速度
    との差であるスリップ速度に基づき演算された制御変数
    に基づいて加圧、保持または減圧の指令を発するブレー
    キ圧コントローラを備えたアンチロックブレーキシステ
    ムにおける車輪速度制御装置において、上記制御変数が
    所定範囲内にあるとき、上記スリップ速度に基づきロッ
    ク回復後のスリップ速度の過不足分を積分的に演算し、
    その結果に基づいて上記の加圧とは別に増圧レートの小
    さい小加圧の指令を発する積分型のブレーキ圧コントロ
    ーラを備え、上記小加圧の判断がなされた時、その加圧
    時間を前回のスキッドサイクルにおける小加圧の実行回
    数に応じて学習補正するようにしたことを特徴とする車
    輪速度制御装置。
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JPH0674031B2 (ja) * 1985-12-27 1994-09-21 曙ブレーキ工業株式会社 アンチスキツド制御方法

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