JP2516101Y2 - 浴槽脚部の固定構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はアンカーボルトにより浴槽脚部を浴室の床に
固定した構造に関する。

［従来の技術］ 洋風舟形浴槽などの脚部を固定する場合、実公昭61-1
2872号のように浴槽の下端を床仕上げモルタル内に直に
埋め込むことがあるが、床仕上げモルタルが硬化する前
に浴槽をセットするため、槽底面の排水勾配が設計通り
となるように浴槽を設置することが難しい。そこで、予
め浴室の床を仕上げた後、浴槽を設置することが多い。
この場合、浴室の床に埋め込まれたアンカーボルトによ
って浴槽を固定することが行なわれている。

第３図は従来用いられているアンカーボルトの斜視図
である。この従来のアンカーボルト１はＪ字形状のもの
であり、直線棒状部２に雄螺子が刻設され、湾曲部３が
浴室床面に埋め込まれる。

［考案が解決しようとする課題］ このアンカーボルトは、床面に対して直線棒状部が垂
直となるように埋め込まれていることが望ましいが、第
３図に示した従来のＪ字形状のアンカーボルトにあって
は自立性が乏しく、モルタルが固まるまでの間に直線棒
状部２が傾くなど、不安定なものであった。

本考案は上記従来の問題点を解決し、自立性に優れた
アンカーボルトにより浴槽脚部を固定する構造を提供す
ることを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案の浴槽脚部の固定構造は、浴槽の脚部をアンカ
ーボルトで浴室の床に固定した構造において、該床は、
躯体床と、該躯体床を覆うモルタルとを有しており、該
アンカーボルトは、該躯体床上に配置されると共に該モ
ルタルで覆われたプレート部と、該プレート部から垂直
に立設され、床面上に突出した螺子棒部とを有してなる
ことを特徴とするものである。

［作用］ かかる本考案の浴槽脚部の固定構造にあっては、アン
カーボルトのプレート部を浴室の躯体床上に配置し、こ
のプレート部をモルタルで覆うため、該アンカーボルト
はモルタルが固まる前の段階にあっても螺子棒部が傾か
ず、極めて自立性に優れたものとなる。また、プレート
部を躯体床上に配置するから、該プレート部を正確に水
平にでき、従って螺子棒部を床面に対し正確に垂直に立
てることができる。

モルタルが硬化した後においては、プレート部が浴室
床面に埋め込まれた構造となるから、アンカーボルトの
抜けに対する抵抗強度が極めて高いものとなる。そし
て、これにより浴槽脚部の固定強度が増大する。

［実施例］ 以下図面を参照して実施例について説明する。

第１図は本考案の実施例に用いられているアンカーボ
ルトの斜視図、第２図はこのアンカーボルトを用いた固
定構造を示す縦断面図である。

本実施例で用いられているアンカーボルト４は、プレ
ート部５と、該プレート部５に溶接等により一体とされ
た直線状の螺子棒部６とを有したものである。

第２図に示す如く、床７は、防水層15が上面に設けら
れた躯体床14と、この躯体床14上のモルタル16と、該モ
ルタル16によって張り付け施工されたタイル17とを備え
ている。

アンカーボルト４はプレート部５が浴室の床７に埋め
込まれ、螺子棒部６が床面から突出するように施工され
る。そして、この螺子棒部６に浴槽８の脚部９の孔10が
差し込まれ、ワッシャを介してナット11を締め込むこと
により該浴槽脚部９が固定される。

アンカーボルト４のプレート部５を床７に埋設するに
際しては、躯体床14の上面を露出させるように床７に凹
穴12を設ける。そして、この凹穴12内において露出した
躯体床14上にプレート部５を配置する。このプレート部
５を覆うように凹穴12内にモルタル13を充填し、このモ
ルタル13の上にタイルの小片を貼りつける。モルタル13
が硬化した後、浴槽８を、孔10が螺子棒部６に挿通され
るように設置し、次いでワッシャを介してナット11を締
め込む。

このように構成された浴槽脚部の固定構造において
は、プレート部５が躯体床14上に配置されているため、
プレート部５が正確に水平に配置され、従って螺子棒部
６が床面に対し正確に垂直に立設されるようになる。

また、このプレート部５を覆うモルタル13が固まる前
の段階にあっても、プレート部５が躯体床14上に乗った
状態となっており、アンカーボルト４は傾かない。モル
タル13が固まった後にあっては、プレート部５が床内部
に埋め込まれた構造となるから、アンカーボルト４の抜
けも防止され、浴槽脚部９の固定強度が極めて高いもの
となる。

なお、本実施例構造にあっては、モルタル16が硬化し
た後に浴槽８を据え付ける。従って、浴槽８の重量によ
ってタイル17が割れたり脚部９がモルタル16中にめり込
んだりすることはない。

上記実施例ではプレート部５は円形とされているが、
その他の形状のものであっても良いことは明らかであ
る。

［効果］ 以上の通り、本考案の浴槽脚部の固定構造にあって
は、浴槽の脚部を固定するためのアンカーボルトにプレ
ート部が設けられ、このプレート部が浴室の躯体床上に
配置され、且つモルタルで床内に埋め込まれた構造とな
っているから、施工時におけるアンカーボルトの自立性
が良好であり、施工性に優れる。また、アンカーボルト
の螺子棒部を床面に対し正確に垂直に立てることができ
る。さらに、アンカーボルトの抜け方向に対する抵抗強
度が大きく、浴槽脚部の固定強度が高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に用いられるアンカーボルトの斜視図、
第２図は実施例に係る浴槽脚部の固定構造を示す縦断面
図、第３図は従来のアンカーボルトの斜視図である。 ４……アンカーボルト、５……プレート部、６……螺子
棒部、７……浴室の床、８……浴槽、９……浴槽脚部、
11……ナット、12……凹穴、13……モルタル、14……躯
体床、15……防水層、16……モルタル、17……タイル。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】浴槽の脚部をアンカーボルトで浴室の床に
   固定した構造において、 該床は、躯体床と、該躯体床を覆うモルタルとを有して
   おり、 該アンカーボルトは、該躯体床上に配置されると共に該
   モルタルで覆われたプレート部と、該プレート部から垂
   直に立設され、床面上に突出した螺子棒部とを有してな
   ることを特徴とする浴槽脚部の固定構造。