JP2516528Y2 - 手洗連接パイプの接続構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、手洗連接水パイプの
接続構造に関するものである。さらに詳しくは、この考
案は、手洗連接パイプの手洗器本体への取付施工を簡便
かつ容易とするとともに、手洗連接パイプのカラン胴体
側への突出寸法を精度よく決めることのできる壁内部分
埋め込み式の手洗器における手洗連接パイプの接続構造
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、トイレ、手洗場等に設置され
ている手洗器は、種々の構成、構造および意匠を有する
ものが開発されてきており、たとえば図２に示したよう
な壁内に本体の一部を埋め込み固定する方式のものが知
られている。たとえばこの図２に示した壁内部分埋め込
み式の手洗器においては、壁体（ア）内へ埋め込むため
の後方へ突出した突出部（イ）を有するパネル部（ウ）
からボウル部（エ）およびカウンタ部（オ）を前方に延
設している。これらのパネル部（ウ）、ボウル部（エ）
およびカウンタ部（オ）は、たとえば陶磁器、他の各種
セラミックス、複合材等によって形成されている。パネ
ル部（ウ）の突出部（イ）の上部には、手洗水を吐出さ
せるための吐出口（カ）を設けている。また、カウンタ
部（オ）には、上下に貫通するカラン（キ）を配設して
いる。このカラン（キ）の上部には、たとえば自閉水栓
（ク）等の水栓器具を配している。このカラン（キ）へ
の給水は、壁体（ア）を介して配管した給水管（ケ）と
カラン（キ）の接続により行われる。また、吐水口
（カ）から吐出される洗浄水は、吐出口（カ）とカラン
（キ）を接続する手洗連接パイプ（コ）を介して供給す
るようにしている。この手洗連接パイプ（コ）は、手洗
器パネル部（ウ）の突出部（イ）の背面に沿って壁体
（ア）内に埋設されている。

【０００３】この図２に示したような手洗器は、手洗器
本体のパネル部（ウ）に突出部（イ）を設けることによ
り、手洗スペースを充分に確保することができるととも
に、壁体（ア）内に埋め込むことによって、狭いトイレ
や手洗場などの限られたスペースでも設置可能となると
いう優れた利点を有しているものである。図３は、図２
の点線円内を拡大して示した部分拡大断面図である。

【０００４】この図３に示したように、従来の壁内埋め
込み式の手洗器においては、カラン（キ）の胴体と洗浄
水供給用の手洗連接パイプ（コ）の接続を次のような固
定構造により実現している。すなわち、手洗器のボウル
部（エ）から下方へ延設した下幕（サ）に、カラン
（キ）の胴体に設けた接続口（シ）に対応する位置に、
別の接続口（ス）を設けておき、この接続口（ス）に前
方に屈曲する手洗連接パイプ（コ）の水平部（セ）を挿
入する。次いで、この手洗連接パイプ（コ）の水平部
（セ）をカラン（キ）胴体の接続口（シ）に挿入する。
この後に、抜け止めリング（ソ）を用いて手洗連接パイ
プ（コ）を手洗器のボウル部下幕（サ）に固定し、ま
た、袋ナット（タ）を締め上げてカラン（キ）胴体と手
洗連接パイプ（コ）を固定する。こうして、手洗連接パ
イプ（コ）とカラン（キ）が接続される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、たとえ
ばこの図３に示したような従来の壁内部分埋め込み式の
手洗器における手洗連接パイプの接続構造においては、
手洗連接パイプ（コ）をカラン（キ）胴体に接続するた
めの抜け止めリング（ソ）と袋ナット（タ）の間隔が非
常に狭く、しかもこれらの抜け止めリング（ソ）および
袋ナット（タ）の締め上げ作業にはごくわずかのスペー
スしかとれないため、その作業は非常にやりにくく、大
変骨の折れるものとなっていた。

【０００６】また、手洗器のボウル部下幕（サ）の接続
口（ス）からカラン（キ）側へ突出する手洗連接パイプ
（コ）の水平部（セ）の長さ（ｌ）は、施工現場の状
態、施工状態などによりその寸法にバラつきが生じやす
いという欠点がある。カラン（キ）は、一般的に、図４
に示したような構造を有しているため、図３に示した手
洗連接パイプ（コ）の水平部（セ）の長さ（ｌ）の寸法
のバラつきにより、連通路（チ）の内壁部（ツ）に手洗
連接パイプ（コ）の先端部が当たってしまい、その結果
として、カラン（キ）から図１に示した吐水口（カ）へ
の水路が阻止されてしまうという問題があった。

【０００７】壁内埋め込み式の手洗器の場合には、カラ
ン（キ）と手洗連接パイプ（コ）の接続に際しては、特
に、図３に示した手洗連接パイプ水平部（セ）の接続口
（ス）からカラン（キ）側への突出長さ（ｌ）の寸法精
度が厳しく要求されるのである。この考案は、以上の通
りの事情に鑑みてなされたものであり、従来の手洗連接
パイプの接続構造の欠点を解消し、手洗連接パイプの手
洗器本体への取付施工を簡便かつ容易とするとともに、
手洗連接パイプのカラン胴体側への突出寸法を精度よく
確定することのできる壁内部分埋め込み式の手洗器にお
ける手洗連接パイプの接続構造を提供することを目的と
している。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この考案は、上記の課題
を解決するものとして、上部に吐水口を有し、かつ後方
に突出する突出部をパネル部に設けるとともに、パネル
部からボウル部とともに前方へ延設したカウンタ部に上
下に貫通するカランを設けてなる壁内部分埋め込み式の
手洗器において、手洗器のボウル部下幕の下端部から後
方へと延設した水平フランジ部に第１の接続口を設け、
かつカラン胴体の下端部に設けた第２の接続口を前記水
平フランジ部に対応させて配置するとともに、手洗器本
体の背面形状に対応させ、かつ手洗器のボウル部下幕下
端から前方へと屈曲させた手洗連接パイプを前記水平フ
ランジ部の第１の接続口とカラン胴体下端部の第２の接
続口に固定し、手洗連接パネルをカラン胴体に接続して
なることを特徴とする壁内部分埋め込み式の手洗器にお
ける手洗連接パイプの接続構造を提供する。

【０００９】

【作 用】この考案の手洗連接パイプの接続構造におい
ては、手洗器のボウル部下幕の下端部から後方へと延設
した水平フランジ部に第１の接続口を設け、かつカラン
胴体の下端部に設けた第２の接続口をその水平フランジ
部の対応して配置する。これとともに、手洗器本体の背
面形状に対応させ、また、手洗器のボウル部下幕下端か
ら前方へと屈曲させた手洗連接パイプを上記した水平フ
ランジ部の第１の接続口とカラン胴体下端部の第２の接
続口に固定することによって、手洗連接パネルをカラン
胴体に接続することができる。手洗連接パイプの手洗器
本体との固定場所と、カラン胴体との固定場所を充分に
離すことができ、その固定作業のためのスペースを充分
広く取ることができる。手洗連接パイプの手洗器本体へ
の取付施工が著しく簡便かつ容易となる。また、手洗連
接パイプのカラン胴体側への突出寸法を、手洗連接パイ
プの形状と手洗器のボウル部下幕に設けた水平フランジ
部での固定により、精度良く決めることができる。手洗
連接パイプの先端部がカラン内壁部に当たり水路の形成
を阻害するのを防止することができる。手洗連接パイプ
の接続が安定化される。

【００１０】

【実施例】以下、図面に沿って実施例を示し、この考案
の手洗連接パイプの接続構造についてさらに詳しく説明
する。図１は、この考案の手洗連接パイプの接続構造の
一実施例を示した要部断面図である。 たとえばこの図
１に示したように、この考案の手洗連接パイプの接続構
造においては、壁内埋め込み式の手洗器において、手洗
器のボウル部（１）より下方に延設した下幕（２）の下
端部に水平フランジ部（３）を設けている。この水平フ
ランジ部（３）には、手洗連接パイプ（４）固定用の接
続口（５）を形成している。

【００１１】一方、カラン（６）の下端部のボウル部下
幕（２）側には、手洗連接パイプ（４）と接続するため
の接続口（７）を配している。このカラン（５）の手洗
器ボウル部（１）下面から接続口（７）までの胴体長さ
（Ｈ）は、上記したボウル部下幕（２）の長さ（ｈ）に
対応させている。このカラン（６）の胴体長さ（Ｈ）
は、ボウル部下幕（２）の長さ（ｈ）とともに、規格化
することが可能である。またこの図１に例示したよう
に、手洗連接パイプ（４）は、手洗器パネル部（８）に
設けた壁内埋め込み用の突出部（９）、ボウル部（１）
およびボウル部下幕（２）の背面に沿うように屈曲させ
ている。

【００１２】たとえば以上の構成を有するカラン（６）
と手洗連接パイプ（４）を接続する場合には、まず、手
洗連接パイプ（４）を手洗器ボウル部（１）の下幕
（２）の水平フランジ部（３）に形成した接続口（３）
に貫通させる。次いで、手洗連接パイプ（４）を手洗器
の突出部（９）、ボウル部（１）およびボウル部下幕
（２）の背面に合わせて、あるいはその下端部に予め記
された所定の部位を屈曲させることなどにより、カラン
（６）側に水平に屈曲させる。このようにして形成させ
た手洗連接パイプ（４）の水平部（１０）をカラン
（６）胴体に設けた接続口（７）に挿入する。そして、
抜け止めリング（１１）を用いて手洗連接パイプ（４）
を水平フランジ部（３）に固定する。また、袋ナット
（１２）を締め付けてカラン（６）胴体と手洗連接パイ
プ（４）を接続する。

【００１３】このように、この考案の接続構造において
は、手洗連接パイプ（４）の手洗器との固定場所と、カ
ラン（６）との固定場所を充分離すことができるため、
手洗連接パイプ（４）の接続固定に際して、作業スペー
スを確保することができる。このため、その接続固定作
業が著しく簡便かつ容易となる。また、手洗連接パイプ
（４）の形状を手洗器本体の背面形状に対応させてお
り、しかも手洗器本体への取付けをボウル部下幕（２）
の水平フランジ部（３）で行うため、手洗連接パイプ
（４）の水平部（１０）の長さ（Ｌ）の寸法を精度良く
決めることができる。寸法（Ｌ）が従来のようにバラつ
くことはない。その結果、カラン（６）へ挿入する手洗
連接パイプ（４）の挿入長さの寸法も精度良く確定する
ことが可能となる。カラン（６）胴体と手洗連接パイプ
（４）の安定な接続が実現される。

【００１４】もちろんこの考案は、以上の例によって限
定されるものではない。手洗器およびカランの構成およ
び構造等の細部については様々な態様が可能であること
はいうまでもない。

【００１５】

【考案の効果】以上詳しく説明した通り、この考案によ
って、手洗連接パイプの手洗器本体への取付施工を簡便
かつ容易とすることができる。その取付け施工の作業効
率が向上する。また、手洗連接パイプのカラン胴体側へ
の突出寸法を精度よく決めることができ、安定した手洗
連接パイプのカランの接続が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の手洗連接パイプの接続構造の一実施
例を示した要部断面図である。

【図２】従来の壁内部分埋め込み式の手洗器を示した側
面図である。

【図３】図２の点線円内の部分拡大断面図である。

【図４】カランの構造を示した断面図である。

【符号の説明】

１ ボウル部 ２ ボウル部下幕 ３ 水平フランジ部 ４ 手洗連接パイプ ５，７ 接続口 ６ カラン ８ パネル部 ９ 突出部 １０ 水平部 １１ 抜け止めリング １２ 袋ナット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部に吐水口を有し、かつ後方に突出す
   る突出部をパネル部に設けるとともに、パネル部からボ
   ウル部とともに前方へ延設したカウンタ部に上下に貫通
   するカランを設けてなる壁内部分埋め込み式の手洗器に
   おいて、手洗器のボウル部下幕の下端部から後方へと延
   設した水平フランジ部に第１の接続口を設け、かつカラ
   ン胴体の下端部に設けた第２の接続口を前記水平フラン
   ジ部に対応させて配置するとともに、手洗器本体の背面
   形状に対応させ、かつ手洗器のボウル部下幕下端から前
   方へと屈曲させた手洗連接パイプを前記水平フランジ部
   の第１の接続口とカラン胴体下端部の第２の接続口に固
   定し、手洗連接パネルをカラン胴体に接続してなること
   を特徴とする壁内部分埋め込み式の手洗器における手洗
   連接パイプの接続構造。