JP2518804B2 - ズボン等のウエスト伸縮構造 - Google Patents

ズボン等のウエスト伸縮構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本各発明は、布地が折り重ねられ
て形成されたタックをウエスト部分に備えたズボンやス
カート等(以下単にズボン等という)のウエスト伸縮構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、既製品のズボン等におけるウエ
スト部の寸法は、例えば69cm、72cm、75cm
といったように所定間隔で設定されており、着用者は、
自己のウエストの寸法に近いものを選択して購入し、自
己のウエストの寸法に修正したり、ベルト等によって矯
正して着用している。
【0003】しかしながら、ウエスト部の寸法を修正す
る場合には、修正作業が必要であり、手間及び費用を要
するという問題があり、ベルト等によって矯正する場合
には、ウエスト部にシワが生じてテザイン的に好ましく
なく、また、着用した際の快適性にも劣るという問題が
ある。
【0004】そこで、これを解決したものとして、従来
より、例えば図11に示すように、ズボン等のウエスト
部の横側、或は後ろ側やウエスト部全周を、ゴム等の弾
性材により形成し、この弾性材によってウエスト部を伸
縮させることができるようにしたウエスト伸縮構造があ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来のズボン等のウエスト伸縮構造にあっては、着用者
のウエストの寸法に応じてズボン等のウエスト部を伸縮
させることができ、着用に際して快適性を十分に確保す
ることができるものの、ウエスト部の横側等に備えられ
た弾性材が露呈して見栄えが悪く、また、弾性材が縮ん
だ状態では、弾性材の下側の布地にシワが生じて美感を
損ね、デザイン的に良好なものではなかった。
【0006】本各発明は、このような課題を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、着
用者のウエストの寸法に応じてウエスト部を伸縮させる
ことができるばかりでなく、デザイン的にも良好なズボ
ン等のウエスト伸縮構造を、簡単な構造によって提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本各発明の採った手段を、図面に使用する符号を
付して説明すると、まず、請求項1の発明は、「ウエス
ト部分にタック10を備えたズボン等のウエスト伸縮構
造であって、一端が前記タック10の上側の布地12に
おけるタック10の先端部分13aから延出する部位に
連結され、他端がタック10の下側の布地11に連結さ
れた弾性材30を備え、この弾性材30と前記上側の布
地12におけるタック10の先端部分13aから延出す
る部位との少なくとも表側を、前記下側の布地11によ
って被覆したことを特徴とするズボン等のウエスト伸縮
構造」である。
【0008】
【0009】次に、請求項の発明は、「前記弾性材3
0と前記上側の布地12とを被覆する前記下側の布地1
1の端部に、該端部をさらに被覆するベルト通し70を
備えたことを特徴とする請求項1記載のズボン等のウエ
スト伸縮構造」である。
【0010】次に、請求項の発明は、「前記弾性材3
0または前記第二の弾性材31の最大伸びを抑制する抑
制手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項
2の何れかに記載のズボン等のウエスト伸縮構造」であ
る。
【0011】最後に、請求項の発明は、「前記タック
10を、ウエスト部20に向かって深くなるものとした
ことを特徴とする請求項1から請求項までの何れかに
記載のズボン等のウエスト伸縮構造」である。
【0012】
【発明の作用】このように構成された本各発明に係るズ
ボン等のウエスト伸縮構造は、次のように作用する。
【0013】まず、請求項1の発明に係るズボン等のウ
エスト伸縮構造は、ゴム等の弾性材30によってウエス
ト部20が伸縮されるようにしたものである。よって、
着用者のウエストの寸法に応じてウエスト部20が伸縮
するため、着用の際の快適性は十分に確保されることに
なる。
【0014】また、例えば図2(a)に示すように、弾
性材30とこの弾性材30の一端が連結された上側の布
地12におけるタック10の先端部分13aから延出す
る部位との少なくとも表側は、下側の布地11によって
被覆されているため、弾性材30等が露呈することはな
く、見栄えが良くなる。
【0015】さらに、例えば図2(b)に示すように、
ウエスト部20の伸縮は、タック部分14においてなさ
れるため、ウエスト部20が伸縮しても、タック10の
深さが変更されるだけであり、布地自体にシワが生じる
ことはなく、美感を何等損なうことがない。
【0016】さらにまた、ウエスト部20の伸縮がタッ
ク部分14においてなされることから、例えば腹部が突
出した体形の者等が着用した場合、この腹部の形状に倣
ったウエスト部20の伸縮によってタック10の深さが
変化することになるため、ズボン等の横側や後ろ側のデ
ザインが崩れることはなく、この理由からも美感に優れ
ることになる。
【0017】
【0018】
【0019】次に、請求項の発明に係るズボン等のウ
エスト伸縮構造においては、ベルト通し70によって、
弾性材30と上側の布地12とを被覆する下側の布地1
1の端部がさらに被覆されているため、例えば図8
(b)に示すように、上側の布地12と下側の布地11
との相対的に伸縮する部位が隠され、より美感に優れる
ことになる。
【0020】次に、請求項の発明に係るズボン等のウ
エスト伸縮構造においては、抑制手段によって弾性材3
0または第二の弾性材31が所定以上に不用意に伸びる
ことが抑制されるため、例えばウエスト部20が所定以
上に伸びてタック10が消滅したり、弾性材30や第二
の弾性材31の一部等が露呈する等して美感を損ねるこ
とを確実に防止し得ることになる。
【0021】最後に、請求項の発明に係るズボン等の
ウエスト伸縮構造は、タック10を、ウエスト部20に
向かって深くなるようにしたものであるため、ウエスト
部20が伸びても、タック10の深さが十分に確保され
ることになり、見栄えが良くなる。
【0022】また、例えばウールや綿等の布地の材質に
よっては、ウエスト部20の伸縮に際して、タック10
の奥端部分13bが擦れ合い、この部分に毛羽立ちが生
じる虞があるが、ウエスト部20に向かってタック10
を深くすると、タック10の奥端部分13bの最も擦れ
合い易い部分であるウエスト部10の近傍において、布
地に余裕が生じて擦れ合い難くなり、毛羽立ちが生じ難
くなる。
【0023】
【実施例】次に、本各発明に係るズボン等のウエスト伸
縮構造の実施例を、図面に従って詳細に説明する。
【0024】図1には、請求項1の発明に係るズボン等
のウエスト伸縮構造を採用したズボン100の一例を示
す。このズボン100は、ウエスト部分に二対のタック
10、10aを備えた所謂ツータックのズボンであり、
外側のタック10aは、通常のタック10aとされてい
るが、内側のタック10は、請求項1の発明のウエスト
伸縮構造を採用したタック10とされている。そして、
図2の(a)、(b)に示すように、ウエスト部20の
タック部分14が伸縮するように構成されている。
【0025】次に、このウエスト伸縮構造の詳細を説明
する。図3に示すように、布地が折り重ねられて、外側
の通常のタック10aと、ウエスト伸縮構造が採用され
た内側のタック10との二つのタック10、10aが形
成されており、内側のタック10における下側の布地1
1における上端部に、ウエスト部20の前側を除く略全
周を構成する下側のウエスト布地11aが縫い着けら
れ、内側のタック10における上側の布地12の上端部
に、ウエスト部10の前側を構成する上側のウエスト布
地12aが縫い着けられている。ここで、上側のウエス
ト布地12aは、タックの先端部分13aから延出する
ものとなっている。そして、上側のウエスト布地12a
における前述した延出する部位に、ゴムにより形成され
た弾性材30の一端が連結されており、下側のウエスト
布地11aに弾性材30の他端が連結されている。
【0026】なお、弾性材30は、ゴムに限らず、例え
ば弾性に優れた合成樹脂や織布等であっても良い。ま
た、弾性材30の形状としては、下側ウエスト布地11
aの幅と略同一寸法のものを採用した例を示したが、こ
の弾性材30の形状は、これに限らず、例えば、図4に
示すような細幅なもの、図5に示すような細幅なものを
クロスさせたもの、或は図6に示すような細幅なものを
並設させたもの等、布地の材質やタック10の深さ等の
種々の要因によって適宜変更されるものである。
【0027】さらに、本実施例においては、タック10
を形成する布地とは別体の布地により形成された下側の
ウエスト布地11a及び上側のウエスト布地12aによ
ってウエスト部20を構成する例を示したが、これに限
らず、例えば一枚の布地からタック10とウエスト部2
0とを形成するようにしても良い。
【0028】次に、図7に、請求項の発明に係るズボ
ン等のウエスト伸縮構造の別の実施例を示す。このウエ
スト伸縮構造は、前述の図3に示したウエスト伸縮構造
に加えて、下側の布地11の上端部に、タック部分14
のウエスト部20を構成する下側のウエスト布地11a
を縫い着け、この下側のウエスト布地11aにおけるタ
ックの奥端部分13bと上側の布地前述した上側のウ
エスト布地12aとに第二の弾性部材31の両端を連結
したものである。
【0029】次に、図8に、請求項の発明に係るズボ
ン等のウエスト伸縮構造の一実施例を示す。このウエス
ト伸縮構造は、前述の図3に示したウエスト伸縮構造に
加えて、弾性材30と、この弾性材30の一端が連結さ
れた上側のウエスト布地12aにおけるタック10の先
端部分から延出する部位とを被覆する下側のウエスト布
地11aの端部に、この端部をさらに被覆するベルト通
し70を備えたものである。このベルト通し70によっ
て、ウエスト部20の伸縮に伴って相対的に伸縮する上
側の布地と下側の布地との部位が隠され、美感を確保す
ることができる。
【0030】なお、このベルト通し70を、ウエスト部
20が最小に縮んだ際に、タック10の最先端部分13
aから外側の通常のタック10aに渡って配設されたも
のとすると、デザイン的に良好となる。また、ベルト通
し70は、ベルトを通すためのものであるが、この表面
に例えばエンブレム等の刺繍を施すると、さらに見栄え
をよくすることができる。
【0031】次に、図9に、請求項の発明に係るズボ
ン等のウエスト伸縮構造の一実施例を示す。このウエス
ト伸縮構造は、前述の図7に示したウエスト伸縮構造に
加えて、弾性材30または第二の弾性材31の最大伸び
を抑制する抑制手段として、弾性に劣る材料から形成さ
れた伸び止め材50を備え、この伸び止め材50の両端
を、弾性材30と第二の弾性材31との両方が縮むと弛
んだ状態となるように、弾性材30における下側の布地
11に連結された側の端部と、第二の弾性材31におけ
る上側の布地12に連結された側の端部とに連結したも
のである。
【0032】なお、弾性材30または第二の弾性材31
の最大伸びを抑制する抑制手段としては、これに限ら
ず、例えば、弾性材30と第二の弾性材31との各々の
両端に個々に伸び止め材50を連結する等、種々のもの
を採用することができる。
【0033】最後に、図10に、請求項の発明に係る
ズボン等のウエスト伸縮構造の一実施例を示す。このウ
エスト伸縮構造は、前述の図3、図7〜9等に示したウ
エスト伸縮構造において、タック10の奥端部分13b
を切断し、この切断部15に補助布地60を縫い着け
て、タック20がウエスト部20に向かって深くなるよ
うにしたものである。ここで、補助布地60としてレザ
ー等の滑り易い材質のものを使用すると、擦れ合いによ
る毛羽立ちが生じ難く好ましい。
【0034】なお、本実施例においては、補助布地60
をタック10の奥端部分13bに縫い着けることによっ
てタック20がウエスト部20に向かって深くなるよう
にした例を示したが、これに限らず、例えば、タック1
0がウエスト部20に向かって深くなるように、一枚の
布地を折り重ねてタック10を形成しても良い。
【0035】以上、本各発明に係るウエスト伸縮構造を
ズボン100に採用した例を示したが、本各発明に係る
ウエスト伸縮構造は、ズボン100に限らず、例えばタ
ック10を備えたスカートや、複数のプリーツを備えこ
のプリーツの一部をタック10としたプリーツスカート
等、衣服の広汎に採用されるものである。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、まず、請求
項1の発明に係るズボン等のウエスト伸縮構造は、タッ
クの先端部分側に弾性材を備え、この弾性材等の少なく
とも表側を下側の布地によって被覆したものであり、ウ
エスト部の伸縮が弾性材によってタック部分においてな
されるようにし、しかも、弾性材等が露呈しないように
したものである。
【0037】
【0038】次に、請求項の発明に係るズボン等のウ
エスト伸縮構造は、弾性材と上側の布地とを被覆する下
側の布地の端部を、さらに被覆するベルト通しを備えた
ものであり、上側の布地と下側の布地との相対的に伸縮
する部位をベルト通しによって隠すことができるように
したものである。
【0039】次に、請求項の発明に係るズボン等のウ
エスト伸縮構造は、弾性材等の最大伸びを抑制する抑制
手段を備え、弾性材等が不用意に伸びきって美感を損ね
ることを防止することができるようにしたものである。
【0040】最後に、請求項の発明に係るズボン等の
ウエスト伸縮構造は、タックがウエスト部に向かって深
くなるようにしたものであり、ウエスト部の伸びによっ
てタックの深さが不用意に浅くなり美感を損ねたり、ウ
エスト部の伸縮によるタックの奥端部分の擦れ合いによ
って布地に毛羽立ちが生じて美感を損ねたりすることを
防止することができようにしたものである。
【0041】従って、本各発明によれば、着用者のウエ
ストの寸法に応じてウエスト部を伸縮させることができ
るばかりでなく、デザイン的にも良好なズボン等のウエ
スト伸縮構造を、簡単な構造によって提供することがで
き、特に、請求項2から請求項までの発明によれば、
さらに見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明に係るズボン等のウエスト伸縮
構造を採用したズボンの一例を示す正面図である。
【図2】(a)弾性材が縮んだ状態を示す図1における
A部拡大図である。 (b)弾性材が伸びた状態を示す図1におけるA部拡大
図である。
【図3】図1おけるA部のウエスト伸縮構造の一実施例
を示す分解斜視図である。
【図4】弾性材の別の例を示す部分正面図である。
【図5】弾性材のさらに別の例を示す部分正面図であ
る。
【図6】弾性材のさらにまた別の例を示す部分正面図で
ある。
【図7】請求項の発明に係るズボン等のウエスト伸縮
構造の別の実施例を示す分解斜視図である。
【図8】(a)請求項の発明に係るズボン等のウエス
ト伸縮構造の一実施例(ベルト通しを備える前の状態)
を示す斜視図である。 (b)請求項の発明に係るズボン等のウエスト伸縮構
造の一実施例(ベルト通しを備えた状態)を示す斜視図
である。
【図9】請求項の発明に係るズボン等のウエスト伸縮
構造の一実施例を示す分解斜視図である。
【図10】請求項の発明に係るズボン等のウエスト伸
縮構造の一実施例を示す分解部分斜視図である。
【図11】従来のズボン等のウエスト伸縮構造を採用し
たズボンの一例を示す正面図である。
【符号の説明】
10 タック 10a タック 11 下側の布地 11a 下側のウエスト布地 12 上側の布地 12a 上側のウエスト布地 13a タックの先端部分 13b タックの奥端部分 14 タック部分 15 切断部 20 ウエスト部 30 弾性材 31 第二の弾性材 50 伸び止め材 60 補助布地 70 ベルト通し 100 ズボン

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウエスト部分にタックを備えたズボン等の
    ウエスト伸縮構造であって、 一端が前記タックの上側の布地におけるタックの先端部
    分から延出する部位に連結され、他端がタックの下側の
    布地に連結された弾性材を備え、 この弾性材と前記上側の布地におけるタックの先端部分
    から延出する部位との少なくとも表側を、前記下側の布
    地によって被覆したことを特徴とするズボン等のウエス
    ト伸縮構造。
  2. 【請求項2】前記弾性材と前記上側の布地とを被覆する
    前記下側の布地の端部に、該端部をさらに被覆するベル
    ト通しを備えたことを特徴とする請求項1記載のズボン
    等のウエスト伸縮構造。
  3. 【請求項3】前記弾性材または前記第二の弾性材の最大
    伸びを抑制する抑制手段を備えたことを特徴とする請求
    項1または請求項2の何れかに記載のズボン等のウエス
    ト伸縮構造。
  4. 【請求項4】前記タックを、ウエスト部に向かって深く
    なるものとしたことを特徴とする請求項1から請求項3
    までの何れかに記載のズボン等のウエスト伸縮構造。
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