JP2516182B2

JP2516182B2 - 食品・食品種の加熱調理方法及びそれを利用した装置

Info

Publication number: JP2516182B2
Application number: JP6121227A
Authority: JP
Inventors: 紀行楢村
Original assignee: Kyowa Kogyosho KK
Current assignee: Kyowa Kogyosho KK
Priority date: 1993-07-30
Filing date: 1994-06-02
Publication date: 1996-07-10
Anticipated expiration: 2011-07-10
Also published as: US5722315A; JPH0788048A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、食品・食品種を加熱
調理する方法及びそれを利用した装置に関するものであ
り、例えば、冷凍のミートパティ（ハンバーガーに使用
される偏平状のひき肉形成物）の加熱調理に使用でき
る。

【０００２】

【従来の技術】この種の焼成調理装置としては、既に、
特開平２−１７４８１６号公報において開示されてい
る。

【０００３】この装置は、鉄板をガスバーナで下から成
る方式の下部グリル板と、この下部グリル板の一辺近傍
を揺動中心として揺動自在に取付けられたヒータを有す
る上部加熱板と、被調理物の厚みに応じて前記上部熱板
と下部グリル板相互間の隙間を調節可能ならしめる隙間
調節装置とを有するものである。

【０００４】この装置では、隙間調節装置により上部熱
板と下部グリル板相互間の隙間を被加熱物の厚みに合わ
せて調節し、この状態で上部熱板を揺動させてこれと下
部グリル板により被加熱物を挟圧するようにして焼成調
理する。したがって、被調理物の両面を同時に焼き上げ
調理することができ、良い条件で被調理物を焼き上げる
ことができる。

【０００５】しかしながら、この装置を利用して冷凍食
品や食品種等を焼成調理した場合、外部と内部との焼成
調理度合いに大きな差ができてしまう。すなわち、調理
時間を長くした場合には内部はほどよく調理できるが外
部に焦げができてしまい、逆に、調理時間を短くした場
合には外部はほどよく焼けているが内部が所謂生焼け状
態となってしまう。

【０００６】近年、この種の装置を使用する業界では、
食品や食品種を短時間でむら無く加熱調理でき、．
熱板から食品・食品種が剥離しやすく、遠赤外線放射
物質を有する皮膜を容易に交換できる食品・食品種の加
熱調理装置の開発が望まれている。

【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明で
は、食品や食品種を短時間でむら無く加熱調理でき、
．熱板から食品・食品種が剥離しやすく、遠赤外線
放射物質を有する皮膜を容易に交換できる食品・食品種
の加熱調理装置を提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明の食品・食品種
の加熱調理装置は、遠赤外線放射物質を混入したフッ素
樹脂シートを板状の熱源体に添着して成る熱板を有し、
前記フッ素樹脂シート面を食品・食品種の接触加熱面と
してある。

【０００８】また、この発明の食品・食品種の加熱調理
装置は、遠赤外線放射物質を混入したフッ素樹脂シート
を板状の熱源体に添着して成る一対の熱板を有し、両熱
板のフッ素樹脂シート面により食品・食品種を挟圧加熱
するものとしてある。

【０００９】

【作用】この発明は次の作用を有する。

【００１０】．遠赤外線放射物質から放射される遠赤
外線により食品や食品種の内部の昇温が速くなり、外部
が焼過ぎて硬くならないうちに食品全体が焼き上がる。
つまり、食品や食品種を短時間でむら無く加熱調理でき
る。

【００１１】．熱板から食品・食品種が剥離しやす
い。．フッ素樹脂シートが比較的厚くても（例えば、１０
０μｍ前後）、フッ素樹脂シート面からの遠赤外線の放
射量が極端に減少するようなことはない。．フッ素樹脂シートは熱源体から比較的容易に取り外
すことができ、このため、フッ素樹脂シートの交換が容
易にできる。

【００１２】

【実施例】以下、この発明の構成を実施例として示した
図面にしたがって説明する。

【００１３】この実施例は、この発明の方法を使用した
冷凍ミートパティ調理システム（以下、実施例の欄にお
いては冷凍ミートパティを単にパティという）であっ
て、図１に示すように、冷凍ストッカ５と、前記冷凍ス
トッカ５からパティＰを一枚づつ取り出す取出し装置６
と、前記取出し装置６により冷凍ストッカ５から取り出
したパティＰをパティ焼成調理装置Ａに送り込み、更
に、焼成調理開始から一定時間後前記パティ焼成調理装
置ＡからパティＰを排出させる移送装置７と、前記装置
等を制御する図示しない制御装置とから構成されてい
る。

【００１４】以下に、各装置について詳述する。〔冷凍ストッカ５〕冷凍ストッカ５は、図１に示すように、直方体状のケー
シング５０と、これの上部に取付けられた揺動開閉する
蓋５１と、前記ケーシング５０内に設けられており積層
状態の多数のパティＰを保持するマガジン（図示せず）
とを有するもので、前記蓋５１をトルクアクチュエータ
ＴＡにより後述するタイミングで開閉できるようにして
ある。

【００１５】尚、上記ケーシング５０の上面５０ａに形
成されたパティ排出口５２は、蓋５１が「開」状態にあ
るときに冷凍ストッカ５内の冷気があまり逃げないよう
にするため、パティＰよりも僅かに大きい径に設定して
ある。〔取出し装置６〕取出し装置６は、図１に示すように、上記マガジン内の
下部域に設けられたパティ載置台６０と、前記パティ載
置台６０の下面に垂設されたネジ棒６１と、前記ネジ棒
６１を上下動させるリニアドモータ６２とを有するもの
としてあり、制御装置のＣＰＵからの指令による前記リ
ニアドモータ６２の駆動によりパティ載置台６０をパテ
ィＰの厚み分（この厚み分がワンピッチとなる）づつ後
述するタイミングで上昇させ得るような構成としてあ
る。

【００１６】尚、最上部のパティＰの適正取出し位置
は、図２に示すように、このパティＰの下面がケーシン
グ５０の上面５０ａよりも僅かに上方となる位置に設定
してある。〔パティ焼成調理装置Ａ〕パティ焼成調理装置Ａは、図１に示すように、一対の対
向する上・下焼成板１，１（手段の欄の熱板に対応す
る）と、下焼成板１に対して上焼成板１を上下動させる
昇降シリンダ２０（手段の欄の駆動手段２と対応する）
とから構成されており、上記冷凍ストッカ５近傍に配設
されている。

【００１７】上・下焼成板１は、図３や図５に示すよう
に、それぞれ二枚の金属板により薄板状のヒータ１１を
挟込む構成としてあり、相互に対向する面側の金属板を
被加熱板１０，１０とし、相互に背向する面側の金属板
を蓄熱板３としてある。

【００１８】上記被加熱板１０は、図５に示すように、
矩形状の銅板（その他、熱伝導率が高い金属、例えば、
アルミ板等であれば使用できる）で構成されており、そ
の厚みを５ミリ程度に設定してある。また、この被加熱
板１０の対向面側には図示していないが、遠赤外線放射
物質（例えば、Ａｌ₂Ｏ₃＋ＴｉＯ₂：アルミナチタニ
ア）の溶射皮膜を形成してあり、その上から遠赤外線放
射物質の粉体を拡散混入したフッ素樹脂シートを添着し
てある。尚、遠赤外線放射物質の混入比は１０％程度と
することが好ましく、また、焼成板全体を覆う態様でフ
ッ素樹脂シートを添着するようにしてもよい。

【００１９】ヒータ１１は、図４に示すように、薄板構
造としてあり、その厚みを１〜３ミリ程度に設定してあ
り、他方、このヒータ１１の端子ｌｐは、図３に示すよ
うに、上記蓄熱板３の中央部に設けた二つの貫通孔３０
から突出させるようにしてある。

【００２０】蓄熱板３は、図３に示すように、厚みが５
ミリ程度の前記被加熱板１０と同じ形状の銅板（他の金
属も使用可能）で構成されており、上記ヒータ１１はこ
れに設けた凹み部に収容されるようにしてある。尚、こ
の蓄熱板３の背面側にこれからの放熱を阻止すべく断熱
板を取付けることが好ましい。

【００２１】この実施例では、上記ヒータ１１の発熱量
は、ヒータへの通電時間をパルス発生器より発信される
パルス幅に連動させて制御してあり、パルスが発信され
たときにはヒータが通電状態（ＯＮ）となり、パルスが
発信されない間はヒータが非通電状態（ＯＦＦ）となる
ようにしてある。つまり、発熱量を大きくするときに
は、図１０に示すように、パルス幅が長いパルスＰＬＳ
を発信して一定時間中の通電時間を長くし、逆に、発熱
量を小さくするときには、図１１に示すように、パルス
幅が短いパルスを発信して一定時間中の通電時間を短く
している。換言すれば、この実施例では、ヒータの温度
制御を一定電圧をヒータに印加する通電時間の制御して
実行しているのである。

【００２２】また、この実施例では、パティＰ投入前の
段階では図１０に示す如くパルス幅の短いパルスＰＬＳ
を発信させて通電時間の割合が小さくなるようにし、パ
ティＰ調理中はパティＰに奪われる熱量を補充するのに
充分な熱量を被加熱板１０に供給できるように図１０に
示す如くパルス幅の長いパルスＰＬＳを発信させて通電
時間の割合が大きくなるようにしているが、このパルス
幅の切り換えについては、制御装置によって自動的にコ
ントロールされるようにしてある。

【００２３】更に、いずれの状態であっても、温調温度
にヒータが昇温すると、上限温度センサーが反応して信
号が制御装置に発せられ、これにより、ヒータへの通電
が非通電状態となり、所望の温調温度が常に保たれるよ
うにしてある。

【００２４】尚、上記焼成板１にかえて、図６に示すよ
うに、金属製の薄箱１２内にシーズヒータ等の発熱体１
３を充填埋設し、前記薄箱１２の挟圧面となる面に遠赤
外線放射物質の被膜１４を形成したものを採用すること
ができる。

【００２５】また、上記焼成板１にかえて、図７に示す
ように、セラミックや雲母等の絶縁体１５がコーティン
グされた二枚の金属板１６により、図８に示すような抵
抗体パターンＴＰを挟込んで構成したものも採用でき
る。この焼成板１は、一方の金属板１６の絶縁体１５
に、同図に示すような抵抗体パターンＴＰ（エッチング
法等により化学処理した金属性被腐食物質の抵抗体パタ
ーン又は、スクリーン印刷された抵抗体パターン）を形
成させ、この金属板１６に対して抵抗パターンを形成し
ていない他方の金属板１６を、絶縁体１５，１５相互が
対向する態様で固定することにより製作することができ
る。〔移送装置７〕移送装置７は、図１に示すように、一対のプーリ７０，
７０相互間にベルト７１を張設すると共に一方のプーリ
７０をステッピングモータ７２により駆動するものであ
り、これによりベルト７１に保持具７５を介して取付け
たシフティングアーム７３を水平移動するようにしてい
る。尚、上記シフティングアーム７３を水平姿勢で安定
移動せしめるため、即ち、先端部の垂れ下がりを回避さ
せるため、同図や図９に示すように、ベルト７１の下側
となる部分の側部に板状ガイド７４を設けると共に上記
保持具７５の上下板で前記板状ガイド７４を挟み込む構
成としてある。

【００２６】シフティングアーム７３は、図２に示すよ
うに、パティＰよりも少し薄い板で構成してあると共
に、図１や図９に示すように、先端から中程にかけてパ
ティＰの外輪郭と一致する円弧状部７３ａを形成してあ
り、冷凍ストッカ５から取り出された最上部のパティＰ
の厚み中程を前記円弧状部７３ａで押しながらパティ焼
成調理装置Ａの方向に移送するようにしてある。

【００２７】尚、このパティ調理システムでは、冷凍ス
トッカ５から取り出したパティＰを上記シフティングア
ーム７３によってパティ焼成調理装置Ａにスライド移送
し、更に、焼成調理開始から一定時間後前記パティ焼成
調理装置ＡからパティＰをスライド排出させるものとす
るために、図２に示すように、上面（移送面）が、ケー
シング５０及び下焼成板１の上面と一致するスライドテ
ーブルＳＴ及び完成品テープルＫＴを具備させている。〔トルクアクチュエータＴＡ，リニアドモータ６２、昇
降シリンダ２０、ステッピングモータ７２の作動タイミ
ング〕これらの作動は制御装置のＣＰＵにより以下に示す如く
シーケンス制御されている。先ず、トルクアクチュエータＴＡが作動し、冷凍スト
ッカ５の蓋５１が「閉」状態から「開」状態となる。トルクアクチュエータＴＡによる蓋５１の「開」状態
が確認（例えば、光センサが使用できる）されるとリニ
アドモータ６２が作動状態となり、パティＰを載せたパ
ティ載置台６０は上昇する。そして、パティ載置台６０
上の最上部のパティＰがケーシング５０のパティ排出口
５２から排出されて適正位置にくると、それが確認（例
えば、光センサが使用できる）され、リニアドモータ６
２が停止してパティ載置台６０の上昇が停止状態とな
り、同時又は直後にステッピングモータ７２が作動状態
となる。ステッピングモータ７２の上記作動に伴い、シフティ
ングアーム７３により前記最上部のパティＰがパティ焼
成調理装置Ａの適正位置に移送せしめられる。尚、適正
位置へのパティＰの移送は、ステッピングモータ７２の
特性（モータに入力されるパルス数によりモータの出力
軸の回転角度や回転数が決定される特性）利用により実
行される。パティＰがパティ焼成調理装置Ａの適正位置に到着し
てこの「到着」状態が確認（例えば、光センサが使用で
きる）されると、トルクアクチュエータＴＡが作動して
冷凍ストッカ５の蓋５１が「開」状態から「閉」状態と
なると共に、昇降シリンダ２０が作動状態となり上焼成
板１が降下してパティＰが上・下焼成板１，１により挟
圧せしめられる。ヒータ１１の発熱量は「小」状態から「大」状態とな
り、上・下焼成板１，１によりパティＰの挟圧加熱調理
が開始される。一定時間（パティＰを適正に焼上げるに
必要な時間）が経過すると、上記ヒータ１１の発熱量が
「大」状態から「小」状態となると共に、上記昇降シリ
ンダ２０が作動状態となって上焼成板１が上昇せしめら
れる。上焼成板１が上昇位置にきてそれが確認されると、ス
テッピングモータ７２が作動状態となり焼上げられたパ
ティＰが完成品テーブルＫＴに排出されると共に、トル
クアクチュエータＴＡが作動状態となって蓋５１が
「閉」状態から「開」状態となる。蓋５１の「開」状態が確認されると、ステッピングモ
ータ７２が逆回転せしめられ、もとの位置、即ち、冷凍
ストッカ５の上方に移動復帰する。上記した〜の如く動作が繰り返され、これにより
連続的に効率よくパティＰが焼上げられていくことにな
る。

【００２８】尚、この実施例では加熱調理する対象物を
冷凍ミートパティとしたが、これに限定されるものでは
なく、多種の食品・食品種を短時間でむらなく加熱調理
することができる。

【００２９】また、この実施例では上下焼成板１，１の
両方に、遠赤外線放射物質の粉体を拡散混入したフッ素
樹脂シートを添着したが、必要に応じて片側だけに添着
するようにしてもよい。

【００３０】さらに、上記実施例にかえてグリドルにこ
の発明を適用するようにしてもよい。

【００３１】

【発明の効果】作用に記載した内容から、食品や食品
種を短時間でむら無く加熱調理でき、．熱板から食品
・食品種が剥離しやすく、遠赤外線放射物質を有する
皮膜を容易に交換できる食品・食品種の加熱調理装置を
提供できた。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の焼成調理装置を有する冷凍ミート
パティ調理システムの外観斜視図。

【図２】前記冷凍ミートパティ調理システムの側面図。

【図３】前記冷凍ミートパティ焼成調理装置の焼成板の
外観斜視図。

【図４】前記冷凍ミートパティ焼成調理装置に使用して
いるヒータの斜視図。

【図５】前記冷凍ミートパティ焼成調理装置における被
加熱板とヒータとの取付け状態を示す斜視図。

【図６】他の態様の焼成板の外観斜視図。

【図７】他の態様の焼成板の外観斜視図。

【図８】図７の焼成板を構成する金属板、絶縁体及び抵
抗パターンを示す外観斜視図。

【図９】前記冷凍ミートパティ調理システムの要部の上
面図。

【図１０】前記ヒータの発熱量を決定するパルスを示す
ものであって、前記パルスの幅が大きい場合の図。

【図１１】前記ヒータの発熱量を決定するパルスを示す
ものであって、前記パルスの幅が小さい場合の図。

【符号の説明】

１焼成板２駆動手段３蓄熱板１０被加熱板１１ヒータ１４皮膜

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】遠赤外線放射物質を混入したフッ素樹脂
シートを板状の熱源体に添着して成る熱板を有し、前記
フッ素樹脂シート面を食品・食品種の接触加熱面として
あることを特徴とする食品・食品種の加熱調理装置。
【請求項２】遠赤外線放射物質を混入したフッ素樹脂
シートを板状の熱源体に添着して成る一対の熱板を有
し、両熱板のフッ素樹脂シート面により食品・食品種を
挟圧加熱するものとしてあることを特徴とする食品・食
品種の加熱調理装置。