JP2517399Y2 - ロッドレスシリンダ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ロッドレスシリンダ装
置に関し、特に、ピストンの端部に設けられるパッキン
の構造に適用して有効な技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のロッドレスシリンダ装置では、ピ
ストンの端部にクッションパッキンを設け、ピストンの
端部寄りの外周面にシールパッキンを嵌着する構造とな
っていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、前記したロッ
ドレスシリンダ装置の構造では、ピストンの端部にクッ
ションパッキンとシールパッキンとを別々に設ける構造
であるので、パッキン部品の点数およびパッキン取付の
工数が増大し、コストが高くつくという問題があった。

【０００４】本考案の目的は、パッキン部品の点数およ
びパッキン取付の工数を減少させ、コストの低廉化を図
ることのできるロッドレスシリンダ装置を提供すること
にある。

【０００５】本考案の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかに
なるであろう。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本願において開示される
考案のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。

【０００７】本考案のロッドレスシリンダ装置は、ピス
トンを直線状に往復動自在に収容するシリンダ室を有す
るチューブと、前記チューブに形成されたスリット部内
を移動するピストンヨークにより前記ピストンに連結さ
れ、前記チューブの外周面に沿って移動するピストンマ
ウント部と、前記スリット部を前記チューブの内面でシ
ールするインナシールバンドと、前記スリットを前記チ
ューブの外面でシールするアウタシールバンドとを有す
るロッドレスシリンダであって、前記チューブの端面に
前記シリンダ室内に突出するとともに給排ポートに連通
され、前記ピストンが前記チューブの端部に向けて移動
したときに前記ピストンの端面に形成されたクッション
孔に挿入されるクッションパイプと、前記シリンダ室の
内周面と前記ピストンとの間をシールするシールパッキ
ン部と、前記ピストンが前記チューブの端部にまで移動
したときに前記クッションパイプと前記シリンダ室との
間をシールするクッションパッキン部と、前記ピストン
が往復動端の位置まで移動したときに前記チューブの端
部内面に衝突するダンパ部とを備え、前記シールパッキ
ン部と前記クッションパッキン部と前記ダンパ部とが同
一素材で一体成形されて前記ピストンの端面に取り付け
られるピストンパッキンとを有し、前記ピストンパッキ
ンを複合機能形構造としたことを特徴とする。

【０００８】この場合、前記ピストンパッキンはピスト
ンの端部に嵌合により取付けられる構造とすることがで
きる。

【０００９】

【作用】前記した本考案のロッドレスシリンダ装置によ
れば、ピストンの端部に設けられるピストンパッキンは
少なくともシールパッキン部と、クッションパッキン部
とを同一素材で一体成形した複合機能形構造としたの
で、パッキン部品の点数およびパッキン取付の工数を減
少させ、コストの低廉化を図ることができる。

【００１０】この場合、前記ピストンパッキンはピスト
ンの端部に嵌合により取付けられる構造としたので、ピ
ストンの端部にピストンパッキンをワンタッチで取付
け、パッキン取付の工数をより一層減少させることがで
きる。

【００１１】図１は本考案の前提構造としてのロッドレ
スシリンダを示す断面図、図２は図１のロッドレスシリ
ンダ装置の要部を示す拡大断面図、図３は図２のロッド
レスシリンダ装置の要部を示す拡大正面図である。

【００１２】図１に示すように、このロッドレスシリン
ダ装置はシリンダチューブ１を有している。このシリン
ダチューブ１に軸方向に延在するスリット部２が形成さ
れ、このスリット部２には、アウタシールバンド３およ
びインナシールバンド４が互いに対向して張付けられ、
アウタシールバンド３はスリット部２をシリンダチュー
ブ１の外面でシールして外部からのゴミの侵入を防ぐ機
能を有し、インナシールバンド４はスリット部２をシリ
ンダチューブ１の内面でシールしてスリット部２からの
エア漏れを防止する機能を有する。

【００１３】前記シリンダチューブ１の外周面にピスト
ンマウント５が摺設され、このピストンマウント５にピ
ストン６の移動力を伝達するピストンヨーク７が前記ス
リット部２を貫通して設けられ、このピストンヨーク７
はインナシールバンド４とアウタシールバンド３とを押
し分けながら移動し、移動後、インナシールバンド４は
再びスリット部２に張付き、内面は空気圧によりシール
される構造となっている。

【００１４】また、エンドカバー１１の内端部に給排ポ
ート８と連通するクッションパイプ９が設けられ、この
クッションパイプ９に対応したピストン６の端部の位置
に、クッション穴１０が形成され、このクッション穴１
０へのクッションパイプ９の嵌入により排気流量がニー
ドル弁２５を介して絞られ、ストローク端でのピストン
６の慣性力が吸収される構造となっている。

【００１５】

【００１６】ピストンパッキン１２はパッキン本体１３
を有している。このパッキン本体１３はピストン６と同
径の円板形状をなし、その中心にクッションパイプ９を
出入させる孔１４が形成されている。この孔１４の開口
端部にクッションパイプ９の外周面とのシールを行うリ
ップタイプのクッションパッキン部１５が一体成形され
ている。パッキン本体１３の外周面にシリンダ室１６の
内周面とのシールを行うリップタイプのシールパッキン
部１７が一体成形されている。

【００１７】前記パッキン本体１３に取付孔１８が形成
され、この取付孔１８に挿通する取付ボルト１９を介し
てピストンパッキン１２がピストン６の端部に取付けら
れる構造となっている。

【００１８】

【００１９】前記構成のピストンパッキン１２を製造す
る場合、前記ピストンパッキン１２に対応したキャビテ
ィを有する型を用い、この型のキャビティ内に溶融ニト
リルゴムを流し込んでクッションパッキン部１５および
シールパッキン部１７を一体成形したピストンパッキン
１２を形成する。次いで、ピストンパッキン１２の表面
にハロゲン化物処理を施す。

【００２０】ピストン６にピストンパッキン１２を取付
ける場合、取付孔１８に挿通する取付ボルト１９を介し
てピストンパッキン１２をピストン６の端部に取付け
る。

【００２１】ピストンパッキン１２のシール作用につい
ては、ストローク端へピストン６が移動するとき、クッ
ション穴１０にクッションパイプ９が嵌入し、このクッ
ションパイプ９の外周面にクッションパッキン部１５が
空気圧により圧接され、クッションパイプ９の外周面と
クッション穴１０の内周面との内部リークが防止され
る。

【００２２】また、ピストン６の往復移動の際、シリン
ダ室１６の内周面にシールパッキン部１７が空気圧によ
り圧接され、シリンダ室１６の内周面とピストン６の外
周面との内部リークが防止される。

【００２３】このようにピストンパッキン１２はシール
パッキン部１７とクッションパッキン部１５とを一体成
形してなる複合機能形構造としたので、パッキン部品の
点数およびパッキン取付の工数を減少させ、コストの低
廉化を図ることができる。

【００２４】

【実施例】図４は本考案の一実施例であるロッドレスシ
リンダ装置の要部を示す拡大断面図であり、図４にあっ
ては、前提構造のロッドレスシリンダ装置を示す図１〜
図３における部材と共通する部材には同一の符号が付さ
れている。

【００２５】図示実施例のロッドレスシリンダ装置は、
図１〜図３に示されたものとほぼ同様の前提構成を有し
ており、ピストンパッキン１２ａはクッションパッキン
部１５およびシールパッキン部１７に加えて、ダンパ部
２０をも一体成形した複合機能形構造とし、より一層、
パッキン部品の点数を減少させ、コストの低廉化を図っ
たものである。

【００２６】また、クッション穴１０の開口端部にフラ
ンジ２１を形成し、ピストン６の端部寄りの外周面に外
周溝２２を形成し、これに対し、ピストンパッキン１２
では、パッキン本体１３に前記外周溝２２に嵌合する内
周嵌合部２３を形成し、この内周嵌合部２３とダンパ部
２０との間にフランジ２１と嵌合する内周溝２４を形成
した嵌合構造とし、ピストン６の端部にピストンパッキ
ン１２ａをワンタッチで取付け、パッキン取付の工数を
より一層減少させたものである。

【００２７】以上、本考案者によってなされた考案を実
施例に基づき具体的に説明したが、本考案は、前記実施
例に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲
で種々変更可能であることはいうまでもない。

【００２８】たとえば、ピストンの端部に対するピスト
ンパッキンの取付は、ボルトを介して行っても良く、ピ
ストンの端部にピストンパッキンを接着剤あるいは焼付
けにより取付けるようにしても良い。

【００２９】また、ピストンパッキンを円板形状とする
ことなく、シリンダチューブの断面を楕円形状とし、こ
れに対応させてピストンパッキンを楕円板形状とするこ
とができる。

【００３０】以上の説明では、主として本考案者によっ
てなされた考案をその利用分野である空気圧で作動する
ロッドレスシリンダ装置に適用した場合について説明し
たが、これに限らず、油圧で作動するロッドレスシリン
ダ装置にも適用できる。

【００３１】

【考案の効果】本願において開示される考案のうち、代
表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。

【００３２】(1).ピストンの端部に設けられるピストン
パッキンはシールパッキン部とクッションパッキン部と
ダンパ部とを有し、これらを同一素材で一体成形した複
合機能形構造としたので、パッキン部品の点数およびパ
ッキン取付の工数を減少させ、コストの低廉化を図るこ
とができる。

【００３３】(2).ピストンパッキンはピストンの端部に
嵌合により取付けられる構造としたので、ピストンの端
部にピストンパッキンをワンタッチで取付け、パッキン
取付の工数をより一層減少させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の前提となるロッドレスシリンダ装置の
構造を示す断面図である。

【図２】図１のロッドレスシリンダ装置の要部を示す拡
大断面図である。

【図３】図２のロッドレスシリンダ装置の要部を示す拡
大正面図である。

【図４】本考案の一実施例であるロッドレスシリンダ装
置の要部を示す拡大断面図である。

【符号の説明】

１ シリンダチューブ ２ スリット部 ３ アウタシールバンド ４ インナシールバンド ５ ピストンマウント ６ ピストン ７ ピストンヨーク ８ 給排ポート ９ クッションパイプ １０ クッション穴 １１ エンドカバー １２ ピストンパッキン １２ａ ピストンパッキン １３ パッキン本体 １４ 孔 １５ クッションパッキン部 １６ シリンダ室 １７ シールパッキン部 １８ 取付孔 １９ 取付ボルト ２０ ダンパ部 ２１ フランジ ２２ 外周溝 ２３ 内周嵌合部 ２４ 内周溝 ２５ ニードル弁

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストンを直線状に往復動自在に収容す
   るシリンダ室を有するチューブと、前記チューブに形成
   されたスリット部内を移動するピストンヨークにより前
   記ピストンに連結され、前記チューブの外周面に沿って
   移動するピストンマウント部と、前記スリット部を前記
   チューブの内面でシールするインナシールバンドと、前
   記スリットを前記チューブの外面でシールするアウタシ
   ールバンドとを有するロッドレスシリンダ装置であっ
   て、 前記チューブの端面に前記シリンダ室内に突出するとと
   もに給排ポートに連通され、前記ピストンが前記チュー
   ブの端部に向けて移動したときに前記ピストンの端面に
   形成されたクッション孔に挿入されるクッションパイプ
   と、 前記シリンダ室の内周面と前記ピストンとの間をシール
   するシールパッキン部と、前記ピストンが前記チューブ
   の端部にまで移動したときに前記クッションパイプと前
   記シリンダ室との間をシールするクッションパッキン部
   と、前記ピストンが往復動端の位置まで移動したときに
   前記チューブの端部内面に衝突するダンパ部とを備え、
   前記シールパッキン部と前記クッションパッキン部と前
   記ダンパ部とが同一素材で一体成形されて前記ピストン
   の端面に取り付けられるピストンパッキンとを有し、 前記ピストンパッキンを 複合機能形構造としたことを特
   徴とするロッドレスシリンダ装置。
2. 【請求項２】 前記ピストンパッキンは前記ピストンの
   端面に嵌合により取付けられる構造としたことを特徴と
   する請求項１記載のロッドレスシリンダ装置。