JPH0125127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、鉄筋コンクリート構造物あるいは
鉄骨鉄筋コンクリート構造物におけるコンクリー
トスラブ又は勾配付屋根から配管設備用の支持金
具や天井下地等を吊下して施工する時の合理化を
計り、信頼性と実用性を向上させる構築用自在イ
ンサートに関する。

従来、コンクリートスラブから配管設備用の支
持金具等を斜向状態で吊下、支持する場合やコン
クリート構造物の最上階の屋根から天井下地材等
を吊下する場合には、型枠に対して直角に取付け
たインサートに吊ボルトを螺合するに当り、該吊
ボルトをその都度、工事現場で折曲げて使用する
ことがほとんどであつた。

このため、工事現場での施工に多くの労力と手
間がかかるばかりでなく、重量配管等に当つては
その吊ボルトの折曲げ部に相当の集中荷重が働ら
いて破断事故を起す欠点があつた。

この考案は上述した従来の問題点に鑑みなされ
たもので、その目的は一般のコンクリートスラブ
や最上階の勾配付屋根等からの吊ボルトの吊下が
所定範囲で常に安全にかつ確実に行えると共に施
工が容易で合理的にかつ、実用上有効な構築用自
在インサートを提供することにある。

上記目的を達成するために、この考案は、上部
に支持筒を有すると共に中央付近から下方に向つ
て少なくとも片側に拡開した空胴部を有するスカ
ート部を設けた支持体と、アンカー軸の胴部の上
端に一体の鍔部を膨出すると共に、この下部にね
じ軸を左右に回動可能に枢着したインサート本体
とを有し、前記支持体の支持筒内にアンカー軸の
胴部を嵌着すると共にねじ軸を該支持体のスカー
ト部内壁に沿つて上記回動を許容すべく装着した
ことを特徴とする。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第１図は本考案の第１実施例による自在インサ
ートの一部縦断正面図、第２図は同上の一部縦断
側面図、第３図は第１図の底面図である。

上図における１は合成樹脂製による支持体で、
上部に支持筒２を有すると共に中央付近から下方
に向つて左右に拡開した空胴部３を有するスカー
ト部４を設ける。

５は上記スカート部４の底部周縁に形成した釘
孔５ａ付の座面を示す。

６は主として金属製のインサート本体で、胴部
７の上端に一体の鍔部８を膨出し、下端に扁平部
９を形成してピン孔１０を設けたアンカー軸１１
と、上端に扁平部１２を形成してピン孔１３を設
け、下端から軸心に沿つて雌ねじ孔１４を設けた
ねじ軸１５とを左右に回動可能に枢着する。

さらに、上記アンカー軸１１は鍔部８を支持体
１上面に突出させて胴部７を支持体１の支持筒２
内に嵌着すると共にねじ軸１５を該支持体１のス
カート部４内壁に沿つて上記回動を許容すべく装
着してなる。

１６は支持体１の外側面から前記アンカー軸１
１とねじ軸１５とのピン孔１０，１３を通して結
合する枢着ピンを示す。

上記第１実施例の自在インサートを配管設備用
の支持金具の取付けに使用する場合は、第４図に
示すようにスラブ型枠Ｐ上の所要個所において支
持体１の底面５を釘止めする。

コンクリートの打設、養生後は各自在インサー
トのねじ軸１５…に吊ボルトＢを螺入して両側の
ねじ軸１５はそれぞれ同一方向に傾斜させて吊ボ
ルトＢを斜向してアングルフレームＣに連結し、
さらに中央のねじ軸１５は鉛直に吊ボルトを下し
てアングルフレームＣに連結して該アングルフレ
ーム上に配管パイプＰを支持することができる。

また、上記第１実施例の自在インサートを天井
下地材の取付けに使用する場合は、第５図に示す
ように傾斜型枠Ｐ上に自在インサートを釘止め
し、コンクリートの打設、養生後は自在インサー
トのねじ軸１５を斜向させてこれに吊ボルトＢを
螺入して鉛直に下し、この下部に支持金具Ｄを螺
入して野縁Ｅ及び野縁受Ｆを支持することができ
る。

この第１実施例によれば、スラブ型枠が傾斜し
ている否に関係なく、支持体内部においてアンカ
ー軸と回動可能に枢着したねじ軸によつて吊ボル
トを所要の範囲内において自由に、任意にかつ簡
単、容易に吊下することができ、配管設備用に、
天井下地材取付用等の施工に優れた実用上の効果
が得られる。

次に本考案の他の実施例について説明する。

第６図に示す本考案の第２実施例による自在イ
ンサートは、合成樹脂製等による支持体２１の側
面に垂直方向に沿つて下半部を下面下に突出すべ
く上半部を埋着あるいは嵌着した無頭釘１７を一
体に設けたものであり、上記実施例の作用効果に
加え、型枠への釘止め作業が能率良く、安全にで
きる効果がある。

第７図に示すこの考案の第３実施例による自在
インサートは、アンカー軸３１１に対して雄ねじ
軸３１５を回動可能に枢着したものであり、上記
第１実施例と同様の作用効果に加え、これにジヨ
イントナツトＮを螺入して施工し得ると共に型枠
上に断熱板Ｇ等を敷設した場合に所要長さのジヨ
イントナツトＮを選択して螺入すれば合理的な施
工ができる。

第８図に示すこの考案の第４実施例による自在
インサートは、片側に垂直な壁面４１ａを、他側
に斜面４１ｂをそれぞれ有するスカート部４４を
設けた空胴状の支持体４１内にねじ軸４１５を片
側にのみ回動可能に枢着したものであり、上記と
同様の作用効果が得られる。

なお、上記第１、第２及び第３実施例のものに
関してもねじ軸の長さを予め断熱板の厚みに相当
して延長すれば上記のように断熱板等をスラブ型
枠上に敷設して施工する場合にも十分対応し得
る。

以上詳細に説明したように、この考案によれ
ば、インサートの性能を十分維持すると共にこれ
に螺入して吊下する吊ボルトの向きを所定範囲内
で自由に、かつ任意に変えることができ、新耐震
設計による配管設備用にあるいは勾配付屋根下の
天井下地材取付用に優れた機能を有し、実用上に
有効な構築用自在インサートを得ることができる
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例の一部縦断正面
図、第２図は第１図の一部縦断側面図、第３図は
第１図の底面図、第４図及び第５図は第１実施例
の使用状態図、第６図は第２実施例の一部縦断面
図、第７図は第３実施例の一部縦断面図、第８図
は第４実施例の一部縦断面図である。 １……支持体、１１……アンカー軸、１５……
ねじ軸、Ａ……スラブ型枠、Ｂ……吊ボルト、Ｃ
……アングルフレーム、Ｄ……支持金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部に支持筒を有すると共に中央付近から下方
   に向つて少なくとも片側に拡開した空胴部を有す
   るスカート部を設けた支持体と、アンカー軸の胴
   部の上端に一体の鍔部を膨出すると共に、この下
   部にねじ軸を左右に回動可能に枢着したインサー
   ト本体とを有し、前記支持体の支持筒内にアンカ
   ー軸の胴部を嵌着すると共にねじ軸を該支持体の
   スカート部内壁に沿つて上記回動を許容すべく装
   着したことを特徴とする構築用自在インサート。