JP2516102B2 - 細径複合金属被覆材 - Google Patents

細径複合金属被覆材

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JP2516102B2 JP3053805A JP5380591A JP2516102B2 JP 2516102 B2 JP2516102 B2 JP 2516102B2 JP 3053805 A JP3053805 A JP 3053805A JP 5380591 A JP5380591 A JP 5380591A JP 2516102 B2 JP2516102 B2 JP 2516102B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、展延性、靱軟性を有す
る細径複合金属被覆材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属芯材外周に鉄被覆層を設
ける方法として、電気めっき法が採用されている。しか
し、これまでの電気めっき技術による電着鉄めっき層
は、鉄の成分組成、物理特性などの諸条件或は電着条件
についての十分な検討がなされていないため、電着鉄め
っき層は展延性、靱軟性に欠け、塑性加工が困難であ
り、また強度の曲げ加工などが加わったとき、めっき層
に亀裂が生ずるといった大きな欠点があった。従って、
所要の寸法の細径複合金属材を得るには、予め芯材に所
要寸法まで圧延、線引等の塑性加工を施しておき、しか
る後にこの所要寸法とした芯材の外周に鉄を電気めっき
する方法で製造されてきた。
【0003】或は銅合金芯材の外周に鉄めっきを施し
た鉄被覆複合材は、はんだ溶食性(溶融はんだによる
侵食に耐える性質)に優れることから、近年、その用途
が拡大している。例えば小型コイルやインダクタ用など
の線材として、仕上外径が25μm或は30μmといっ
た細径の鉄被覆複合線が用いられるようになってきてい
る。ところがこのような細径の鉄被覆複合材は芯材に機
械的強度の低い細径の銅或は銅合金が用いられているた
め、従来の電着鉄めっき複合材の製造方法では、鉄の電
着めっき工程における機械的張力によって芯材に破断を
生じ実用上製造が困難であった。
【0004】そこで、上記製造上の困難さを解決するた
め、本発明者等はすでに特願昭62−175446号に
金属芯材外周に展延性のある靱軟な高純度鉄の電着めっ
き層を形成させた鉄被覆複合材及びこれの製造方法につ
いて提案し、既にこれを実用化に供し、25μmから3
0μmといった細径鉄被覆複合材を製造できるようにな
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の特願昭62−1
75446号に提案した鉄被覆複合材は、最外表面層が
純度99.97%以上の高純度鉄のめっき層で形成され
るものであるので、通常の純度の鉄めっき層に比較して
異種金属の偏析などがなく耐食性に優れている。しか
し、上記の高純度鉄めっき層であっても、やはり長期間
大気雰囲気中に曝される場合には酸化により品質に悪影
響を及ぼす恐れもあり、更にまた上記の鉄被覆複合材は
ダイヤモンドダイを用いて線引加工を施した場合に、比
較的少量の線引によってダイヤモンドダイのダイ孔に摩
耗を生ぜしめ、ダイ孔に変形を生じ、ダイリダクション
の変化による断線、仕上り外径の変動或は線材外形の変
形などのトラブルを発生しがちであった。
【0006】そこで、本発明者等はダイヤモンドダイの
摩耗原因について鋭意研究を重ねた結果、ダイヤモンド
ダイ孔の摩耗の原因が鉄被覆複合材の最外表面層を形作
っている鉄めっき層とダイヤモンドダイの成分である炭
素との親和力の大きいことに起因していることを突き止
めた。即ち、鉄の炭化物生成反応の標準自由エネルギー
(△G°)は下記数式1の値を有している。
【0007】
【数1】 2Fe+C=Fe2C △G°=4(0℃)〜3(700℃)Kcal/mol 3 Fe+C=Fe3C △G°=−5(0℃)〜3(2000℃)Kcal/mol
【0008】このように、鉄の炭化物生成反応の△G°
が高いため、ダイヤモンドダイを用いて線引加工を行な
っている際に、ダイヤモンドダイ孔が簡単に摩耗し、線
引加工中の線材断線、仕上り外径変動、線材外形変形等
のトラブルを引き起こす原因となるものであった。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明は、上記課題を
解決すべくなされたもので、第1の発明は、銅または銅
合金芯材の外周に、鉄の純度が99.97%以上、含有
炭素量が20ppm乃至150ppm、含有素量が4
0ppm以下の組成を有するビッカース硬度が250以
下の電着鉄被覆層を施し、鉄被覆複合材となし、該鉄被
覆複合材の外周に、塑性加工可能な金属被覆層を少なく
とも1層設け、かつ該塑性加工可能な金属被覆層が1層
の場合は該金属被覆層を、複数層の場合は最外層の金属
被覆層を炭素との親和力の極めて低い金属被覆層で形成
し、複合金属被覆母材となし、該母材に冷間又は熱間塑
性加工を施すことにより細径化したことを特徴とする細
径複合金属被覆材にある。
【0010】次に、第2の発明は、本発明者らが電着鉄
めっき層の組成に着目し実験を重ねた結果得られたもの
で、上記第1の発明とは電着鉄めっき層の組成を異にし
ている。上記第1の発明では、電着鉄めっき層が純度9
9.97%以上の高純度鉄の電着鉄めっき層であるのに
対し、第2の発明では、電着鉄めっき層は鉄中に特定
遷移金属元素を添加した組成からなる。かかる組成の電
着鉄めっき層を設けた鉄被覆複合材もまた、上記第1の
発明の複合金属被覆材と同―構成の金属被覆層を設ける
ことにより、細径複合金属被覆材に加工し得ることを見
出した。即ち、上記第1の発明の鉄被覆複合材が電着鉄
めっき層の鉄の高純度化を図ることにより、電着鉄めっ
き層の塑性加工性と耐食性を向上させたのに対し、第2
の発明の鉄被覆複合材は電着鉄めっき層中にあえて鉄の
純度を低下させる特定の遷移金属元素を1.0wt%以
下添加せしめた点に特徴を有している。遷移金属元素を
添加した第2の発明の電着鉄めっき層は、第1の発明の
鉄純度99.97%以上の高純度電着鉄めっき層に比
べ、若干展延性と靱軟性に劣りはするものの実用上の塑
性加工性を損なうことはなく、耐食性に関してはむしろ
優れている。かように、第2の発明は、銅又は銅合金芯
材の外周に、1.0wt%以下の遷移金属元素を含有
し、含有炭素量が20ppm乃至150ppm、含有酸
素量が40ppm以下で残部が鉄からなる電着鉄被覆層
を施し、鉄被覆複合材となし、該鉄被覆複合材の外周
に、塑性加工可能な金属被覆層を少なくとも1層設け
かつ該塑性加工可能な金属被覆層が1層の場合は該金属
被覆層を、複数層の場合は最外層の金属被覆層を炭素と
の親和力の極めて低い金属被覆層で形成し、複合金属被
覆母材となし、該母材に冷間又は熱間塑性加工を施すこ
とにより細径化したことを特徴とする細径複合金属被覆
材にある。
【0011】
【作用】銅又は銅合金芯材外周上に、展延性、靱軟性に
優れた電着鉄めっき層を被覆し、更にその外周上に少な
くとも1層からなる塑性加工可能な金属被覆層を設け、
かつその最外層の金属被覆層を炭化物生成反応の標準自
由エネルギー(△G°)の低い金属、例えば銅、金、
銀、錫、鉛などの単一金属またはこれらの合金で形成す
ることにより、この最外層の金属被覆層が線引加工工程
中においてダイヤモンドダイの成分である炭素と電着鉄
めっき層との接触を防ぐ作用を成し、ダイヤモンドダイ
の寿命を著しく延ばすことができる。前述のように鉄の
炭化物生成反応の標準自由エネルギーが非常に高いのに
比べ、銅、金、銀、錫、鉛等は炭素との親和性が全くな
いので、銅、金、銀、錫、鉛などの最外層金属被覆層が
いわば線引加工時の潤滑材として作用し、ダイの摩耗を
著しく減少させ、ダイの摩耗に起因する断線トラブル、
仕上り外径の変動や線材外形変形トラブルの発生を著し
く低減させる。なお、ニッケルやコバルトは下記数式2
に示すように鉄と同様に高い炭化物生成反応の標準自由
エネルギー(△G°)を有するため、最外表面金属被覆
層としては不適当である。
【0012】
【数2】 3Ni+C=Ni3C △G°=8(0℃)〜6(1100℃)Kcal/mol 3Co+C=Co3C △G°=1(0℃)〜2(1100℃)Kcal/mol
【0013】そしてまた、銅、金、銀、錫、鉛などは展
延性に優れているので、展延性、靱軟性に優れる上記電
着鉄めっき層とともに圧延、線引等の加工を容易に行な
うことができ、更にこれら金属は貴金属であることから
酸化雰囲気中における耐食性に優れ、鉄めっき層から発
生する赤さびを極めて小さく抑える作用も有する。ま
た、電着鉄めっき層と銅などの最外表面金属被覆層との
中間金属被覆層にニッケル被覆層を設けることにより複
合金属被覆材の耐熱性を向上させることもできる。
【0014】更にまた、本発明の細径複合金属被覆材は
最外層の金属被覆層を銅、金、銀、錫、鉛のいずれかの
単一金属又はその合金から構成するものであるので、は
んだ濡れ性に優れる。しかも、細径複合金属被覆材の芯
材の外周は、溶融はんだ中へ拡散溶出し難い鉄めっき層
で被覆されているので、この電着鉄めっき層が芯材の銅
の溶融はんだ中への溶出を防ぐバリア層として作用す
る。これは、鉄が600℃〜700℃以下の温度ではん
だと合金化することがないので、芯材の銅原子が鉄めっ
き層を通過してはんだ中へ溶出することがないためであ
る。依って、本発明の細径複合金属被覆材をコイル線材
或は電子機器の配線材として用いたとき、はんだ付け性
に優れ、しかも芯材にはんだ細りの生じない優れた性能
を発揮する。
【0015】上記の展延性、靱軟性に優れた電着鉄めっ
き層には、炭素含有量20〜150ppm;酸素含有量
40ppm以下;で鉄の純度が99.97%以上の組成
のものと遷移金属元素を1.0wt%以下含有し残部鉄
からなる組成のものが特定される。これは、電着鉄めっ
き層中の炭素含有量が20ppm未満のもの、150p
pmを越えるもの、また酸素含有量が40ppmを越え
るもの、のいずれのものも電着鉄めっき層が脆弱とな
り、塑性加工を施したときにめっき層に亀裂を生じ加工
性に劣ることによる。また、鉄の純度を99.97%以
上としたものは電着鉄めっき層中の鉄の結晶粒界に不純
物の析出がなくなるので、塑性加工時に電着鉄めっき層
に亀裂を生ずることがなく塑性加工性の向上をもたら
す。一方、鉄に1.0wt%以下の遷移金属元素を添加
したものは電着鉄めっき層中に遷移金属元素が含有され
ることにより、電着鉄めっき層表面に安定で極めて薄い
酸化皮膜を形成し、電着鉄めっき層からの赤さびの発生
を抑制する作用をなし、耐食性に優れた特性を示す。し
かも、塑性加工性においても、遷移金属元素の添加量が
1.0wt%以下であれば、鉄純度99.97%以上の
高純度鉄めっき層の塑性加工性に比べ若干劣りはするも
のの、機械的特性を悪化させることなく圧延、線引等の
塑性加工の可能な健全な電着鉄めっき層を得ることがで
きる。含有遷移金属元素が1.0wt%を越えると耐食
性についての有効性はあるが、圧延、線引等の塑性加工
中にめっき層の硬度の著しい上昇を招き、中間焼鈍工程
を頻繁に経る必要があり製造コストの上昇、歩留りの低
下をもたらすので好ましくない。なお、遷移金属元素を
1.0wt%以下含有する電着鉄めっき層は、後記実施
例に示す電解液の成分濃度、電流密度及びその他の電解
パラメーターを制御することにより得られる。
【0016】
【実施例】本発明の実施例を図1、図2、図3及び図4
に沿い説明する。
【0017】図1は電着鉄めっき層上に金属被覆層を1
層施した細径複合金属被覆丸線を示し、図2は電着鉄め
っき層上に金属被覆層を1層施し箔状に形成した細径複
合金属被覆平角線を示し、図3は電着鉄めっき層上に金
属被覆層を2層施した細径複合金属被覆丸線を示す。図
1〜図3において、1aは直径0.1mm以下の銅又は銅
合金丸線、1bは例えば0.03mm厚で0.25mm幅の
銅又は銅合金平角線、2は展延性、靱軟性のある電着鉄
めっき層で少なくとも0.1μm厚さを有する。3は展
延性に優れ、しかも炭素と結合し難い銅、銀、金、錫、
鉛から選ばれた単一金属又は合金で形成された金属被覆
層で少なくとも0.1μmの厚さを有する。3aは展延
性に優れた金属からなる金属被覆層で、例えばニッケル
など耐熱性を有する金属で形成される。図4は本発明の
細径複合金属被覆材の製造工程の1実施例を示すフロー
チャートで、芯材1は断面円形或は角状の銅又は銅合金
の棒材又は線条材である。芯材1は先ず電着鉄めっき装
置により所定組成の鉄めっきが所要の厚さに施され、次
いでこの電着鉄めっき層の外周に第1の金属被覆装置に
より展延性があり炭素と結合し難い金属被覆層を所定厚
さに施す。なお、必要に応じ第1の金属被覆装置の前に
第2の金属被覆装置を設け、展延性のある金属被覆層を
設けて金属被覆層を2層に形成してもよい。このように
して複合金属被覆母材が形成される。次に、この母材は
圧延装置、線引装置により圧延、線引加工が施され、所
要サイズの細径複合金属被覆材が得られる。
【0018】次に本発明の実施例を示す。
【0019】(実施例1) 芯材に外径0.9mmφの銅線材を用い、前処理として水
酸化ナトリウム系のアルカリ溶液中でのカソード脱脂(
処理条件:液温50℃、カソード電圧DC4V、処理時
間12秒)、水洗及び塩素系溶液中での酸洗いによる銅
線材表面のスケール及び酸化物除去、水洗の連続工程処
理後、下記めっき液、めっき条件にて鉄の電着を施し
た。 めっき液:FeCl2・4H 2O 300g/l CaCl2・2H 2O 200g〜400g/l pH:1〜2、 浴温:60℃、 めっき液循環流量:50〜100l/min アノード:純鉄、 電流密度:0.5A/dm2 上記めっきで、0.9mmφ銅線外周に鉄純度が99.9
7%、含有炭素量20ppm、含有酸素量14ppm、
の組成を有した30μm厚さの鉄めっき層を形成した。
次に上記鉄めっき銅線の外周に下記条件で銅めっきを施
した。 上記めっきにより15μm厚さの銅めっき層を形成し
た。得られた上記複合金属被覆母材を中間焼鈍を行なう
ことなく、ダイヤモンドダイを用いた冷間線引加工によ
って仕上り外径0.03mmの細径複合金属被覆線を得
た。このときの仕上り鉄めっき層の厚さは1μm,仕上
り銅めっき層の厚さは0.5μmであった。この細径複
合金属被覆線は可とう性に富み、鉄めっき層、銅被覆層
のいずれにも亀裂などの外観異常は認められなかった。
【0020】(実施例2) 芯材に外径0.9mmφの銅線材を用い、前記実施例1と
同一条件で前処理を行なった後、下記めっき液、めっき
条件にて鉄の電着を施した。 上記めっきで、0.9mmφ銅線外周に含有ニッケル量
0.8wt%、含有炭素量145ppm、含有酸素量3
0ppmで残部鉄からなる組成を有した30μm厚の鉄
めっき層を形成した。次に、上記鉄めっき銅線の外周に
下記条件で銅めっきを施した。 上記めっきにより15μm厚さの銅めっき層を形成し
た。得られた上記複合金属被覆母材を中間焼鈍を行なう
ことなく、ダイヤモンドダイを用いた冷間線引加工によ
って外径0.10mmの複合金属被覆線を得、これに中間
焼鈍を行なった後、再びダイヤモンドダイによる冷間線
引加工を施し0.03mmの細径複合金属被覆線を得た。
このときの仕上り鉄めっき層の厚さは1μm、仕上り銅
めっき層の厚さは0.5μmであった。この細径複合金
属被覆線は可とう性に富み、鉄めっき層、銅めっき層の
いずれにも亀裂などの外観異常は認められなかった。
【0021】(比較例1) 芯材に外径0.9mmの銅線材を用い、この銅線材外周に
前記実施例1と同一条件で、同一組成の30μm厚の電
着鉄めっき層を形成し、この得られた鉄めっき母材を中
間焼鈍を行なうことなく、ダイヤモンドダイを用いた冷
間線引加工によって仕上り外径0.03mm、仕上り鉄め
っき層の厚さ1μmの細径鉄めっき線を得た。この細径
鉄めっき線は可とう性に富み、鉄めっき層に亀裂などの
外観異常は認められなかった。
【0022】(比較例2) 芯材に外径0.9mmの銅線材を用い、この銅線材の外周
に前記実施例2と同一条件で前記実施例2と同一組成の
30μm厚の電着鉄めっき層を形成し、この得られた鉄
めっき母材を中間焼鈍を行なうことなく、ダイヤモンド
ダイを用いた冷間線引加工によって外径0.10mmの鉄
めっき線を得、これに中間焼鈍を行なった後、再びダイ
ヤモンドダイによる冷間線引加工を施し仕上り外径0.
03mm、仕上り鉄めっき層の厚さ1μmの細径鉄めっき
線を得た。この細径鉄めっき線は可とう性に富み、鉄め
っき層に亀裂などの外観異常は認められなかった。
【0023】上記実施例1、2と比較例1、2につい
て、線引加工工程におけるダイヤモンドダイによる線引
量、塑性加工性及び耐食性の比較試験を行なった。その
結果を表1に記す。
【0024】
【表1】
【0025】上記表1中、線引量の測定は0.03mm内
径の仕上げ用ダイヤモンドダイのダイ内径の偏平率(下
記数式3により算定)が1.7%に到るまでの線引量で
比較し行った。
【0026】
【数3】
【0027】また、塑性加工性は各試料について、各母
材から外径0.03mmまで線引加工する工程中における
各試料線材の断線状況、中間焼鈍の要否等から比較し
た。また、耐食性は各試料を、90℃、相対湿度95%
の雰囲気中に16時間置いた後の各試料線材の外観から
判定した。
【0028】以上結果から明らかなように、本発明の細
径複合金属被覆線は線引加工性に極めて優れているとと
もに耐食性にも優れていることが判る。
【0029】次に、実施例1及び実施例2のそれぞれ外
径0.03mmの細径複合金属被覆線と外径0.03mmの
軟銅線について、耐はんだ溶食性を比較した結果を下記
表2に示す。耐はんだ溶食性試験は、はんだ組成60S
n−40Pb,はんだ温度380℃の溶融はんだ液中に
上記各試料を浸せきし、各試料の外径の経時変化を測定
し行った。
【0030】
【表2】
【0031】上記表2に示されるように、銅線は短時間
ではんだ中へ溶出するが、本発明の細径複合金属被覆線
ははんだ溶食が全く見られなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明の細径複合金属被覆材は、芯材外
周に特定組成の展延性、靱軟性に優れた電着鉄めっき層
を設け、更に塑性加工性に富みかつ炭素との親和性のな
い金属被覆層を最外表面層に設けた構造であるので、こ
の最外表面の金属被覆層によりダイヤモンドダイの磨耗
が著しく減じ、ダイ磨耗による当該被覆材の線引中の断
線、仕上り外径の変動、線材外形の変形が低減し、線引
加工性が飛躍的に向上するとともに金属被覆層による電
着鉄めっき層の酸化防止効果との相乗的効果により、細
径複合金属被覆材の製造工程中における全体的なロス、
不良発生の低減に大きな効果を有し、生産性向上、コス
ト低減に寄与する効果は極めて大である。
【0033】更に、このようにして得られた細径複合金
属被覆材は、これをコイルに用いたとき、強磁性体であ
る電着鉄めっき層の効果で高周波特性に優れるという利
点を有し、またチップコイルや時計コイルなどのコイル
線材或は細径配線材など、はんだ処理を必要とする極細
導体として用いたとき、電着鉄めっき層の効果により芯
材の銅原子のはんだ中への拡散溶出が防止され、極細導
体のはんだ付けで問題となるいわゆる導体のはんだ細り
が解消される。また、最外表面金属被覆層は銅、金、
銀、などはんだ付け性の良い金属で形成されるので、通
常の銅線と全く同様なはんだ付け特性が得られる効果も
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示し電着鉄めっき層上に金
属被覆層を1層施した細径複合金属被覆丸線。
【図2】本発明の他の実施例を示し電着鉄めっき層上に
金属被覆層を1層施した細径複合金属被覆平角線。
【図3】本発明の他の実施例を示し電着鉄めっき層上に
金属被覆層を2層施した細径複合金属被覆丸線。
【図4】本発明の細径複合金属被覆材の製造工程の1実
施例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1a 展延性を有する丸芯材 1b 展延性を有する平角芯材 2 展延性を有する電着鉄めっき層 3 展延性を有し炭素との親和性のない金属被覆層 3a 展延性を有する金属被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿水 幸比古 長野県上田市大字大屋300番地 東京特 殊電線株式会社 上田工場内 (56)参考文献 特開 昭62−151594(JP,A) 特開 昭59−173290(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅または銅合金芯材の外周に、鉄の純度が
    99.97%以上、含有炭素量が20ppm乃至150
    ppm、含有素量が40ppm以下の組成を有するビ
    ッカース硬度が250以下の電着鉄被覆層を施し、鉄被
    覆複合材となし、該鉄被覆複合材の外周に、塑性加工可
    能な金属被覆層を少なくとも1層設け、かつ該塑性加工
    可能な金属被覆層が1層の場合は該金属被覆層を、複数
    層の場合は最外層の金属被覆層を炭素との親和力の極め
    て低い金属被覆層で形成し、複合金属被覆母材となし、
    該母材に冷間又は熱間塑性加工を施すことにより細径化
    したことを特徴とする細径複合金属被覆材。
  2. 【請求項2】銅または銅合金芯材の外周に、1.0wt
    %以下の遷移金属元素を含有し、含有炭素量が20pp
    m乃至150ppm、含有酸素量が40ppm以下で残
    部が鉄からなる電着鉄被覆層を施し、鉄被覆複合材とな
    し、該鉄被覆複合材の外周に、塑性加工可能な金属被覆
    層を少なくとも1層設け、かつ該塑性加工可能な金属被
    覆層が1層の場合は該金属被覆層を、複数層の場合は
    外層の金属被覆層を炭素との親和力の極めて低い金属被
    覆層で形成し、複合金属被覆母材となし、該母材に冷間
    又は熱間塑性加工を施すことにより細径化したことを特
    徴とする細径複合金属被覆材。
  3. 【請求項3】 前記遷移金属元素がクロム,コバルト,
    ニッケルの何れかからなる請求項2記載の細径複合金属
    被覆材。
  4. 【請求項4】前記塑性加工可能な金属被覆層の最外層が
    銅、金、錫又は鉛のいずれかの単一金属またはその合金
    からなる請求項1、請求項2又は請求項3記載の細径複
    合金属被覆材。
  5. 【請求項5】 前記塑性加工可能な金属被覆層が二層か
    らなり、内層の金属被覆層がニッケル、外層の金属被覆
    層が銅である請求項1、請求項2、請求項3又は請求項
    4記載の細径複合金属被覆材。
  6. 【請求項6】 前記細径複合金属被覆材は、前記電着鉄
    被覆層の厚さを少なくとも0.1μm有し、前記塑性加
    工可能な金属被覆層の1層当りの厚さを少なくとも0.
    1μm有するものである請求項1、請求項2、請求項
    3、請求項4又は請求項5記載の細径複合金属被覆材。
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