JP2516405Y2 - 移動農機における排藁結束装置の根揃え機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、移動農機における排藁結束装置の根揃え機
構に係るものである。

〔従来の技術〕

従来、排藁搬送装置の後方に排藁結束装置を設けて送
り出された排藁を結束するようにした移動農機において
は、排藁搬送装置の搬送終端部と排藁結束装置との間に
株寄せ用の搬送ベルトを設け、その後方に株元をたたき
揃える株元揃え装置を設けた根揃え機構が知られている
（例えば実開昭62-151112号公報）。

〔本考案が解決しようとする課題〕

ところが、排藁結束装置に向けて搬送ベルトを設けた
だけでは、排藁の株元を押圧することはできても、後方
への搬送力が弱いので、搬送される排藁量が多かったり
排藁姿勢に乱れがあると、往々にして排藁結束装置の前
で排藁の詰りを生じ作業に支障を及ぼすことがある。一
方、排藁搬送装置からの排藁を稈身方向に寄せながら、
確実に搬送できるようにするには、株元寄せ装置の作動
構造が複雑となり、しかも後方の株元に揃え装置を搖動
させる作動装置も必要なので、根揃え機構全体を排藁搬
送装置と排藁結束装置との間にコンパクトに配置できな
いという問題がある。

本考案は上記の如き実情に鑑み創案されたものであっ
て、排藁搬送装置からの排藁を稈身方向に寄せながら確
実に後方へ搬送し、適正な排藁姿勢に株元を揃えて整然
と結束することができ、しかも根揃え機構全体を排藁搬
送装置と排藁結束装置との間にコンパクトに配置するこ
とができる移動農機における排藁結束装置の根揃え機構
を提供することを目的課題としたものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するため本考案が講じた技術的手段
は、排藁搬送装置の後方に排藁結束装置を設けた移動農
機において、前記排藁搬送装置の搬送終端部と排藁結束
装置との間に、複数の搬送突起を有し楕円軌跡を画いて
往復作動する揺動搬送板を設け、前記揺動搬送板の終端
から排藁結束装置の結束室側面に臨んで株元揃え板を揺
動可能に設け、前記揺動搬送板と株元揃え板の作動装置
を揺動搬送板と株元揃え板とで囲まれる作用背面位置に
配設し、前記作動装置への排藁の侵入を防止するように
したことを特徴とするものである。

〔考案の作用〕

したがって本考案によれば、排藁搬送装置で搬送され
た排藁は、搬送終端部と排藁結束装置との間に設けた株
元寄せ装置の搖動搬送板で引継がれ、搖動搬送板の搖動
作用と搬送作用により株元を稈身方向に寄せながら排藁
結束装置に向けて搬送される。ついで排藁結束装置の結
束室に送り込まれる排藁は、搖動搬送板の終端から結束
室側面に臨んで搖動する株元揃え板が株元を揃え、適正
な排藁姿勢となって結束される。

そして、搖動搬送板と株元揃え板との作用背面位置に
設けた作動装置は、搖動搬送板と株元揃え板とで囲まれ
た空間に配設されるので、根揃え機構全体をコンパクト
に配置することができる。

〔実施例〕

つぎに本考案の実施例を添付した図面に基い詳述す
る。Ａはコンバイン等の移動農機に搭載された脱穀機か
らの排藁搬送装置、Ｂは排藁搬送装置Ａの後方に設けた
排藁結束装置であって、上記排藁搬送装置Ａと排藁結束
装置Ｂとの間の株元側に株元寄せ装置Ｃが設けられてい
る。Ｄは結束たばの搬出装置、Ｅ、Ｆは排藁掻き込み装
置である。

１は上記株元寄せ装置Ｃの搖動搬送板であって、排藁
搬送装置Ａによる搬送終端部の株元位置と排藁結束装置
Ｂとの間に結束室２入口に向って傾斜状に配設されてい
る。該搖動搬送板１は入力軸３からの動力により搖動
し、排藁の株元を押圧して稈身方向穂先側に寄せながら
後方の結束室２に搬送するものであるが、その作動装置
が搖動搬送板１の作用背面位置に設けられている。

すなわち、入力軸３からの動力は傘歯車4,5を介して
搖動搬送板１の作用背面側に位置する縦軸６に伝達さ
れ、該縦軸６の下端に設けたクランク部７がリンク８を
介して搖動搬送板１の前端部背面に連動連結されてい
る。また上記縦軸６には、いずれも搖動搬送板１の背面
側に位置する他の縦軸９およびクランク軸10がチエン11
を介して連動連結されている。そして上記縦軸９に設け
たクランク部12を、アーム13,14を介して搖動搬送板１
の後端部背面に連結することにより、リンク８とアーム
13,14が協働して搖動搬送板１全体を第４図に示す楕円
軌跡（イ）を画いて平行状に往復作動させるようになっ
ている。また上記搖動搬送板１の表面には複数の搬送突
起15,15…が設けられている。

16は結束される排藁の株元をたたく株元揃え板であっ
て、該株元揃え板16を取付けた支持杆17の基端部が機体
側に固定した支え腕18の支点軸19に回動自在に軸支され
ていて、株元揃え板16が搖動搬送板１の作動終端位置か
ら後方の結束室２側面に臨んで前後方向に配設されてい
る。そしてクランク軸10の上端に設けたクランク部20を
株元揃え板16の作用背面側に搖動ロッド21を介して連結
することにより、株元揃え板16を搖動させる作動装置が
構成されている。したがって前記搖動搬送板１と株元揃
え板16との作動装置を、いずれも搖動搬送板１と株元揃
え板16とで囲まれた作用背面位置の空間を利用して配設
できるようになっている。

22,22は排藁結束装置Ｂのパッカー、23は感知ドアで
あって、該感知ドア23がパッカー22により集束された排
藁の一定押圧力を感知して作動すると、結束ケース24内
の回転クラッチ機構が作動して、一連の結節、結束たば
放出作用を行うものである。

なお、Ｇは排藁搬送装置Ａの下方に設けた排藁カッタ
装置であって、上下に開閉する案内カバー25の切換によ
り、排藁結束作業と細断放出作業とを行えるようになっ
ている。

上記の如き構成において、移動農機に搭載された脱穀
機が刈取穀稈を脱穀処理し、脱穀後の排藁は排藁搬送装
置Ａにより搬送される。ついで搬送終端部まで搬送され
た排藁を株元寄せ装置Ｃが引継いで後方へ搬送し、排藁
掻き込み装置E,Fとパッカー22,22とにより結束室２へ送
り込む。

そしてパッカー22,22で集束された排藁が一定量に達
すると、感知ドア23の作動に連動して排藁を結束し、放
出された結束たばは搬出装置Ｄを経て機体側方に搬出さ
れる。

上記の結束作業過程において、排藁搬送装置Ａの搬送
終端部から結束室２の入口に向う搖動搬送板１全体が楕
円軌跡（イ）を画いて平行状に往復作動するので、排藁
搬送装置Ａから引継いだ排藁には、株元を稈身方向にた
たく搖動作用と後方に向う搬送作用が加わることにな
る。そのうえ搖動搬送板１の表面に複数の搬送突起15,1
5…が設けられているので、引継いだ排藁を順次稈身方
向穂先側に寄せると共に、株元を揃えながら結束室２に
向けて搬送する。

ついで、予め株元が揃った姿勢で結束室２に送り込ま
れる排藁が結束室２の側面に臨む株元揃え板16で、さら
に株元をたたかれて完全に株元が揃った状態となって結
束される。このため排藁搬送装置Ａにより搬送される排
藁量が多かったり、排藁姿勢が乱れていても、排藁結束
装置の前で排藁の詰り等を生ずることなく、適正な排藁
姿勢として結束することができる。

そして排藁結束装置Ａからの排藁を稈身方向に寄せな
がら搬送できるようにしたものでありながら、搖動搬送
板１と株元揃え板16との作動装置を作業背面位置に設け
たので、結束室２の入口に向う搖動搬送板１と、結束室
２の側面に臨む株元揃え板16とで囲まれた空間を利用し
て配設することができて、根揃え機構全体を排藁搬送装
置Ａと排藁結束装置Ｂとの間の株元側にコンパクトに配
置することができる。

しかも作動装置を配置した作用背面位置が排藁通路と
ならないので、排藁が作動装置の回動部や搖動部に巻付
いたりすることはない。

〔考案の効果〕

これを要するに本考案は、排藁搬送装置の後方に排藁
結束装置を設けた移動農機において、前記排藁搬送装置
の搬送終端部と排藁結束装置との間に、複数の搬送突起
を有し楕円軌跡を画いて往復作動する揺動搬送板を設
け、前記揺動搬送板の終端から排藁結束装置の結束室側
面に臨んで株元揃え板を揺動可能に設け、前記揺動搬送
板と株元揃え板の作動装置を揺動搬送板と株元揃え板と
で囲まれる作用背面位置に配設し、前記作動装置への排
藁の侵入を防止するようにしたから、排藁搬送装置の後
方に設けた排藁結束装置で結束作業を行うに当り、排藁
搬送装置の搬送終端部と排藁結束装置との間に設けた株
元寄せ装置の搖動搬送板が、排藁搬送装置からの排藁を
搖動搬送するので、搖動搬送板の搖動作用と搬送作用と
により排藁を稈身方向に寄せながら排藁結束装置に向け
て確実に搬送することができる。ついで排藁結束装置の
結束室に送り込まれる排藁は、搖動搬送板の終端から結
束室側面に臨んで搖動する株元揃え板により、さらに株
元が揃えられるので、常に適正な排藁姿勢として整然と
結束することができる。

そして、搖動搬送板と株元揃え板との作用背面位置に
設けた作動装置は、搖動搬送板と株元揃え板とで囲まれ
る空間を有効に利用して配設することができるので、根
揃え機構全体を排藁搬送装置と排藁結束装置との間の株
元側にコンパクトに配置することができる。しかも作用
背面位置に設けた作動装置側が排藁搬送通路とならない
ので、排藁が作動装置に巻きついたりすることはなく、
円滑に結束作業を行うことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る移動農機における排藁結束装置の根
揃え機構の一実施例を示すものであって、第１図は全体
斜視図、第２図は全体側面図、第３図は要部の拡大側面
図、第４図は第３図の平面図である。 図中、１……搖動搬送板、２……結束室、16……株元揃
え板、Ａ……排藁搬送装置、Ｂ……排藁結束装置、Ｃ…
…株寄せ装置 である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】排藁搬送装置の後方に排藁結束装置を設け
   た移動農機において、前記排藁搬送装置の搬送終端部と
   排藁結束装置との間に、複数の搬送突起を有し楕円軌跡
   を画いて往復作動する揺動搬送板を設け、前記揺動搬送
   板の終端から排藁結束装置の結束室側面に臨んで株元揃
   え板を揺動可能に設け、前記揺動搬送板と株元揃え板の
   作動装置を揺動搬送板と株元揃え板とで囲まれる作用背
   面位置に配設し、前記作動装置への排藁の侵入を防止す
   るようにしたことを特徴とする移動農機における排藁結
   束装置の根揃え機構。