JP2516227B2 - 溝つき基板の製造方法 - Google Patents

溝つき基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、微細な形状を有する溝つき基板の製造方法
に関し、特に光ディスク基板、グレーティングレンズ、
回折格子等に使用するのに適した溝つき基板の製造方法
に関する。
〔従来の技術〕
従来、光ディスク基板等に用いる溝つき基板の製造方
法としては、ガラス等の基板上にフォトレジスト膜を塗
布した後、レーザー露光装置を用いてフォトレジスト膜
をレーザー光で選択的に露光し、現像処理後ドライエッ
チング等のエッチング処理を行なう方法が知られてい
る。
又、回折格子等に使用する微細パターンの作製方法と
して、有機金属化合物を含む溶液の所定の形状を有する
型と接触させながらゲル化させた後離型し乾燥させて所
望の形状まで収縮させる方法が知られている。(例えば
特開昭60−21215) 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記前者のフォトレジスト法によればガラス等の基板
上にミクロン間隔の溝を正確に作成できる利点を有する
ものの、レーザー光を用いての選択露光にあたり、1枚
のディスク状基板作成に数10分もの露光操作時間がかか
るために生産性が悪いという問題点があった。又、レー
ザーを用いる高精度の露光装置は極めて高価であるとと
もに精度の確保に繁雑な操作が必要であるという問題点
があった。
又後者の有機金属化合物溶液を用いる方法では、ゲル
体の収縮によって型形状よりも微細なパターンを作成で
きる利点はあるものの、収縮途中にゲル体にクラックが
入り割れてしまったり、乾燥速度等の不均一からそり等
の変形を生じやすい問題点があった。
上記問題点の解決方法として、基板状に有機金属化合
物を含む溶液の可塑性塗布膜を形成した後プレス型を押
しあてて該塗布膜状にプレス型の峰形状に対応する溝形
状を転写し、その後該塗布膜を焼成して固化させる溝つ
き基板の製造方法が考えられる。(特願昭60−241193) このプレス型を用いた溝つき基板の製造方法によれ
ば、光ディスク基板に用いる溝つき基板を簡単な操作に
より作製できる利点を有するものの、プレス型と該塗布
膜付き基板の接合工程においてプレス型と塗布膜の間に
大きな気泡が残留することか多く、これが欠点となり、
製品の分留りが著しく低いという問題点があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は前記問題点を解決するためになされたもので
あって、基板上および/または微細なパターンを有する
型上に有機金属化合物を含む溶液の塗布膜を形成し、そ
の後該基板および型を押合して基板上に型の凸形状に対
応する凹形状を有する微細な溝つき被膜を形成させ、そ
の後該被膜を固化させる溝つき基板の製造方法におい
て、該溶液中に増粘剤を含ませておくと共に該押合工程
を減圧下で行ない、該被膜が固化する前に該減圧を解除
している。
該押合工程での圧力は、1333Pa(=10Torr)以下(好
ましくは133.3Pa(=1TORR)以下)としておくと型と基
板の間に残留する気泡が十分小さくなるので好ましい。
本発明においては、前記溶液中に増粘剤を含ませると
共に、押合工程を減圧下で行なっているが、増粘剤を含
ませない状態で押合工程を減圧にすると、溶液中の溶剤
が揮発して急激に固化が進み、押合がうまく行なえなか
ったり、かえって塗膜中に気泡が発生しやすくなったり
する。
本発明に用いる増粘剤は、上記有機金属化合物を含む
溶液の粘性を増加させる効果を有し、塗布膜の形成を容
易にする。また同時に減圧下でも塗布膜を長時間やわら
かい状態(適度な粘性状態)を維持させる効果を有し、
パターニングを容易にする。該増粘剤としては水溶性で
あり、かつ有機溶媒に可溶な高分子材料が好まれて使用
される。なかでも、ポリエチレングリコール、ポリテト
ラメチレンエーテルグリコール等の鎖状ポリエーテルが
好まれて使用される。
又これらポリエチレングリコール、ポリテトラメチレ
ンエーテルグリコール等の添加量は該塗布液により生成
される酸化物重量の0.5〜1.8倍程度が好まれる。(添加
量が0.5倍以下であると減圧時に塗布膜が硬化してしま
いやすくなり、パターニングが困難となる。また逆に添
加量が1.8倍以上であると塗布膜がやわらかくなりすぎ
て、型くずれ等を生じやすくなる。) 上記有機金属化合物は単一又は混合物として、水およ
びアルコール等の有機溶剤、上記増粘剤および必要に応
じて酸又はアルカリの加水分解触媒等と混合して塗布用
溶液とされる。
型の微細パターンとしては、種々の形状のものが使用
でき、たとえば光ディスク用の案内溝として使用可能な
1μm程度の幅をもち、その深さが50〜200nmの微細パ
ターンや回折格子、グレーティングレンズとして使用可
能な数100nmの形状のパターンのものが使用できる。
本発明に用いる有機金属化合物は重縮合あるいは架橋
反応がおこることによって溶液の粘性を上昇させるよう
な化合物であれば使用できる。
例えばSi(OCH)4,Si(OC2H54,Ti(OC3H74,Ti(O
C4H94,Zr(OC3H74,Zr(OC4H94,Al(OC3H73,Al
(OC4H93,NaOC2H5等のM(OR)n〔MはSi,Ti,Zr,Ca,
Al,Na,Pb,B,Sn,Ge等の金属、Rはメチル,エチル等のア
ルキル基、nは1〜4の整数〕で示される通常ゾル−ゲ
ル法と呼ばれる方法に用いられる金属アルコラート、お
よび−Cl,−COOH,−COOR,−NH2, 等の重縮合あるいは架橋反応を行なう一般的官能基を含
む有機金属化合物等が例示できる。内でも金属アルコラ
ートが好まれて使用される。
該押合工程時の減圧は、該押合工程により作成された
微細な溝つき被膜が固化する前に完全又は部分的に解除
されるが、該減圧の解除により、押合時に巻き込まれた
泡の体積が減少する。
〔作 用〕
本発明によれば、塗布膜作成用の溶液中に増粘剤を含
ませているために、減圧下におかれても急激に塗膜が固
化する不都合がなく、又塗膜中に気泡が発生することも
少ない。
又接合時にまきこまれる気泡が減圧状態でまきこまれ
た泡であるので、大気圧に開放した時には小さな泡へと
縮まるため、欠点として影響する泡の数が減少する。
〔実 施 例〕
実施例−1 Si−テトラエトキサイドとβ−トリイソプロポキサイ
ドとをSiO2及びB2O3となった時のモル比として80:20と
なるようにそれぞれ秤量し、このSi−テトラエトキサイ
ドにモル比で5倍のエタノールと6倍の水(6wt%のHNO
3を含む)を加え、約70℃で4時間還流した後、β−ト
リイソプロポキサイドを添加し、さらに4時間還流を行
なう。この溶液に等量のエタノールを加え希釈し、さら
に分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)を、
最終生成物であるSiO2とB2O3の混合された酸化物に対す
るモル比で(PEG600)/(酸化物)=0.15の量を加え、
均一に溶かしたものを塗布溶液とした。
この塗布溶液中へ、洗浄および乾燥を行なったガラス
基板1を浸漬した後ゆっくりと引きあげて、ガラス基板
1上に塗布膜を作成した。
この塗布膜は長時間空気中に保持しても粘性に変化が
みられず、クリーム状で粘度としては102〜103ポイズ程
度であった。
次いでこの約0.3μm厚の塗布膜つきガラス基板1を
真空プレス装置中に入れ、約1Torrまで減圧した。そし
てこの塗布膜つきガラス基板1へ峰高さ0.15μm、峰幅
2μm、峰間隔4μmの多数の峰部を有する金属製の型
を押しあて、15分間保持した後ゆっくりと引きはなし
た。その後前記プレス型の峰形状に対応する溝形状の転
写された塗布膜つきガラス板を大気中にとりだし、次い
でゆっくりと加熱して最終的に450℃2時間の焼成を行
なった。
この焼成操作により塗布膜はエタノールおよび水分等
が飛散してガラス体類似の約0.12μm厚の非晶質膜2と
なっていた。
上記操作により作成された溝つき基板3の表面を光学
顕微鏡により観察した所第1図に示すような溝深さ約72
nm,溝巾約2μm,溝間隔約4μmの良好な溝形状が基板
全面に作成されていた。又該非晶質膜2とガラス基板1
の間には大きな気泡は見られなかった。
実施例−2 シリコンテトラエトキサイドとリン酸トリエチルをSi
O2及びP2O5となった時のモル比として80:20となるよう
にそれぞれ秤量し、このシリコンテトラエトキサイドに
モル比で5倍のエタノールと6倍の水(6wt%のHNO3
含む)を加え、約70℃で4時間還流した後、リン酸トリ
エチルを滴下し、さらに4時間還流を行なう。この溶液
に等量のエタノールを加え希釈し、さらに分子量600の
ポリエチレングリコール(PEG600)を、最終生成物であ
るSiO2とP2O5の混合された酸化物に対するモル比で(PE
G600)/(酸化物)=0.15の量を加え、均一に溶かした
ものを塗布溶液とした。
次いで実施例1と同様の操作を行なったところ最終的
に溝深さ約70nm、溝幅約2μm、溝間隔約4μmの良好
な溝形状が基板全面に形成されていた。
前記実施例においては、ガラス等の基板のみに塗布膜
を形成した後接合しているが、これは型材のみに塗布膜
を形成した後接合しても、その両者に塗布膜を形成した
後接合してもかまわない。
又凸形状を転写する型も、前記金属性の型に限らず、
有機物無機物等任意の型材が使用できる。又該型材の厚
み等も、実質的に転写可能であれば、任意の厚みの物が
使用できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば従来不可能であった、大きな気泡を混
入させることなしにプレス型と塗布膜付き基板を接合す
ることができ、光ディスク用基板や回折格子用の微細パ
ターンを歩留りよく安価に作製できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例において作成した溝つき基板の概略を
示す断面図である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上および/または微細なパターンを有
    する型上に有機金属化合物を含む溶液の塗布膜を形成
    し、その後該基板および型を押合して基板上に型の凸形
    状に対応する凹形状を有する微細な溝つき被膜を形成さ
    せ、その後該被膜を固化させる溝つき基板の製造方法に
    おいて、該溶液中に増粘剤を含ませておくと共に該押合
    工程を減圧下で行ない、該被膜が固化する前に該減圧を
    解除することを特徴とする溝つき基板の製造方法。
  2. 【請求項2】該増粘剤が水溶性でかつ有機溶媒に可溶な
    高分子材料である特許請求の範囲第1項記載の溝つき基
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】該増粘剤が鎖状ポリエーテルである特許請
    求の範囲第1項又は第2項記載の溝つき基板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】該増粘剤の含有量が該溶液から生成される
    酸化物重量の0.5〜1.8倍である特許請求の範囲第1項な
    いし第3項記載の溝つき基板の製造方法。
  5. 【請求項5】該減圧状態の圧力が1333Pa(10Torr)以下
    である特許請求の範囲第1項ないし第4項記載の溝つき
    基板の製造方法。
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