JP2519186B2 - 油性メイクアップ化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は経時での化粧くずれを防止するに優れる油性
メイクアップ化粧料組成物に関する。

（従来技術） 油性メイクアップ化粧料の長所は色調が鮮明で肌又は
粘膜への付着性が良く、肌又は粘膜へ塗布した後の色調
変化が少ないことであるが、その反面、油っぽくべたつ
き化粧くずれが速い。

従来、この化粧くずれを解決する方法として肌又は粘
膜への付着性の良い固形ワックス、強粘性油を増量する
か、顔料を増量する、又は揮発物質の配合により揮発物
質の揮発後顔料と少量の油分を残存させる方法があるが
これらの方法では油性メイクアップ化粧料の長所である
鮮明な色調を損ない肌への均一な付着が望めず厚ぼった
い化粧となり化粧くずれもさほど解消されない。そこ
で、油性化粧料の長所である鮮明な発色、優れた付着性
を損なうことなく化粧くずれを解消する方法が強く望ま
れていた。

（発明の開示） 本発明者は上記の事情に鑑み鋭意研究した結果、後記
特定の組成物からなる油性メイクアップ化粧料は上記の
問題点を悉く解決することを見出し本発明を完成するに
至った。

（発明の目的） 本発明の目的は発色性、付着性、化粧効果が改良され
ると共にそれらの経時的変化が少なく化粧くずれ防止効
果に優れた油性メイクアップ化粧料を提供するにある。

（発明の構成） すなわち本発明は、２〜３価の金属及びその塩類並び
に２〜３価の金属の水酸化物の群より選ばれた少なくと
も一種と、アルギン酸の水溶性塩と、油成分とを配合し
てなる油性メイクアップ化粧料。

（構成の具体的説明） 本発明に用いるアルギン酸の水溶性塩は公知の物質で
あって、たとえば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸
カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸Ｌ−リ
ジン、アルギン酸トリエタノールアミン等が適用され
る。

アルギン酸の分子量は、特に制限されないが、好まし
くは５〜20万である。

アルギン酸の水溶性塩の配合量は0.25〜25.0重量％が
好ましい。

２〜３価の金属は、カルシウム、鉄、アルミニウムが
好適であり、またこれらの塩を構成する酸は硫酸、乳
酸、クエン酸、パントテン酸、酢酸、リン酸、塩酸等が
適用される。

更に、上記２〜３価の金属の水酸化物としては、水酸
化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄を挙
げることができる。

本発明に於ては、これらの２〜３価の金属及びその
塩、並びに２〜３価の金属の水酸化物の群より選ばれた
少なくとも一種が適用され、その配合量は0.25〜25.0重
量％が好適である。

また、前記アルギン酸の水溶性塩と２〜３価の金属の
水酸化物との配合重量比率は100:50〜100:150の範囲で
あることが好ましい。

本発明に用いる油性分は通常化粧料に配合される液
状、ペースト状、固形の油性分が適用され、例えば、オ
リーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ラノリン、ワセリン、
スクワラン、流動パラフィン、オクチルドデカノール、
トリ（カプリル・カプリン酸）グリセリン、シリコンオ
イル等々を挙げることが出来る。その配合量は25.0〜9
0.0重量％が好ましい。

本発明の油性メイクアップ化粧料に配合せる前記アル
ギン酸の水溶性塩と２〜３価の金属及びその塩類並びに
２〜３価の金属の水酸化物の群より選ばれた少なくとも
一種は皮膚に塗布した時に皮膚上の水分を得て、アルギ
ン酸の水不溶性塩（アルギン酸と２〜３価の金属との
塩）を生成するものである。

また、このアルギン酸の水不溶性塩は共存する油成分
と混和し、撥水性の油性膜を皮膚上に形成し、化粧くず
れ防止効果を発現するものと考えられる。

本発明の油性メイクアップ化粧料には上記の他に、体
質顔料、着色顔料、色素、抗酸化剤、防腐剤、香料等を
本発明の目的を達成する範囲で適宜配合することが可能
である。

また、本発明は口紅、リップクリーム、アイシャド
ウ、油性ファンデーション、マスカラ、アイライナー、
アイブラウ等々の油性メイクアップ化粧料に適用され
る。

（実施例） 以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
尚、実施例に示した官能特性の試験法は下記の通りであ
る。

（１）実施例１〜3,比較例１〜４（口紅） 被験者87名が、比較例１〜4,実施例１〜３の計７種の
サンプルを、１ヶ月間使用した時の、「つや」「発色
性」「付着性」「化粧効果」，塗布後３時間後の前記４
項目の経時変化について比較例１を基準にして評価し
た。

試験項目 ：評価基準 〈塗布時〉 （比較例１を基準にして） つや ：つやがあると答えた人数 発色性 ：適度な発色で好ましいと答えた人数 付着性 ：密着感があり好ましいと答えた人数 化粧効果 ：仕上りが美しく好ましいと答えた人
数 〈経時・３時間後〉 つやの変化 ：変化が少ないと答えた人数 発色性の変化 ：変化が少ないと答えた人数 付着性の変化 ：変化が少ないと答えた人数 化粧効果の変化 ：変化が少ないと答えた人数 製造方法 成分１〜６を90℃で均一に溶解し、成分７〜14を加
え、混練り後80℃にて15を添加均一に混合し脱気した
後、金型に流し込み冷却成型後、容器に納め製品とす
る。

特性 第一表に示すごとく比較例であるワックス、強粘性
油、顔料を増加又は揮発性油を配合する従来の方法で製
造された口紅に較べて実施例１〜３の本発明の口紅は諸
試験の全てに於て良好なる特性を明らかにしめした。

（２）実施例４〜6,比較例５〜７（ファンデーション） 被験者87名が、比較例５〜7,実施例４〜６の計６種の
サンプルを、１ヶ月間使用した時の、「発色性」「付着
性」「化粧効果」，塗布後３時間後の前記３項目の経時
変化について比較例５を基準にして評価した。

試験項目 ：評価基準 〈塗布時〉 （比較例５を基準にして） 発色性 ：適度な発色で好ましいと答えた人数 付着性 ：密着感があり好ましいと答えた人数 化粧効果 ：仕上りが美しく好ましいと答えた人
数 〈経時・４時間後〉 発色性の変化 ：変化が少ないと答えた人数 付着性の変化 ：変化が少ないと答えた人数 化粧効果の変化 ：変化が少ないと答えた人数 製造方法 成分１〜５を90℃で均一に溶解し、成分６〜16を加え
混練り後、再び溶解し、90℃で脱気した後、金皿に流し
込み製品とする。

特性 第二表に示すごとく比較例である従来の方法で製造さ
れたファンデーションに較べて実施例４〜６の本発明の
ファンデーションは全てに於て良好なる特性を明らかに
示した。

（３）実施例7,比較例８〜９（アイライナー） 被験者87名が、比較例８〜9,実施例７の計３種のサン
プルを、１ヶ月間使用した時の、「付着性」「化粧効
果」，塗布後３時間後の前記２項目の経時変化について
比較例８を基準にして評価した。

試験項目 ：評価基準 〈塗布時〉 付着性 ：むらなく均一に描け、密着感があり
好ましいと答えた人数 化粧効果 ：仕上りが美しく好ましいと答えた人
数 〈経時・４時間後〉 付着性の変化 ：変化が少ないと答えた人数 化粧効果の変化 ：変化が少ないと答えた人数 製造方法 成分１〜８を95℃で均一に溶解し、成分９〜13を加え
混練り後、再び溶解し、90℃で脱気した後、金型に流し
込み冷却成型後、容器にさし製品とする。

特性 第三表に示すごとく比較例である従来の方法で製造さ
れたアイライナーに較べて実施例７の本発明のアイライ
ナーは全てに於て良好なる特性を明らかに示した。

（発明の効果） 以上記載のごとく、本発明は発色性、付着性、化粧効
果等が改良されると共にそれらの経時的変化が少なく化
粧くずれ防止効果に優れた有用なる油性メイクアップ化
粧料を提供することは明らかである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２〜３価の金属及びその塩類並びに２〜３
   価の金属の水酸化物の群より選ばれた少なくとも一種
   と、アルギン酸の水溶性塩と、油成分とを配合してなる
   油性メイクアップ化粧料。