JP2515299Y2 - 画像形成装置における現像装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は，例えば電子写真複写機等の画像形成装置に
用いられる現像装置に関する。

（従来の技術） 電子写真複写機では，感光体上に形成された静電潜像
を現像装置によりトナー現像している。

現像装置は，通常，感光体に対向して配設された円筒
状の現像スリーブの回転により，該現像スリーブの周面
に現像剤を搬送し，搬送される現像剤のトナーを感光体
上の静電潜像に付着させて現像する。

現像スリーブ上を搬送される現像剤は，穂切板によ
り，その搬送量が規制される。穂切板は，現像スリーブ
に対し，その周面とは所定の間隙を均一に有するように
配設されており，その間隙内を通過する現像剤量が現像
スリーブの軸長方向に均一とされ，現像されたトナー像
が均一の濃度となるようにされる。

現像スリーブ周面と穂切板との間隙は，通常,0.1mm以
下の精度が要求される。トナーとキャリアとからなる２
成分系現像剤を用いた現像装置では，穂切板として，ア
ルミニウム合金の押し出し成形品あるいは引き抜き成形
品が使用される。このような成形品を穂切板として用い
る場合には，成形品自体を真直に成形することが非常に
困難であり，成形品自体に反り，捻じれが発生する。穂
切板を現像装置内に取付ける際に撓むおそれもある。こ
のような，反り，捻じれ，撓み等が発生すると，穂切板
と現像スリーブ周面との間隙を，軸心方向に沿って0.1m
m以下の精度となるように穂切板を配設することが困難
になる。特に，穂切板をその両側部にておいてのみ支持
する場合には，穂切板自体の反り等により，その中央部
において現像スリーブ周面との間隙が両側部とは異なっ
てしまう。また，現像スリーブが軸長方向に長くなれ
ば，穂切板自体も長くしなければならない。穂切板が長
くなると，穂切板に反り等が発生する確率が高くなるた
め，さらに高精度の加工を要求される。

特開昭57−78574号公報には，両側部にて支持された
穂切板を湾曲補正アームにて押圧することにより，該穂
切板の湾曲を矯正し，該穂切板と現像スリーブ周面との
間隙を全域にわたって均一にする方法が開示されてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） このような方法では，該湾曲補正アーム，あるいは該
湾曲補正アームが取付けられた例えばホッパー側板等が
変形すれば，穂切板の湾曲を矯正することはできない。
このため，湾曲補正アーム等を強固にしなければならな
い。また，穂切板が長くなると，穂切板自体の剛性が低
下するため，湾曲補正アーム等の押圧により穂切板の湾
曲を矯正すれば，押圧された部分のみが矯正され，穂切
板全体を真直にすることが困難である。このような方法
では，穂切板の湾曲を十分に補正することが困難にな
る。

本考案は，上記従来の問題を解決するものであり，そ
の目的は，穂切板が長尺の場合でも，現像スリーブ周面
との間隙が全域にわたって均一にし得て，しかも，穂切
板，ハウジング材料等の剛性，寸法精度等があまり要求
されない画像形成装置における現像装置を提供すること
にある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の画像形成装置における現像装置は，相対向す
る側壁の間隔が一部において規定されているハウジング
と，該ハウジングの前記各側壁間に回転可能に配設さ
れ，その回転により周面に現像剤が搬送される現像スリ
ーブと，前記ハウジングの側壁間の規定された間隔より
も若干短い長手方向寸法を有し，長手方向へ牽引する牽
引手段により前記各側壁に支持されてハウジング内に架
設され，かつ，前記現像スリーブにて搬送される現像剤
量を規制するべく，該現像スリーブ周面とは所定の間隙
を有して配設された穂切板と，前記穂切板を下方に移動
または上方に牽引させて前記穂切板の下面と前記現像ス
リーブの周面の間隙を調整する調整部材とを具備してな
り，そのことにより上記目的が達成される。

（実施例） 以下に本考案をその実施例について説明する。

本考案の現像装置は，第１図に示すように，例えば電
子写真複写機等の画像形成装置における感光体ドラム10
の近傍に配設される。該感光体ドラム10は，例えば第１
図において反時計回り方向（矢印Ａで示す方向）へ回転
され，その回転に伴って，周面上に静電潜像が形成され
る。

本考案の現像装置20は，感光体ドラム10に対向し，か
つ，ハウジング21内に感光体ドラム10の回転方向とは順
方向（矢印Ｂで示す方向）への回転可能に配設された円
筒状の現像スリーブ22と，該現像スリーブ22の上方に配
設された穂切板23とを有する。

該現像装置20には，現像スリーブ22配設位置とは反対
側にトナーホッパー27が配設されている。また，該トナ
ーホッパー27の下方であって，現像スリーブ22配設位置
との間には，攪拌ローラ25が配設されている。トナーホ
ッパー27内のトナーは，該トナーホッパー27の下部に配
設された供給ローラ27aにより下方へ供給され，攪拌ロ
ーラ25によりキャリアと混合，攪拌される。これにより
トナーは摩擦帯電される。

現像スリーブ22内には，磁石体24が固定的に配設され
ている。該磁石体24は，対をなす各磁極が径方向に位置
された５つの磁石24a〜24eを有する。１つの磁石24a
は，感光体ドラム10に対向した位置に配設されており，
該磁石24aから現像スリーブ22の回転方向下流側に，各
磁石24b,24c,24d,24eが順次配設されている。磁石24a
と，該磁石24aの現像スリーブ22回転方向上流側に配設
される磁石24e,24d,24cとは，外周側の磁極が，相隣す
る磁石の外周側の磁極とは異なるように，それぞれ配設
されるが，磁石24aの現像スリーブ22回転方向下流側に
位置する磁石24bは，外周側の磁極が磁石24aの外周側の
磁極とは異なり，しかも，該磁石24bの下流側に配設さ
れた磁石24cの外周側の磁極とは同じとなるように配設
されている。

攪拌ローラ25により攪拌されたトナーとキャリアとか
らなる現像剤は，現像スリーブ22の磁石体24に引き付き
られ，現像スリーブ22の回転により，その周面上に磁気
ブラシを形成して搬送される。

現像スリーブ22の上方には穂切板23が配設されてお
り，また，攪拌ローラ25の上方から現像スリーブ22の上
方にかけて整流板26が傾斜して配設されている。

該穂切板23は，長手方向が現像スリーブ22の軸心方向
に略平行に延びる支持部23aと，該支持部23aの感光体ド
ラム10配設側端部から下方へ延出した穂切部23bとを有
する。該穂切部23bは，感光体ドラム10配設側の側面が
突出するように湾曲しており，その先端は，現像スリー
ブ22の周面とは所定の間隙を有して配設されている。該
穂切部23bの下部は，現像スリーブ22の周面とは略直交
するように延びている。

整流板26は，その上端部が穂切板23の穂切部23bとは
所定の間隔を有しており，下端部は攪拌ローラ25の上方
に位置されている。

現像スリーブ22の回転により，その周面に形成された
磁気ブラシは，磁石体24における各磁石の磁極により穂
立部を形成しつつ現像剤を搬送する。該現像剤は，穂切
板23の穂切部23bによりその搬送量が規制され，該穂切
部23b先端と現像スリーブ22周面との間隙を通過した現
像剤が，感光体ドラム10に最も近接した現像域にて感光
体ドラム10の周面に接触し，該感光体ドラム10周面上の
静電潜像を現像する。穂切板23の穂切部23bにて，搬送
を規制された現像剤は，湾曲した穂切部23bに案内され
て整流板26上へ導かれ，該整流板26上を落下した攪拌ロ
ーラ25の攪拌域へ搬送される。整流板26上面には，還流
される現像剤が，攪拌ローラ25の軸心方向に均一に落下
するべく案内する複数の整流フィン26aが並設されてい
る。

現像スリーブ22は，第２図に示すように，ハウジング
21の相対向する側壁21aおよび21a間に架設されている。
また，ハウジング21内の上部であって，穂切板23の配設
位置より若干上方には，第３図に示すように，フレーム
部材28が配設されている。該フレーム部材28は，現像ス
リーブ22の軸心方向に延びる長板状をしており，穂切板
23の支持部23aは，該フレーム部材28とは略平行に配設
される。該フレーム部材28は，長手方向の各端部がハウ
ジング21の相対向する側壁21aおよび21a内周面に密着さ
れて，該各端部における幅方向の各端部に各側壁21aの
外方から挿入された埋込みねじにて固定されている。ハ
ウジング21の各側壁21aおよび21aの上部における間隔
は，該フレーム部材28にて規定される。該フレーム部材
28の上面の中央部であって，若干感光体ドラム10配設側
寄りの位置には上方へ突出する補強リブ28aが，長手方
向の全域にわたって配設されている。

穂切板23は，該フレーム部材28よりは，その長手方向
寸法が若干短くなっている。そして，該穂切板23は，そ
の長手方向の各端面が各側壁21aおよび21a内面に密着す
るように取付けられる。つまり，各側壁21aおよび21aに
は，上下方向に延びる長孔21cおよび21c（第２図参照）
がそれぞれ開設されており，各長孔21cおよび21cにボル
ト23dおよび23dを外方から挿通して，穂切板23の長手方
向各端部に螺合させる。次いで，各ボルト23dを締め付
けて，穂切板23の長手方向各端面がハウジング21の各側
壁21aおよび21a内面と密着するようにされる。

その結果，各側壁21aおよび21aが，第４図に示すよう
に撓み，各側壁21aおよび21aの剛性により穂切板23の長
手方向各端部が牽引され，該穂切板23に反り，撓み等が
ある場合には，その反り，撓み等が矯正される。

穂切板23の支持部23aにおける長手方向中央部上面に
は，固定部材23cが配設されている。該固定部材23cは，
第５図に示すように，その中央部が該支持部23a上面と
は所定の間隙を有するように，上方へ突出されている。
該固定部材23cの上方へ突出した中央部には，調整ねじ2
9の下部が挿通している。該調整ねじ29は，フレーム部
材28の中央部に螺合されており，その頭部は，フレーム
部材28の上方に位置される。固定部材23cの下方に位置
する該調整ねじ29の下部には，ストップリング29aが嵌
合されており，調整ねじ29が固定部材23cから抜けるこ
とを防止している。これら固定部材23c,フレーム部材2
8,調整ねじ29およびストップリング29aにより調整部材
が構成され、穂切板23の下面と現像スリーブ22の周面の
間隙を調整する。

該調整ねじ29は，例えば上方からみて右方向へ回転さ
せると，第６図（イ）に示すように，フレーム部材28に
対して下方へ移動し，穂切板23を下方へ押圧する。反対
に，該調整ねじ29を上方からみて左方向へ回転させる
と，第６図（ロ）に示すように，該調整ねじ29は，フレ
ーム部材28に対して上方へ移動し，固定部材28を介して
穂切板23を上方へ牽引する。従って，該調整ねじ29を，
左または右方向へ回転させることにより，穂切板23の中
央部は上または下方向に移動され，該穂切板23の中央部
における湾曲が矯正される。

このような構成の現像装置20における穂切板23は，現
像スリーブ22に対して，穂切部23b下端が所定の間隙を
有するように，ハウジング21の側壁21aおよび21a間に架
設される。該穂切板23の取付けは，次のように行われ
る。まず，穂切板23を現像スリーブ22の上方に位置させ
て，ハウジング21の各側壁21aに形成された長孔21cに各
ボルト23dを挿通して仮止めする。次いで，現像スリー
ブ22の長手方向の各端部にシックネスゲージをあてて，
穂切板23における穂切部23bの長手方向各端部下面が，
現像スリーブ22の周面とは所定の間隙を有するように，
穂切板23を昇降させて各ボルト23dを長孔21cに沿って昇
降させる。そして，穂切板23の長手方向各端部下面が現
像スリーブ22とは所定の間隙を有する状態になれば，各
ボルト23dを締付ける。各ボルト23dは，穂切板23の長手
方向の各端面が，ハウジング21の各側壁21aと密着した
状態となるまで締付けられる。

このようにして，取付けられた穂切板23は，各側壁21
aに牽引されるため，該穂切板23自体の撓み，反り等は
矯正され，穂切板23の穂切部23bにおける下面と現像ス
リーブ22周面との間隙は，全域にわたって均一とされ
る。しかし，穂切板23が長尺であり，その中央部におい
て，なお，現像スリーブ22周面とは所定の間隙を有して
いない場合には，調整ねじ29により，その間隙が調整さ
れる。この調整も，現像スリーブ22の中央部にシックネ
スゲージをあてて，穂切板23における穂切部23b下面と
の間隙が小さければ，該調整ねじ29を下方へ移動させる
べく回転させ，該調整ねじ29先端にて穂切板23を押圧
し，反対に，その間隙が小さければ該調整ねじ29を上方
へ移動させるべく回転させ，穂切板23の中央部を上方へ
牽引する。これにより，穂切板23における穂切部23bの
中央部下端と現像スリーブ22外周面とは，所定の間隙と
される。その結果，穂切板23は現像スリーブ周面とは全
域にわたって均一の間隙とされる。

なお，穂切板23の中央部における穂切部23b下面と現
像スリーブ22とが所定の間隙を有している場合には，調
整ねじ29による調整は不要であるが，穂切板23中央部に
おける剛性を高めるために，該調整ねじ29先端が穂切板
23の上面に当接した状態としておけばよい。これによ
り，現像スリーブ周面を搬送される現像剤により穂切板
23の中央部が上方へ押上げられるおそれがない。

（考案の効果） 本考案の現像装置は，このように，穂切板が長手方向
に牽引された状態でハウジングに架設されるため，穂切
板自体が湾曲した状態，あるいは反った状態であって
も，その湾曲，あるいは反りが矯正され，現像スリーブ
外周面とは，全域にわたって均一な間隙を有する状態と
される。穂切板には多少の湾曲が生じていても，ハウジ
ングへの取付け時にその湾曲が矯正され，また，ハウジ
ングの側壁も穂切板取付時に矯正されるため，該穂切
板，ハウジング等の加工に高精度が要求されない。穂切
板自体に高張力を与えるため，該穂切板自体の剛性が増
し，穂切板を薄肉化し得る。さらに、穂切板の下面と現
像スリーブの周面との間隙が所定の間隙とならない場合
にその間隙を調整部材によりさらに調整することができ
て穂切板を現像スリーブ周面と全域に渡ってさらに均一
な間隙とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の現像装置の一例を示す断面図，第２図
はその横断面図，第３図は要部の斜視図，第４図は穂切
板の取付状態を示す概略図，第５図は固定具と調整ねじ
の組立図，第６図（イ）および（ロ）は，それぞれ調整
ねじによる穂切板の調整状態の説明図である。 10……感光体ドラム,20……現像装置,21……ハウジン
グ,21a……側壁,22……現像スリーブ,23……穂切板,23a
……支持部,23b……穂切部,23c……固定部材,28……フ
レーム部材,29……調整ねじ,29a……ストップリング。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】相対向する側壁の間隔が一部において規定
   されているハウジングと， 該ハウジングの前記各側壁間に回転可能に配設され，そ
   の回転により周面に現像剤が搬送される現像スリーブ
   と， 前記ハウジングの側壁間の規定された間隔よりも若干短
   い長手方向寸法を有し，長手方向へ牽引する牽引手段に
   より前記各側壁に支持されてハウジング内に架設され，
   かつ，前記現像スリーブにて搬送される現像剤量を規制
   するべく，該現像スリーブ周面とは所定の間隙を有して
   配設された穂切板と， 前記穂切板を下方に移動または上方に牽引させて前記穂
   切板の下面と前記現像スリーブの周面の間隙を調整する
   調整部材とを具備する画像形成装置における現像装置。