JP2519246B2 - ワイヤカット放電加工機のヘッド部のワイヤ走行装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 この発明はワイヤカット放電加工機に係り、更に詳細
にはヘッド部のワイヤ走行装置の改良に関するものであ
る。

b.従来の技術 加工物に対するワイヤの走行方向は上から下へ走行す
るものと、その逆のものがあるが、この発明は前者の上
から下へ走行する加工機に関するもである。ワイヤカッ
ト放電加工機のワイヤは一般の工作機械の工具に該当
し、その走行時の張力及び走行速度は、加工物の加工精
度，加工速度に大きな影響を及ぼすものである。したが
ってワイヤ走行装置については充分な配慮が必要であ
る。

ワイヤカット放電加工機のヘッド部のワイヤ走行装置
は、例えば次のようになっている。水平に設けられたヘ
ッドの１方の端にワイヤ供給リールが軸を前後方向に水
平にして装着してあり、これから繰り出されるワイヤ
は、ガイドローラを経てワイヤテンション装置に導か
れ、ここを通過したワイヤは張力を与えられ、ヘッドの
他方の端に設けられたガイドローラにより下方へ曲げら
れ、ヘッドの下部に設けられた上部ワイヤガイドに導か
れている。

c.発明が解決しようとする問題点 前記のように、従来のワイヤカット放電加工機のヘッ
ド部のワイヤ走行装置は、一般にその走行経路が逆Ｌ形
をなし、走行範囲が広く、ワイヤの取付けに手間がかか
るという問題があった。この発明はこのような点に着目
してなされたもので、ワイヤ走行経路をクロスさせるこ
とにより走行範囲を狭くし、作業性を向上させると共に
全体的に小形化したヘッド部のワイヤ走行装置を提供す
ることを目的とするものである。

d.問題点を解決するための手段 前記の目的を達成するために、この発明のワイヤ走行
装置は、ヘッド正面の一つの側に、ワイヤ供給リールを
縦方向に保持する旋回テーブルを設け、ヘッド正面中央
部に、前記ワイヤ供給リールから供給されるワイヤを、
案内する中空ローラを設け、ヘッド正面の他の側に、中
空ローラに案内されたワイヤの走行方向を、ヘッドの上
部方向へ変更するプーリを設け、ヘッド正面上部に、こ
のプーリを通ったワイヤに張力を与える張力装置を設
け、ヘッドの正面中央部に、張力装置を通ったワイヤを
案内する案内パイプを、前記の中空ローラの中空部を通
して上下方向に設け、この案内パイプの下端に、ワイヤ
を案内する上部ワイヤガイドを設けて構成されたもので
ある。

e.作用 このように構成されているので、ワイヤ供給リールか
ら繰り出されたワイヤは、ほぼ水平に中空ローラ，プー
リを通り、ここから上方に曲げられ、張力装置を経て、
下方向へ向い、案内パイプの中を通り、中空ローラ部で
中外で交叉し、案内パイプの下部に設けられた上部ワイ
ヤガイドから出てくる。案内パイプはワイヤ掛けをする
際、ワイヤの端を張力装置に供給すると、張力装置を出
たワイヤが上部ワイヤガイドから出てくるように案内す
るものである。また、中空ローラの中心軸の用もなす。

f.実施例 次に、この発明の実施例について図面に基づいて説明
する。第１図，第２図及び第３図はこの発明の実施例の
それぞれ正面図，左側面図及び底面図である。このヘッ
ド部のワイヤ走行装置１は、次のように構成されてい
る。ヘッド３の正面左側に、ワイヤ供給リール５を縦方
向に保持する旋回テーブル７を設けてあり、ヘッド３の
正面中央部に、ワイヤ供給リール５から供給されるワイ
ヤ９を水平方向へ案内する中空ローラ11を設けてある。

ヘッド３の正面右側に、中空ローラ11に案内されたワ
イヤ９の走行方向を、ヘッド３の正面上部方向へ変更す
るプーリ13を設けてあり、ヘッド３の正面上部に、プー
リ13を通ったワイヤに張力を与える張力装置としてワイ
ヤテンションベルト15を設けてある。ヘッド３の正面中
央部に、ワイヤテンションベルト15を通ったワイヤを、
ヘッド３の下部へ案内する案内パイプ17を、前記の中空
ローラ11の内部を通して上下方向に設けてある。この案
内パイプ17の下端には、図示を省略した下部ワイヤガイ
ドと共に、ワイヤの位置決めをする上部ワイヤガイド19
を設けてある。

この構成においてワイヤ掛けを行う場合は、旋回テー
ブル７にワイヤ供給リール５を装着し、ワイヤ９を中空
ローラ11,プーリ13等を経て、ヘッド３のＡ部からワイ
ヤテンションベルト15に挿入し、手動でワイヤテンショ
ンベルト15を回すと、ワイヤはベルトにより移動し、ヘ
ッド３のＢ部で案内パイプ17に進入し、下方に進んで上
部ワイヤガイド19から出てくる。

g.発明の効果 以上の説明から理解されるように、この発明は特許請
求の範囲に記載の構成を備えているので、ワイヤの走行
範囲が狭くなり、作業性が向上し、小形化されたワイヤ
カット放電加工機のヘッド部のワイヤ走行装置を提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図，第２図，第３図はそれぞれこの発明の実施例の
正面図，左側面図，底面図である。 図面の主要な部分を表わす符号の説明 １……ワイヤ走行装置 ３……ヘッド、５……ワイヤ供給リール ７……旋回テーブル、９……ワイヤ 11……中空ローラ、13……プーリ 15……ワイヤテンションベルト 17……案内パイプ、19……上部ワイヤガイド

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッド正面の一つの側に、ワイヤ供給リー
   ルを縦方向に保持する旋回テーブルを設け、ヘッド正面
   中央部に、前記ワイヤ供給リールから供給されるワイヤ
   を案内する中空ローラを設け、ヘッド正面の他の側に、
   中空ローラに案内されたワイヤの走行方向をヘッドの正
   面上部方向へ変更するプーリを設け、ヘッドの正面上部
   に、このプーリを通ったワイヤに張力を与える張力装置
   を設け、ヘッドの正面中央部に、張力装置を通ったワイ
   ヤを案内する案内パイプを、前記中空ローラの中空部を
   通して上下方向に設け、この案内パイプの下端にワイヤ
   を案内する上部ワイヤガイドを設けてなるワイヤカット
   放電加工機のヘッド部のワイヤ走行装置。